皆様は、ロゴマークに「®」、「TM」、「SM」が付されているのを見たことはありますでしょうか。「TM」、「SM」についてはあまり見かけないと思われますが、「®」については、少なからず目にしていると思います。日本では、「®」を登録していない商標に使用したらどうなってしまうのだろう。そう考える方もいらっしゃると思います。
本日は「®」、「TM」、「SM」の規定ついて述べつつ、日本における「®」、「TM」、「SM」の取扱いについて書きたいと思います。
①「®」の規定について
「®(Registered Trademark)」は、米国商標法のSection1111にその根拠の1つがあります。つまり、「®」は、米国特許商標庁で登録されたという意味を持つとされています。®の表示もなく、単に登録されているという事実だけでは損害賠償などの請求ができないように規定されています。
②「TM」、「SM」の規定について
米国特許商標庁が発行した『Basic Facts About Trademarks』によると、誰でも商品についてのマークだと思う方は「TM」(trademark)を付し、サービス(役務)についてのマークだと思う方は「SM」(service mark)を付して、一般の人にそのような主張を知らせることができるというように記載されています。また、「TM」、「SM」を使用する際には、登録は必要ありません。つまり、特に規定はなく、誰でも商品やサービスについてのマークと思えば「TM」や「SM」を付することができますが、それ自体は権利等を保証されるものではないものであると解されます。
③日本の商標法の規定
まず、商標登録された場合、必ず商標登録番号が付与されます。登録商標を使用する場合には、それが登録商標である旨の表示を付するように努めなければならないと規定されています(商標法第73条)。つまり、必ず表示しなければならないという訳ではなく、努めれば良いということであって、表示しなくても特に罰則はありません。また、このような表示をしなかったとしても、 第三者による商標権の侵害があった場合には権利行使ができます。
意外にも、日本の商標法には「®」、「TM」、「SM」についての規定がないのです。
④日本における「®」、「TM」、「SM」の取扱い。
③で既に述べましたように、日本の商標法には特に「®」、「TM」、「SM」についての規定がありませんが、未登録の商標を使用する場合に、商標登録表示やこれと紛らわしい表示を付す行為等は禁じられており(74条)、これに違反すると刑事罰が科せられます(80条)。「®マーク」は、商標登録表示と紛らわしい表示に該当すると解されます。
弁護士・弁理士 知念 芳文
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