February 2010

February 28, 2010

民放テレビは第二の日航

 バンクーバー・オリンピックを見ていると,民放の経営状態があまり良くないであろうことが如実に分かります.まず前回トリノに比べても,中継が減り,ほぼNHKの独占状態です.しかもトリノでは嫌になるくらい放送された安藤美姫選手のようなCMも少ない.4年前には液晶テレビやレコーダーといった家電メーカーがまだまだ元気でしたが,今ではサムスンなどに押されて,ソニーもパナソニックも苦戦です.さらに北米では例のトヨタのリコールで揺れていますから,トヨタのCMも自粛ムードなのでしょう.

 対照的にNHKはジャンプの金メダリスト,シモン・アマン選手を取り上げたNHKスペシャル「空飛ぶ魔法使い」やアルペンのアクセル・スピンダル選手の「極限の恐怖に挑む」など質量ともに民放を圧倒しています.いまだに民放の正規職員の年収は日本のトップクラスのようですが,下請,孫請けと外注が主体で,しかも何もしないテレビ局が制作費を奪い取り,肝心の制作会社に制作費が回らないというかつての日本の製造業の悪習がそのままです.仕方がないのでお笑いタレントを使い,セットの費用が安い,ロケやバラエティー,クイズ番組だらけ.しかしどんどん質が低下し,まさに「悪貨が良貨を駆逐する」状態で,まるで日航が旅行会社にキックバックを行って,経営悪化に陥ったのと同じ構造です.

 彼らは今回の浅田真央選手や,上村愛子選手,スピードスケートの高木選手,そしてカーリング女子のようにテレビ映りの良い,あるいはスポンサーがつきそううな選手ばかりを取り上げ,さらにキムヨナ選手が転倒したとか,まるで大人げない報道を繰り返します.地上波デジタル移行前でこの体たらくですから,おそらく民放の幾つかは,ソチオリンピックまでもたないでしょう.浅田選手のことより低能,悪質な民放の統廃合を考えたほうが良い.総務省は携帯電話に比べ不当に安いテレビ局の電波使用料を上げ,経営が悪化した民放の淘汰を行うべきです.

 空いた電波帯域は,池田信夫氏が以前から書いているように,電波オークションにしてもよいし,外国のテレビネットワークに売りに出しても良いでしょう.BBCや中国電視台,アルジャジーラ,アメリカのCNN,PBSなど,候補は沢山あります.この国の成長力を削ぎ,考える力を奪い,子供の学力を低下させる最大の原因は,「おバカ」な民放テレビです.一昨年お隣秋田県が学力一位に輝きましたが,おそらくテレビ,ことに民放テレビの視聴時間と学力は,きれいに逆比例するに違いありません.

tnakadat at 11:15|PermalinkComments(4)TrackBack(0) 記事,事件 

バンクーバー・オリンピックもそろそろ終わる

 女子団体パシュート決勝で日本は銀メダルを獲得しました.今朝の朝日新聞には田端選手と穂積選手が所属する富山県の地質調査会社「ダイチ」を取り上げています.年間売上9億円,社員40名の中小企業なのだそうです.遠征旅費に年間2000万円かかるということですから,大変な負担です.しかし私はむしろ小平奈緒選手の所属先に興味を持ちました.

 彼女は信州大学を卒業後に長野県松本市の相澤病院にスポーツ障害予防治療センターのスタッフとして勤務しているのだそうです.現在スポーツ選手は出身大学の研究生などとして,仕事とスポーツを両立させるケースが多いのですが,今後は彼女のように医療機関や,福祉施設などに務めるケースが増えるのではないか,と思います.トップアスリートの身体能力や,その障害を防ぐ技術は,おそらく通常の患者にもフィードバックされると考えられるからです.

 かつては冬季オリンピックといえば,コクドとか西部電鉄,雪印,三協精機といったゼネコンや,製造業のしかも大企業が中心でした.しかしコクドも,西部電鉄も,雪印もすでに往時の勢いはありません.スピードスケートの及川祐選手の所属は岩手県で生まれ,北海道を中心にチェーン展開するびっくりドンキーです.

 浅田真央選手が銀メダルに終わって一日経った昨日の新聞紙面を見ると,ほとんどお涙頂戴の記事ばかりでした.その中でスポニチの第三面に書かれていた記事だけが冷静なプロらしい分析だったように思います.それは浅田選手が昨年から極端なスランプに陥っていたことで,本来浅田選手は技術点で高得点を稼ぎ,一方ライバルであるキムヨナ選手は演技力,構成力で対抗してきたというのがジュニア時代からの構図だったのだそうです.

 ところがキムヨナ選手は3回転+3回転を成功させたのに対し,浅田選手は3回転半ジャンプが安定しない.結局3回転半ジャンプは成功させたものの,その後のジャンプを2回転にせざるを得ず,またその高さもキムヨナ選手に比べると見劣りするものであった.すなわち浅田選手は相当なハンデがあり,ショートプログラムの得点差は順当というより,むしろ上出来だったというべきでしょう.ところが日本のマスコミは大騒ぎ,練習でキムヨナが転倒したとか,これでは贔屓の引き倒しです.彼女や安藤選手に余計なプレッシャーをかけないのが,大人の対応でしょうが,今の日本のマスコミには無理な話です.マスコミはこぞってトリノオリンピックの荒川選手の金メダルを引き合いに出し,「追いかけるほうが精神的に有利」と言いましたが,彼女が重圧を免れたとすれば,日本のマスコミが安藤美姫選手に集中した故でしょう.浅田選手は端正な顔立ちに隠れて,結構負けず嫌いなのだと思います.残念ながらフリーの後半,極度の緊張のためミスをしてしまいました.愚かなマスコミの犠牲でない,と誰がいえるでしょう.

 もちろん彼女は4年後のソチオリンピックを目指すのでしょうが,キムヨナ同様,彼女も4年前は年齢制限で出場できませんでした.キムヨナも浅田選手も,下の世代の追い上げを受けることでしょう.私は歴代最高というキムヨナ選手の高得点を見て,同じカナダで行われたモントリオール・オリンピックを思い出しました.彗星のように現れたルーマニアのナディア・コマネチ選手は次々に10点満点を叩きだし,金メダルをさらいました.コマネチ選手以降の女子体操は,贅肉をそぎ取った選手による高度な技の応酬となり,いっそうの低年齢化に拍車がかかりました.女子フィギュアスケートも同じ道をたどることは間違いなさそうです.採点を巡る審査員の疑惑から純粋なポイント制となり,このような技の難易度による勝負になることは,競技である以上避けられないことかもしれません.しかしトリノオリンピック荒川選手のような演技がこれからは見られないとすれば,この進化は正しいのか一抹の疑問が残ります.

 オリンピックは今後どうなるのか.スポーツは今後どうなるのか.今回のオリンピックでも開催前に死者が出たり,温暖化のためか気象条件が不安定と,少なからぬ問題がありました.少なくともオリンピックは平和の祭典,バラ色の未来が待っているというのは,いささか楽観的に過ぎるように感じられます.

tnakadat at 09:08|PermalinkComments(2)TrackBack(1) 記事,事件 

February 26, 2010

勝負はもうついている

 いよいよ女子フィギュアのフリーが始まりました.マスコミは浅田真央選手と,韓国のキムヨナ選手の日韓対決を煽っています.私は浅田真央選手にぜひ金メダルを取って欲しいし,安藤選手や,鈴木選手にも入賞してほしいと思いますが,日韓対決はすでに決着がついています.2月25日時点で韓国のメダル数は10,日本のメダルは3個,金メダルは韓国が5個,日本はゼロですから,たとえ浅田選手が金,安藤選手が銀や銅でも,日韓対決は日本の惨敗です.たかがスポーツ,たかが冬季オリンピック,韓国はメダルを取るとインセンティブがあるから,などと言い訳をするかもしれませんが,サムソンが40インチの大型液晶テレビを破格の安値で売りだしたというニュースを見れば,これは経済にもすっかり当てはまることが明らかです.

 政権交代からすでに半年が過ぎようとしていますが,マスコミは「政治と金」の報道ばかり.しかし小沢氏の資金問題がどれほど日本の現状や将来に影響があるというのでしょう.蜘蛛の糸のように張り巡らされた事細かな法律や,既得権益が日本の活性化を阻んでいることは,すでに明らかなのに,全く手がつけられません.官僚の裏金や,天下り,そして天下りの度に支払われる高額の退職金はどうなったのか.検察は正しい,小沢一郎は巨悪だ,と池田信夫氏や,立花隆氏は書きますが,検察が官に巣食う,裏金や天下りをきちんと捜査しているのでしょうか.私の知る限り裏金問題で逮捕されたのは,この問題を公表しようとした元大阪地検の三井環氏だけですが.

tnakadat at 13:05|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 記事,事件 

February 25, 2010

「カーリングおばさん」になってほしい

カーリング女子チームは予選通過ならず,8位に終わってしまいました.チームの要,元橋選手は,オリンピック終了後転身がすでに決まっている,とスポーツ紙が報じているそうです.何だか残念です.今大会で日本チームは得点が取れなかった.あるいは大量点を許してしまった,それが敗因のようです.しかしあのドイツやスイスなどを見ていると,彼女たちに欠けているものは経験ではないか,と思います.四年前のトリノオリンピックでは小笠原(旧姓小野寺)歩選手がチームを引っ張りました.元橋選手もまだまだ引退しないで,目黒選手などとともに4年後,8年後を目指してほしい.マスコミも「カー娘」などと呼んで色物扱いせず,彼女たちがおばさんになっても取り上げていただきたい.何しろカーリングは氷上のチェスと呼ばれているそうですから,人生経験を積み,老獪になった手強い彼女たちのプレーを見てみたい.

tnakadat at 14:36|PermalinkComments(2)TrackBack(0) 記事,事件 

February 21, 2010

ディビッド・ハルバースタム:ザ・コールデスト・ウインター 朝鮮戦争

ザ・コールデスト・ウインター 朝鮮戦争 上
ザ・コールデスト・ウインター 朝鮮戦争 上
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2007年交通事故で死亡したディビッド・ハルバースタムの遺作となった作品.ネットの評判を見ると「重厚長大」,「読みづらい」とあまり評価がよろしくない.確かに相当のボリュームなので,一晩ではとても無理ですが,年末年始に数日かけて読了しました.読みにくさには原因があって,その一つは戦史ものとして,誤訳が多いことが一つ.翻訳が元記者で戦史に詳しくないのが良く分かります.例えば以下の文章を見ただけで,これはどうかと思います.

 T-34は車体が低く,たびたび敵の砲弾をかわす効果があった.耐久性に優れ,スピードがあり,毎時51キロの最高時速を誇った.軌道は非常に幅が広く泥や氷に立ち往生するのを防いだ.(中略)重量は32トン,35ミリ砲一門,7.62ミリ機関銃二挺を装備し,分厚い装甲板を誇った.

 85ミリ砲を35ミリと間違えたのは単純な記載ミスでしょうが,「軌道は非常に幅が広く」は戦車の記述としては,全く意味が通りません.これはおそらく原著ではtrackなのだと思います.trackには軌道の意味もありますが,日本語の覆帯,すなわちキャタピラの意味もあります.ちなみに通常用いるキャタピラは商標で,アメリカでも正式にはtrackを充てるのでしょう.この他にも50口径機関銃が50ミリ機関銃,30口径機関銃が30ミリ機関銃となっており,これはそれぞれ12.7ミリ,7.7ミリ,すなわち1インチの半分,三分の一を示しているのですが,そういったごく基本的な知識がないので非常に分かり難い.しかし50ミリにせよ,30ミリにせよ,歩兵が携行できるはずはありません.ご丁寧にT-34の主砲が35ミリと書いているのだから,誤訳に気づいてもよさそうなものですが.

 このような誤訳や誤記は一義的には翻訳者の責任でしょうが,仮にもわが国で有数の出版社である文芸春秋社が出版したのですから,このようなミスは校正の段階でチェックされるべきだと思います.表紙のデザインも素っ気なく,よほど急いで出版したのでしょうか.活字離れが叫ばれて久しいのですが,出版社には責任がないのでしょうか.安直な企画や,この本のような話題性はあるが,ろくに校正も行わずに出版されるようでは,自ら首を絞めているという他ありません.

 しかし何といっても,この本が日本で評価され難いのは,いまだにマッカーサーや進駐軍が「軍国日本を解放し」,「寛大な占領を行った」という歴史観が日本では横溢しているためでしょう.しかしマッカーサーはこの本でも描かれている通り,傲慢で独りよがり,スタンドプレーを好む,極めて奇矯な人物だったということです.いまやアメリカにとってマッカーサーとは有能な将軍とは看做されてはおらず,朝鮮戦争は(そしてベトナム戦争も)勝てた筈なのに勝てなかった戦争と考えられているのです.

 結局トルーマン大統領が,マッカーサーを罷免したのは,中国に原爆を投下すれば,戦火がヨーロッパや大西洋に拡がると考えたからでした.同様にマッカーサーは当初北朝鮮の侵攻を,陽動作戦と考え,いずれヨーロッパで戦端が開かれる,と考えていたようです.さらにアメリカ政府首脳は「朝鮮半島の帰趨はアメリカの国防上大きな影響はないが,日本(国民)への影響は大きい」とし,日本の離反を警戒していたことが明らかになっています.

 ブッシュ元大統領がイラク占領に際し,「日本は最も成功した占領」と語ったように,そしてフセイン大統領を死刑にしてもイラクに居座るように,日米同盟は決して日本を守るためでも,自由主義の砦でもなく,純粋にアメリカの国益のためであることは,誰の目からも明らかでしょう.ところが保守派と呼ばれる産経新聞や,外務省は普天間基地移設を巡り,日米同盟の危機と声高に叫びます.一体誰のための保守なのか,耳を疑います.

 封じ込めた筈の中国は,いまやアメリカのみならず世界中に工業製品を輸出し,中国が世界の経済を握っている時代です.ソ連が崩壊したとき,冷戦に勝利したのは日本と言われました.しかし自信を喪失したままの日本と,独自の外交を貫きながら,経済でも日本を追い抜いた中国を比べる時,最後に誰が勝者と呼ばれるかは,誰が見ても明らかです.そろそろ日本も「坂の上の雲」や太平洋戦争から一歩進んで,冷徹に戦後史を見つめ直す時が近づいているように思えます.すでにアメリカですらこのような著作が世に出ているのですから.

tnakadat at 23:56|PermalinkComments(2)TrackBack(0) 書評 

国母選手パッシングの滑稽さ

 バンクーバー・オリンピックも後半戦です.日本選手も健闘していますが,女子スピードスケートの岡崎選手や,高木選手の大騒ぎを見てもわかるように,日本のマスコミや広告業界の空回りが良く分かります.高木選手はフィギュアの浅田選手に代わる,広告塔を狙っていたようですが,まだ16歳なのですから,本来の目標は4年後のソチ・オリンピックでしょう.彼女にとっては最下位というのは大きな経験になったと思います.

 大会前にマスコミがこぞって取り上げたのがスノーボード国母和宏選手の服装でした.いわゆる「腰ばき」とシャツを外に出すファッションで,よく高校生がやっている格好です.彼はれっきとした大学生で,「反省してまーす」とか,「ちっ,うっせーな」という記者会見は決して褒められたものではありませんが,出場辞退とか,選手村退去というのも大人げない対応です.

 彼の着こなしというよりファッションそのものが,多くの大人が眉をひそめる,子供に真似してほしくないものであることは確かです.ドレッドヘア,鼻ピアス,あごヒゲ,全てがいわゆるストリートファッションで,街をたむろしている,あまり素行のよろしくない若者たちと同じで,言葉遣いや態度もまさしくこのようなヒップホップ小僧と変わりません.

 しかし思い出してほしいのは,戦後60年近く,日本のファッションというのは,こういったアメリカの猿真似を続けてきたということです.クルーカットやアイビー・ファッション,ジーンズや,ヒッピー・ムーブメント,そしてアフロヘアに至るまで,全てアメリカの風俗を無批判,無節操に取り入れたものです.その点で彼のファッションや,態度を批判できる人間がどれだけいるのでしょうか.ちょっと前まで,アメリカのネオリベラリズムや拝金主義を礼賛し,やれCEOだの,ロジスティクスだの,ホールディングスだのとこぞって猿真似をした大企業や,マスコミにその資格がないのは明らかです.

 日本人は半世紀にわたってアメリカ文化にどっぷり漬かり,特にマスコミはアメリカ以外に目もくれませんでした.小泉政権時代はラブミー・テンダーでブッシュに媚びへつらい,中国,韓国を敵視するような政策を取り続けました.爆笑問題の「太田光の私が総理大臣になったら」で,太田光が「小泉首相は良かった」という発言をしていましたが,確かに小泉元首相は都市圏の地価を上げ,株価も上がりましたが,その主たる要因はブッシュ共和党の際限ない浪費によるものです.懐古趣味もいい加減にしてほしいものですが,おそらくあの発言は彼個人のものでなく,テレビのライターが書いたものでしょう.企業の含み益が減り,広告料金がネットに奪われ,先細りのテレビ業界からすれば,現状は厳しいでしょうが,そんなことは多くの国民には関係ありません.貧すれば鈍すとは,まさにこのことです.

 日本国内でこのような騒ぎが起きている中で,オリンピックでも中国の存在感が強くなっています.サッカーの東アジア大会でも,岡田ジャパンや韓国の不甲斐無さも手伝い,中国が優勝をさらいました.人間の意識には深さと拡がりがあります.意識の深さは意識レベルという方法で測る事ができますが,拡がりは測る事が難しい.日本のマスコミは確かに覚醒していますが,拡がりが極端に狭い.東京の都心からせいぜい数十キロメートル,世界と言えばアメリカ,しかもニューヨークやワシントンばかりでは,日本はおろか世界も見えてきません.

tnakadat at 08:54|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 記事,事件 

February 14, 2010

久しぶりの岩手山

P1000108
今朝の最低気温は氷点下8度,例年より3度低めです.ただここ数日の風は収まり岩手山が姿を見せました.独りそびえる岩手山の,美しくも厳しい山肌は,きりりと冷えた空気と相まって,ともすると怠惰に流れがちな日常に活を入れているような気がします.昔の父親のような存在でしょうか(笑).

tnakadat at 22:05|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 岩手山 

アジサイの冬芽

P1000089
2月も中旬になりましたが,こちら岩手は寒い日が続いています.それでもだんだんと日が長くなり,ほんの少しずつ春の兆しが現れています.

tnakadat at 21:59|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 季節の話題 

首が危ないのは,「小沢」より「岡田」

 NHK大河ドラマ「龍馬伝」を観終わってチャンネルを替えたら,岡田ジャパンは,韓国が2点リードで,ロスタイム3分.しかも攻撃のチャンスさえ掴めず,韓国が終始主導権を握っている.選手も選手だが,相変わらず何をやりたいのか,全然分からない.やっぱりワールドカップ前に更迭すべきじゃないのかな,と思います.誰もワールドカップで4位になれるとは思っていないでしょうが,このままでは間違いなく一次予選で4位になってしまう.今からでも遅くない,監督交代が必要です.

tnakadat at 21:11|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 記事,事件 

渡邉文幸:検事総長

検事総長 - 政治と検察のあいだで (中公新書ラクレ)
検事総長 - 政治と検察のあいだで (中公新書ラクレ)
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先週池田信夫氏のブログで「検察は暴走したのか」という記事がありました.池田氏は検察を擁護する立場のようですが,多くのコメントは氏の見解には疑問を呈するものでした.

「利益誘導に回帰している民主党の暴走のほうが深刻な問題であり、その司令塔が小沢氏だ。何が「巨悪」かを見誤ってはならない。」
「小沢氏こそ最大の権力者だ。彼が何十人の社会的生命を奪ってきたか、知ってるのかね。」

 こういった記述は,いささか独断に過ぎるように思われます.私は,今回の起訴は,どう考えても無理があると思います.もし民主党が利益誘導に回帰し,小沢氏が最大の実力者で,巨悪とするのなら,なぜ4年も前の政治献金や,土地購入について捜査するのでしょう.利益誘導の政策を推し進めることが明らかならば,衆議院選挙の直前や,参議院選挙の前に秘書や,現役議員を逮捕する必要はないでしょう.氏の論が正しければ,「巨悪」の民主党や,小沢幹事長は利益誘導の政策を乱発するでしょうから,政治資金規正法ではなく,贈収賄で捕まえることができます.熟した柿が落ちるのを待てばよいだけです.

 氏は社会的に抹殺といいますが,検察は文字通り容疑者や関係者を「抹殺」しています.1,998年には自民党議員の故中島洋次郎氏を政治資金規正法,受託収賄,公職選挙法違反で逮捕していますが,これは議員が防衛庁政務次官時代に富士重工会長から500万円を受け取ったというもので,富士重工の前身が中島飛行機であったことを知っていれば,これが本当に受託収賄だったのかと誰もが考えます.中島洋次郎氏は上告中の2001年に自殺しました.

 また「検察が積極的に情報を提供して報道を操作することはない。どちらかというと報道する側が特定の見込みに沿った話を当てて、検察が答えることが多い。」と検察のリークを否定していますが,連日のようにどの新聞,テレビでも同じ内容が流れるのは,異常というしかありません.もし氏がいうように記者が当て推量で記事を書いたとすれば,各紙ばらばらな内容になる筈で,必ずしも検察の思い通りにはならないでしょう.しかし女性職員を長時間に亘って尋問したという週刊朝日の報道に対し,東京地検は抗議したところを見ると,やはり検察が世論を誘導しようとしているとしか考えられません.

 日本の検察は諸外国に例のない独特のものです.多くの国では検察に捜査権を持たせていません.しかも検察官の捜査に歯止めがかかりにくい構造上の問題があります.まず捜査権を持っていますから,自分たちが行った捜査を不起訴にするのは難しいでしょう.小沢氏を不起訴に決めた夜,異例の記者会見を開いたのは,特捜部の無念さを感じます.しかしいかに無念であっても,公判が維持できない事例は不起訴が相当で,無念というのは,あくまで組織内部の問題です.捜査権と公訴権が分離していれば,こんなことは起こり得ません.

 また検察指揮権発動という伝家の宝刀は,造船疑獄の悪評のために抜けない刀になりました.指揮権発動によって政権側の受けるダメージが大き過ぎるからです.しかしこの造船疑獄で指揮権発動したのは,当時の政治情勢からで,実際には法務大臣と検察の間で「話がついていた」ということが,著者である渡邉氏の調査で明らかになっています.

 さらに検察官適格審査会という制度も,検察官が統一組織として活動するという「検察官同一体の原則」では,検察官個人の評価は不可能といって良いでしょう.人事は検事総長が決め,国民は批判できない.この仕組みはかつての陸軍参謀本部と良く似ています.戦前平沼騏一郎が大逆事件と呼ばれる一斉検挙を行ったのを見て,政友会の原敬は陪審制を考えたといわれ,また彼の内閣で三浦陸相は暴走する参謀本部に業を煮やし,参謀本部廃止を考えたそうですが,結局潰されたといわれます.平沼騏一郎はその後も帝人事件で斉藤実内閣を解散に追い込み,近衛内閣を生むに至りました.取り調べの際に主任検事は「俺等が天下を革正しなくては何時迄経っても世の中は綺麗にならぬのだ」と恫喝したといわれます.しかし彼らが「天下を革正し」,「世の中を綺麗に」した結果は,皆さん御存知の通りです.近視眼的な正義が,災いを招くのは,青年将校も,日本赤軍も,オウム真理教も何ら変わりません.

 このように検察はいったん暴走した場合,歯止めが効きにくい構造であることは明らかです.しかも東京地検特捜部が失点続きであるように,彼らの熱意はともかく,その捜査が時代遅れに感じられます.特捜部が生まれたのは戦後で,1947年隠匿物質の摘発を目的とする隠退蔵事件特捜部が,1949年にはアメリカのFBIを模範とした政財界の不正摘発を目的とした特捜部となった,と書かれています.すなわち東京地検特捜部の雛型は,FBIだったのです.

 しかし聖バレンタインデーの虐殺で有名なギャングの大物,アル・カポネを逮捕したのは,アンタッチャブル,FBIではなく,国税局でした.脱税は国税庁が行えばよく,ライブドア事件や,村上ファンド事件は証券取引等監視委員会が行えば良い.特捜部は全国から検察官の応援を仰ぐとのことですが,捜査が長引けば長引くほど,引き抜かれた地方の検察は能力が低下します.
 
 さらに模範としたFBIには,ご存知の通りバージニア州クァンテイコにFBIアカデミーがあり,プロファイリングや,コンピューター犯罪など,警察にも負けない捜査技術の開発,教化プログラムがありますが,日本の検察には同じような組織があるとは聞きません.相変わらずがさ入れ,自白に頼り,調書が取れなければ拘留延期というのでは,足利事件と同じで自白を強要する恐れありと言われても仕方がありません.警察には科捜研や,サイバー犯罪部門があり,またマネーゲームには東京証券取引所と相互乗り入れで,研修会を開くなど,交流が盛んです.そろそろ日本の検察も諸外国並みに捜査は警察に任せ,公判活動に注力すべき時期ではないか,と思います.もっとも幼稚園は文科省,保育所は厚労省と不毛の縄張り争いが続いた「幼保一元化」のように,権限委譲こそ官僚の最も抵抗することでしょうが.

 とどのつまり,日本の検察は,厚生労働省と同じく,まさしく戦艦大和なのです.あるいはサーバークライアント型のシステムといってもよい.巨大なサーバーを設置すれば事足れりと考えていても,世の中が複雑になり,犯罪が多様化,巧妙になるにつれ,さまざまな分野のスペシャリストが必要になり,法律の専門家だけでは限界があります.それであれば,株や商取引の犯罪は証券取引等監視委員会,脱税は国税局というように分散化を図るのが自然な進化でしょう.

 コンピュータ・システムではピア・ツー・ピア,P2Pという仕組みです.また司法試験に合格し,司法修習生だけの純血主義も,かつての陸軍と同じです.士官学校,陸軍大学,三宅坂という視野の狭いエリートが多くの過ちを繰り返したことは歴史が教えるところです.さまざまな専門分野をモジュール化し,タスクフォース的に組み合わせるというのが,合理的な解決であるように感じます.確か池田氏自身が「スーパーコンピュータは要らない.分散型のシステムが主流」,「水平分業とモジュール化は避けられない」と言っていたような気がするのですが(笑).

tnakadat at 20:44|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 書評