2006年10月14日

クローン猫のGenetic Savingsが廃業

こういう商売があることを、そういえばどこかで耳にしたような記憶がありました。

気になることがひとつ。普通、健常なクローンを一体生み出すためには、その何倍もの失敗を生み出すことになるわけですが、クローン猫を欲しがるお客さんはそれに耐えられるのでしょうか? 「あなたの猫と同じ遺伝子を持ったたくさんの猫を、生まれながらの障害などをつけて誕生させ、死に至らしめます。でも健常な猫も一匹生まれます。その猫はあなたに差し上げます。」というサービス(?)だとしたら、かなりの人が嫌がるのではないでしょうか。

・・・と疑問を呈するだけでは能がないし、自分の勘違いということもありそうなので当のGenetic Savings社のホームページを訪れてみると、倫理問題を扱ったセクションにかなりの量が割かれており、
Journal of Applied Animal Welfare Scienceというどうやら専門の学術誌から論文や会談の内容がいくつか掲載されていました。論文は互いに異なる意見を述べているもので、単にクローン賛成派の意見だけを伝えているわけではないので、フェアーな感じがします。


ジョンスホプキンス大学のHilary Bok博士による"Cloning Companion Animals Is Wrong"という論文にちらっと目を通してみると、実際同じような問題が指摘されていました。

(ただしJournal of Applied Animal Welfare Science, Volume 5, Number 3, 2002とあるので、2002年の段階の技術で、現在のクローン技術の水準にそのままあてはまるのかどうか、Genetic Savings社のサービスにどの位あてはまるのか、ということまではわかりません。)

論文中では、賛成派のホーソン氏(Genetic Savings社の最高経営責任者)の議論を吟味・反駁していて、ホーソン氏もクローン生成が多くのリスクを伴っていること、それが非常に大きな問題だと認めていることに触れています。ホーソン氏は20%ほどのクローンの妊娠が流産、早期の死亡、後の健康上の問題などに見舞われることになるとしているそうです。それについてBok氏の反論では、ホーソン氏の見積もりは楽観的過ぎで、国立科学アカデミーが2002年に出した調査結果では242件の牛のクローンの妊娠のうち、174件が流産に終わっていることなどを指摘しています。

ただ、その雑誌の同じ号に掲載されているHawthorne's Rebuttalを見てみると、そのような統計も必ずしも信頼できるものではないとホーソン氏は主張しています。クローンを試みる人の中には野心的な大学院生もいれば経験を積んだ研究者もおり、クローニングの具体的なテクニックにもいろいろなものがあるので、それらをいっしょくたにして集計したものはGenetic Savings社のクローニングの成功率を考える上ではあまり参考にならない数字ということのようです。同社が用いているのは安全性の高いテクニックである、とも主張しています。クローニング業界の先端を行くAdvanced Cell Technology社は、最近の報告の中で国立科学アカデミーの倍の成功率を実現できると述べたことも言及しています。

tmの感触としては、国立科学アカデミーの集計の倍の成功率というのは少しもほめられたものではないと思います。でも、成功率が80%ということなら、人によっては十分安全だと考えるかも知れません。




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(18:39)

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