January 19, 2007

亡国のイージス

1a109ee5.gif日銀が利上げを見送ったそうです.中川幹事長が,景気回復のためには利上げは尚早と発言したり,今年は選挙の年だからとも発言したそうですが,どうも良く分かりません.そもそも日本は系列銀行から資金を調達する,旧来の護送船団方式から,市場から資金を調達する開かれた経済に変わった筈ではなかったのでしょうか?また住宅ローンはすでに少しずつ上がっているようですし,利子はほとんど付かず,給料は銀行振り込みで,キャッシュ・ディスペンサーでお金を下ろす度に,銀行に手数料を取られている今の当座預金は実質的には,利子ではなく手数料でマイナスになります.

 一方円は完全な円安です.三菱UFJリサーチの表を載せてみました.ドルとの為替レートがニュースに流れますが,ユーロやポンドなどと比べれば,もっと円の価値は下落している筈です.日本の銀行から低金利で金を借り,他の新興国や,資源に投資する.日本国内には有望な投資先が無いから,円は国内に還流されない.従って円の価値は下落する.そういうことでしょう.私は今回の利上げ見送りはドル防衛のためではないか,と思うのです.アメリカの景気は順調だ,と幾らアメリカ金融界が豪語しても,所詮は住宅や個人消費頼みです.日本が利上げをし,アメリカが利下げに踏み切れば,いっそうドル売りは進むと考えて良いでしょう.基幹通貨としてのドルは更に影が薄くなります.膨大な戦費はイラク原油の生産が軌道に乗れば,元が取れるかもしれませんが,いまだにその見込みはありません.また露骨に生産を伸ばせば,イラク国民は国富が略奪されたことを知るでしょう.穏健な占領には金がかかるのです.そして穏健な占領は決して達成されていない,それがイラクの現実だと思います.
 
 イラク増派だけではなく,イラン攻撃をもブッシュ政権は目論んでいると噂されています.イラク駐留軍の司令官をアメリカ陸軍のアビザイド司令官から,海軍のファロン海軍大将へと交代したのだそうです.今のイラク情勢を好転させるために,アメリカ海軍の出番はあるでしょうか?もしイランとの戦争が始まれば,日本経済の命運は尽きるといって良いでしょう.先日日本のタンカーと米海軍の原潜が接触したのはホルムズ海峡で,ホルムズ海峡の北半分は,イランの領海です.アメリカ軍がアラビア海や紅海を海上封鎖してしまえば,サウジの原油も,イランの原油も途絶えてしまい,円の価値など無くなります.ところがアメリカは日本の意見など,聞く耳を持ちません.そしてホルムズ海峡が封鎖されれば,致命的な打撃を受けるのは,日本だけではありません.インド,中国,韓国,台湾も大きな影響を受けるでしょう.いずれもアメリカの貿易赤字を増やしている国ばかりです.これは単なる偶然でしょうか?

 イージス艦で一躍有名になったイージスとはギリシャ語で盾のことです.元々はレーダー・ピケット艦から発展したもので,文字通り空母を守る盾です.盾の役目は剣や矢から兵隊を守ることです.決して貫かれない盾など存在しません.ミサイルの飽和攻撃を仕掛けられれば,イージス艦の運命は決まります.文字通り空母を守る盾なのです.旧ソ連のミサイル巡洋艦から,空母を守るために生まれたのが,イージス艦と,ファランクスや,スタンダード・ミサイルです.ところがそもそもの発端は,太平洋戦争中に日本海軍のカミカゼ特攻隊から,空母を守るために生まれたものです.これに今日本の予算がつぎ込まれるとは,皮肉以外の何者でもありません.日本人は盾の意味を忘れているようです.自衛隊がイージス艦を増やすと北朝鮮のミサイルの脅威から守られると喜んでいます.自衛隊のデータを米軍と共有化することも単純に喜んでいます.しかしこれは自衛隊のイージス艦がアメリカの空母機動部隊と連携できる,ということです.

 もしアメリカがイランを攻撃した時,日本の海上自衛隊はイージス艦をイラクの時と同様派遣するのでしょうか?もしイランのミサイルや機雷で,イージス艦が失われた場合,日本は参戦するのでしょうか?日本はまさにアメリカの盾なのです.ドル安を食い止めるためとしか思えない,今回の利上げ見送りといい,まさに「亡国のイージス」です.バラバラ殺人事件や,不二家の問題をマスコミが騒々しく,報道する真っ最中に国民の安全や,将来に関係する事柄が,淡々と決まって行く現実を我々はどうすれば良いのでしょうか.

tnakadat at 10:11│Comments(2)TrackBack(3)記事,事件 

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1. 円安も山崎訪朝もイラン戦争先取り?  [ 佐藤秀の徒然\{?。?}/ワカリマシェン ]   January 20, 2007 22:31
日銀が利上げを見送ったことで、為替は1ドル=121円まで円安になった。けれどどっかおかしい。円安にはもっと別の大きな力の作用が働いているとしか思えない。
2. 円安も山崎訪朝もイラン戦争先取り?  [ 佐藤秀の徒然\{?。?}/ワカリマシェン ]   January 20, 2007 22:33
日銀が利上げを見送ったことで、為替は1ドル=121円まで円安になった。けれどどっかおかしい。円安にはもっと別の大きな力の作用が働いているとしか思えない。
3. 円安も山崎訪朝もイラン戦争先取り?  [ 佐藤秀の徒然\{?。?}/ワカリマシェン ]   January 20, 2007 22:37
日銀が利上げを見送ったことで、為替は1ドル=121円まで円安になった。けれどどっかおかしい。円安にはもっと別の大きな力の作用が働いているとしか思えない。

この記事へのコメント

1. Posted by まろ   January 19, 2007 23:40
 今の政権(小泉も)からは、国民に対する狡猾さは感じても、アメリカに対する狡猾さ、面従腹背・・といった空気は欠片も伝わってきません。
 今の世界の中でアメリカに盲従する事の意味が分かっていないのでしょうか。

 国民の間に正確な軍事知識が不足している事が(私などその典型ですが)、政府とその提灯持ちに手もなく騙される原因となっているなと、読ませていただいて痛感いたします。
2. Posted by tantanment   January 21, 2007 12:35
まろさん:一つにはやはりアメリカに負けたという動かしがたい事実,そしてアメリカの日本に対する徹底的な情報戦略というのがあるのではないか,と思います.それこそディズニーや,スーパーマンや,トップガンなどの映画に至るまで.最近の若者を見ていると,ほとんどアメリカの文化しか見ようとしません.音楽でもいまだにアメリカのチャートしかやらないわけです.60年代には結構イタリアやフランス,ソ連,イギリスの音楽や映画が紹介されたことが,今の日本では信じられないほどです.ところがアメリカの軍事力も,文化も実際は低下し始めているのです.これが敗戦国の悲しさなのでしょうか.

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