November 2008

November 30, 2008

ワイヤレスヘッドホンの愉しみ

ATH-DWL-5000 ノイズキャンセリング・ヘッドホンや,インナーイヤー,カナル型など,MP3プレーヤーに接続し,戸外で使用するヘッドホンばかりが注目されていますが,今はまっているのはワイヤレスヘッドホンです.

 もともとワイヤレスヘッドホンが出たのは,恐らく20年近く前だったような気がします.ソニー製で赤外線,アナログ伝送.すぐ切れたり,ノイズが多くて使用に耐えないものでした.それから赤外線でもデジタル伝送となり,そして無線LANなどに使用される2.4GH帯を使用するデジタルに変わりました.最近はBluetoothを使った製品も出てきたようですが,そちらはまだ使ってみていないので何ともいえません.

 これはオーディオテクニカのATH-DWL-5000という,同社の最も高価な製品です.標準価格が12万ですが,今では7万近くで購入できます.何もここまで高価なものでなくとも,パイオニアSE-3000などのワイアレスヘッドホンでも充分いけます.このワイヤレスヘッドホンの評価がネットなどで載っていますが,「使用時間が短い」,「音が切れる」,「重低音が出ない」,「サラウンド効果が弱い」など否定的な書き込みが目立ちます.しかしこのような批判の多くは若者によるもので,対象をDVDや,ゲームに限ったものです.

 このワイヤレスヘッドホンは,直線距離で30メートルも電波が届くのです.これで映画や,ゲームをするより,音楽を聴く方が遥かに理に叶っています.ケーブルを気にせず,動き回れる快適さは一度使えばよく分かります.そしてその便利さを知ってしまえば,もう二度と有線式のヘッドホンには戻れないでしょう.わざわざ席を立つ時にヘッドホンを外し,CDの一時停止ボタンを押し,また戻ってきたらヘッドホンを装着し,またボタンを押すと結構な作業なのですから.

 ポップスはパソコンでMP3ファイルにして,MP3プレーヤーで聴けば良いのですが,クラシック,特に交響曲や,オペラはやはり通して聴きたいものですが,なかなか今の時代一時間以上スピーカーの前に座り続ける,というのはしんどいものです.ワイヤレスヘッドホンは,むしろ音楽ファン,特にクラシックファンにとって朗報なのです.

 ところがメーカーは5.1チャンネルや,ドルビー・バーチャル・サラウンド,バスブーストなど,映画ファンや,ゲーマーを対象にしてこの商品を売り込んでいるのです.小金を持っていて,新製品を購入してきたのが若者層であった歴史から致し方ないのかもしれませんが,賢明な戦略とは言い難いものです.あちこち移動しながら映画を見たり,ゲームをすることは有り得ないし,サラウンド効果も移動してしまえば関係ありません.

 そして音質面から言っても,今のワイアレスヘッドホンは充分音楽鑑賞に堪え得るものです.書き込みにある音切れはほとんど皆無ですし,何よりノイズはデジタル化の恩恵でほとんど気になりません.ドルビーヘッドホンという規格による残響の付加も,使い方によっては良いスパイスになります.バスブーストは音楽鑑賞に限っていえば,必要ありません.

「使用時間が短い」といっても,通常の使用で3時間は持ちます.ヘッドホンによる難聴の危険性からいっても,機械が「これくらいで止めなさい」と言っているようなものです.これから年末年始でいろいろと家の中で掃除や,年賀状書きなど仕事がありますから,そういう時に重宝するのではないか,と思います.

 それにしてもこのデザインは何とかならないものか.充電池やトランスミッターを載せなければならないため,大きく重くなるのは仕方が無いとして,どれも判で押したように,ブラックとシルバーでメカニカルなデザイン.ゲーマーやオタクは喜ぶかもしれませんが,家庭で使用するには物々し過ぎます.深い赤とか,ブラウンとかもう少し考えて欲しいものです.幼稚な販売戦略,画一的でとんがったデザイン,「日本のモノづくり」が克服しなければならない分野は,ユーザー・インターフェイスであり,デザインであり,センスです.

 それは理科系の教育というよりは,豊かな生活,美術や芸術など,むしろ文科系の素養なのではないでしょうか.ソニーのウォークマンは,元々プレスマンという小型録音機があり,これで飛行機の機内で音楽が楽しめないか,と開発に持ちかけたのは当時の会長井深大氏であった,と書かれています.ゆとりや,遊びのない社会では,本当に優れた工業製品は生まれないでしょう.このワイヤレスヘッドホンは,どのように受け入れられるのでしょうか.オタクの専有物にしておくのは,ちょっと勿体無いと思うのですが.

tnakadat at 09:09|PermalinkComments(7)TrackBack(0) 音楽,CD 

November 29, 2008

とてつもない日本の首相(その矮小さ,空虚さにおいて)

 日本では大学生や,プロテニス選手,力士の大麻吸引が話題になっていますが,欧米では大麻所持,吸引だけでは罪に問われないのが普通です.もちろん大麻が健康に問題がないという訳ではないのですが,喫煙と比べ習慣性や健康被害に大きな差がない,と考えられているようです.すなわち大麻吸引が悪ならば,喫煙も悪,というのが現在の世界の趨勢です.

 大麻吸引で多くの若者が逮捕される一方で,正々堂々と,しかもたかだか200円程度でタバコが売られている先進国は,日本だけではないか,と思います.与謝野馨経済財政担当相は,喉頭癌であることを文芸春秋で告白しました.喉頭癌の最大の原因は喫煙です.イギリスでは喫煙者の心臓手術を拒否することができます.そしてロンドン,ニューヨークではタバコ一箱がおよそ1000円です.近頃の円高で多少の変動はあるかもしれませんが,この価格差は明らかに異常です.

 麻生氏は経済財政諮問会議で「努力して健康を保った人にインセンティブがないといけない」と発言しました.しかし当の本人は確かに朝の散歩をしているようですが,夜になるとホテルのバーで酒を飲みながら,葉巻を吸っているようです.このように健康に良いことと,悪いことを同時に行っている人は,現実には多いでしょう.

 人間の行動は矛盾に満ちています.それを簡単に「何が良い,悪い」と決められるものではありません.残念ながら社会は漫画やアニメではないのです.実際麻生総理は,朝の散歩は夜の飲酒と喫煙で簡単に相殺され,喉頭癌や肺癌のリスクが高いことは明らかで,それは朝の散歩ではリスクを減らすことができません.

 定額給付金も高額所得者について支給するか否か,という現実的な問題にぶつかると,地方自治体に放り投げてしまいました.この人は本当に思慮のない人なのだと思います.そして自民党も小泉改革という看板はすっかり色褪せてしまいました.本家であるアメリカの新自由主義が,崩壊した今となっては看板を下ろさざるを得ないのですが,そうなると残るのはかつて小泉元首相が「抵抗勢力」と敵視した族議員ばかり.道路財源と同じく,タバコで支持を得ている地方議員も多い筈で,タバコ税の増税も出来かねる,というのが本音でしょう.

 かくして暴力団の資金源にすらならない大麻捜査と,朝のウォーキング.これなら支持組織との軋轢も生まれません.麻生氏はかつて「とてつもない日本」という本を出しました.安倍元首相の「美しい国へ」に対抗してなのでしょうが,このような自己保身や,海外から目を背ける姿勢のどこが「とてつもない」のでしょうか.NHKの大河ドラマではありませんが,江戸時代末期の幕府のように見えて仕方がありません.

tnakadat at 10:16|PermalinkComments(2)TrackBack(0) 記事,事件 

November 27, 2008

落ち葉に雪

落葉に雪こちらは桜の落ち葉に残った雪の様子.一度溶けて固まったようで,むしろ氷に近い状態です.ふと見るときれいなもので,デジカメで撮ってみました.

tnakadat at 16:43|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 自然・環境 

紅葉に雪

紅葉に雪先週20日に盛岡は大雪に見舞われました.積雪量は17冤召蠅搬腓靴仁未任呂覆ったのですが,タイヤ交換や灯油の買い出しと,さんざん振り回された一日でした.これは少し分かりにくいかもしれませんが,カエデに積もった雪の様子です.

tnakadat at 16:40|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 自然・環境 

銀杏の実

銀杏これは北上川の堤防近くのお宅に生えている,イチョウの木から落ちた銀杏と,イチョウの落ち葉です.雪が溶けた後なので,果肉が少し萎びています.匂いは洗われたせいか,遠くでは感じませんでしたが,近づくと特有の臭いがします.乾いた銀杏は炒って食べると美味しいものです.ストーブの上に乗せて,フウフウ言いながら食べた記憶があります.あの翡翠のような実がこの中に在るとは,とても想像できません.

tnakadat at 16:37|PermalinkComments(2)TrackBack(0) 路上散歩 

岩山散策路

岩山散策路こちらが散策路.一応アスファルトで舗装されていますが,舗装されていない部分もあり,むしろそちらの方が楽しめます.路面にカラマツの落葉が見えています.

tnakadat at 16:32|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 路上散歩 

カラマツとリンゴ畑

カラマツとリンゴ畑盛岡市の東側にある岩山という小さな山はささやかな展望台があり,散策路が数キロにわたり続いています.散策路から見えた風景.もう紅葉は終わり,後はカラマツの黄色を残すのみとなりました.

tnakadat at 16:30|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 自然・環境 

健康であることがインセンティブ

 麻生総理が経済財政諮問会議で「たらたら飲んで、食べて,何もしない人の分の金(医療費)を何で私が払うんだ」と発言したそうです.また不規則発言でマスコミが騒ぎ,社民党当たりが国会で追及し,謝罪発言で終わりということになりそうなのですが,この発言は実は多くの国民が抱える疑問であり,医療保険のみならず,福祉全般の理念に関わる問題なので,しっかり議論すべきだと思います.

 麻生総理は自分が朝に散歩をしていることが健康に役立っているとして,「私の方が税金は払っている。努力して健康を保った人には,何かしてくれるというインセンティブがないといけない」と結論付けているようですが,ではインセンティブとして何を求めるかということです.

 健康な人に,医療や福祉は必要ではありません.確かに不摂生が生活習慣病の大きな要因であることは確かでしょう.しかしその責めを負うのは本人です.リハビリテーションや手術で失われた機能が全て戻ってくるわけではないのです.

 私は医療保険や社会保障というのは,一種の「宝くじ」であると思っています.万が一自分が病気に罹っても,医療費で自分や家族が破産したり,路頭に迷うことがないと思うからこそ,日々の労働に勤しむことが出来る,それこそが「保険」の目的です.

 それを「掛け捨て」は駄目だから,払い戻せと言われれば保険制度自体が成り立たなくなります.宝くじで「サッパリ当たらないから,払い戻せ」と言う人がいるでしょうか.アメリカはオバマ民主党政権で,ようやく国民皆保険制度が議論になりつつあります.クリントン上院議員が尽力したものの,共和党の猛反発でつぶされたことがマイケル・ムーア監督の「シッコ」に描かれています.

 もしも全て「自助努力」で済むのなら,病院や医療保険のみならず,警察も要りません.裁判も要りません.それこそ小泉容疑者のように「仇討ち」をすれば良いのです.軍隊も自衛隊も要らない.無政府状態への退化です.官僚も,議員も要らない.その最高責任者たる総理大臣すら要らなくなるのですから,これは一種の自己否定に他なりません.ブッシュ共和党の大敗をこの御仁は知らないのでしょうか.「オバマという人と電話で話した」と言っているくらいですから,さすがにご存知の筈ですが.


 彼は健康のインセンティブとして何を求めるのでしょうか.金銭的な保証なのでしょうか.そのためには何らかの財政的な裏づけが必要です.しかし医療保険は今でも大幅に増加しており,今後も増加し続けることが厚生労働省により予測されています.何を根拠にインセンティブを持ち出すのか,私にはわかりません.

 この人の発言で気になるのは,その「中身の無さ」,「理念の無さ」です.たとえ辛辣で,下品な物言いでも,そこにきらりと光る真理があれば,もう少し評価も違うのでしょうが.総理がこういうけち臭い「見返り」を求める発言をしていると,税金を支払うこと自体馬鹿臭いと若者は思うでしょう.それでは国家そのものが成り立ちません.私は健康にインセンティブなど要らない,と思います.健康であること,生きていることが十分なインセンティブであると感じています.

tnakadat at 07:47|PermalinkComments(2)TrackBack(0) 記事,事件 

November 23, 2008

謎は解明されるだろうか

 厚生事務次官夫婦が殺害された事件の容疑者が自首したそうです.容疑者は47歳,ここ数年は働いていた形跡がなく,さいたま市のアパートに住んでいたそうですが,家賃の延滞などはなかったそうです.犯行の動機として「保健所にペットを処分されて腹が立った」ことを挙げているそうですが,なぜリタイアした厚生官僚を狙わなければならないのか,どのようにして住所を知り得たのか,謎は残ります.

 ただ以前宅配業者で働いていたことがあり,さいたま市の顧客リストが漏れていた可能性はあるかもしれません.それでも中野区の事件については説明困難です.犯罪のタイプとしては,事前に被害者の住所を調べ,宅配業者を装う,手袋を着用するという秩序型の犯罪であるのに対し,犯行動機はいかにも子供じみた,常人には理解困難なものです.

 推測の域を出ませんが複数犯,あるいは犯行を教唆した人間の存在を疑わせます.本人は立派な人物でも,厚生労働省の許認可権限の大きさから,ある特定の団体や,企業の恨みを買っていたという可能性は排除できません.民主党の石井議員殺害事件も,長崎市長選でも結局背後関係は明らかになりませんでした.今回はどうなるでしょうか.

 週末の夜に,しかも容疑者が不敵にも,埼玉県警ではなく,警視庁にレンタカーで乗り付け自首するという,いささか唐突な解決という流れからして,捜査当局は,早々に幕を下ろして,単独犯行と結論する可能性が高いのですが.TBSの取材でもアパートの住人のインタビューで,「ヤクザのような…」というコメントが,途中で切れてしまったのが,闇の深さを示していたように思えます.

tnakadat at 07:27|PermalinkComments(0)TrackBack(1) 記事,事件 

November 22, 2008

社会的常識と応召義務

2c0bdfb2.gif 麻生総理の「医師には社会的常識に欠ける者が多い」という発言が物議を醸しています.私はそもそも社会的常識を語る資格が御有りなのか,と思うのですが,それは水掛け論になりますので,ここでは触れません.池田信夫氏は「医師会が医師の数を制限したことを,社会的常識に欠くと述べたもので,文脈を無視した引用だ.」と反論していますが,では医師の数が減っているかというと,決してそうではありません.

 厚生労働省の「年齢階級・性別にみた医療施設に従事する医師数」によれば,医学部の定員削減の影響で伸びは鈍化したものの,平成12年まで医師数は微増を続けているのです.したがって昨今の産科医不足,小児科医不足は,単純に医師数の減少では説明がつかず,当然ながら厚生労働省の医学部定員増加では解決しない,ということになります.

 皆さんは医師の応召義務というのを御存知でしょうか.昭和23年に制定された医師法19条に「診療に従事する医師は,診察治療の求があった場合には,正当な事由がなければ、これを拒んではならない.」というものです.罰則規定はありませんが,正当な理由の解釈はまちまちです.「泥酔していたから」,「自分の専門能力を超えていると判断したから.」罰則規定がないということは各人のモラルに任されるということになります.かくして正当な事由は拡大解釈され,初めは少数だった診療拒否は増え始め,そのしわ寄せは総合病院に押し寄せ,経費削減で医師が確保できない総合病院は,産科や小児科の救急を取りやめ,最後の砦の筈の基幹病院も陥落寸前というのが,東京都墨東病院の事件でしょう.

 この応召義務が明文化されている職種は医師の他は議員と予備自衛官のみです.もちろん議員には応召旅費が給付され,予備自衛官も召集されれば一日当たりで給与が支払われる仕組みです.それでは医師はどうか?これは全く冷遇されていると云って良いと思います.タクシーなど交通費用が出るところもありますが,マイカーで出勤した場合はほぼゼロです.まして手当などほとんど無いと云って良い.時間外手当など,研修医を除いては出すと睨まれるのが現場の雰囲気です.

 しかも現代の医療は医師だけでは機能しません.放射線技師,看護師,検査技師,これらのパラメディカルが揃って初めて十全の機能を発揮するのです.墨東病院の例では産科医師数名,NICU数名,脳外科数名,麻酔科医,放射線科医,そしてスタッフ多数が駆け付けた筈で,その費用はばかにならない筈です.今の医療制度ではこれらのスタッフへの支払いは大きな病院でも大変な負担です.社会も医療のニーズも昔とは比べ物にならないほど変わっているのです.

 ところが医師法は昭和23年という,戦後焼け跡の時代から全然変わっていません.私が唖然としたのは救命救急士が気管内挿管を実施するに当たり,厚生労働省や医師会がこの医師法第17条「医師でなければ、医業をなしてはならない.」を盾に取り,猛反対したことです.これは消防庁を管轄する自治省に対する横槍を入れたかったのでしょうが,医師法制定当時の医業と救急救命処置を同一視する態度には呆れました.法律を墨守する官僚も「著しく社会的常識を欠いている」としか思えません.

 確かに医師には社会的常識が欠落している人間が多いかもしれません.しかしそれは「象牙の塔」とか「白い巨塔」と呼ばれる閉鎖社会の産物と考えるならば,永田町や霞が関という,やはり閉鎖社会に生きる人間たちはどうなのか.臨床研修医制度は大きな問題ですが,根底にはただでさえ安普請だった日本の医療を医療費削減のため,さらにコスト削減を強行したことがあります.脆かった建物の屋台骨を引き抜いたのは,マスコミが称賛した小泉政権であり,新自由主義を謳った自民党です.まさに「未曾有」の混乱の責任は,自民党の政策を「踏襲」した麻生氏にもあるのです(ぜひ正しい読み方で読んでいただきたい).社会的常識の欠落を医師に押し付けても,日本の医療は変わらないでしょう.


tnakadat at 12:19|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 記事,事件