2019213日(水)、福島市アクティブシニアセンター「AOZ(アオウゼ)」大活動室3で、第146回ふくしま復興支援フォーラムを、開催しました。
 鈴木雅貴氏(弁護士、あぶくま法律事務所)から、「原子力損害賠償の課題~東京電力による和解案拒否問題について」をテーマに、報告がなされました。
 年度末のお忙しい中、東京からわざわざ参加いただいた研究者もおり、関心のある36名の市民が参加し、熱心な質疑応答がなされましたが、当日のレジュメと会場において文書提出されたご意見・ご感想は以下の通りです。参考にしてください。

 

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【レジュメ】


原子力損害賠償の課題~東京電力による和解案拒否問題について

2019年2月13日

弁護士 鈴木雅貴

あぶくま法律事務所

 

1 集団ADR申立てについて

⑴ 原子力損害賠償の請求方法

  東京電力に対する直接請求、裁判所への申立て、和解仲介申立て

 

⑵ 和解仲介手続

  原子力損害賠償紛争審査会(以下「審査会」)の所掌事務だが、実際には審査会の内部機関である原子力損害賠償紛争解決センター(以下「センター」)が担当

 

⑶ 申立件数、和解仲介の状況、打ち切り件数の増加

  センターの報告参照(H31/1/25審査会報告資料)

  終了件数23,217件、うち和解成立は18,779件、東電の拒否による打切りは121件、このうち東電社員案件は81件。平成30年には東電社員案件以外の拒否が40件出現。

 

⑷ 集団ADR申立てについて

ア 避難指示等対象区域内の住民らによる集団ADR

  申立件数16件中、成立10件、拒否による打ち切り5件、進行中1件。

イ 自主的避難等対象区域の住民らによる集団ADR

  申立件数8件中、成立2件、拒否・打ち切り2件、拒否・継続中3件、進行中1件。

ウ 申立て時期が早いと成立している。

避難指示等対象区域の方が成立率は高い。

自主的避難等対象区域の集団ADRは、小国地区の和解成立がきっかけ。

 

2 ケース報告(相馬市玉野地区集団ADR申立て)

⑴ 玉野地区について…自然豊かな中山間地。

 

⑵ 申立ての経緯

ア 原発事故による被害

イ 小国地区の和解案が成立

 

⑶ 申立ての概要

  住民の約9割が参加(419名)。申立てから和解案提示まで4年経過。

 

⑷ 仲介委員からの注文(求釈明)

ア 「共通損害」の特定

  → 玉野地区が放射性物質に汚染されたことにより、同地区の自然の利用に制約が加えられ、日常生活に重大な支障が生じていることによる精神的苦痛。

イ 中間指針(追補)の理解の相違

ウ 他の中山間地域と比較して玉野地区に特有の被害は何か?

 

⑸ 生業訴訟判決(平成29年10月10日)

  集団ADRにも大きな影響を与えた。

 

⑹ 和解案の提示(平成30年10月1日)

 別紙集団ADR現況一覧No.21参照

 

⑺ 東京電力の対応…拒否

  「一律の賠償には応じられない」と東電代理人が発言

   東電の拒否理由は、従前の主張の繰り返し。

 

3 ケース報告(伊達市富成地区集団ADR申立て)

⑴ 伊達市富成地区…自然豊かな中山間地。

 

⑵ 申立ての概要

  住民の約9割が参加(1191名)

  申立てから和解案提示まで3年9か月経過。

 

⑶ 被害事実を伝える新聞報道(2012年3月5日付け毎日新聞)の紹介

 

⑷ 和解案の提示(平成30年12月27日)

  別紙集団ADR現況一覧No.24参照

 

⑸ 東電の対応…拒否(従前の主張の繰り返し。)

 

4 東京電力の和解案拒否問題

⑴ きっかけは浪江町集団ADRの対応

 

⑵ センターの対応

ア 和解案を敢えて出さない

イ 和解仲介手続の準裁判化

ウ 和解案の提示金額を減額する

 

⑶ 和解案拒否の不当性

ア 東京電力の和解仲介案の尊重に違背する

  被害の切り捨てそのもの

イ 「一律の請求には応じない」の意味

  平成30年12月4日、参議院文教科学委員会における参考人守谷誠二氏(東京電力代表執行役副社長)の発言。

 → 多数の被害者を発生させた加害者としての責任を放棄する発言

 

5 センターの問題点

⑴ 中間指針追補を漫然と是認したことによる弊害

同じ中山間地である、福島市大波地区、伊達市月舘町の和解案は?

 

⑵ 損害額の算定に東電の受諾可能性を考慮したこと(和解案提示の有無も?)

 

⑶ 審理の長期化により、住民の体力を奪った

 

6 審査会の問題点

⑴ 中間指針の見直しに消極的な姿勢~平成31年1月25日審査会にて

 

⑵ 審査会が議論が熟したと判断するまで問題を先送りする考えか?

 

7 和解案拒否問題への対抗

⑴ 中間指針の改訂が必要~その本丸は「審査会」

 中間指針が改訂されれば、新たに訴訟やADR申立てをしなくても、自動的に対象住民は救済される。

  さすがの東京電力も、国から賠償資金の融資を受けている以上、中間指針に従わないとは言えない。

→ 中間指針の改訂は、和解案拒否問題の抜本的解決策であるとともに、多くの被害者を救済する望ましい手段である。

 

⑵ 中間指針改訂を目指す一点共闘の実現を!

平成31年1月17日、6弁護団による審査会への共同申入れを実施。

  目の前に間違いなく存在する被害を救済するためには、地域や団体を超えた繋がりが重要

  次は、集団ADR団と集団訴訟団との連携がカギとなる。

以 上

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【ご意見・ご感想】
 

 ★ ADRは、本来、裁判では長時間かかるので、早い解決をさせるために出来た制度であるはずなので、国としては、強制力を持たせる必要があると思いますので、中間指針追補を変更させる運動と併せて、国を動かすことが重要と思います。(K.I

 

 ★ 被災地域住民の賠償問題に対する補償のあり方についての取り組みの現状について理解することができました。(K.F

 

 ★ 弁護士から東電との交渉の話が聞けて良かった。(I.O

 

 ★ ADR申立ての実態がよくわかりました。集団申立ての部分についての「運動」が必要ではないかと思ってしまいました。(K.S

 

 ★ 原発ADRの現状、問題点についてよく理解できました。運動の展開に注目していきたいと思います。(T.K

 

 ★ 東電が和解拒否すれば、それに対して何もできない、和解案には何の強制力もないというのは寂しい限りです。審査会やセンターが、東電をそんたくしながら活動しているようでは、仲介額が低額になったり、弱腰であるのもしかたないのかなと思いました。(S.S

 

 ★ 集団ADRの最先端、最新状況=現状がよくわかったが、運動レヴェルの問題と拒否する東電の大きな問題、和解に立つADRレヴェルの様々なゆれ・ぶれと三つのレヴェルの問題をより大局的、政治的レヴェルから解決して行く視点か、裁判に訴えることが必要になっているように思われる。ADR制がガス抜きか、却って状況を混迷させる妨害になるのではないか、さもないと、時間の経過の中で、東電のあけすけな拒否によって、あいまいな、ふわふわした、いたちごっこ的な議論なっているように思われてくる。大変もどかしい。(S.I

 

 ★ 東電の対応をきく度、腹が立つが、ADRを手の平にのせてあやつろうとしているところが一番頭にくる。声を出せない住民程賠償されない。弱者が救われない。どうにかならないものか。やはり裁判ですかね。(S.M


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