2006年07月09日

プロ脳2

「プロ脳」                    児玉 光雄



一流のスポーツ選手や科学者の言葉から、成功する秘訣を探り出そうとする名言集。見開きの2ページで成功者の言葉とその解説をしており、読みやすい。と同時に、深みに欠ける。

多少、楽観的すぎるきらいがある。「チャレンジし続ける限り、あなたの人生に敗北はない」という言葉などは、その典型である。こんな言葉は、日本の社会には当てはまらない。たとえば、日本の企業はまだ何回も転職をする人間を受け入れてはくれない。この本が言っていることは当たり前(どの名言集にも出ていそう)のことばかりで、しかも青臭い。この本を読んで勇気づけられるのは学生か、せいぜい30代前半までの若者だけだろう。

それでも、いくつか印象に残る言葉はある。「自分に喜びをもたらすのは感謝の気持ちのみ」というアインシュタインの言葉や、ハンマー投げの室伏広治の「集中とは余裕を持って取り組むこと」、単純作業を黙々と続けることはつらいが、才能を獲得する唯一の方法といった言葉には含蓄がある。やはり、世界の一流の人間が言うことは違う。

しかし、この本に欠けているのは、誰にでもその言葉が当てはまるわけではないという視点である。人はそれぞれ才能や環境が異なっており、すべての人に当てはまる成功の秘訣などあるわけがない。自分に合ったやりかただけを選んだり、自分なりにアレンジしてその言葉をとらえることが最も重要なことである。それができれば、こういった本からも十分な教訓を引き出すことができるだろう。


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tn581jp7 at 16:56│Comments(1)TrackBack(0) ノンフィクション 

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この記事へのコメント

1. Posted by やまいも   2006年08月30日 02:10
5 よくぞいってくれました、というようなはっきりとしたな書評でした!

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