トランジスタ経営コンサルタントのメルマガコラム

中小企業経営・経理お役立ちマガジン

売上の減少や得意先の倒産による売掛金の回収不能などにより、資金繰りが悪化し、
銀行からの借入金の返済が苦しくなった場合には、早急にリスケ申請を行いましょう。
 
リスケ(リスケジュール)とは、金融機関からの借入金の返済条件を変更してもらう
ことを言います。金融機関と交渉して、「元本の返済をある一定期間停止してもらって、
金利のみの支払いにしてもらったり」、「支払い回数を増やし、月々の返済額を減ら
してもらったり」します。
 
リスケに応じてもらうことで、月々の返済額を減らしてもらい、その間に経営改善に
取り組み、経営立て直しを図ります。
 
本年3月末で中小企業等金融円滑化法(モラトリアム法)も終了しましたが、その後も
金融庁の要請により、金融機関の多くは返済猶予に対して、今まで通りの対応を
基本としているようです。しかしもちろん、中小企業等金融円滑化法施行時よりは
厳しくなっているようです。
 
とは言え、倒産危機の回避として、まずはリスケが大変有効な手段となります。
資金繰りが厳しくなってきた場合、諦めずにリスケ申請を行いましょう。
 

■リスケ申請の手順
 
1.事前に金融機関の担当者に訪問の約束を入れます。
2.「返済条件変更依頼書(経緯書)」を持参し、今の窮状を訴えて、
   リスケのお願いをします。 また、1週間後に経営改善計画書等を
   提出する約束をします。
3.下記「リスケ交渉に必要な最低限の書類」の2~5を1週間で作成します。
  1週間で作成など無理な方は、相談に行く前に早めに取り掛かり
  約束の1週間後には提出できるようにしてください。
  ※その際、実現可能性のある計画にすることが重要です。
    決して、売上を右肩上がりの無理な計画にしないでください。
4.金融機関に揃えた書類を提出し、説明及びお願いをします。
5.審査結果を待ちます。
   (3週間程度と余裕をみてください)

 
■リスケ申請に必要な書類(リスケ交渉に必要な最低限の書類)
 
1.返済条件変更依頼書(経緯書)
  (特に決まった形式はありません)
2.経営改善計画書
  (現状分析、改善項目とその方法、実績B/S&P/L、計画B/S&P/L等々)
3.金融機関取引一覧表
  (金額、期間、元金、利率、担保や保証の有無等々)
4.計画に対応した今後の返済計画
5.現在のまま(リスケをしない場合)の1年間の資金繰り表と
  計画に対応した(リスケを実行してもらった場合)の1年間の資金繰り表
6.決算書(直近3期分)

 
■リスケ申請をする前に
 
「経費削減」「役員報酬のカット」「人件費引き下げ」「売掛金の回収」
「資産の処分」など、できる限りの努力を行ってください。
何の努力もせずに減額だけお願いされても、承諾できるはずありません。
 
 
■リスケ申請のタイミング
 
資金ショートの1ヶ月前がタイムリミットだと思ってください。
リスケには、最低でも1ヶ月はかかります。資料作成を行なったことがなく、初めて
作成する場合など、もっとかかるかも知れません。
とにかく早い時期に取り組むことが最良です。
 

■リスケ承認後の流れ
 
リスケ交渉中必死だったはずの気持ちが、やっとこさ承認を得られると
そこで安心して、これで全て上手くいくような気持ちになるかもしれません。
リスケに応じてもらえたとしても、それは単なる応急処置に過ぎません。
根本的な問題解決はしていません。
リスケがただの延命措置で終わらない為にも、返済猶予をもらえた間に、
経営改善に取り組み、経営を立て直していくことが重要です。
 
またリスケ後は、定期的に銀行への計画実行状況の報告が必要となります。

 
私どもでは、企業状況の実態を把握し見極めた、実現可能な「経営改善計画書」を
作成します。また計画の実行、実行状況の確認、結果のチェック、計画の見直し、
計画の改善をお手伝いして、御社の状況に合わせた再生をサポートいたします。
 
「リスケ申請」から「根本的な経営改善」まで私どもプロへお任せください。
 

 

関与先でよくある滞納税金の支払いについて最近相談が多いので考察してみます。
 
消費税滞納が一番事案として相談が多く、また金額も張りますので
この件を考えてみましょう。
 
事情はそれぞれ違いますが、税務署に突然差押えなどを受けて、
初めて社長は事の重大性に気付き、慌てて相談に来ると言うケースが多いですね。
 
会社の事業規模にも依りますが、目安となるのは滞納した本税と延滞税などを
合わせて、1000万円を超えると税務署から国税局に移される可能性が高くなります。
 
税務署でも厳しく納税するように勧告を受けますし、
納付計画書の提出を求められます。
 
滞納税も14.6%と極めて高く、
担当者から「金融機関から借り入れて支払った方が安いですよ」などと言われます。
借りられないから資金繰りが苦しく支払わないのに、何を言っているのか!?と
怒りたくなりますよね。
 
また、「滞納税が安くなるには担保を提供してください」とか、
「社長様以外第三者様で、優良企業、公務員の方などお勤めの方に
連帯保証を頂けると延滞税が5%まで下がりますよ。」
などと勧められることがあります。
 
後で首が締まる可能性や、他人様にご迷惑をお掛けする事も有り得るので
あまりお勧めはしません。
 
なるべく延滞税がたまらない内に交渉しましょう。
 
税金を滞納するとけっこうキツイ処罰が待ち受けています。
この処罰とは、 「差押」 処分の事を言います。
一般的な債権者と違い、税務署は法的な手続きを踏まなくても強制執行が可能です。
「この会社はは悪質な奴だ、けしからん!!」などと思われてしまったら、
税務署の職権で 「差押」 ができます。
 
そして差押の際に、真っ先に狙われるのが「売掛金」です。
しかも、一番大口の「売掛金」から順番に狙われていきます。
 
預金や売掛金を差押えられると会社の存亡に係る場合がありますが、
差押えを解除してくれる事は正当な理由がない限りまずありません。
 
それでも、差し押さえられた場合は、資金繰り表ぐらいは作成して、
差押えを解除して分割払いにしてくれないと会社が成り立たないことを
切々と訴えてみるところから、交渉を始めるしかありません。
資金繰り表は、一旦約束したなら間違いなく支払える金額にする事が重要です。
 
税務署や国税局は、分割は一年以内しか認められないと強気の交渉をして来る
場合が殆どです。ですから基本的に年度越は受け付けません。
(なので年度末まで6か月しかなければ6か月分割となります)
応じなければ次の売掛金も差押えると脅される事も良くあります。
ですから、交渉するにはこのあたりの対策をして臨まないと
交渉にならない場合があります。
 
税金の支払いは義務ですから、少なくとも本税は全額払うべきです。
全額支払うためには、事業が存続しなければ払えません。
経営者としては、役人も馬鹿じゃないんだからそれ位解るだろう・・・と考えますが
税務署や国税局は、この辺りを考慮してくれない担当者が多くいます。
担当者によっては、口汚く罵られたりするようです。
 
例えば
「消費税はお客様から預かった税金ですよね。知ってますか?
 預かったお金は納税するのが義務です。知ってますか?
 預かった税金を経営が苦しいからと勝手に資金繰りに回して使うと泥棒です!!
 知ってますか?」
などと、平気で言い、さらに追い打ちをかけるように
「税金を払えないような会社なら潰せば?!」
ここまで酷いことを言う担当者もいるようです。
当然の事を言われているのは理解できますが、ぶん殴ってやりたくなりますよね。
 
経営者がようやく納税の重要性に気付き、今後は滞納しないと本気で反省しても、
会社の存続を考慮して差押えを解いてくれることは中々ありません。
勿論、病気で入院で連絡が取れなかった等の正当な理由があれば別です。
 
差押えが解かれず会社が倒産すれば、当然税金も回収できなくなりますし、
雇用も失われてしまいます。
何の責任もない従業員のお子様が大学進学を諦めて就職したとか、
高校進学が出来なかったお子様もいました。
 
特に国税局は、見せしめ主義の担当者が多く、
従業員のお子様の将来までは考えてくれません。
ですから経営者の反省は必要ですが、
従業員やその家族を守ることも考えなければなりません。
 
そんな事にならないために、税金を滞納したらとりあえず税務署に出向いて、
事情を説明して、待ってもらう。というのが今までの王道でした。
(資金繰り表や、支払い計画書等を用意すると交渉がスムーズにいきます。)
 
しかし、ここ最近は事情が変わってしまいました。
今までは税務署に呼び出されていたものが、
最近は税務署員が出向いてくるようになりました。
会社の内部状況を視察し、書類提示(経理データ)を求められます。
勿論、分納計画書提出は言うまでもありません。
会社が嘘をついていないか?! 分納計画書通りに実行可能な会社か、
否かを見極めるためのようです。
それほど、税金を滞納している企業が多いのでしょう。
 
また、しっかりと事情を説明しているにもかかわらず、
有無を言わず売掛金の差押をしてくる場合があるのです。
今までは、状況をきちんと説明したら待ってもらえましたよ。
 
例えば、400万円の納税金を40万円の10回の分割払いで等という条件も
以前は呑んでくれていました。
あるいは、40万円用意できない時でも、納められるだけ納め
「足りない分は○○日に持ってきます」と説明すれば
ちゃんと待ってくれたのですが、
分納を認めてもらい、たった一度だけ約束の金額に届かず本来払うべきお金の
半額を差し出したにもかかわらず、売掛金の差押をくらうケースが出てきたのです。
 
基本的に税務署は、たとえ長い時間をかけてでも、しっかり納めてくれる人に対しては、
とても前向きに協力してくれていましたので、これにはビックリしました。
事情を説明しても聞き入れてもらえず強制執行!!
資金繰りの苦しい時にこんな事されたら、一発でアウトです。
 
確かに税金を納めないのは悪い事なのかもしれませんが、
今回のケースにしても半額は納めている訳ですから、
何もそこまでしなくてもいいではありませんか、お奉行様!! と思わざるを得ません。

 
もし、あなたが税務署へ行き、交渉しても聞き入れてもらえない場合は
泣き寝入りするしかないのでしょうか?
お上のやる事には逆らえないのでしょうか・・・
 
大丈夫です、方法はあります!!
納税者支援調整官に事の経緯をすべて説明し、期間が長くなっても納めるという
意思を示せば、ちゃんと聞き入れてくれます。
そして納税者支援調整官があなたの管轄の税務署に連絡してくれ、
「あんまりキツイことするな!!」と通達してくれます。
とても心強いですよね。
 
もし、あなたが、遅れてでもちゃんと納めると訴えても聞き入れてもらえない時は、
納税者支援調整官に相談して下さい。
(国税庁のホームページに、
 地域別の連絡先が記載してありますから参考にして下さい。 )
 
例え長期の分割であっても、真面目に返済していれば必ず認めてくれる日が来ます。
それが、引いては税金の完納にも繋がるのです。
法律は人間が生きて行くためにあります。
 
本気で反省して、税金を完納する気持ちがあり、
誠心誠意お願いしても長期の分割を認めてくれないのであれば、
一時的に対立しても差押えを受けないように会社と従業員を守り、
真面目に返済を続けて行くしかありません。
 
どんな時でも諦めないで下さいね。

 

「平均課税」という制度を皆さんはご存知ですか?
 
所得税の計算は通常、課税所得金額に、超過累進税率または一定税率を
乗じて税額を算出します。
しかし、変動性の強い所得(変動所得)と臨時的に発生する所得(臨時所得)
については、例外的に「平均課税」という税負担軽減制度が設けられています。
 
例えば、現在の累進税率のもとでは、
ある年の課税所得金額400万円、翌年の課税所得金額0円の人と、
ある年の課税所得金額200万円、翌年の課税所得金額200万円の人とでは、
2年間の課税所得金額の合計が同じ400万円でも、
所得税の負担はかなり違ってきます。
 
そこでこの不均衡を調整するため、
一定の条件に該当する変動所得、臨時所得については、
「平均課税」という例外的な税額計算の方法が認められています。
 
平均課税での税の計算方法は、「5分5乗方式」といわれているもので、
変動的・臨時的に発生した所得を、5等分し、その5分の1の額に
累進課税率を適用して税額を計算し、その額を5倍するという方法で、
納税額を算出します。
 
5分の1の額に対して税率を適用するので税率が低くなり、
納税額が軽減されるということになります。
 
※5分の1の納税額になるということではありません。
 また、5年に渡って支払ってよいという意味でもありません。
  
この平均課税制度は、納税者自身がその選択をして申告をしない限り
適用が受けられない制度ですので、事前の注意が必要です。
 

■変動所得とは
 
年々の変動の著しい所得のうち、次に掲げるもの(限定列挙)をいい、
事業所得または雑所得に含まれます。
 
1.漁獲若しくはのりの採取から生じる所得
2.はまち、まだい、ひらめ、かき、うなぎ、ほたて貝若しくは
  真珠(真珠貝を含む。)の養殖から生じる所得
3.原稿若しくは作曲の報酬に係る所得
4.著作権の使用料に係る所得
 

■臨時所得とは
 
臨時に発生する所得のうち、次に掲げるもの、その他これに類する所得
(例示列挙)をいい、不動産所得、事業所得または雑所得に含まれます。
 
1.3年以上の期間、他人に不動産等を使用させることを約することにより
 一時に受ける権利金等の対価で、これらの資産の使用料の年額の
 2倍額以上であるものに係る所得
2.業務の休止等をすることになった者、または、業務用資産について
 鉱害等により被害を受けた者が、これらの事由によりその業務に係る
 3年以上の期間の不動産所得、事業所得または雑所得の補償として
 受ける補償金に係る所得
3.3年以上の期間、プロ野球選手のように、一定の者に専属して役務の提供を
 約すること等により一時に受ける契約金で、その金額がその契約による報酬の
 年額の2倍相当額以上であるものに係る所得

※限定列挙と例示列挙
 限定列挙は、列挙されたもののみを指すことをいいます。
 例示列挙は、列挙されたものは、あくまでも一例であり、
 他にも例があることになります。
 

■平均課税の適用条件
 
適用条件は、次の2つです。
1.変動所得が、その年の総所得の20%以上であること。
 ・変動所得 ÷ 総所得額 ≧ 20%
2.過去2年間に変動所得がある場合は、2年間の変動所得を合計して2で割り、
  その金額よりも(その年の変動所得が)多いこと。
 ・過去2年間に変動所得があった場合:
    その年の変動所得 > 前年と前々の変動所得の合計×50%

 
■2000万円の臨時収入があった場合
 
(通常)
 2000万円×40%(累進課税額)-2,796,000円(控除額)=5,204,000円
 
(平均課税=5分5乗方式の場合)
 2000万円÷5=400万円
 400万円×20%(累進課税額)-427,500円(控除額)=372,500円
 372,500円 ×5=1,862,500円
 
(差額)
 5,204,000円-1,862,500円=3,341,500円 ←これだけ低くなります!!
 

■変動所得や臨時所得を計算する場合の注意点
 
事業所得のうち、変動所得以外の収入がある場合は、必要経費を所得ごとに
分けて計算しなければなりません。家賃や光熱費など明確に分けることが
できない経費については、適切な基準によって按分(変動所得とその他の所得で
経費を分割)します。また、青色申告をしている場合は、控除金額を、
変動所得や臨時所得とその他の所得の金額比率で按分することになります。
 
初めて平均課税で申告する際は、納税する税務署に相談しましょう。
親切に計算方法や記入方法を教えてもらえますよ。
 

■国税庁「変動所得・臨時所得の平均課税の計算書」
 記入用紙はこちからダウンロードできます。
 
平均課税は、本人が選択して申告をしなければ適用が受けられません。
手続方法は、「変動所得・臨時所得の平均課税の計算書」へ記入して、
確定申告書に添付して税務署へ提出します。
 

 
 

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