February 21, 2010

国母選手パッシングの滑稽さ

 バンクーバー・オリンピックも後半戦です.日本選手も健闘していますが,女子スピードスケートの岡崎選手や,高木選手の大騒ぎを見てもわかるように,日本のマスコミや広告業界の空回りが良く分かります.高木選手はフィギュアの浅田選手に代わる,広告塔を狙っていたようですが,まだ16歳なのですから,本来の目標は4年後のソチ・オリンピックでしょう.彼女にとっては最下位というのは大きな経験になったと思います.

 大会前にマスコミがこぞって取り上げたのがスノーボード国母和宏選手の服装でした.いわゆる「腰ばき」とシャツを外に出すファッションで,よく高校生がやっている格好です.彼はれっきとした大学生で,「反省してまーす」とか,「ちっ,うっせーな」という記者会見は決して褒められたものではありませんが,出場辞退とか,選手村退去というのも大人げない対応です.

 彼の着こなしというよりファッションそのものが,多くの大人が眉をひそめる,子供に真似してほしくないものであることは確かです.ドレッドヘア,鼻ピアス,あごヒゲ,全てがいわゆるストリートファッションで,街をたむろしている,あまり素行のよろしくない若者たちと同じで,言葉遣いや態度もまさしくこのようなヒップホップ小僧と変わりません.

 しかし思い出してほしいのは,戦後60年近く,日本のファッションというのは,こういったアメリカの猿真似を続けてきたということです.クルーカットやアイビー・ファッション,ジーンズや,ヒッピー・ムーブメント,そしてアフロヘアに至るまで,全てアメリカの風俗を無批判,無節操に取り入れたものです.その点で彼のファッションや,態度を批判できる人間がどれだけいるのでしょうか.ちょっと前まで,アメリカのネオリベラリズムや拝金主義を礼賛し,やれCEOだの,ロジスティクスだの,ホールディングスだのとこぞって猿真似をした大企業や,マスコミにその資格がないのは明らかです.

 日本人は半世紀にわたってアメリカ文化にどっぷり漬かり,特にマスコミはアメリカ以外に目もくれませんでした.小泉政権時代はラブミー・テンダーでブッシュに媚びへつらい,中国,韓国を敵視するような政策を取り続けました.爆笑問題の「太田光の私が総理大臣になったら」で,太田光が「小泉首相は良かった」という発言をしていましたが,確かに小泉元首相は都市圏の地価を上げ,株価も上がりましたが,その主たる要因はブッシュ共和党の際限ない浪費によるものです.懐古趣味もいい加減にしてほしいものですが,おそらくあの発言は彼個人のものでなく,テレビのライターが書いたものでしょう.企業の含み益が減り,広告料金がネットに奪われ,先細りのテレビ業界からすれば,現状は厳しいでしょうが,そんなことは多くの国民には関係ありません.貧すれば鈍すとは,まさにこのことです.

 日本国内でこのような騒ぎが起きている中で,オリンピックでも中国の存在感が強くなっています.サッカーの東アジア大会でも,岡田ジャパンや韓国の不甲斐無さも手伝い,中国が優勝をさらいました.人間の意識には深さと拡がりがあります.意識の深さは意識レベルという方法で測る事ができますが,拡がりは測る事が難しい.日本のマスコミは確かに覚醒していますが,拡がりが極端に狭い.東京の都心からせいぜい数十キロメートル,世界と言えばアメリカ,しかもニューヨークやワシントンばかりでは,日本はおろか世界も見えてきません.

tnakadat at 08:54│Comments(0)TrackBack(0) 記事,事件 

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