September 2005

September 30, 2005

王の死装束

中世の王が亡くなると石綿の布に包んで火葬に付し,布の中には骨だけがきれいに残ったそうです.そうしたことからアスベストは魔法の鉱物とか,王の死装束と呼ばれていたそうです.これは以前紹介した健康帝国ナチスという本に書かれてあるのですが,アスベストによる健康被害に最初に気付き,対策を講じたのはナチス・ドイツでした.ドイツで最初にアスベストの発ガン性が疑われたのは1930年代といわれています.蒸気機関のボイラー周りの耐熱剤,スチームパイプの断熱材,車のブレーキ,屋根,床材などの建築資材として広く使用されていたそうです.ハノーバー大学の病理学者マーティン・ノルトマンは石綿症の12%に肺癌の合併が見られ,肺癌が「アスベスト労働者の職業病であることは疑いの無い事実」と結論付けました.1937年にはドイツ労働省はドイツ労働保安組合と共同で石綿症対策の小委員会を発足させ,1940年には粉塵の許容範囲と安全策を規定したガイドラインを発表した,と書かれています.昨日の関係閣僚会議で,政府は対策の遅れを認めたものの,「行政指導などで使用実態がなくなっており,実態では後れをとっていなかった」と行政の不作為を否定した,と朝日新聞は伝えています.私はこの文章の意味が全く分かりません.使用実態が無くなっていなかったことは今まで石綿が使用され続けたことからも明白ですし,今まで石綿を使用していた建物の取り壊しに特に注意が払われていなかったことも明らかです.残念ながら今の政府はナチス・ドイツの美学すら持ち合わせていないようです.

tnakadat at 20:34|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 記事,事件 

iTuneという「図書館」

アップルのiPodや,音楽配信サービスであるiTuneが好調であるのに対し,ソニーを始めとする国内メーカーは遅れを取っています.私はiTuneが生まれてきた文化的背景を考えない限り,国内メーカーはトンチンカンな製品を作り続けるだろう,と考えています.アップルのiTuneによる音楽配信は一曲当たり99セント,一アルバム当たり9ドル99セントという価格ばかりが論じられますが,収録曲数は現在200万曲に上ります.この中には最新の楽曲も含まれるのでしょうが,大半は過去に発表された楽曲であり,アルバムである筈です.つまり文字通りミュージック・ストア(音楽倉庫)であり,ミュージック・ライブラリー(音楽図書館)なのです.これはもうアメリカでは音楽の流通がヒットチャートよりも,過去の音楽に比重がかなり移っていることを示しています.続きを読む

tnakadat at 09:47|PermalinkComments(4)TrackBack(1) 音楽,CD 

阪神タイガース優勝

阪神タイガースが昨夜の巨人戦で今期の優勝を決めました.巨人の堀内監督は辞意を表明したようですが,今年のごたごたを象徴するような一戦でした.巨人の選手に全く覇気が無く,阪神の一方的な試合でした.一時は星野SDを監督に担ぎ上げようと画策したようですが,失敗.来期は原監督の再就任ということになりそうです.阪神を見ればわかるとおり,岡田監督はテレビ映えするような監督とはいえません.試合運びも堅実そのもの.日本テレビは巨人戦の視聴率が一桁台に低迷するため,午後9時からの中継延長を取りやめましたが,まさに自業自得,前途多難な時代が続きそうです.

tnakadat at 06:26|PermalinkComments(0)TrackBack(1) 記事,事件 

September 29, 2005

folie a dieux:感応性精神病

北九州市で起きた一家監禁殺人事件で主犯の二人に死刑判決が言い渡されました.この二人のうち松永被告が殺害を指示し,内縁の妻で,殺された家族の身内に当たる緒方被告や,電気ショックなどで脅かされた家族が殺害を実行した,と判決文は述べています.奇怪な事件ですが,一人の狂気が,他のメンバーにも伝染し凶悪な事件を引き起こすことがあります.過去の例ではオウム真理教事件が有名です.教祖の狂気に感応し,被影響力の強い弟子達が競うように凶行を働きました.一部は強要だったかもしれませんが,多くは自発的な行動だったようです.folie a dieuxとは日本語で二人組精神病と訳されます.一人の狂気が親しい者に転移する現象を指すそうです.重要なのは二人組みでなくとも良いことで,オウム真理教では多数の信者が,松本被告の言いなりになりました.影響を受けやすく,一見して従順そうに見えて内面に暴力衝動を抱える人々の心の導火線に火をつける狡猾な人間がこの世に存在するのです.あるときは犯罪者と呼ばれ,あるときは狂人と呼ばれるかもしれませんが,あるときは英雄や指導者として崇められるかも知れません.今後日本は貧しいものと富んだもの,成功したものと失敗したものの二極化が進むと喧伝されています.しかし二極化ならもうとっくに進行しているのではないか,それは騙すものと,騙されるものという二極化です.もちろん騙される方は騙されたという意識は無いし,騙す方も一部はその自覚がないのでしょう.一部のマスコミは小泉首相をヒトラーになぞられています.しかしご本家に比べれば随分やつれているし,そもそも演説の迫力では比較にならない.所信表明演説でも原稿棒読みで,全く魅力はありませんでした.むしろ問題なのは当時のドイツの国民より,はるかに従順で騙されやすそうな,国民の方なのでは,と思ってしまいます.

tnakadat at 11:09|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 記事,事件 

September 28, 2005

ソニーという鏡:本当の豊かさとは

アップルのiPod nanoに関連して「デザイン」についてあれこれ考えてみました.初夏に展示してあって,いいなと感じたのはシトロエンのC3プルリエルです.コンパクトカーのC3をベースに全長を85mm,全幅を40mm拡げ,ソフトルーフと金属製サイドレールの組み合わせで,フルオープンにもカブリオレにもなるというデザイン.良く見るとパーツはプラスチックっぽく,高級感はないのですが,いかにも楽しげなデザインで,「あー,こういう車で遊びたいな」と云う気分が漂ってきます.もちろん重量12kgもあるサイドレールをどこに置こうか,とかフルオープンは日本の夏はむしろ不快だとか,しばらくすると理性が戻ってきましたが,やはりこういうオーラが少ないのが最近の日本製工業製品の特徴でしょうか.かつてのバイクやオーディオ製品には非常に幼稚な形ながら,そういうオーラがあった.尖ったデザインやピーキーなエンジン特性でとても公道には不向きなバイクであったり,超怒級アンプや,ボロンだのチタンだの高剛性の素材を使ったスピーカーだのが現れては消えてゆきました.そういう時期を経て,我々が次に求めるのは何なのか.マーケティング調査やコストパフォーマンスだけでは,ラブリーでお手軽というありがちな商品しか出てきません.深夜には若者がコンビニの駐車場でカップめんをすすり,朝からパチンコ屋に主婦が球の出るパチンコ台に群がり,夕方になれば携帯で薄っぺらな言葉が飛び交うという状態では,優れたコンセプトも美しいデザインも生まれてこないような気がします.ハーフマラソンを走る間に流れて行く景色は美しい.それは分泌されたアドレナリンが精神を高揚させているからです.そしてゴール後に飲む水の美味しさにはどんな名水も敵わない.逆にしたたか飲んで食べてしまった後では,名酒も究極の食材も,価値が半減してしまいます.日本の工業製品の復活には,造り手のみならず,ユーザーのライフスタイルの変化も求められているのではないか.もっとストイックに,もっと無駄を削ぎ落とさないと,世界に通用するものはそうそう生まれてこないのではないか,と思います.アップルのiPodに比べると,確かにソニーのウォークマンは悲しいほどかっこ悪い.しかし数年前まではソニーも,あのクレーム隠しで企業イメージを失墜させた三菱重工と同様に,学生の就職したい企業の上位を常に独占していました.このかっこ悪さは多分ソニーという鏡に映し出された,現代日本の姿ではないだろうかと思うのです.

tnakadat at 20:22|PermalinkComments(4)TrackBack(0) 記事,事件 

石鳥谷町周辺

石鳥谷町周辺先週週末から稲刈りが始まり,マダラ状に刈入れが進んでいます.昨日今日と好天に恵まれたため,あちこちにコンバインを見かけました.今週末までに多くの田圃で稲刈りが終わりそうです.

tnakadat at 15:40|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 自然・環境 

音楽配信の未来

昨日iPod nanoにアルバムジャケットが表示できることを書きましたが,かつてレコード全盛時代にはレコードジャケットが大きかったこともあり,面白いデザインのものが数多くありました.ローリングストーンズの「ステッキィー・フィンガーズ」やELPの「恐怖の頭脳改革」など凄いデザインがゴロゴロしていました.しかしイエスやキャメル,ボストン,EWFなど幻想的なデザインもあの大きさだから映えたので,CDで再発してももはやあの感激は戻ってきません.また最近ライナーノーツもあまり真面目に読むことがなくなりました.一つには自宅でゆっくり音楽を聴く機会がなくなり,車の中で聴くことが多くなったこと,そして内容自体があまり面白くないこと,最後にこれは先ほどのジャケットのサイズに関係するのですが,CDの大きさにびっしり細かい字が書いてあると,もうそこで読む気が失せてしまうことです.CDはコンパクト・ディスクの略です.コンパクトにした恩恵は数々有りますが,ジャケットデザインとライナーノートはとても窮屈な思いをしてきたといえるでしょう.もし音楽配信でライナーノートや歌詞カード,アーティストの解説などがダウンロードできたら,今のCDサイズのライナーノートやジャケットより,むしろ自由を取り戻せるのではないかと思います.もう自宅で高価なステレオセットの前で音楽を聴くという聴取スタイルは圧倒的に少数派です.遠くない将来,ジャケットも歌詞カードもライナーノートも(あるいはビデオ・クリップのような動画も)全て音楽配信サービスに取り込まれるのではないか,そんな気がします.

tnakadat at 14:27|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 音楽,CD 

9月28日

9月28日めっきり秋らしくなってきました.太陽が昇り始める時間も大分遅くなってきました.そういえば夕方も午後5時30分頃にはすっかり暗くなるようになりました.

tnakadat at 06:20|PermalinkComments(0)TrackBack(0)  

September 27, 2005

iPod nano

5bdda544.jpgアップルのiPod nanoが爆発的な人気のようです.今回は2Gと4Gのフラッシュ・メモリーを搭載し,1.5インチのカラー液晶も付くというサービス振り.私が感心したのは液晶ディスプレイにアルバムジャケットが表示されるというサービス.こういうアイデアが今まで出なかったのが不思議なくらいです.好きなアーティストのジャケットはそのジャケットを見ただけで分かりますし,レコードの頃からジャケットデザインはとても重要だったのに,今までデジタル・オーディオではビジュアルはどこかに置き忘れられてきました.もちろん現実のものにするにはiTuneという配信システムが不可欠だったと思います.デジタル・オーディオに関してはアップル対ソニーという構図でいろいろと取上げられていますが,やはりiTuneというシステムにしても,音楽を文化として位置づけるのか,単に商品としての魅力だけを考えるのか,両社の開発者の余裕の違いが如実に現れたように思えます.ソニーの最近の商品を見ていると全てとはいいませんが,ある種の慣れというか,マンネリが感じられます.価格帯はこんなもの,開発費はこれくらい,マーケティング・リサーチは周到に行なっているのかもしれませんが,ファンというか熱狂が感じられない.作り手が冷めているので,ユーザーも熱くなれないのです.対してアップルにはファンを感じることができます.作った人はジャケットを入れたかったんだ,ジャケットを持ち歩ければ嬉しいんだと.そもそも初代のウォークマンは当時の井深氏がジェット機で旅行中にヘッドホンでクラシックを聴きたいという希望から,先行発売された小型デンスケである,プレスマンを改造して仕上げたモノを製品化したそうです.優れたアイデアはそういう趣味性や楽しみの中から育まれたものだと思います.残念ながらソニーのモノづくりの遺伝子はうまく受け継がれていないようです.製品から作り手の充実した日常生活や生活の豊かさが感じられないというのは,悲しいことですが,必ずしもソニー製品に限ったことではありません.物珍しいデザインやカタログデータを競うのではなく,その底にある文化の力をどうつけるのか.欧米とは違う文化と中国や韓国にはない感性というのを磨かないといけない時代になったということでしょうか.それにしてもフラッシュ・メモリーで4Gという大容量が可能になったというのは凄い.フォーマットとしてはMP3だけでなくWAVという非圧縮の音楽ファイルもOKなそうです.ソニーのHi−MDでCD同等の非圧縮モードで聴いて見たことがありましたが,やはり現行MDやMP3とは安定感や,奥行など一味も二味も違います.デノン/マランツの業務用レコーダーでコンパクトフラッシュ/マイクロドライブを使用するPMD660PMD670というシリーズがありますが,ソニーが目指すべきなのはむしろこちらの路線なのかもしれません.

tnakadat at 16:18|PermalinkComments(5)TrackBack(1) 音楽,CD 

山下達郎:SONORITE

SONORITE(初回限定盤)
「コージー」から7年ぶりの新作.多重録音を駆使した,分厚いコーラスは姿を消し,非常にシンプルな仕上がり.ケツメイシとの共演が新鮮な「Kissからはじまるミステリー」,奥さんの竹内まりあさんの影響が感じられる「忘れないで」,スタンダードである「星に願いを」など多彩な内容ですが,トーンが統一されていて,まったく違和感が感じられないのはさすが.長く聴き続けられるアルバムになる予感がします.

tnakadat at 06:26|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 音楽,CD