美琴「ナイトメアメーカー?」1続き
82 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/26(土) 20:09:01.18 ID:VIFJr8XP0
わたしは、いつものように公園の自動販売機の前にいた。
(ああ、とうとう来てしまった)
きっともうすぐ当麻がやってくる。
こっちの世界で、わたしは当麻に何と言われるのか。
判決を待つ罪人はこんな気分なんだろうか。
誰か人がこっちにやってくる気配がする。
(当麻だ)
見なくたってわかる。
この世界では、いつだってすぐに当麻はわたしのところにやってきてくれるんだから。
わたしはずっと俯いている。怖くて顔を上げられない。
「美琴」
わたしの名前を呼ぶ当麻の声がした。
(え?わたしのこと美琴って呼んだ?)
わたしはビクッとして恐る恐る顔を上げる。
そこには、やさしく微笑みかける当麻がいた。
82 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/26(土) 20:09:01.18 ID:VIFJr8XP0
わたしは、いつものように公園の自動販売機の前にいた。
(ああ、とうとう来てしまった)
きっともうすぐ当麻がやってくる。
こっちの世界で、わたしは当麻に何と言われるのか。
判決を待つ罪人はこんな気分なんだろうか。
誰か人がこっちにやってくる気配がする。
(当麻だ)
見なくたってわかる。
この世界では、いつだってすぐに当麻はわたしのところにやってきてくれるんだから。
わたしはずっと俯いている。怖くて顔を上げられない。
「美琴」
わたしの名前を呼ぶ当麻の声がした。
(え?わたしのこと美琴って呼んだ?)
わたしはビクッとして恐る恐る顔を上げる。
そこには、やさしく微笑みかける当麻がいた。
83 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/26(土) 20:15:17.99 ID:VIFJr8XP0
「昨日はいなかったよな、どうしたんだ?」
「美琴に会えなかったからさびしかったんだぜ。」
わたしの顔に見る見る生気が戻ってくるのがわかる。
やっと体中を血液がめぐり始めた気がする。
目に涙があふれてきた。
眠る前に零したのとは全然違う種類の涙だ。
「ばかぁ」
わたしは、そう叫ぶと駆け出して当麻にしがみついていた。
84 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/26(土) 20:22:58.30 ID:VIFJr8XP0
「わたしのほうがさびしかったわよ」
「当麻に嫌われちゃったと思って」
「わたしがどんな気持ちで今までいたと思ってるのよ」
わがままで勝手なことを言っているのはわかっている。
でも、夢の中の世界では、当麻は、わたしのわがままとか勝手とかを全部受け止めてくれる。
「さびしい思いをさせてごめんな」
「でも、昨日も来てくれたら、そんな思いさせなかったんだぜ」
そう言ってわたしを抱きしめてくれた。
(あっちの世界の当麻と、この当麻とはどうなっているんだろう?)
(わたしはあっちでもこっちでも同じわたしなんだから、当麻だって同じはずだよね?)
そんな疑問は、抱き締められた瞬間にどうでもよくなってしまった。
85 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/26(土) 20:24:58.47 ID:VIFJr8XP0
「ねえ、わたしのこと好き?」
「当たり前だろ」
「じゃあ、ちゃんと言って」
これじゃまるでバカップルだ。
当麻は少し体を離し、真顔になってわたしの目を見つめる。
「俺は美琴が好きだ」
体が熱くなってくる。なんとも言えない感覚が体中を包む。
ああ、もうバカップルでいいや。
(なんでもっと早くこっちに来なかったんだろう)
(こっちの世界では、当麻はいつだってわたしを好きでいてくれるのに)
88 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/26(土) 20:31:28.39 ID:VIFJr8XP0
「ねぇ、キスして」
わたしってこんな声出せるんだ。自分でもびっくりするような媚びた声でキスをねだる。
当麻は黙って唇を重ねてくる。
わたしは目を閉じて、当麻の唇を受け入れる。
舌を入れたのはわたしのほうからだった。
唇だけじゃ、とても我慢できない。
ねっとりと、お互いに吸い尽くすような濃厚なキスをした。
とろけるような感覚だった。
(あくまで、わたしの想像上の感覚なんだけどね)
そんな覚めた考えはすぐに打ち消される。
今はこの感覚に溺れたい。
89 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/26(土) 20:34:20.02 ID:VIFJr8XP0
どのくらいキスをしてただろうか。
唇を離してまた見詰め合う。
「ねえ、して?」
また甘い媚びた声でねだる。
わたしは、再び当麻に抱き寄せられるとそのまま押し倒された。
激しいキスをしながら、当麻に体中をまさぐられる。
(あ、もっと)
当麻にされている。
その事実だけでイってしまうんじゃないかと思った。
わたしの体は、当麻になら、もう、どこをどうされても感じてしまうようにできている。
「ん、あぁぁ、い、い、いい。ん、ん、んんっ」
漏れてくる声を必死で抑える。
あっちの世界では黒子が部屋に戻っているかもしれない。大きな声は出せないのだ。
90 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/26(土) 20:36:33.87 ID:VIFJr8XP0
しかし、体は当麻を求めている。
まるで、さかりのついたメス猫だ。
当麻が欲しくてたまらない。
「ねぇ、ねぇ、もっと激しく」
「当麻のすきにしていいから」
「わたしを犯して」
「服なんか破いちゃっていいから」
「わたしをめちゃくちゃにして」
自分がこんなことを言うなんて信じられない。
そんな、冷静な自分がどこかにいる。
(そうよ、これがわたしの本性なのよ)
(今、当麻と一緒にいる)
(この瞬間のために生きてるのよ)
冷静な自分にそう言ってやった。
92 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/10/26(土) 23:03:22.65 ID:OiuHorOE0
美琴は救われますか…?
95 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/26(土) 23:42:24.54 ID:VIFJr8XP0
当麻はわたしのリクエストに答えるように荒々しくわたしを求めてくる。
ブラウスが引き裂かれ、スポーツブラは乱暴にずりあげられる。
こぼれ出た両胸は荒々しく揉みしだかれる。
「んぁ、ぁあ、ああ、あん、あぁん、いい、いいぃ」
はしたない声が出てくる。
当麻は、激しくも揉みしだいていた手を少し休め、左胸をやさしく揉みほぐし始める。
右の胸に当麻の顔が近づいてくる。
(あぁ、はやく、ねぇ、もう)
じれったい。
どきどきしながら、期待して待っている。
96 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/26(土) 23:48:19.19 ID:VIFJr8XP0
程なく、右の乳首に軽くキスされる。
舌で軽くつつかれる。
「あぁっ」
もうそれだけで高みに上りそうになる。
乳首が痛いほど尖っているのがわかる。
当麻がしてくれるどんな刺激も逃すまいと、これ以上ないくらい敏感になっている。
乳首を舌で転がされる。
「んぁあっ!」
「ぅ、ぃ、いぃ、いぃよ、あぁん、はぁあん」
声を我慢するなんてできない。
当麻が歯で乳首を軽く噛んだ。
「ああああああああぁぁ!!!」
97 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/26(土) 23:52:31.80 ID:VIFJr8XP0
(あれ?胸だけでイっちゃった?)
(まだまだこれからなのに?)
体が宙に浮いてそのまま戻ってこない。
なのに体は貪欲だ。このくらいじゃ満足できない。
「や、いや、やめちゃいや、もっと、もっと続けて。」
ガクガクした体でうわごとのようにつぶやいている。
(乳首が千切れるくらい噛んで欲しい。)
そんなことされたら大変なことになることはわかっている。でも、本当にそう思った。
最初の波が去った後も、まだ物足りない気持ちでいっぱいだった。
今日は、当麻といっぱいするんだ。
わたしをさびしい気持ちにさせたんだから、そのお詫びに、いっぱい可愛がってもらうんだ。
「ねぇ、当麻。下のほうも、ね、して?」
98 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/26(土) 23:56:29.69 ID:VIFJr8XP0
わたしのあそこはもうすごいことになっている。
ショーツだけじゃなく短パンにもしみが出来てるに違いない。
(いや、スカートも濡れてるかも)
「ねえ、はやく、脱がして」
「美琴はえっちだなぁ」
当麻はわたしに軽くキスをした後、太腿のあたりを撫で回しながらそう言う。
「そう、そうよ、えっちなの」
「だから、もう、はやく、ねぇ、もう」
駄々をこねるようにおねだりをすると、当麻の手が短パンにかかった。
短パンのボタンをはずすとそのまま膝の辺りまでずり下げられる。
わたしは足を動かして、右足を短パンから抜き出した。
短パンは左足首あたりに絡まっている。
続いて、湿ってぐっしょりしたショーツも膝の辺りまで下げられる。
99 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/27(日) 00:02:42.37 ID:Yte9y/az0
当麻の手が、ゆっくりわたしのその部分に伸びてくる。
(はやく、はやく、はやく、はやく、はやく、はやく、はやく、はやく、はやく、はやく、はやく、はやく、はやく、はやく、はやく、はやく)
じれったい。待ちきれない。
わたしの体はとっくに準備できているのに。
「はやく触ってぇ」
わたしの足は、当麻が触りやすいように自然と開いていく。
思い切り足を開いて、そこをかき回して欲しい気分だ。
しかし、膝にあるショーツのせいで思うように足が開かない。
もどかしい。
100 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/27(日) 00:04:06.31 ID:Yte9y/az0
「ねえ、ショーツ」
「ショーツ?何のことだ?」
当麻がとぼける。
「だからぁ」
わたしはいやらしく腰を振りながら答える。
「ショーツってこのパンツのことか?」
そのとおりだ。
でも、今時女の子の下着をパンツって言わないよね。
101 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/27(日) 00:12:27.70 ID:Yte9y/az0
(でも当麻らしくっていいかも。)
そんなことを考えながら、もう我慢できないわたしは答える。
「そう、そう、だから、その、パンツ、脱がせて」
膝にあったショーツから、右足だけが引き抜かれる。
「ねぇ、ちゃんと脱がせてよぉ」
「服を脱がずにってのがいいんじゃないのか?」
当麻はそう言うと、少し離れてわたしの体をじっくりと眺め始めた。
102 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/27(日) 00:18:44.08 ID:Yte9y/az0
今のわたしはひどい格好だ。
ブラウスは引きちぎられて破れている。
ブラは上に押し上げられ、その役目を果たしていない。
おかげで両胸ははだけられ、痛いほど硬くなっている乳首が見える。
腰の辺りには、湿っぽくなったスカートがまとわりついている。
大事なところを隠すものは何も無い。
右足はルーズソックスだけが膝下にある。
左足は、膝にショーツ、足首にはルーズソックスの上に短パンが絡み付いている。
わたしは急に恥ずかしくなってきた。
103 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/27(日) 00:21:34.08 ID:Yte9y/az0
「やだ、だめ、見ないで」
あわてて両手で胸を隠し、体を丸めて全体を隠そうとする。
「隠しちゃダメだ」
当麻の声がする。
「美琴の体を見たい」
「かわいい美琴の姿をちゃんと見たいんだ」
「俺に、全てを見せてくれないか」
そんなことを言われちゃったら断れるわけ無いじゃない。
わたしは、こくりとうなずいた。
104 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/27(日) 00:28:11.05 ID:Yte9y/az0
丸めていた体を戻し、胸を隠していた腕をゆっくり開いた。
「綺麗だよ、美琴」
顔がかぁっと熱くなる。
きっと今わたしの顔は真っ赤だ。
綺麗だと言われて恥ずかしくてうれしくて、有頂天になってる。
「ねえ、見て。わたしをしっかり見て」
なんてこと言ってるんだろう、わたしは。
105 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/27(日) 00:36:09.28 ID:Yte9y/az0
当麻に仰向けになったわたしの体をじっくりと見られる。
視姦というやつだろうか、触れられてもいないのにわたしの体は反応している。
胸もあそこも、もどかしくて仕方ない。
「ねぇ、ねぇ、やっぱり」
「見てるだけじゃなくて、ねぇ」
「もう、もう、はやく、はやくぅ」
我慢できずにそう言うと、当麻はわたしの膝を持ち上げ大きく足を広げられた。
「きゃっ、やっ」
当麻の顔がわたしのあそこに近づいてくる。
「え?え?そこは、ぁ、あ、だ、あぁっ」
当麻がわたしのあそこにキスしてきた。
106 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/27(日) 00:40:14.44 ID:Yte9y/az0
「はぁあぁっ」
何て声をだしてるんだろう、わたし。
すごく恥ずかしいのに、押し寄せてくる快感に耐えられない。
下のほうからぺちゃぺちゃと、いやらしい音がしている。
その音を聞きながら、わたしはどんどん興奮してくる。
当麻はそのまま手を上に伸ばし、胸を触ってくる。
「ん、んん、あ、あん、ぅ、あ」
当麻の舌と手の動きに合わせてわたしの口から声が漏れる。
107 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/27(日) 00:41:43.94 ID:Yte9y/az0
当麻は右手をわたしの胸を揉んだまま、左手をさらに伸ばしてわたしの口に触れてきた。
「ん、ぅん、あ」
軽く開いたわたしの口に、当麻の指が触れる。
ちゅぱちゅぱと、指を吸う音がする。
わたしは夢中で当麻の指をしゃぶっていた。
どんどん高みに上っていく。
当麻の指がわたしの口から離れた。わたしの涎まみれの指は、わたしの耳を優しく愛撫する。
「ああ、ああ、ああ、い、いく、イくぅぅ」
わたしは2度目の絶頂に達した。
108 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/27(日) 00:44:32.70 ID:Yte9y/az0
2度目の波が去った後もわたしの欲望はおさまらない。
「ねぇ、今度はちゃんとして欲しいな」
そういってわたしは体中にまとわりついた服を全て脱いだ。
当麻も服を脱ぎ二人とも全裸になった。
「ねえ、今度はわたしがしてあげる」
そういうとわたしは当麻を押し倒した。
「お、おい、何するんだよ」
当麻が驚いた表情をする。
「わたしばっかり気持ちよくなっちゃったから」
「今度は当麻がわたしで気持ちよくなって」
そう言ってわたしは軽くキスをすると、当麻の股間に手を伸ばした。
109 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/27(日) 00:47:17.19 ID:Yte9y/az0
「これ、どうすればいいの?」
「いや、それは。。。」
当麻が口ごもっている。
わたしは、体を当麻の下半身のほうに動かしてそれにキスした。
「うっ」
当麻が声を出す。
(気持ちいいのかな?)
わたしは思い切ってそれを口にくわえた。
「美、美琴、おまっ」
何か言っている当麻にかまわずわたしは続ける。
歯を当てないように気をつけて、舌先で使ってちろちろと舐めてみたり、ねっとりと舌全体で舐めまわしてみる。
こんなかんじでいいのかしら?
「お、おい、もう」
当麻が何か言っている。
わたしはというと上手く息継ぎが出来なくて、苦しくなってきている。
ちょっと口を離して息を吸おうとした。
110 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/27(日) 00:48:23.30 ID:Yte9y/az0
その時、当麻が体を起こし、わたしは逆に押し倒されてしまった。
「美琴、もう我慢できねぇ」
そういうと、わたしの足を開き、間に割り入ってきた。
「なぁ、いいか?」
何て馬鹿なことを聞いてくるんだろう。
「うん、きて」
これ以外に何か答があるとでも思ったのだろうか。
当麻がゆっくりとわたしの中に入ってきた。
「はあぁぁぁぁあっ」
わたしはこの時点でもう軽くイってしまった。
112 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/27(日) 00:50:56.68 ID:Yte9y/az0
当麻はちょっとびっくりしたようにわたしを見ている。
「動いてもいいか?」
また聞いてくる。わたしに言わせたいの?
「うん、いいよ」
「して、好きにしていいから」
「当麻も気持ちよくなって」
わたしの中で当麻が動き出す。
激しく、やさしく、わたしの中をかき回す。
「くっ、んっ、んっ、んっ」
113 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/27(日) 00:53:25.38 ID:Yte9y/az0
当麻と一緒にいきたい。
すぐにでも絶頂に上り詰めそうになるのを必死に耐える。
しかし、火のついた体は、一度上り始めるともうとめられない。
「あぁ、あぁ、あぁ」
「やだ、ゃだ、いっしょ、いっしょに」
「んっ、あっ、んっ、んんんっ」
「あぁ、あぁ、もうだめ、もう、もう」
「いっちゃう、やだ、いっしょに、でも、だめ、もう、もう」
そろそろ限界になってきた。
当麻もだんだん息が荒くなっている。
「美琴、俺も、もう」
「あ、ぁ、あぁ、だったら、いこう、いこう、ぁ、いっしょ、いっしょに、いき、たい」
「「あぁっ!」」
わたしは今まで経験したことの無い快感に飲み込まれ、そのまま気が遠くなった。
111 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/10/27(日) 00:48:56.02 ID:KFo0ov0t0
夢…か…
114 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/27(日) 00:57:40.08 ID:Yte9y/az0
気がつくとわたしは寮の自室のベッドの上にいた。
頭はとてもすっきりしている。爽やかな目覚めだ。
今は何時だろう、ずいぶん陽が高い。
どうも昼過ぎまで眠っていたようだ。
(シャワーを浴びよう)
当麻と愛し合った後なので、体中汗びっしょりだ。
もう怖いものは無い。
夢の中の世界では、当麻は変わることなくわたしの当麻でいてくれた。
「ずっと眠ったままでいれたらよかったのに」
思わずそうつぶやく。
115 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/27(日) 01:00:22.05 ID:Yte9y/az0
実は、この世界が夢で、あっちの夢だと思っている世界が本当なんじゃないだろうか。
そんな考えが沸いてくる。
(そんなわけないでしょ)
頭の中で冷静な自分がそう言う。
しかし、その考えは魅力的で、何を犠牲にしてでも得たいもののようにも思えた。
116 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/27(日) 01:03:55.12 ID:Yte9y/az0
シャワーから出て、部屋着に着替えると、部屋に黒子が現れた。
テレポートでやってきたようだ。
「黒子、あんた、寮で能力使っちゃいけないってことわかってんでしょう!」
「だいたい、まだ学校終わってないでしょ。何やってんのよ」
先輩として後輩をたしなめる。
黒子は、はっとした顔で美琴を見つめると、目にじわっと涙をにじませて抱きついてきた。
「おねえさまぁぁぁぁぁ」
「目が覚められたのですね!」
117 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/10/27(日) 01:05:45.47 ID:KFo0ov0t0
なにがあったんだ…
118 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/27(日) 01:09:40.65 ID:Yte9y/az0
黒子は本当にわたしのことを心配してくれていたようだ。
今朝、わたしは黒子がどんなにゆすっても、目を覚まさなかったらしい。
目を覚まさないどころか、苦しそうなうめき声を出し、体をよじって苦しそうにしていたと言う。
(あ、それ、あえぎ声だから)
本当のここを話すことはできない。
黒子に見られていたのかと思うと恥ずかしくなり、顔が赤くなってきた。
「あ、お姉さま、熱がおありですか?」
「え?あ、いやいや、まあね」
「まあ、ちょっと熱っぽいかなぁなんて気がしなくもないかなってくらいで」
うまく誤魔化せただろうか。
119 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/27(日) 01:11:55.80 ID:Yte9y/az0
今朝、黒子はあまり大げさにするべきではないと判断し、わたしが目を覚まさないことを寮監にも報告せず、今日も体調が悪くて学校を休むということにしてくれたようだ。
しかし、このまま目を覚まさないようであれば、ちゃんと医者に診てもらわなければならない。
自分が大げさにしないことにしたせいで、何かあったらどうしようと、休み時間のたびにこうやってこっそり寮に戻ってきて美琴の様子を見ていてくれていたらしい。
「ありがとうね、黒子」
黒子に心配をかけてしまったことを後悔した。
「何をおっしゃいますの、お姉さままのためなら、この黒子、何をおいても」
いつもと変わらない黒子の言葉が心地よい。
120 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/27(日) 01:13:29.06 ID:Yte9y/az0
「ところで、お姉さま。体調が戻られたのなら、明日から学校に戻られますか?}
黒子の質問に心が痛む。
「うぅぅん、そうね。随分よくはなってるんだけど、まだちょっとね」
「もうちょっと学校は休むかも」
黒子の顔がさっと曇った。
(わたしの世界はここじゃないかもしれないのよ)
黒子にはちゃんと説明したいけど、無理ね、やっぱり。
122 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/10/27(日) 01:21:58.25 ID:KFo0ov0t0
バッドだけはやるなよ
124 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/10/27(日) 13:21:55.75 ID:QNWMEsDYo
何がバッドかっていうと、このまま現実を直視出来ないのがバッド
127 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/27(日) 21:03:16.25 ID:Yte9y/az0
わたしはそれからもずっと学校を休んだ。
休んでずっと夢見装置に溺れていた。
毎日毎日、夢の世界で当麻との営みに浸りきった。
夢のような時間は、永遠のようであっと言う間で、わたしの全てになっていった。
(こっちの世界じゃまだ処女なのにね)
もうすでに当麻とあんなことやこんなこと、いっぱいし尽くしてるのよね、これが。
黒子は、寝ている間ずっとベッドでうなされているわたしを見て心配しているようだけど、本当のことは決して言えない。
(あの最中に「死んじゃう!」なんて言ったらどうなるかしら)
やっぱ、自重すべきなのかとも思うけど、それは無理。
あの快楽から抜け出すことなんて出来やしない。
128 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/27(日) 21:10:04.04 ID:Yte9y/az0
さすがに1週間ほど学校を休んでいると問題になってきた。
わたしは、今まで奔放にやってきてはいたが、理由も無く学校を休むことは無かった。
そんなレベル5の第3位が1週間部屋に閉じこもっているとなれば、ほうっておいてはくれない。
「お姉さま、そろそろ学校に行けませんか?」
黒子が心配そうに言う。
体調が悪いわけじゃない。ただ、外に出たくないのだ。
こっちの世界の当麻はわたしを拒絶した。そんな世界にいたくない。
夢の世界でも当麻には会えるから。
129 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/27(日) 21:16:22.91 ID:Yte9y/az0
「あの殿方ですわね?」
唐突に黒子が切り出した。
「な、何を言っているのよ」
うろたえてなかっただろうか?ちょっとあせった。
「お姉さまがおかしくなったのはあの殿方が原因です」
「何で!そんなわけ無いじゃない」
あわてて否定した。
130 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/27(日) 21:23:19.90 ID:Yte9y/az0
「あの殿方本人が原因ではないかもしれませんが、あの殿方に関連することです」
「お姉さまは、ある日いきなりあの殿方のことを『当麻』と呼ぶようになったかと思うと」
「あの殿方と何か話した後に、走って帰ってきてから閉じこもるようになりました」
ああ、そんなことまでわかってるんだ。
そういえば、当麻とわたしのことで話したりしてたのよね。
「でもね、黒子」
「もうこっちでは当麻は関係ないっていうか」
「もういいのよ、それは」
131 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/27(日) 21:29:20.25 ID:Yte9y/az0
「そうはいきません」
「これからあの殿方に会ってください」
(え?)
(黒子、今何て?)
「いやよ。こっちじゃダメなのよ」
「当麻には会えないの」
「当麻だってわたしになんか会いたくないはずだし!」
わたしは声を荒げて言った。
132 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/27(日) 21:33:00.12 ID:Yte9y/az0
「実はもうあの殿方と連絡を取っています」
「あの殿方もお姉さまと会って話がしたいと言っています」
「これ以上学校を休むことが続けば問題は大きくなってしまいます」
「とにかく一度会ってくださいませ」
(当麻も会いたがっている?)
その一言がわたしの心を捉えた。
「当麻が会いたがっているなんて、ウソでしょ?」
「そんなはずないもの」
「そもそも黒子、アンタ、当麻のこと嫌いじゃない」
「わたしは、いつだってお姉さまの味方です!それだけです」
黒子がきっぱりとそう言った。
133 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/27(日) 21:35:03.15 ID:Yte9y/az0
「お姉さまにとって有害な殿方であれば全力で排除いたします」
「しかし、お姉さまに大切な人であれば、それは黒子にとっても大切な人です」
ちょっと涙が出かけた。
自分はこんないい後輩に心配かけていたのか。
しかもわざわざ当麻と連絡を取って会うことのセッティングまでしてくれていたみたいだ。
「ありがとう、黒子」
「多分、当麻に会っても何も変わらないと思うけど」
「会ってもう一度話してみるわ」
135 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/10/27(日) 22:43:46.40 ID:cwvYkA9e0
ドキドキ
137 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/27(日) 23:51:55.14 ID:Yte9y/az0
こうして、わたしは再びこっちの世界の当麻と会うことになった。
場所はあの公園。わたしにとってはすっかり定番になっている場所だ。
黒子に言われて行くことにしたものの、さっきから震えが止まらない。
(やっぱり怖い)
当麻があって話したいことって何だろう?
また、拒絶されたらどうしよう。
ああ、それだったらずっと部屋に閉じこもっていたほうがよかった。
黒子の手前、いつものように振舞ってはいるが、内心びくびくしながら公園に向かった。
138 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/27(日) 23:56:30.81 ID:Yte9y/az0
自動販売機の近くに行くと、当麻はすでに到着して待っていた。
当麻の横顔を見ると、わたしの心臓は一回大きく鼓動した。
(逃げ出したい!)
足がすくんで上手く前に進めない。
当麻は、わたしたちに気がつくと、こちらを向いて話しかけてきた。
「おう、御坂」
(『御坂』か)
失望の色が顔に現れたのだろうか、当麻がちょっとあわてた様子を見せる。
「久しぶりね。まあ、当麻はわたしなんかに会いたくなかったでしょうけど」
当麻の顔が困惑にゆがむ。
「そんなことねえよ。なんでそんなことを言うんだよ」
139 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/27(日) 23:59:23.99 ID:Yte9y/az0
黒子は短くため息をついた後、当麻に目配せをした。
「それではわたしはここで失礼いたしますの」
「あとはお二人で話してくださいませ」
「え?ちょっとそれ、どういうことよ」
わたしはあせった。
二人きりだなんて聞いてない。
いやな汗が出てくる。
「それでは御機嫌よう」
どこかにテレポートしたのだろう、黒子はスッといなくなった。
140 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/28(月) 00:02:35.84 ID:C18yauLS0
残されたのは当麻とわたし。
どうしていいのかわからない。
当麻が口を開いた。
「なぁ、御坂」
「最近のお前、いったいどうしちゃったんだ?」
他人事のようなセリフにわたしの中で何かが切れた。
「どうしちゃったですって?」
「自分は関係ないと思ってるの?」
「わたしはずっと当麻に振り回されてるんだよ?」
「いきなり告白してきて、あんなことまでしたのに」
「夢の中とこっちの世界とじゃ、態度が違いすぎるじゃない」
「何で、そんな態度でいられるの?」
「夢の中の当麻はどこに行っちゃったの?}
141 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/28(月) 00:05:06.86 ID:C18yauLS0
そんなことを、わたしは一気に捲くし立てた。
最後は涙声になりながら。
当麻はずっと怪訝そうな顔をしていたが、わたしの話が一段落した後、質問してきた。
「夢の中とかこっちの世界とか、一体何なんだ?」
(もうだめだ)
この当麻にとって夢の中の世界は存在しないらしい。
あの当麻とこの当麻は別人なんだ。
「もういい」
そういって走り去ろうとした時、当麻がわたしの腕をつかんだ。
148 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/10/30(水) 17:27:59.96 ID:phaU5mtr0
別人も何もそうだろうに…
美琴のスイーツ脳がどんどん悪夢に侵食されてるなぁ……
150 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/31(木) 00:20:20.90 ID:BhHSt4fQ0
「待てよ、御坂」
「離してよ」
「そうよ、だいたいわたしのこと御坂って呼んでること自体おかしいじゃない」
「夢の中の世界じゃ、美琴って呼ぶくせに」
「夢の世界のことは全て忘れましたとでも言うつもりなの?」
「わたしのこと、頭のおかしい奴とでも思ってるんでしょ、どうせ」
当麻は一瞬困惑した表情になったが、すぐに真顔になって答えた。
「そんなわけねえだろ」
「頭がおかしい奴だなんてこれっぽっちも思っちゃいねぇよ」
「夢の中とかこっちの世界とか、ちゃんと説明してくれって言ってるんだろ」
151 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/31(木) 00:21:44.67 ID:BhHSt4fQ0
当麻の真剣な姿に、最後に賭けてみようと思い一つだけ質問をした。
「当麻、わたしのこと好きって言ってくれたよね」
「でも、この間会った時にはわたしを拒絶した」
「抱きついたわたしを突き放したわよね」
「あれはどうして?どうして夢の中とこっちの世界で全然違う態度を取れるの?」
(お願いせめて何か言い訳をして)
わたしは祈るようにして当麻を見つめる。
(どんな言い訳でも信じるから)
(お願いだからあれは違うんだと言って)
(こっちの世界でも、わたしを好きだと言って)
しかし、当麻から返ってきた言葉は期待していたものとはちょっと違っていた。
「俺、記憶無くしてるから」
当麻が苦しそうに絞り出したのは、そんな言葉だった。
152 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/31(木) 00:24:18.27 ID:BhHSt4fQ0
わたしははっとした。
(そうだ、そうだった、当麻は……)
「御坂は確か俺が記憶なくしてることは知ってるよな」
「これって、記憶喪失じゃなくて記憶破壊らしいんだ」
「俺の脳は欠陥を持ってるようなものなんだよ」
当麻が、苦しそうな顔で話す。
わたしは何てことをしてしまったんだろう……
自責の念が沸いてくる。
「夢の中の世界とかこっちの世界とか言われても正直わかんねぇんだ」
「ひょっとしたら俺の脳みそがおかしいから、そうなってるのかもしれない」
「だから、すまねぇ。俺のせいでお前につらい思いをさせてるみたいで」
「やめて!」
耐えられなくなってわたしは叫んだ。
153 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/31(木) 00:25:57.56 ID:BhHSt4fQ0
「ごめんなさい。当麻が悪いわけじゃない」
「わたし、わたし、知ってたのに」
「当麻が記憶喪失だってこと知ってたのに」
誰もが夢の中とこっちの世界との記憶を共有していると思ったら大間違いだったんだ。
わたしはエレクトロマスターだから、脳の電流も多少ならコントロールできる。だから簡単に夢の世界とこっちとの記憶をお互いに共有できただけなのかもしれない。
それに比べて当麻はどうか。
ただの無能力者だ。しかも幻想殺しという能力を無効化する右手を持っている。
しかも、それだけじゃなくて、一度記憶を破壊されていただなんて。
(わたしが一人で浮かれてただけだったんだ)
154 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/31(木) 00:27:13.39 ID:BhHSt4fQ0
無理なことを当麻に勝手に期待して、勝手に失望して、勝手に落ち込んでいただけだったんだ。
それだけじゃない、当麻にいやな事を思い出させてしまった。
当麻のつらい過去を、突きつけてしまった。このわたしが。
「ごめんなさい!」
わたしは、その場にへたりこんで泣いてしまった。
自分の無神経さに腹が立つ。
こんなこと、他人がしたならわたしは絶対にそいつを許さないだろうに。
「ま、まあ、泣くなよ御坂」
当麻はしゃがみこんでわたしの顔をのぞき込む。
わたしは当麻の顔を見つめた。
当麻の顔は涙で霞んでよく見えないけど、ちょっと赤くなってる気がする。
155 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/31(木) 00:31:02.14 ID:BhHSt4fQ0
「本当にさ」
当麻は肩を持ってわたしを立ち上がらせてくれる。
「俺の記憶のことで、お前が気に病む必要は全然無いんだよ」
そう言って、また当麻の顔がゆがんだ。
何故だろう、当麻のほうが罪悪感を感じているようにも見える。
わたしはたまらずに当麻に抱きついた。
泣き顔を見られないように、顔を胸にうずめる。
「お、おい、御坂」
当麻の心臓がバクバクしているのが聞こえる。
当麻の匂いがする。
160 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/10/31(木) 02:02:10.97 ID:jz+5O/qDO
そうきたか、夢世界との違いを受け入れる気にさえなれば解決しそうだし
162 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/11/01(金) 07:50:36.02 ID:UXyBVITio
夢の世界って美琴だけのものには変わらないんじゃね?
元ネタは機械が励起する各個人の妄想脳内世界だけど
このSSでは機械使ってない人もぶち込まれて覚めると忘れてるわけ?
163 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/11/01(金) 13:45:11.62 ID:fKuA3lU40
>>162
そんなわけない、美琴が夢と現実の境が付かなくなってるだけだろ。
164 :◆vFrOP6Ejc.:2013/11/02(土) 01:06:08.05 ID:Riisiohl0
このSSは、美琴の一人称で書いてます。
なので、美琴が知らないことは一切書かれていません。(美琴視点の描写だけになるので、当たり前ですが。)
というわけで、上条さんや黒子が登場しても、一体どんな気持ちでその言動をしているのかは一切記述してません。あくまでも美琴がどう思ったかです。
書いてく途中で一人称にしたことをちょっと後悔したのですが、こうなったら最後まで美琴の一人称でいくつもりです。
とりあえず、上条さんの気持ちとかについては、ちょっとした設定はあるのですが、それは上条さん視点の話じゃないと書かれない内容になります。
162さんがそう思ったのは、上条さんが美琴の妄想を肯定するかのような発言をしたからなんじゃないかと思います。
美琴と同じ勘違いをしたというのは、ある意味一人称で書いた効果がでてるといえるのかも。
165 :◆vFrOP6Ejc.:2013/11/02(土) 01:10:03.38 ID:Riisiohl0
戸惑いながら当麻の右手がわたしの髪をやさしくなでる。
すごく安らかな気分になる。
(ああ、ずっとここにいたい)
夢の世界がいいなんてウソだ。
なでてくれた当麻の手のひらの感覚は本物(リアル)だ。
夢の世界ではでしょっちゅうあった事のはずなのに、
生まれて初めての感覚を今感じている。
「御坂、すまない」
当麻は一体何を謝っているんだろう。
166 :◆vFrOP6Ejc.:2013/11/02(土) 01:14:30.69 ID:Riisiohl0
何のことか聞こうとしたその時、当麻が話を続けた。
「なあ、御坂」
「お前のいう夢の世界ってのを俺に教えてくれないか?」
「そこでは、俺たちどういう関係なんだ?」
(え?)
夢の中で毎日繰り返したあの日常(?)を思い出して顔が赤くなる。
「え、そ、それを話すの?全部?」
わたしは恥ずかしさで当麻に抱きつく腕に力がこもる。
「え?」
何かを察したのか、当麻の心臓の鼓動はさらに激しくなっていった。
167 :◆vFrOP6Ejc.:2013/11/02(土) 01:16:32.94 ID:Riisiohl0
それから、わたしは当麻に夢の世界の説明をした。
わたし達二人は、恋人同士で、深い仲であったことを、顔を真っ赤にしてやっと話した。
さすがに具体的にどんなことをしたとかは言えなかったけど。
当麻も夢の世界と記憶がつながるようになればわかる話だ。
当麻はびっくりしながら顔を赤くして聞いていた。
「で、お願いがあるんだけど」
話し終わった後、わたしは、やっとの思いで切り出した。
「わたしのこと、美琴って呼んでもらえないかな?」
168 :◆vFrOP6Ejc.:2013/11/02(土) 01:19:04.77 ID:Riisiohl0
わたしの顔はゆでだこみたいになっていたはずだ。
顔が熱い。
顔を上げられない。
「え、あ、いや」
当麻がおろおろしながら答える。
「えぇっと」
『美琴』
「これでどうだ?」
169 :◆vFrOP6Ejc.:2013/11/02(土) 01:20:42.30 ID:Riisiohl0
わたしの心臓がドクンと大きく鼓動した。
これ以上熱くなるわけがないと思ってた顔はもっと熱くなる。
夢の中の当麻との間じゃ当たり前のことなのに、なぜか全然違う。
その一言だけで体が震えるほどの幸福感に包まれていた。
恐る恐る顔を上げて当麻のほうを見る。
当麻は顔を赤くしてそっぽを向いている。
こっちの当麻ともちゃんと恋人になれるはずだ。
夢の世界のでもこっちの世界でも、わたしは当麻を大好きなんだから。
170 :◆vFrOP6Ejc.:2013/11/02(土) 01:21:46.29 ID:Riisiohl0
「今日も夢で当麻と会うわ」
「当麻も早く夢の世界との記憶がつながればいいのにね。」
そう言ってまたわたしは顔を真っ赤にした。
当麻は少し困った顔をしている。
「そうだな」
そう言ってわたしの頭をぽんぽんと叩いたあと、髪をやさしくしくなでる。
「もう、子供扱いしないでよ」
本当はうれしくて仕方なかったのだけど、照れ隠しにそう言って当麻の顔を見上げてみる。
当麻は何か考え込んでいるような難しい顔をしていた。
172 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/11/02(土) 01:47:34.44 ID:Wjqa6sXm0
おつん
美琴の言動も上条さんの言動もハラハラする
173 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/11/02(土) 01:51:47.54 ID:fgytbikco
上条さん視点より黒子視点で読んでみたいかも
174 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/11/02(土) 10:53:19.18 ID:WLTBIkup0
何かとつけて電撃飛ばしてくる女の子が、突然デレたあげくわけのわからない妄想垂れ流しで…
おのれ魔術師!! と上条さんが思っててもおかしくないな。
あと黒子は美琴の様子が変なのに気づいて解決のために奔走してそう。
176 :◆vFrOP6Ejc.:2013/11/02(土) 16:03:12.26 ID:Riisiohl0
寮の部屋に戻ると、黒子がいた。
「今日は本当にありがとうね。黒子」
「わたし、明日から学校に行くわ」
そう声をかけると、黒子は満面の笑みを浮かべた。
「お姉さまぁー」
いつものように抱きついてくる。
「調子に乗るな!」
いつものようにすっとかわしてみせる。
そうして二人で笑いあった。
こんなのいつ以来だろう?
しばらくして黒子の携帯電話が鳴った。
「お姉さま、ちょっと失礼します」
黒子は、電話に出るとそう言ってベランダに出ていった。
177 :◆vFrOP6Ejc.:2013/11/02(土) 16:04:25.01 ID:Riisiohl0
その夜も、わたしは夢見装置をつけて眠りについた。
夢の中の当麻に、こっちの世界の当麻との仲を話してあげよう。
夢の中の当麻とこっちの当麻の記憶がつながるように。
わたしが橋渡しをするんだ。
夢の中で、わたしはいつものように当麻に抱かれる。
いつものように愛されて、いつものように絶頂を迎える。
でも、何か物足りなさを感じていた。
現実味が無い、とでもいうのだろうか。
今朝まで、こっちが本当の世界かもしれないとさえ思っていたのに、どうして?
178 :◆vFrOP6Ejc.:2013/11/02(土) 16:06:41.69 ID:Riisiohl0
「美琴」と呼ばれても。
髪をなでられても。
それはもうとても気持ちいい事なんだけど。
何かが足りないのだ。
今日、あっちの世界の当麻に名前で呼ばれた時や、頭をぽんぽんされた時の、あの息が詰まりそうになるような幸福感、今、確かにここにあると思えるあの充足感が無い。
あっちの世界での出来事を夢の中の当麻に話してみた。
「あっちの世界の上条当麻か」
「俺にはよくわかんねぇや」
わたしはぷっと吹き出ししてしまった。
「わたしが思ってた通りの返事ね」
そう、この世界は何もかもわたしの思った通りなのだ。
181 :◆vFrOP6Ejc.:2013/11/02(土) 19:59:10.71 ID:Riisiohl0
翌日、久しぶりに行った学校の授業が終わるころ、はかったように電話がかかってきた。
ブルブル震えるゲコ太の電話機のディスプレイに表示される名前をみて、わたしは一瞬固まった。
(当麻だ)
思えば、携帯をペア契約しているんだから、いくら話したってお金はかからないというのに、滅多に電話をかけてきてくれることは無い。
そんな当麻からの電話だ。
「まさか、またロンドンの地下鉄の駅の鍵の開け方とかじゃないでしょうね」
そんなことを懐かしく思い出しながら、深呼吸をして受話ボタンを押す。
182 :◆vFrOP6Ejc.:2013/11/02(土) 20:03:42.56 ID:Riisiohl0
「おぅ、みさ、いや、美琴か?」
不器用な当麻らしい。
でも、ちゃんと美琴って呼んでくれた。
「そうよ。携帯電話にかかってんだから美琴ちゃんが出るに決まってんでしょ」
わざと素っ気無い調子で返す。
「今授業が終わったばかりで、これから何しようかって考えてたところだってのに、一体何の用?」
さりげなく、これから何も予定がない事をアピールしてみる。
当麻にはこんなの通じないだろうけど。
183 :◆vFrOP6Ejc.:2013/11/02(土) 20:07:18.51 ID:Riisiohl0
「いや、用ってほどのものがあるわけじゃないんだけどさ」
「電話かけちゃダメだったか?」
「ダメじゃない!」
即答する。
ダメなわけがない。
わたしは、今こんなにどきどきしてる。
特に用もないのにわたしに電話してくれた。それだけのことがすごくうれしい。
なのに、なんでこんな素っ気無い喋り方してるんだろう、わたし。
「全然、ぜんっぜんいいのよ、電話してきても」
「わたし達の間では電話代かからないんだし」
「その意味では、ずっと電話繋ぎっぱなしにしててもいいくらいね」
「いや、それはそれで困るってのはわかってるんだけど、わたしとしてはそのくらいでもいいかなって思ってるってことよ」
184 :◆vFrOP6Ejc.:2013/11/02(土) 20:10:50.41 ID:Riisiohl0
わたしは、一体何を言ってるんだろう。
電話してくれたことがうれしいと伝えたいだけなのに。
ちゃんとした言葉が出てこない。
「はは、美琴らしいな」
電話の向うで当麻が笑う。
「で、結局何よ」
何でこんなむっとした口調で答えてしまうんだろう?
「いや、本当にこれといった用があるわけじゃないんだけどさ」
「もし、暇だったらこれから会えないかなと思っただけなんだ」
「あ、忙しいんだったらいいんだぜ、本当に。今日じゃなきゃいけないってわけでもないし」
「忙しくない!」
185 :◆vFrOP6Ejc.:2013/11/02(土) 20:15:08.48 ID:Riisiohl0
最初に予定が無いアピールをしたのはやはり当麻には通じていなかったようだ。
(何が「これといった用はない」よ)
「会えないか」なんて、これといった用どころじゃないでしょうよ。
たとえ誰かと約束があったとしても、相手に謝り倒してでもそっちをキャンセルするっての。
「あ、それじゃ、どっかで待ち合わせようぜ」
「どこがいいかな」
そんなことも決めてなかったのか、当麻は。
「待ち合わせなら、あの公園の自動販売機のところがいいわ」
わたしが提案する。
あそこはわたし達にとって特別な場所だから。
186 :◆vFrOP6Ejc.:2013/11/02(土) 20:19:09.71 ID:Riisiohl0
公園に着いて、息を整えながら当麻を待つ。
これから会おうって言っただけで、ちゃんと時間を決めてはいなかった。
ここに来るまでの道のりを、わたしはなぜかずっと走っていたのだ。
ベンチに腰掛けて当麻を待つ。
なんだろう、このウキウキ感は。
人を待っているのがこんなに心地いいなんて、知らなかった。
しばらくして当麻がやってくる姿が見えた。
自然と顔がほころんでくる。
しかし、
「遅い!」
わたしの口から出てきたのは、そんな言葉だった。
187 :◆vFrOP6Ejc.:2013/11/02(土) 20:21:11.04 ID:Riisiohl0
「えええっ!上条さんの学校からだとこのくらいかかりますよ?」
当麻は、責められたことに不服のようだ。
「わたしに会えるってんだから、全力疾走ぐらいしてくるのがスジってもんでしょ!」
「ええええええええ!」
当麻はあと10数メートルを、あわてて走ってくる。
188 :◆vFrOP6Ejc.:2013/11/02(土) 20:25:51.20 ID:Riisiohl0
恋人同士の会話のような気がして、自然と笑みが浮かんでくる。
わたしは上機嫌で当麻に近づくと左腕に抱きついた。
「な、何をしているんでせうか?」
「別にいいでしょ、このくらい」
わたしは離れる気などない。
当麻の顔を見上げると、ちょっと赤くなってるみたいだ。
「美琴、お前にちょっと話があるんだけど」
「な、なあに?」
わたしは、何を言ってくれるのか、期待して待つ。
「ズバリ聞くけど」
「お前が言ってた夢の世界って、機械を使って見た夢のことか?」
190 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/11/02(土) 21:04:58.13 ID:YboJEfHso
上条さん直球過ぎwwww
192 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/11/03(日) 06:02:15.92 ID:KvUZMTUz0
美琴が息してない…
195 :◆vFrOP6Ejc.:2013/11/03(日) 20:56:45.16 ID:eF5J3BR30
何でそんなことを知っているんだろう?
当麻もあの機械を使うようになって夢の中の世界と記憶が共有できるようになったってこと?
いや、違う。当麻はちょっと怖い顔をしている。
「そんな怖い顔しないでよ」
「あ、すまねぇ」
当麻にはちゃんと話そう、そう思ってわたしは喋りだした。
「確かに夢見装置をつけて見てる夢だけど、それがどうしたの?」
「でも、巷でうわさのあの機械じゃないわよ?」
わたしは鞄から夢見装置を取り出して見せた。
196 :◆vFrOP6Ejc.:2013/11/03(日) 21:01:29.61 ID:eF5J3BR30
「それを基に、わたしが能力研究の一環で作った、美琴ちゃんスペシャルなんだから」
ちょっとおどけて言ってみる。
当麻はじっと私を見つめている。
目は笑っていない。
「そうだ、当麻もそれ使うといいよ、そうしたら夢の中の世界と記憶がつながるから」
「あたし、作れるから、早速もう一台作るよ」
「これつけて、一緒に同じ夢の世界にいこうよ」
「いきなりだと、刺激が強すぎるかもよぉ」
わたしはあわてて捲くし立てた。
197 :◆vFrOP6Ejc.:2013/11/03(日) 21:09:26.11 ID:eF5J3BR30
当麻の顔がまた厳しくなる。
「お前、意味がわかって言ってんのか」
「何怒ってんのよ?」
当麻の意図がわからない。
「お前、夢と現実が一緒になって、区別できなくなってるんじゃねえか?」
198 :◆vFrOP6Ejc.:2013/11/03(日) 21:14:03.89 ID:eF5J3BR30
当麻の言葉にわたしは懸命に反論する。
「どういうことよ」
「夢の世界も、こっちの世界も、どっちも現実でしょ?」
「当麻も、夢の世界と繋がればいいんだよ、そうしたら全部わかる」
「これ、もう一つ作るよ。だから」
「あ、そうだ、これ持って帰っていいよ、今日から使ってみて」
「あたしは、すぐに新しいの作ってそれで・・・・・・
「夢はただの夢だ!」
「幻想でしかないんだよ。美琴、お前もわかってるんだろ」
「当麻は、記憶が無いから」
「記憶が破壊されちゃってるから、夢の中と記憶を共有することが難しいのよ」
「自分でそう言ってたじゃない」
「でも、この装置があればきっと大丈夫」
「夢の中の当麻は、幻想なんかじゃないわよ」
「だって・・・・・・
「美琴!」
当麻の声で私の話はさえぎられた。
「お前も本当はわかってるんだろう?」
199 :◆vFrOP6Ejc.:2013/11/03(日) 21:19:03.45 ID:eF5J3BR30
当麻が続ける
「昨日、俺が記憶が無いことと、夢の世界と繋がらないことを結びつけて話したのは、悪かった」
「そうすれば、お前が俺の話に耳を傾けてくれるかもしれないと思ったからなんだ」
「結果的に騙すことになっちまった。そのことはすまないと思ってる」
「昨日、お前が泣きながら俺に謝ってきた時、俺も本当に罪悪感でつらかったんだ」
「だけど、夢は夢でしかねえってことにちゃんと向き合わなきゃいけねえんだ」
当麻の声が遠くで聞こえる。
(ああ、もうだめだ)
(なんで?なんでそうなの?)
(こっちの世界はそうよね。何でもわたしの思った通りになるわけじゃない)
200 :◆vFrOP6Ejc.:2013/11/03(日) 21:28:24.31 ID:eF5J3BR30
本当は、わたしも気付いていた。
こっちの世界に比べて、夢の中は現実感が乏しい。
今までそんなこと考えたことも無かったけど、昨日、当麻と会って話してから、何かが変わったのだ。
こっちの当麻と話をした。
こっちの当麻に「美琴」と呼ばれた。
こっちの当麻に頭をなでられた。
その後に見た夢の中の世界は、色褪せていた。
201 :◆vFrOP6Ejc.:2013/11/03(日) 21:34:35.66 ID:eF5J3BR30
本当は、ずっとわかっていたのだ。
夢の中の世界は自分の中にしかないってことくらい。
夢の中の当麻は、ただわたしの作り上げた幻想で、こっちの世界の当麻とは全く関係ないってことくらい。
こっちの世界の当麻は、わたしの彼氏ではないってことくらい。
そう、夢の中の世界は、ただのわたしの願望に過ぎないってことくらい。
「な、何を言ってるのかわからないわ」
声が震えている。
認めたくない現実だけど、とうとう認めければいけない時が来てしまった。
(もう、どっちの世界でも当麻には会えないわね)
(あと、黒子にも)
202 :◆vFrOP6Ejc.:2013/11/03(日) 21:37:59.11 ID:eF5J3BR30
この二人は、わたしの様子がおかしいということで、連絡を取っていたんだ。
そして、わたしを現実の世界に連れ戻すためにいろいろ考えて行動してくれたに違いない。
(ありがたいと言うべきなのよね)
でも、わたしはとても惨めな気分だった。
勝手に両想いだと思い込んで、
勝手に恋人気取りになって、
勝手にはしゃいで、
(コイツはお情けで付き合ってくれてたのよね。)
もう、当麻とは呼べないな。そう思った。
203 :◆vFrOP6Ejc.:2013/11/03(日) 21:54:46.99 ID:eF5J3BR30
「おい、美琴、どうしたんだ」
わたしがずっと黙っていたからだろうか、アイツが声をかけてきた。
「あ、ああ」
「アンタの言ってることはわかったわよ」
アイツは、はっとした顔でわたしを見る。
「先に帰るわね、もう話すこともないし」
「あ、あと、アンタももう無理してわたしのこと美琴って呼ばなくてもいいわよ」
「前のように、御坂でも、ビリビリでも」
(もう、会うことも無いから、ビリビリとすら呼んでもらえないんだけどね)
204 :◆vFrOP6Ejc.:2013/11/03(日) 22:00:43.73 ID:eF5J3BR30
アイツは、黙ってわたしの言うことを聞いている。
わたしは、涙が零れ落ちる前に駆け出すことにした。
(こっちの世界じゃ、ここからは駆け出すのが定番なのよね)
「おい、美琴、待てよ!」
後ろからアイツの声が聞こえる。
(呼び方、もうクセになってるのかしらね)
何か複雑な気分だ。
207 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/11/04(月) 00:55:51.55 ID:3R950JHT0
ここからが肝心だ
206 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/11/04(月) 00:09:02.37 ID:fPEDjjMP0
上条さんならやってくれるはず
208 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/11/04(月) 01:00:18.14 ID:rH+/3sER0
上条さんまかせたぞ
209 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/11/04(月) 03:06:28.59 ID:7YwspYbao
漢を見せろ
212 :◆vFrOP6Ejc.:2013/11/04(月) 20:32:39.14 ID:nt5je7820
気がつくと、わたしは鉄橋の上にいた。
(ここは、妹達の時、アイツに見つけられた場所よね)
わたしは、絶望すると、ここに来るくせがあるのかもしれない。
(あの時、アイツが来なかったらわたしは死んでたのよね)
(もう、わたしにとってアイツはいないようなものなのに)
(なんでわたしは生きてるんだっけ?)
夢見装置を持っていないことに気付く。
アイツに会った時に鞄から出したままだった。
きっとアイツから、黒子に渡って、風紀委員(ジャッジメント)か警備員(アンチスキル)がちゃんと処分してくれるだろう。
(もういらないわよね。夢見る必用も無いし)
213 :◆vFrOP6Ejc.:2013/11/04(月) 20:38:31.56 ID:nt5je7820
「どうしてこんな事になっちゃったのかなぁ?」
わたしはただアイツといたかっただけなのに。
「たすけてよ……」
その時、向うから足音が聞こえてきた。
わたしは恐る恐るその足音のする方を向く。
「何やってんだよ、お前」
やはりそこにはアイツがいた。
「アンタに言われる筋合いなんてないんだけど」
(何よ、こっちのほうがよっぽど夢みたいな展開じゃない)
まるで三文芝居だ。しかし、そうとなったらもう少し続けてみよう。
214 :◆vFrOP6Ejc.:2013/11/04(月) 20:47:13.48 ID:nt5je7820
「わたしが自分の作った機械で、夢と現実の区別もつかなくなった哀れな女だってわかってるんでしょ」
「で、アンタはわたしが心配だと思ったの?それとも許せないと思ったの?」
「心配したに決まってんだろ!」
即答だった。
あの時よりも力強い声で。
心の底から何かが湧き上がってくる。
しかし、所詮は三文芝居だ、こんな茶番をずっと続けるわけにはいかない。
215 :◆vFrOP6Ejc.:2013/11/04(月) 20:56:20.65 ID:nt5je7820
「憶えてたの?このやりとり」
「でも、もういいのよ。泣き叫ぶのを聞いて駆けつけてくれるヒーローにならなくても」
「いや、そういうわけにはいかねぇんだ」
「『都合のいいヒーローになって、御坂美琴とその周りの世界を守る』 名前も知らないキザ野郎との約束なんだ」
ああ、あの恋人ごっこの時のやつだ。
「海原光貴 との約束なんて、忘れちゃいなさいよ」
「そんなこと、もうどうでもいいでしょ」
216 :◆vFrOP6Ejc.:2013/11/04(月) 21:04:51.27 ID:nt5je7820
「はは、そうだな」
アイツが答える。
「俺も実はそいつとの約束を守る為に美琴を追いかけてきたってわけじゃないんだ」
「だから、もう無理に美琴って呼ばなくてもいいっつってんでしょ!」
声が自然と大きくなる。
お情けで彼氏のふりをしてくれなくてもいい。
自分が惨めになるだけだ。
「恋人ごっこは、とっくに終わったのよ」
「もうお情けでわたしの妄想に付き合ってくれなくてもいいんだよ」
「勝手なこと言ってんじゃねぇよ!」
今度はアイツが大声を出す。
217 :◆vFrOP6Ejc.:2013/11/04(月) 21:09:26.60 ID:nt5je7820
「恋人ごっこは終わっただって?そんなことやってたつもりはねえよ」
「お情けで妄想に付き合ってたつもりもねぇ」
「お前のことを美琴って呼びたいからそう呼んでんだ」
言ってることの意味がしばし理解できなかった。
「確かに最初は、白井に相談されて、協力するってとこから始まったよ」
「俺もお前の様子がおかしいと思ってたしな」
「でもなぁ、俺のことを一途に思ってくれるお前にときめいちまったんだよ」
「途中からは、俺の意思で、お前の彼氏をやってたんだよ」
「いいか、何回も言わないからよく聞け」
「俺はお前が好きだ」
「美琴!この現実の世界で、俺の彼女になってくれ!」
218 :◆vFrOP6Ejc.:2013/11/04(月) 21:16:27.26 ID:nt5je7820
わたしの幻想は、このときにぶち殺されたのかも知れない。
夢の世界なんてただの幻想だ。
夢の世界のアイツは何度もわたしに「好きだ」って言ってくれた。
そのたびにわたしはどきどきして幸せな気分になった。
と思っていた。
あの時の気分を「幸せな気分」と言うのなら、今のわたしの気分は何と表現すればいいんだろう。
息が詰まってしまって、
心臓が止まっちゃうんじゃないかとさえ思えて、
すごく苦しいこの感覚。
でも、全身がうれしさに包まれている。
「あ、あ、」
何か言いたいのに、
言いたいことはいっぱいあるはずなのに、
声が出ない。
219 :◆vFrOP6Ejc.:2013/11/04(月) 21:20:48.33 ID:nt5je7820
わたしのその様子をみて、アイツの顔に不安そうな影がよぎる。
「あ、美琴、その、さ」
「いや、その、勢いで言っちまったけど、あの、さ、本気なんだ」
「え、っと、さ」
急にアイツの言葉の歯切れが悪くなった。
(まさかコイツ、わたしが固まっていることを誤解してる?)
(ここで、「ちょっと考えさせて」とかって言うのも面白いかもしれないわね)
(そしたらこっちが優位に立てるかも)
(ま、そこまでしないにしても、「仕方ないわねぇ、アンタがそこまで言うなら」って感じかしら)
そんなことを考えていたら、やっと声が出た。
「わたしも、大好きだよ!」
220 :◆vFrOP6Ejc.:2013/11/04(月) 21:27:15.32 ID:nt5je7820
もう夢なんかいらない。
現実のアイツがそばにいるから。
わたしは駆け寄って、抱きついた。
「ねえ」
わたしは話しかける。
「なんだ?」
「キスして」
「な、な、いきなりなんてことをいうんでせうか、この子は!」
アイツがあせっている。
「何よ、アンタだって興味が無いわけじゃないでしょうよ」
「いや、でも、ですね、美琴さん」
「いいから!」
わたしは目を瞑って、口を少し突き出す。
221 :◆vFrOP6Ejc.:2013/11/04(月) 21:30:43.29 ID:nt5je7820
「じゃ、じゃあ」
「いくぞ」
しばらくして、当麻の唇がわたしの唇に触れてくる感覚がした。
ああ、これが現実のキスなんだ。
夢の世界であれほどしたキスとは全然違う。
夢の世界のアイツの、手馴れた感じのキスじゃない、何か不器用なキス。
でも、本物を知ってしまうと、もう偽物なんかに惑わされない。
ただ、唇が少し触れてるだけなのに。
客観的に説明すると、「ちょっと柔らかくて暖かいものが唇に触れている」そんなもんなのに。
体が震えて、涙まで出てきた。
王子様のキスで目が覚めるって、こういうことなんだろう。
夢が夢でしかないことが、はっきりとわかった。
もう、夢の世界になんて行こうと思わない。心の底からそう思った。
わたしの幻想が、完全に息の根を止められた瞬間だった。
222 :◆vFrOP6Ejc.:2013/11/04(月) 21:35:22.93 ID:nt5je7820
「アンタのキス、不器用ね」
唇を話した後、体を離し、軽く涙を拭きながら率直な感想を言った。
「なっ!」
「しかたねぇだろ、キスなんて初めてなんだから!」
アイツが赤くなって怒る。
「ん?」
「美琴、ま、まさか、お前」
「そんなわけないでしょ!」
真っ赤になって反論する。
「でも、お前、今」
「アンタとしかしないわよ!絶対に!」
そう言ってまた抱きついてやった。
223 :◆vFrOP6Ejc.:2013/11/04(月) 21:40:47.59 ID:nt5je7820
とりあえず、話としてはここまでです。
強引な展開で、ばたばたでしたが、とりあえずハッピーエンドということで。
あとで、エピローグみたいなのを投下します。
224 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/11/04(月) 22:02:07.00 ID:1wp6NUQ3o
乙でした!!!
225 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/11/04(月) 22:32:24.60 ID:APLtF2CT0
乙
バッドにならなくて良かった
この終わり方は最初の構想どおりなの?
226 :◆vFrOP6Ejc.:2013/11/04(月) 23:13:08.86 ID:nt5je7820
この終わり方は、構想どおりかといえば、その通りですね。
最初からちゃんとストーリーを考えていたわけじゃないのですが、自分は美琴の味方なので、バッドエンドにするという発想は全く無かったです。
書きたかったのはツンデレの美琴です。
他の人に迫られるときっぱりと拒絶するのに、上条さん相手だと、何だかんだ自分で理由をつけて受け入れてしまうという最初の海原のエピソードですね。
あとは、この手の話ではありがちのオチが頭に浮かんでただけです。
では、これからそのありがちのオチにつながるエピローグを何スレか投下して終わりにします。
227 :◆vFrOP6Ejc.:2013/11/04(月) 23:15:27.95 ID:nt5je7820
こうしてわたしたちは、恋人になった。
夢見装置はもう手元に無いので、あの夢を見ることも無い。
あったとしても使おうとは思わないだろう。
もう夢に頼る必要は無いんだから。
アイツとちゃんと付き合うようになって2週間くらいになるけど、ちゃんと身の丈にあったお付き合いってのをしている。
たまに軽いキスはしてくれるけど、それ以上のことはない。
わたしとしては、以前のあの夢の中の経験もあるし、いつでも覚悟はできてるんだけど。
とは言っても、本当はちょっと怖い気もしている。
あんなに気持ちいいと思っていた夢の中でのキスは、わたしにとって現実のアイツの不器用なキスの足元にも及ばないものだった。
現実にアイツに抱かれたら、わたしはどうなってしまうんだろう?
228 :◆vFrOP6Ejc.:2013/11/04(月) 23:19:17.72 ID:nt5je7820
でも、アイツは、『中学生に手を出したすごい人』にはなれないそうだ。
ぜんっぜん意味がわからない。
あーあ、早く卒業して高校生になりたい。
今から飛び級の試験受けてやろうかしら。
(でも、最近アイツも気が変わってきてる気がするのよね)
(わたしを見る目がちょっと違う気がするもの)
(健康な高校生男子なんだから、当然のことだしね)
わたしだって、健康な思春期の普通の女の子なんだよ?
229 :◆vFrOP6Ejc.:2013/11/04(月) 23:22:05.57 ID:nt5je7820
あ、アイツがやってきた。
アイツと会うときは、いつもこの公園で待ち合わせるようになっている。
ここは思い出がいっぱい詰まった場所だから。
「おう、美琴、お前いつも早くから来てるよな」
「わかってんなら、アンタも早く来なさいよ!」
こんな会話から始まる時間がとても楽しい。
二人でベンチに腰掛けて話をする。
「そういえば、美琴さ」
「何で俺のことアンタって呼ぶように戻ったんだ?」
「え?」
「だって」
わたしは、赤くなって俯く。
「恥ずかしいじゃない」
230 :◆vFrOP6Ejc.:2013/11/04(月) 23:25:29.31 ID:nt5je7820
アイツの目が点になってる。
(あれ?あきれてる?)
「せっかくちゃんと付き合っるわけだから、こっちではアンタって呼ばれることがちょっと寂しいわけですよ、上条さんとしては」
へぇ、コイツこんなこと言うやつだったんだ。
231 :◆vFrOP6Ejc.:2013/11/04(月) 23:26:48.01 ID:nt5je7820
「だからさ」
アイツがわたしの方に寄って来る。
「そろそろさ」
わたしの横にピタっと体をくっつけて、腰に手をまわしてくる。
それから、見たことのない笑顔でわたしに囁いた。
「こっちの世界でもいいんじゃねぇかな、夢の中の世界みたいにさ」
232 :◆vFrOP6Ejc.:2013/11/04(月) 23:28:16.38 ID:nt5je7820
以上。
これで本当におしまいです。
最後まで付き合ってくれてありがとうございました。
233 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/11/04(月) 23:32:09.59 ID:RBikHGSDO
>>1への乙と、二人への祝福を
234 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/11/04(月) 23:44:03.98 ID:cyqmuaOT0
美琴には優しいのに、俺達にはハラハラドキドキさせるどSの>>1に乙!!
235 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/11/05(火) 00:00:31.78 ID:YwBQ9ZL90
乙
いい終わり方だった
また是非書いて欲しい
236 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/11/05(火) 00:10:16.94 ID:D+868K5S0
王子様がキスして目が覚めてよかった…現実で幸せになれよ
>>1のドS!おつ!
239 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/11/05(火) 00:32:15.42 ID:24Q6h2zdo
よかった!
二人が幸せになれてホントよかったでぇ…
240 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/11/05(火) 06:10:13.10 ID:nmP2qbfgo
乙!美琴が幸せになって良かった
241 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/11/05(火) 10:07:11.44 ID:elyOPcXFo
乙です!美琴が幸せで良かった
面白かったです!
242 :◆vFrOP6Ejc.:2013/11/10(日) 10:16:16.14 ID:B0f+Rl/D0
読んでくれた方、ありがとうございました。
HTML化の依頼を出しました。
また、いいネタを思いついたら書こうと思いますので、見かけたらまた読んでみてください。
「昨日はいなかったよな、どうしたんだ?」
「美琴に会えなかったからさびしかったんだぜ。」
わたしの顔に見る見る生気が戻ってくるのがわかる。
やっと体中を血液がめぐり始めた気がする。
目に涙があふれてきた。
眠る前に零したのとは全然違う種類の涙だ。
「ばかぁ」
わたしは、そう叫ぶと駆け出して当麻にしがみついていた。
84 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/26(土) 20:22:58.30 ID:VIFJr8XP0
「わたしのほうがさびしかったわよ」
「当麻に嫌われちゃったと思って」
「わたしがどんな気持ちで今までいたと思ってるのよ」
わがままで勝手なことを言っているのはわかっている。
でも、夢の中の世界では、当麻は、わたしのわがままとか勝手とかを全部受け止めてくれる。
「さびしい思いをさせてごめんな」
「でも、昨日も来てくれたら、そんな思いさせなかったんだぜ」
そう言ってわたしを抱きしめてくれた。
(あっちの世界の当麻と、この当麻とはどうなっているんだろう?)
(わたしはあっちでもこっちでも同じわたしなんだから、当麻だって同じはずだよね?)
そんな疑問は、抱き締められた瞬間にどうでもよくなってしまった。
85 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/26(土) 20:24:58.47 ID:VIFJr8XP0
「ねえ、わたしのこと好き?」
「当たり前だろ」
「じゃあ、ちゃんと言って」
これじゃまるでバカップルだ。
当麻は少し体を離し、真顔になってわたしの目を見つめる。
「俺は美琴が好きだ」
体が熱くなってくる。なんとも言えない感覚が体中を包む。
ああ、もうバカップルでいいや。
(なんでもっと早くこっちに来なかったんだろう)
(こっちの世界では、当麻はいつだってわたしを好きでいてくれるのに)
88 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/26(土) 20:31:28.39 ID:VIFJr8XP0
「ねぇ、キスして」
わたしってこんな声出せるんだ。自分でもびっくりするような媚びた声でキスをねだる。
当麻は黙って唇を重ねてくる。
わたしは目を閉じて、当麻の唇を受け入れる。
舌を入れたのはわたしのほうからだった。
唇だけじゃ、とても我慢できない。
ねっとりと、お互いに吸い尽くすような濃厚なキスをした。
とろけるような感覚だった。
(あくまで、わたしの想像上の感覚なんだけどね)
そんな覚めた考えはすぐに打ち消される。
今はこの感覚に溺れたい。
89 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/26(土) 20:34:20.02 ID:VIFJr8XP0
どのくらいキスをしてただろうか。
唇を離してまた見詰め合う。
「ねえ、して?」
また甘い媚びた声でねだる。
わたしは、再び当麻に抱き寄せられるとそのまま押し倒された。
激しいキスをしながら、当麻に体中をまさぐられる。
(あ、もっと)
当麻にされている。
その事実だけでイってしまうんじゃないかと思った。
わたしの体は、当麻になら、もう、どこをどうされても感じてしまうようにできている。
「ん、あぁぁ、い、い、いい。ん、ん、んんっ」
漏れてくる声を必死で抑える。
あっちの世界では黒子が部屋に戻っているかもしれない。大きな声は出せないのだ。
90 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/26(土) 20:36:33.87 ID:VIFJr8XP0
しかし、体は当麻を求めている。
まるで、さかりのついたメス猫だ。
当麻が欲しくてたまらない。
「ねぇ、ねぇ、もっと激しく」
「当麻のすきにしていいから」
「わたしを犯して」
「服なんか破いちゃっていいから」
「わたしをめちゃくちゃにして」
自分がこんなことを言うなんて信じられない。
そんな、冷静な自分がどこかにいる。
(そうよ、これがわたしの本性なのよ)
(今、当麻と一緒にいる)
(この瞬間のために生きてるのよ)
冷静な自分にそう言ってやった。
92 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/10/26(土) 23:03:22.65 ID:OiuHorOE0
美琴は救われますか…?
95 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/26(土) 23:42:24.54 ID:VIFJr8XP0
当麻はわたしのリクエストに答えるように荒々しくわたしを求めてくる。
ブラウスが引き裂かれ、スポーツブラは乱暴にずりあげられる。
こぼれ出た両胸は荒々しく揉みしだかれる。
「んぁ、ぁあ、ああ、あん、あぁん、いい、いいぃ」
はしたない声が出てくる。
当麻は、激しくも揉みしだいていた手を少し休め、左胸をやさしく揉みほぐし始める。
右の胸に当麻の顔が近づいてくる。
(あぁ、はやく、ねぇ、もう)
じれったい。
どきどきしながら、期待して待っている。
96 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/26(土) 23:48:19.19 ID:VIFJr8XP0
程なく、右の乳首に軽くキスされる。
舌で軽くつつかれる。
「あぁっ」
もうそれだけで高みに上りそうになる。
乳首が痛いほど尖っているのがわかる。
当麻がしてくれるどんな刺激も逃すまいと、これ以上ないくらい敏感になっている。
乳首を舌で転がされる。
「んぁあっ!」
「ぅ、ぃ、いぃ、いぃよ、あぁん、はぁあん」
声を我慢するなんてできない。
当麻が歯で乳首を軽く噛んだ。
「ああああああああぁぁ!!!」
97 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/26(土) 23:52:31.80 ID:VIFJr8XP0
(あれ?胸だけでイっちゃった?)
(まだまだこれからなのに?)
体が宙に浮いてそのまま戻ってこない。
なのに体は貪欲だ。このくらいじゃ満足できない。
「や、いや、やめちゃいや、もっと、もっと続けて。」
ガクガクした体でうわごとのようにつぶやいている。
(乳首が千切れるくらい噛んで欲しい。)
そんなことされたら大変なことになることはわかっている。でも、本当にそう思った。
最初の波が去った後も、まだ物足りない気持ちでいっぱいだった。
今日は、当麻といっぱいするんだ。
わたしをさびしい気持ちにさせたんだから、そのお詫びに、いっぱい可愛がってもらうんだ。
「ねぇ、当麻。下のほうも、ね、して?」
98 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/26(土) 23:56:29.69 ID:VIFJr8XP0
わたしのあそこはもうすごいことになっている。
ショーツだけじゃなく短パンにもしみが出来てるに違いない。
(いや、スカートも濡れてるかも)
「ねえ、はやく、脱がして」
「美琴はえっちだなぁ」
当麻はわたしに軽くキスをした後、太腿のあたりを撫で回しながらそう言う。
「そう、そうよ、えっちなの」
「だから、もう、はやく、ねぇ、もう」
駄々をこねるようにおねだりをすると、当麻の手が短パンにかかった。
短パンのボタンをはずすとそのまま膝の辺りまでずり下げられる。
わたしは足を動かして、右足を短パンから抜き出した。
短パンは左足首あたりに絡まっている。
続いて、湿ってぐっしょりしたショーツも膝の辺りまで下げられる。
99 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/27(日) 00:02:42.37 ID:Yte9y/az0
当麻の手が、ゆっくりわたしのその部分に伸びてくる。
(はやく、はやく、はやく、はやく、はやく、はやく、はやく、はやく、はやく、はやく、はやく、はやく、はやく、はやく、はやく、はやく)
じれったい。待ちきれない。
わたしの体はとっくに準備できているのに。
「はやく触ってぇ」
わたしの足は、当麻が触りやすいように自然と開いていく。
思い切り足を開いて、そこをかき回して欲しい気分だ。
しかし、膝にあるショーツのせいで思うように足が開かない。
もどかしい。
100 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/27(日) 00:04:06.31 ID:Yte9y/az0
「ねえ、ショーツ」
「ショーツ?何のことだ?」
当麻がとぼける。
「だからぁ」
わたしはいやらしく腰を振りながら答える。
「ショーツってこのパンツのことか?」
そのとおりだ。
でも、今時女の子の下着をパンツって言わないよね。
101 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/27(日) 00:12:27.70 ID:Yte9y/az0
(でも当麻らしくっていいかも。)
そんなことを考えながら、もう我慢できないわたしは答える。
「そう、そう、だから、その、パンツ、脱がせて」
膝にあったショーツから、右足だけが引き抜かれる。
「ねぇ、ちゃんと脱がせてよぉ」
「服を脱がずにってのがいいんじゃないのか?」
当麻はそう言うと、少し離れてわたしの体をじっくりと眺め始めた。
102 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/27(日) 00:18:44.08 ID:Yte9y/az0
今のわたしはひどい格好だ。
ブラウスは引きちぎられて破れている。
ブラは上に押し上げられ、その役目を果たしていない。
おかげで両胸ははだけられ、痛いほど硬くなっている乳首が見える。
腰の辺りには、湿っぽくなったスカートがまとわりついている。
大事なところを隠すものは何も無い。
右足はルーズソックスだけが膝下にある。
左足は、膝にショーツ、足首にはルーズソックスの上に短パンが絡み付いている。
わたしは急に恥ずかしくなってきた。
103 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/27(日) 00:21:34.08 ID:Yte9y/az0
「やだ、だめ、見ないで」
あわてて両手で胸を隠し、体を丸めて全体を隠そうとする。
「隠しちゃダメだ」
当麻の声がする。
「美琴の体を見たい」
「かわいい美琴の姿をちゃんと見たいんだ」
「俺に、全てを見せてくれないか」
そんなことを言われちゃったら断れるわけ無いじゃない。
わたしは、こくりとうなずいた。
104 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/27(日) 00:28:11.05 ID:Yte9y/az0
丸めていた体を戻し、胸を隠していた腕をゆっくり開いた。
「綺麗だよ、美琴」
顔がかぁっと熱くなる。
きっと今わたしの顔は真っ赤だ。
綺麗だと言われて恥ずかしくてうれしくて、有頂天になってる。
「ねえ、見て。わたしをしっかり見て」
なんてこと言ってるんだろう、わたしは。
105 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/27(日) 00:36:09.28 ID:Yte9y/az0
当麻に仰向けになったわたしの体をじっくりと見られる。
視姦というやつだろうか、触れられてもいないのにわたしの体は反応している。
胸もあそこも、もどかしくて仕方ない。
「ねぇ、ねぇ、やっぱり」
「見てるだけじゃなくて、ねぇ」
「もう、もう、はやく、はやくぅ」
我慢できずにそう言うと、当麻はわたしの膝を持ち上げ大きく足を広げられた。
「きゃっ、やっ」
当麻の顔がわたしのあそこに近づいてくる。
「え?え?そこは、ぁ、あ、だ、あぁっ」
当麻がわたしのあそこにキスしてきた。
106 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/27(日) 00:40:14.44 ID:Yte9y/az0
「はぁあぁっ」
何て声をだしてるんだろう、わたし。
すごく恥ずかしいのに、押し寄せてくる快感に耐えられない。
下のほうからぺちゃぺちゃと、いやらしい音がしている。
その音を聞きながら、わたしはどんどん興奮してくる。
当麻はそのまま手を上に伸ばし、胸を触ってくる。
「ん、んん、あ、あん、ぅ、あ」
当麻の舌と手の動きに合わせてわたしの口から声が漏れる。
107 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/27(日) 00:41:43.94 ID:Yte9y/az0
当麻は右手をわたしの胸を揉んだまま、左手をさらに伸ばしてわたしの口に触れてきた。
「ん、ぅん、あ」
軽く開いたわたしの口に、当麻の指が触れる。
ちゅぱちゅぱと、指を吸う音がする。
わたしは夢中で当麻の指をしゃぶっていた。
どんどん高みに上っていく。
当麻の指がわたしの口から離れた。わたしの涎まみれの指は、わたしの耳を優しく愛撫する。
「ああ、ああ、ああ、い、いく、イくぅぅ」
わたしは2度目の絶頂に達した。
108 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/27(日) 00:44:32.70 ID:Yte9y/az0
2度目の波が去った後もわたしの欲望はおさまらない。
「ねぇ、今度はちゃんとして欲しいな」
そういってわたしは体中にまとわりついた服を全て脱いだ。
当麻も服を脱ぎ二人とも全裸になった。
「ねえ、今度はわたしがしてあげる」
そういうとわたしは当麻を押し倒した。
「お、おい、何するんだよ」
当麻が驚いた表情をする。
「わたしばっかり気持ちよくなっちゃったから」
「今度は当麻がわたしで気持ちよくなって」
そう言ってわたしは軽くキスをすると、当麻の股間に手を伸ばした。
109 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/27(日) 00:47:17.19 ID:Yte9y/az0
「これ、どうすればいいの?」
「いや、それは。。。」
当麻が口ごもっている。
わたしは、体を当麻の下半身のほうに動かしてそれにキスした。
「うっ」
当麻が声を出す。
(気持ちいいのかな?)
わたしは思い切ってそれを口にくわえた。
「美、美琴、おまっ」
何か言っている当麻にかまわずわたしは続ける。
歯を当てないように気をつけて、舌先で使ってちろちろと舐めてみたり、ねっとりと舌全体で舐めまわしてみる。
こんなかんじでいいのかしら?
「お、おい、もう」
当麻が何か言っている。
わたしはというと上手く息継ぎが出来なくて、苦しくなってきている。
ちょっと口を離して息を吸おうとした。
110 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/27(日) 00:48:23.30 ID:Yte9y/az0
その時、当麻が体を起こし、わたしは逆に押し倒されてしまった。
「美琴、もう我慢できねぇ」
そういうと、わたしの足を開き、間に割り入ってきた。
「なぁ、いいか?」
何て馬鹿なことを聞いてくるんだろう。
「うん、きて」
これ以外に何か答があるとでも思ったのだろうか。
当麻がゆっくりとわたしの中に入ってきた。
「はあぁぁぁぁあっ」
わたしはこの時点でもう軽くイってしまった。
112 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/27(日) 00:50:56.68 ID:Yte9y/az0
当麻はちょっとびっくりしたようにわたしを見ている。
「動いてもいいか?」
また聞いてくる。わたしに言わせたいの?
「うん、いいよ」
「して、好きにしていいから」
「当麻も気持ちよくなって」
わたしの中で当麻が動き出す。
激しく、やさしく、わたしの中をかき回す。
「くっ、んっ、んっ、んっ」
113 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/27(日) 00:53:25.38 ID:Yte9y/az0
当麻と一緒にいきたい。
すぐにでも絶頂に上り詰めそうになるのを必死に耐える。
しかし、火のついた体は、一度上り始めるともうとめられない。
「あぁ、あぁ、あぁ」
「やだ、ゃだ、いっしょ、いっしょに」
「んっ、あっ、んっ、んんんっ」
「あぁ、あぁ、もうだめ、もう、もう」
「いっちゃう、やだ、いっしょに、でも、だめ、もう、もう」
そろそろ限界になってきた。
当麻もだんだん息が荒くなっている。
「美琴、俺も、もう」
「あ、ぁ、あぁ、だったら、いこう、いこう、ぁ、いっしょ、いっしょに、いき、たい」
「「あぁっ!」」
わたしは今まで経験したことの無い快感に飲み込まれ、そのまま気が遠くなった。
111 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/10/27(日) 00:48:56.02 ID:KFo0ov0t0
夢…か…
114 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/27(日) 00:57:40.08 ID:Yte9y/az0
気がつくとわたしは寮の自室のベッドの上にいた。
頭はとてもすっきりしている。爽やかな目覚めだ。
今は何時だろう、ずいぶん陽が高い。
どうも昼過ぎまで眠っていたようだ。
(シャワーを浴びよう)
当麻と愛し合った後なので、体中汗びっしょりだ。
もう怖いものは無い。
夢の中の世界では、当麻は変わることなくわたしの当麻でいてくれた。
「ずっと眠ったままでいれたらよかったのに」
思わずそうつぶやく。
115 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/27(日) 01:00:22.05 ID:Yte9y/az0
実は、この世界が夢で、あっちの夢だと思っている世界が本当なんじゃないだろうか。
そんな考えが沸いてくる。
(そんなわけないでしょ)
頭の中で冷静な自分がそう言う。
しかし、その考えは魅力的で、何を犠牲にしてでも得たいもののようにも思えた。
116 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/27(日) 01:03:55.12 ID:Yte9y/az0
シャワーから出て、部屋着に着替えると、部屋に黒子が現れた。
テレポートでやってきたようだ。
「黒子、あんた、寮で能力使っちゃいけないってことわかってんでしょう!」
「だいたい、まだ学校終わってないでしょ。何やってんのよ」
先輩として後輩をたしなめる。
黒子は、はっとした顔で美琴を見つめると、目にじわっと涙をにじませて抱きついてきた。
「おねえさまぁぁぁぁぁ」
「目が覚められたのですね!」
117 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/10/27(日) 01:05:45.47 ID:KFo0ov0t0
なにがあったんだ…
118 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/27(日) 01:09:40.65 ID:Yte9y/az0
黒子は本当にわたしのことを心配してくれていたようだ。
今朝、わたしは黒子がどんなにゆすっても、目を覚まさなかったらしい。
目を覚まさないどころか、苦しそうなうめき声を出し、体をよじって苦しそうにしていたと言う。
(あ、それ、あえぎ声だから)
本当のここを話すことはできない。
黒子に見られていたのかと思うと恥ずかしくなり、顔が赤くなってきた。
「あ、お姉さま、熱がおありですか?」
「え?あ、いやいや、まあね」
「まあ、ちょっと熱っぽいかなぁなんて気がしなくもないかなってくらいで」
うまく誤魔化せただろうか。
119 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/27(日) 01:11:55.80 ID:Yte9y/az0
今朝、黒子はあまり大げさにするべきではないと判断し、わたしが目を覚まさないことを寮監にも報告せず、今日も体調が悪くて学校を休むということにしてくれたようだ。
しかし、このまま目を覚まさないようであれば、ちゃんと医者に診てもらわなければならない。
自分が大げさにしないことにしたせいで、何かあったらどうしようと、休み時間のたびにこうやってこっそり寮に戻ってきて美琴の様子を見ていてくれていたらしい。
「ありがとうね、黒子」
黒子に心配をかけてしまったことを後悔した。
「何をおっしゃいますの、お姉さままのためなら、この黒子、何をおいても」
いつもと変わらない黒子の言葉が心地よい。
120 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/27(日) 01:13:29.06 ID:Yte9y/az0
「ところで、お姉さま。体調が戻られたのなら、明日から学校に戻られますか?}
黒子の質問に心が痛む。
「うぅぅん、そうね。随分よくはなってるんだけど、まだちょっとね」
「もうちょっと学校は休むかも」
黒子の顔がさっと曇った。
(わたしの世界はここじゃないかもしれないのよ)
黒子にはちゃんと説明したいけど、無理ね、やっぱり。
122 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/10/27(日) 01:21:58.25 ID:KFo0ov0t0
バッドだけはやるなよ
124 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/10/27(日) 13:21:55.75 ID:QNWMEsDYo
何がバッドかっていうと、このまま現実を直視出来ないのがバッド
127 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/27(日) 21:03:16.25 ID:Yte9y/az0
わたしはそれからもずっと学校を休んだ。
休んでずっと夢見装置に溺れていた。
毎日毎日、夢の世界で当麻との営みに浸りきった。
夢のような時間は、永遠のようであっと言う間で、わたしの全てになっていった。
(こっちの世界じゃまだ処女なのにね)
もうすでに当麻とあんなことやこんなこと、いっぱいし尽くしてるのよね、これが。
黒子は、寝ている間ずっとベッドでうなされているわたしを見て心配しているようだけど、本当のことは決して言えない。
(あの最中に「死んじゃう!」なんて言ったらどうなるかしら)
やっぱ、自重すべきなのかとも思うけど、それは無理。
あの快楽から抜け出すことなんて出来やしない。
128 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/27(日) 21:10:04.04 ID:Yte9y/az0
さすがに1週間ほど学校を休んでいると問題になってきた。
わたしは、今まで奔放にやってきてはいたが、理由も無く学校を休むことは無かった。
そんなレベル5の第3位が1週間部屋に閉じこもっているとなれば、ほうっておいてはくれない。
「お姉さま、そろそろ学校に行けませんか?」
黒子が心配そうに言う。
体調が悪いわけじゃない。ただ、外に出たくないのだ。
こっちの世界の当麻はわたしを拒絶した。そんな世界にいたくない。
夢の世界でも当麻には会えるから。
129 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/27(日) 21:16:22.91 ID:Yte9y/az0
「あの殿方ですわね?」
唐突に黒子が切り出した。
「な、何を言っているのよ」
うろたえてなかっただろうか?ちょっとあせった。
「お姉さまがおかしくなったのはあの殿方が原因です」
「何で!そんなわけ無いじゃない」
あわてて否定した。
130 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/27(日) 21:23:19.90 ID:Yte9y/az0
「あの殿方本人が原因ではないかもしれませんが、あの殿方に関連することです」
「お姉さまは、ある日いきなりあの殿方のことを『当麻』と呼ぶようになったかと思うと」
「あの殿方と何か話した後に、走って帰ってきてから閉じこもるようになりました」
ああ、そんなことまでわかってるんだ。
そういえば、当麻とわたしのことで話したりしてたのよね。
「でもね、黒子」
「もうこっちでは当麻は関係ないっていうか」
「もういいのよ、それは」
131 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/27(日) 21:29:20.25 ID:Yte9y/az0
「そうはいきません」
「これからあの殿方に会ってください」
(え?)
(黒子、今何て?)
「いやよ。こっちじゃダメなのよ」
「当麻には会えないの」
「当麻だってわたしになんか会いたくないはずだし!」
わたしは声を荒げて言った。
132 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/27(日) 21:33:00.12 ID:Yte9y/az0
「実はもうあの殿方と連絡を取っています」
「あの殿方もお姉さまと会って話がしたいと言っています」
「これ以上学校を休むことが続けば問題は大きくなってしまいます」
「とにかく一度会ってくださいませ」
(当麻も会いたがっている?)
その一言がわたしの心を捉えた。
「当麻が会いたがっているなんて、ウソでしょ?」
「そんなはずないもの」
「そもそも黒子、アンタ、当麻のこと嫌いじゃない」
「わたしは、いつだってお姉さまの味方です!それだけです」
黒子がきっぱりとそう言った。
133 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/27(日) 21:35:03.15 ID:Yte9y/az0
「お姉さまにとって有害な殿方であれば全力で排除いたします」
「しかし、お姉さまに大切な人であれば、それは黒子にとっても大切な人です」
ちょっと涙が出かけた。
自分はこんないい後輩に心配かけていたのか。
しかもわざわざ当麻と連絡を取って会うことのセッティングまでしてくれていたみたいだ。
「ありがとう、黒子」
「多分、当麻に会っても何も変わらないと思うけど」
「会ってもう一度話してみるわ」
135 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/10/27(日) 22:43:46.40 ID:cwvYkA9e0
ドキドキ
137 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/27(日) 23:51:55.14 ID:Yte9y/az0
こうして、わたしは再びこっちの世界の当麻と会うことになった。
場所はあの公園。わたしにとってはすっかり定番になっている場所だ。
黒子に言われて行くことにしたものの、さっきから震えが止まらない。
(やっぱり怖い)
当麻があって話したいことって何だろう?
また、拒絶されたらどうしよう。
ああ、それだったらずっと部屋に閉じこもっていたほうがよかった。
黒子の手前、いつものように振舞ってはいるが、内心びくびくしながら公園に向かった。
138 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/27(日) 23:56:30.81 ID:Yte9y/az0
自動販売機の近くに行くと、当麻はすでに到着して待っていた。
当麻の横顔を見ると、わたしの心臓は一回大きく鼓動した。
(逃げ出したい!)
足がすくんで上手く前に進めない。
当麻は、わたしたちに気がつくと、こちらを向いて話しかけてきた。
「おう、御坂」
(『御坂』か)
失望の色が顔に現れたのだろうか、当麻がちょっとあわてた様子を見せる。
「久しぶりね。まあ、当麻はわたしなんかに会いたくなかったでしょうけど」
当麻の顔が困惑にゆがむ。
「そんなことねえよ。なんでそんなことを言うんだよ」
139 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/27(日) 23:59:23.99 ID:Yte9y/az0
黒子は短くため息をついた後、当麻に目配せをした。
「それではわたしはここで失礼いたしますの」
「あとはお二人で話してくださいませ」
「え?ちょっとそれ、どういうことよ」
わたしはあせった。
二人きりだなんて聞いてない。
いやな汗が出てくる。
「それでは御機嫌よう」
どこかにテレポートしたのだろう、黒子はスッといなくなった。
140 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/28(月) 00:02:35.84 ID:C18yauLS0
残されたのは当麻とわたし。
どうしていいのかわからない。
当麻が口を開いた。
「なぁ、御坂」
「最近のお前、いったいどうしちゃったんだ?」
他人事のようなセリフにわたしの中で何かが切れた。
「どうしちゃったですって?」
「自分は関係ないと思ってるの?」
「わたしはずっと当麻に振り回されてるんだよ?」
「いきなり告白してきて、あんなことまでしたのに」
「夢の中とこっちの世界とじゃ、態度が違いすぎるじゃない」
「何で、そんな態度でいられるの?」
「夢の中の当麻はどこに行っちゃったの?}
141 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/28(月) 00:05:06.86 ID:C18yauLS0
そんなことを、わたしは一気に捲くし立てた。
最後は涙声になりながら。
当麻はずっと怪訝そうな顔をしていたが、わたしの話が一段落した後、質問してきた。
「夢の中とかこっちの世界とか、一体何なんだ?」
(もうだめだ)
この当麻にとって夢の中の世界は存在しないらしい。
あの当麻とこの当麻は別人なんだ。
「もういい」
そういって走り去ろうとした時、当麻がわたしの腕をつかんだ。
148 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/10/30(水) 17:27:59.96 ID:phaU5mtr0
別人も何もそうだろうに…
美琴のスイーツ脳がどんどん悪夢に侵食されてるなぁ……
150 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/31(木) 00:20:20.90 ID:BhHSt4fQ0
「待てよ、御坂」
「離してよ」
「そうよ、だいたいわたしのこと御坂って呼んでること自体おかしいじゃない」
「夢の中の世界じゃ、美琴って呼ぶくせに」
「夢の世界のことは全て忘れましたとでも言うつもりなの?」
「わたしのこと、頭のおかしい奴とでも思ってるんでしょ、どうせ」
当麻は一瞬困惑した表情になったが、すぐに真顔になって答えた。
「そんなわけねえだろ」
「頭がおかしい奴だなんてこれっぽっちも思っちゃいねぇよ」
「夢の中とかこっちの世界とか、ちゃんと説明してくれって言ってるんだろ」
151 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/31(木) 00:21:44.67 ID:BhHSt4fQ0
当麻の真剣な姿に、最後に賭けてみようと思い一つだけ質問をした。
「当麻、わたしのこと好きって言ってくれたよね」
「でも、この間会った時にはわたしを拒絶した」
「抱きついたわたしを突き放したわよね」
「あれはどうして?どうして夢の中とこっちの世界で全然違う態度を取れるの?」
(お願いせめて何か言い訳をして)
わたしは祈るようにして当麻を見つめる。
(どんな言い訳でも信じるから)
(お願いだからあれは違うんだと言って)
(こっちの世界でも、わたしを好きだと言って)
しかし、当麻から返ってきた言葉は期待していたものとはちょっと違っていた。
「俺、記憶無くしてるから」
当麻が苦しそうに絞り出したのは、そんな言葉だった。
152 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/31(木) 00:24:18.27 ID:BhHSt4fQ0
わたしははっとした。
(そうだ、そうだった、当麻は……)
「御坂は確か俺が記憶なくしてることは知ってるよな」
「これって、記憶喪失じゃなくて記憶破壊らしいんだ」
「俺の脳は欠陥を持ってるようなものなんだよ」
当麻が、苦しそうな顔で話す。
わたしは何てことをしてしまったんだろう……
自責の念が沸いてくる。
「夢の中の世界とかこっちの世界とか言われても正直わかんねぇんだ」
「ひょっとしたら俺の脳みそがおかしいから、そうなってるのかもしれない」
「だから、すまねぇ。俺のせいでお前につらい思いをさせてるみたいで」
「やめて!」
耐えられなくなってわたしは叫んだ。
153 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/31(木) 00:25:57.56 ID:BhHSt4fQ0
「ごめんなさい。当麻が悪いわけじゃない」
「わたし、わたし、知ってたのに」
「当麻が記憶喪失だってこと知ってたのに」
誰もが夢の中とこっちの世界との記憶を共有していると思ったら大間違いだったんだ。
わたしはエレクトロマスターだから、脳の電流も多少ならコントロールできる。だから簡単に夢の世界とこっちとの記憶をお互いに共有できただけなのかもしれない。
それに比べて当麻はどうか。
ただの無能力者だ。しかも幻想殺しという能力を無効化する右手を持っている。
しかも、それだけじゃなくて、一度記憶を破壊されていただなんて。
(わたしが一人で浮かれてただけだったんだ)
154 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/31(木) 00:27:13.39 ID:BhHSt4fQ0
無理なことを当麻に勝手に期待して、勝手に失望して、勝手に落ち込んでいただけだったんだ。
それだけじゃない、当麻にいやな事を思い出させてしまった。
当麻のつらい過去を、突きつけてしまった。このわたしが。
「ごめんなさい!」
わたしは、その場にへたりこんで泣いてしまった。
自分の無神経さに腹が立つ。
こんなこと、他人がしたならわたしは絶対にそいつを許さないだろうに。
「ま、まあ、泣くなよ御坂」
当麻はしゃがみこんでわたしの顔をのぞき込む。
わたしは当麻の顔を見つめた。
当麻の顔は涙で霞んでよく見えないけど、ちょっと赤くなってる気がする。
155 :◆vFrOP6Ejc.:2013/10/31(木) 00:31:02.14 ID:BhHSt4fQ0
「本当にさ」
当麻は肩を持ってわたしを立ち上がらせてくれる。
「俺の記憶のことで、お前が気に病む必要は全然無いんだよ」
そう言って、また当麻の顔がゆがんだ。
何故だろう、当麻のほうが罪悪感を感じているようにも見える。
わたしはたまらずに当麻に抱きついた。
泣き顔を見られないように、顔を胸にうずめる。
「お、おい、御坂」
当麻の心臓がバクバクしているのが聞こえる。
当麻の匂いがする。
160 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/10/31(木) 02:02:10.97 ID:jz+5O/qDO
そうきたか、夢世界との違いを受け入れる気にさえなれば解決しそうだし
162 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/11/01(金) 07:50:36.02 ID:UXyBVITio
夢の世界って美琴だけのものには変わらないんじゃね?
元ネタは機械が励起する各個人の妄想脳内世界だけど
このSSでは機械使ってない人もぶち込まれて覚めると忘れてるわけ?
163 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/11/01(金) 13:45:11.62 ID:fKuA3lU40
>>162
そんなわけない、美琴が夢と現実の境が付かなくなってるだけだろ。
164 :◆vFrOP6Ejc.:2013/11/02(土) 01:06:08.05 ID:Riisiohl0
このSSは、美琴の一人称で書いてます。
なので、美琴が知らないことは一切書かれていません。(美琴視点の描写だけになるので、当たり前ですが。)
というわけで、上条さんや黒子が登場しても、一体どんな気持ちでその言動をしているのかは一切記述してません。あくまでも美琴がどう思ったかです。
書いてく途中で一人称にしたことをちょっと後悔したのですが、こうなったら最後まで美琴の一人称でいくつもりです。
とりあえず、上条さんの気持ちとかについては、ちょっとした設定はあるのですが、それは上条さん視点の話じゃないと書かれない内容になります。
162さんがそう思ったのは、上条さんが美琴の妄想を肯定するかのような発言をしたからなんじゃないかと思います。
美琴と同じ勘違いをしたというのは、ある意味一人称で書いた効果がでてるといえるのかも。
165 :◆vFrOP6Ejc.:2013/11/02(土) 01:10:03.38 ID:Riisiohl0
戸惑いながら当麻の右手がわたしの髪をやさしくなでる。
すごく安らかな気分になる。
(ああ、ずっとここにいたい)
夢の世界がいいなんてウソだ。
なでてくれた当麻の手のひらの感覚は本物(リアル)だ。
夢の世界ではでしょっちゅうあった事のはずなのに、
生まれて初めての感覚を今感じている。
「御坂、すまない」
当麻は一体何を謝っているんだろう。
166 :◆vFrOP6Ejc.:2013/11/02(土) 01:14:30.69 ID:Riisiohl0
何のことか聞こうとしたその時、当麻が話を続けた。
「なあ、御坂」
「お前のいう夢の世界ってのを俺に教えてくれないか?」
「そこでは、俺たちどういう関係なんだ?」
(え?)
夢の中で毎日繰り返したあの日常(?)を思い出して顔が赤くなる。
「え、そ、それを話すの?全部?」
わたしは恥ずかしさで当麻に抱きつく腕に力がこもる。
「え?」
何かを察したのか、当麻の心臓の鼓動はさらに激しくなっていった。
167 :◆vFrOP6Ejc.:2013/11/02(土) 01:16:32.94 ID:Riisiohl0
それから、わたしは当麻に夢の世界の説明をした。
わたし達二人は、恋人同士で、深い仲であったことを、顔を真っ赤にしてやっと話した。
さすがに具体的にどんなことをしたとかは言えなかったけど。
当麻も夢の世界と記憶がつながるようになればわかる話だ。
当麻はびっくりしながら顔を赤くして聞いていた。
「で、お願いがあるんだけど」
話し終わった後、わたしは、やっとの思いで切り出した。
「わたしのこと、美琴って呼んでもらえないかな?」
168 :◆vFrOP6Ejc.:2013/11/02(土) 01:19:04.77 ID:Riisiohl0
わたしの顔はゆでだこみたいになっていたはずだ。
顔が熱い。
顔を上げられない。
「え、あ、いや」
当麻がおろおろしながら答える。
「えぇっと」
『美琴』
「これでどうだ?」
169 :◆vFrOP6Ejc.:2013/11/02(土) 01:20:42.30 ID:Riisiohl0
わたしの心臓がドクンと大きく鼓動した。
これ以上熱くなるわけがないと思ってた顔はもっと熱くなる。
夢の中の当麻との間じゃ当たり前のことなのに、なぜか全然違う。
その一言だけで体が震えるほどの幸福感に包まれていた。
恐る恐る顔を上げて当麻のほうを見る。
当麻は顔を赤くしてそっぽを向いている。
こっちの当麻ともちゃんと恋人になれるはずだ。
夢の世界のでもこっちの世界でも、わたしは当麻を大好きなんだから。
170 :◆vFrOP6Ejc.:2013/11/02(土) 01:21:46.29 ID:Riisiohl0
「今日も夢で当麻と会うわ」
「当麻も早く夢の世界との記憶がつながればいいのにね。」
そう言ってまたわたしは顔を真っ赤にした。
当麻は少し困った顔をしている。
「そうだな」
そう言ってわたしの頭をぽんぽんと叩いたあと、髪をやさしくしくなでる。
「もう、子供扱いしないでよ」
本当はうれしくて仕方なかったのだけど、照れ隠しにそう言って当麻の顔を見上げてみる。
当麻は何か考え込んでいるような難しい顔をしていた。
172 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/11/02(土) 01:47:34.44 ID:Wjqa6sXm0
おつん
美琴の言動も上条さんの言動もハラハラする
173 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/11/02(土) 01:51:47.54 ID:fgytbikco
上条さん視点より黒子視点で読んでみたいかも
174 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/11/02(土) 10:53:19.18 ID:WLTBIkup0
何かとつけて電撃飛ばしてくる女の子が、突然デレたあげくわけのわからない妄想垂れ流しで…
おのれ魔術師!! と上条さんが思っててもおかしくないな。
あと黒子は美琴の様子が変なのに気づいて解決のために奔走してそう。
176 :◆vFrOP6Ejc.:2013/11/02(土) 16:03:12.26 ID:Riisiohl0
寮の部屋に戻ると、黒子がいた。
「今日は本当にありがとうね。黒子」
「わたし、明日から学校に行くわ」
そう声をかけると、黒子は満面の笑みを浮かべた。
「お姉さまぁー」
いつものように抱きついてくる。
「調子に乗るな!」
いつものようにすっとかわしてみせる。
そうして二人で笑いあった。
こんなのいつ以来だろう?
しばらくして黒子の携帯電話が鳴った。
「お姉さま、ちょっと失礼します」
黒子は、電話に出るとそう言ってベランダに出ていった。
177 :◆vFrOP6Ejc.:2013/11/02(土) 16:04:25.01 ID:Riisiohl0
その夜も、わたしは夢見装置をつけて眠りについた。
夢の中の当麻に、こっちの世界の当麻との仲を話してあげよう。
夢の中の当麻とこっちの当麻の記憶がつながるように。
わたしが橋渡しをするんだ。
夢の中で、わたしはいつものように当麻に抱かれる。
いつものように愛されて、いつものように絶頂を迎える。
でも、何か物足りなさを感じていた。
現実味が無い、とでもいうのだろうか。
今朝まで、こっちが本当の世界かもしれないとさえ思っていたのに、どうして?
178 :◆vFrOP6Ejc.:2013/11/02(土) 16:06:41.69 ID:Riisiohl0
「美琴」と呼ばれても。
髪をなでられても。
それはもうとても気持ちいい事なんだけど。
何かが足りないのだ。
今日、あっちの世界の当麻に名前で呼ばれた時や、頭をぽんぽんされた時の、あの息が詰まりそうになるような幸福感、今、確かにここにあると思えるあの充足感が無い。
あっちの世界での出来事を夢の中の当麻に話してみた。
「あっちの世界の上条当麻か」
「俺にはよくわかんねぇや」
わたしはぷっと吹き出ししてしまった。
「わたしが思ってた通りの返事ね」
そう、この世界は何もかもわたしの思った通りなのだ。
181 :◆vFrOP6Ejc.:2013/11/02(土) 19:59:10.71 ID:Riisiohl0
翌日、久しぶりに行った学校の授業が終わるころ、はかったように電話がかかってきた。
ブルブル震えるゲコ太の電話機のディスプレイに表示される名前をみて、わたしは一瞬固まった。
(当麻だ)
思えば、携帯をペア契約しているんだから、いくら話したってお金はかからないというのに、滅多に電話をかけてきてくれることは無い。
そんな当麻からの電話だ。
「まさか、またロンドンの地下鉄の駅の鍵の開け方とかじゃないでしょうね」
そんなことを懐かしく思い出しながら、深呼吸をして受話ボタンを押す。
182 :◆vFrOP6Ejc.:2013/11/02(土) 20:03:42.56 ID:Riisiohl0
「おぅ、みさ、いや、美琴か?」
不器用な当麻らしい。
でも、ちゃんと美琴って呼んでくれた。
「そうよ。携帯電話にかかってんだから美琴ちゃんが出るに決まってんでしょ」
わざと素っ気無い調子で返す。
「今授業が終わったばかりで、これから何しようかって考えてたところだってのに、一体何の用?」
さりげなく、これから何も予定がない事をアピールしてみる。
当麻にはこんなの通じないだろうけど。
183 :◆vFrOP6Ejc.:2013/11/02(土) 20:07:18.51 ID:Riisiohl0
「いや、用ってほどのものがあるわけじゃないんだけどさ」
「電話かけちゃダメだったか?」
「ダメじゃない!」
即答する。
ダメなわけがない。
わたしは、今こんなにどきどきしてる。
特に用もないのにわたしに電話してくれた。それだけのことがすごくうれしい。
なのに、なんでこんな素っ気無い喋り方してるんだろう、わたし。
「全然、ぜんっぜんいいのよ、電話してきても」
「わたし達の間では電話代かからないんだし」
「その意味では、ずっと電話繋ぎっぱなしにしててもいいくらいね」
「いや、それはそれで困るってのはわかってるんだけど、わたしとしてはそのくらいでもいいかなって思ってるってことよ」
184 :◆vFrOP6Ejc.:2013/11/02(土) 20:10:50.41 ID:Riisiohl0
わたしは、一体何を言ってるんだろう。
電話してくれたことがうれしいと伝えたいだけなのに。
ちゃんとした言葉が出てこない。
「はは、美琴らしいな」
電話の向うで当麻が笑う。
「で、結局何よ」
何でこんなむっとした口調で答えてしまうんだろう?
「いや、本当にこれといった用があるわけじゃないんだけどさ」
「もし、暇だったらこれから会えないかなと思っただけなんだ」
「あ、忙しいんだったらいいんだぜ、本当に。今日じゃなきゃいけないってわけでもないし」
「忙しくない!」
185 :◆vFrOP6Ejc.:2013/11/02(土) 20:15:08.48 ID:Riisiohl0
最初に予定が無いアピールをしたのはやはり当麻には通じていなかったようだ。
(何が「これといった用はない」よ)
「会えないか」なんて、これといった用どころじゃないでしょうよ。
たとえ誰かと約束があったとしても、相手に謝り倒してでもそっちをキャンセルするっての。
「あ、それじゃ、どっかで待ち合わせようぜ」
「どこがいいかな」
そんなことも決めてなかったのか、当麻は。
「待ち合わせなら、あの公園の自動販売機のところがいいわ」
わたしが提案する。
あそこはわたし達にとって特別な場所だから。
186 :◆vFrOP6Ejc.:2013/11/02(土) 20:19:09.71 ID:Riisiohl0
公園に着いて、息を整えながら当麻を待つ。
これから会おうって言っただけで、ちゃんと時間を決めてはいなかった。
ここに来るまでの道のりを、わたしはなぜかずっと走っていたのだ。
ベンチに腰掛けて当麻を待つ。
なんだろう、このウキウキ感は。
人を待っているのがこんなに心地いいなんて、知らなかった。
しばらくして当麻がやってくる姿が見えた。
自然と顔がほころんでくる。
しかし、
「遅い!」
わたしの口から出てきたのは、そんな言葉だった。
187 :◆vFrOP6Ejc.:2013/11/02(土) 20:21:11.04 ID:Riisiohl0
「えええっ!上条さんの学校からだとこのくらいかかりますよ?」
当麻は、責められたことに不服のようだ。
「わたしに会えるってんだから、全力疾走ぐらいしてくるのがスジってもんでしょ!」
「ええええええええ!」
当麻はあと10数メートルを、あわてて走ってくる。
188 :◆vFrOP6Ejc.:2013/11/02(土) 20:25:51.20 ID:Riisiohl0
恋人同士の会話のような気がして、自然と笑みが浮かんでくる。
わたしは上機嫌で当麻に近づくと左腕に抱きついた。
「な、何をしているんでせうか?」
「別にいいでしょ、このくらい」
わたしは離れる気などない。
当麻の顔を見上げると、ちょっと赤くなってるみたいだ。
「美琴、お前にちょっと話があるんだけど」
「な、なあに?」
わたしは、何を言ってくれるのか、期待して待つ。
「ズバリ聞くけど」
「お前が言ってた夢の世界って、機械を使って見た夢のことか?」
190 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/11/02(土) 21:04:58.13 ID:YboJEfHso
上条さん直球過ぎwwww
192 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/11/03(日) 06:02:15.92 ID:KvUZMTUz0
美琴が息してない…
195 :◆vFrOP6Ejc.:2013/11/03(日) 20:56:45.16 ID:eF5J3BR30
何でそんなことを知っているんだろう?
当麻もあの機械を使うようになって夢の中の世界と記憶が共有できるようになったってこと?
いや、違う。当麻はちょっと怖い顔をしている。
「そんな怖い顔しないでよ」
「あ、すまねぇ」
当麻にはちゃんと話そう、そう思ってわたしは喋りだした。
「確かに夢見装置をつけて見てる夢だけど、それがどうしたの?」
「でも、巷でうわさのあの機械じゃないわよ?」
わたしは鞄から夢見装置を取り出して見せた。
196 :◆vFrOP6Ejc.:2013/11/03(日) 21:01:29.61 ID:eF5J3BR30
「それを基に、わたしが能力研究の一環で作った、美琴ちゃんスペシャルなんだから」
ちょっとおどけて言ってみる。
当麻はじっと私を見つめている。
目は笑っていない。
「そうだ、当麻もそれ使うといいよ、そうしたら夢の中の世界と記憶がつながるから」
「あたし、作れるから、早速もう一台作るよ」
「これつけて、一緒に同じ夢の世界にいこうよ」
「いきなりだと、刺激が強すぎるかもよぉ」
わたしはあわてて捲くし立てた。
197 :◆vFrOP6Ejc.:2013/11/03(日) 21:09:26.11 ID:eF5J3BR30
当麻の顔がまた厳しくなる。
「お前、意味がわかって言ってんのか」
「何怒ってんのよ?」
当麻の意図がわからない。
「お前、夢と現実が一緒になって、区別できなくなってるんじゃねえか?」
198 :◆vFrOP6Ejc.:2013/11/03(日) 21:14:03.89 ID:eF5J3BR30
当麻の言葉にわたしは懸命に反論する。
「どういうことよ」
「夢の世界も、こっちの世界も、どっちも現実でしょ?」
「当麻も、夢の世界と繋がればいいんだよ、そうしたら全部わかる」
「これ、もう一つ作るよ。だから」
「あ、そうだ、これ持って帰っていいよ、今日から使ってみて」
「あたしは、すぐに新しいの作ってそれで・・・・・・
「夢はただの夢だ!」
「幻想でしかないんだよ。美琴、お前もわかってるんだろ」
「当麻は、記憶が無いから」
「記憶が破壊されちゃってるから、夢の中と記憶を共有することが難しいのよ」
「自分でそう言ってたじゃない」
「でも、この装置があればきっと大丈夫」
「夢の中の当麻は、幻想なんかじゃないわよ」
「だって・・・・・・
「美琴!」
当麻の声で私の話はさえぎられた。
「お前も本当はわかってるんだろう?」
199 :◆vFrOP6Ejc.:2013/11/03(日) 21:19:03.45 ID:eF5J3BR30
当麻が続ける
「昨日、俺が記憶が無いことと、夢の世界と繋がらないことを結びつけて話したのは、悪かった」
「そうすれば、お前が俺の話に耳を傾けてくれるかもしれないと思ったからなんだ」
「結果的に騙すことになっちまった。そのことはすまないと思ってる」
「昨日、お前が泣きながら俺に謝ってきた時、俺も本当に罪悪感でつらかったんだ」
「だけど、夢は夢でしかねえってことにちゃんと向き合わなきゃいけねえんだ」
当麻の声が遠くで聞こえる。
(ああ、もうだめだ)
(なんで?なんでそうなの?)
(こっちの世界はそうよね。何でもわたしの思った通りになるわけじゃない)
200 :◆vFrOP6Ejc.:2013/11/03(日) 21:28:24.31 ID:eF5J3BR30
本当は、わたしも気付いていた。
こっちの世界に比べて、夢の中は現実感が乏しい。
今までそんなこと考えたことも無かったけど、昨日、当麻と会って話してから、何かが変わったのだ。
こっちの当麻と話をした。
こっちの当麻に「美琴」と呼ばれた。
こっちの当麻に頭をなでられた。
その後に見た夢の中の世界は、色褪せていた。
201 :◆vFrOP6Ejc.:2013/11/03(日) 21:34:35.66 ID:eF5J3BR30
本当は、ずっとわかっていたのだ。
夢の中の世界は自分の中にしかないってことくらい。
夢の中の当麻は、ただわたしの作り上げた幻想で、こっちの世界の当麻とは全く関係ないってことくらい。
こっちの世界の当麻は、わたしの彼氏ではないってことくらい。
そう、夢の中の世界は、ただのわたしの願望に過ぎないってことくらい。
「な、何を言ってるのかわからないわ」
声が震えている。
認めたくない現実だけど、とうとう認めければいけない時が来てしまった。
(もう、どっちの世界でも当麻には会えないわね)
(あと、黒子にも)
202 :◆vFrOP6Ejc.:2013/11/03(日) 21:37:59.11 ID:eF5J3BR30
この二人は、わたしの様子がおかしいということで、連絡を取っていたんだ。
そして、わたしを現実の世界に連れ戻すためにいろいろ考えて行動してくれたに違いない。
(ありがたいと言うべきなのよね)
でも、わたしはとても惨めな気分だった。
勝手に両想いだと思い込んで、
勝手に恋人気取りになって、
勝手にはしゃいで、
(コイツはお情けで付き合ってくれてたのよね。)
もう、当麻とは呼べないな。そう思った。
203 :◆vFrOP6Ejc.:2013/11/03(日) 21:54:46.99 ID:eF5J3BR30
「おい、美琴、どうしたんだ」
わたしがずっと黙っていたからだろうか、アイツが声をかけてきた。
「あ、ああ」
「アンタの言ってることはわかったわよ」
アイツは、はっとした顔でわたしを見る。
「先に帰るわね、もう話すこともないし」
「あ、あと、アンタももう無理してわたしのこと美琴って呼ばなくてもいいわよ」
「前のように、御坂でも、ビリビリでも」
(もう、会うことも無いから、ビリビリとすら呼んでもらえないんだけどね)
204 :◆vFrOP6Ejc.:2013/11/03(日) 22:00:43.73 ID:eF5J3BR30
アイツは、黙ってわたしの言うことを聞いている。
わたしは、涙が零れ落ちる前に駆け出すことにした。
(こっちの世界じゃ、ここからは駆け出すのが定番なのよね)
「おい、美琴、待てよ!」
後ろからアイツの声が聞こえる。
(呼び方、もうクセになってるのかしらね)
何か複雑な気分だ。
207 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/11/04(月) 00:55:51.55 ID:3R950JHT0
ここからが肝心だ
206 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/11/04(月) 00:09:02.37 ID:fPEDjjMP0
上条さんならやってくれるはず
208 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/11/04(月) 01:00:18.14 ID:rH+/3sER0
上条さんまかせたぞ
209 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/11/04(月) 03:06:28.59 ID:7YwspYbao
漢を見せろ
212 :◆vFrOP6Ejc.:2013/11/04(月) 20:32:39.14 ID:nt5je7820
気がつくと、わたしは鉄橋の上にいた。
(ここは、妹達の時、アイツに見つけられた場所よね)
わたしは、絶望すると、ここに来るくせがあるのかもしれない。
(あの時、アイツが来なかったらわたしは死んでたのよね)
(もう、わたしにとってアイツはいないようなものなのに)
(なんでわたしは生きてるんだっけ?)
夢見装置を持っていないことに気付く。
アイツに会った時に鞄から出したままだった。
きっとアイツから、黒子に渡って、風紀委員(ジャッジメント)か警備員(アンチスキル)がちゃんと処分してくれるだろう。
(もういらないわよね。夢見る必用も無いし)
213 :◆vFrOP6Ejc.:2013/11/04(月) 20:38:31.56 ID:nt5je7820
「どうしてこんな事になっちゃったのかなぁ?」
わたしはただアイツといたかっただけなのに。
「たすけてよ……」
その時、向うから足音が聞こえてきた。
わたしは恐る恐るその足音のする方を向く。
「何やってんだよ、お前」
やはりそこにはアイツがいた。
「アンタに言われる筋合いなんてないんだけど」
(何よ、こっちのほうがよっぽど夢みたいな展開じゃない)
まるで三文芝居だ。しかし、そうとなったらもう少し続けてみよう。
214 :◆vFrOP6Ejc.:2013/11/04(月) 20:47:13.48 ID:nt5je7820
「わたしが自分の作った機械で、夢と現実の区別もつかなくなった哀れな女だってわかってるんでしょ」
「で、アンタはわたしが心配だと思ったの?それとも許せないと思ったの?」
「心配したに決まってんだろ!」
即答だった。
あの時よりも力強い声で。
心の底から何かが湧き上がってくる。
しかし、所詮は三文芝居だ、こんな茶番をずっと続けるわけにはいかない。
215 :◆vFrOP6Ejc.:2013/11/04(月) 20:56:20.65 ID:nt5je7820
「憶えてたの?このやりとり」
「でも、もういいのよ。泣き叫ぶのを聞いて駆けつけてくれるヒーローにならなくても」
「いや、そういうわけにはいかねぇんだ」
「『都合のいいヒーローになって、御坂美琴とその周りの世界を守る』 名前も知らないキザ野郎との約束なんだ」
ああ、あの恋人ごっこの時のやつだ。
「海原光貴 との約束なんて、忘れちゃいなさいよ」
「そんなこと、もうどうでもいいでしょ」
216 :◆vFrOP6Ejc.:2013/11/04(月) 21:04:51.27 ID:nt5je7820
「はは、そうだな」
アイツが答える。
「俺も実はそいつとの約束を守る為に美琴を追いかけてきたってわけじゃないんだ」
「だから、もう無理に美琴って呼ばなくてもいいっつってんでしょ!」
声が自然と大きくなる。
お情けで彼氏のふりをしてくれなくてもいい。
自分が惨めになるだけだ。
「恋人ごっこは、とっくに終わったのよ」
「もうお情けでわたしの妄想に付き合ってくれなくてもいいんだよ」
「勝手なこと言ってんじゃねぇよ!」
今度はアイツが大声を出す。
217 :◆vFrOP6Ejc.:2013/11/04(月) 21:09:26.60 ID:nt5je7820
「恋人ごっこは終わっただって?そんなことやってたつもりはねえよ」
「お情けで妄想に付き合ってたつもりもねぇ」
「お前のことを美琴って呼びたいからそう呼んでんだ」
言ってることの意味がしばし理解できなかった。
「確かに最初は、白井に相談されて、協力するってとこから始まったよ」
「俺もお前の様子がおかしいと思ってたしな」
「でもなぁ、俺のことを一途に思ってくれるお前にときめいちまったんだよ」
「途中からは、俺の意思で、お前の彼氏をやってたんだよ」
「いいか、何回も言わないからよく聞け」
「俺はお前が好きだ」
「美琴!この現実の世界で、俺の彼女になってくれ!」
218 :◆vFrOP6Ejc.:2013/11/04(月) 21:16:27.26 ID:nt5je7820
わたしの幻想は、このときにぶち殺されたのかも知れない。
夢の世界なんてただの幻想だ。
夢の世界のアイツは何度もわたしに「好きだ」って言ってくれた。
そのたびにわたしはどきどきして幸せな気分になった。
と思っていた。
あの時の気分を「幸せな気分」と言うのなら、今のわたしの気分は何と表現すればいいんだろう。
息が詰まってしまって、
心臓が止まっちゃうんじゃないかとさえ思えて、
すごく苦しいこの感覚。
でも、全身がうれしさに包まれている。
「あ、あ、」
何か言いたいのに、
言いたいことはいっぱいあるはずなのに、
声が出ない。
219 :◆vFrOP6Ejc.:2013/11/04(月) 21:20:48.33 ID:nt5je7820
わたしのその様子をみて、アイツの顔に不安そうな影がよぎる。
「あ、美琴、その、さ」
「いや、その、勢いで言っちまったけど、あの、さ、本気なんだ」
「え、っと、さ」
急にアイツの言葉の歯切れが悪くなった。
(まさかコイツ、わたしが固まっていることを誤解してる?)
(ここで、「ちょっと考えさせて」とかって言うのも面白いかもしれないわね)
(そしたらこっちが優位に立てるかも)
(ま、そこまでしないにしても、「仕方ないわねぇ、アンタがそこまで言うなら」って感じかしら)
そんなことを考えていたら、やっと声が出た。
「わたしも、大好きだよ!」
220 :◆vFrOP6Ejc.:2013/11/04(月) 21:27:15.32 ID:nt5je7820
もう夢なんかいらない。
現実のアイツがそばにいるから。
わたしは駆け寄って、抱きついた。
「ねえ」
わたしは話しかける。
「なんだ?」
「キスして」
「な、な、いきなりなんてことをいうんでせうか、この子は!」
アイツがあせっている。
「何よ、アンタだって興味が無いわけじゃないでしょうよ」
「いや、でも、ですね、美琴さん」
「いいから!」
わたしは目を瞑って、口を少し突き出す。
221 :◆vFrOP6Ejc.:2013/11/04(月) 21:30:43.29 ID:nt5je7820
「じゃ、じゃあ」
「いくぞ」
しばらくして、当麻の唇がわたしの唇に触れてくる感覚がした。
ああ、これが現実のキスなんだ。
夢の世界であれほどしたキスとは全然違う。
夢の世界のアイツの、手馴れた感じのキスじゃない、何か不器用なキス。
でも、本物を知ってしまうと、もう偽物なんかに惑わされない。
ただ、唇が少し触れてるだけなのに。
客観的に説明すると、「ちょっと柔らかくて暖かいものが唇に触れている」そんなもんなのに。
体が震えて、涙まで出てきた。
王子様のキスで目が覚めるって、こういうことなんだろう。
夢が夢でしかないことが、はっきりとわかった。
もう、夢の世界になんて行こうと思わない。心の底からそう思った。
わたしの幻想が、完全に息の根を止められた瞬間だった。
222 :◆vFrOP6Ejc.:2013/11/04(月) 21:35:22.93 ID:nt5je7820
「アンタのキス、不器用ね」
唇を話した後、体を離し、軽く涙を拭きながら率直な感想を言った。
「なっ!」
「しかたねぇだろ、キスなんて初めてなんだから!」
アイツが赤くなって怒る。
「ん?」
「美琴、ま、まさか、お前」
「そんなわけないでしょ!」
真っ赤になって反論する。
「でも、お前、今」
「アンタとしかしないわよ!絶対に!」
そう言ってまた抱きついてやった。
223 :◆vFrOP6Ejc.:2013/11/04(月) 21:40:47.59 ID:nt5je7820
とりあえず、話としてはここまでです。
強引な展開で、ばたばたでしたが、とりあえずハッピーエンドということで。
あとで、エピローグみたいなのを投下します。
224 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/11/04(月) 22:02:07.00 ID:1wp6NUQ3o
乙でした!!!
225 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/11/04(月) 22:32:24.60 ID:APLtF2CT0
乙
バッドにならなくて良かった
この終わり方は最初の構想どおりなの?
226 :◆vFrOP6Ejc.:2013/11/04(月) 23:13:08.86 ID:nt5je7820
この終わり方は、構想どおりかといえば、その通りですね。
最初からちゃんとストーリーを考えていたわけじゃないのですが、自分は美琴の味方なので、バッドエンドにするという発想は全く無かったです。
書きたかったのはツンデレの美琴です。
他の人に迫られるときっぱりと拒絶するのに、上条さん相手だと、何だかんだ自分で理由をつけて受け入れてしまうという最初の海原のエピソードですね。
あとは、この手の話ではありがちのオチが頭に浮かんでただけです。
では、これからそのありがちのオチにつながるエピローグを何スレか投下して終わりにします。
227 :◆vFrOP6Ejc.:2013/11/04(月) 23:15:27.95 ID:nt5je7820
こうしてわたしたちは、恋人になった。
夢見装置はもう手元に無いので、あの夢を見ることも無い。
あったとしても使おうとは思わないだろう。
もう夢に頼る必要は無いんだから。
アイツとちゃんと付き合うようになって2週間くらいになるけど、ちゃんと身の丈にあったお付き合いってのをしている。
たまに軽いキスはしてくれるけど、それ以上のことはない。
わたしとしては、以前のあの夢の中の経験もあるし、いつでも覚悟はできてるんだけど。
とは言っても、本当はちょっと怖い気もしている。
あんなに気持ちいいと思っていた夢の中でのキスは、わたしにとって現実のアイツの不器用なキスの足元にも及ばないものだった。
現実にアイツに抱かれたら、わたしはどうなってしまうんだろう?
228 :◆vFrOP6Ejc.:2013/11/04(月) 23:19:17.72 ID:nt5je7820
でも、アイツは、『中学生に手を出したすごい人』にはなれないそうだ。
ぜんっぜん意味がわからない。
あーあ、早く卒業して高校生になりたい。
今から飛び級の試験受けてやろうかしら。
(でも、最近アイツも気が変わってきてる気がするのよね)
(わたしを見る目がちょっと違う気がするもの)
(健康な高校生男子なんだから、当然のことだしね)
わたしだって、健康な思春期の普通の女の子なんだよ?
229 :◆vFrOP6Ejc.:2013/11/04(月) 23:22:05.57 ID:nt5je7820
あ、アイツがやってきた。
アイツと会うときは、いつもこの公園で待ち合わせるようになっている。
ここは思い出がいっぱい詰まった場所だから。
「おう、美琴、お前いつも早くから来てるよな」
「わかってんなら、アンタも早く来なさいよ!」
こんな会話から始まる時間がとても楽しい。
二人でベンチに腰掛けて話をする。
「そういえば、美琴さ」
「何で俺のことアンタって呼ぶように戻ったんだ?」
「え?」
「だって」
わたしは、赤くなって俯く。
「恥ずかしいじゃない」
230 :◆vFrOP6Ejc.:2013/11/04(月) 23:25:29.31 ID:nt5je7820
アイツの目が点になってる。
(あれ?あきれてる?)
「せっかくちゃんと付き合っるわけだから、こっちではアンタって呼ばれることがちょっと寂しいわけですよ、上条さんとしては」
へぇ、コイツこんなこと言うやつだったんだ。
231 :◆vFrOP6Ejc.:2013/11/04(月) 23:26:48.01 ID:nt5je7820
「だからさ」
アイツがわたしの方に寄って来る。
「そろそろさ」
わたしの横にピタっと体をくっつけて、腰に手をまわしてくる。
それから、見たことのない笑顔でわたしに囁いた。
「こっちの世界でもいいんじゃねぇかな、夢の中の世界みたいにさ」
232 :◆vFrOP6Ejc.:2013/11/04(月) 23:28:16.38 ID:nt5je7820
以上。
これで本当におしまいです。
最後まで付き合ってくれてありがとうございました。
233 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/11/04(月) 23:32:09.59 ID:RBikHGSDO
>>1への乙と、二人への祝福を
234 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/11/04(月) 23:44:03.98 ID:cyqmuaOT0
美琴には優しいのに、俺達にはハラハラドキドキさせるどSの>>1に乙!!
235 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/11/05(火) 00:00:31.78 ID:YwBQ9ZL90
乙
いい終わり方だった
また是非書いて欲しい
236 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/11/05(火) 00:10:16.94 ID:D+868K5S0
王子様がキスして目が覚めてよかった…現実で幸せになれよ
>>1のドS!おつ!
239 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/11/05(火) 00:32:15.42 ID:24Q6h2zdo
よかった!
二人が幸せになれてホントよかったでぇ…
240 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/11/05(火) 06:10:13.10 ID:nmP2qbfgo
乙!美琴が幸せになって良かった
241 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/11/05(火) 10:07:11.44 ID:elyOPcXFo
乙です!美琴が幸せで良かった
面白かったです!
242 :◆vFrOP6Ejc.:2013/11/10(日) 10:16:16.14 ID:B0f+Rl/D0
読んでくれた方、ありがとうございました。
HTML化の依頼を出しました。
また、いいネタを思いついたら書こうと思いますので、見かけたらまた読んでみてください。