October 2009

October 18, 2009

羽田空港をハブ化しても,地盤沈下は変わらない

Korea-Incheon-International-Forward-Planning
前原大臣の羽田ハブ化構想で一躍注目を浴びることとなった韓国仁川空港.朝鮮戦争の仁川上陸作戦で知られているように,首都ソウルに近い海上の埋め立て地に作られた空港です.この空港は現在4000メートル級の滑走路が3本,現在4本目の滑走路が造成中とのことですが,ターミナルビルを中心に左右対称の配置になっていることが分かります.これは横風対策ということでは問題がありますが,航空機の運用上はこれ以上ない,というデザインです.仁川空港の利用客が急増したのは利用料だけではないでしょう.

 しかもこの4000メートル級3本というのは,地球温暖化と深い関係があるのだそうです.一つは旅客機の大型化,エアバスA-380の就航には2800メートル以上の滑走路が必要で,成田,関空では一本だけ,羽田は現在2本です.さらに温暖化で気温が上昇すれば,エンジンの出力が低下し,離陸距離が延びるので,滑走路の長さは延ばす必要があるのだそうです.現在羽田はD滑走路が建設中ですが,それでも2500メートル級で仁川空港には大きく見劣りします.これはD滑走路が多摩川流域にかかるためで,例え運用開始されても利便性はあまり改善されないように思えます.

 シンガポール・チャンギ空港も,北京空港も4000メートル級滑走路が2本.羽田空港のハブ化といっても,一度流れた顧客を取り戻すのは難しいのではないか.しかも地方空港が仁川空港に流れていて,日本航空が地方便廃止を打ち出しているのですから,タイミングからいっても最悪です.そもそも成田も関空も,国際線乗り入れを念頭に置いて建設されたのではなかったか.それがどちらも4000メートル級一本では,どうしようもありません.空港へのアクセスの問題,戦後60年近く放置された横田空域の問題,官僚や政府の不作為の責任は重いと言わざるを得ません.

 さらに輪をかけておかしいのは,森田知事のような政治家やマスコミです.「千葉県民は怒りますよ!」と愚かなコメントを発していましたが,では成田空港の滑走路拡張や,深夜の発着が出来るのかどうか.関空を含め,空港の規模拡大やハブ化にはそれなりの投資だけでなく,地元住民の理解も必要です.その点で内陸空港であり,首都との距離がある成田は相当不利なことは間違いありません.私は成田よりも関空の方がその点では地の利があるように思えます.ただし滑走路の少なさや,アクセスではアジアの他の空港とは競争力で大きく見劣りしますが.とにかくあまりに視野が狭いという他ありません.東京発,東京しか見えない,東京限定の情報をマスコミが発し続ける限り,世界から取り残されるのは避けられません.

tnakadat at 09:04|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 自然・環境 

October 14, 2009

江畑謙介氏の死と首藤信彦氏の遺恨

軍事評論家江畑謙介氏が亡くなりました.今年4月の写真がニュースに出ましたが,目が落ち窪んでおり,癌による悪液質だったのでしょうか.江畑氏はこの国には数少ない論理的な軍事評論家だったと思うし,政治的な背景を持たない人だったと思います.日米同盟や,アメリカ軍の再編成についても,また大騒ぎした次期主力戦闘機の選定についても,「ラプターを選ぶ必然性は今のことろ少ない」と言い切っていました.これが自衛隊出身者であれば,なかなか言えないでしょう.またアメリカ滞在が長い特派員もこれまた手嶋氏や日高氏,産経新聞の古森氏のように,すっかりアメリカ・ロビイストに洗脳されるのが落ちです.そういった中で,江畑氏は孤高を守り,敢えて声高に叫ぶこともなく,言うべきことは言う,という立派な態度だったと思います.この若さで亡くなったのは日本にとり大きな損失でしょう.

 この江畑謙介氏に対し,「疑似軍事評論家」,「軍事オタク」と不適切な表現をして炎上したのが,民主党首藤信彦氏です.私は江畑氏が自民党にすり寄ったとは到底思えないし,軍事評論家が紛争地域に行かなければならない,とも思えません.おそらく首藤氏の的外れともいえる江畑氏への遺恨の大元は,イラク戦争ではなく,湾岸戦争でしょう.彼は伊藤忠商事に入社後,アルジェリアの石油化学プラント建設に携わっているからです.湾岸戦争勃発直前に当時の通産省や石油会社の外郭団体と思われる「中東専門家」が「イラン・イラク戦争で鍛えられたイラク軍は砂漠戦に慣れており,多国籍軍は苦戦する」,「イランのクウェート占領は,クウェート王族とイラクの問題」と明らかにイラク寄りの解説を繰り返す中,江畑氏は見事なまでに多国籍軍の圧勝を予言したからです.確かに彼の解説は,当時の政権やアメリカの政府の意向を受けたものかもしれませんが,彼の知識と判断は正しかった.日本の中東における石油権益を守りたいという,政治的な思惑はともかく,江畑氏の専門家としての眼力は確かだった.それを「オタク」呼ばわりは,非常識といわれても仕方ありません.

 むしろ政権党となった民主党の議員が行うべきは,湾岸戦争を契機に急転回し,イラク戦争ではブッシュ,ネオコンにべったり癒着してしまい,中東諸国やアフリカの,多くの資源を中国などに先を越されてしまった,日本外交の収支決算でしょう.湾岸戦争の失敗で「羹に懲りて,膾を吹く」の喩通り,全く自主的な外交を放棄してしまった.「自衛隊の行くところが,非戦闘地域」という小泉元首相の発言は歴史的な暴言です.非戦闘地域に軍隊の派遣が必要とは思えないことは,誰の目にも明らかだからです.江畑氏への批判は的外れなだけでなく,専門家を自称する議員の視野の狭さを露呈する結果となりました.

tnakadat at 16:28|PermalinkComments(0)TrackBack(1) 記事,事件 

October 12, 2009

ヒヨドリジョウゴ

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中学校の校庭のフェンスに枝を伸ばす蔦の実.何でもナス科の植物で,ヒヨドリジョウゴという名前なそうです.確かにヘタというか,ガクの部分が何となくナスに似ています.日の光で輝く姿は小さいけれど,美しい.

tnakadat at 22:39|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 自然・環境 

サケの遡上

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盛岡の秋の風物詩といえば,中津川で見られるサケの遡上でしょう.休日には橋の上からも,川原の散歩がてらにも見ることができます.婚姻色のサケの姿が分かるでしょうか.

tnakadat at 22:26|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 自然・環境 

紅葉もそろそろ下界に

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先ほどの写真は盛岡市岩山で撮影しましたが,そろそろ平地でも紅葉が始まりました.先日の台風のせいで葉がだいぶ落ちましたが,蔦の葉もきれいに紅葉しています.

tnakadat at 22:21|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 自然・環境 

岩手山初冠雪

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10月10日気象台は,岩手山の初冠雪を発表しました.平年より3日早いとか.今朝は冷え込んで,ふもとに霧が漂っています.この霧を盆地霧と呼ぶのだそうです.

tnakadat at 22:16|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 岩手山 

清水政彦:零式艦上戦闘機



新潮選書 零式艦上戦闘機
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この本の帯には「まことしやかに語られてきた零戦神話をことごとく覆す!」書かれています.この宣伝にまんまと乗せられ,購入した次第.しかしこの宣伝文句はいささか誇大広告に過ぎます.著者の清水氏は昭和54年生まれですから,おそらく30歳になるかならないか.アマチュアの戦史家だったそうですが,どうも本業になりそうな勢いです.ただ内容は本当に革新的か,というといささか疑問で,これまで散々書かれてきたことを,言葉を変えて繰り返しているように感じられます.またよく調べられたとは思いますが,誤解や,勘違いと思われる部分が多いのが気になります.

 一つは機体の肉抜きについて.これまで書かれていることを踏襲しているに過ぎないのですが,セミモノコック構造云々と言っている割には,フレームやストリンガーばかりを記述している.しかしセミモノコック構造の全金属性戦闘機の重量を決めるのは,恐らく機体外板でしょう.そしてセミモノコック構造であれば,機体強度を左右するのは,主翼桁と,やはり外板の厚みです.これは零戦の外板の凸凹を見れば分かります.沈頭鋲という空気抵抗に配慮した技術を用いながら,日本機の凸凹は何故?と雑誌に書かれていますが,これは外板の薄さ以外考えられません.1ミリのジュラルミン板は,0.5ミリの重量の倍です.だから軽量化の前に,多少の凸凹は目をつぶるしかなかった.一方厚みのある外板を使えば,ストリンガーを省略できる.実際ムスタングはストリンガーを省略し,生産性を上げています.重量が増えた分はエンジンの馬力で補う.エンジン開発に余裕があればこその設計です.試しに日曜大工店で0.5ミリのアルミ板と1ミリのアルミ板を手にとって比べてみれば分かります.またこのアルミ板に穴を開けてみれば,加工のしやすさと裏腹に変形しやすいことは一目瞭然でしょう.おそらく著者も他の戦史家もこのような素材に対する実感がない.ガレージで飛行機を組み立てるアメリカと,専ら読書に頼る日本の国民性の違いかもしれません.

 しかしヘルキャットや,コルセアなどのアメリカ機にこのような凸凹は目立ちませんし,戦時中の写真でも零戦はじめ日本軍機は凸凹が目立つので,単なる経年変化ではありません.52型では主翼外板の厚みを0.2ミリ増やしており,海軍も強度不足を知っていたことが伺われます.零戦の外板は平均0.5ミリ,対してアメリカ陸軍のムスタングはコクピット回りが2ミリ,最も薄い部分でも1ミリと世界の傑作機「P51A,B,Cムスタング」に書かれています.見るからに頑丈そうな外見は,凹みの少なさから感じるわけで,人間の視覚はそれなりに確かです.今ではドイツ車やアメ車も作りはチャチになりましたが,日本車が何となくデザインで見劣りしたのは,ボディの鉄板の薄さだったのでしょう.いくらフェアレディのデザインが秀逸であったといっても,長年経った車体はさすがにくたびれた感じがします.軽量化と剛性,そして耐久性は両立し難いものです.

 また20ミリ機関砲の弾道特性についても,独りよがりな解説に終始しています.坂井三郎氏らが指摘していた「20ミリ機関砲は小便ダマ」というのは,重力で落下するという意味で用いたわけではないでしょう.アメリカ軍の戦闘機がガンカメラで撮影した機関銃の光跡を見ても,機動により大きく曲がることがわかります.これは弾丸の軌道が変化するのではなくて,観察している戦闘機が三次元的に動くからです.当然初速の遅い20ミリ機関砲は,目標に到達する時間がかかるので,余計に曲がって見える.そして上昇能力に優れ、横転,あるいは降下速度の遅かった零戦は機関銃の斉射の後,敵機の下を降下するのではなく,上昇することが多かったでしょう.このような機動をすれば,銃弾は垂れて見えます.この説明は本書でも書かれている通りです.これが20ミリ機関砲では顕著であったということで,同じようなことがドイツの30ミリ機関砲でも言われています.坂井三郎氏は7.7ミリ機銃と20ミリ機関砲では弾道特性が違いすぎて,7.7ミリ機関銃を測距銃として使えない,と述べていたと記憶しています.坂井氏はじめパイロットは概ね理科系の教育を受け,考え方は合理的です.またそうでなければ,飛行そのものが出来ません.どうもこの辺りは勘違いなのか,敢えて独自性を出そうとして墓穴を掘ったのか,よく分かりません.また後半の戦史部分は,冗長であり,蛇足のように思われます.

 残念ながら本書も零戦解説の決定版とはなり得なかったように思います.しかし零戦や戦艦大和は当時の日本の技術の到達点を示すと同時に,また限界を示すものでした.零戦でいえば,1000馬力を超えるエンジンがなかなか作れず,また機関銃も所詮外国のコピーでしかなかった.戦艦大和でいえば,船体構造は優れていても,やはりエンジンが問題でした.ディーゼルエンジンを断念し,蒸気タービンにしたものの,27ノットしか出せず,空母機動部隊との行動は出来ませんでした.このような技術の凸凹を戦後日本企業も持ち続けたことを忘れてはいけません.日本の乗用車は軽量化によってエンジンの非力さを補い,安全性に目をつぶり量産に励みました.そういう意味ではやはり攻撃はめっぽう強いが,一旦守勢に回るとからきし弱いという,零戦の二面性は明治以降の日本の強さと,脆弱性を象徴しているように思われてなりません.

tnakadat at 10:37|PermalinkComments(4)TrackBack(0) 書評 

October 07, 2009

これじゃ,鉄腕アトムならぬパチもんアトム

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ハリウッド製鉄腕アトムが放映されるようです.ハリウッド製と銘うってはいるものの,実質は香港製.しかしこの原作を見事に裏切るどうしようもない造形は何でしょう.だらしないアトムの飛行シーン,天馬博士や,お茶の水博士のセンスの欠片も感じない,ありきたりの立体化.なぜ虫プロ(あるいは手塚真氏?)はこの企画にノーといえなかったのだろう.ドラゴンボールの実写化もひどい出来でしたが,このアニメもまたひどい.こういう安易な契約は,自分の首を絞めかねませんよ.まあ日本の「どろろ」もひどかったし,「MW」もひどかったようですが.

tnakadat at 13:19|PermalinkComments(2)TrackBack(1)

「治癒証明書」を求めない学校もある

 試しにネットで「治癒証明」,「完治証明」で検索をかけると,物凄い数の学校のサイトに行き着きます.「治癒証明書をダウンロードして,医師に記載してもらうこと」と,ネットを利用して持ち込むものだから,全国各地で大変な量の「治癒証明書」が作成されていることでしょう.学校にこないで,ネットで書類を入手して,書いてもらいなさい.学校当局の感染対策は万全かもしれませんが,それ以外のことは全く考慮しない.管理者の視野はあくまで学校の校庭までしか及ばないようです.しかしよく考えれば,新型インフルエンザに感染した場合の休学,休職の基準は全国共通です.ですから医療機関受診の証拠さえあれば,そこから休みの期間は自動的に決まります.医療機関の領収書や処方箋の写しを提示すれば済むことです.このような教育機関は存在しないのでしょうか.調べてみるとありました. 中部学院大学,中部学院大学短期大学部です.サイトを見ると,インフルエンザに罹って欠席しても,不利益を蒙らないこと,医療機関を受診したことを示す領収書,処方箋を教務課に提出すれば,認められることが明示されています.この大学の入試偏差値は分かりません.しかし新型インフルエンザの対応を見る限り,学生に不安を与えず,かつ感染の蔓延を抑えるという,感染対策上極めて合理的な考えが見て取れます.一方治癒証明書,完治証明書を求める教育機関は,残念ながら視野が狭いという他ありません.先日紹介したワイルドスピードでは主人公の友人が「日本の学校は昼食も軍隊方式さ」と語ります.効率やスピードを求めれば,行き着く先は軍隊です.規律と絶対服従,これが日本の学校なのかもしれません.しかしこのような軍隊方式が,失敗だったことは,先の大戦や,バブル崩壊に伴う経済敗戦で充分懲りたはずではなかったか.コモンセンスや,寛容の精神,何より個人や個性を大切にする教育.これらが根付くのはいつのことでしょう.今は少数でも,こういう学校が増えてくることを望みます.

tnakadat at 06:46|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 記事,事件 

October 06, 2009

治癒証明書を求める愚

 新型インフルエンザに罹っていないという「陰性証明書」や「治癒証明書」を求める児童や保護者が医療機関に殺到するため,茨城県医師会は同県の教育委員会に,このような証明書の提出を強要,あるいは奨励しないよう,異例の要望書を提出したそうです.このような治癒証明書,陰性証明書による医療機関の混乱は,すでに沖縄県でも報告されており,沖縄では知事が声明を出しているほどです.なぜこのようなことが起きたのか.それは一重に学校の官僚主義と呼ぶ他ないのですが,学校保健安全法では確かに校長が感染症に罹っている,あるいは罹っている恐れのある児童生徒を出席停止にできる,と書かれています.感染症に罹っていることを,医師は証明することはできるでしょうが,治癒したことまでを証明せよ,とはどこにも書かれていません.ここまで安全性を求めるのは明らかに過剰と呼ぶべきです.

 しかも自治体の発行した新型インフルエンザ在宅療養の手引には発症から8日,あるいは症状の改善から二日は自宅で療養することを勧めているのに,このような治癒証明を求める生徒の多くは,決められた自宅療養期間を守っていません.一日でも早く登校あるいは,仕事に出るために治癒証明を求めてくる.自宅療養は患者の回復のためでもありますが,何より新型インフルエンザを蔓延させないためです.ところが生徒やその親は,出席日数や,授業の遅れが気になり,学校は自らの判断を放棄し,医療機関に下駄を預ける.挙句の果てに自宅で安静にしておれば良い患者が,病院の待合室に溢れ返ることになる.保健所は学校を指導する義務があるのですが,学校の管轄は教育委員会,上を辿れば文科省と厚労省という縄張り争いになるから,お互いに知らん振り.げに凄まじきは宮仕え,です.

tnakadat at 21:04|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 記事,事件