38 :浜面くんと麦野さん:2010/03/29(月) 23:50:31 ID:DBhPctUM

「ハァー」
そうやって溜息をつく浜面仕上はとてもやつれていた。
彼には、こうなるのも仕方が無い理由があった。
何しろ、いきなりスキルアウトのリーダーになって最初の仕事はミスって
そのミスを償うために、学園都市の暗部への配属が決まってしまったのだ。

「暗部ってどんなとこだろうな…。化け物みてーな奴ばっかりなんかな・・・」
いま彼は、そのお世話になる暗部のリーダーの元へ向かっている。
噂によるとその暗部のリーダーはどうやらレベル5の1人らしい。

「なんつーか、ついてねぇ」
そう呟きながら浜面は、指定された場所であるファミレスへ入っていった。

(暗部の人間がファミレスかよ…)
浜面は心の中でツッコミながら、指定された壁際の席へと座る。
どうやら、まだリーダーは来ていないみたいだ。
いろいろと疲れていた浜面は机のうえにぐでーっと伸びる。

(ちくしょう。こんなコトになったのも駒場のリーダー…アンタがいなくなったから…チクショウ)
浜面の脳裏にはスキルアウトの仲間と過ごした日々が思い出される。
あの時間は二度と戻ってこない。

(何だかんだでたのしかったよなぁ…)
こんなことを考えていると、ますます気持ちがブルーになってくる。
このままでは、今から来る暗部という闇に耐え切れなくなってしまうと思い、無理矢理思考を変更する。

「つーか、まだこねーのかよ。暗部ってのは時間にルーズでもいいんかよ…」
(だめだ。全部ネガティブになっちまう)
そうやって浜面が意気消沈していると、

「あなたが、浜面仕上?」
声を掛けられ顔を上げるとそこには、なんというか上品で清楚な感じの美人がたっていた。

「は、はい。そうですけど、アンタは?」
「わたしは麦野沈利。学園都市の暗部『アイテム』のリーダーよ」
「あ、アンタが暗部!?」
浜面は驚いていた。何しろこの美人に暗部みたいな暗いイメージが浮かばないからだ。
この美人の服装。半袖コートに、なんだか高そうなマフラー?そして、脚には上品な色のタイツ。
髪は綺麗なウェーブを描き、いやらしさを感じさせない茶色。パッチリとした目に長い睫毛。
このような外見から暗部などイメージできるわけが無い。

「そうよ、なんか文句ある?」
「い、いやぁー。なんだかアナタみたいな人からは暗部なんてイメージできないなぁー、と」
「あ、そう?」

39 :浜面くんと麦野さん:2010/03/29(月) 23:51:03 ID:DBhPctUM

そういって彼女は浜面の前の席に座る。
そして、持っていたカバンからコンビニ弁当を出して机の上に置いた。

「あ。あのー?」
「何?」
「その弁当は?」
「は?言ってる意味がわからないんだけど。弁当は弁当じゃない。あえて言うならシャケ弁だけど」
彼女はサラリとそういってのける。

「いやいやいや。ここファミレス!何するところかアナタわかる?」
「なんでカトコトなのよ…。ファミレスはご飯食べるところじゃない。だからご飯食べるんだけど」
「いや!だから!ファミレスってのは、ファミレスが作ったご飯を食べるトコだろ!」
「いいのよ。アンタごちゃごちゃうっさいわね。言っとくけど、アンタ、浜面仕上はワタシ、麦野沈利の部下なのよ?
 部下が上司に文句垂れるなんてどういう了見?」
「いや、だけど俺は一般常識をだな…」
「うっさいわね!ブ・チ・ト・バ・サ・レ・タ・イ・ノ?」
麦野がものすごい負のオーラを出し、浜面の言葉を遮る。

(なんだよ…今のオーラ。マジでおっかねぇ。コイツの元で働かなきゃイケねーのかよ)
浜面は再び意気消沈する。

「ホラ、顔上げなさいよ。浜面に聞きたいことがあんの」
シャケ弁を食べながら麦野が話しかけてきた。

「は?俺に?(つか、なんで急に名前で呼びはじめんの?)」
「そうよ。聞きたいこと無けりゃ、ここに呼び出さないわ」
まあ、そうだろうな。と浜面は心の中で呟きながら聞き返す。

「何?聞きたいことって」
「浜面はスキルアウトのリーダーやってたの?」
「まあ、一時的にだけどな」
「じゃあ、それなりに色々スキルは持ってるわけ?」
「まあ、ある程度のカギとかなら開けられるし、車も運転できるぞ?」
「ふぅーん。中々使えそうじゃない」
「そ、そうか?」
褒められた浜面はちょっと赤くなる。

「頬染めてんじゃないわよ、気持ち悪い」
「グサッ!」
「まあ、浜面には私達の手となり足となり働いてもらうから」
「はあ…ついてねぇ…」
浜面は本日三度目の意気消沈タイムに入る。

「なんか言った?」
シャケ弁を食べる手を止め麦野が不審そうに首をかしげる。

「ナンもいってねぇよ…」
「あ、そう」
そう言い、麦野は再びシャケ弁に取り掛かる。

(つーか店員は誰もコイツに突っ込まないのかよ)
浜面が周りを見回すと、どのウェイトレスも麦野に突っ込まずに素通りしている。

(コイツ常連なのかな?まあいいか…、またなんか言うとおっかないことになりそうだし)

40 :浜面くんと麦野さん:2010/03/29(月) 23:51:30 ID:DBhPctUM

「つーかさ」
「何?」
「麦野って、レベル5なん?」
「なんで急に名前で…まあ、いいか。そうよレベル5の第4位よ」
「第4位?第4位つったらなんだっけ?能力」
「原子崩し(メルトダウナー)。詳しい原理は説明すんのめんどくさいから、簡単に言うとすごいビームが出せんのよ」
「すごいビーム…」
「そう、そのビームに触れたら体が吹っ飛ぶわよー」
(おっかねぇ…)
「本気出せば、あの第3位の超電磁砲(レールガン)もたおせんのよー」
「す、すげーな…」
「まあ普段はあんま使えないんだけどねー」
「そーすか…」
(あー、あの性格にあのビームって、相当やばいんじゃね?)
本日四度目の意気消沈タイムに入った浜面は机の上に突っ伏す。

45 :浜面の暗部日記 2日目:2010/03/31(水) 00:06:05 ID:xgIyxWd6

浜面の暗部日記 2日目


浜面仕上は麦野沈利と一緒に歩いていた。
昨日、麦野のなんともいえない恐怖を味わった浜面はすでに麦野の舎弟と化していた。

「…というわけで、今日は『アイテム』のメンバーに紹介するわよ」
「はあ…」
「何?面白くなさそうね?」
「いえいえ、そんなことありませんよ!(麦野みたいな奴じゃなきゃいいなー…)」
「そう?なんかやつれてるわよ?昨日より」
「いえいえ、気のせいですよ…」
昨日の出会いで色々とネガティブシンキングになっている浜面は、何を考えてもマイナス方面にしか向かわない状態になっていた。

(あはは…、もう笑うしかねぇよ。負け犬上等だ…)
そんな浜面の様子を不審に思いながらも麦野は続ける。

「ちなみに『アイテム』は全員女の子だから、変な気起こしたらぶっ飛ばすわよ?」
「はい…(お前が言うと冗談に聞こえねぇ…)」
すでに浜面はノックアウト寸前だ。なんとか立っている状態の浜面はトボトボと麦野の後を付いていく。

その時、ゴソッと浜面と麦野の後ろから物音が聞こえた。
「何かしら?」
麦野はそう言って振り向くも、後ろには誰もいない。
麦野につられて浜面も振り向く。

「さあ?なんだろうな?」
どこか上の空な浜面が答える。

「ま、気のせいか」

46 :浜面の暗部日記 2日目:2010/03/31(水) 00:06:33 ID:xgIyxWd6

一方、浜面と麦野の歩いている道に面している路地裏。
物音はここからしたのだが、路地裏に音を出した人物が隠れていたので、浜面と麦野は彼らに気づかなかった。
そこには4人のスキルアウトが隠れていた。

「オイ、あれ第7学区のスキルアウトのリーダーだった浜面仕上じゃねーか?」
「なんで、あんなお嬢様と歩いてんだ?」
「あいつらんとこには色々とやられたよなあ?」
「今ならつぶせんじゃねえか?」
「確かに。そうかもな」
「ああいけんな?どういう事情でお嬢様がいんのかしらねーけど、あのお嬢様もいい金ヅルになりそうだしな」
「つか、あの娘むっちゃ好みなんだけど」
「じゃあ潰すか?であっちのお嬢様は拘束すると」
「「「決定だな」」」
そうして互いの意思の確認をした4人は、一斉に路地裏から飛び出す。

浜面と麦野の後ろから、先ほどより大きな物音がする。

「何だ!?」
物音に反応した浜面と麦野が振り向く。
そこには、バールのような物や拳銃などを手にしたスキルアウト4人が立っていた。

「よぉ、アンタ浜面仕上だよな?」
スキルアウトの1人が浜面に問いかける。

「ああ、そうだ。ていうか、なんだお前ら?」
先程までどこか上の空だった浜面だったが、急にやってきたこの危機的状況に反応したのか彼の口調に荒々しさが感じられる。

「いやー、お前らんトコにはよくやられたもんでよぉ」
「今は、数的優位だし潰しちゃおっかなー?みたいな」
「そこのお嬢さんも騒ぐんじゃねえぞ?騒いだら痛い目みるぜ?」
スキルアウト達は、やや興奮した感じで脅しをかけてくる。

(ちくしょう、面倒なことになりやがっちまった)
今の浜面は武器を持っていない。彼が使えるのは、己の拳だけだ。
浜面はその拳を握り、スキルアウトを見据える。

「麦野、先行っててくれ。俺がコイツら片付けるから」
しかし、浜面の言葉に返事は無い。
次の瞬間、浜面のよこをすごいビームが通り抜ける。
そのビームがスキルアウト達に直撃すると、彼らが吹っ飛んでいく。

47 :浜面の暗部日記 2日目:2010/03/31(水) 00:07:07 ID:xgIyxWd6

「え?」
浜面はイマイチ状況がつかめていない。

「私が手加減してなかったら死んでたかもね、あいつら」
つまらそうな麦野の声が聞こえた。

(今のが例の原子崩し…?ヤバイ、やばすぎるぞ)
「あ、ありがとな」
とりあえず、感謝の意だけは伝えておく。

「は?なんで感謝してんの?」
「い、いや…それは…」
「へー、浜面は私が浜面を助けるためにあいつら吹っ飛ばしたと思ってるんだ?」
ニヤニヤしながら麦野は浜面を問い詰めていく。

「そ、そんなことはないぞ…多分」
「まー、そうやって感謝しとくことね。その代償を労働で浜面には払ってもらうから」
「はい…」
「つーか、浜面は私に逃げろって言ってたけど、私がホントに逃げたらどうするつもりだったの?」
「いや、そこまでは…」
「変にカッコつけんじゃないのよー、別に浜面に惚れたりしないんだから」
相変わらずニヤニヤしながら、麦野は浜面をからかう。

「な、なに言ってんだよ!」
ちょっと頬を染めながら浜面が言い返す。

「いやーん。こんなコトで頬染めるなんて。浜面カワイー!」
「馬鹿にしてんじゃねぇ!」
思わず荒々しい口調になった浜面が突っ込む。

「あら、だいぶ元気になったじゃない、は・ま・づ・ら」
そう言って、麦野がウインクをしてくる。

(うッ、萌えてしまった、今不覚にも麦野に萌えてしまった…!)
「ま、負け犬上等おォォォォォォ!」
赤くなった顔をかくすように、浜面は駆け出す。

「ちょっと、どこ行くの!?そっちじゃないわよ!」
そう言いながら麦野が浜面の後を追いかけていく。

(まあ、暗部も悪くねーとこかもな…?)

 

 

 

「は…づら」
ん?なんだ?声が聞こえる。

「はまづら」
どこからか声が聞こえる。

「ハッ!」
浜面が目を開けるとそこは車の中だった。

「大丈夫?はまづら」
横から心配そうに滝壺が話しかけてくる。

「な、なんでもねぇ」
(アレは夢だったのか)
「なんかうなされてたけど、大丈夫?はまづら?」
「ああ、大丈夫だ。じゃあ、そろそろ出発すっか」
(あんな普通?の奴だったのになあ…。どうしてああなっちまったんだよ麦野…)

58 :浜面の暗部日記 2日目・後編:2010/04/01(木) 01:25:08 ID:Ydisdkpg

あの後、浜面は『アイテム』のメンバー達との対面を果たした。
浜面は麦野以外の『アイテム』の3人から散々な評価を得ていた。
その内容はというと…

「なんか、超幸薄そうな男ですね」
少しの遠慮もなく浜面の心をズバっと切り裂いたのは、見た目12才くらいの可憐な少女・絹旗最愛

「結局、キモイって感じだよね」
このように軽く浜面の心をあしらったのは、美脚が自慢らしいベレー帽を被った少女・フレンダ

「はまづら…、何それおいしいの?」
浜面を人として扱ってさえくれないのは、天然系美少女・滝壺理后

「やめてくれ、俺のライフはもうゼロだぜ…」
こんな『アイテム』と浜面仕上の対面の様子を麦野は苦笑いしながら見つめていた。

その後、長々と様々な方法で心をズタボロにされた浜面は麦野に励まされながら帰途についた。
辺りはすでに暗くなり人気も少ない。
そんな中を、ネガティブモードの浜面と麦野が歩いている。

「まあまあ、知らない男が急に来たらあんな感じになるわよ」
苦笑いを浮かべながら麦野は浜面を励ます。

「そういうもんなのか?」
麦野の励ましが対して効いていない様子の浜面は涙目になっている。

「そんなんで泣くんじゃないわよ、またフレンダにバカにされちゃうぞー?」
そんな浜面をちょっとおちょくってやりたくなった麦野は、軽い冗談を言ってみた。

「ううっ…」
しかし意外とその言葉は浜面の心に突き刺さったようだった。
何しろ今まで浜面は男だらけのスキルアウトで暮らしていたのだ。
女の子の裸を見たぐらいでノックダウンされるほど女の子に対する耐性は無い。

(実際、郭にしてやられた)
そんな浜面のピュアな心には、年頃の女の子の言葉は重く響くのだ。

「え!?意外とさっきのこと引きずってんの?浜面ったらカワイーなぁもう」
浜面の切なそうな表情が麦野の悪戯心をくすぐったのか、どんどん浜面への精神攻撃を加えていく。

「元スキルアウトのリーダーが乙女の一言でそんな傷ついていいのかしらー?」
「…」
「まさか、純真な乙女たちが浜面を厚く蒙ってくれると思ってたー?」
「…」
「もしかして図星!?もー浜面ったらー!」
「…」
浜面は何も言い返せない、先ほどより負のオーラが強くなっている気がする。
(この女かなりのドSだ…。もう俺のライフは0通り越してマイナスですよ…)

59 :浜面の暗部日記 2日目・後編:2010/04/01(木) 01:25:36 ID:Ydisdkpg

「ていうかさ、浜面って帰る所あるの?」
麦野は、これ以上浜面をいじっても楽しくないと思ったのか話題を転換させる。

「帰る所?あ、そういえばねーかも。病院でたばっかだし。昨日は野宿だったなあ」
浜面は涙目のまま答える。
だが別に寝る所を悲観していて涙目になっているのではない。先の麦野による精神攻撃がかなり心に効いているだけだ。
元スキルアウトの浜面にとって野宿など別に大したことではないのだ。
しかし、涙目になりながら寝る所が無いと言う浜面を見てどこか気の毒になった麦野は
「なら、私の家泊まっていく?」
と優しく浜面に問いかけてみる。

「え?」
浜面は信じられない物を見るような目で、麦野のほうを見る。

「だから。泊まっていく?って聞いてんの!」
麦野は浜面のその目に少し苛立ちながらも繰り返す。

「釣りですか?」
浜面はその天使のようなお言葉が麦野の口から発せられたことをまだ信じられないようだ。

「へー、嫌ならべつにいいや」
麦野は浜面の様子に苛立ちを隠せない。

「いやいやいや、嫌なわけ無いじゃないですか!いや天使ですよ!麦野さんは!」
ようやく麦野を信じた浜面は媚を売り始める。

「浜面って軽い男ねー。私みたいな女がそんな稚拙な媚に屈すると思うの?」
麦野はまだ苛立ちを隠せないようだ。

「すいません。お願いします!泊まらせてください!」
浜面は今まであまりしたことのなかった土下座と言う物で、麦野への謝罪と感謝を表現する。

「ま。そこまで言うなら仕方ないわねー。泊めてあげるわ」
浜面の様子に呆れたように、麦野は浜面のお泊りを容認した。

(あれ、つか何で俺お泊りを要求してんだ?)
その場のテンションと麦野の口車に乗せられた浜面は見事に今日の寝床を確保した。

(これでよかったのか・・・な?)
麦野の家へ着くまで浜面の苦悶は続いた。

60 :浜面の暗部日記 麦野家へようこそ!:2010/04/01(木) 01:26:34 ID:Ydisdkpg

浜面は目の前に広がる光景に息を呑んだ。
そこには立派な一軒家があった。
外の世界ではちょっとした金持ちが住む程度の家だ。
だがここは学園都市。学生がこのような一軒家を持つなどにわかに信じがたいことなのだ。

「麦野?」
開いた口のふさがらない浜面は声を振り絞り、麦野に尋ねる。

「何?」
「コレ、アナタのオウチ?」
「だからなんでカタコトなのよ…?まあそうだけど。何か文句ある?」
怪訝そうに麦野は浜面に言い返す。

「麦野!お前ドンだけ金持ちなんだよ!」
浜面仕上、魂のツッコミを放つ。

「別にー、ほとんど学園都市が家賃払ってくれてるし。そんな金かかんないわよ?」
そんなツッコミも軽くあしらわれてしまう。

「レベル5ってすげー…」
「ちょっとは私のこと見直したかしら?」
麦野は微笑みながら、聞いてくる。

「見直すどころか、もう頭も上げられませんよ!麦野サマには!」
浜面はさっきまでのネガティブモードもどこかへすっとんでいってしまったようだ。

「ふーん。まあいいわ、さっさと中入っちゃいましょ」
「ハイ!」
浜面と麦野は家の中へ入っていく。

麦野家はとても綺麗だった。スキルアウトにいた浜面はここが異次元な気がして、どこかソワソワしている。
「ん?どうしたの?」
「いや、俺今日ここに泊まっていいんだよな?」
「なんか文句あるの?」
麦野の瞳がキラリと光る。

「あるわけないだろ!麦野サン、アナタは天使ですか!?」
あまりの感動に浜面は涙を流す。先ほどの悲しみの涙ではなく、あまりの嬉しさによる嬉し泣きだ。

「ちょ!?大丈夫、浜面?情緒不安定なの!?」
まあ、このテンションの落差を考えればそう思われるのも仕方が無い。

(ああ、まだ俺の人生捨てたもんじゃねえ。)
浜面は心の奥底から生きる喜びをかみ締めていた。
相変わらず玄関で固まって涙を流している浜面を放っておくことにした麦野は
「私お風呂入ってくるから、浜面はリビングはあっちだから適当にくつろいでて。後、覗いたらブ・チ・コ・ロ・スからね♪」
そう言って浴室へと向かっていった。

61 :浜面の暗部日記 麦野家へようこそ!:2010/04/01(木) 01:27:12 ID:Ydisdkpg

しばらくして体が動くようになった浜面は玄関を上がりリビングへ入っていった。
リビングにはなんだか高そうなソファが置いてあったが、なんか座るのに気が引けたので浜面は床に胡坐を書いて座った。

「つか、帰ってすぐ風呂ってしずかちゃんかよ…」
そうつぶやきながら、床に寝そべる。
こんな暖かい床を感じるのは久しぶりだった。こんな些細なことにも浜面は感動を覚え生きててよかったーと心の中で叫ぶ。

「麦野って意外といい奴だな…」
そう言って、目を閉じようとしたそのとき。

「キャー!!!」
家の中から、麦野の叫びが聞こえた。

「麦野ッ!?」
浜面は瞬時に起き上がり、麦野の下へ向かおうとする。
しかし、浜面が麦野の下へ行く必要はなくなった。
なぜなら、ドバンとリビングのとが開き麦野が飛び込んできたからだ。
しかも、バスタオル姿の麦野が。

「ゴキが、ゴキがいたのよぉぉ!」
バスタオルという刺激的な姿の麦野は浜面に飛びつく。
そして、飛びつかれた浜面の腕に豊満な胸が押し付けられる。

「む、麦野!?む、胸が当たってるって!」
必死に浜面は抵抗するが、
「私のビームも避けられたのよ!あのゴキ、まだ家にいんのよー!!」
麦野は耳も貸してくれない。

(あんなビーム、家ん中でぶっ放なすなよ!)
という冷静なツッコミを浜面は心にしまい、とりあえず麦野を説得しようとする。

「麦野!とりあえず離れてくれ!この状況は色々とまずい!ゴキは俺がなんとかするから!」
(けど、なんだか離して欲しくない気もする…)
浜面は知らない、天国のあとに来る地獄の恐ろしさを。

80 :浜面の暗部日記 惨劇:2010/04/04(日) 00:12:54 ID:OEkRVJgA

「麦野!とりあえず離れてくれ!この状況は色々とまずい!ゴキは俺がなんとかするから!」
浜面は渾身の思いで麦野に叫ぶ。

(麦野の胸が!胸があたってるぅぅぅ!?)
浜面の腕には、現在バスタオル一枚の麦野が抱きついている。

(持ちこたえろォォォ!俺の理性!)
悶々とする浜面はこの状況を脱するため、まだ正気に戻らない麦野の肩をつかむ。

「落ち着け!麦野!お前バスタオル一枚で風邪引くぞ!」
そこで麦野はようやく我に返る。そして、浜面の腕から離れる。

(良かった、危機は脱したみたいだ…)
「全く。レベル5がゴキブリごときで何騒いでんだか」
浜面はハァー、と溜息をつきながら首を横に振る。

(まあ、麦野もおっちょこちょいなトコがあんだな)
内心かなり面白がっている浜面は、中々言葉を返してこない麦野のほうを見る。

「はーまづらあ…」
そこには、口を引きつらせ目を見開いて世にも恐ろしい表情の麦野がいた。

「え!?な、何でしょうか!?」
あまりの恐ろしさに丁寧な口調になる浜面。

「なぁーに、鼻血出してニヤニヤしてるのかなぁー?」
「え?」
浜面は自分の鼻に手を当ててみる、すると一瞬で手が真っ赤になっていた。
どうやら無自覚に鼻血が出ていたらしい。

(け、けどニヤついてなどいないはず!)
自らの鉄壁の理性を信じる浜面は、心の中でそう念じながらちょうど良く横にあった鏡を見る。
そこには、死ぬんじゃないか?というぐらいの鼻血を垂らし顔をニヤつかせている浜面仕上がいた。
そう、浜面仕上は女の子耐性がヒジョーに低いのだ。
今回は裸ではなかったので卒倒はしなかったが。

「い、いえ。これは不可抗力でして…」
「ブ・チ・コ・ロ・し・か・く・て・い・ね?」
「ぬぉッ!?」
必死の抵抗もむなしく、浜面は死なない程度に原子崩しにぶっ飛ばされた。

(お、俺が何したってんだー!?)
心の中で理不尽さを訴えながら、浜面は気絶した。

81 :浜面の暗部日記 惨劇:2010/04/04(日) 00:13:31 ID:OEkRVJgA

再び気を取り戻した浜面の目の前には、バスローブ姿の麦野がいた。

(のッ!?バスロ-ブというのも中々刺激的!?)
女の子耐性の弱い浜面は再び鼻血を出しそうになるが、寸でのところでこらえる。

「あ?起きたー?さっきはゴメンね♪」
そう言って、麦野がウインクをしてくる。

(おォォォ!ヤバイヤバイ、バスローブ姿の麦野のウインク!破壊力が!)
浜面は、真っ赤になった顔を横にそむける。

「いや、さっきは俺にも悪いトコがあったような…無かったような…」
「まーまー、この後ご飯にするからさきお風呂入ってきなさい♪」
「あ、あんがと…」
できるだけ麦野のほうを見ないようにしながら風呂へと向かう。

「麦野ー!風呂ってどこだー?」
「2階の一番奥よー。あ、あと下着は洗濯機放り込んどいてー。浜面が風呂に入ってる間に洗濯しちゃうから」
「へーへー」
どうやら麦野の家の洗濯機は超スピードで洗濯・乾燥のできてしまう代物らしい。
浜面は下着を洗濯機に放り込み、腰にタオルを巻く。

「上着は…、まあいっか」
そして風呂に入っていった。

「つーか、ちゃんとした風呂入るなんて久しぶりだなー…」
湯船につかりながら浜面は呟く。
その時、風呂の外で物音がした。どうやら麦野が洗濯物をしにきたらしい。

「あ、浜面の上着も洗っとくからねー♪」
「終わるのか?洗濯」
「学園都市最新の洗濯機舐めんじゃないわよー♪」
「つーか、なんでそんな上機嫌なんだよ?なんかいいことあったか?」
「いや、別に。なんかさ、こうしてると夫婦みたいじゃない?私達」
(は?夫婦?俺と麦野が…)
「なななな、何言ってんだよ!?お前!?」

82 :浜面の暗部日記 惨劇:2010/04/04(日) 00:14:38 ID:OEkRVJgA

「いやいや、冗談のつもりだったんだけど。全くウブだなぁ、は・ま・づ・ら・は♪」
「うるせー」
「あらあら、そんな口聞いていいのかしら?浜面は私の…」
麦野が急に黙る。

「ん?どうした?麦野?麦野?」
浜面がそう問いかけると同時に、
「キャー!!」
麦野が風呂場に突っ込んできた。

「ゴキよ!ゴキ!」
「え!?ちょ…こっち見んな!麦野ォ!」
そう必死に叫ぶ麦野の前には…、一糸纏わぬ生まれたままの姿の浜面がいた…

「ぎゃぁぁぁぁ!!」
壮絶な麦野の叫び声と共に、浜面は再びぶっ飛ばされた。

42 :■■■■:2010/03/29(月) 23:58:43 ID:0HJ3DhQg
GJだ!

43 :■■■■:2010/03/30(火) 01:00:51 ID:aZXl9OBI
GJ

83 :■■■■:2010/04/04(日) 01:10:49 ID:AJkVDAIk
GJです。