TOB阻止完全対策マニュアル

「TOB阻止完全対策マニュアル」の著者、伊藤歩のブログ。

「TOB阻止完全対策マニュアル」好評発売中

2012年09月

【会員限定】議決権獲得割合のデータ更新しました

8月30日以降、キャッシュアウト目的のTOBは出ていませんが、公開買付報告書は2件提出されましたので、今回は議決権獲得割合のデータだけ更新しました。
  アテナ工業は93.41%、ソントン食品工業は95.81%と相変わらず応募率は高いですね。
 応募率はプレミアムにほぼ連動している印象がありますが、PBRにはまったく連動していません。かえってPBRが低い銘柄の方が応募率が高いという、なんとも非合理的な結果になっています。
 たとえばアテナ工業はTOB公表日当日終値比のプレミアムは52.09%と高率ですが、PBRは0.61倍です。買収者はわずか4.2年で投資を回収できてしまいます。
 また、ソントン食品工業のTOB公表日当日終値比のプレミアムも44.93%ですから、今時のTOBとしてはまずまずの水準ですが、PBRは0.62倍。買収者の投資改修期間は8.3年。
 これに対し、今年に入ってから実施されたTOBで一番獲得議決権割合が低かったのがらでぃっしゅぼーや。なんと75.74%です。プレミアムは 36.93%と、一見低そうに見えますが、PBRは1.77倍と今年の事例の中では2番目の高さです。投資回収期間に至っては19.6年ですから、買収者 にとってはかなりの高い買い物、逆に投資家側にとっては大変高い値段でTOBをしてくれた事例と言えます。
 応募しない株主の動機は様々です。キャッシュアウトは基本的にゴネ得であることを知り尽くしている株主が、成立する前提でわざと応募せずあとからゴネる ということもあります。キャッシュアウトはTOBが成立してくれないことにはゴネようがありません。全部取得価格で争うしかないので追い出し3点セットが 決議されないとゴネる機会がないからです。
 ですから、TOB条件の良さをわからない株主が応募しなかったとは言い切れないですし、獲得議決権割合は特定の大株主の保有割合など様々な条件に左右されます。
 らでゅっしゅぼーやとほぼ同じ時期にTOBを実施したやすらぎは、プレミアム60.77%なのにPBRは0.87倍。でも投資回収期間は14.5年とか なり長いです。条件が良いのか悪いのかよくわからないわけですが、獲得議決権は98.7%。そもそも創業オーナー所有分が6割を超えていたのですから、当 然といえば当然かもしれません。
 とはいえ、らでぃっしゅぼーやもJAFCOが46.9%も持っていて75.74%ですから、TOB条件が良い事案で応募率が低いというのはおもしろい現象だと思います。
続きを読む

【会員限定】買収者の投資回収期間ランキング

「買収者の投資回収期間ランキング」データをアップしました。

会員登録をお済みの方は、パスワードを入力のうえ、ぜひご覧ください。続きを読む

【会員限定】上場期間ランキング

「上場期間ランキング」データをアップしました。

会員登録をお済みの方は、パスワードを入力のうえ、ぜひご覧ください。続きを読む

【会員限定】株主数ランキング

「株主数ランキング」データをアップしました。

会員登録をお済みの方は、パスワードを入力のうえ、ぜひご覧ください。続きを読む

【会員限定】高プレミアムランキング

「高プレミアムランキング」データをアップしました。

会員登録をお済みの方は、パスワードを入力のうえ、ぜひご覧ください。続きを読む
会員登録はこちら
書籍一覧
著者プロフィール
伊藤 歩(いとう・あゆみ)
金融ジャーナリスト。1962年、神奈川県生まれ。横浜国立大学教育学部卒業。ノンバンク、外資系金融機関など複数の企業で融資、不良債権の回収、金融商品の販売などを経験。16年間のサラリーマン生活時代に培った実務経験と知識を基に、『ZAITEN』『週刊東洋経済』をはじめとする経済専門誌を中心に執筆している。
QRコード
QRコード
  • ライブドアブログ