January 2010

January 31, 2010

NHKドキュメント:二本の木

 昨日再放送されていた番組.要約すれば元NHKディレクターだった小沢爽,小沢千緒夫婦のがん闘病記ということになります.しかしかつて一世を風靡した新井満氏の「千の風になって」のような,絵空事とは違い,赤裸々なまでに,癌の苦しみ,患者と家族の苦悩を描き出します.それはかつてドキュメンタリーを制作した爽氏へのNHKスタッフの敬意なのかもしれません.夫婦の日記と,写真,そして片岡仁左衛門氏と竹下景子氏の語り.本当に淡々とした構成なのですが,見る者を引きつけて離しません.癌の転移,抗がん剤治療,放射線治療,そして入院の不安,体が蝕まれてゆくのを認めざるを得ない悲しみ,諦め.それ自体はこの日本で普通に起きていることなのに,目をそむけずに,真正面から取り上げることから来る圧倒的な迫力と,最後に感じる夫婦の愛,家族の愛.

 最近のNHKは本当に力を感じさせます.新春の「居眠り磐音江戸双紙」,そして大河ドラマ「龍馬伝」.お金がかかっていることは間違いないのですが,民放のように主演する俳優にカネをかけたり,話題作りにカネを払うのではなく,ロケ地を吟味したり,撮影に時間をたっぷりかける.この番組も構成は極めてシンプルですが,じっくりと制作されたことを伺わせる出来でした.一方の民放はというと,もうはっきり言って「悪貨が良貨を駆逐する」という言葉がすっかり当てはまる状態です.もう日本の民放は,要らないのではないか.経営はともかく,少なくともコンテンツ制作という点では破たんしていると思います.ほとんどの番組が大人の鑑賞に耐えられないどころか,国境も超えられず,時代も超えられないでしょう.粗製乱造される番組は,どれも内容が似たり寄ったり.さらに脚本が漫画で,脚本にカネがかかっていない.一つの番組がヒットすれば,雨後の筍のように類似の番組が目白押し.最近アメリカのCSIシリーズや「24」シリーズに影響されたのか,警察モノが大流行りですが,いかんせんディテールが甘過ぎます.とても素面では見れません.むしろアメリカの人気ドラマがハリウッドで作られているように,制作と配給を分離すべきと感じるのですが,そうすればコンテンツの所有権と,イニシアチブは制作会社に移ります.テレビ局は絶対呑めないのでしょう.

 一方この番組の原作である「二本の木 夫婦がん日記」は自費出版でアマゾンでは入手できません.岩手では地元に在住の松田十刻氏の「26年2か月 啄木の生涯」という文庫本が話題となりました.盛岡市にある盛岡出版コミュニティーという,社員一人の会社が出版したものですが,2000部を売り,採算ラインを超え,商業的な目途が立ったとのことでした.最近文庫や新書は星の数ほど出版されていますが,何と文庫の採算ラインは1000部なのだそうです.とすれば電子化した方がずっと良いと考えるのが普通です.

 先日取り上げたアップルのiPadは電子書籍サービスの目途が立たないままだそうです.しかし潜在的には書籍の電子化は需要があるはずです.何となれば直ぐ廃刊になるから.たった数年前の書籍ですら入手困難ということがよくあります.しかも書店の店頭に並ぶ本を見れば,長い間読まれるべき本など,数えるほどです.日本の出版界は,音楽業界同様に,製品の寿命を短くする,サイクルを短くすることで大量生産,そして大量廃棄を繰り返してきました.さらに製版などの電子化や東販など,流通の合理化が一層拍車をかけたのでしょう.ところが大量生産で品質は劣化し,元々家内工業的だった日本の出版業界は悲鳴を上げているように思えます.

 とすれば出版業界も門戸を開放し,このような地方の出版や,自費出版に道を譲るしかありません.狭い日本のしかも東京の一地域でしか本が出版できない道理はありません.今アメリカの新聞はどんどん電子化し,しかもその紙面の構成はインドで行っているそうです.日本以外で日本語の電子書籍が配信されれば,日本の出版業界が空洞化するだけでしょう.紙の原料は木材で,エコやCO2排出を考えれば,大量の出版物が廃棄されることは,罪悪であることは間違いありません.

 いかに日本の出版業界や,新聞が電子書籍やネットを拒否しようとも,あるいはテレビがネットを排除しようとしても,もう流れは変えられないのではないか.ますます頑迷になる日本のマスコミですが,いずれ日航が破綻したように,このようなおかしな仕組みが成り立たなくなるのは時間の問題です.

tnakadat at 16:25|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 記事,事件 

ロシア製ステルス戦闘機の登場

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ロシア製ステルス戦闘機の試験飛行が成功したそうです.何だか,F-22のようでもあり,F-35のようでもあるのですが,ステルスと空気抵抗を考えると,デザインの選択肢は限られてくるのでしょう.翼手竜と鳥類のような相同性なのか,模倣なのかは,いずれわかります.アメリカ軍関係者は「ラプトルスキー」とでも呼ぶのでしょうが.おそらくステルス技術も,アメリカの独占物ではなくなりつつあるのでしょう.原爆が第二次大戦時には,莫大な予算と,最高の知性を集めて作られましたが,今ではパキスタンや北朝鮮といった途上国でも,その気になれば作れるのです.最初のステルス機であるナイトホークがすでに実用化から10年以上経っているのですから,軍事技術といえども,技術というのは拡散は避けられません.いずれ中国も自前のステルス戦闘機をつくるでしょう.では日本はどうするか.国産ステルス戦闘機の開発,という選択ももちろんあるでしょうが,ステルス機を探知する技術に予算を傾注してはいかがか.ステルスを探知する技術の萌芽はすでにあり,バイスタティック・レーダー,マルチスタティックレーダー,あるいは赤外線などが候補に挙がります.もちろんステルス技術で兵器産業を牛耳るアメリカも,ロシアも,中国も敵に回すわけですから,政治的な横やりや,スパイ活動に悩まされることでしょうが(笑).相変わらず朝青龍や,鳥取のホステスといった矮小なニュースばかりでは,この国は元気になりません.

tnakadat at 12:00|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 記事,事件 

January 29, 2010

マスコミが最大の抵抗勢力

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 アップルがタブレット型のパソコンを発表しました.「iPadを購入すべき10の理由」という記事がありますが,あまりにも的外れな内容で驚いてしまいます.誰が見てもわかるように,この製品はアマゾンの電子書籍,キンドルへの対抗商品です.ということは,アップルは音楽配信でコンピュータ部門の不振を補ったように,端末を供給することで,書籍というメディアを取り込む計画なのでしょう.ところがこの国では記者クラブの廃止さえ,おぼつかないほどマスコミの閉鎖性が強い.ニッポン放送を買収しようとしたホリエモンは逮捕され,記者クラブの廃止を宣言した小沢幹事長は事情聴取です.官僚や,マスコミなど守旧派にとっては,彼らは極悪人かもしれません.しかしこのままこの国は衆愚政治で良いのか.しかも衆愚の中心はおかしな報道を続けるマスコミです.マスコミは政治とカネというが,マスコミの透明性は全く担保されていません.ひたすら小沢疑惑ばかりを報道し続けるマスコミに鳩山首相の資質を批判する資格があるのでしょうか.霞が関や,赤坂など,東京のたった一握りの住人の都合だけで,残りの地域の人々は世界の流れから取り残されたままで良いのか.ホリエモンのブログでは東芝のcell Regzaの馬鹿馬鹿しさを取り上げています.私もこの商品は現代の戦艦大和だと思う.こんな商品しかつくれない日本の技術者は可哀想です.

tnakadat at 06:30|PermalinkComments(2)TrackBack(0) 記事,事件 

January 26, 2010

佐野愼一:沖縄 だれにも書かれたくなかった戦後史

沖縄 だれにも書かれたくなかった戦後史
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 日本のマスコミは,小沢幹事長の一連の報道を見るようにステレオタイプの情報を大量にばら撒きます.しかし真偽の程は別として,違った見方をする報道こそ貴重だと思います.これはサッカーや野球を見れば分るとおり,強いチームには「試合の流れを変える選手」という存在が不可欠です.皆が皆ゴール前に殺到する,あるいは皆が皆ホームラン狙いでは試合は勝てません.ところがなぜか一つの意見が圧倒してしまい,他の意見がなかなか出てこない.また自分と異なる意見を数で圧殺しようとする.この傾向は,マスコミに限らず,最近の学生の討論や,ネットを見ていても感じることです.

 あまりに表面的な勝ち負けに拘る傾向があり,そのためにディベートのテクニックを駆使する.つまり自分の得意分野では攻め,苦手と感じる分野では,徹底的に論争を避け,逃げを打つ.こういうテクニックや,レトリックの指導ばかりがもてはやされているような気がするのです.しかし真に議論を深めるのは,大勢が固定した視点から逃れられない時に,違った視点を提供するものです.ところが子供の頃からの受験戦争のせいか,この国の民族性なのか,そのような姿勢がなかなか育たない.「多勢に無勢」,「長いものに巻かれろ」,戦前よりもむしろ戦後の民主主義教育がこのような前近代的な性向を育てているとすれば,これは歴史の皮肉とも呼ぶべきものです.

 沖縄というと,マスコミは「反戦と平和」,「常夏の島」,「ジュゴンとサンゴ」とステレオタイプの報道を繰り返します.また日米同盟といえば,東アジア安定のためには日米安保や米軍基地は不可欠と,まるで議論の余地がないように語ります.しかし昨今のドル下落や,アメリカの経済情勢を見れば分かる通り,アメリカの覇権が永久に続くとは思えず,東アジアの軍事的な安定にアメリカが関与し続けなければならないという必然性は全くないのです.むしろ歴史的に見て,今世紀中にアメリカの覇権は失われると考えるのが自然です.防衛省や,外務省はアメリカ無き東アジア情勢を考えなければならず,それこそが独立国の官僚の責務でしょう.

 この本は佐野氏が月刊プレイボーイ誌に連載したものをまとめたものだそうですが,マスコミが書こうとしなかった沖縄を活写しています.例えば軍用地の所有権が,高価に売買されているという現実.国が地主に支払う借地料は年間900億円.その上昇率は,高いところでは年3%にも上るため,国債や銀行預金より利回りが良いということで,軍用地の所有権が投機の対象になるわけです.これは返還される可能性が少ないほど高価に取引されるわけで,返還される可能性の最も少ない嘉手納だと倍数が36倍にもなるそうです.基地といえば,騒音被害や,少女暴行,軍用地の地主といえば,反戦.そういった沖縄返還から全く変わらないステレオタイプの報道では,沖縄の現実が見えてこないのは自明なことです.美女だってオナラもすれば,排便もする.沖縄もマネー資本主義の荒波で生きていることだけは間違いありません.

 したがって普天間基地の移転にはこのような地主や,建設業者の思惑が当然絡んでくる筈です.沖縄本島の面積のおよそ20%が米軍基地なそうです.米軍基地を移転したくとも,米軍基地に依存する経済はどうするか.反戦や平和だけでは生きてゆけない.それが沖縄県民の本音でしょう.しかし沖縄はむしろ地理的にも,歴史的にも中国にずっと近く,台湾からの観光客も多いようです.名護市の市長選では辺野古移転反対の稲嶺氏が当選しました.夏の参院選の後では県知事選があります.現職の仲井真知事の当選には公明党の支持が大きかった,と書かれています.沖縄も日米関係も,マスコミが報じないだけで,どんどん変化してゆくのでしょう.

tnakadat at 07:34|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 書評 

January 24, 2010

検察とマスコミの匿名性こそ問題

 昨日民主党小沢幹事長が事情聴取を受けました.事情聴取後の記者会見では,これまでの主張を繰り返し,記者の質問にも冷静に応じていました.産経新聞や読売新聞は相変わらず,小沢氏と民主党を批判していますが,この事件の終わりが始まったように感じられました.

 小沢アレルギー,嫌民主の方たちには申し訳ありませんが,そもそもこの政治資金規正法違反容疑が,事件性に疑問があります.小沢氏が師と仰ぐ故田中角栄首相が失脚したロッキード事件は,コーチャン証言から始まり,ロッキード社という外国企業と,全日空,そして当時の首相を巻き込んだ大掛かりな疑獄事件でした.今となっては田中角栄氏がどの程度関与していたか,噂に上った中曽根氏が関与していなかったか,疑問はあるものの,倫理的にも,国益からも重大な犯罪だったことは間違いありません.

 ところが検察やマスコミは何とか土地購入資金の原資を,胆沢ダムに絡んだゼネコンに持ってこようとしたようですが,無理があることは明らかです.初めは4億円が怪しい,それが3億5000万は小沢氏個人名義,残り5000万は水谷建設となり,石川議員も大久保秘書も水谷建設から献金は受け取っていない,と言っているのですから,公判の維持も難しいのではないか,と思います.

 それでもマスコミは「自由党当時の政治資金を持ち逃げした」とか,「小沢氏の土地購入は異常」とまるで犯罪者扱いです.もし全ての資金の出所や使い道を明らかにせよ,と言われて答えることのできる企業はいるでしょうか.そんなことをすれば,現在進行中のプロジェクトや顧客情報も漏れてしまいます.「やましいことがなければ,事情聴取に応じろ」というのも乱暴な議論です.やましいことが全くない人間など,そうはいないでしょうし,無実の人間が有罪になったからこそ,取り調べの可視化が叫ばれているのです.小沢氏の疑惑と,足利事件の再審が並んでいる社会面は皮肉そのものです.

 ただ小沢氏が事情聴取に応じるまでに,潮目が変わってきたような気がします.一つは皮肉なことに足利事件の再審が始り,検察の取り調べテープが報道されたことです.元検事が謝罪に応じなかったことも報道されました.そもそも足利事件で冤罪被害を受けた菅家さんは家宅捜索で,大量のポルノビデオが押収され,「子供を見る目がおかしい」と証言されたのだそうです.この押収されたポルノビデオには小児性愛のものはなかったそうですが,日本ではプロファイリングの概念は希薄なのでしょう.捜査が稚拙だったのはDNA鑑定だけではないのです.また成人男性でポルノビデオを見たことがない,という人は稀でしょう.

 さらにマスコミと検察の不適切な癒着ぶりが,上杉隆氏らによって明らかにされました.先日紹介した永田町異聞という元記者のブログでは検察の裏金を告発し,微罪で有罪収監された元大阪地検三井環氏のことが書かれています.三井氏は1月18日満期出所されたそうで,おそらく検察にとっては嫌な相手でしょう.池田信夫氏は「そもそも検察は「リーク」しているのか。一般論としては、捜査当局が夜回りしてくる記者に捜査情報を明かすことはあり、容疑者をクロにする材料を教える傾向もあるが、そんなに簡単に教えてくれるものではない。記者が独自に取材して「こういう話を聞いたが本当か?」と捜査官に「当てて」顔色を見て書く、といったきわどいやり方でやっているのだ。もちろん司法クラブ以外の記者にはそういう特権もないが、クラブに所属していればリークしてくれるといった甘いものではなく、捜査官との個人的な信頼関係がないと教えてくれない。」と書いていますが,もし検察関係者から記者が個別に取材しているのならば,これほど記事が似ているのはなぜなのでしょう.

これは石川議員が収支報告書に虚偽記載をしたという1月21日の記事です.

 まず読売新聞:小沢一郎・民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」の土地購入を巡る政治資金規正法違反事件で、逮捕された石川知裕衆院議員(36)(民主)が東京地検特捜部の調べに、土地購入前の2004年10月下旬頃、土地代金に充てる現金4億円を同会の同年分の政治資金収支報告書に記載しない方針を小沢氏に報告し、了承を得ていたと供述していることが、関係者の話で分かった。
 特捜部は、収支報告書の虚偽記入容疑について、小沢氏が石川容疑者らと事前に共謀していた疑いがあるとみて、小沢氏自身の刑事責任追及を視野に捜査している。

 次は朝日新聞:小沢一郎・民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」が土地の購入原資4億円を政治資金収支報告書に記載しなかった事件で、事務担当者だった元秘書の衆院議員・石川知裕(ともひろ)容疑者(36)=政治資金規正法違反(虚偽記載)容疑で逮捕=が東京地検特捜部の調べに対し、「報告書は小沢氏の了解を得て提出した」と説明したことがわかった。ただ、記載内容まで了承を受けたかどうかは話していないという。 特捜部は小沢氏の参考人聴取を早ければ今週末にも検討している。聴取では虚偽記載に対する小沢氏の関与の有無や認識の程度を慎重に調べるとみられる。

 最後は毎日新聞:小沢一郎民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」の土地購入を巡る事件で、政治資金規正法違反(虚偽記載)容疑で逮捕された同党衆院議員、石川知裕容疑者(36)が東京地検特捜部の調べに「土地を買う金は、かき集めれば何とかなるが、陸山会の運転資金が空になるため、小沢氏に相談し4億円を借りた」と供述していることが分かった。その際、石川議員は小沢氏の公設第1秘書、大久保隆規容疑者(48)=同法違反容疑で逮捕=と相談したという。問題となった土地購入に小沢氏が深くかかわっていたことが改めて浮かんだ。

 各紙の記事には微妙な違いはあるけれども,本筋は同じです.これらの情報を検察「関係者」は「夜回り」記者にいちいち教えているのでしょうか.担当の検察官は記者の取材に応じてはいけないことになっていますから,検察「関係者」はこのような詳細な情報を前もって検察官から入手しなければなりません.しかもこの事件が起きてから連日のように「関係者の話」が各紙の一面を賑わしました.これは検察の全面的,かつ組織的,意図的なリークがなければ不可能なことでしょう.本来公判前に捜査情報を漏えいするのは国家公務員法違反のはずです.

 もう一つの可能性は,記者同士が情報を融通する方法です.このような情報の融通,二次使用が行われていることは,個人的に知ってはいますが,これもおかしな話で,マスコミが報道の自由や,情報の信頼性を謳うのであれば,二次使用であることを明記した上で,情報源を記すべきでしょう.新聞社は記事のブログへの転用を批判しますが,自分たちが情報の大量複製を行なっていることは全く無視しているのです.

 池田氏は最後に「日本のウェブが匿名IDによって汚染されているように、匿名は情報の倫理を堕落させる。匿名の影に隠れていい加減な報道をするメディアもあるだろうが、それは最終的には読者が判断するしかない。取材源の秘匿が許されないと、調査報道は不可能になる。民主党は、新聞がプレスリリースと記者会見だけで埋まることを求めているのだろうか。 」と書いていますが,前段の匿名による汚染は,ネットに限らないのです.検察もマスコミも匿名化により汚染され,自浄能力を放棄しています.日本は新聞もラジオもテレビも系列化していますから,読者が判断しようにも選択肢がない.そうやってマスコミは生き残ってきたことは池田氏もご存じでしょう.しかし,透明性を高める方法はあるのです.

 それは検察が記者会見を行えばよく,また司法記者クラブなる密室をなくすことです.また情報源を秘匿するのであれば,署名記事にすればよい.情報源も不明,記者も匿名では,読者は何を信じればよいか分かりません.また署名記事が定着すれば,検察のリークを一方的に書くような,また各社横並びの記事も無くなるでしょう.これは日本以外では常識であると思うのですが,池田氏は失念しているのでしょうか.

 先週公明党の山口代表は夏の参院選で「民主党候補支援もある」と発言しました.民主党も,国民新党も,公明党も中道です.可視化法案でも公明党は支持すると発表しました.自民党は公明党の支持なしでは大苦戦でしょう.左派共産党と,右派自民党が共闘する可能性はなきにしもあらずですが,それでは国家社会主義政党になってしまいます(笑).となると検察が頑張って小沢氏を排除しようとしても,民主連合政権は参議院でも過半数を取り,検察を含め官僚は万事休してしまいます.おそらくここが検察の引き時なのでしょう.検察は面子を保ち,小沢幹事長は実を取った,そんな事情聴取ではないでしょうか.

 追伸:堀江貴文オフィシャルブログに「リーダー不在の時代」として,このように彼は書いています.核心を突いた内容だと思います.

そもそも小沢氏が蓄財しているとしてそれは何のためなのか?ということだ。昨日のニコニコ動画で自民・民主両議員と田原総一郎氏に伺ったところ、それは政治資金のためだということだ。つまり彼が集めた金が民主党議員のモチ代になっているのだと。つまり、彼は個人的に蓄財をしたいというよりは政治活動を円滑に進めるために蓄財をしていることは間違いないそうだのだ。

鳩山首相はたまたま両親が資産家だったからいわゆる井戸塀政治家のように自分の財産を政治活動につかっているが、それほどまでの裏づけのない小沢氏は献金に頼るしかないだろう。それほどまでに情熱を傾ける政治家は日本にとって重要だと思うのだが、そうではないんだろうか?

もしこんなことで小沢氏が政治の表舞台から去ると、次は誰がリーダーシップを取るのだ?そもそもうやむやになっていた大久保元秘書の問題で首相になるはずだった小沢氏が引き、鳩山氏が首相になった。それを二重権力体制などと揶揄する向きがあるが、その原因を作ったのは検察だろう。本来ならば力のあるリーダーシップが取れるものがトップに就くべきだ。
 
 加藤陽子教授が書いているように,政治とカネは二大政党政治と密接な関係があります.北朝鮮のような一党独裁ならば,国民に選択の自由がないのだから,選挙にカネは要りません.選挙が激化すれば金は要るし,落選したら次の選挙までやはり金がかかります.それは与党から野党に転落した自民党議員こそ,身に沁みて判っている筈です.そもそも民主主義は,金も時間もかかるものです.選択肢が多いというのは,反面無駄も多い.しかし人間の遺伝子が二本鎖DNAから成るように,コンピュータも飛行機もバックアップが当たり前です.これを冗長化と呼ぶのだそうですが,政治もまた冗長さは避けられません.つい最近までマネー,マネーと日本を挙げて大騒ぎしていたのに,いつからマスコミは小沢氏の錬金術を非難する,清貧の人になったのでしょうか(笑).廃刊が相次ぐアメリカの新聞を見れば,新聞の明日は,清貧どころか極貧が待っているとしか思えないのですが(笑).

tnakadat at 19:39|PermalinkComments(5)TrackBack(1) 記事,事件 

January 21, 2010

木村盛世:厚労省と新型インフルエンザ

厚労省と新型インフルエンザ (講談社現代新書)
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小沢氏の資金管理団体の話題で,この話題がなかなか取り上げられませんでした.幸いわが国では,新型インフルエンザの被害は想定より遥かに低かったけれども,新型インフルエンザにまつわる混乱は酷いものでした.厚労省は毎日のように通達を出すけれども,意味不明のお役所言葉ばかり.優先患者が先か,子供が先か,と政権交代で事務次官になった足立氏と白熱した議論を行ったのは良いとして,どこで子供たちに接種するのか.昔は学校で強制接種を行ったけれど,今は任意接種です.小児科で接種しようとすれば患者と一緒になりますから,どう考えても無理があります.さらに致命的なミスはワクチンのバイアルを10mlとしたこと.成人で20人分,小児なら30人から40人分になります.集団接種でなければ使い切ることはできません.地域の保健所を活用したら,と厚労省幹部は考えたようですが,小泉政権時代に縮小,統廃合を繰り返した保健所にその余力はありません.結局小児科でインフルエンザの診療も予防接種も行うことになりました.しかも余ったワクチンを孫に接種した診療所の医師が批判されたり,福井県の病院が使い切れなかったワクチンを廃棄した,とマスコミは相変わらずおかしな批判ばかり.批判の矛先はこんなバイアルを採用した厚労省の責任者に向けられるべきなのに,末端の批判ばかり.譲渡したり,優先患者以外への接種を禁じているのですから,誰かに接種できなければ廃棄する他ないということが分からないのでしょうか.この本に書かれているように現在の官僚制度は厚労省をはじめに根本的に時代遅れになっています.ネット右翼が敵視する中国が一流医学雑誌ニューイングランド・ジャーナルに中国における新型インフルエンザの流行を投稿しました.日本はすでにこの分野でも中国に敗北しつつあるのです.

tnakadat at 15:00|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 書評 

January 19, 2010

やはり記者クラブ制度は撤廃すべき

今日のニュースで小沢幹事長が事情聴取に応じる,と弁護士が語ったとあります.潔白ならば潔く事情聴取に応じるべきだ,と自民党や共産党,民主党の前原大臣などが主張していますが,そんなに簡単ではありません.全国紙社会部を辞めた元記者の書かれている永田町異聞に,鈴木宗夫議員の例を挙げてその理由が書いてあります.

2002年6月19日、斡旋収賄罪で東京地検特捜部に逮捕された鈴木宗男は、その三日前、全日空ホテルで事情聴取を受けた。「その取り調べは、セレモニーに過ぎなかった」。鈴木は著書「汚名」のなかで、そう書いている。
鈴木は必死になって身の潔白を主張した。必要な資料も提出するし、証人を集めることも約束した。しかし、検事らは聞くだけ聞いて、あっさり切り上げた。
そのとき彼は「“事情聴取を受けた”という既成事実を作るために呼ばれたことを理解した」という。東京地検特捜部、鈴木宗男議員を事情聴取」というニュースが列島をかけめぐったのは言うまでもない。
否認し続け、4畳のコンクリートの独房で耐えた437日間にわたる拘留劇の序章となった。

これは鈴木宗夫議員の「汚名」に詳しく書かれているので,記者が知らない筈はないというのです.ではなぜ記者が横並びで検察のリーク情報を垂れ流すかというと,その理由は司法記者クラブの存在です.「東京高裁内にある司法記者クラブは加盟するメディアは朝日、読売、共同など新聞・通信13社と、NHK、日本テレビなどテレビ6社。ふだん、記者たちは裁判を傍聴するか、地検幹部、すなわち検事正、次席検事による記者会見を聞いて、原稿を書く。取り調べにあたっている検事に直接、取材することは許されていない。」
つまり閉鎖的な取材を強要され,記者会見とは別の場で「関係者の話」を聴かざるを得ない.またその「関係者の話」を記事にしなければ,検察の情報は得られず,他社に出し抜かれれば上司の叱責を食らうか,ダメ記者の烙印を押されてしまうというわけです.
 
 しかし「記者クラブが、特定メディアの既得権であるとともに、官庁側にとっても世論操作に利用できる、持ちつ持たれつの仕組みであることは周知の通りだ。それにしても、官庁の役人にまともにモノを言えず、ただただその論理に従う記者クラブは、司法記者クラブ以外にないのではないか。」と書かれているように,この事態は明らかに異常です.

 ちなみにその被害者の一人(しかもまだ係争中)である堀江元ライブドア社長のブログはこちら.彼は正義原理主義と呼んでいますが,検察も司法記者クラブも,これではゼネコンの談合と全く変わるところはありません.談合を断罪したり,批判する資格は彼らにあるのでしょうか?



tnakadat at 13:20|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 記事,事件 

January 18, 2010

Saturday Night Massacre 土曜日の夜の虐殺

 小沢氏の資金管理団体の一連の逮捕で,テレビも新聞も,週刊誌も「小沢一郎」で一色です.普天間基地も,経済対策も,外国人の地方参政権も全くなし.おそらく後者は小沢氏を狙った動機の一つな筈ですが,どうにもマスコミは触れたくない話題のようです.さてこの大騒ぎを見ていると,クリントン政権のあのモニカ・ルインスキー疑惑を思い出してしまいました.この疑惑の前,すなわちアーカンソー州知事時代からクリントン大統領は女性問題のスキャンダルを抱えており,野党共和党や保守,キリスト教右派にとって絶好の攻撃材料であったからです.この点は小沢氏の献金疑惑と全く同じです.

 このクリントン大統領の疑惑を調べたのがケネス・スター独立検察官でした.この独立検察官という制度の歴史は意外に新しく,1978年に出来たものだそうです.1973年当時のニクソン大統領が,ウォーターゲート事件を調査中だった特別検察官アーチボルド・コックスを解任、司法長官エリオット・L・リチャードソン、司法次官ウィリアム・D・ラッケルズハウスを辞職に追い込みました.この解任劇をSaturday Night Massacre 土曜日の夜の虐殺と呼ぶのだそうです.その後1978年「土曜日の夜の虐殺」がきっかけとなり、ワシントン連邦高裁が任命する独立機関の設置を定める特別検察官設置法が可決されたのだそうですが,何とクリントン大統領の行き過ぎた捜査が問題となって,今では廃止されたのだとか.この変わり身の早さこそアメリカの真骨頂なのでしょう.

 今回の逮捕劇を見ていると,「世論を正す会」なる市民団体(おそらくダミーなのでしょうが)による告発を受けて東京地検が捜査する形になっており,検察の独断専行という批判をかわす形にはなっています.しかし先に挙げたアメリカの司法制度の変化の速さに比べ,あまりに硬直化していると言わざるを得ません.

 もしあなたが突然身に覚えのない容疑で逮捕され,「調書が取れないと家には帰れない」と脅かされたり,本来公判前には明らかにされない筈の自白が一斉にマスコミから垂れ流されたら,どう感じるでしょう.人々から口々に「潔白ならば真実を語れ」,「事情聴取に応じろ」と罵られ,はては全人格が否定されるのであれば,そこには法の支配はありません.それでは暗黒の中世ヨーロッパか,西部開拓時代か,あるいは悪名高い独裁国家北朝鮮です.我が国には不逮捕特権どころか,全ての国民に黙秘権が認められている筈なのですが.

 足利事件の再審公判で取り調べ録音テープが開示されることになりました.この事件と,今回の逮捕劇とに何ら共通性を見いだせないとしたら,マスコミはジャーナリズムどころか,近代の人権について全く無知であることを自ら暴露するようなものです.

tnakadat at 11:17|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 記事,事件 

January 17, 2010

自浄作用とマスコミはいうが

前原国土交通大臣が「小沢幹事長はきちんと説明すべきだ」と語りました.この人がニュースに出たとき,ふとあの偽メール事件を思い出しました.永田議員を自殺に,前原代表を辞任に追い込んだ事件です.あの偽メール事件を仕組んだ西沢孝という元記者の消息は,今どうなっているのでしょう.関係のあった週刊ポストも口をつぐんだままです.たとえ軽率とはいえ,仮にも一人の国会議員を自殺に追い込んだ,私文書偽造の立派な犯罪者です.彼を追うジャーナリストは一人もいなかったのでしょうか.

 さて今回の石川議員逮捕のきっかけになった告発状を提出した「世論を正す会」.いくらネットで探しても全くその全貌は不明です.しかし似たような団体は見つかりました.一つは「日本世論の会」 小泉政権に近く,産経新聞やチャンネル桜などとも近い三輪和雄氏が会長を務めています。もう一つが「NHKを正す会」.これもやはり保守系サイトで,やはり産経新聞と近いようです.この二つを足せば謎の市民団体「世論を正す会」になります.自民党の勉強会に出席した元秘書は維新政党・新風から立候補する予定といいますから,これらを結ぶ線上には親米保守から,右翼という形が浮かび上がります.しかし腑に落ちない部分がいくつかあります.

 まずこの「世論を正す会」なる団体がマスコミに全く出てこない点.おそらく小沢氏の資金管理団体を摘発するためだけの「市民団体」なのでしょうが,右翼なりの美学が全く感じられない.また広辞苑によれば「世論」とは世間一般が唱える論,と書かれています.世論を正すとは,世間一般が誤っているから正しくするということに他なりません.もし罪悪を追及するというのであれば,「糺す」,また世論に問うというのであれば,「質す」と書くのではないか.この辺りの無神経さが一見すると右翼を装いながら,どうも実体は違うような気がするのです.ちょうど赤報隊事件が右翼を装ったように感じられたように.

 そういえば小沢氏の周辺には弾丸が送り付けられたり,「山形に帰れ!」という暴漢が登場したり,自宅に火炎瓶を持ち込もうとする輩が現れたりと,不思議なほどかつての右翼を髣髴とさせる事件が続きました.これなどもいかにも右翼が関与しているような印象を持たせる陽動作戦のように思われます.しかし東京地検に持ち込んだ告発状はおそらく右翼の手になるものではないでしょう.もっと冷静な,陰湿な意図を感じざるを得ないのです.

 しかし相も変わらず検察のリークを「関係者の話」として報道し続けるマスコミたち.公判前に一方的に報道することが裁判員に誤った印象を与える,といっていたのはどこの誰だったのでしょう.しかも謎の市民団体については誰も口をつぐんだままなのです.自浄作用がないのは一体どちらなのか,誰が見ても明らかではありませんか.

tnakadat at 21:50|PermalinkComments(0)TrackBack(1) 記事,事件 

January 16, 2010

軽部謙介:ドキュメント アメリカの金権政治

ドキュメント アメリカの金権政治 (岩波新書)
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「世論を正す会」なる団体の正体は,いまだ分かりません.しかしこれまでの例えば,前原代表を辞任に追い込んだ偽メール事件とは,どうも違った手口のように感じます.この本はアメリカの政治と金について記述したものです.日本では政治家は金にあくまで清潔でなければならない,とマスコミや共産党,そしてこっけいなことにちょっと前まで与党だった自民党までもが大合唱です.

 しかし今回の事件で話題になった,小沢幹事長が購入したという世田谷区の土地にしても,寮として購入したという言葉通り,大した広さの物件ではありません.盛岡のような地方都市ならば,おそらく一億もしないでしょう.地価が高騰した東京ならではの値段なのです.また前金を渡したり,秘書が議員から借りるのに,いちいち借用書は書かないでしょう.疑えばきりのない話です.

 さて一昨年のアメリカ大統領選挙で一体どれだけの金が動いたか.オバマ候補一人で集めた金は7億7000万ドル,民主,共和党双方で24億ドル,さらに連邦議会選挙や,規制対象外のいわゆるソフトマネーと呼ばれるものを含めると,53億ドルにも上るといわれているそうです.もちろんこのような金権政治に対しては,アメリカ国民からも強い批判があり,特にオバマ大統領の集金テクニックが偽善である,と糾弾しているのがPublic citizenという市民団体です.

 この団体は1971年に設立され,市民の寄付によって成り立っていることがサイトに書かれています.もし「世論を正す会」なるものが実在するのならば,自らの主張と,どのような資金で成り立っているか,説明すべきです.東京地検が捜査に乗り出すほどの証拠を集めることは,一介の市民に出来るとは思えないからです.もしこの「市民団体」が実体のない,産経新聞や,東京地検あるいは自民党のダミーであったとしたら,それは政治家の偽装献金を糾弾する資格がないどころか,国民を欺く悪質な犯罪と呼ぶべきです.

tnakadat at 14:19|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 書評