2006年10月30日

営利企業に市場競争があることは意識されていますが、非営利団体の世界にも競争があるように思います。

寄付によって成り立っている部分が大きければ、名前が売れることや多くの人に魅力的に映る事業を手がけていること、あるいはわかりやすい業績をあげることなどが重要になると思います。

政府や他の団体の助成金の獲得に際しても競争があります。

ボランティアの奪い合いもあるでしょう。

こうした競争は、一面では、似たような事業を手がける団体どうしがお互いに工夫をこらしたり真剣な努力をしたりする動機になると思うので、効率的な事業や組織運営の牽引力になると思います。

ただ、同じ分野で活動する組織が競争関係にあると、お互いを妨害したり、有限の資源の奪い合いにエネルギーを費やして本業がおろそかになったり、いろいろ非効率も生まれると思います。それから、「目立たないところで手を抜く」とか、効率を重視するために仕事の質が落ちるなんていうこともきっとあると思います。(たとえば、犬猫を少しでもたくさん救出するために、犬猫一匹あたりにかけるお金を最小限に抑えて、結果として彼らに苦しみを与えてしまうとか、もっとひどいところでは大規模な植林を実施するというところにだけ集中して、枯れてしまう確率は高いけれども安価で扱いやすい木を大量に植えるとか。)

競争と協調、どういう場面でどちらがどういいのか、tmにはわかりませんが、とりあえずここでは競争のもたらす利益のことだけを考えます。

いわゆる特殊法人改革は、政府の無駄を減らすために是非実施するべき部分ですが、特殊法人の統廃合という話を聞くたびに、ひとつの事業を担当する組織がひとつだけになったら競争原理が働かなくなるのでは・・・? と気になります。

また、競争原理がうまく働くために必要になるのは、徹底的な情報公開と、複数の組織や事業を比較しやすい環境だと思います。情報がないと、どの団体が効率的なのかがわかりづらくなります。情報があっても、その団体の事務所や役所に行って見せてもらわないといけないようだと、ジャーナリストや研究者のような人でもなければわざわざ時間を費やして調べることはしないでしょう。でも、ウェブサイトがあって手軽にデータベースを検索できる位になっていたら、使ってみようと思う人はずっと増えると思います。

Charity Navigator
というサイトがあります。
アメリカの非営利団体の評価をしている民間のサイトです。評価に際して重要になるのが、税務書類です。税務書類を入手して財務状況を分析、類似の事業を手がけている団体と比べるとどうか、という比較もします。
Better Business Bureauという団体もGive.org というサイトで似たようなことをやっています。

日本でこれに近いものとしてtmが知っているのは、NPO広場のNPO法人検索と、内閣府のNPO公式ホームページから行けるNPOポータルの2つです。

これらは、そもそもNPO法人だけを扱っていて寄付先としてより多いと思われる財団法人や社団法人を扱っていません。また評価や点数などはついていませんし、検索がとても遅いという欠点があります。更に、NPO広場のデータベースは、事業分野や設立目的などは場合によってはわかる、事業報告書や収支計算書などはそもそも公開されていない、という大きな限界があります。もちろん、NPOは地元に根ざして活動し、地元の顔見知りなどのつながりを通じて活動資金を調達するようなものもあるでしょうから、全ての団体がこうしたデータベースで情報検索できるようになっていなくてもよいのかも知れませんが。政府が最近構築したNPOポータルの方は、団体によっては数年分の事業報告書や収支計算書などが見られるようになっていて、勉強や調査には便利です。これがもっと充実して、更に専門家による分析が加わればいいなと思わされます。ちなみに、上に紹介したアメリカのサイトでは、お金の使い道は事業費(組織の目的を達成するための活動)か管理費(職員や役員の給料、事務所の家賃など)か募金キャンペーン費か、という点に注目しています。お金を集めるために広告をあちこちに出したり、チラシを作成したりすれば結局寄付で集めたお金がその組織の存続のために使われて、本来の目的(自然環境保護とか国際交流とか)に使われなくなり、効率の悪い組織だということになります。

財団法人や社団法人の中には、日本ではそもそも情報開示を拒んでいる非営利団体があるようです。こういう透明性を欠いた組織にはどうせ寄付が集まらないからまあいいだろうと思っていると、実は政府の事業委託先だったりするようなので、結局不特定多数の国民から税金をもらっていることになります。果たしてそれが望ましいことなのか、少なからず疑問に思います。政府側にきちんとした監視メカニズムがあるなら、何かの特別な事情があって情報を公開できない場合があるのもやむを得ないかも知れません。ですが、監督官庁の天下り先になっているので癒着している、なんていう話を聞くと監視メカニズムが有効に機能しているかどうかも誰かが監視した方がよさそうだ、特殊法人改革もどんどん進めて欲しいと思わされます。

ただ、統廃合をして重複をなくすだけではなくて、似たような事業を行う組織を残しておいて、競争入札などの仕組みを通じてお互いに競争させるのもいいのでは、と思います。




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(13:48)

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