(レジュメ つづき)

 Ⅲ. 女性に負わされる福島の被災

  ①固定的性別役割からくる負担⇒我慢の限界

  ②夫婦間・家族間・友人間の物事に対する温度差・関係の変化⇒震災の影響の大きさ、DVへの気付き

    ③問題の複雑化、深刻化⇒解決や希望が見い出せない苦しさ

    ④高齢女性からの相談の増加⇒孤立感・孤独感、生きがいの喪失

  ⑤“個人的”な問題は訴えにくい⇒社会的には目に見える問題が優先

 

 . 福島の女性たちに起こってきていること

・家制度、同族意識、男性中心の風土の中で、「不平等」に女性たちが気づき、声を上げ始めた。

・誰かに相談をしてもいいという意識が芽生え、相談機関が身近なものとなってきている。

・ハードルが低い電話相談を入口として、面接相談やセミナーやママ友さろんにつながってきている。

・電話相談を通してニーズを把握し、行政や他機関との連携が深まり、真に必要な活動が明確に

なってきている。

・震災をきっかけに新たな出会いや気づきがうまれ、男女共同参画やジェンダーの視点に対する認知が地域社会に少しずつ根を張りつつある。

 

. 相談の現場で大切にしていること~被災地で生きるために~

  見えにくいものを見ていく、聴いていく。

  ②対等性を保ちながら、同じ地平にあるものとしての眼差しを向ける。⇒シスターフッド

③ありのままの自分を受け入れ、他者との違いを認め、自分を大切にする。⇒自己尊重感

④問題を相談者個人の問題として捉えず、あるべきところに返していく。⇒ジェンダーの視点

    “Personal is political.” 「個人の問題は社会の問題」

    ⑤個人の変革は社会の変革につながる。⇒男女が対等な社会の実現を目指して

 

Ⅵ.グループ活動  平成24年(2012年)2月から開始

 

1.郡山市 「ママ友さろん」 

※母子密着の環境から少しの時間でも自分のための時間を持てるように託児を設ける。

※守秘・参加・尊重のルールの下、安心して気持ちを話せる場を作る。

前半日常ではじっくりと時間をかけることの難しい小物作りなどの手作業を行う。

後半:いろいろな人と交流を深められるように少人数のグループに分かれて、同じテーマについてそれぞれが自分に向き合い、対等な関係性の中で話し合う。

ねらい:「自己尊重感を高めること」自分を大切な存在として認め、受け容れる。

 

 

 平成29年度(2017年度)グループ活動「ママ友さろん」活動内容

 

期  日

活 動 内 容・茶 話 会テーマ・参加者の声

参加者数

/15()

アッとジュースを作ろう   ・テーマ「今の私を知る」

 ・自己尊重度チェックは自分の傾向と社会の影響とのつながりがよくわかり、これからの課題を感じた。

 4

/19()

ミニフラワーアレンジメント ・テーマ「今の私を知る」

 ・自分を見つめる時間が欲しかったので、いろいろ考えられてよかった。

 ・自己肯定感の話や絵を描いて気持ちを表出することで、他の方と一緒なんだなぁーと思えたのが良かった。

10

/13()

ストレッチ         ・女らしさ/男らしさって何だろう?

 ・娘に「女の子らしさ」を押し付けているなーと実感した。「自分らしさ」を尊重してあげようと思う。

 7

/28()

簡単アート「切り絵」    ・テーマ「私の楽しみ・喜び」

 ・自分を大切に、は本当にそう思う。子ども中心を変えようと思った。

 2

/28()

ビーズアクセサリー       ・テーマ「ジェンダーにとらわれない子どもへの関わり」 

子どもを伸ばす言葉を普段の生活の中で心に留めて子どもたちに接したいと思う。

 3

10/30()

ペーパークラフト      ・テーマ「私を取り巻く人との関係」

 ・スタッフとマンツーマンで教えていただいたり、お話しすることが出来てとても楽しかった。

 2

11/20()

お抹茶体験         ・テーマ「私の中のとらわれ」

・日々の子育ての中で、知らず知らず自分に課していた理想で、自分を生きづらくしていることに気づけた。子どもが笑顔でいられるように、私もゆとりを持って力を抜いていこうと思う。

 9

12/18()

たっぷり野菜のクリームシチュー ・テーマ「ジェンダーかるたから考えよう」

ジェンダーかるたは目からうろこのお題もあって、言われればそうだなと気づくことがあり、ためになった。

 6

30

1/22()

ハンドマッサージ       ・テーマ「こころとからだは私のもの」

 ・体も気持ちも軽くなった。他のママさん達とお話しして勉強になったり、共感し合えたり、充実した時間を過ごせました。いつも参加しやすい雰囲気で心が落ち着く。

 

 

12

 

2/22()

リボン結びで作るバッグ ・テーマ「自分を大切にするということ」

 ・とても良い気分転換になり、とても楽しかった。色々な意見や自分の思っている事との違いも新鮮だった。

 

 

3/12()

ポップカード作り     ・テーマ「ジェンダーかるたでかるた取り」

 ・カルタを通して普段話すことのないような話もでき、勉強にもなり気分転換になった。

 

 

11

 

 

69

 

2.いわき市  おしゃべりカフェ「コスモス」 

   目  的:被災者がさまざまな思いを語り合ったり、手仕事などの作業を行いながら、悩みや不安を打ち明け合ったりして孤立を防ぐ。

  : 30名(予約制)  

 

Ⅶ.相談内容の推移と変化・今後の課題

・初期の頃は傾聴や情報提供といった対応が主だったが、最近は被災者の環境の変化に伴い、質的な対応が必要になってきている。

・他機関からの紹介が増えてきている。(行政、警察、心療内科、消費生活センター等)

当電話相談のカード「女性のための・・・」というフレーズが、相談することへの抵抗感を少なくしている。精神疾患を抱えた方も、差別を受けることなく、安心して語れる窓口として利用されている。

 

.応援派遣相談員の声

 ・長年にわたって閉塞的な地域環境の中で伝統的な家族間や女性役割に縛られてきた女性が、高齢化に伴い、孤立感を深め精神的に追い詰められている。高齢者の孤立は、被災地にあっては震災による地域の疲弊や過疎化、及び避難などによる地域住民や家族の分断によって、より大きくなっている。

福島の「蓄積性トラウマ」と「心の回復過程」を考えたとき、この電話相談は、①孤立無援を排して他者に「相談」することの意味を福島の女性たちにしっかりと伝えることができたこと、②新しい自分や人生を構築することができるという希望(PTG Post Traumatic Growth)を得ることができた相談者が生まれていることを大きな成果として挙げることが出来る。(京都Dさん)