2006年10月28日

多数の犬を所有している人が、財政的その他の理由で飼えなくなってしまった場合、できる限りの食糧をあげて劣悪な環境下で生き延びさせることと、殺してしまうことと、2つの選択肢がすぐに思い浮かぶように思います。これらはいずれも「虐待」にあたるのでしょうか? それとも、長い間犬を苦しめる前者は虐待にあたるけれども、後者は、できるだけ苦痛の少ない方法で殺すのであれば、虐待にあたらないということになるでしょうか?

業者だけではなく、災害や家族の急死、失業や転勤、病気による急な出費などペットを飼えなくなる事情は典型的な家庭を想定してもいろいろ考えられます。

広島ドッグぱーくの件について考えていて時々気になる点のひとつです。

現実には、この2つの選択肢しかないとは限らず、例えば経営上の工夫によって解決することもできるでしょう。それからもうひとつ、ボランティアの協力を得て問題を解決できるという可能性もあると思います。


こうした可能性が明らかにある場合は、それを試みることなく犬を殺したり飢えさせたりすることは虐待にあたるのでは? という気もします。でも、正直よくわかりません。究極的には殺すことに合理性があるかどうか、社会通念上許容範囲内かという判断を裁判所が行うことになるのだろうという気がします。虐待の定義を明確にしようという動きが先の動物愛護法改正に先立ってあったようですが、それがあったら違ったのでしょうか? ちょっとよくわかりません。

広島ドッグぱーくの件では、ボランティアが協力を申し出たのに断っていたことがあったようで、何故そんなことをしたのか、それが犬たちを救うためだったのか、ということが気になります。

ビジネスには失敗や倒産がつきものです。特定の動物をあつかうビジネスには、より厳しい責任を負わせるべきなのでしょうか? それは結果として業界を小さくすることになります。

動物愛護家の中にはそもそもペットがビジネスによって扱われていること自体に反対の方が多いと思いますから、それでいいという意見もあるでしょう。

ですが、倒産して犬猫の命が犠牲になるのもやむをえない、それは現代の日本社会のあり方として突出して許容しがたい事態とは言えない、という考え方もあると思います。そもそも動物愛護なんて欺瞞だという意見もありますし、動物より人間の問題が優先、今のところ倒産時の犬猫の命どうこうに時間や労力を割く価値はない、という声もあるでしょう。

社会通念上、殺すことには飢えさせることほど問題がないということであれば、飢えさせるよりは殺す方が、動物の所有者としては責任を問われにくいことになるような気がします。

そういえば、今の法律の下では、引越しに際しては、犬を放棄するよりも保健所に持ち込んで殺してもらう方が、飼い主としての責任を果たしたことになるような気もします。



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(17:39)

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この記事へのコメント

1. Posted by koy   2006年10月28日 19:07
>倒産して犬猫の命が犠牲になるのもやむをえない
>それは現代の日本社会のあり方として突出して許容しがたい事態とは言えない

ヒトが最優先であることは当然です。でも犬猫を粗末にして良い事にはならないです。経済的に破綻すれば飼養できなくなるのは個人のペットでも同じですが、それならば新たな飼主探しに尽力すべき。手を尽くした上で仕方なく安楽死という事なら理解できます
2. Posted by tm   2006年10月29日 03:40
koyさんこんにちは!^^ コメントありがとうございます。

犬猫の命なんか別にどうでもいい、と思っている人もいるんじゃないかなと思うんですよね。
「手を尽くす」責任をどのくらいだと考えるかは人によって違うと思いますが、動物愛護の活動をしている方は、自分が捨てたわけでもない一匹の命のために何時間、何十時間の時間と私財をはたいて、数千円、数万円分を費やしているわけです。でも、一匹につき500円分の努力をすれば十分で、1時間かけて里親探しをやって何も見つからなかったらそれ以上の責任はないだろう、それよりペット業界が繁栄して経済に貢献する方がずーっと大切、という風に軽く見る人もいると思います。環境省も犬猫の命はいいから公害とか地球温暖化とか、エネルギー資源問題とか、他のことをやれ、とか。

いろいろな人がいるなかで、社会通念上許容されるレベルの動物の扱いというのはどういうレベルなんでしょうね。
3. Posted by koy   2006年10月29日 23:30
世の中にはヒトの命も、どうでもいいと考える人が居ますからね。戦争して景気が良くなれば良いやみたいな
動物福祉という考えを紹介します
http://www.pri.kyoto-u.ac.jp/koudou-shinkei/shikou/enrichment/what/pub001.html
4. Posted by tm   2006年10月30日 13:23
>ヒトの命も、どうでもいいと考える人が居ますからね。

確かにそうですね・・・忘れてました。

動物福祉にあるエンリッチメントという言葉は、オランウータンが好きなせいか知っていましたけど、この人はチンパンジーの専門家なんですね。

この動物福祉の考え方は、「動物愛護、生命尊重の矛盾」のエントリーに書いたことに深く関わっていますね。

少し見て回ったところでは
http://www.human.nagoya-u.ac.jp/~iseda/works/animalwelfare2.html
もよかったです。

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