2019年2月4日(月)、福島市アクティブシニアセンター「AOZ(アオウゼ)」大活動室1で、第145回ふくしま復興支援フォーラムを開催しました。
 菅野正寿氏(NPO法人ゆうきの里ふるさとづくり協議会、遊雲の里ファーム主宰)から、「持続可能な環境・循環・共生の社会をつくるために」をテーマとした報告を受けました。
 関心のある38名の市民が参加し、熱心な質疑応答がなされましたが、レジュメと会場で文書で提出されたご意見・ご感想は以下の通りです。参考にしてください。

 ~~~~~~~~~~~~~~~

【レジュメ】

    持続可能な環境・循環・共生の社会をつくるために
              NPO法人ゆうきの里東和ふるさとづくり協議会
                        遊雲の里ファーム主宰 菅野正寿

―NPO「ゆうきの里東和」・住民主体の地域づくり―
 ○福島県阿武隈山系は農政の谷間―1980年代からの農村潰し
   養蚕・畜産・葉タバコが輸入農産物急増により衰退、荒廃
 ○「田畑が荒れれば心も荒れる」―里山の原風景をとりもどしたい
 ○平成の大合併による危機感とお上(行政) 頼みからの脱却
 ○「行政にできること、民間企業にできること、住民主体でできることをそれぞれが尊重し合い、パートナーシップをもって地域課題に取り組む」
 ○地域資源循環のふるさとづくり
    ゆうきの里東和・道の駅ふくしま東和
     (情報と交流と地域づくりの拠点)        農家民宿(23軒)
    地域資源循環センター   桑茶加工所    ふくしま農家の夢ワイン
   (肥育牛牧場・堆肥センター)  (旧小学校)      (旧養蚕飼育所)

―農家住民と大学研究者との協働による実態調査―“現場にこそ真実がある”
 ○住民不在による環境省と大手ゼネコンの農地除染の実態(避難地域)
 ○ゆうきの里東和と日本有機農業学会(新潟大学、茨城大学、東京農工大、横浜国立大、福大)の協働による見えない放射能の見える化のとりくみ
    (水田、大豆、桑畑、タケノコ、山林など)
 ○耕してつくった米、野菜はほとんど放射能が不検出。(土の力、イネの力)
 ○有機的土壌が放射性セシウムを吸着、固定化することが証明されてきた。
 ○深刻な里山汚染―きのこ、タケノコ、山菜類の出荷制限。山林再生が課題。

―天明の大飢饉に学ぶ、農村復興策―
 ○二本松市東和町の木幡山のある「天明為民の碑」(天明3年)が教えること。
  235年前の天明の大飢饉は、「同三(天明)夏より霖雨降続き、陸羽二国五穀実らず、里山は種をも失ふ故に、わらの粉のもち又草木の根葉まで食すれども、飢て死る人数を知らず(以下略)」(東和町史Ⅰ)
 旧東和村、旧岩代村、旧山木屋村で1,000人もの餓死者。二本松藩にその窮状と年貢の免罪を訴え、15,000人余の農民一揆を起す。
 ○この教訓から農村復興策として大豆、小麦、じゃがいも、雑穀、特産物(養蚕、葉タバコ)や酪農、綿羊などの振興を奨励して開墾と食糧増産(多様な食文化)

―多様なコミュニティを育む農業と農村の果たす役割―
    国連「家族農業10年」2019年~2029年
 ○豊かな教育力―成長と発達に応じた農業体験、農村体験の大切さ
 ○福祉力―子どもからお年寄り、障がい者も共に田んぼ、畑にかかわる力
 ○自給力―お年寄りの生きがいとしての米づくり、野菜づくり
 ○持続可能な力―豊かな水・食べ物・再生エネルギー
 ○美しい里山景観と生物多様性―農民こそ環境の生産者
 ○家族農業、集落営農―里山文化の地域共同体

―持続可能な環境・循環・共生による地域づくりー
   (イノベーション・コースト構想と対峙した福島の再生へ―
 ○顔の見える生活圏(旧小学校単位)に地域づくり協議会と拠点づくり
  (子育て施設、高齢者・障がい者施設、社会福祉、公民館、たまり場カフェ)
 ○新しい公共としての里山・林地の維持管理共同体づくり―里山林業の育成
  (原木、炭焼き、落ち葉、山菜、農道、水路)

  ―多面的機能支払事業の充実と拡充―
     「山を守ることが田畑を潤し、豊かな海を守ること」
 ○地域内自給と商店との連携―農と加工の復権と地域循環経済圏構想
   (大豆、小麦、雑穀、野菜づくり)⇒豆腐屋、麹屋、納豆、醤油
 ○ものづくりの技の伝承(ものづくり大学校)
   (漬物・わら細工・竹細工・炭焼き、木工品・・・)
 ○生活文化の伝承
   (盆踊り、お祭り、伝統行事)
 ○都市との共生・共感関係による「美しい野の里づくり」
   市民団体・企業・大学研究者との協働による里山再生
   都市住民も企業もマイ田んぼ・マイ畑で耕す(農業小学校)
   作物を育てることは人を育て会社を育て、社会を育て、感性を育てる「生きる力」
 ○都市と農村をつなぐコーディネーターの新しい役割

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

【ご意見・ご感想】

 ★ 道の駅ふくしま東和は、田村に帰るときに必ず立ち寄ります。放射線量が多い道の駅だけれど、野菜も漬物も、総菜も確かに美味しい。今度は、農家民宿に泊まっておしゃべりをしたい。菅野さんの農業者としての誇りをもっていることに感動です。(H.O)

 ★ 東和すごいなと思います。菅野正寿さんがすごいのかも知れませんが。応援したいです。(S.S)

 ★ 途中からでしたが、東和の長年培った地域の力を感じさせるお話でした。(E.C)

 ★ 東和の物語と、正寿さんの視座は、原子力災害からの地域再生の答えそのものだと思います。ますます、東和の物語が広く知られて、人のつながりが広がるよう、微力ながら取り組みたいと思います。(R.S)

 ★ 地域の実情をふまえた必要とされている復興支援が必要。小学校単位での新たなコミュニティ形成のポイントではないでしょうか。(S.A)

 ★ 「コメや野菜は単なる『商品』ではないのに、それが育っている農村のバックボン(山の恵み、水の恵み・・)を、農家は消費者に伝えてこなかった。」「原発の50年の歴史をつくってきてしまったのは大人の責任」など、講師の活動のもとになっている深い考えに感銘しました。(N.O)

 ★ 東和での地域づくりの基盤にあったのは、消費者と生産者との支え合い、育て合うかんけいが大きかったことを改めて知り、感銘を受けました、「百姓は米だけをつくっているのではない」、農業・農村の多様な価値を消費者や次世代に伝えていくことの必要性を、私も心から実感しています。集落の力が、営農再開に大きかったというお話も印象に残りました。小学校区単位での地域運営の組織づくりへと、先を向いておられることがすばらしいと、思いました。(Y.I)

 ★ 原発事故は、普通の生活を奪ってしまったと改めて実感しました。新しい地域づくり、是非、後を追いかけたいと思います。(Y.I)

 ★ 安全安心な農作物を消費者とつながりながら創造していたプライドを強く感じました。原発事故はそれもふみにじったのですね。でも負けずに強く活動される菅野さんの生き様に感銘をうけました。農地だけでなく、野山も大事にし、子どもに残さねば。「ふるさと」「祭り」「つながり」「先祖代々の田んぼ」・・原発事故が汚染したものは尊いものばかりですね。(S.M)

 ★ 途中参加でしたが、農家は農業・農村の姿を伝えてこなかった、との言葉が、心に残りました。頑張ってください!(M.S)

 ★ 被災から現在にいたる農業・地域再生へのご努力の跡を明解にご報告されましたことに、心より感謝申し上げます。(K.F)

 ★ 心の底から「農」の大切さを訴え、放射能汚染に対しても、前向きに積極的に、現実的に、多面的に対峙していくその姿に感銘を受けました。賛同者がどんどん増えて、夢を実現させることを願っています。(S.S)

 ★ 一農家の話しではなく、より広い視点で、なおかつ、その情熱をもって、これからの農村・農民の在り方を提示してくれた。良かった。(J.K)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

DSC_1336DSC_1337DSC_1338