ぷっちんの映画備忘録

最近、諸々のまとめ的な内容になっています。 自分勝手な映画レビューのブログで、 「ネタバレ」があるかもしれませんが、許してね。

イスラエル

「ゼロタウン 始まりの地」~ああ、いい作品だなぁ


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あらすじ;本作の舞台は1982年のレバノン。パレスチナ人難民キャンプに捕虜としてとらわれたイスラエル軍のパイロット(スティーヴン・ドーフ)が、パレスチナ人少年(アブダラ・エル・アカル)の協力で脱出。一緒に国境を目指すロードムービーだ。作品の背景はシリアスで衝撃的。パレスチナ人少年はテロリストの訓練を受けている。国境越えはまさに命懸けだが、少年の度胸と機転で難を逃れながら前進。そんな厳しい状況の中で人種、宗教、世代とまるで正反対の二人が最初は反発し合いながらも、それぞれの“目的”のために共に行動するうちに友情が芽生えていく。戦争の悲惨さに考えを巡らせ、二人の友情が感動に導く、社会派ドラマとしても人間ドラマとしても見応えたっぷりの作品となっている。

 二人は果たして“目的”を果たすことができるのか。
シネマトゥデイより引用。続きはこちらでhttp://www.cinematoday.jp/page/N0055698


[好き度合い]★★★★★(★7個くらいあげたい)



2012年 イギリス/イスラエル製作
監督(「シリアの花嫁」)
出演者;


本作品は、予告だけ観て勘だけで鑑賞を決めた作品。


トロント国際映画祭で『世界にひとつのプレイブック』、『アルゴ』に次いで第3位の成績を収めた秀作です。
日本で、劇場公開されていないのは、配給会社の観る目がないということでしょうか?
これは、劇場で観たかったなぁ。残念。

人間ってイツまでバカなことをしてるのだと思えてくる。

イスラエル(パレスチナ)の学校の校庭でサッカーをする自分と同じくらいの年齢の子供達を見つめている少年の思いを考えると、そう思わずにはいられない。
どんな感情が過ぎってるのだろう。

そして、少年が故郷へ向かう目的は、父が故郷に植えたかったオリーブの木を植樹すること。
きっと、それは少年にしてみれば、
父の亡骸を故郷の大地で休ませてあげたいといった思いじゃなかったのかしら。
そして、レバノンの祖父に故郷の土を持って行く気持も、
恐らく、二度と故郷の地を踏みしめられない祖父がその土に触れた時だけでも、
懐かしい大地に心が飛んで行くようにとの願いからだったと思う。

冒頭では、テロリストとして訓練されている少年とイスラエルのパイロットは、
バチバチの敵同士であり、
パイロットも少年を子供として扱っていない。
その二人が、互いの体の状態までも心配し合う同志となるのは、
互いに相手を憎む者が対峙した時に、
むしろ、相手の傷も理解できるというこもあるということだろうか。

ラスト、少年の不安と寂しさで曇る表情が憑き物が落ちたようにスッキリとした表情に変わっていく。
あの母の愛を信じた「サラエボの花」の少女の表情と重なる。

きっと、国と国は理解し合えなくても個と個は分かり合える。
そんなことを信じられる少年の表情だったような気がします。

それにしても、教室内の幾つもの机の上に慰霊の写真が置かれている光景は、大人の罪を子供が被っているようにしか見えなかった。


[何だかんだ]

久しぶりに、「ハートにズッキ~ンと来た映画たち」コーナー行き決定!
(あっ、この監督さんの作品の「シリアの花嫁」と本作が見事にズッキ~ン映画です。)




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「約束の旅路」~絆はどこにあるのか

約束の旅路 デラックス版 [DVD]




[好き度合い]
★★★★★


2005年 フランス製作
ラデュ・ミヘイレアニュ監督(「オーケストラ!」)
出演 モシェ・アガザイ ヤエル・アベカシス ロシュディ・ゼム他


[あらすじ][感想]


「オーケストラ!」がきっかけで、同監督作品である本作に出会いました。

本編の前にDVDの特典を観たのですが、そこで監督は
「この映画は、世界の母・女性に捧げるために制作した」
と語っておられて、
アレ?って感じがしました。
この映画って、民族問題がテーマだと思ってたからです。
でも、中盤になると納得してきました。



エチオピアの山中に何千年もの間、
ユダヤ教を信じ聖地へ戻ることを信じて生きてきた黒い肌のユダヤ人がいた。
飢餓と内政混乱に苦しむエチオピアから彼等のみを救出する作戦が
1984年から数回に分けイスラエルによって実行された。

この主人公シュロモは、キリスト教徒であったが、
母は、子供を亡くしたユダヤ教の女性にこの子を託す。
生きてほしいから。



この映画で取り上げてる惨劇、
それは、エチオピアにおいての飢餓とか脱出のための4000人に及ぶ犠牲や
エチオピア内で異端者としての差別・迫害が主ではないと思えてきます。
その後のイスラエルにおける人種差別にポイントがあるようです。
安堵感と希望でやってきた国での失望です。

それに加えて、
ユダヤ人と偽って国を出たシュロモにとって
幼い時から秘密を抱えてきた苦しみと自分が何者なのか答えが見つからない苦しみがありました。

自分の国はどこ?
自分はナニ人?
自分はナニ?

主人公の母は、彼を生かしたかったのです。
寂しいとか、愛してるから傍に置きたいなどといった感情を遥かに超えたもの。
その実母の気持を、手を取って国から連れ出してくれた母も、育ての母も越えられないことは
充分に分かっていたと思う。
 
サラが言ってました。
「わたしは、あなたが白人だろうと黒人であろうと、
そしてユダヤ人であろうと、そうでなかろうとかまわない。
シュロモ、あなたを愛したの」

三人の母と妻の愛。
そして、自分の後に続く我が子への愛。

自分がナニ人であろうと、
自分を愛して生かしてくれ人たちと愛し育む小さな命との絆は確かに存在する。

ラスト、年老いた実母が天に向かい叫ぶ。
それは、恨みでも政治に対する怒りでもないと思います。

「感謝」、「喜び」だったと思う。
だって、ラストは、この母の願いがかなった瞬間なんですよ。
ただ、この事だけを願って、何十年も待ち続けたのですから。

ラデュ・ミヘイレアニュ監督、大好きな監督が増えました。
「オーケストラ!」でもそうでしたが、
民族問題の悲劇を伝承するだけではなく(もちろん、大切なことです)
そういった悲惨な思いを救ってくれるものは何か?
悲劇を繰り返さないことも大切ですが、
起きてしまったことを癒してくれるものは何か?
問いかけてきます。

改めて、言葉にしなくても、この映画を鑑賞すると伝わってきます。

   (YAHOO映画に投稿したものに手を加えました。)




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「シリアの花嫁」~境界を超える

シリアでもなければ、イスラエルでもない。
両国の領土紛争の狭間で無国籍者となったゴラン高原の人々。

でも、ここで描かれているのは、
特殊な場所での女性の自立という普遍的なテーマでした。


シリアの花嫁 [DVD]




[好き度合い]
★★★★★


[背景][あらすじ]


2004年 イスラエル フランス ドイツ製作
エラン・リクリス監督


イスラエルの占領下にあるゴラン高原。
シリアもイスラエルも自国の領土だと譲らず、人々は無国籍の状態である。

モナ(クララ・クーリー)は、親の決めた縁談でシリアの親戚に嫁ぐことになる。
姉のアマル(ヒアム・アッバス)は、一度国境得お超えると二度と故郷に戻ることが難しい妹を案じる。

そんな中、国境で手続きのトラブルに巻き込まれる。





[感想]


本作は、ネッ友さんに「扉をたたく人」を教えて頂き、」→ヒアム・アッバス→「シリアの花嫁」といった経路で知りました。


政治映画かと思って鑑賞しましたが、見事な人間ドラマでした
映画の背景は、イスラエルに占領されているゴラン高原という
やっかいな政治問題を抱えている地域です。

末娘をシリア側に嫁がせようとする一家の家族関係を中心に話が進みます。
グローバルから個まで丁寧に画かれていて好感が持てます。

イスラエル、シリアの国政事情、宗教、家庭の封建制とこの地域の人々を取り囲む問題を
丁重に画いています。

反イスラエル運動家の父親と異教徒のロシア人と結婚した長男の確執
その父と長男が帰るなら式にはでないという村の長老たちとの関係
姉アマルと世間体を気にする夫との確執
その夫と娘の対立
はたまた、次男とある女性との男女間の対立とかさまざまで、
それぞれの人間関係がそれぞれの結果を生んで行くのが、
物語に厚みを持たせてくれます。
特に、長男と父親が寄って行く様子に胸が熱くなっていきます。

妹の障害は政治によるもの
姉の障害は世俗的なもの

共に自分の人生を阻むもの

立ち向かう対象は違いますが、
そこに向かって行こうとする、ここに存在する「自分」という点では同じ。
自立なんて甘いものではないでしょ。
命がけです。

なかなか国境を超えられない花嫁の取った行動は吉と出るか、凶と出るか。
その行動の結果を出さないのは、
それを描いたら、この映画の主題がずれる危険があるからじゃないでしょうか。

これは、政治が主になる映画ではなく、
自我に目覚めた姉妹が自立していく物語です。

姉を後押ししたのは妹です。

妹の結末を見ずにその場から離れていく姉

妹が離れて行く姿に、親戚の叫び
それを背景にして、背を向けて立ち去る姉のクローズアップ。
姉の目に浮かぶ涙は、最初、妹の毅然とした行動に感動した涙と思っていましたが、
そんなレベルではないかもしれません。
結果は、分かりきったことなのかもしれませんね。
内容が、コミカルなところもあるので、深刻に受け止めていなかったのは、
観方が浅いというか、世の中を知らないというか、

ここは、物語的には不自然なのかもしれない。
でも、これが映画らしさなのかなぁと漠然と思う自分があり、
こういったラストにしてくれたことに感動しています。
抽象的といえば抽象的です。
半端と言えば、半端ですが、
不自然さが、最高の形で自然な情感を演出しているように思います。

妹の取った行動の物理的な結果は政治の結果であり、
この映画で映したかったのは、
妹と姉の胸の内に宿った結果だと思ってます。

胸を張って凛とした姿の妹。
姉の涙と微笑みの意味。

多くの人に、深い感動を味わってほしいです。

また、ひとつラストシーンに惚れ込んだ映画に出会いました。
そして、ヒアム・アッバス、大好きです。

ブラボー!!

      http://info.movies.yahoo.co.jp/userreview/tyem/id332245/rid48/p0/s0/c0/

 ~YAHOO映画に投稿したものに手を加えました~

   
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