December 2006

December 31, 2006

ベートーヴェン・交響曲第9番「合唱つき」

ベートーヴェン:交響曲第9番
年末恒例のベートーヴェンの第9ですが,これを選びました.定番のフルトヴェングラーや,ダニエル・バレンボイムが指揮したものも良いのですが,久しぶりに本格的な「合唱つき」を聴いたという感じにさせてくれる一枚です.指揮者のスタニスラフ・スクロヴァチェフスキは1923年ポーランド生まれ.もう83歳という高齢ですが,とてもきびきびとした指揮振りで,この年齢が信じられません.この作品はベートーヴェンの交響曲全集の第二弾として作られたといいますから,年老いてこの意欲には頭が下がります.オーケストラはザールブリュッケン放送交響楽団,合唱はバイエルン放送合唱団.第4楽章で歌われるシラーの「歓喜に寄す」は次の通りです.

おお,友よ,この調べではなく,さらに快い,さらに歓びに満ちた調べを共に歌おう!
歓びよ,神々の麗しい輝きよ,楽園の娘らよ,我等皆,感動に酔い,天の高みの神殿に踏み入ろう!
この世に厳しく引き離された者達を,神秘なる御身の力は,再び結び合わせる.
御身の優しい翼の憩うところ,全ての者は同胞となる.
(中略)
しかり,例えただ一人の魂でさえも,地上の友と呼べる者を持つことができるならば!だがそれさえ持つことのできぬ者は,涙しつつ,足音を忍ばせ,立ち去るが良い.

イラクでは元元首が絞首刑で殺されました.彼は極悪非道の独裁者であったかもしれません.しかしだからといって,殺して良いということにはなりません.ドイツもイギリスもイラク政府の決定には異議を申し立てる気はない,としながらも死刑執行は遺憾であると声明を発表しました.死刑執行は多分にイラクの政情不安やアメリカの圧力によるものでしょう.アメリカン・ドリームという子供っぽく,自分勝手な調べに,世界中が「友よ,この調べでなく」と声を上げつつあるように思えます.「さらに快い,さらに歓びに満ちた調べを共に歌おう!」と.そして地上の友を持たない者であるブッシュ大統領や,ネオコンは「足音を忍ばせ,立ち去るが良い」と.その声は静かですが,確実に世界中に拡がり,「この世に厳しく引き離された者達を,再び結び合わせる」ことになるでしょう.安倍首相はA級戦犯は国内法では犯罪者には当たらない,と述べてきました.彼はこの死刑執行にどういうコメントを出すのでしょうか.ほんの僅かでも理性を持ち合わせていれば,東京裁判と同様に,このイラク法廷も,勝者による敗者の裁き以外の何者でもない事は,明白ではありませんか.もちろん番記者が質問する勇気があればの話です.そんな勇気があれば,小泉政権など,もっと早く吹っ飛んでいた筈ですが.

tnakadat at 22:14|PermalinkComments(2)TrackBack(2) 音楽,CD 

ナメタガレイ

ナメタガレイ東北の年越しに欠かせない魚の一つがこのナメタガレイです.年越しの魚は地域によって大きく異なるようです.関西では鯛,北陸では鰤,そして内陸部では鯉であったともいわれます.東北,特に三陸地方ではこのナメタガレイでしょう.この時期大きなものでは一匹6000円もの高値がつき,切り身でも1000円近くします.特に大きな卵を持った雌は美味です.グロテスクな外見ですが,煮付けにすると,とろりとした身肉と,こってりとしたヒレの部分は,確かにこの値段が納得できるものです.

tnakadat at 20:21|PermalinkComments(0)TrackBack(2) 季節の話題 

神子田の朝市

神子田の朝市盛岡市の神子田にある朝市.毎日早朝5時頃から,9時くらいまで開かれていますが,やはり混み合うのは年末とお盆前です.特に年末はしめ縄や,鏡餅などを買う客で賑わいます.売り手と客の会話も楽しい,飾り気の無い,暖かい雰囲気が魅力です.屋根の上に漂っているのは,薪ストーブの煙.薪ストーブで暖を取りながらの仕事です.場内ではコーヒーや甘酒の販売も行なっていて,ラーメンを食べるのが楽しみという客もいます.

tnakadat at 20:13|PermalinkComments(2)TrackBack(0) 路上散歩 

高松の池でくつろぐ白鳥たち

白鳥白鳥・動画今年は暖冬のせいか,白鳥の数は昨年ほど多くありません.昨年はこの高松の池の周辺も雪が積もり,水面も凍結が始まっていましたから無理もありません.それにしても小春日和といった感じの大晦日です.

tnakadat at 20:00|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 自然・環境 

December 30, 2006

小泉政権とは何だったのか

小泉政権とは何だったのだろうか.秘書官補佐の飯島氏の著作が書店の店頭に並んでいますが,どうせ大したことは書かれていないだろうと,買う気になりません.日本のマスメディアは細かいデティールに異常に拘る反面,大きな枠組みや流れを読み取ろうとする姿勢に欠けることが多いようです.昨日22歳の女性が,同僚の男性に殺害されるという事件がありました.一部マスコミは全裸殺人事件と報道したようですが,事件の本質はその手口にあります.職場の女子更衣室に忍び込み,被害者の鍵を盗み,合鍵を作り,退社時間前に再び忍び込み,鍵を返す.一週間ほどして被害者が気付いていないことを確認した上,合鍵を使って部屋に入り暴行するという悪質極まりない犯行です.私はこの犯人は以前から同様の手口で犯行を繰り返していたのでは,と考えるのですが詳細は不明です.さて小泉政権に話は戻りますが,実は小泉純一郎氏と比べるべき元首相がいます.76代,77代首相の海部俊樹氏です.彼の前の首相は愛人問題で辞職した宇野宗佑氏です.その前が竹下登氏でした.小泉首相の前任者は「ミー・トゥー」で失笑を買った森嘉郎氏,その前任は「株上がれ」でやはり失笑を買った小渕恵三氏です.海部氏を継いだ宮沢氏の次は新党さきがけなどの連合政権による細川政権です.つまり小泉政権は自民党が再び国民から見放されるかもしれないという恐れと常に戦い続けたという点で海部政権とよく似ているのではないか,と思います.そして海部政権では湾岸戦争が,小泉政権ではイラク戦争が起きました.いわば戦時の首相という点でもこの二人は共通点があります.海部氏は党内や官僚の意見の分裂から終始煮え切らない態度に終わり,湾岸戦争終結後にアメリカの週刊誌の特集でヨルダンのフセイン国王と並び,敗者とされています.一方小泉首相は自衛隊のイラク派遣を決めました.イラク特措法という,裏技を使い国際貢献を印象付けましたが,サマワはフセイン大統領への反感が強い地域です.しかもほとんど基地に閉じ篭ったままで,治安維持や武装解除,ゲリラ掃討などの軍事行動は行なっていません.この自衛隊駐留に450億円ほどかかったといわれますが,たった一週間余りの湾岸戦争に130億ドルを支払った日本にしては,ずいぶんと少ない額です.湾岸戦争でアメリカが支出した戦費はおよそ470億ドル,イラク戦争ではその5倍の2000億ドルが浪費された,といわれています.米軍の駐留が続けば続くほど,この金額は増えます.原油が輸出できれば戦費を稼げるでしょうが,それをイラク国民はどう見るでしょうか.多分アメリカは小泉政権に猛烈な圧力をかけ,そして今もかけ続けているのでしょう.自衛隊の派遣よりは,ジャパン・マネーをよこせ,と.ところが日本にも金はない.国債に頼る財政状態では,海部政権のような大盤振る舞いは出来ません.ここで増税を言おうものなら,自民党の命運は尽きてしまう.そこから生まれたのが郵政民営化や,市場開放や,中国や韓国,北朝鮮を敵視し,愛国心を煽る各種のパフォーマンスでしょう.国民の不安を煽り,ミサイル防衛や日米同盟を強調することで,米軍への支出を正当化する.グアム移転,普天間移転に関する譲歩もこのようなトリックを想定しない限り理解不能です.節操も,臆面も無くこのようなパフォーマンスが出来たのは,一重に自民党が危機的状態だったのと,小泉首相自身が後ろ楯が無いためかもしれません.そして彼自身の資質によるところが大きいのでしょう.嘘をつき続け,深く考えないという稀有な資質が.見事に作戦は的中し,自民党は岡田民主党に圧倒的な差をつけ勝利.後を継いだ前原氏は偽メール事件で自滅.しかしアメリカからの要求は相変わらず苛烈です.2000億ドルの戦費の肩代わりを,米軍基地移転の名目で要求してくる.もし言うことを聞かなければ,再び海部政権のように野党に追い落とすぞ,そのための醜聞や,スキャンダルのネタは事欠かない,多分そんなところではないでしょうか.自民党が政権を続ければ続けるほど,宗主国であるアメリカのコントロールが強まるばかりだということを,そろそろ我々も真剣に考えるべきではないでしょうか.もちろん野党である民主党も同じように懐柔されているのかもしれませんが.

tnakadat at 21:17|PermalinkComments(2)TrackBack(0) 記事,事件 

手嶋龍一:外交敗戦

外交敗戦―130億ドルは砂に消えた
最近「ウルトラダラー」や元外務省の佐藤優氏と「インテリジェンス 武器なき戦争」など活発に著作活動を行なっている手嶋氏が1996年に書いたもので,今年5月に新潮社より文庫として,出されたもの.湾岸戦争の時に,外務省と大蔵省が互いの省益のために国としてのまとまりを欠き,大いに国際的な評価を下げ,しかも130億ドルに上る支出を強いられた,というのが著者の見立てです.非常に明快で分かり易いのですが,私はこの見立ては胡散臭いと思っています.若い人はご存じないかもしれませんが,湾岸戦争の戦端が切られる前,テレビには中東問題の専門家と称する人達が口々に「砂漠での戦いにアメリカは慣れていない」,「イラク軍はイラン−イラク戦争で鍛えられている」などとイラク有利の情報を盛んに流しました.その中で一つ一つこれらの好い加減な情報を各個撃破していったのが,まだ無名だった江畑謙介氏です.彼は渋谷の東急ホテルに缶詰め状態で,いかなる事態でも出演できるよう,破格の出演料でNHKと独占的な契約を結んでいたといわれます.今このような自称中東専門家がどうなっているか,調べる術もありません.しかし通産省や,石油会社の外郭団体か,OBであったことは確実です.要するに湾岸戦争で米英につくか,イラクにつくかは,本来国論を二分するものであった筈です.確かにフセイン大統領がクウェートを武力侵攻したのは国際正義に反した行動だったのでしょう.しかしこのイラクの軍事行動の前にはイラン−イラク戦争という歴史があります.「お前たちの油田や国民を守ってやったのに,応分の支払いをしないのは何事か」という論理は,「中東原油に頼っている日本が,国際協力をしないのは何事か」という論理と実は表裏一体です.アメリカはイスラム革命前のイランに当時の最新鋭機F-14トムキャットを供与しました.イギリスもチョーバム・アーマーという,最新鋭の防弾板が使われた主力戦車シャー・イランの売込みを図りました.イスラム革命が起き,イランの油田が国有化されると今度はイラクの独裁者フセインに取り入ります.失脚したラムズフェルド氏はフセイン大統領と対談さえ行なっています.クルド人を虐殺したという化学兵器ですら,あるいはアメリカからの技術供与かもしれないのです.日本だけが自国の利益のための行動をしたわけではありません.彼らに批判する権利など本来無いのです.今日イラクのフセイン元大統領は突然絞首刑で処刑されたようです.マスクを被った男たちに引きずられ絞首刑にされた映像がニュースで流れました.これは国家の名前を騙ったテロです.その後ろにアメリカが隠れていることを,世界中の人々は見逃さないでしょう.そしてもはやアメリカの正義は死んだことを,皮肉にもこのニュースは世界中に伝えたのだと私は思います.

tnakadat at 20:06|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 書評 

江畑謙介:新版 米軍再編

米軍再編
軍事評論家江畑謙介氏が10月27日に著わしたもので,多分米軍再編に関する我が国で書かれた本の中で,最良のものであると私は思いました.江畑氏が前作である「米軍再編」を同じビジネス社から出したのが昨年5月です.軍事関係の書籍が一年足らずで更新されるのは,異例なことです.これは米軍のトランスフォーメーションに変更があったというよりは,日本側が譲歩に譲歩を重ねて,どんどん日米安全保障が変質していることへの危惧から書かれたものである,と私は感じました.この無節操な譲歩を端的に示しているのが,辺野古沖に移転する予定の米軍海兵隊普天間飛行場です.当初辺野古沖にメガフロートと呼ばれる,浮きドック型の滑走路が日本側から提示されました.これは旧版の米軍再編にも書かれています.しかしアメリカ側はこれを拒否,しかも横風用としてV字に二つの滑走路を併設することになりました.この二つの滑走路はオーバーランを含めて1800mという長大なものです.しかし本書で江畑氏が書かれているように,本来普天間飛行場の代替施設であればヘリコプター発着場であり,このような長大な飛行場は不要です.氏はヘリコプターではなく,ヘリコプターを収容し,輸送可能なC-5ギャラクシーや,C-17グローブマスターの発着用であると書いていますが,まさしくその通りでしょう.であればこそ,メガフロートという浮きドックを拒否する理由が判ります.横田基地の滑走路は特別に強固な舗装がなされているといわれています.それはベトナム戦争などでスターリフターやギャラクシーといった戦車やヘリコプターを満載した輸送機が離発着を繰り返したからです.またおよそ30度で作られるV字型滑走路は,横風用である筈がありません.風というのは頻繁に方向が変わります.従って民間空港でも横風用滑走路は本来の滑走路に対し,直交するのが最良の筈です.このV字型はどこかで見たことがないでしょうか.これは戦後アメリカの空母のアングルド・デッキと瓜二つです.つまりこの配置は着陸して,給油し,また離陸という用途に最適化していると,私は睨んでいます.おそらくアラスカのエルメンドルフ基地から,横田を経由するか,あるいは直接辺野古へ向かい,そしてグアムに向かうのでしょう.ということは沖縄はアメリカ軍の補給所であり,沖縄は中国や北朝鮮の脅威に晒される可能性は低いと,米軍は考えているということになります.これは山口の岩国基地へ空母艦載機部隊と,その家族がやってくることとも符合します.岩国は山口県でも広島寄りですが,北朝鮮とは横須賀などより遥かに近接しています.ここに宿舎を建設するということは,北朝鮮のミサイルは脅威と見ていない,ということにならないでしょうか.日米の協議は謎のベールに包まれたままで,与党はもちろん野党民主党も,マスコミもほとんど触れようとしません.辺野古への移設計画も市街地の騒音や,環境への影響といった話題ばかりです.しかしこの問題は日米の大きな闇への入り口であるように感じられます.江畑氏もこの問題をあからさまに論評してはいませんが,彼の真面目な取り組みには感銘を受けました.もっと深くこの問題を考えるべきだと思います.

tnakadat at 19:19|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 書評 

December 29, 2006

出番を待つ

出番を待つ昨年はほぼ毎日雪かきに追われましたが,今年は雪が少ないようです.パチンコ店の駐車場にぽつんと置かれた除雪車です.すでに山陰や北陸では雪模様となっており,年末にかけて東北地方でも雪とのことですから,そろそろ除雪車も出番があるのかもしれません.

tnakadat at 06:12|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 季節の話題 

December 28, 2006

神のみぞ知る

1961年三重県名張市で起きたいわゆる「名張市毒ブドウ酒事件」の再審請求は,検察側の異議申し立てを認め,再審開始決定取り消しという不思議な結末となりました.この事件は,私も記憶に無いほど古い事件です.犯人として収監されている奥西死刑囚は80歳です.状況証拠からして,奥西死刑囚の容疑はかなり濃いものです.農薬ニッカリンTを所持しており,被害者の中に妻と愛人がいたというのは,動かし難い事実です.しかし当時の捜査技術や鑑識の精度というのも,今の科学から見ればかなり疑わしいものです.弁護側は農薬であるニッカリンTに必ず含まれるという不純物(内容は明らかにされていません)が,飲み残しのブドウ酒から検出されないのは,ニッカリンTを使用したという自白を疑わせるものだ,と二人の鑑定人による鑑定を元に再審請求を求めました.一方検察側は,「ニッカリンTの主成分であるトリエチルピロフォスフェートは検出されており,不純物は微量であり,分解された可能性もある」と反論,結局この検察側の主張を全面的に受け入れた形の判決になっています.残念ながら,この検察側の主張は科学的な裏づけがあるのかどうか,分かりません.このニッカリンTに含まれるという不純物が,検出されない可能性というのを示すべきであった,と思います.この判決文を見ると,この判断が妥当である,という裏づけが無いため,かなり無理な主張の印象は否めません.もしこのような新しい科学技術でどんどん異議申し立てをすれば,古い判決や捜査資料は,一気に覆されてしまう,そういう検察の不安感というのがあるように思えます.しかし科学技術に絶対は有り得ません.所詮は人が行なうものですから,測定限界があり,誤謬もまた付き物です.同じ日に東大理学部の論文捏造疑惑が報道されました.真実は神のみぞ知る.人間が人間を裁くというのは難しいものです.

tnakadat at 10:21|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

更科:五目そば(880円)

五目そば北上市にある更科の季節メニューということで,食べてみました.伊達巻,海老,イクラ,甘く味付けした筍,鶏肉,カマボコなどが載り,更にその上にセリが載るといった,何だかお正月の雑煮のようなお蕎麦です.イクラも生のままではなく,お醤油と味醂で味付けされており,手前にあるのは何と揚げた御餅.正月を先取りした気分の一品です.

tnakadat at 06:48|PermalinkComments(4)TrackBack(0)