140 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/16(月) 15:17:39.49 ID:mg6FY1aj0

街中で偶然、あの少年とお姉様を発見しました
相変わらず素直になれないお姉さまを見て、早くくっついちまえよとミサカは思うのですが

……いいことを思いつきましたと、ミサカはほくそ笑んでみます


御坂妹「ちょっと、こんなところで何してんのよ」

上条「ん? あぁ御坂か」

スーパーの袋を持っているのを見ると特売の帰りか何かと推測します
コレを一緒に持って帰ってあげれば高感度が上がり、ルート確定ですねと、ミサカは開発中画面を思い描きます

御坂妹「なんか重そうな荷物持ってるわね、一つぐらい持ってあげるわよ」

返事も聞かず袋を奪取、意外と軽いのですね
袋の中を見るともやしのみ、流石のミサカも涙が出そうな極貧生活を想像します

上条「貧乏学生の上条さんはそうでもしないと生きていけないんですよ」

御坂妹「いくらなんでも貧乏すぎだろと、ミサ、えっとミサでもやんのかゴラァ!」

ふぅ、なんとか誤魔化せました、とミサカは自己の会話能力に名人級の評価を出します

141 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/16(月) 15:26:36.66 ID:mg6FY1aj0

上条「……お前なんか変じゃないか?」

なんと勘の鋭い少年でしょう、ミサカの完璧な会話術を見破るとは
しかし、まだバレる訳にはいきませんと、ミサカは強引に計画を続行します

御坂妹「うわぁ、足がもつれて手が滑っちゃったー」

少年の腕にしがみ付けました、パーフェクトな流れですね
ここから更に体を押し付けて、少年の純情なリビドーに訴えかけましょうと、ミサカはルート形成に尽力します

上条「いや、あの、御坂さん?」

御坂妹「ホレホレ、ここか? ここがええのんか?」

フフフ、このままお姉さまルート行けば元気な女の子が生まれる所まで容易に想像ができますね

上条「まさか魔術師!」

御坂妹「やはり麻琴と言うのが無難な名前でしょうか……」

魔術師って何の話よ?

上条「く、様子がおかしいと思ったぜ! 取り敢えずインデックスに見て貰おう」

御坂妹「オゥ、いきなり家にご招待とは積極的な義兄さま、え? 2人目ですか? おめでとうございます」

ちょ、ちょっといきなりなによ! あとあのちびっこシスターがなんだって言うのよ!

143 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/16(月) 15:34:32.87 ID:mg6FY1aj0

なんとか少年の家まで来る事が出来ましたね、もはや私がお姉さまと言っても過言ではないでしょう

上条「く、こんなときにインデックスはどこに行ったんだ!」

御坂妹「なにそんなに慌ててるのよ」

上条「御坂! 正気に戻ったのか!」

この少年は何を言っているのでしょうか、誰がどう見てもミサカは正常で完璧な状態だと思うのですが

御坂妹「正気も何も、別にどこもおかしくないわよ」

上条「そ、そうか、スマン俺の早とちりだったみたいだ」

御坂妹「まったくボケてんじゃないわよ」

さて、ミサカの完璧な計画により少年の家へ上がりこむことが出来ました
自己の優秀性に痺れてしまいそうですと、ミサカはキメ顔で少年を見つめます

御坂妹「そうだ、せっかくだから何か作ってあげるわよ」

学習装置で覚えた情報を存分に発揮して今こそフラグを立てる時
いそいそと台所に向かいましょうと、ミサカは少年の心を鷲掴みする為動き出します

上条「えっと、いいのか? なんか悪いな」

そわそわしていますね、既にミサカの魅力にメロメロと見ました
さて冷蔵庫の中身は…… 卵ともやしぐらいしかないとは、流石のミサカもこれでは腕を揮えませんね
取り敢えず今日のところは簡単な炒め物で、一緒にご飯というシチュエーションを楽しみましょう

146 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/16(月) 15:41:17.55 ID:mg6FY1aj0

御坂妹「簡単なもので悪いけど、はい、おまたせ」

上条「おお、お前って料理も上手かったんだな」

これはかなり高感度upではないでしょうかと、ミサカは小さくガッツポーズを取ります
ついでに追い討ちもかけて一気にハートをゲットですね

御坂妹「ご飯にする? お風呂にする? それとも、わ・た・し?」

決まりました、パーフェクトゥ

上条「つ、土御門! 俺だ! 人格が変わる魔術とか知らないか! 助けてくれ!」

御坂妹「食事中に電話はマナー違反」

電話を取り上げ電源ボタンを押す、これで大丈夫でしょう

上条「くっ、いいぜ魔術師! テメェが御坂を好きにしようってなら! まずはそのふざけた幻想をぶべら!」

はっ、あまりにも意味不明なことを言っていたので思わず電話を投げつけてしまいました
これは至急フォローが必要ですねと、ミサカは女の子座りにシフトします

御坂妹「ご、ごめん! 手が滑っちゃって! お詫びに、その、何してもいいから……」

我ながらこれは素晴らしい、かなり扇情的なアピールだったのではないでしょうか
もしお姉さまがこんなアプローチをしたら大抵の男性は理性崩壊を起こすのでは?

上条「み、御坂……」

148 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/16(月) 15:48:20.39 ID:mg6FY1aj0

真剣な表情で肩をつかまれました、ちょっとドキドキしてしまいます
どこかしらで手に入れた情報によりますと、こういうときは目を瞑った方がいいと、ミサカは行動に移します
しかし、お姉さまとくっついて貰うつもりだったのですが……
まぁいいでしょう、役得ということでと、ミサカは期待に胸を膨らましてみます

上条「頼むから許してください」

なんで? なぜ? why?
どこに謝る選択肢が出ていたのでしょうか? ここは思いっきりブチューっと行くのが王道と思っていたのですが
まさか、ミサカの完璧なる演技がばれてしまったのでしょうかshit!

上条「俺がなにか気に障るようなことしたなら謝りますから、許してください」

勘違いなう
仕方がありません、計画を少し変更して続行しましょう

御坂妹「違うわよ、そのゴメン…… 勘違いさせて」

どうです、普段強気な女の子の気弱な一面を見せたトキメキショット

上条「う、いや、俺もスマン」

いい雰囲気です、それはもうなんで今までこうしなかったのかってぐらい、いい雰囲気です
と思っていたら

上条「悪かったな、御坂」

頭の上を、少年の手が、優しく往復していきます
何故でしょうか、これは、とても、嬉しく思います

149 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/16(月) 15:56:02.14 ID:mg6FY1aj0

目の前の少年が優しいのは知っていましたが、なんでしょうか
暖かい手がミサカに触れるのをとても、とても愛おしいと、言うのでしょうか?

御坂妹「もっと……」

上条「ん?」

御坂妹「もっとして、欲しい」

ふと、欲張りなミサカが出てきてしまいました
これはお姉さまを応援するためにしてきた事の筈なのですが
そう思っていても、この手が離れるのが寂しいと、思ってしまいます

でも、だめ、なんです

御坂妹「だめ」

上条「どうした?」

御坂妹「だめ、です」

気がついたら走り出していました

少年の暖かな手が、少しでも、ほんの少しでも、触れて欲しいと思ってしまった

ミサカを、自分のことを、世界に一人だけだと言ってくれた

あの少年のことを想うのは

御坂妹「ミサカには、過ぎた願いなんですと、ミサカは…… ミサカは……」

152 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/16(月) 16:04:29.99 ID:mg6FY1aj0

雨が降ってきました、天気予報とは当てになりませんね

あの橋の下で雨宿りでもしましょう

雨が身体を冷やします、このままでは風邪になってしまうかもしれません

まぁ、それも良いのかもしれないですね

欲張りなミサカには丁度良い罰ですと、ミサカは自嘲気味に微笑んでしまいます

なんなのでしょうか、胸が痛い、いえ、締め付けられるような感じです

御坂妹「ミサカは……」


上条「見つけた」

顔をあげると少年が居ました、ずぶ濡れでミサカを探しに来てくれたのでしょうか
でも、この少年が探しているミサカはミサカであってミサカじゃないんです

御坂妹「お久しぶりですねと、ミサカはあなたに挨拶をします」

上条「なに言ってんだよ」

御坂妹「先ほどお姉さまがあちらの方へ走って行きました、なにか知っていますかと、ミサカ」

上条「俺はお前に用があるんだよ」

真っ直ぐな眼差しがミサカに向けられる

153 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/16(月) 16:05:22.62 ID:BSzd4AGx0
上条△

155 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/16(月) 16:28:44.48 ID:mg6FY1aj0

上条「まったく、何してんだよ御坂妹」

え、とミサカは動揺を隠せません
少年は気づいていたのでしょうか? いつから? それともミサカの言動で騙されたフリを?

上条「正直、さっきまで気づかなかったよ、でもお前、靴履いてないし」

なんと言う凡ミス、これでは凡夫と叩かれても仕方ありません

御坂妹「……ミサカに何の用でしょうか?」

ミサカの正体がわかってしまった以上、ミサカに構う理由なんて無い筈ですが
と、また、頭に手を乗せられた

上条「まだ、一緒に飯食ってねぇだろ? 帰ろうぜ」

手を引かれる、暖かかった彼の手が冷たくなってしまっている

その手を強く握った

御坂妹「何故、でしょうか?」

上条「なにがだ?」

御坂妹「さっきまでミサカをお姉さまと勘違いしていたのに、何故ミサカに構うのでしょうか?」

170 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/16(月) 18:01:37.57 ID:mg6FY1aj0

上条「御坂のマネをしてても、俺がさっきまで一緒に居たのはお前だろ? ならいいじゃねぇか」

ギュッと今までよりも強く手を握られる

上条「それに、俺はお前と居たんだ、他の誰でもなくお前と、今更帰るなんて無しだっての」

この少年は、ミサカを、『見て』いてくれていたのですね

御坂妹「ありがとう、ございます……」

――ミサカは

――ミサカが望んでいたものは

――これ、だったのですね


雨の中、二つの影が走る

優しすぎる少年と

優しい笑顔の少女が

172 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/16(月) 18:11:11.49 ID:mg6FY1aj0

禁書「なんでとうまが短髪と一緒に居るわけ?」

家について早々かけられた言葉はトゲトゲしいものだった

上条「いや、そのだなインデックス、こちらの方は」

御坂妹「あぁ私達、今日から付き合うことになったの」

上条「え!」

な、なにを言ってるんでせうか、この人は

御坂妹「だから当麻と、私は、恋人同士になったの、ねーとうま?」

雨に濡れた冷たい体が押し付けられる、女の子って柔らかいなぁ
って、そんなこと思ってる場合じゃねぇ!

禁書「とーまぁー」

上条「ち、違う!誤解だインデックス!」

抱きしめられた腕を払いのけ今来た道を引き返す

禁書「待つんだよとうま!」

不幸だー!と、そんな声が寮中に響き渡った

174 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/16(月) 18:17:38.89 ID:mg6FY1aj0

さて、残されてしまった訳ですが

このまま待っているのも面白そうなので、上がらせてもらいましょう

机の上には食べつくされてしまった料理

腕に残るのは少年の感触

手の平には体温

今日一日を思い返して微笑む

御坂妹「また、あの少年に大切なものをもらいましたねと、ミサカは呟きます」

少年が帰ってきたらまた料理を作ってあげよう

今度こそ一緒に食べられるように

あのシスターには何と言おうか、まぁどうにかなるでしょう

御坂妹「お姉さまの口調は完璧にマスターしたわよ……フフ」


fin

192 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/16(月) 21:12:42.96 ID:mg6FY1aj0
実を言うと美琴好き
というか御坂DNAが好き


190 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/16(月) 20:56:56.89 ID:NB+fCaHe0
面白かった


176 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/16(月) 18:28:21.50 ID:UHovmf4q0


178 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/16(月) 18:33:57.23 ID:5pqOoUZbQ

そのまま待ったらまた修羅場じゃねーかww
内容的に御坂妹の心理描写をしないといけないよな
だがそれがいい