2006年10月19日

NPO法人は、正式には特定非営利活動法人と呼ばれるもので、「特定」の「非営利活動」を行う「法人」のことを指しています。ちなみに、NPO法人の制度を導入した法律は「特定非営利活動促進法」というものです。

非営利活動なら何でもいいというわけではなく、「特定」の範囲は法律である程度具体的に定められています。17種類の活動分野が指定されていて、それらのいずれか(複数でも可)の分野で活動する団体は、NPO法人となることができますが、そうでなければNPO法人にはなれません。

当初は12種類だったものを後に17種類に増やしたのですが、その時の解説がこちらのページにあります。17の活動分野のリストも載っています。

ここには動物保護や動物愛護といった活動分野は挙がっていません。
じゃあ、動物愛護を中心にしているNPO法人はどうしているのかというと、動物愛護では通らないので、関連のあるほかの活動分野にあてはめてやっています。


フリー募金の寄付先になっている団体を思いつくままに見てみると、
・「ねこだすけ」>3 まちづくりの推進を図る活動、7 地域安全活動、17 前各号の掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動
・「アニマル・レフュージ関西」>2 社会教育の推進を図る活動、17 前各号の掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動
・「アニマルメリーランド」>2 社会教育の推進を図る活動、5 環境の保全を図る活動
・「どうぶつたちの病院」2 社会教育の推進を図る活動、3 まちづくりの推進を図る活動、4 学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動、
5 環境の保全を図る活動、9 国際協力の活動、11 子どもの健全育成を図る活動、17 前各号の掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動
・「動物たちを守る会ケルビム」2 社会教育の推進を図る活動、5 環境の保全を図る活動、17 前各号の掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動

野良犬や野良猫を扱うのであればまちづくりや地域の安全につながる面があるでしょうし、動物の命やペットと人間の関係について人々の考えを深めるような啓発活動を行うなら社会教育になるだろうと思います。野生動物の保護や放棄されたペットが生態系に及ぼす影響の抑制などは環境の保全に相当するのではないかと思います。

ですが、最近の広島ドッグぱーくの崩壊について考えてみると、犬たちが人里離れた施設で餓死しても地域の安全やまちの景観や人々の暮らしに影響するわけではないですし、その犬たちを救助する活動が社会教育や環境保全にあたるかというと、あたらないような気もします。定義の仕方によるので断言できるわけではありませんが。

NPO法人は、「特定」分野の非営利活動しか営んではいけないわけではなく、それ以外の活動を行うことも認められていますが、そうした事業に費やす費用が全支出の半分を超えてはいけないとされています。ですが、犬猫の保護・一時預かり・里親探しのような活動のどこからどこまでが社会教育やまちづくりなど「特定」分野にあてはまる活動で、どこからがあてはまらないのかを考えなければいけないというのは面倒なことです。よほどひどいケースでなければそれでNPO法人がNPO法人としての地位を取り消されるといったことはないかも知れませんが、動物愛護や動物と人間・社会の良好な関係の構築、といった活動分野が「特定」分野のひとつとして認められていれば、避けられる面倒だと思います。

また、NPO法人の税制上の扱いについてはいろいろ議論があるようですが、「本来事業の所得は非課税とすべき」というような意見を見ることがあります。NPO法人が、法人としての目的である「特定」分野の活動を営んでいる分については、税金をかけないようにしようというものです。こういう措置は今のところ導入されていませんが、もし実現することがあれば、やはり「動物愛護」のようなものが特定分野のひとつに指定されているかどうかが大きな影響を持ってくると思います。

また、NPO法人の中でも公益性が高いことなど一定の条件を満たしたものは「認定NPO法人」になることができ、この認定NPO法人には通常なら税金がかかる事業収益の一部を、課税対象でなくすことができる制度があります。(いわゆるみなし寄付制度)NPO法人が収益事業(典型的なところではバザーによる資金調達)をした場合、その事業の収益には税金がかかりますが、収益を収益事業でない事業に使えば、一定割合までは税金の対象でなくなります。ここで、「収益事業でない事業」というのが何でもいいのか、それともその団体の目的である特定非営利活動に該当する事業なのか、という点がよくわからないのですが、後者である場合には、やはり特定非営利活動に相当しない活動に多くのお金を割く動物愛護団体などはたとえばまちづくりに相当しそうなノラネコ保護だけを行う動物愛護団体に比べて税負担が重くなることになりそうです。

ちなみに、これは特に動物愛護の問題に限らず、特定非営利活動の分野として指定されていないもの全般についてあてはまる話だと思います。指定されていれば、指定されていない状況に比べると、税金の負担が少なくなるのは同じなので。ですが、17分野はかなり広く、様々な社会奉仕活動や慈善活動の大半はこのどれかひとつかそれ以上にあてはまるような気がします。動物愛護は、動物愛護法が施行されたり、フリー募金に関わっている人の関心事になることが多い割には、どうもぴったり収まる居場所がないようで、少し例外的な気がしました。



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(10:44)

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この記事へのコメント

1. Posted by キティ   2006年10月19日 15:35
知ってる人には当然のことですが、誤解されがちなんで一応かいておきますね
「非営利」ってのは「出資者が儲けない」ってことで、「ボランティア」って意味じゃないです(株式会社は株主が儲かる仕組み)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%89%B9%E5%AE%9A%E9%9D%9E%E5%96%B6%E5%88%A9%E6%B4%BB%E5%8B%95%E6%B3%95%E4%BA%BA


あと、認定NPO名簿おいておきますね
http://www.nta.go.jp/category/npo/04/01.htm
2. Posted by tm   2006年10月19日 21:20
わざわざこんな辺境ブログにコメントして下さってありがとうございます。(汗

社会奉仕活動や慈善事業っていう書き方はちょっと紛らわしかったでしょうかね。

3. Posted by キティ   2006年10月19日 22:23
tmさんはわかってるだろうけど、
『「特定」の「非営利活動」を行う「法人」』ってのは、
『「法で定めた」「利益再配分のない(出資者が儲けない)活動」をしている法人』ってことです。
ちなみに、学校法人や財団法人、社会福祉法人や医療法人なんかも非営利です(公共性の高いやつですね)。
つまり、公共性が高いから法人格を与えたいけど(法人格があると取引がスムーズにできる)、○○法人って言う名称が増えすぎても困るから、「特定非営利活動法人」で一括りにしてしまおう、と。

法律の用語ってめんどくさいよね('A`)

社会奉仕活動や慈善事業の場合はむしろ社会福祉法人の方が近い気がしますね。


<以下、独り言>
つか、個人的には昔から日本のNPO制度は嫌いなんですけどね。
893が隠れ蓑にしたり、行政が三セク代わりにNPO作って下請けやさせたり、そろばん教室や手芸教室をNPOにしたり、そりゃNPOのイメージ悪くなるわw
4. Posted by tm   2006年10月20日 01:22
またまたありがとうございます。^^

今度いろいろお話を伺ってもいいですか。^^

考えてみたら紛らわしいのは、特定非営利活動法人でも、収益事業(金儲け)をしてもいい、というところですね。今はそういうものだと思うようになりましたし、考えてみればその方がいいとも思うのですが、素人としては必ずしもわかりやすいところではなかったです。

支出の半分を非営利活動に、というのが現在の運用指針か何かにあるようですが、そうすると、収益事業でたくさん儲けて、役員や会員はその半分のお金でいい思いをして、一般への情報公開も最低限、というようになっていてもなかなか外部からはわかりにくいし違法にもならないようです。だからこそ税制上の特典が限られているのかな、と思います。
5. Posted by tm   2006年10月20日 01:22

公益法人は確かに海千山千の世界という感じがしますね。ひとつの原因は所轄官庁の権益争いに使われたこと、それに使えるような裁量権が法人の設置に関して官庁に認められていたことだということのようですね。

NPO法人は認証制になっていますから、所轄である地方公共団体や政府の裁量が及ぶ部分が少ない分、そういうことは起こりにくそうに思えます。でも、逆にどんな団体でも要件さえ満たせばNPO法人になれてしまうわけで、それはそれで得体が知れない団体を生み出すことになっている気がします。

政府の判断に頼ってもだめ、政府の判断が入らないようにしてもだめ、で結局ジャーナリストとか一般市民とかが監視をしないとだめということなんでしょうかね。一素人としては財務諸表を読むのも大変なんですが。

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