北海道の奥地にひっそりと眠る、朽ちたタウシュベツ川橋梁です。

今では誰も住まなくなった未開の奥地に、かつて街があり、大勢の人が住み、材木を満載した汽車が行き交っていました。
やがて士幌線は廃止され、今は糠平温泉に100人程度が住む以外、誰も住んでいません。

そうした場所は北海道の各地にあるのですが、この橋だけは特殊な運命をたどりました。
湖に沈んでは現れ、厳寒と日射にさらされ、いつしか幻の橋と呼ばれるように。

この橋は実はそんなに古いものではないのです。
でも一説によると通常の10倍の速さで劣化が進む。つまり600年後の姿にあたるそうです。
この橋だけがただ一人、数百年先の姿へとタイムマシンのように進んでしまったのです。

見渡す限りの干上がった湖底、無数の切り株、そして忽然とそびえる朽ち果てた橋・・・
この谷だけが、激しく異様な光景です。凄いところに来ました。
もしかすると、これが600年後の日本の姿なのか。
絶景なのですが、人工の造形であり、独特の退廃的な美しさをたたえた場所です。

ここに行くことは、長年の夢でした。



今日は帯広からレンタカーを借りて糠平へと向かいます。
行きがけに夏にも訪れたことのある然別湖に立ち寄ってみます。
そして旧士幌線の士幌駅跡を訪れ、いよいよタウシュベツ川橋梁のある糠平へ!

もはやフェリーのフの字もない山奥ですが(^^;
ちゃんとフェリー旅に戻りますので!もうちょっとだけ(笑)

 
 
今日の帯広は、まさに十勝晴れ!素晴らしい晴天です。
憧れの場所へ行く日がこういう天気だとテンション上がります!

元気に宿を出発して、帯広駅前のトヨタレンタカーへ。
ついにレンタカーか!鉄道オタクよ、ようやく負けを認めたか(笑)
時代はクルマなのだよ。哀れなマニア諸君。
これから見る士幌線の姿をよく目に焼き付けるがいい!
(マニア=俺)


快適かつ爽快かつ自由なレンタカーに、魂を売った鉄道オタクですこんにちわ。

もとい、帯広から糠平へは旧士幌線の転換バスも出てるんですが、見学ツアーの時間とうまく合わないので、やむなく今回はレンタカーを借りました。
何しろバスは朝7時の次が午後2時ですから・・・。

とはいえ、レンタカーを1日借りると保険込みで6,000円ほど。
バスだと往復2,500円。レンタカーは中々の贅沢です。

そうだ、だからこそ、バスで6,000円以上かかるくらい走りまくればいい!


なんでそういう思考になるのか謎ですが、走らないと!という謎の焦燥感にかられる(笑)

なお途中の写真は、長い赤信号や、路肩に停車して撮影しています。
クルマだと途中の写真がなかなか撮れないのが難点です。


市街地を抜けると、見渡す限りの十勝平野と、屏風のように広がる大雪山系!
昨日までの吹雪で、山が綺麗に雪化粧しています。素晴らしい景色のドライブ!

ひとまず鹿追の街を目指し、然別湖に登ってみようと思います。


360度、どこまでも広がる平野、青空、そして山。道路は一直線です。


なかなか写真では伝わらないのですが、本当に気持ちいい!
レンタカーいいわあ。(笑)


鹿追を出て然別湖への山道の途中、扇ヶ原展望台に立ち寄ります。
路線バスで来た時は泣く泣く通過なので、レンタカーいい!(笑)


十勝平野が一望できます。今日は特に空気が澄んでいて素晴らしい。


標高が高いので、本州で言えば2,000m級くらいの気候でしょうか。
空気は薄くないんですが、薄い気がします(笑)


それにしても綺麗だ・・・
十勝って広いだけだと思ってたけど、こんなに綺麗なところだったんだ。


然別湖はここからさらに登って峠を少し下ったところです。
路面は大丈夫だろうか。吹雪の予報だったので4WD借りといてよかった。。


凍結した路面にビクビクしながら坂を下ると、然別湖に到着!

はい、まだ完全凍結中でした!(笑)
さすが北海道・・・5月でもまだカチンコチンです。

 
でも氷はだいぶ緩んできてるようで、川の流入部では氷が溶けてました。
もっと本格的な冬なら湖面を歩けたでしょう。


動くものはなく、非常に静かです。夏のような湧き上がる雲もありません。
ようやく遅い春が訪れようとしている、然別湖でした。


夏だとここから峠を越えて糠平まで抜けられるんですが・・・
残念ながらまだ冬季通行止め。
鹿追へ降りて士幌から回り込まないといけません。


「ある日」
「森の中」
「くまさんに」
「出会った♪」

という状況にならないことを祈ります・・・
いや、一度見ちゃうと、どこかから見られている気がして・・・
背後とか怖いんですよね・・・


この然別湖へ向かう道路の両側は、陸上自衛隊の演習場になっているようです。


無事に?然別の山を抜けて、再び十勝平野へ。
今度は士幌の町をめざします。
ここからの道がとにかく一直線で、アメリカみたい。


ようやく士幌の町に入りました。
ここを抜けて糠平へ向かうんですが、旧士幌線は名前の通り、ここ士幌を通っていました。
ネットで調べたところ旧士幌駅が保存されているらしいので、寄ってみましょう。

・・・ってどこだ?(^^;

「農協の裏」という情報しかなく、かなり迷いました。。
Googleマップにも施設登録がない。

そこでマップを航空写真に切り替えて捜索。地形から探すブラタモリ作戦です。
するとホラ、浮かび上がってきました。いかにも駅っぽい場所が・・・。



ここにピンを立ててクルマを移動。
Googleマップは廃線跡探しには絶大な威力を発揮しますね!
この方法、町歩きがお好きな方はオススメです。タモリ気分になって楽しいですよ。


ようやく見つけました。旧士幌線の士幌駅跡です。

 




そうか、比較的大きな街である士幌でも、最高で1日500人強か・・・。
士幌線の最盛期は芝ギター部が創部した年ですね。そういえば。
それから20年程度で廃線になってしまうのか。


士幌駅舎は中にこそ入れないものの、除雪機材が保管され、綺麗に手入れされています。
廃線から30年近く経とうとしていますが、下手な現役駅舎より綺麗です(^^;


2面3線のホームと、貨車3両が屋根付きで保存されています。
周囲も駅構内のスペースはそのまま残され、往時の雰囲気が残されています。


昭和40年頃までの活気や勢いを想像したくなります。
一度その時代に訪れてみたかった。


場内の転轍機てこ。切り替えてみたいですが動きませんでした(当たり前)


この先に糠平、そしてタウシュベツ川橋梁があります。
ちょっと駆け足ですが、そろそろ時間がやばくなってきたので、急ぎ糠平へ向かいましょう。


「糠平まで、30分くらいあれば行くんじゃない」くらいに思ってたんです。
ツアーは12時集合だから、11時過ぎに士幌を出ればいいかなと。

北海道をなめてました(^^;

カーナビで糠平温泉をルート検索すると、1時間10分!
全然間に合わないじゃん!やばい!
とはいえ無茶な運転はできないから、とにかく行くしかない。

 
結果、間に合いました。11時50分頃に到着。。
実際は道路に信号が全くなく、カーナビの到着予想時間はかなり余裕を持っているので、途中でどんどん予定時間が早くなっていき、実際は45分程度で到着しました。
分かりにくいという噂だった集合場所の文化ホールも、看板が出ていたのですぐに判明。

ここで遅刻してパーにしたら一生後悔モノなので、よかった。。

 
文化ホールでは地元高校の合唱部?が不気味な半音階の基礎練中。
半音階の基礎練ってどの世界でも怪しい響きですね。。
オペラらしき個人練習をしていましたが、かなりの実力です。何者?
タウシュベツよりそっちが気になった(^^;


かつての国鉄の路線図です。この時代に生まれたかった!

ちなみに士幌線は、真ん中右側ちょっと下、指でなぞられすぎて擦れています。
十勝三股から三つ手前が、今いる糠平です。
北海道でも有数の深い山奥ということがわかると思います。

 
12時出発のツアーが始まりました。
まず文化ホールで貸し出される長靴に履き替えます。サイズ各種あり。
そして3台のワゴン車に数人ずつ分乗して、タウシュベツ川橋梁を目指します。
自分はツアーガイドリーダーの方に当たりました。
非常にわかりやすく丁寧なガイドのもと、車は糠平湖岸の国道を北上します。

 
湖の北の端にたどり着くと、ここから未舗装の林道に入ります。
途中でゲートがあり、許可車両以外は進めないようになっています。

なお、徒歩にて入って進むことは可能です。今日も数組のグループが歩いていました。
結構距離があります。足元も悪く、歩く場合は1時間は見ておいたほうがいいでしょう。
もちろんトイレ等もありません。

車で入りたい場合は管理事務所に申請してカギを借りる必要があるそうです。
手続きが煩雑なので、プロカメラマンなどが利用する程度だそうです。




そして何よりも注意すべきは、この辺りはヒグマの生息域だということ・・・。
「この辺はクマが住んでますのでね、最近も目撃されています」
実際に数日前に撮られた、国道をテクテク横断するヒグマの写真を見せてくれました。

個人で訪問する場合でも、決して一人では徒歩移動すべきではありません。
熊鈴など音の出るものや、複数人で賑やかに移動したほうがいいでしょう。


途中で士幌線の線路跡を横断します。
この先に、タウシュベツ川橋梁があるわけです。
ちなみに春先の現在はここを歩くこともできそうですが、夏は草に覆われて存在すら分からなくなるほど茂ってしまうそうです。


かなり車で分け入り、途中で車を降りて線路跡へと分け入っていきます。
ここからは足元もぬかるみ、通常の靴では難しいでしょう。長靴が必要です。


こんな感じです。
ツアーですと長靴も貸し出され、終わったら脱ぎ捨てて洗ってくれるので、とても手軽です。
大人数でばちゃばちゃしながら歩くので安全ですし、ツアーを強くお勧めする次第です。


途中に冬を越せなかった鹿の亡骸があるなど、自然の厳しさを実感する一幕も。
(一人で事前情報なしにここ歩いたら、ちょっと怖いだろうな・・・)

まさに異世界への入り口です。
この深い森を抜け、あの向こうに、それはあるのです。
その時が来ました。


忽然と視界が開けました。
荒野のように干上がった糠平湖。そして・・・


広大な景色の中にある、あれは・・・




タウシュベツ川橋梁です。ついにやってきました。
想像していた上に、壮絶な姿をしています。今にも崩れそうです。

ツアーガイドから「危険なのでロープの中に入らないように」「橋に乗ってはいけません」などの諸注意を受け、各自解散して見学。


美しい大きな橋です。人と比較すれば大きさがわかるかと。
ダム湖は完全に干上がっていて、湖底まで降りて近づくこともできます。


橋台はかつてしっかりしたものがあったようですが、崩れてなくなっています。


美しい・・・。
周りの景色も絶景で、まるでスイスにでもいるような気分です。


今は干上がっていますが、真冬は雪に埋もれ、これからの季節は雪解け水が流れ込んで次第に水位が上がり、夏から秋には橋が完全に水没することもあるそうです。
季節によって橋の姿が全く異なり、忽然とその姿を現わす、幻の橋と言われるゆえんです。


わりと現代建築に近いコンクリート橋なのですが、水没と乾燥、日射と厳寒を繰り返すために激しく劣化しており、外装はほとんど剥がれ落ちて足元に山ができています。


もっとも破壊が激しい部分は、2003年の十勝沖地震(M8.0)で崩落した部分です。
それから10年以上が経過していて、まだ繋がっているのが不思議なくらいです。


足元を流れるのが、音更(おとふけ)川の支流であるタウシュベツ川です。
ドイツ語のような名前ですが、アイヌ語です。


大きさ比較のために、他のツアーの方にフリー素材になっていただき・・・


橋のたもとに近寄ってみます。
触ってみても良いとのことなので触ってみると、そっと触るだけで表面がボロボロ・・・
タウシュベツ橋梁はコンクリートの枠に中に砂利を詰める工法で作られています。
そのため、外枠が崩れると・・・一気に全てが崩壊してしまいます。


鉄筋こそ入っているものの、それも腐食が著しく、橋を支えるには到底足りない。
いつ外枠が割れて崩れ落ちてもおかしくない状態だと思います。
こうした「橋があるうちに」来られるのは今しかないというのも、今回訪れた理由です。


アーチの裏側には、少し違う部材が見えますね。
アーチ部の強度を増すための構造があります。少し質の良いコンクリが使用されているようにも見え、これが崩落を食い止めているのでしょう。


南側からも眺めてみます。
11連ものアーチが連なる美しい橋です。現役の頃はどんなにか美しかったことだろう。
でもあまりにも秘境すぎて、現役時代の写真は一枚も残ってないのだとか・・・


それにしても、おそるべき景色です。
見渡す限りの干上がった湖底に、切り株が点在しています。
ここもかつては一面が森だったわけで、ダム湖になった際に木が切られました。
このような人間の住んでいない秘境なのに、この景色のほとんどが人工のものなのです。


連なる切り株の向こうに、大雪山系の石狩岳、音更山が美しい姿を見せています。
不思議な景色です。


果てしなく続く、糠平湖の湖底。
湖が干上がるというのはあまり見たことがなく、非現実的な光景が広がります。


タウシュベツ川橋梁は、水没を繰り返し、通常の10倍の速さで劣化が進んでいるそうです。
例えるならば、他の廃橋が10年経つ間に、タウシュベツ川橋梁は100年が経過する。

この橋が放棄されてから、およそ60年。
この橋はおよそ600年先の姿を今に見せていることになるのです。


何もかもが滅びてしまったかのような景色は・・・
600年後の日本の景色なのかもしれません・・・。


ツアーの集合時間になりました。
「これで見納めになるかもしれませんので、皆様よく目に焼き付けていってください」

まだ橋がもうちょっと持ちこたえるなら・・・
季節を変えて、湖面に映るタウシュベツ川橋梁を見に来てみたい。
非現実的な光景の広がる、不思議な場所でした。すごい場所が日本にもあるものです。
本当に来て良かったです。


見物人が去って、橋はまた元の静かな自然に帰っていきます。


再び士幌線の線路跡を歩いてクルマへと戻ります。

 
周囲にはフキノトウがたくさん咲いていて、これがクマの食糧になるそうです。
つまりこれがたくさん咲いている場所には、クマが来ると。。
うん、早めに出発しましょう(^^;


ちなみにツアーガイドさんが見せてくれた、タウシュベツ川橋梁の竣工時の模様です。
今は湖底になっている部分が深い森に覆われているのがわかります。


旧士幌線のアーチ橋はタウシュベツ川橋梁だけではありません。
これは第五音更川橋梁で、タウシュベツに負けず劣らずの美しいアーチ橋です。
タウシュベツも水没しなければ、今でもこの程度の状態で残っていたはずです。
あの橋だけが、時間を飛び越えて未来に行ってしまったと・・・


ここは幌加駅跡です。
今でも線路やホームが残されています。


ここの転轍機は動きます(笑)
自由に動かせますので、好きな方は幌加駅へどうぞ。


トラフも残ってますよ。


かつて数百人が暮らして小学校もあったそうですが、今は完全に無人。
人が去るというのは、こうも寂しいもんです・・・と地元ガイド。

そしてこれは、日本各地の限界集落で、これから見られるかもしれない姿でもあります。
タウシュベツは特殊な廃墟で、こちらこそがリアルな未来の姿かもしれない・・・。

ちなみに士幌線沿線が衰退した原因は、自動車の普及と国道の整備、そして林業の衰退なのですが、その直接的なきっかけとして、あの洞爺丸台風が関係しているそうです。
青函連絡船を沈めてタイタニックに次ぐ世界最悪の海難事故を引き起こした洞爺丸台風ですが、ここ糠平も大きな被害を受け、大量の倒木が出たそうです。
およそ3年分もの材木が一度に出荷されたため、木材価格が下落したうえ、値のつく材木資源も枯渇してしまい、それが士幌線の衰退・そして廃止への引き金になったそうです。


駅名板は新たに設置したそうです。
これが国道からよく見えるので、観光客もいっぱい立ち寄ってくれるそうです。

士幌線跡は、単に景色や廃墟の美しさだけでなく、日本の将来についてもそこはかとなく警鐘を鳴らしているような気がしました。
人がいなくなるというのが、何をもたらすのか・・・。

ただの景色の美しさだけでなく、そこに考えさせられる大きな歴史の歩みがあることを知りました。
多くの人がここに魅せられて、移住したり、毎年通う人がいるのも分かる気がしました。
また道東に来た際には訪れてみたい。

 
帰り道にも数多くのアーチ橋が車窓から見えました。
遊歩道にもなっているらしいですが、もう少し季節が進まないと散策は難しいかな・・・。
実は足元は結構雪が残っていてぬかるみも多く、また結構寒いんです。
タウシュベツ以外はまだ構造的に大丈夫そうなので(^^;、また来ます。

 
大満足のうちにツアーが終了して、クルマで少し移動したところの鉄道資料館へ。
ここはかつて糠平駅だった跡で、士幌線の資料が展示されています。
貴重な前面展望ビデオなども残されており、熱心なマニアがいたもんだと(笑)
当時ハンディカムとか無いですから、よく撮ってあったものだと思います。


この動輪は・・・スポークやウェイトからすると9600型の第4動輪かな?


ヨが一両だけ保存されています。
材木を載せたチキとかも保存されてたら、より良かったんですけどね。


糠平のGWは、ひっそりと静かな冬の1日でした・・・。
昨日おとといは吹雪で大変だったそうで。
まだまだ春は遠い、北海道の5月でした。

そろそろ特急の時間も気になるので、帯広へ帰ろう。
たっぷり1日を用意しましたが、糠平温泉に泊まってもう1日欲しいくらいでした。
また季節を変えて、ぜひとも訪れてみたい。


帰りがけに、タウシュベツ橋梁を湖底に沈めた、糠平ダムを見学。
こちらもやはり厳しい自然環境で、老朽化が見て取れます。


糠平ダムは発電ダムだそうで、満水まで貯めた水を一冬かけて少しずつ発電に使うそう。
今年は暖冬で雪が少ないので、貯水量がちょっと心配とか。


このはるか奥に、タウシュベツ橋梁があります。
肉眼では見えません。


糠平ダムの正面側から。こちらは糠平温泉に行く途中の橋から見渡せます。
もっと降水量があればガンガン発電できるんでしょうけど、冬は湖が凍り付きますし、北海道は梅雨がなくて夏もそれほど雨が降りませんし、難しいところですね。


今回はクマとの遭遇は避けられました。目撃しただけです(^^;
士幌線の廃線跡探訪、また来る日が楽しみです。

 
帯広に戻り、レンタカーを返却して帯広駅へ。気温は10度ほどです。
うちの地元横浜より帯広の方がガソリンが安かった・・・

帯広から、特急スーパーおおぞら10号に乗って札幌を目指します。


おなじみキハ283系。GWの最中ですが、自由席は空いてました。
さて、昨日も気になった揺れ具合、今日の車両はどうだろう。

 
結果、あまり変わらないや(^^;
ミシミシバリバリ、よく揺れます。本当に無茶なくらい飛ばします。

確か130km/h運転を止めて110km/hに減速したんじゃなかったっけ・・・。
レールの刻み音では、120km/hくらい出てる気がするんですが・・・。
速くて爽快というより、やっぱり少し怖いです。。


十勝平野をぶっ飛ばし、日高山脈が車窓を流れていきます。

 
新得を出て、列車は狩勝峠を越えて石勝線へ。
トマムで、食料品を詰めたスーパー袋を下げた外国人が数名下車。
そうか、トマムって食料品店とか無いから、特急で新得まで買い出しに行くんだな・・・。
リゾート地に住むのも楽じゃありません。。


トマムを出て、暗闇を疾走。
占冠を通過してしばらく走行していたところ・・・

突然ドンという振動のあと、急にエンジンがアイドルになり、常用最大で急ブレーキ!
ガガガガッと停止して、そのまま暗闇の中で沈黙。何があった?

「ただいま、鹿と思われる野生動物と衝突しました。車両の状態を確認しております・・・」
「ただいまの急ブレーキでお怪我をされた方がいましたら、乗務員におしらせください」
慌ただしく車掌が車内を行き来して、対応に追われている様子。

嫌な予感はしました。
これだけの高速運転、動物が線路にいたらまず間に合わないだろう・・・。
それでも高速運転を止めるわけにはいかない。これもJR北海道の厳しい現実です。
北海道の特急は前面が屈強に作られているので、シカ程度では壊れません。

とはいえ、シカを撥ねてお命一つ頂戴してしまった、重苦しい空気が流れます。
車両は無事ですとのことですが、気持ちのいいものではありません。
20分ほどで点検が終了、再びエンジン全開で闇夜の石勝線を爆走します。

 
このまま20分遅れで運転を続け、空港最寄りの南千歳で大勢の客を降ろして、20時35分頃、終着の札幌駅に到着。
さっそく運転士と車掌が前頭部分を確認しているのを覗くと、シカの肉片が・・・。
高速運転の陰で、可哀想なことをしました。

こういう衝突は珍しく無いそうで、列車に鹿笛を装備したり、いろいろ策は練っているそうですが、効果は今ひとつのようです。
シカは目の前に危険が迫っても、すぐに逃げようとしない性質があると聞いたことがあります。
JR北海道が戦っているものは、経営や厳寒だけではないのです・・・。


さて、またしてもせわしない札幌滞在(^^;
本当なら1時間弱の時間を利用してJRタワーの展望台に登ってみようと思ってましたが、特急の遅れでまたしてもお預け。。


もうすぐにバスターミナルからバスが出ます。
今日はこれから高速バスで苫小牧のフェリーターミナルに向かわないといけません。
せわしないですが、また来るよ札幌!

 
中央バス、21時発の最終「高速とまこまい号」はすでに長蛇の列。
なんとか乗り込めましたが、乗せきれずに満席で積み残しが発生。
増発便が出るようです。なんとそのほとんどがフェリー客。
「なかよしきっぷ」が安いので利用者が多いようで、意外にも知名度のある切符なんですね。


ちなみにこれがその「なかよしきっぷ」。
ゆるい名前の切符ですが、札幌〜苫小牧の高速バスとフェリー二等、盛岡行きの場合は八戸〜盛岡の高速バスがセットになったチケットで、八戸の場合は5400円と格安。
札幌を夜9時に出て八戸市内に朝8時頃に出られるので、大変便利です。
利用者が多いのも頷けます。


たまたま最前席になってラッキーですが、隣にラグビー選手並みの大柄男性に座られて、窒息しそうなほど狭いんですけど・・・。

 
途中で大谷地のバスターミナルだけでなく、途中のバス停でも乗車があり、こまめに乗せて(乗れないから増発便へ案内して)札幌南ICから道央自動車道へ。
地味に北海道の高速道路はこれが初めてです。


深夜の苫小牧駅前で数人の客を降ろし、ほぼ満席のままフェリーターミナルへ。

 
苫小牧駅から西港フェリーターミナルまでは15分ほどです。
時刻は23時近く。かなり寒いです。。


西港フェリーターミナルに着きました。
ここは大洗行き、八戸行き、仙台・名古屋行きなど数多くの航路が発着しています。
大阪南港と並ぶ、国内有数の規模を持つフェリーターミナルです。

ちなみに、新日本海フェリーの秋田・新潟・敦賀行きはここではありません。
東港(周文埠頭)フェリーターミナルですのでご注意を!

 
川崎近海汽船(シルバーフェリー)の窓口で乗船手続き。
手書きで乗船名簿を記入しないといけないうえ、支払いはクレジットカード不可!
これで慌てている乗客を何人か見かけました。

自分の場合は「なかよしきっぷ」の購入で中央バス窓口で現金で支払ったため、ここでは二等寝台への等級変更料金のみ。
中央バス窓口での支払いはカードが使えるんだろうか。
トラックとかも毎回現金で払ってるんだろうか。

大きな会社なのに、今どきカード決済できないなんて・・・。
この会社大丈夫か?と一瞬思ってしまった。

 
さて、ともかくも乗船口へ行き、シルバークイーンに乗船!
二等寝台に収まります。

 
今日は二段ベッドの下段が当たりました。やはり下段だと楽チンです。
そしてシルバークイーンの二等寝台は、コンセントあり!
スマホ等の充電も可能です。これはうれしい。


シルバークイーンは中型のフェリーで、船内設備もコンパクト。
旅客設備は実質2デッキです。


ロビーと売店。必要なものは一通り売っています。
この航路は深夜〜朝か、夜〜早朝なので、シンプルに寝るだけといった感じ。
運賃がリーズナブルなのもわかる気がします。
鉄道で言えば、ブルートレインではなくムーンライトみたいな位置付けですね。


午前23時59分、苫小牧港を出港です。しばし北海道とお別れです。
深夜なので人はほとんどいませんが、工場夜景が綺麗です。


美しい夜景に、しばし撮影を楽しむ。
ただ深夜の苫小牧は寒い。しかも太平洋からの海風が吹き付ける!
早々に船室に戻って、早めに寝ることにします・・・。
今日は海も穏やかで天気予報も波は穏やか。快適な一夜が過ごせそうです。

 
船内にはちょっとした食堂もあります。
食堂といっても食べ物はセルフの自販機スタイル。
以前はSAでも見ましたが、フェリー以外では最近あまり見かけないですよね〜。


とりあえずたこ焼きでも買ってみましたが、なかなか謎な物体(^^;
いわゆる三等船客フードなのであります。
嫌いじゃないよ、このグレード(笑)


今日はタウシュベツ川橋梁から、特急が鹿と衝突して、23時59分にフェリーと盛りだくさんな1日でした。日記も気がつけば昨日以上の長編に。

普通ならこれでもうお腹いっぱいなのですが・・・
まだまだ旅は続きます。ここからは本来のお題、フェリージグザグ旅です。
今乗っているフェリーで、明日は本州青森の八戸港に上陸。
そこからJR八戸線〜青い森鉄道〜JR大湊線で下北へ向かいます。
下北から下北交通のバスに乗り、大畑を経てマグロで有名な大間へ!
大間からフェリー大函丸に乗って再び北海道へ渡り、明日は函館まで行きます。