悪天候で出張のイメージ図
ここ数日、台風の影響もあって悪天候になっています。
私が今住んでいる近畿地方は昨日も朝からJRがほとんどの路線で運行見合わせを行っていて、その影響で子供たちが通っている高校は休校になりました。

そんな中、電車通勤ではなく車通勤の私は普段通り出勤しています。
出勤したものの、予定していた来客はキャンセルされるなどやはり悪天候の影響で仕事に支障は出てしまいました。
ただ、無理は禁物なので早めに外出を諦めた先方の判断は良かったかと思います。

そしてこういった台風などの悪天候に見舞われると思い出す出来事があります。
それは前のリストラで希望退職した会社に勤めていた時のことです。
その無謀にも悪天候に立ち向かった私の1日を記録がてら書いてみたいと思います。

エピローグ・・・出張前夜のハラハラ

数年前、私の住んでいる地域に台風が直撃したときのことです。
ちょうど3連休の最終日、祝日にその台風が最も接近すると予想されていました。
祝日ですから会社は休みです。(今となっては祝日は出勤なので懐かしいです)
普通であれば無理せずに自宅で台風をやり過ごすことが出来るところです。

しかし、運悪く私の場合は事情が違いました。
その最も危険な日、私は中国へ出張という計画になっていました。
当然、航空チケットは予約済みです。しかも予約の変更をやりにくい早割チケットを購入していました。

さらにチケットの手配を会社系列の旅行会社で行っていたのですが土日祝は休日になっていますので基本連絡は取れません。
もちろん私が勤めている会社も休日ですのでどこにも相談できないという状況でした。

「台風直撃という事は飛行機は飛ぶのだろうか?」
「そもそも空港までたどり着けるのかな?」

不安はどんどん増していきます。
そうして過ごしていた前日の夜悪い知らせがやって来ました。

第一の難関・・・浸水によるJR運行見合わせ。

私の自宅から最寄りにあるJRの路線が止まってしまいました。大雨の影響で線路が冠水してしまったそうです。
雨は降り続いていますので翌日までに復旧するかどうか微妙なところです。
復旧していなければ空港までの移動手段が断たれてしまうので、出張は中止。。。どうするか?

考えた末、その路線を使う事は諦めて少し遠いですが今のところ運行している路線の駅まで車で移動することにしました。
車で40分ほどかかりますが無理な距離ではありません。この様な事態なので駐車場代も会社に請求できるでしょう。そう覚悟を決めて床につきました。

第二の難関・・・がけ崩れ

翌日。
不安な夜を何とかやり過ごした私は、覚悟を決め少し早めに自宅を出ました。
外はかなり荒れ模様です。特別警報が出るような状況ですので実際は外出を控えた方が良いのでしょうが、私は妙にテンションが上がってしまい「なんとしてもたどり着いてやる」
等と言いながら駅に向かいました。

そして、何とか駅に到着しました。
肝心の電車ですが、遅れは出ているようですが運休にはなっていません。
「よし、何とかなりそうだ」と電車を待つこと10分ほど。

ここで悪い知らせ第二弾です。

さっきまで動いていたJRがまさかのがけ崩れ。復旧の見込みは不明とのアナウンスがむなしく駅に響き渡ります。
この段階で鉄道での移動はまず不可能。

「これまでか。」
さすがに諦めようと、休日でお休みの上司に電話することにしました。

ですが、まだ諦めるなという事でしょうか、その上司から思わぬ提案がありました。

「ちょうど用事があって車で出かけるので電車が動いているところまで乗せていってやる。」

かくして、上司の車で移動することになりました。

第三の難関・・・大渋滞

こうして上司の車で移動を開始したのですが、普通に移動できれば何とか飛行機のフライト時間に間に合いそうです。
しかし、そんなに簡単には行きません。次の試練が待っていました。

移動しているのは地方の国道です。普段はそれほど渋滞することはありません。
しかし、まさかの大渋滞に巻き込まれてしまいました。ほとんど動きません。

その理由はインターネットで確認すると分かりました。
悪天候で高速道路が閉鎖。その影響で流れてきた車で国道が渋滞しているとのこと。
何とかならないかとJARTIC (日本道路交通情報センター)に電話してみたものの、そこで得られた情報は渋滞を抜けるのに2時間はかかるという残念なものだけです。

そうしてその時点でもはや飛行機のフライト時間には間に合わないと悟りました。ついに断念か。

実は不通となった駅にいる時点で旅行会社にダメもとで連絡が取れないかと電話していました。
すると緊急対応で出社している社員さんがいて、その時間であれば航空券のキャンセルがギリギリ出来る(キャンセル料も発生しない)という話でした。

しかし、上司の車移動というもしかして間に合うかも?という状況に身を置いていた私はその段階でキャンセルせずに出張続行という判断をしてしまいました。

「本当にキャンセルしなくていいんですね?」
と念押しする旅行会社の方の声が痛みとともに耳に残っています。

そういう事で、時すでに遅しではあったのですが「一応キャンセルの電話はしないとな。」ということでの直接JALに電話することにしました。

私:「すいません。今日のフライト予約しているのですがあいにくの悪天候で間に合いそうもありません。キャンセルでお願いします。」

JAL:「調べてみたのですが、お客様のチケットでこの時間ですとキャンセルは出来ないのですが。。。」

私:「そうですよね。。。するともし明日のフライトを予約すると新たにチケットを取ることになるんですよね。」

JAL:「そうなりますが。。。少しお待ちください。」

急に翌日のチケットを取ろうとしてもチケット代は相当高くなるはずです。
「これは今回の出張は出直しかなあ。」とほぼ諦めていました。その時点では。

    ・・・しばらく・・・

JAL:「お待たせしました。今上司と相談したのですが、事情が事情なので今回に限って明日のフライトに振り替えさせていただきます。もちろん費用は掛かりません。

どうやら、神様はまだまだこの旅は続けろという事の様です。

さらなる難関・・・あれ、退路がないぞ。

そして、渋滞に巻き込まれてから3時間後。漸く電車が動いている隣県のJR駅までたどり着きました。

ここまで送ってもらった上司に礼を言い駅に入ります。
フライトは翌日に変更したのになぜ、ここまで来たのかというと翌日になっても不通区間が復旧しているのか判りませんし、天候のことを考えると出来るだけ空港の近くまで行っておいた方が確実だろうという判断です。

こういう時にスマホは便利です。
車で渋滞に巻き込まれている間にサクッと空港近くのビジネスホテルは予約することが出来ました。

明日に向けての準備は万端。
数々の困難を乗り越えてきた私は疲れも感じずテンションMAXです。
その勢いそのまま勇んで駅構内に入ったのですがやはり、電車は運航しているとはいえ悪天候下のことです。大幅にダイヤは乱れています。

目的地まで早く行くことが出来る快速などは運航しておらず各駅停車のみ。
目的地にはいつ着くのか正直判りません。

その時、最悪の事態が頭をよぎりました。

このまま天候が悪化し鉄道がこの先も運休になる。
ホテルにもたどり着けないのでいよいよ出張は中止。
このまま自宅へ帰還。

しかし自宅へのルートを考えて来た道を振り返ってみると、鉄道はがけ崩れで再開のめどが立っていない状態です。

「あれ?帰るに帰れへんやん!」

そうです。ここまで車で運んでもらったものの、もし帰ろうと思っても退路がないという事態に自分を追い込んでしまっているのにようやく気付きました。

一瞬タクシーでの帰宅も考えましたが、あまりに高額になることが予想されるため即座に却下。

という事は...電車が動いている限り先に進んでいくしかない、まさに退路を断つという状況になってしまいました。

そうして泣きそうになりながら電車移動を続けること5時間。家を出てから10時間ほどかかって空港近くまで何とかたどり着くことが出来ました。
(いつもだと家を出てから3時間弱で空港につくことが出来るのですが。)

そうして翌日に何とか飛行機に乗ることが出来たのですが、その飛行機も悪天候で機体の手配がつかなかったようで半日遅れになるという“おまけ”が付きました。

こうして、暴風雨による危険を顧みずに決行した出張は無傷とは言えないまでも何とか遂行することが出来ました。
後日旅行会社に聞いてみると他にもその日に出張する人は何人かいたそうですが、全てキャンセルになったそうです。

私の職場でも翌日出社してこない私に気づいて
「まさか、出張に行ったのか?」
と一時騒然となったそうです。

それを聞くと何となくヒーロー気分。
なぜか戦いに勝利を収めたような気分になります。何と戦ったのかは判りませんが。

そこまでして出張に行った理由とは。。。

しかし、当時の私はなぜそんなに意固地になってまでも出張を強行したのでしょうか?
それは私がいわゆる「社畜」だったわけではありません。

実は当時の私は会社が募集していた希望退職に応募していました。
この1か月後には退職することになっていて中国への出張はこれが最後の予定でした。
別に出張自体は中止でも良かったのですが、仲良くしていた現地のスタッフたちに退職することを黙っていたため、どうしても直接会ってあいさつしたいと思っていたのが大きな理由です。

彼らへの挨拶は今回がラストチャンス。再度の出張はあり得ません。
こうして、何とか無事にたどり着きその場で退職を報告。その夜は盛大に送別会を開いてもらいました。

それ以来、彼らには会うことが出来ていません。(メールなどでは時々連絡していますが。)

こういう悪天候の時には、今でもその時の行程の過酷さと、現地についてからのお別れの挨拶の記憶が蘇ってしまい何とも言えない気持ちになります。

最近ようやく落ち着いてきましたので、プライベートで一度は現地を訪問してみたいと思っています。もちろん、天候には充分注意が必要ですね。