1 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 13:27:53.80 ID:SumbvhkS0
立ったら投下します

コンセプトは「上琴のポリネシアン的な一夜を考える」

作中で一部性描写があります
(内容的には至ってノーマルです)


投下中でも随時レス割り込みOKです

2 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 13:29:18.13 ID:SumbvhkSo

 二月初旬の、とある土曜日。

 暦の上では立春を迎える学園都市は、まだ寒風が肌を撫でていく真冬の只中にあった。
 この時期は受験や学期末試験といった、学生達の神経を擦り減らす行事を間近に控えており、
 街中ですれ違う若者達は誰もが冷えこむ気候に身を縮め、暗澹とした表情をして歩いている。
 
 しかし、買い物袋を携えた御坂美琴(みさか みこと)はその辛気臭い雰囲気を物ともせず、
 太陽のように燦々と輝く笑みを浮かべ、一人軽やかな足取りで歩いていた。
 午前中で授業を終えて昼食を食べ終えた頃から高ぶる気分を抑えきれず、
 今日の逢瀬に思いを巡らせてほんのりと惚けている。
 対向する者はその幸多そうな表情にあてられ、みな怪訝な顔をしながら道を譲っていく。

「アイツの家に泊まるのも、今日で五度目かぁ」

 小さなメモリアルが、心躍る美琴の高揚ぶりに拍車をかけている。
 手にした袋は食材でギチギチに満ち、少女の手に食い込むほどの重さだが、
 二人の幸せな食卓を作ることに思いを馳せると、羽が生えたように軽やかだった。


 御坂美琴が、上条当麻(かみじょう とうま)と恋仲になって早二ヶ月が経つ。

3 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 13:35:41.65 ID:SumbvhkSo

 両想いの恋を始めてから、美琴は自分の知らない一面を多く知り始めた。
 付き合い初めは上条と手を繋ぐ事すらおぼつかないほどウブだったのが、
 自分は尽くす事で幸せを感じるタイプなのだと知るや
 程なくして通い妻の真似事を始め、やがて週末に上条の部屋へ入り浸るようになる。
 寮監や同居者の目を避けながら、既に四度もの外泊を重ねていた。

 一度目の夜は二人が同じ部屋で一晩を過ごすだけで頬が赤くなり、
 二度目の夜は初めて同じベッドに枕を並べて一晩を過ごし、
 三度目の夜はお互いを抱きしめ口付けあいながら眠りに落ち、
 四度目の夜は―――

「……私、アイツと……しちゃっ、たんだよ、ね……。
 アイツったら逞しくて、優しくて、でも荒っぽくて……ああぁぁ」

 先週の夜の出来事を思い起こすと、美琴は熟したトマトのように顔を赤らめてしまい
 正常な思考ができなくなってしまう。
 男女の一線を越える事を受け入れたのに、心は生娘のままだ。

「また、するのかなぁ」

 憶測ではなく願望を口にしている事を自覚して、顔が赤らみのぼせてしまう。
 出立前にわざわざ下着を厳選してきた自分の心に嘘はつけない。

「……玄関前に茹でダコがいるぜよ」

4 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 13:43:35.90 ID:SumbvhkSo

 それが男子寮の前で惚けたまま立ちつくしている自分を指した声だと気付くと、
 美琴は慌てて体面を整え、声のする方へと振り返った。

「あ、つ、土御門のお兄さん……こんにちは」

「およっ、常盤台のお嬢さん。今週も来たのかい?」

「あ、え、えっと、はい。土御門さんはこれからお出掛けですか?」

「舞夏と待ち合わせて買い物に行くとこですたい」

「兄妹仲が良いんですね」

「そちらさんほどじゃないにゃあ~」

 美琴は恋人の友人であり、友人の兄でもあるこの男、
 土御門元春(つちみかど もとはる)がどうにも苦手だった。
 能天気な言動の裏側に、決して他人に心掴ませぬ刃を秘めているように見える。
 人を値踏みするような視線を隠すサングラスと、季節にそぐわないアロハシャツ、
 それに加えて気色の悪い口調―――その全てがうさん臭かった。

5 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 13:49:40.85 ID:SumbvhkSo

「ああ、カミやんなら今さっき禁書目録と一緒に出掛けたみたいぜよ」

「知っています。あの子の事、担任の先生に預けに行ったんですよね」

「小萌先生もつくづく面倒見のいいことだにゃあ」

 上条の同居人インデックスの存在は、美琴にとって一番デリケートな問題である。
 上条と恋仲になった今となっては彼女個人と確執を設けるつもりはないのだが、
 三人を取り巻く環境が危ういバランスの上にある事も理解していた。

「だから今はカミやんの部屋には誰もいないぜよ」

「大丈夫です、これを預かっていますから」

 美琴は懐から合鍵を取り出し、土御門に見せつけるようにかざす。
 本心としては、この鍵を使って一刻も早く上条の部屋に逃げ込みたかった。

「ぬかりないねぇ」

「それでは」

 早々に会話を切り上げると、美琴は駆け上がるようにして階段を上っていく。
 その背中を見送った土御門は、羨望に満ちた顔でいながら心は懸念に満ちていた。

「カミやんは幸せもんだにゃ~。
 それにしても……幻想殺しに禁書目録、そして妹達《シスターズ》の源、超電磁砲か。
 つくづく皮肉な巡り合わせだぜぃ」

---

6 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 13:55:38.22 ID:SumbvhkSo

 [13:18]

 先週、上条から部屋の合鍵を手渡された美琴は、この小さなアイテムに
 彼の信頼と愛情が詰まっている事にすっかり舞い上がっていた。
 恋人同士を象徴するやりとりに、美琴はおろか上条も顔を赤らめていた事を思い出す。
 美琴はこの鍵を一週間肌身離さず持っていたが、さっそく行使の好機を手に入れた。

(こういう時にこそ使っていいのよね)

 上条の部屋の前に辿り着いた美琴は、少しの背徳感と大きな期待感を胸にして
 鍵穴に恐る恐る鍵を差し込み、錠を開く。
 愛の巣。ふと如何わしい単語が思い浮かび、またも顔から熱気が吹き出そうになる。

「お、おじゃましまーす……」

 上条の在宅中なら何度か訪問経験はあったが、無人の家に上がるというのは緊張感が違う。
 美琴は後ろ手に内鍵を掛けると、落ち着かない心境を宥めるために
 家事の算段を思い巡らせた。

7 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 14:00:44.00 ID:SumbvhkSo

(まずは、アイツが帰ってくるまでに夕御飯の準備をしなくちゃ。
 鍋は火を通したらすぐ食べられるように仕込みしといて、炊飯もタイマーしといて、
 掃除と洗濯は明日するわけだから、料理の下仕込みさえ終わらせておけば……)

 買い物袋と一緒に手にしていたデイリーバッグを床に下ろすと、
 常盤台の制服姿を汚さないための、カエル柄のエプロンを取り出して身に着けた。
 丁寧に手と喉をゆすぎ、買い物袋の中身を台所に並べていく。
 材料を買う時から夕飯の主献立はクリームシチューと決めていた。

「ま、いっちょ腕を振るってやりますか!」

 自分の味を彼氏にインプリンティングする事に喜びを覚える美琴は、
 初々しい願望に頬を赤らめつつ、威勢よくジャガイモの皮を削ぎ始めた。

 ---

8 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 14:06:03.81 ID:SumbvhkSo

 [13:42]

 インデックスを飼い猫ごと月詠家に送り届け、帰り道にドラッグストアへ立ち寄った上条は
 コーナーの一角に大きく張り出されたポップの文字をまじまじと見つめていた。
 今日は美琴と外で待ち合わせをせず、先に家へ向かわせたのには理由がある。
 インデックスが不在の今しか入手できない、とある品物を購入するためだった。

『新発売! 極上の安心と快楽をあなたに!
 極薄0.01ミリ! サ○ミオリジナル 6つ入 税込¥1480』

 信頼と安心を標榜する避妊具の最新製品を前にして、上条は葛藤していた。
 記憶喪失に陥った直後の上条は、自分の財布にしまい込まれていた1枚のスキンの存在を
 本来の自分が持っていた虚栄心、或いは男子としてのエチケットと推測していた。
 今日に至るまで、かつての自分と肉体関係を結んでいた事を示唆する女性は現れておらず、
 上条当麻が童貞であった事に疑いは持っていない。
 しかしそのスキンも先週、己の目的を正しく果たし、その役目を終えていた。

(ううう、やはり男女のお付き合いは健全であらねばならぬと思うのですが、
 つい男の本能に従ってしまったばかりに、上条さんは遂に、遂にっ、
 女子中学生と身体を重ねたロリコン高校生になってしまったっっ。
 こんな事が青髪や土御門に知られようものなら、今度こそ上条さんはリンチ死ですよ!
 でもなぁ……あいつも嬉しそうだったしなぁ)

14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/01/22(土) 14:30:00.18 ID:0NfHG7w/o
>サ○ミオリジナル
ミサカオリジナルに見えたww


9 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 14:09:25.29 ID:SumbvhkSo

 性欲自体に抗うか否かの激しいジレンマは、先週の時点でとっくに通り過ぎていた。
 愛する恋人との逢瀬を再び求めるならば、せめて最上のスキンを用意するのが
 男子の器量だろうと上条は思い込んでいる。
 ポップから目を逸らせば求めやすい価格のスキンが幾つも棚にあるというのに、
 もはや上条の心には「極薄」の魅力的な二文字が力強く彫り刻まれていた。
 しかし己の財布を開くと、そこにあるのは千円札が一枚とわずかな小銭のみ。

「無い袖は振れないんだよな……はぁ、不幸だ」

 財布を振っても逆さにしても、どう合算しても1480円には届かない。
 謳い文句に惹かれる本能と健全な理性がせめぎあう戦場に、予算という名の
 絶対的な調停者が舞い降りたため、上条は心の中で両手を上げ降伏を決意した。

(『徳用スキン50枚入り980円』これならギリギリで……
 いやしかし安物をこんな大量に買い込んだらあいつに引かれそうだな、ってか俺も引く!)

 味気ないパッケージに手を伸ばそうとして、再びくだらない葛藤に束縛される。

10 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 14:15:50.27 ID:SumbvhkSo

 ふと悩める視線を横に向けると、ドラッグストアの法被を着た女性販促員が
 店内に黄色い声を響かせながら試供品を配布している光景に目を奪われた。
 試供とか試食とか、無料提供を連想させる言葉に惹かれがちなこの少年が
 ふらふらとキャンペーンコーナーに近付いて来る様子を見つけた女性販促員は、
 営業用のスマイルと共に、薄赤色のビニールで包装された試供品を彼に手渡した。

「よろしかったらどうぞお試しください! 彼女さんを大切にしてあげてくださいね!」

(なんで俺に彼女がいるって分かったんだ、この人?)

 店員が何を配っているのかも理解しないまま、庶民感覚だけで試供品を受け取った上条は、
 ビニールに包装されているそれの正体に気付くと細かいツバを噴き出した。

『極薄0.01ミリ! サ○ミオリジナルスキン 3つ入 ※これは試供品です』

「ブ―――ッ! こッ、これはッ、さっきのスキンではありませんかぁぁ!?」

 上条は慌てて店を出て、周囲の視線を気にしながらビニール袋を開梱すると
 そこには3枚の試供スキンと1冊の小冊子が入っていた。
 帰り道に足を向けると、スキンをこっそり懐に忍ばせつつ冊子を開く。
 その冊子のタイトルは、おおよそ公共の場で口外できる代物ではなかった。

『実践!メイクラブ完全マニュアル ~若い恋人達の幸せのために~』

11 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 14:21:23.64 ID:SumbvhkSo

「なにが実践だよ。学生だらけの学園都市でこんなもん配っていいのかあ?」

 上条は街のモラルを皮肉ったが、学園都市が抱える性問題は思いのほか根深い。
 この都市では学問と能力開発ばかりを熱心に教え、性に関わる情報は強く統制している。
 しかし、淫らなポルノを街から排除しても学生達を健全に育て上げるとは限らないらしく、
 冊子には近年の学生達の中絶率が上昇の一途である事がグラフデータで示されていた。
 避妊具や妊娠検査薬がストアで公然と売られている点を見るに、都市としても
 異性交遊の実情に対して妥協せざるを得ない部分があるのだろう。

「デートDV? そんなのがあるのかよ、恋愛相手に暴力とかありえないだろ。
 中絶の悲惨な実態? ……うげぇ、こんな生々しい写真は見たくないな」

 知識も心身も未熟な少年少女達に不可欠なバイブルを目指して作られているようだ。
 上条の性知識も決して豊かではなく、大切な恋人ができた以上、
 ポルノ以外の健全な教材があるのならば頼ってみたいという心理もある。
 いつの間にか冊子の記述にのめり込んでいた上条が特に目を惹かれたのは、
 冊子の最後に乗っていたセクシュアルな記事だった。

12 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 14:27:09.75 ID:SumbvhkSo

『スローセックスとは―――射精や絶頂を目的とした男性本位のセックスに対し、
 ゆっくり時間をかけ、男女が互いをいたわりながら肌を重ねる時間を楽しむ性行為です。
 前戯10分・交接5分のインスタントセックス、欲望の処理を第一目的としたセックス、
 相手を無視した自分勝手なセックス、激しい運動に終始するセックス、
 これらは全てジャンクセックスと呼び、スローセックスはその対極をなすものです。
 セックスは神様からの最高のプレゼントであり、人生に喜びと幸福をもたらす崇高な行為。
 最高のエクスタシーを体感し、最高の喜びを共有し合うためには
 正しい性知識とテクニックをマスターしてこそ実現できるものなのです』

「……なんだか宗教じみてんなあ」

 故あって近頃、宗教間抗争に多く関わっている上条の第一印象だった。
 しかし学生向けに作られた記事は明快かつ明瞭で、知能指数の決して高くない
 上条にも読みやすい文章でまとめられていた。
 激しい動作とフェチズムばかりを重視し、売り上げを至上命題とするポルノとは
 一線を隔す現実的な情報が、上条の目には貴重かつ新鮮なものに映る。

「要するに、アレを突っ込んだら激しく腰を振るばかりじゃなくて、
 相手の様子を見ながら沢山触ったりキスしたりする方を重視しろって事か。
 ううっ、この間の事を考えると、俺にそんな冷静に対処できる自信はねえぞ」

13 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 14:29:44.81 ID:SumbvhkSo

 初体験の事を思い起こすと、上条は気恥ずかしいやら情けないやらで悲しくなる。
 一糸纏わぬ姿の美琴がいとおし過ぎて、スキンを身に着けて身体を重ねた後は
 一心不乱になってしまい、挿入から射精まで3分と持たなかったのだ。
 たった一枚のスキンを使い終えた直後に、激しい後悔に襲われた事を思い出す。

(あれがジャンクセックスって奴か。確かにあんな行為じゃ相手にも良くねえよなぁ。
 初体験だから仕方ないって、心のどこかで言い訳していたのかもしれねえ。
 そういや美琴も初体験だって言ってたし……なんかすごく申し訳ない気がしてきたぞ。
 ……いいぜ、あんな体験を二度としたくないって思うのなら、まずはこの内容を記憶する!)

 紆余曲折を経て、御坂美琴という可憐な少女と恋仲になったのだ。
 自分がいくら不幸な男でも、そのために彼女まで不幸にする事は絶対にあってはならない。
 そう誓う上条は、帰寮するまでの道程に冊子を隅々まで熟読する事にしたのだが、
 途中で迂闊にも野良犬の尻尾を踏んでしまい、執拗に追いかけられる憂き目に遭った。

「ふっ……不幸だァ―――!!」

---

15 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 14:34:35.29 ID:SumbvhkSo

 [14:27]

「アイツ、遅いなぁ。また何かに巻き込まれてなきゃいいけど……」

 美琴は大鍋に仕込んだクリームシチューをかき混ぜながら、玄関と鍋に交互に視線を向けつつ
 新婚の夫を待つ新妻のように上条の帰宅を待ち焦がれていた。
 料理は一通り完成したのだが、これが夕食として口に入るのはだいぶあとになる。
 しかし調理を終えると無人の上条宅で手持ち無沙汰になってしまうため、
 なんとなくお玉から手を離せないでいた。

(も、もしアイツが帰ってきたら、やっぱりアレを言ってあげるべきなのかしら。
 お風呂にしますか? ご飯にしますか? そ、それとも―――)

 ガチャッ、ガタンッ!
 静寂を打ち破るようにドアノブを回す音が鳴り響くと、
 美琴は反射的に肩を震わせ、家主の帰還に戸惑った。

17 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 14:41:32.64 ID:SumbvhkSo

(か、帰ってきちゃったの!?
 だってお風呂なんてまだ沸かしてないし、夕ご飯には早すぎるし、だ、だからって
 こんな時間から「それとも……私?」なんて言えるわけないじゃないのよぉ!)

 開錠音と同時に、美琴は思わず玄関口に伏していた。
 戸を開いて現れた上条は、その異様な光景をどう受け取ってよいものか迷ったらしく、
 気まずい空気が玄関を取り巻く。

「ただいまーっと。……なにやってんだ、美琴?」

「おっ、おお、おか、おかえりなさい、あははは……!」

「お前、またなにかテンパってただろ。こんなメイドみたいな事しなくたっていいんだぞ」

「わ、私だって気が付いたらこんな姿勢だったのよ!」

「にしても、なんだかいい匂いがするな~」

「でしょ。夕ご飯はクリームシチューにしようと思って」

「そいつは夜が楽しみだ。美琴の料理は品が良くて旨いからなぁ」

「そ、そうね、夜はお楽しみよね、ね」

18 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 14:45:35.94 ID:SumbvhkSo

 正座姿勢のまま、赤面して慌てている美琴の様子を見て
 いつもの妄想癖がまた出たのかと思えるくらいには、彼女への理解も深まっている。
 美琴の手を取って立ち上がるのを支えると、玄関の段差で二人の身長差が埋まり、
 目線がちょうど水平に並んだ。

「あー、その、なんだ。お前のエプロン姿、可愛いな」

「あ、ありがと……そ、それとさ」

「なんだ?」

「こういう時に、する事があるでしょ」

「?」

「もうっ」

 とはいえ上条の勘が鈍いのは相変わらずで、美琴は溜め息をつきながらも
 自分からそっと上条に歩み寄り、顔を寄せて口付ける。

「……おかえりの、キスよ」

「あ、ああ」

19 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 14:50:47.38 ID:SumbvhkSo

「唇、冷たいね」

「外が寒かったからな。早く暖まりてえよ」

 土曜の日中はデートするのが習慣になっていたが、今日の寒さでは気が進まない。
 二人の思惑は細かい部分では異なるものの、家を出たくないという点は一致していた。

「夕ご飯まで時間あるけど、どうしよっか?」

「今日は寒いし、家でゆっくりしようぜ」

「そ、それがいいわね。とりあえず上がんなさいよ」

「ここは俺の家だぞ」

「分かってるわよ、玄関で突っ立ってるから気になっただけ」

「へいへい」

 美琴は台所に入って鍋の火を止めると、調理器具の洗い物を始める。
 ふと、リビングに入っていく上条の後ろポケットに折り畳まれた冊子を見つけると、
 夏休み最後の日に上条が握り締めていた宿題用紙を連想した。

20 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 14:56:05.85 ID:SumbvhkSo

「そういえば、アンタ今週も宿題って出たの?」

「ああ、今週もたーっぷりと出されましたよ。期末試験も近いしな。
 まぁそのお陰で小萌先生にインデックスの事をお願いできるんだけどさ」

 小さな身でありながら、愛する生徒に対して人一倍熱心な担任の顔を思い浮かべつつ
 上条は小さな溜め息をついた。愛の教鞭はいつだって彼に厳しい。

「あの子がいると勉強もはかどらなさそうよね」

「まぁな。二言目には『とうま、お腹減ったー!』だもんなぁ」

「分からないところは聞いてくれてもいいけど、なるべくは自分でやんなさいよ」

「ですよねー。こっちのセンセーも最近はすっかり厳しいこって」

「なによぅ、それがアンタのためなんだからね」

「嬉しくて上条さんは涙が出そうですよ」

21 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 15:01:57.16 ID:SumbvhkSo

 上条は制服からトレーナーに着替え、制服のポケットからスキンを抜き取ると
 堂々と美琴に見せる事のできないそれを、こっそり枕元に忍ばせる。
 次に粘着ローラーを手に取り、インデックスの外泊する日だけ
 家主が使うことの許されるベッドの上をコロコロと均していく。
 飼い猫スフィンクスの毛と、インデックスの体毛を取り払うエチケットだ。
 一通り掛け終えると、ちょうど台所の洗い物を終えた美琴も
 エプロンをほどきながらリビングに入ってきた。

「ちょろっとーアンタ、帰ってきてから手洗いちゃんとしたの?」

「してねえ」

「しなさいよ! 風邪の流行る季節なんだから、ちゃんとうがいもするのよ」

「母親みたいな小言言うんだな」

「ひどッ! そーいう言い方する!?」

「悪い悪い、美琴ママの優しさには感謝しきりですよ」

「茶化すなっつーの」

22 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 15:06:40.85 ID:SumbvhkSo

 美琴は尻を蹴飛ばす仕草で、上条を洗面所に送り出した。
 上条はハンドソープを手に取りながら、ついでに歯磨きもしようと思い立つ。
 美琴はベッドに腰掛けつつ待っていたが、ふと緊張で乾く口内を潤したいと思い
 友人から貰ったアメ玉を懐に見つけ、これ幸いと舐め始めた。

(だ、大丈夫よね。来る前に歯も磨いたし、シャワーだって浴びてきたし、
 私変な匂いとかしないわよね。し、下着だってちゃんと新品を下ろしてきたし……)

 上条は美琴のファンシー趣味に共感はしないが許容はしている。
 カエル柄の下着姿だって受け入れるだろうが、苦笑くらいはするだろう。
 先週の外泊のあと、彼に魅せる下着姿を強く意識するようになった美琴は
 年下の友人二人と相談のすえ、セクシーアピールできそうな下着を数点購入していた。
 やたらと官能的なルームメイトの趣味だけは参考にしなかったが、
 お陰で上条に笑われなくても済む自信はついたと美琴は考えている。
 アメ玉を舐め終えた頃になって、ようやく上条が戻ってきた。

「ずいぶん丹念に洗ってたのね」

「ま、まぁな」

23 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 15:10:43.78 ID:SumbvhkSo

 上条が美琴に寄り添うようにしてベッドに腰掛けると、室内に静寂が戻り
 カチコチと無機質な壁時計の音だけが空間を支配する。
 時刻は2時30分を回っていた。

「……明日のいつまでいられるんだ?」

「午後からは黒子達と遊びに行く予定があるの。だからお昼までかな」

「じゃあ昼飯はここで食べていけよ。多分インデックスもそれまでには帰ってくる」

「そうね、明日の分も作り置きしてあるから三人で食べましょ」

「ああ、助かる」

「そうすると、あと20時間くらいは二人でいられるのよね」

「そうだな」

「……」

 会話が止まると、二人はどちらともなくお互いを見つめあい、瞳を瞬かせる。
 美琴を求める事にまだ葛藤がある上条は、彼女の肩を抱き寄せようとする右手を
 わきわきと動かし、肩に触れるか触れないかのところで留めていた。

24 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 15:15:44.49 ID:SumbvhkSo

(いいのか俺、こんなガツガツしていていいのか俺っ)

 この一週間抑圧していた欲望が、上条のトレーナーの下腹部を
 突き破らんばかりの勢いで押し上げている。
 就寝の間際になだれ込んだ初体験とは違い、まだ日も明るい中で
 美琴にどういう形で求めればいいのか分からず、先走る欲望に必死で抗う。
 そんな上条の苦悶は、眼前の美琴にも丸分かりだった。
 
「あ、あのさ、多分だけどさ……同じ事考えてると思うの、私達」

「えっ?」

「私も……その、そうして欲しいから」

 美琴も彼女なりに、あと一歩踏み出せない臆病な自分自身と懸命に戦っている。
 上条に求められたい一心は強く持っているのだが、上手に表現する方法を持たず、
 爆発寸前で震える風船のようであった。

「我慢しなくて……いいよ」

 理性の糸が断ち切れる音を聞くより早く、上条は美琴の肩を抱き寄せて口付けていた。
 柔らかい唇から、ほんのりと甘いレモンの香りと味が伝わってくる。

25 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 15:20:11.44 ID:SumbvhkSo

「なんだか甘い……」

「あ、アンタが手を洗っている間にアメ舐めてたの」

「だからか。もっと、味わってもいいか?」

「うん、いいよ……んふっ」

 三度目のキスは、お互い待ちきれなかった舌を突き出し、絡み合わせる。
 生暖かくて柔らかい舌の感触と、かかる鼻息のこそばゆさが心地よくて、
 上条の意識がたちまち打ちのめされる。
 不器用な少年も数度の経験を経て、美琴の好むついばみ方を覚えつつあるのか
 上条は五感の全てを駆使して美琴を求めた。

(やーらけぇー、あったけぇー、いい匂いがする……)

(とうま……キス、うまくなってるぅ)

 甘美な感触が、美琴の理性もとろとろ溶かしていく。
 わずかに漂ってくる歯磨き粉の薬味も厭わず、上条を吸い求める。
 告白を受けた日にファーストキスを交わして以来、美琴はこの行為にすっかり溺れていた。
 これほど手軽に快感と幸福を味わえるのなら、もっと早くこの快楽に侵されたかったと本気で考えている。

26 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 15:25:40.31 ID:SumbvhkSo

「あぅん……もっとちゅーしてぇ、とうまぁ……」

「ああ、もっとしてやるよ、美琴」

 舌を入れてキスを続けると、美琴の中にある「何か」のスイッチが切り替わることを
 上条は経験上から確信していた。
 スイッチが入ると美琴はツンケンとする自分を脱ぎ捨て、"少女"から"女"へと変態する。
 声が一オクターブ上がって艶を増し、上条を下の名前で愛らしく呼ぶようになる。
 学園都市で最高峰に君臨する超能力者《レベル5》として、気丈に振舞う姿の裏側に
 こんなにも惚けた女の表情を持っている事を知っているのは上条だけだ。
 分身にたちまち血が溜まって剛直するが、押し倒さんとする己の衝動はグッとこらえる。

(今日はまだまだ我慢だ、我慢。時間をかけて美琴に沢山触れてあげないとな)

『まずは、たっぷりと時間を掛けてディープキスをしましょう。
 女性は性交以上にキスを好みます。ゆっくり時間を掛けて相手の心の扉を開くのです』

 冊子の記述内容を思い起こしつつ、レモン味が消え果てるまで舌を絡め続けた。
 抱きしめる腕の力を強めると、美琴からも求めてくる抱擁の力強さが愛おしい。
 その瞳はトロリと潤み、上条にすっかり身も心も任せていた。

「なぁ、美琴」

「なにぃ?」

 美琴の甘ったるい言葉には、上条がキスを中断した事への不満と、
 続きをせがむ期待が合い混ざっていた。
 上条とて、ここで止めるのは全く本心ではない。

27 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 15:30:42.73 ID:SumbvhkSo

「持ってるアメ玉って一個だけなのか?」

「ううん、初春さんから沢山貰ってるから、まだ5つくらいあるわよ」

 美琴はいったん上条から身を離すと、ポケットから全てのアメ玉を取り出した。
 上条はその隙に空調機のリモコンに手を伸ばし、設定温度を22度に設定し直す。
 いささか肌寒い数値だが、身体を求め合うにはいい具合だろう。

「リンゴ味、パイナップル味、イチゴ味、オレンジ味、ブドウ味……ねっ、どれにする?」

「全部」

「ぜ、せんぶ舐めるの? 一個ずつ?」

「……ダメか?」

「ダメじゃない」

 魅力的な提案に逆らう理由など何もない。
 美琴はまずイチゴ味の包装を破ってアメ玉を口に入れ、目を閉じる。
 イチゴ味の美琴も美味しそうだなと呟くと、上条は美琴の唇に強く吸い付いた。

---

28 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 15:36:20.07 ID:SumbvhkSo

 [14:46]

 アメ玉を二人で舐めると1つ当たり3分で消え果てる事を知った上条は、
 美琴をベッドに押し倒しつつ、またしても舌を絡め続けていた。
 唇以外を舐めようとするとアメの糖分でベタつくため、
 二人は糖分が完全に磨滅するまで互いの口内をむさぼっている。

「……制服、シワになっちまうな」

「なんでもいいからぁ、続きしてぇ」

 会話で意思の疎通を図るにはどうしても口を離さなければならないのだが、
 美琴はほんの一瞬でも恋人の体温が離れる事に耐えられないらしい。
 上条は唇が触れるか触れないかの位置まで口を寄せると、
 小さな口をぱくっと開いて、餌をせがむ小鳥のように唇をついばんでくる。

「お前、キス好きだよな」

「すきぃ、とうまが好きぃ」

「スイッチが入ると急に素直になりやがるし」

「んふっ」

29 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 15:40:27.99 ID:SumbvhkSo

 劣情にまみれた鼻息が扇情的で、背筋にゾクリとくる。
 口内を舌でねぶられるのが余程やみつきになったのか、美琴の惚けた表情を見ていると
 こんちくしょう今すぐ突っ込んでやりたいのを我慢してるのに、と思う上条は
 自分が焦らしているのか焦らされているのかも分からなくなっていた。
 唇でついばむキスを続けながら、上条は美琴へ完全に体重を預け、空いた手で美琴の耳たぶに触れる。
 ビクリと身体を震わせる様子を見て、このままいじくり倒すのも面白いと思いつく。

「重くないか?」

「らいじょうぶぅ、口離しちゃやらぁ」

(完全にハマってるな。えーと、次は確か……)

『女性の肌に触れる時は「1秒間に3センチ」を意識しましょう。激しくこするのは禁物です。
 優しくゆっくり撫でる事で、相手は貴方の存在を強く意識します』

 冊子に記されたガイドのまま、上条は美琴の耳たぶをこすり始めた。
 口付ける事と、性器をこすり合わせる以外の性交渉を知らない上条にとって
 これが本当に快楽と直結するのかという不安はあったが、

「ふっ、ふぁぁっ、にゃあっ、うにゃあ!」

(なんつう声出すんだよ)

 美琴には思いのほか効果があるようだ。

30 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 15:45:22.17 ID:SumbvhkSo

 上条自身はまだ自覚していないが、美琴の嬌声を聞くたびに
 下半身に血が滾っていくのも立派な前戯になっている。
 潤んだ瞳と目が合うと、貪欲に求める女の本性が垣間見えた。

「それ、きもちいい……」

「美琴は耳も弱いのか」

「しら…なぁい…」

「もっと弱点探してやるよ」

「してぇ……」

 左手は耳を撫で続け、右手をうなじに伸ばす。
 こうして美琴に触れるのは、前戯のほかにも能力漏れを防ぐ意味合いもあった。
 ペッティング中に感電したのでは笑い種にもならない。
 美琴は顎を上げて手を受け入れ、後頭部の生え際をさすると、また舌を突き入れて絡める。
 おとがいが唾でベトベトに濡れるのも気にせず、二人はすっかり行為に没頭していた。

「んふぅ、んふっ、んっふーっ、ふぅーっ、んっ、んっ、んふぁ…っ…」

(どこでも感じるんじゃねーか)

31 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 15:50:25.69 ID:SumbvhkSo

 徐々に荒くなっていく美琴の呼吸に漂うアメの香りが
 シャンプーの香料と混濁して、上条の鼻腔を執拗にくすぐる。
 射精感がぞわぞわと湧き上がってくるが、心を無にして必死に抗った。

(3センチ、3センチ、3センチっと)

「んーっ、んぅーっ、とーまぁ……」

(あー、やべー、これだけで俺出ちまいそうだ。こいつ可愛いなー)

 美琴の蕩けた思考には、もう上条と性感以外は何の情報も入ってこない。
 一週間逢えなかった切なさや寂しさも、明け方の霧のように立ち消えていた。
 好きな男に口内を、そして肌を撫でまわされ続け、淫らな一面を開発されていくことに
 戸惑いも恐怖も感じず、ひたすら悦楽だけを感受していた。
 
(私……やっぱり当麻が大好き……)

 その本心を認めるまでに掛かった月日、そして上条と恋仲になるまでの経緯の中で
 二人は数々の苦難と試練に立ち向かってきた。
 一つ間違えば命を落しかねない危機とて幾度もあった。
 ほんの少しでも運命が不運に傾けば、二人は今頃冷たい骸になっていただろう。
 今こうして生きて愛を育む事ができるのが、美琴にとっては何より幸せだった。

32 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 15:55:13.07 ID:SumbvhkSo

 ゲコッ、ゲコッ、ゲコッ♪ ゲコッ、ゲコッ、ゲコッ♪

 桃色の嬌声で満たされていた室内に、頓狂な着信音が鳴り響く。
 唇を重ねたまま二人は目だけで意思疎通した。

(なんだ?)

(ごめん、私の携帯メール)

 なんなのよもぅ、と愚痴をはばからず、美琴が身体をくねらせてポケットを探ると
 上条は美琴に預けていた体重を取り戻し、いったん離れた。
 相手の体温を喪い、一抹の寂しさが二人を襲う。

「……黒子からのメールだわ」

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【From】kuroko-shirai@tokiwadai-jh.ed.jp
【Sub】 ピンチですわ!
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 お姉様、まさか今宵もお泊まりですの!?
 寮監が勘付いてカンカンですのよ(ToT)
 門限をごまかすにも限度があります、
 せめて今宵は寮に戻ってくださいまし!
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33 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 16:00:51.86 ID:SumbvhkSo

 無粋ながらも必然の成り行きであった。
 美琴は憮然とした表情で、素早く返信を打つ。
 上条はその間に自分の携帯を確認し、着信履歴がない事に安堵すると
 サイレントモードに設定して卓上に戻した。
 もし急用があれば固定電話に掛かるか、隣室の土御門が直接掛けつけて来るはずだ。
 今日一日はなるべく誰の介入もなく二人だけの世界でいたかったのだが、
 己の不幸な体質を考えると大きな期待を持ちづらい。

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【To】kuroko-shirai@tokiwadai-jh.ed.jp
【Sub】 Re:ピンチですわ!
---------------------------------------
 無理! なんとかごまかして!
 明日なんでも奢ってあげるから!
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【From】kuroko-shirai@tokiwadai-jh.ed.jp
【Sub】 Re:Re:ピンチですわ!
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 お姉様ぁ~(ToT)
 このままでは黒子の首が270度回ります!
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34 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 16:05:29.84 ID:SumbvhkSo

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【To】kuroko-shirai@tokiwadai-jh.ed.jp
【Sub】 Re:Re:Re:ピンチですわ!
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 あと90度回してもらえれば元通りよ
 頑張って
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【From】kuroko-shirai@tokiwadai-jh.ed.jp
【Sub】 首がちぎれますわっ!(ノД`)
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 居場所は分かってますのよ!
 どうせあの殿方のところでしょう!
 お姉様、くれぐれも学生としての節度を!
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【To】kuroko-shirai@tokiwadai-jh.ed.jp
【Sub】 アンタなら大丈夫な気がするわ
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 そ、そんな事あるわけないでしょ!
 今夜は佐天さんの所に泊めてもらうのよ。
 来週はちゃんと寮に居るようにするから。
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【From】kuroko-shirai@tokiwadai-jh.ed.jp
【Sub】 メールでどもってどうしますの…
---------------------------------------
 佐天さんと口裏を合わせてる事なんて
 とっくにバレてますわよ!ヽ(`Д´)ノ
 先週は固法先輩と、その前は初春とも!
 四週に一度寮で大人しくされているのは
 月のモノがあるからってだけでしょう!
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35 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 16:11:32.02 ID:SumbvhkSo

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【To】kuroko-shirai@tokiwadai-jh.ed.jp
【Sub】 なんで私の周期を知ってんのよ!
---------------------------------------
 とにかく、これ以上は詮索しないで
 じゃあまた明日ね
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【From】kuroko-shirai@tokiwadai-jh.ed.jp
【Sub】 (´;ω;`)ウッ…
---------------------------------------
 お姉様はもうあの類人猿に
 身も心も委ねてしまわれるのですね。
 今夜は下ろしたての下着を身に着けて
 きっと一晩中エロエロなのですわね。
 ああさようならお姉様の貞操、
 黒子は無念ですわぁぁぁぁぁ!!
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---------------------------------------
【To】kuroko-shirai@tokiwadai-jh.ed.jp
【Sub】 無題
---------------------------------------
 バカッ!
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36 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 16:15:02.04 ID:SumbvhkSo

 ふうと一息ついて、美琴はルームメイトとの不毛なメール合戦を終えた。
 カエル型の携帯をサイレントモードに設定し、上条の携帯の横に置くと
 二人の携帯電話に結ばれているストラップのゲコ太とピョン子が並んで
 微笑ましく感じられる。
 自分と上条もそうありたいと美琴は願っていた。

「なぁ」

「なによ」

「白井がなにか言ってきたのか?」

「別に、いつもの通りよ」

「つーか外泊したらマズイんだよな、常盤台の寮って。
 おっかない寮監がいるって言ってたじゃねーか」

「なによ今更。……帰ってほしいの?」

「そんな事は思ってねえけど」

「じゃあいいじゃない」

37 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 16:20:09.03 ID:SumbvhkSo

 黒子と諍いしている間にスイッチがまた切り替わったらしく、
 ツンケンとしたいつもの態度に戻っている。
 ほんの15分前の、舌を突き出して絡みついてきた姿とのギャップが
 上条の不純な心を惹きつけた。

「今夜もし帰ったら、きっと白井がイチャイチャしてくるんだろな」

「嫌よそんなの! あの子の事は好きだけど、そういうんじゃないんだから!」

「じゃあ、帰らないんだな?」

「いじわるっ」

 美琴はブレザーを脱ぎ捨てると、上条の懐に飛び込み猫のように擦り付く。
 気丈な少女は自ら本性を晒し、甘えまくる所存になったらしい。

「……実は分かりやすい奴なんだな、お前って」

「今頃気付いたの? 鈍感なやつ」

 今度は美琴が上に覆いかぶさって、上条の唇を奪う。
 上条はなすがまま押し倒されながらも、淡い優越感を感じていた。

 ---

38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/01/22(土) 16:24:03.57 ID:AJhq2VeO0
一部性描写といっておきながらほとんど性描写じゃないですか
もっとやってください


40 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 16:25:52.91 ID:SumbvhkSo

 [15:24]

「ん…んふ、ちう…れろっ…ぷちゅ…ちゅ…とーまぁ……」

「んっ、れろれろ…んっんっ…ちゅっ…はぁ…みことっ……」

 二人はベッドの上でお互いの身体を抱きしめながら
 幾度もお互いの位置を入れ替えつつ、延々とカクテルキスに興じていた。
 意識が溶けかけている美琴に比べ、襲い来る衝動に耐えている上条は
 まだ幾分理性が働いているが、このままでは下着の中で射精しかねないほど
 自制心が崩壊しかけている。
 ちらりと壁時計に視線を移すと、優に1時間はキスだけで過ごしていた。
 そろそろキスを止めて次のステップに移ろうと考えるが、
 すかさず美琴が口寂しそうな表情で訴えかけてくる。

「……やめちゃうの?」

「やめねーよ」

 かくいう上条も欲望が切迫しているのだが、美琴にもっと尽くしたい気持ちもある。
 上条は唇をそっと美琴の頬に押し付け、次に鼻、額、瞼へと優しく口付け始めた。

「んっ、なっ、なに?」

「気持ちわりいか?」

「そんなことない……」

41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/01/22(土) 16:26:10.26 ID:GhRH2nD90
これがノーマルですかァ?アブノーマルじゃないですかァ?
糞ッたれェェェェGJだァ


43 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 16:30:26.95 ID:SumbvhkSo

 上条も美琴も口唇と乳房、性器以外の場所に触れる愛撫を詳しく知らない。
 らしからぬ繊細なアプローチに最初こそ戸惑ったが、
 いとおしそうに口で触れてくる上条の様子に、美琴の顔もつい綻んだ。

「これ、なんだか幸せかもしれない」

「そう言ってもらえると上条さんは頑張りますよ」

 探りを入れるように唇を這わせていく上条にとって、
 美琴が好意的に受け止めてくれているなら喜ばしいことだ。
 化粧っ気のない歳相応の柔肌は、唇とは違った意味で
 吸い付いて離れたくなくなる魅力を秘めていた。

「ぷるぷるしてるよな、お前の顔って。男にはヒゲとかニキビとかあるからなぁ」

「女にだってヒゲもニキビもあるわよ」

「お前そういうの全然ねーじゃんか」

「日頃のケアの賜物ってやつじゃない?」

「そういうところはしっかり女してるんだなぁ」

「当たり前でしょ。……吹き出物なんて作って、好きな人に嫌われたくないもん」

44 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 16:35:48.15 ID:SumbvhkSo

 至近距離で見つめあいながら言うには恥ずかしすぎるのか、
 美琴はそっぽを向きながら上条への好意を口にする。
 形のいい左耳が目に飛び込んできて、上条の興味はそこに移行した。

「そんな事しねーよ」

「ひぁっ……!」

 耳たぶを舐められた驚きと感触に、思わず美琴の身体が跳ねる。
 耳穴に吐息が吹き込まれ、舐める舌の熱い感触に耳朶を侵されて
 美琴はふるふると身を震わせた。
 
「やだぁ、くすぐったいよぉ!」

「嫌か? やめるか?」

「やめちゃやだぁ……」

 美琴のこういうところがわかりにくいんだよなぁ、と上条は心の中で呟いたが
 わからないからわかろうと挑む事を交際と呼ぶのかも知れない。
 まずは、今腕の中でなすがままにしている少女の身体を知る事に専念する。

(左耳に10分、右耳に10分くらい掛けてやるか。
 ……3センチだの1時間だのと結構頭使うんだな、セックスって)

 数字を意識して頭を働かせると、暴走的になりがちな性衝動を少し押さえ込めるので
 これはこれで理に適っているのかもしれないと上条は結論付けた。

 ---

45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/01/22(土) 16:36:29.26 ID:BDcg+SpR0
至ってノーマルがこれかww
構わん、続けてくれ


46 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 16:40:13.68 ID:SumbvhkSo

 [15:51]

「れろっ、れろれろっ、かぷっ、れろっ、れろんっ、ちゅっ、ちぅぅ、はむっ……」

「やぁー…ーっ…とーまぁー…ーっ…」

 たっぷり時間を掛けて、耳がふやけるほど舐めつくすと
 美琴は身悶えしつつ、間延びした嬌声をあげ続けていた。
 上条は、美琴の耳が右と左で感度が違う事と、耳の味は少し粉っぽい事を知る。
 後者は瑣末な情報だが、右の耳は息を吹きかけるだけでも
 身をよじらせる事が分かったので、今後もたくさんいじくり倒してやろうと画策した。

「あ、アンタやりすぎなのよっ! ちょっと出そうになったじゃない!」

「出るってなにが?」

「い、言えるわけないでしょっ!」

「……ああ、おしっk」

「言うなぁぁーーーーーーッ!!」

「うるせえっての。隣に聞こえるぞ」

 上条は慌てて美琴の口を右手で塞ぎ、はしたない怒声に制止を掛けた。
 こんな声がうっかり土御門兄妹の耳にでも入ろうものなら、不埒な噂の流布に怯えて
 二人の週明けは気が重いものになるだろう。
 血は繋がっていなくとも、あの兄妹の性質は実によく似ている。

47 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 16:45:16.75 ID:SumbvhkSo

「ああ、土御門のお兄さんならさっき玄関で会ったわよ。今日は出掛けるんだって」

「だったら少しは安心なんだけどな。
 でも隣の部屋からも、それっぽい声が聞こえてきた事は何度かあるんだぜ」

「え、あの二人ってそうなの!?」

「たぶん……」

 美琴は相当面食らった。舞夏が近親関係をネタにした漫画を好むのは知っていたが、
 実践行為までしているとなると今後の接し方も少し考え直さなくてはならない。

「まぁ、あんまり深くは意識しないようにしてるけどな」

「私もそうしよっかな……」

 窓から差し込む光が緋に染まり、外の世界は早くも夕暮れが訪れていた。
 気が付けば1時間半も睦み合っていたにも関わらず、お互いまだ
 服も着たままで、汗ばんだ身体を持て余している。
 美琴の携帯のLEDがチカチカと点滅していたが、二人して黙殺していた。

49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/01/22(土) 16:47:27.22 ID:HfW7r+8X0
やだこれえろい

50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/01/22(土) 16:49:13.66 ID:+oa3t7eDO
なんというKENZEN作品

51 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 16:49:14.17 ID:SumbvhkSo

「……時間が経つのって早いわね」

「まだまだ沢山あるさ。ブラウス、脱がせていいか?」

「うん」

 上条は美琴の上半身だけ抱え起こすと、彼女の背に回り込んで
 抱え込むようにして抱きしめながら、ブラウスのボタンに手を掛けた。
 後ろから抱き寄ると、鼻腔をくすぐる洗髪料の匂いが甘ったるくて仕方がない。

「美琴って、何処のブランドのシャンプー使ってんの?」

「ブランドっていうか、その……」

「甘いミルクっていうか、まるで赤ちゃんみたいないい匂いがするんだよ」

「そ、そうなのかな」

 上条が女性の身だしなみについて訊ねること自体が珍事なのだが、
 ケロヨン型の小児用シャンプーを使っているという真実はつい言い淀んでしまう。
 せっかく下着は決めてきたのに、こういう部分で美琴は己の本質を変えられない。
 もっとも上条とて、その甘い香りに性欲がそそられるなどと直言はできないのだが。

52 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 16:56:34.97 ID:SumbvhkSo

 ブラウスのボタンを3つ外したところで、美琴の控えめな膨らみを包む
 白いレースのブラが露わになった。

「あっ」

「……可愛らしいの着けてるんだな」

「あ、アンタに多分見られるだろうと思って、その……ありがと」

 美琴としてはパッドで押し上げて、エアで膨らませた補正下着との組み合わせで
 外勢を張りたい気持ちもあったが、それは友人達に強く反対されていた。

『ダメです御坂さん、勝負下着は男の人が喜ぶものを着けるべきなんですっ。
 押し上げて見栄を張ったって、脱いだら絶対バレちゃうんですから!』

『そうですよ、その慎ましい胸のままだっていいじゃないですか!
 御坂さんの彼氏さんならきっと受け入れてくれます!』

(佐天さんも初春さんも、なんであんなに熱心だったんだろ……。
 まぁ、スケスケ趣味の黒子よりかは役に立つアドバイスだったけど)

 女の友情は時に厚く、時に薄く、時には興味本位が全てである。
 だが友人達の真意は、美琴の下着趣味が小児向きから脱した時点で半分達成されていた。

53 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 17:00:17.00 ID:SumbvhkSo

 一方の上条は、女性の下着の色や柄形に対するこだわりは薄いものの、
 見られる事を意識して下着を身に着けてきた美琴の性格が愛しいと感じている。
 ブラウスから手を離し、両手で下着の上から乳房をそっと包み込んだ。

「こうすると手の平にちょうど納まるな」

「う……」

 胸のサイズの事を言われると、美琴としては羞恥より面目のなさが先に立つ。
 上条としてはなんら含みのない言葉であり、むしろ自分の掌にちょうど納まる感触に満足していた。
 手に余るサイズを揉むのは男の夢だが、今こうして愛しい彼女の胸に触れている事は
 夢にも願望にも勝る現実だ。

「ごめん……私の胸、やっぱ小さいよね」

「? なんで謝るんだ? なにも悪くねえよ」

「だって、アンタの周りには大きい人たくさん居るじゃない」

「いや、いるにはいるけどさ」

 女性の身体的な特徴に対して執着の薄い上条には、話の本質が全く見えてこない。
 上条から伺えない美琴の表情は、いつからか翳りを帯びていた。

54 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 17:05:17.35 ID:SumbvhkSo

「……どうして私を選んでくれたの?」

「だから、なんの話なんだよ」

 美琴は上条の手に自らの手をそっと添え、自身の体温と心を伝えようとする。
 その手は小さく震えていた。

「だって、告白してくれたのはアンタの方だもん。
 私、結局自分からは踏み出せなかったから、あの時はすごく、すごく嬉しかった。
 寮に帰ってから一晩中喜び悶えて、黒子に不審な顔されたって気にならなかった。
 それだけ嬉しかったけど……理由が全然わかんなかったの」

「……」

「だってアンタの傍にはいつもあの子がいるし、他にも修道女とか巫女さんとか
 包容力の豊かそうな人が回りにたくさんいて、私から見ても魅力的な人達だもの」

「あー、姫神は別に巫女さんってわけじゃないぞ」

「まぜっ返さないで。……だからさ、どうして私だったのかなって。
 私より綺麗な人だって、スタイルのいい人だって、料理の上手な人だって、
 優しい人だって、強い人だって、積極的な人だっているじゃない。
 私はスタイル良くないし怒りっぽいし優しくないし年下だし素直じゃないし……
 アンタの好みと掛け離れてるって事くらい、自分でもよくわかってるのよ」

「美琴、おまえ……」

55 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 17:10:35.83 ID:SumbvhkSo

 美琴は今、背反する二つの感情に苛まれていた。
 最上級の幸福と同時に手に入れた最大級の恐怖。
 それはようやく両想いになれた上条との仲を喪う事に他ならない。
 しかし美琴の言葉は止まらず、自身の幸福感を自らおびやかしていく。

「それに、妹達だって私と同じ姿かたちをしてるのに、私よりおしとやかだし素直だし、
 私みたいに嫉妬やワガママのためにビリビリもしないから、ずっと接しやすいじゃない。
 私……自分自身のクローンにも劣等感を感じるこの性格が、時々すごく嫌になるの……。
 せっかく恋が叶ったのに、あれから毎日のように見えない不安に怯えてるのよ。
 だからせめて胸が大きくなって、料理がもっと上手くなって、怒る事をしなくなれば
 アンタの好みに少しは近付けるんじゃないかって思ったから……」

 名門校の模範生であり、学園都市きっての能力者という高みにありながら、
 美琴は誰よりも大きなコンプレックスを抱えていた。
 それは時に孤独、劣等感、嫉妬といった形となって彼女を苦しめている。

57 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 17:16:19.22 ID:SumbvhkSo

 上条は美琴の吐露を聞きながら、苦虫を噛み潰したような表情を浮かべていたが、
 自分を追い詰めて身を震わせている美琴を強く抱きしめた。
 そして、己の中に生まれた爆発的な感情を整理しつつ、ゆっくり言葉に表す。

「それは……なんか色々と違うだろ。お前はお前だからこそいいんじゃねえか。
 自分を作り変えちまったら、お前は御坂美琴じゃなくなっちまう」

「えっ?」

「お前……3つほど誤解してるみたいだから、この際ハッキリ言うぞ。
 まず1つ、俺は俺の周りにいる人達をより取りできるような立場なんかじゃねえ」

「勘違いなんかじゃないわよ、みんなアンタに好意を寄せてる女の人ばかりじゃない。
 あ、アンタがその気にさえなれば、交際してくれるって人は山程いるわよ」

「青髪や土御門じゃあるまいし、お前まで俺の事をフラグ建築士とか思ってるクチか!?」

「思ってる。しかも父親譲りの遺伝能力よね」

「かーっ! あのなぁ、それは俺が『上条当麻』らしく行動した結果の一つであってだな」

「確かにアンタの信念は老若男女関係ないみたいだけどさ。でもさ」

58 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 17:20:30.76 ID:SumbvhkSo

 上条の正義感は美琴のみならず美琴の父母や友人にも働き、
 また様々な局面で多くの人を不幸から救い、その生き様は影響を広げている。
 そんな上条の周囲を囲う人の輪の中には、彼を男性として恋い慕う女性達も多い。

「それを言ったら、お前だって色んな人達に囲まれて、その人達に慕われてるだろ?
 それはお前が、みんなを守りたいって信念を持って戦ってきたからじゃねーのかよ。
 白井は一際変わり者だけど、あいつだってお前の事を慕ってるからああなんだろうし」

「そうだけど、恋愛は別だもん。私はずっとアンタだけを見てた」

「……そうストレートに言われちゃうと、グゥの音も出ないな」

「それを素直に言えなかったのは、私が全面的に悪いんだけどさ……」

「いや、俺もあとから聞くと相当鈍かったみたいだし、お互い様だろ」

 上条が美琴の不器用なアプローチの正体に気が付いたのは、交際を始めてからだ。
 だからこそ自分達には、向かい合って本音を晒す勇気が必要なのだと考えている。
 上条は抱きしめる力をいっそう強めて話を続けた。

59 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 17:25:30.05 ID:SumbvhkSo

「そりゃまあお前が言うように、普通は顔とかスタイルとか趣味とか、
 料理上手だとか、話してて面白いとか、そういうのが恋人を選ぶ条件かもしれねえ。
 でもそういう基準で相手をえり好みできるような上等な人間じゃねーよ、俺は。
 右手以外にはなんの取り柄もねえ、学の低い無能力者だしな」

「そんな事ないわよ……」

「それに、俺はみんなの中から一番魅力的な人を選んで、お前に告白したってわけじゃない。
 いや、あの、別にお前が魅力的じゃないとかそういうんじゃなくてだな、その」

「……そこは気にしないから、続けて」

 上条の口から恋愛感情に関わる言葉を聞く事は少ない。
 これは希少な機会(チャンス)なのだと美琴は察知し、身体の震えを押さえて話の続きをせがんだ。

「俺は、お前を選んだんじゃない。……初めからお前だけしかいないと感じてた」

「それって、どういう……?」

 身体の震えがぴたりと止まり、美琴の胸の中に暖かい期待が生まれた。
 鼓動が高鳴り、頬が赤らむ。

61 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 17:31:12.88 ID:SumbvhkSo

「小萌先生が前に授業で言ってたんだけど……すまん、ちょっと話が飛ぶかもしれねえ。
 先生が言うには『常盤台中学の御坂美琴は、幼少の頃からのたゆまぬ努力によって
 レベル1からレベル5に上り詰めた、学園都市きっての模範生』なんだってさ。
 でも俺はそれを聞いた時、つい鼻で笑っちまったんだ。
 自販機に回し蹴りを入れるような、あのふざけたお嬢様が学園一の模範生なのかよ、ってな」

「わ、悪かったわね!」

「でも、この街の多くの人にとってはそういう特別な存在らしいんだよな、お前って。
 だけど俺の中で、お前のことを特別とはどうしても思えないんだ。
 普通とか平凡ってのとも違うけど……なんていうか、一緒なのかなって」

「いっしょ?」

「そう、俺とお前は一緒なんだって思えるんだ。
 超能力者と無能力者が一緒だなんて聞いたら、おかしいか?」

「ううん、笑わないわ。私もその言葉がしっくり来るって思うもの」

 能力の発現過程から養育状況に至るまで、二人の育ってきた境遇は大きく異なる。
 上条が体質にかこつけてカリキュラムにあがく一方、美琴は必死に努力を重ねてきた。
 そんな二人に共通する点は、誰よりも義に厚く情に脆い性格にある。
 それは二人が上条当麻と御坂美琴で在り続けるために
 絶対に曲げる事のできない、唯一最大のアイデンティティだ。

62 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 17:36:01.58 ID:SumbvhkSo

 たとえ上条の右手から幻想殺し《イマジンブレイカー》の力が奪われても、
 美琴から電撃使い《エレクトロマスター》の能力が失われたとしても、
 二人は信念に基づいて戦う事を絶対に諦めはしない。
 その真理に気付いた日、美琴は上条に愛という感情を初めて自覚した。

「それが……十月のいつだったかな。瀕死なアンタの姿を見て、私は私の本心に気付いたの。
 あの時、止める事だって一緒に戦う事だってできたのに、私はどちらもできなかった。
 アンタが貫こうとした思いも、自分の中に生まれた想いも抑えられなかったから……」

(もしかして、アックアと戦った時の事かな)

「……でもホントはね、もっと前からアンタの事、気になってた。
 初対面の時だってアンタは、見て見ぬ振りをしてる学生達をかき分けてやって来て、
 か弱く見えたらしい私を庇いながらスキルアウト達に突っ張ってたもん。
 頼みもしないのに渦中に突っ込んできて、助けるために力を振るうアンタの姿を見た
 あの時から多分、私は独りじゃないんだって思えたのよ」

「……あーすまん、その時の事は」

「そうよねぇ、覚えてないのよねアンタってば」

63 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/01/22(土) 17:40:11.92 ID:Rkr5c3nr0
美琴と上条さんってホントよく似てるよな
二人ともかっこよすぎる。
また名作が生まれた気がする
さっきからの遣り取りがなんか凄く心に響く


64 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 17:40:25.85 ID:SumbvhkSo

「俺の記憶だと、自販機を蹴っ飛ばすハチャメチャなお嬢様と、
 そのお嬢様と瓜二つの双子が現れたって印象が強かったんだよなー。
 ちょうど、一方通行(アクセラレータ)と殴り合った日の前日だったっけ」

 軍隊すら蹂躙する最強の能力者との、操車場を血に染めた死闘を
 「殴り合った」で済ませてしまう上条の感性に呆れて嘆息する。
 しかしそのような度量の持ち主だからこそ、どんな大きな脅威にも立ち向かえるのだろう。
 妹達《シスターズ》と自分を救ってくれた事は、美琴にとって大恩の一つだ。

「アンタに出会ってなかったら私は今頃、物言わぬ死体になってた。
 妹達と見分けも付けずに投げ捨てられて、死んだ事にすら気付かれてなかったと思う」

「そんなもしも話はやめようぜ。お前も妹達も、しっかり今を生きてるんだからさ」

「うん……」

「だから涙ぐむんじゃねーよ。お前は、笑ってていいんだ」

「ありがとう。私が今笑っていられるのは、アンタのお陰よ……」

 上条は美琴の顎に左手を添え、右に振り向くよう誘導する。
 涙で溢れた瞳と視線が重なると、少しの罪悪感と大きな愛情を込めて唇にそっと口付ける。
 美琴は目を閉じてそれを受け入れ、涙を零れ落とした。

(……底抜けに優しいとこも、好き……)

65 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 17:45:26.51 ID:SumbvhkSo

 もっと受け入れたい、求めたいと思い直した美琴は
 上条の腕の中で強引に姿勢を変え、彼に向き直った。
 上条は美琴の両脚を腰に回させると、対面座位の姿勢を取ってギュウと抱きしめる。
 身体の触れ合う部分の全てが、熱を帯びて汗ばんでいく。

「それと2つ目。あの時もそうだったけど、
 お前、切羽詰ると自分の価値を貶めるような事言うの、やめろよな」

「あ、あの時はあれしか妹達を助ける手がないと思ったからだし、それに今のは……」

「御坂美琴は俺の大切な恋人なんだよ。その悪口を言う奴は、たとえお前自身でも許さねえ」

「あ、アンタ……!」

「お前は可愛いし強いし賢いし料理もこなすし、それに本当は
 誰よりも優しくて面倒見がいいんだって、白井の奴も鼻を高くして言ってたぞ。
 今はもう俺の方が沢山魅力を知っちまってるけどな。だから自分を恥じるなって」

 告白やピロートークとは別の意味で恥ずかしい台詞を
 力いっぱい抱きしめられながら耳元で語られ、美琴は顔が熱くなる。
 心の不安はすっかり吹き飛び去っていた。

66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/01/22(土) 17:49:13.07 ID:HfW7r+8X0
上条さん普通に格好いい///

67 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 17:50:34.05 ID:SumbvhkSo

「最後に3つ目。俺は……お前みたいに小ぶりでも、か、形のいい胸が一番好みなんだ」

「なんかどもってるんだけど」

「ちょっと大っぴらに言いづらいだけだっ」

「そんな優しいウソ言わないでよ……男はみんな大きい方が好きって言うじゃない」

「男にだって色々いるのですよ。俺は、お前のがいい」

「ふふっ、ホントに?」

「ホントだって」

「じゃあ……触ってみる?」

「……みる」

「なら……、……いいよ」

 上条の愚直な言葉につい笑いを誘われた美琴は、身体半分ほど後ろに下がって
 ブラウスの残りのボタンを自ら外し、脱ぎ捨てた。
 手を背に回してブラを外すと、上条の言う小ぶりなバストが姿を現す。
 夕暮れの室内でも端正な体つきが見て取れた。

68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/01/22(土) 17:51:43.78 ID:Rkr5c3nr0
ヤバいこの上条さんは神浄さんだ
その時その人が必要としている言葉を口にできる。
恋人の美琴だからこそより躊躇なく……か


69 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 17:55:17.07 ID:SumbvhkSo

「こ、こう見えても、付き合い始めてからちょっとは大きくなったんだからっ!」

「だからそこは気にするなっての。つーか、実際目の前にすると、なんていうか」

「なんていうか?」

「……止まんなくなりそうだ」

「痛くさえしなかったら……あ、アンタのしたいようにして、いいわよ」

「美琴っっ」

 上条は衝動のタガが外れそうになる前になんとか踏みとどまり、冊子の存在を思い出す。
 美琴と唇を重ねつつ、慎ましくも張りのある双丘にそっと両手を添えた。

『成長期の女性の胸はデリケートに扱ってください。乳首をつねるなど論外です。
 乳房全体を手の平全体を使ってゆっくりと揉み、先端は撫でるように触れましょう』

(真面目な話でテンション下がっちゃったからな。またスイッチ入れてやるか)

「んふっ、れろ、ちゅっ、ちゅるっ、れろっ、ちゅぱっ、ちゅっ……」

(今日はねちっこいくらい、一杯キスしてくれる……)

 美琴の口内を舌で堪能し終えた後、上条はもう一度問いかけた。

「もっと沢山触っても、いいか?」

「うん……なにしてもいいよぉ、とうまぁ……」

 愛ゆえに全てを許した女の微笑みが、そこにあった。

 ---

70 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/01/22(土) 17:58:44.38 ID:ZntFYB560
愛ゆえにっ! 
 
  全てを許した女っ! 
   
      ミサカっっ!!


71 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 18:00:58.54 ID:SumbvhkSo

 [16:58]

 科学技術の先端を行く学園都市でも、冬の落陽は暦通りに訪れる。
 上条の部屋も夜の暗闇に包まれつつあったが、二人のほてる感情は燻り続けていた。
 上条は美琴をベッドに組み敷いて、まるで味の違いをテイストするかのように
 左右の乳房を交互に、そして入念に舐めつくしている。
 ツンと自己主張する先端はすっかりふやけ、美琴の荒い呼吸に合わせて浮沈していた。

「あ、アンタ……やっぱり、胸が好き、なんじゃない……!」

「美琴が好きなんだよ」

「今日のアンタ、ちょっと、大胆すぎ、でしょ……!」

「聞こえねーな。ちゅ」

「ひゃっ!」

 右の乳首を口に含み、吸ったり舐め転がしたりと小技を駆使しながらも、
 空いた左の乳首を右手で優しく撫でる事も忘れない。
 二つの愛撫を同時にこなすのは存外難しいが、労苦を掛けて上条は体得していく。
 感度のいい美琴の喘ぎ声が、カンフル剤となって彼の心を盛り上げる。

「あぁっ…ひゃっ、ひぅっ……やらぁ、いじりすぎぃ……んぅっ、んああっ」

(さすがに時間掛けすぎたかなぁ。もうじき夜じゃねーか)

72 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 18:05:04.77 ID:SumbvhkSo

 官能に正直な本能と、時間経過を冷静に判断する理性を両立させ続けるのも難しい。
 舌を駆使しすぎたせいか緊張のためか、ツバの渇きを感じ始めた。
 ここで休憩を取ると、盛り上がりに水を指す気がするので止められないが
 どのみち夕食の時間までには一区切りをつけなくてはならない。
 美琴の愛情がこもったシチューも、今日の楽しみの一つなのだから。

「美琴」

「なに?」

「暗くなってきたし、電気付けてもいいか?」

「えっ、あっ、明るくするの?」

「だってもう暗いぜ」

「は、恥ずかしいし、眩しいからいい!」

 組み敷かれる女にとって天井灯は眩しすぎるが、かと言って上条の部屋に
 サイドランプのような小洒落た品物はない。
 暗闇に包まれた室内で、二人の携帯のLEDだけが存在を過度に主張していた。
 いつまでも着信を無視するのは気が引けるが、今はまだ手を伸ばせない。

「暗いと色々困るだろ。明かり、付けるぞー」

「……わかった」

73 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 18:10:48.55 ID:SumbvhkSo

 ベッドから降りて電灯のスイッチを入れると、二人はベッドの縁に座りながら
 眩しさに慣れるまで幾ばくの間、目を瞑った。
 上条がちらりと横目で伺うと、桜色に染まった美琴の肌と、
 Bカップの慎ましい胸が明かりの元に晒される。
 暗闇の中でまさぐるのとはまた別の興奮が芽生えた。

「ちょ、ちょっと、なにそれ!」

 明かりに慣れた美琴が、上条の下腹部を見て恐れおののく。
 いきり立った怒張がトレーナーを突き上げ、その先端部分には先走った腺液が染み出していた。

「や、これは、なんていうか、その」

「……ひょっとして、だ、出しちゃったの?」

「違う、まだ出してない! これは違うんだっての、ああもうっ」

 ここでカウパー腺液の性質を詳しく語るのは恥を上塗る気がしたが、
 男も女と同じように濡れるのだと、淡い性知識に基づいて簡潔な説明をする。
 初体験を暗闇の中で行ったためか、お互いに新発見な事が数多くあった。

74 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/01/22(土) 18:14:02.63 ID:HfW7r+8X0
初々しくてニヤニヤする

75 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 18:15:32.44 ID:SumbvhkSo

「もう俺も脱いじまうからさ、お互い全部脱ごうぜ」

「ぬ、脱いじゃうのっ? 全部っ?」

「ああ」

 既にスカート一枚のあられもない姿でありながら、美琴はその言葉に狼狽した。
 一度は許した身体であるし、今日は彼に全て許容しようと心では思っているのだが、
 スイッチが戻るとどうしても恥じらいの感情が強く現れてしまう。
 そんな美琴を促す意味も含めて、上条は悠々とトレーナーを脱ぎ捨てる。
 下着を脱ぎ捨てると、天に向かって突き伸びる男のシンボルが顕現した。

(あ、あわわわっ……初めて見ちゃった! 遂に見ちゃった!
 男のあそこってあんな形なのね……)

(うう、見られてちょっと硬さを増してる上条さんは、人としてどうなのでせう)

 ギンギンに張り詰め、臨戦態勢を整えている代物を見た美琴は
 それが上条の欲望の正体だと知るや、グルグルと目を回し始めた。

(でもこれって、私のこと強く求めてくれてるって事なのよね。
 私、さっきからアイツに一方的にしてもらってばっかりだし、
 あんなに沢山愛してくれたんだから、私もなにかしてあげなくっちゃ。
 で、でもナニかって……たとえば手とか口とか、あとは……あうううう)

(……さてはまたテンパってるな)

139 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/01/22(土) 22:46:56.49 ID:8FXxblSJo
>(……さてはまたテンパってるな)
テンパった美琴に気付く上条さんはあまり見たことないな。


76 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 18:20:57.51 ID:SumbvhkSo

「あ、あのその、それっておち……」

「ん?」

「おち……んち……ん……なのよね?」

「ぶぷっ、カワイイ言い方するんだな」

「え、言わないの?」

「言わなくもないけど、どっちかってと子供向きの言葉じゃねえか?」

「そうなの? アンタはなんて呼んでるの?」

「うーん、男同士だとチンポって言うのかな。普段はそんな単語滅多に口に出さねえけど」

「ち、ちんぽ!?」

(ビクンッ)

 淫猥な単語が美琴の口から飛び出たのに合わせ、上条のシンボルがいっそう反り上がった。
 知る限りで最も卑猥な口調の金髪女を思い出したが、彼女の言葉を聞いても
 今の美琴に感じたような気持ちには少しもならなかったものだ。
 性欲は愛と累乗されるものだと実感する。

84 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/01/22(土) 18:50:41.22 ID:myL5kRrDO
美琴はちんことかちんぽとか言っちゃダメ。
絶対に「おちんちん」じゃなきゃ。
当然、これだけは譲れない


77 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 18:25:14.68 ID:SumbvhkSo

「そ、それってさ……もし私が口とか手で刺激したら嬉しいものなの?」

「ああ、きっとメチャクチャ気持ちいいと思う。
 でも今それを美琴にされたら、多分カミジョーさんジュニアは一瞬で昇天してしまいますっ」

「えええ!?」

「……色々ギリギリなんだよ、言わせんな、恥ずかしいから」

(そっか、当麻ったら我慢してるんだ)

 未知なる器官を目撃した事により、脱ぐ話題をすっかり忘却してしまった美琴を促すため
 上条はそっと彼女に近寄りベッドから立つように促す。
 美琴はなすがまま立ち上がり、上条と並び立った。

「つーか俺だけ脱がせる気かぁ? 早くしないと俺が脱がせちまうぞー」

「わ、わかったわよ!」

 つい気を張った美琴は、慌ててプリーツスカートに手を掛けて脱ぎ取った。
 幸か不幸か、女子の脱衣シーンに遭遇してしまった事は幾度もあるが、
 それを本人公認のもとでガンと見つめていられるのは初めてだ。
 本能的にどうしても胸や下腹部へ目が行ってしまう。
 右腕で胸を隠そうして、全く隠しきれていない美琴の恥じらい方も可愛いが、
 スカートの下に短パンを残してる辺りもまた彼女らしいと上条は思った。

78 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 18:30:21.76 ID:SumbvhkSo

「……ぷっ」

「なっ、なにがおかしいのよっ!」

「いや、その、美琴らしいよなぁって思ってな」

「だって、その、無いとどうしても落ち着かないし、
 彼氏ができたって思ったらなんかますます脱げなくなって……
 ねぇ、こういうのってやっぱり履かない方がいいと思う?」

「そのままでいいと思うぜ。脱がせる物が一枚増えるくらいどうってことねえし。
 この時期だとあれだ、毛糸のパンツみたいなものだと思えば」

「やっぱりアンタ、バカにしてんでしょーっ!」

「だから騒ぐなっつうの。また口塞ぐぞ?」

「……その右手で?」

「手以外になにで塞ぐんだよ」

「……」

「?」

79 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 18:35:11.14 ID:SumbvhkSo

 美琴は短パン姿のまま上条に近付いておとがいを上げる。
 表情はしっかり怒っているが、瞳はキラキラと輝いて期待に満ちていた。
 上条は苦笑しながら左腕で美琴を抱き寄せ、鼻がぶつからないよう首を傾けて口付ける。

(ほら、これでいいのか?)

(うん……)

 超至近距離で見つめあう視線だけで思慕を交わし、どちらともなく舌を絡め始める。
 上条は美琴の目を見つめたまま、右手で短パンのジッパーに手を掛けると
 いやに湿っぽい感触が指先に触れた。

「おまえ……ひょっとして」

「なっ、なによっ」

「やっぱり漏らs」

「しっっ、してないわよっっ!」

「それにしては随分とだなぁ」

「だって……アンタが沢山してくれたから……私……」

(だーっ、クソ可愛いなぁこいつ)

80 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/01/22(土) 18:35:32.82 ID:HfW7r+8X0
そろそろ脱いでもいいの?

81 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 18:40:23.15 ID:SumbvhkSo

 湿り気の正体が、先程の自分のそれと同じである事に気付いた上条は
 ニヤニヤと厭らしい笑みを隠す事ができないでいる。
 時間を掛けて美琴を慈しんだ甲斐はあったのだ。
 一方で、男としての欲望はいよいよ我慢ならないところまで昇ってきている。

(もっと美琴に感じてほしい)
(今すぐ美琴の中で射精したい)

 両立しがたいこの欲情になんとかして折り合いをつけなければ、
 どちらも叶わないうちに美琴の眼前で放出してしまいそうだった。
 頭の中に、欲に忠実な悪魔と、愛を尊ぶ天使の言い争う光景が浮かんでくる。

(ゴムは3つもあるんだし、ここでまず一回出したっていいと思うにゃー)

(いや待てダメだァ、まずは恋人の身体をいたわってやンねェとなァ)

(あのお嬢さんの顔を見てみろよ、もう今すぐにでもブチ込まれたがってるぜい)

(ここまで丁寧に愛撫したってのによォ、慌てるソーローは女を傷つけるぜェ)

 何故か悪魔は土御門元春の、天使は一方通行の口調なのが気になって仕方がない。

(お前らどっちも悪魔じゃねえか! 俺はやっぱり欲に負けそうですトホホ……)

82 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 18:45:29.10 ID:SumbvhkSo

 いずれにしても短パンを脱がさない事には状況が進まない。
 上条はジッパーを下まで落とすと、腰から削ぎ落とすようにして脱がせる。
 またぞろカエル柄の下着が現れると思っていたが、短パンの下では
 ブラに合わせた純白色の紐パンツが、美琴の愛液でぐっしょりと濡れていた。

「ごめん、我慢しようと思ったんだけど、自分じゃどうにもならなくて……」

「いや……むしろ嬉しいかも」

 小用や射精と違い、女性の身体構造で押さえ込める代物でない事は上条も知っている。
 だからこそ美琴の本音がダイレクトに伝わってくる。
 セックスは終始上条のリードで続いているのだから
 この状況をいっそう盛り上げるのも、盛り下げるのも全ては上条次第だ。

(俺はまだ我慢できる。もっと美琴に触れていたいんだ!)

(それでいいンだよ上条ォォォ!)

(お前が天使配役は無理があるだろ……)

83 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 18:50:19.32 ID:SumbvhkSo

 鉄の芯がこもったように硬く、我慢の限界に耐えているペニスからはいったん意識を離し、
 上条は下着の上からそっと下腹部に触れ、濡れそぼる部分に優しく指を押し付ける。
 同時にくふっ、と美琴の口から小さな吐息が漏れた。

(3センチ3センチ3センチ……ふにふにしてやわらけえな、美琴のここ)

「くっ…ふぅっ…んっ…」

 指の腹を使って、上下にゆっくりと擦る。
 行為自体は二度目なのだが、一度目のそれは激しく余裕がないさまだった事を思い出す。
 美琴を愛するがための所作ではなく、挿入ありきの準備行為だったのではないか。

(それじゃ足りねえんだ。どこをどう触れば美琴が悦ぶのか、覚えなきゃな)

 にちゃにちゃと小さな水音を立てて、美琴の秘部が優しく蹂躙されていく。
 未成熟な少女の性器にとって、上条の愛撫は限りなく正解に近い感覚だった。

(今日はすごく丁寧に触ってくれてる……。気持ちいいけど、優しすぎて怖いかも)

85 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 18:55:32.32 ID:SumbvhkSo

 上条の性格はオンオフが激しく、良くも悪くも一直線に進むのが持ち味である。
 普段は少女のナイーブな心の機微を拾い上げられるような性分ではないのだが、
 今日は御坂美琴の肉体を知り、悦ばせる事にひたすら没頭している。

(右手で触ってるから……幻想じゃ、ないのよね)

 熱でどろどろに崩れ落ちているはずの、美琴の理性の最後の一欠片。
 それを維持していられるのは、優しすぎる態度にほんの少しだけ違和感を覚えているからだ。

「みこと……」

「とうまぁ……」

 お互いの名を呟きながら唇を重ね、擦り合わせる。
 唇というのは内胚葉、つまりは内臓の一種に当たるのだが
 同時に性的なシンボルの一つでもある。
 無意識にそれを擦り合わせ、真に求めている行為の予兆を示す。

「これも、脱がすぞ」

「……うん」

 上条は美琴の瞳を見つめたまま、両手で同時に下着の両端の紐を引っ張り上げると
 愛液の重さを抱えてべちゃりと床に落下した。
 これでお互い一糸纏わぬ姿となり、身も心も裸に成り果てる。

 可憐な少女の裸身を見つめながら、上条は過酷な試練が始まる事を予感していた。

 ---
88 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/01/22(土) 19:16:45.47 ID:R6C9AYkyo
自分はとんでもないスレを開いてしまったようだ…

89 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/01/22(土) 19:49:31.15 ID:uC4N3zcAO
もっと!もっとォォォォ!!

91 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 20:00:45.33 ID:SumbvhkSo

 [17:20]

 普段ならそろそろ空腹感が脳裏を支配し始める時刻なのだが、
 今の上条と美琴の頭を占めているのは、飢餓にも似た性欲だけである。
 しかし、理性の衣の最後の一枚を脱ぐまいとあがいている上条と
 最後の一枚を脱げないでいる美琴は、似て異なる状態であった。
 今お互いに慌てて衣を脱ぎ捨ててしまえば、全てが破綻しかねない。
 ゆっくりと優しく、お互いの手でお互いの衣を脱ぎ取る必要があった。

「美琴、ベッドの上に座ってくれるか?」

「い、いいけど……」

 いつだって自分はされるかままだ。
 声をかけど気をかけどスルーされ続けていた時期を思えば
 上条が自分を構ってくれる今は幸せに違いないのだが、
 未知の領域、いや既に一度踏み込んだはずの領域に再度大きく踏み出す事に
 美琴はかすかな不安があった。

(どうして……今日はそんなにも優しいの?)

92 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 20:06:53.08 ID:SumbvhkSo

 上条当麻が優しくない人間などとは微塵も思っていない。
 不器用で鈍感ながらも優しすぎる少年であり、美琴もその部分を強く愛している。
 しかし上条当麻は男であり、男とは性に対して貪欲で獰猛な生き物という思い込みがあった。
 身体を許すと男は豹変するという噂も聞いたし、実際初体験の時の上条はあらぶる獣に似ていた。
 故に今日も少し強引なセックスを想像していたのだが、随分と落ち着き払っているように見える。
 美琴は上条に誘導されるままベッドに腰掛け、両足を閉じたまま身を乗り上げると同時に
 上条はベッドの横で膝を立てて座り、美琴の両膝に手を置く。
 室内灯に照らされた状況で、両足を開いて美琴の性器を直視しようとしているのは明白だった。

「……あんまりジロジロ見ないで」

「いや、見る」

「バカァ、こういう時だけは正直なんだからぁ!」

 今日の上条は何かがおかしい。それを内心悦んでいる自分も同じくおかしい。
 そう思い美琴は紅顔しながらも、足を閉じる力を徐々に抜いていく。
 合わせて上条が膝を持ち上げるように足を開くため、バランスを崩した美琴は
 とっさに両手を後ろにつき、分娩台に乗せられた産婦のように大きく股を開いた。

93 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 20:10:25.52 ID:SumbvhkSo

(はっ、恥ずかしすぎて死にそうッ!
 こんな格好させられて……アンタじゃなかったら絶対殺してるッ!
 でも……アンタだから許しちゃってるんだよ、私……)

(……ゴクリ……!)

 上条は初めて、女性の性器を目の当たりにした。
 衣服の上からでも大きさが分かる胸と違い、他人と比較できる知識をまったく持たず、
 それが一般的にどのような形状なのかは知らなかったが、美琴のそれは端整だと感じた。
 うぶ毛のように薄く生え揃った陰毛、桃のようにぷっくりと膨らんだ大陰部、
 桜色に輝く小陰部、小指の先のようなサイズで自己主張している陰核、
 そういった未知の情報が次々と脳裏に刻み込まれていく。
 未通の処女のように端麗で、少しでも乱暴に扱ったら美のバランスが崩れそうだと思ってしまう。

「だからジロジロ見んなぁぁぁ!」

「……大丈夫、綺麗だから」

「あ、あああぁぁぁ……」

94 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 20:15:20.22 ID:SumbvhkSo

 美琴は恥ずかしさのあまり、もはやまともな言葉を紡ぎ出せなかった。
 美琴自身も他の誰かと自らの性器を見比べた事がある訳ではない。
 男と違い、女は自分自身の性器の形状には左程興味が無いものだ。
 白井黒子なら喜んで見せてくるかも知れないが、色々弊害も生じそうで御免こうむる。
 胸のように、上条が誰かと見比べて落胆する事があったら
 どうしようかという不安もあったが、上条は綺麗と言ってくれた。
 世辞でも嬉しいが、彼は小器用な気遣いのできる男でもない。
 バカ正直な男の、正直な感情だった。

「きれい……?」

「ああ」

「他の人より?」

「他は見たことねーよ」

「なのに?」

「綺麗だよ、そう思う」

 じわり、とお腹の奥で何かが染み出した。
 美琴は真っ赤に染めた表情で、自分の秘部をまじまじと見つめる上条の様子を伺う。
 嬉しそうで、愛おしそうな彼の表情は美琴を安心させた。
 男性器の進入を赦すのとはまた異なる悦びが、美琴の心を包み込む。

95 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 20:20:29.39 ID:SumbvhkSo

「……さっきの質問のお返しだけど、女の子はココのことなんて呼ぶんだ?」

「え、えっと……どうだろ」

「常盤台のオジョーサマはそんな事も知らないのかぁ?」

「知らないわよっ! 黒子みたいなのをスタンダードと思わないでよね!」

 男と違って、女は性について話題に上がる事が極端に少ない。
 猥談という文化もあるが、美琴はその話の輪に気軽に入っていけるような立場でもない。
 とどのつまり、本当に知らないのだ。

「じゃあ男はなんて呼ぶのよぅ」

「マンコとか、おまんことか、関西だとオメコ、九州だとボボとか言うらしいぜ」

「なんでそんなに詳しいのよ! ヘンな記憶だけ残ってんじゃないわよ!」

「俺が学んだわけじゃねえ! 身の回りにこういうのに異常に詳しいのが一人いるんだよ!」

「それ誰よ……ま、まさかあの子なの!?」

「違う違う、青髪っていうアホな友達のことだ」

「ああ、土御門のお兄さんとアンタといつも一緒にいる……類は友を呼ぶのね」

「どーいう意味だっ」

96 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 20:25:22.98 ID:SumbvhkSo

 時々気の抜ける話題を挟む上条のせいで、室内の雰囲気がエロス一辺倒にはならない。
 それは二人の心に適度な緊張と緩和を生み出して、美琴の張り詰めた心にも余裕を生む。
 睦言とは質が違うが、これはこれで楽しい会話に思えた。

「……舐めても、いいか?」

「えっ、ウソっ、やだっ! そんな事されたら……」

「イヤか?」

「イヤじゃないけど……おかしくなりそう」

「なっちまえよ。見てみたい」

「あ、アンタ自分は断っておきながら……!」

「なるべく優しくするから」

 その言葉は信用できる。信頼もしている。しかしそれでは断る理由がなくなってしまう。
 どうして今日の上条はこうも奉仕的なのか、一物をギンギンにしながらも
 必死に我慢しているらしき理由が美琴にはまだ分からない。
 己の陰部に顔を寄せようとするツンツン頭を制止できず、美琴はそっと目を閉じた。

97 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 20:30:29.84 ID:SumbvhkSo

「ちゅ」

「ふ、ふああっ!?」

 性器に直接作用した刺激は、唇や胸から感じる感覚とは一線を画していた。
 陰核に軽く口付けられただけで、美琴は反射的に仰け反ってしまう。
 そして、自分の最もデリケートな身体の一部に口付けてくれる上条が
 誰よりも特別な存在だという事を改めて思い知る。
 この少年で良かったのだと心から思う。

(ちょっとしょっぱいんだな)

 上条にとって、愛液の味は濃い汗のようだと感じた。
 興奮した荒い吐息が美琴の敏感な部分をかすめ、ゾクゾクと鳥肌を立たせた。

「だめ……そこ綺麗じゃないから……」

 遠慮がちな声で伝えても今の上条には届かない。
 いかにして美琴の小さな蕾を、舌で優しくなぶってやろうかと算段している。
 押し付けるのか、撫で回すのか、包み込むのか、吸うのか、それとも―――

98 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 20:35:27.93 ID:SumbvhkSo

(迷うくらいなら全部試せばいいじゃねーか)

 聞いただけで美琴が達しそうな決意を込めて、上条はもう一度口を押し当てた。
 美琴の視点では、黒いツンツン頭が自分の股間を陵辱しているようにも見える。
 それを望んでいる自分を、あと少しで全てさらけ出せそうだった。

(お願い、私の本当の姿を見つけ出して……なにしてもいいからぁ……)

『クンニリングスの注意点は舌の使い方です。
 舌は柔軟に硬度を変えられるため、力を入れすぎると相手の性器にとって凶器と化します。
 絶対に舌を堅くせず、軟らかい状態を維持したまま触れてあげましょう』

 上条の決して賢くない記憶能力は、冊子の肝要な部分をまだ忘れてはいない。
 帰り際に、凶暴な野良犬に追いかけながらも暗唱した甲斐がなくては困る。
 とにかく舌を堅くしなければいいと強く意識し、上条は舌を駆使し始めた。
 
「くっ、くふっ…んふ、ふぁっ…いぅんっ…あは…ん―――っ」

 口の周囲を美琴の愛液でベタベタに濡らしながら、陰核と小陰部を慎重に舐め上げ、
 いたわるように美琴への愛撫に専念する。
 腰をヒクヒクと動かす仕草と、脳髄に突き刺さる甘美な嬌声が
 上条の理性を打ちのめすが、つたない技巧に打ち込む事で耐え忍ぶ。
 時折、焦らすように太腿を舐め上げ、臀部を舐め回す。

99 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 20:40:34.49 ID:SumbvhkSo

「こんなに細くても太腿って言うんだな」

「んぅっ……アンタなに言ってんのよぉ」

「いや、単にしょーもない疑問が浮かんで」

「細いのって、おかしいと思う?」

「いんや、美琴たんは健康的でスレンダーなのがいいんじゃないか」

「たんとか言うな、ひゃぁんっ!」

 膣の入り口に舌を突き入れられ、美琴の声が一段と高く跳ねた。
 上条の顔に小飛沫が散ったが、それが潮だと認識できる知識は彼にない。
 ただ、美琴の悦ぶ声が嬉しかった。

「んふっ! アンタあとで、覚えといてひぃっ! んくぅ……ふひゃぁぁ」

「今はお前が気持ちよくなる番だ。それしか考えてねえ」

「ばかぁ……いつからそんなに尽くすタイプになったのよぉ」

「上条さんだってこのくらいの事はできるんですよ」

100 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 20:45:33.22 ID:SumbvhkSo

 男としての矜持か、上条は頑として自分のリードを譲ろうとしない。
 それは、射精という一線を越える事で自分の欲望が変貌する事と、
 美琴のほてりを冷ましてしまう事を危惧しているからだ。
 現状を維持するためには攻めの姿勢を崩す事ができない。
 一方で、美琴が口で慰めてくれると言った言葉も脳に焼きついて離れない。
 ちょうど、ドラッグストアで極薄の文字を見た時のように。

(本気で欲丸出しになったら、美琴を傷つけちまうだろ……。
 今こうしてるだけでも信じられねえくらいなのに)

 恋人を大切にしたいのも本心であり、そこに抵触する欲望は抱きたくない。
 許容できるギリギリのラインが極薄の避妊具であり、週一のお泊まりだった。
 これを破る事は避妊の放棄を意味するうえ、
 インデックスから御坂美琴との関係を疑われる事態になりかねない。
 それでは幻想ではなく現実を破壊してしまう。上条にとって最も恐れる事だ。
 淫靡な舌使いをしながらも、タガをはずし切れない。

「ぷちゅっ、ちゅう、れろっ、ずずっ、ぺろっ、れろっ、ちゅ……」

「いやあぁぁ、あ、アンタ今すすったでしょっ!?」

「……しょっぱいけど、お前のだから飲める」

「ばかぁあぁ!」

101 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 20:50:10.61 ID:SumbvhkSo

 美琴は身体を支えていた両手で顔を隠し、背中をベッドに預けた。
 その勢いを借り、上条が美琴の両腿をぐいっと持ち上げて屈脚させると
 秘部はおろか臀部まで丸見えになる。
 股をはしたなくM字に広げられた美琴の姿が、加虐心を強く煽った。

「ひっ!?」

「こうすると、美琴のが全部見えるな」

「もうやだぁぁぁぁばかぁぁぁぁ!」

 上条の進入を待ち焦がれてひくつく秘裂を見て、腰を押し込まずにいられようか。
 愛しい彼女のあられもない姿に、上条の屈強な理性もいよいよ侵食されていく。
 美琴も口から出る言葉こそ罵倒しているが、上条が自分の身体に行う行為に対して
 なんら拒否行動を示していない。
 むしろ、その手で理性の衣を剥ぎ取ってもらう事を待ち望んでいる美琴は
 心の中でようやく半歩踏み出して、両手を使って膝を抱え上げた。
 ツンと険しい表情でそっぽを向いているが、身体は受け入れる準備をありありと見せている。

「お願い……あんまり焦らさないで」

「美琴……」

「……もう、入れていいよ」

102 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 20:55:12.07 ID:SumbvhkSo

 頭が煮えたぎりそうなほどの恥辱に、美琴の顔が赤らむ。
 恋仲になってからというもの、彼女のリアクションは一々明瞭すぎて
 他人の心の機微にうとい上条にも伝わりやすい。
 美琴の言葉は、ときに本心と裏腹の表現を示す事はあるが、行動で嘘をつく事は皆無だ。
 恥ずかしがりながらも膝を抱いて上条を受け入れようと望むその姿は
 あらゆるポルノより刺激的で、魅惑的だった。

「……じゃあ、入れる、ぞ」

「うん」

 美琴の双眼がうるっと潤み、願望が満たされる瞬間を待ちわびている。
 上条はいよいよ出番を迎えたスキンの存在を思い出し、そっと枕の下に手を伸ばすが
 上条をまっすぐ見つめている美琴には一目瞭然の動作だった。

「……それって、避妊具?」

「あ、ああ。つけなきゃな」

「だ、だよね……」

103 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 21:00:39.14 ID:SumbvhkSo

 上条が不慣れな手つきで、自身にスキンを取り付けるのをぼんやりと見つめながら、
 美琴は先週の夜、彼が暗闇の中でモゾモゾしていたのはこれだったのかと思い至る。
 どことなく残念な表情を浮かべるが、上条はスキンの開封に気を取られて気付いていない。
 美琴とて避妊が不要と考えている訳ではないのだが、スキンの装着は雰囲気を盛り上げないし
 双方の快楽を多少なり阻害する要因ではないかと疑うのだ。
 避妊方法について一定の知識を持っていれば、多少なり選択肢も広がる。

「でもそれってゴム臭くなったりしない?」

「いや、これはゴムじゃなくてポリエステルで作ったものらしいぞ。
 ゴムより薄くて頑丈で、体熱を伝えやすい素材なんだとさ」

「……やけに詳しいし」

「全部添付の説明書に書いてあったんだっつーの」

「そういうのにはちゃんと目を通してるのね、偉い偉い」

「そいつは上条さんをバカにしすぎじゃありませんか?」

「ごめんごめん」

 予習という概念が彼にあったのかと感心するが、さすがに上条の自尊心を少し傷つけたようだ。
 装着が済むと、上条はゴクリとツバを飲む。ここからが正念場だ。

104 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 21:06:20.77 ID:SumbvhkSo

(このまま突っ込んで腰を動かしたら、たちまちイッちまいそうだな。
 ……したいけど、むしろ超してえけど、それじゃ美琴が満たされないだろ)

 自分の射精感を満たすためだけに動いたのでは、冊子に書かれていた
 “ジャンクセックス”そのものに該当してしまう。
 辛辣なニュアンスを含んだこの言葉は、上条の大切な恋人を
 粗末に扱っているかのように響き、どうしても許容しがたい。
 身をもって美琴に幸せを与えようとする、上条なりの必死の体現だった。

「……する、ぞ」

「う、うん……」

 極度の緊張と期待を込めて、上条は己を美琴の小陰部に押し付け、少しずつ挿入した。
 熱を帯びつつねっとりと濡れる膣は、いきり立つペニスをギチギチと締め付けつつも
 しなやかな柔軟性を持ち、進入の阻害はしてこない。
 七割ほど入ったところで上条は挿入を止めた。

105 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 21:10:21.67 ID:SumbvhkSo

「……ぜんぶ、入った……の?」

「いや、全部は入れねえ。それより痛くないか、美琴」

「ちょっと異物感みたいなのはあるけど、痛くはないわ」

「そっか。この間は少し痛がってたもんな」

 処女喪失の痛みの個人差は大きい。美琴の場合は出血がほとんどなく、
 また挿入に極度の困難があった訳でもない、穏やかな通過儀礼だった。
 肉体的な充足は少なかったが、思い慕っていた少年と一つになれたという
 精神的充足で満ち足りていたため、美琴にとって不満の残る結果ではなかった。
 むしろ肉体の快楽など二次的で、上条が自分一人にかまける部分を好ましく思っている。

「もう大丈夫だから……いっぱい動いてもいいよ」

「でもその体勢のままだと辛いだろ? ちょっと姿勢変えようぜ」

「えっ?」

「ほら、俺の首に腕を回せ」

「えっ、えっ!?」

106 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/01/22(土) 21:13:55.08 ID:xf9BIRjSO
これは綺麗なエロス

107 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 21:15:07.76 ID:SumbvhkSo

 このまま激しく挿入を繰り返されるものと身構えていたところで、
 上条は美琴の腕を自分の首に回すように誘導した。
 すると上条は左手でベッドに手を付き、右腕一本で美琴を背中から持ち上げる。
 身体が浮く感覚に戸惑っている間に、上条もベッドに乗り上がった。

「えっ、ど、どうするの?」

「俺と向かい合わせになって座れるか?」

「やってみるけど……」

 対面座位を取ろうとして、体躯のわりに身軽な美琴を誘導する。
 ますがまま、美琴は上条と向かい合うようにして彼の両腿に座した。
 両脚を上条の腰に回すと、ペニスがいっそう深く挿入されていく。
 最後に上条が美琴を抱き寄せ、四肢を使ってお互いに抱きしめあう体勢になった。

108 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/01/22(土) 21:17:26.93 ID:hss9CBoao
これで一部エロ描写だと・・・?
この>>1計り知れない


どんどんやってくれ

112 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/01/22(土) 21:30:23.09 ID:0NfHG7w/o
>>108
一部というか全部だよなww


>>112
SS全体の前半分に多いのです


113 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/01/22(土) 21:31:34.96 ID:xf9BIRjSO
エロというよりラブだな
上琴SSの18禁に不足していた糖分がやっと補給された感じだ


109 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 21:20:26.07 ID:SumbvhkSo

「これだと辛くないだろ?」

「う、うん……でもアンタ動きにくくならない?」

「いや、密着できる方がいい」

「そうなんだ」

「あとはこうやって……っと」

 情事の勢いでベッドの隅に追いやられていた掛け毛布をたぐり寄せると、
 抱きしめあった自身と美琴をちまきのように見立て、全身を包んだ。
 少しばかり室温が肌寒いと感じていた美琴にとっては実に心地よい気配りだ。

(今日のコイツ本当になんなのよおぉーーー!?)

(よし、これで体勢は取れたと。……気を抜くとホントに出しちまいそうだ)

 毛布に包まって暖を取るのはロシアでの経験以来だが、あの時は
 こうして美琴と懇親を深めるために行う事になるとは想像だにしていなかった。
 じんわりと汗を帯びた彼女と密着すると、性感とは異なる満足感がもたらされる。

110 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 21:25:09.65 ID:SumbvhkSo

(すごく華奢で痩せ身なのに、体つきは柔らかくてフニフニで、
 そっと抱きしめていたら離れていきそうで、でも強く抱きしめたら折れそうで。
 御坂美琴はこんなにもデリケートだったんだな)

(あったかい……当麻の優しさが、あったかいよぉ……)

 無言のまま目を瞑り、お互いに抱きしめあう力を同時に強める。
 心の奥で願っているものが一緒だと知り、二人は破顔一笑した。

「……きもちいい」

「俺もだ」

 愛しい人との抱擁に愉悦を覚えながら、美琴はくらくらと陶酔している。
 体勢が整ったので、上条は冊子の内容を今一度暗唱した。

『前戯に最低1時間以上掛け、また陰茎を膣へ挿入したあと最低30分はピストン運動を行わず、
 恋人への抱擁や愛撫だけに留めましょう。
 ただし男性側に勃起力がなくなりそうな時、女性に性感がなくなる時だけ動きが必要です』

(さて、どこまで耐えられんのかなー俺)

 上条の行動は、俗に言う”ポリネシアンセックス”の実践に限りなく近い。
 激しいピストン運動がセックスの象徴とばかり思い込んでいる二人にとって、
 ここからは未踏の領域へ踏み込んでいく事になる。

---

111 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/01/22(土) 21:27:42.58 ID:HfW7r+8X0
色々なSS見ていたせいかこういうバニラセックスは新鮮だ

114 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 21:31:35.17 ID:SumbvhkSo

 [18:14]

 都市の完全下校時刻を過ぎ、善良な学生達の姿は街から消えていた。
 冬の静かな一夜が過ぎていこうとする中、上条の部屋だけは甘美な嬌声に溢れている。

 上条は美琴の眼前にいながら、その唇にはキスをせず
 頬や額、首筋への口付けに留めていた。
 もちろん美琴は幾度も舌でのキスをねだったが、上条は有耶無耶にかわしつつ
 美琴の上半身のあらゆる部分に唇と手を這わせていく。

「やぁん…んくぅ…んぁ―――っ! ……キス、してよぉぉ」

「まだまだ、上条さんのターンは終わりませんの事よ」

「アンタ…じらし…すぎぃ…おかしくっ、なるぅぅ……ひぃん!」

 今のところ一から十まで上条のなすがままになっている美琴は、
 一転して技巧的になった彼のテクニックに翻弄され続けていた。
 上条はかれこれ4時間近くも集中して触れ続けていたため、美琴自身も知らない
 彼女のウィークポイントを幾つも発見する事ができた。
 右耳、喉、左鎖骨、うなじ、両瞼、肩甲骨の裏筋、左乳首、へそ、そして陰核。
 いずれも、今後も沢山触れる機会があればいいと願ってやまない。
 一見余裕で攻めている上条も、きゅうきゅうと締め付けてくる膣の刺激と
 美琴が耳元で囁く甘い嬌声には相当心狂わされている。
 客観的にはイーブンと言ってもいい。

115 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 21:35:18.31 ID:SumbvhkSo

「美琴は首周りが特に弱いんだなー」

「アンタ、舐め過ぎなのよぉ……ひぁっ!」

「手だって沢山使ってるだろ?」

「手は…んぅーっ…ずっと胸ばっかり触ってるじゃない!」

「だって離したらお前寂しがるじゃねーか」

「さ、寂しがるとかありえないわよ!」

「あっそう、じゃあもう触んない」

「あっ、やだっ……ごめん……」

「素直じゃねえなぁー美琴さんは」

「ん……っ、んふっ……」

 上条が優しく揉みしだく手を離すだけで、美琴は憂き目に遭ったような表情を浮かべ、
 再び手の温もりを伝えると安心して身を委ねてくる。
 美琴もまた感情のオンオフが激しく、その様子が愉快で、愛おしく感じられる。
 自分が鈍い事を百も承知だからこそ、美琴の喜怒哀楽はっきりとした性格が好きなのだ。

116 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/01/22(土) 21:37:11.35 ID:wT66AAIMo
辛抱たまらん

117 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/01/22(土) 21:38:16.16 ID:FqzJWPgIO
普通にデジラバの絵で再生される俺って…

ふう

118 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 21:40:53.14 ID:SumbvhkSo

「くぅんっ……あ、アンタがいっぱい揉んでくれたら、もっと大きくなるのかなぁ」

「美琴さーん、それまだ諦めてなかったんですかー? ってか俗説だろ、それって」

「本当は性的な興奮によってホルモンバランスが刺激されて、
 女性的な部分の成長促進に繋がるんだって。
 だから、直接胸を揉むのも選択肢としてはあながち間違ってないけど、
 好きな人にあれやこれやされてるのを想像するだけでも効果はあるって聞いたわ」

「好きな人にあれやこれやを想像、ねえ……それが本当なら白井なんて今頃は」

「言わないであげて。女にも色々とあるの、色々」

「お、おう……こ、個人差ってあるもんな」

 普段は適当にあしらっている子だが、AAカップである事を気にしている部分は
 先輩としてしっかり擁護してあげなければと美琴は思う。
 かく言う自分も、せめて年下の佐天涙子(さてん るいこ)は超えたいとは願っているが。
 上条は、ふくよかな胸を持つ周囲の女性達が皆そうだとは思いたくないので、
 やはり俗説は俗説のまま埋没していくべきだと感じていた。

119 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 21:45:23.81 ID:SumbvhkSo

「それとも、同性同士だと効果ないもんなのかな」

「だから言わないであげてってばぁー!」

 睦言を楽しむのも情事の一部分だが、こうして雰囲気がコミカルに振れていくと
 上条はほんの少しだけ腰を動かして美琴に注挿する。
 快活な少女の面影が、一瞬で淫靡な女のそれになった。

「あんっ、んぅっ…は…あっ……また、ちょっとだけなの?」

「ああ、少しだけだ」

「どうして? キスもしてくれないし、意地悪してるの?」

「違うって」

「もう……私のカラダに飽きた、の?」

「全然違うっての。むしろ魅力的過ぎて勿体ぶってるんですよ」

「ホントに……?」

120 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 21:50:17.52 ID:SumbvhkSo

「本当だから、小動物みたいな顔して泣きそうになるなって。
 女の身体にも色々あるように、男の身体も色々あるんだよ。
 お前は心も身体も魅力的だから。それは間違いないから」

「散々焦らしてる癖に、言葉だけはド直球なんだからもう……」

 でも嬉しい、と耳元で小さく呟き、美琴は抱きつく四肢の力を強めた。
 毛布に包まれた二人の身体は汗で蒸れていたが、それを脱ぎたいとは考えなかった。
 むしろこのまま一つになって融けていくのではないかと思える程に心地が良い。
 誰も邪魔しない、何も意図しない、時間も気にしない、二人だけの空間。
 しんと静まり返った室内で、快楽に溺れた吐息だけが時を刻んでいく。

「キス、したいか?」

「したいのっ、トロトロになるまでしてぇ」

 唇が触れないうちに、美琴のスイッチが入りかけている。
 或いはまた別のスイッチがあるのかも知れない。
 どちらにしても、美琴の小さな口からちろちろと突き出されて
 魅惑してくる舌は、上条の理性のスイッチにも直結している。
 もう一度舌を絡めたら、二人の欲望は臨界に達するだろうと予感した
 上条はようやくここで布石を明かす。

121 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/01/22(土) 21:50:57.13 ID:HfW7r+8X0
いいよいいよー

123 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 21:55:48.84 ID:SumbvhkSo

「じゃあ、これからキスするからさ、そしたら二人でイこうぜ」

「えっ?」

「意味、わかるだろ?」

「ぜ、絶頂に達するって意味でしょ? エクスタシーとか、オーガズムとか」

「なんか医学的だな」

「違うの?」

「違わねえけど、一般的にはイクって方がわかりやすいな」

「でも……私イッた事ないからどういう感覚かわかんないかも」

「わかるさ。今日はずっと時間を掛けて美琴を観察してたからな。
 なんていうか、確信があるんだよ。美琴をそういう風に導けるって」

(なんで凛々しい顔でそんな事言うのよぉコイツ~ッ!)

124 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 22:00:21.56 ID:SumbvhkSo

 上条の真顔が、美琴の期待に膨らんだ心をいっそう刺激した。
 本心を強引にあばかれる事を望む、マゾヒスティックな願望で満ち満ちていく。
 愛されたい、犯されたい、弄られたい、尽くされたい、求められたい、感じたい……
 内側に有り余っていた感情の全てを吐き出すように、美琴は懇願した。

「うん……キスしてくれたら絶対イクからぁ……だからぁ……!」

「わかった。俺も、もう限界が近いんだ」

「いいよっ、当麻のせーえきぃ、一杯出していいからぁ!」

(焦らしすぎてエロくなっちゃったなぁ……俺もなんかスイッチ入っちまいそうだ)

 いよいよ激しく動くのだと予期して、美琴は期待に身を震わせたが
 反して上条は少しも腰を動かさず、最後の一滴まで忍耐を搾り出す。
 美琴の裸身をぐぐっと力強く抱き寄せ、唇ではなく左耳に口を寄せると
 ありったけの想いを込めて告白した。

「……美琴。俺、お前に出会えて本当に良かったよ」

「え……えっ?」

125 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 22:05:13.87 ID:SumbvhkSo

 完全に意表を突かれた美琴は、つい間の抜けた声が出てしまう。
 上条の声色は落ち着き払っていた。

「俺は、自分が記憶を喪った事を誰にも気付かれたくなくて、
 できるだけ『上条当麻』っぽく振舞ってきた。
 不幸だってよく口走ってるけど、それは『上条当麻』がそういう口癖だったから
 それっぽく振舞おうとしてるだけで、ホントは少し無理してたのかもしれねえ」

「え……なに!?」

 それはよりによって今のタイミングで言うべき事なのだろうか。
 美琴には状況が理解できていない。
 だが上条の姿勢は真剣そのもので、絶対に聞き逃してはならないと直感した。

「でも……不幸ってなんだろうって時々考えるんだ。
 確かにこの半年間、とんでもない災難にばかり巻き込まれてきたけど
 いつもなんだかんだ言いながらも結果オーライに纏まってさ、
 不幸にならないで済んだ人の顔を沢山見ることができたんだよ。
 今の状況から逃げたいとも思わないから、結局俺には
 『上条当麻』の生き方が性に合っちまってるんだな」

「……」

126 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 22:10:34.57 ID:SumbvhkSo

「だから俺は、『上条当麻』らしさを貫く事しかできない。
 それしか自分が満たされるやり方を知らないのかもしれねえ。
 正直、普通の恋愛に憧れるところもあったんだけど、
 俺みたいな無謀で夢見がちな奴には縁遠いものだと思ってしまってたんだな。
 ……でもそんな俺のことを、ずっとずっと懸命に追いかけてくれてた女の子が居た。
 ちょっと口やかましいけど、本当は誰より強くて優しくて素直で真剣な……
 俺、そいつと結ばれたいって願望を持っちまったんだよ」

「あ……!」

「それが、美琴、お前なんだ」

 ゾクリゾクリと、美琴の背筋に強烈な快感が走った。
 一瞬、己の超能力が逆流したかと誤認するほどの絶大な刺激だったが、
 それすらも大きな到来物の余波でしかないように思えた。
 頭の中でチカチカと眩しい光が弾けはじめる。
 能力の発現とは異なる、まったく見知らぬ感覚だった。

127 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 22:15:58.70 ID:SumbvhkSo

「ひょっとしてお前となら、俺の甘っちょろい夢を叶えるために
 同じ歩調で歩いていけるんじゃないかって、そう思っちまったんだよ」

「アンタの夢って……あの時の……?」


『誰一人欠ける事なく、何一つ失う事なく帰るってのは、俺の夢だ。
 だからそれが叶うように協力してくれよ』


「ああ。夢なんて言葉、普段は恥ずかしくて絶対言わねえけど、
 あの時、死ぬしかないと言ったお前をほっとけなくて、つい言っちまったっけ。
 でも『上条当麻』でいようとする俺にとってその夢は、どうしても必要なものなんだよ。
 俺は誰も失いたくないし、みんなに笑っていて欲しい……それだけなんだ」

「うん、私も……私もアンタと同じ夢をずっと見ていたい。
 誰も傷つかないで、みんなで笑っていられる世界がそこにあるなら、それが一番いいことじゃない。
 どんなに現実が厳しくたって、甘っちょろい夢見たっていいじゃない!」

「……そんな風に言ってくれるのはお前だけだよ。
 他のみんなは、立場とか任務とか使命とか信心とか教義とか、他に立派なものを沢山持ってる。
 だからみんな俺に忠告してくるんだ。現実は甘くない、ド素人が勇気と無謀を履き違えるなって。
 俺だって怖くないわけじゃない。戦う時はいつだって足が震えるし、怖気づいちまう。
 ……でも夢を語り合えるお前となら、どんな時も一緒に立ち向かっていける気がするんだ」

129 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 22:21:26.30 ID:SumbvhkSo

 美琴の頭の中で弾ける光がいっそう力強くなる。もう光などという生易しい代物ではない。
 ダイナマイトのように強烈で、高電離気体《プラズマ》のように甚大で、
 美琴の強固な”自分だけの現実《パーソナルリアリティ》”を完全に破壊するかのように。
 二人の想いが、爆ぜた。

「美琴……愛してる!」

「わっ、わたしもっ、私もっ……んむぅっ!
 ……ひあっ……! ……ああっ! あああぁぁぁァァァッッッッ!!!
 イくっ、イクゥゥゥゥゥッッッッッッッ―――!!!」

 上条が赤心を推して、勇気を振り絞った告白の言葉。
 愛する者と一体感を得られる甘美な恍惚を覚え、上条と唇を重ねた途端、
 美琴は狂気にも似た歓喜の声を放ちながら、熾烈なオーガズムに到達した。
 性器だけではなく身体中を突き刺すような快楽が襲い来る。
 電気にうたれたように全身を震わせ、だらしなく涎をたらし、声にもならない嬌声をあげる。

130 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 22:25:13.95 ID:SumbvhkSo

「みっ、美琴っ、くっ、くぅぅぅ~~~ッッッ!」

 およそ平常ではない美琴の様子を気遣う暇もなく、上条にも強烈なオーガズムが訪れる。
 それは瞬間的な射精感ではなく、失禁にも似た開放感だった。

「やぁぁっ、ふぁぁぁッッ、ふにゃあぁッ、アアアアアァァァァ―――ッッ!!!!!」

「ぐっ、ぐぅぅっ、うあああ―――っっ!」

(うああっっ、すごすぎるだろコレ……!
 精液がおしっこみたいにびゅるびゅる出てやがる……!)

(とーまぁ、とーまぁ、とーまぁ、とーまぁぁぁ……やぁぁぁァァァアアァァ!)

 注挿などしなくとも、既に二人は強烈な絶頂に達していた。
 上条は粒感のある精液が、尿道をこじ開いて込み上げてくる感覚に痺れあがる。
 びゅるるると擬音が聞こえるほどの放出は、スキンを突き破るかと思う程の勢いに達していた。

131 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 22:30:33.25 ID:SumbvhkSo

「ううっ……すげぇ出た……」

 上条の射精は30秒ほど続き、果てしないほどの放出がようやく終わる。
 初体験の時以上の、常識を飛び越えたと断言できる程の快楽は
 これで全て終わった訳ではないことにふと気付いた。

(やべえ、ちょっと姿勢動かしただけでもまたイキそうだ……!)

「やァ――――――……ううゥ――――――……いぃ……ーっ……あは……っ!」

 反して美琴は、弓なりに背を曲げながら震え、いまだ絶頂感に支配されている。
 オーガズムの最高潮に達した彼女は、ポルノビデオの女優などとは全く違う様相を晒していた。
 どこか遠くの空を漂っているらしい今の美琴にそれをするのは気が引けたが
 絶頂に達した上条にはもはや、本能を止める理性など残っていない。
 動かさないと決めていたはずの腰を動かし、激しい注挿を始めた。

「やぁっ、ふぁっ、あっ、アアアァァァァァァアアアアアアッッッッ!!」

「みことッ、みことッ、みこうああぁぁおああアアああっッっっッ!!」

 キュンキュンと力強く締め上げてくる膣の感触に翻弄され、
 上条は野獣のように吠えながら、全身を使って美琴を突き上げる。
 射精を終えた直後の、じんわりとした快感を残した亀頭が刺激されると
 再びペニスが剛直し、美琴の子宮を求めて新たな射精が始まった。
 美琴はもはや現状を理解できず、惚けたままイキ狂ってしまっている。

132 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 22:35:36.04 ID:SumbvhkSo

「うヴ――――――ッ―――! イぐううぅぅ―――ゥ―――……―――ッッッ!!」

「ああっ、ううッッ、美琴ォ、みことォォッ! うあああっ!」

「トッ、うう―――ぅヴぅ、とぅっ、イクぅぅッ、とうまっぁ、アアァァァアア―――ッッ!!」

「すまねえッ、でもッッ、すげえッ、気持ちいいンだッッッ!」

「ああ゛あああ゛あ゛ああ゛ぁぁッッ、うンッ、んゥッッ、ンクゥ―――ッッ!!」

 快楽に犯されて狂乱しながらも、美琴は上条の腰に回した足をいっそう強く絡め、
 上条の吐き出す欲望の全てを受け入れようとしていた。
 同時に、上条の下腹部にじんわりと生暖かい感触が広がる。
 おそらく美琴が失禁したのだろうと頭の片隅で認識はしていたが、
 この破壊的なエクスタシーの真っ只中においては、限りなく瑣末な出来事だった。

 終末の様相をみせた絶頂劇によって、御坂美琴が築き上げてきた強固な
 “自分だけの現実《パーソナルリアリティ》」”は完膚なきまでに破壊されたが、
 それに代わる新たな世界が、美琴の中で急速に再構築されていった。

(あ―――……。……わたし……本当の自分……見つけちゃっ、たぁ……)

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133 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 22:40:17.28 ID:SumbvhkSo

 [19:18]

 二人の世界観を変えるほどの快楽の奔流は、数分ののちようやく治まった。
 上条は失神した美琴と結合したままベッドに倒れ、心配そうに体調を伺っているが
 呆けていた美琴の意識は徐々に現世へと戻ってきたらしく、
 上条と目を合わせると無垢な笑顔を浮かべた。

「大丈夫か!?」

「……めちゃくちゃイッちゃったぁ。当麻ったら、張り切りすぎぃ……」

「すまねえ……最後の最後に全部ブっ飛んじまった。辛くなかったか?」

「ううん、大丈夫。でも腰が抜けたかも……」

「すまねえ……」

 二言目にはすまねえと口走りながら、右手で美琴の頭を何度も撫でる。
 怒った美琴をなだめ落ち着かせる時の癖だ。
 その優しさが心地よくて、美琴は喉を鳴らして甘えた。

「ふにゃー……」

「ははっ、無事そうで良かった」

「当麻こそ、ちゃんと気持ちよくなれた?」

「なりすぎてちょいと大変なことになりました……」

138 :◆nE9GxKLSVQ:2011/01/22(土) 22:46:06.49 ID:SumbvhkSo

 上条は欲望を吐き出しすぎて、膣内でスキンを破っている可能性だけが気掛かりだった。
 美琴の呼吸が落ち着いたのを見計らって、そっと美琴から身を離し
 濡れそぼった膣からしおれた陰茎を抜き取る。
 その先端には、小さな水風船のように膨らんだスキンが装着されたままだった。
 どうやら損傷はないらしい。液がこぼれないようにスキンを取り外そうとするが
 美琴のとろとろとした愛液で包まれていて、手が滑ってしまい思うように取れない。

「あはは、ちっちゃくなってるー。かわいー」

「可愛いとか言われるとそれはそれで情けない……」

「ずいぶん一杯出たのね」

「上条さんは摩訶不思議な人体の神秘にオドロキですよ。
 これって4、5回分くらいの量はあるんじゃねえかな」

「それだけ気持ちよかったってこと?」

「正直、病み付きになりそうだよ」

「んふふー」

 スキンの口を縛る作業をぼんやりと眺めながら、美琴は妖しく笑った。
 それは母の御坂美鈴が酔って絡み付いてくる時の表情によく似ていて、
 親子なんだな、と上条は苦笑する。

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134 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/01/22(土) 22:40:58.33 ID:VC+U/F36o
イイヨイイヨー

135 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/01/22(土) 22:41:30.49 ID:HfW7r+8X0
なんかいいな…!いいなこれ!

128 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/01/22(土) 22:17:18.23 ID:ErcsyaDr0
まだ投下続いてたのか
すげぇな


>>128
今3/10くらいです


136 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/01/22(土) 22:42:32.05 ID:FqzJWPgIO
まだ三割だと…!?
この>>1、まことに計り知れん…!


137 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/01/22(土) 22:44:20.53 ID:UaXPBHFM0
おい、これが一部エロってどういうことだよ!!


美琴「週末は アイツの部屋で しっぽりと」2続く