今亀庵さん
統計的に見て長期的にもっともリターンが大きいのは、『小型成長株』への投資
『来期の売上高の変化率が+15%以上』といった条件にスクリーニング
時代性や景気、金利などを考慮し、『今ならこの業種が有望そうだ』とあらかじめイメージ
売上高の変化率とPERの関係、いわゆる『PEG(ペグ)レシオ』
PEGレシオは成長率を加味して株価の割安度合いを測る株価指標で、通常PER÷利益成長率で求める。一般的に「1倍以下なら割安、2倍以上ならば割高」とされる
財務状況や決算書を見て、借入金があるけど、キャッシュがそれ以上にあるから大丈夫だろうとか、社長が大株主に入っているからモチベーションも高いだろうとか、そうやって確認
金融市場全体を知る必要がある
「株価が上がるかどうか、結局は大きな資金の流れなんですね。世界の年金基金であるとか機関投資家の資金がどこに向かっているのかを知る必要があります。資金が向かう先は3つだけ。株式市場、債券、不動産です。お金はこの3つの間で循環しています。お金が株式市場に向かっているかどうかを知る上で、金利はどうか、インフレ率はどうかと見ることが大切なんです」

「現状を材料に考えてみましょう。日本の国債金利はほとんどゼロです。一方で株式市場はどうか。日経平均採用銘柄全体のPERは15倍前後です。ということは、『益回り』は――」

PERは株価を1株あたりの利益で割った指標であり、益回りはPERの逆数(1÷PER)だ。

「PER15倍なら益回りは約6.7%(=1/15)です。日経平均という企業に投資していれば毎年約7%の利益を稼いでくれるだろう、ということになります。金利がほぼゼロの債券に投資するより、約7%稼いでくれ、それとともに株価上昇が期待できる株に投資しますよね。アメリカは利上げに動き出したとはいえ、今はまだ世界的に低金利ですから債券から株へと資金が入ってくる段階だと考えています」

でも、今亀庵さんは「株、債券、不動産の3つで資金が循環する」と話していた。不動産についてはどう考えればいいのか。

「不動産も株と同じ『リスク資産』なので、同じ方向に動きやすい。ただ、株よりも少し遅れて上がるのが不動産の特徴です」


かぶ1000さん
グレアム流にアレンジを加え、現金や有価証券など流動性の高い資産から負債を引いた金額が時価総額よりも多ければ「かぶ1000流ネットネット株」だ。ネットネット株かどうかは決算短信と電卓があれば、すぐ判定できる。

(A)現金及び預金+受取手形及び売掛金+有価証券+投資有価証券
(B)貸倒引当金+負債合計
(A)−(B)=正味流動資産
「正味流動資産>時価総額」ならば、かぶ1000流ネットネット株

しかし、ネットネット株には「罠」もあった。ネットネット株となるような銘柄は超割安といえる。超がつくほど割安な状態で放置されるということは「社名が知られていない」「業界が成熟しており成長性に乏しい」「一族経営で浮動株(市場で流通する可能性が高い株式)が少ない」など、何らかの理由がある。
「そうであれば市場参加者の注目を集めさせる材料(カタリスト)の有無も重要です」
カタリストとして考えられるのは、地方の証券取引所から東証への市場変更、株主優待の新設、TOB(株式公開買い付け)などだ。

「まずは四季報で会社の概要を見る。これで会社のことを20%は理解できると思っています。気になる会社なら、その会社のサービスや商品を実際に利用してみる。これでプラス10%。さらにホームページで有価証券報告書を過去15年分さかのぼって目を通します」

有価証券報告書とは、投資家向けに企業が開示する書類。損益計算書や貸借対照表などの財務諸表などが含まれている。

「この“有報”を15年さかのぼれば、いい時期も悪い時期もある。リーマンショックのようなことがあって、その間に企業の業績がどう移ろったのか、おおよそ理解できます。ここまでやることで企業への理解度を80%まで高められると考えています」

過去15年というと楽な作業ではないだろうが、大切な資金を託すのだから、そのくらいの努力は必要なのだろう。

「80%まで理解していれば投資判断をくだすのに十分でしょう。残り20%は株主総会に出席したり、IR(株主や投資家に対する広報活動)の部門へ電話したりと、会社と直接触れ合わないと理解できない部分です。僕の場合、そこまでして理解しようとするような会社はすでに株を買っていることが多く、さらに買い増すかどうかの判断に使うというイメージですね」


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TDネットを毎日朝から晩まで見続けて、手元の50万円を5年で20億円にした人がいる
「こういう情報なら株価は上がる」「こういう情報なら株価は下がる」ということをインプットしつづけた。「この情報はすごいから株価が上がるはずなのに、市場に反映されていない」というときがある。そういうときに投資をして、バーンと上がったらまた売るということを繰り返し続けて、20億円にした。誰も見ていないような小さい会社の、すぐには株価に反映されないような情報をチェックして、何倍にもなったときに売るということをやりつづけた。