部屋の中に落ち着く作業スペースができるように模様替えをしよう、しよう、としばらく考えてはいるのだけれど、結局ぶらぶらと歩き回ることがあまりにも好きで、そうしているあいだに遠くに過ぎ去っていった友達や、これから出会えるかもしれない色んな人々のことを暖かく想い、その小さな灯だけが行動するための元気をくれるので、いつまでも模様替えが進まない。
そうしてまた歩いては入ったカフェで、近くの席の男性二人のうちの一人はなにかの勧誘を熱心にしていて、その声があまりに大きいので、少し困ったあとで、アイスティーを飲み込みながらやっぱりお家に作業場を作ろうと思う。ずっとそんな繰り返し。

ミスiDというオーディションに参加していて、気づけばしばらくの時が経ちました。私はプレエントリーという、一般応募より一歩早い段階の時に応募したので、かれこれ半年以上「候補者」をしている。
どうして応募したのか、どんなオーディションなのか、というところは全部始めのこの記事http://blog.livedoor.jp/toda_makoto/archives/19268068.htmlに書いていて、それはずっと変わっていない。
色々な女の子がいる。18歳以下の子もいるし、きっとアイドルをしていくうえでAV女優と接することがデメリットになりえる子もいるかもしれないので、ほとんどの女の子とは会話を交わしたことはないけれど、実はけっこう見ている。あんまり話さないけど、私はけっこうミスiDが好きで、けっこう希望だと思っているところがある。どう頑張っても効率化されない、大きな利益や個人のみみっちい得のために動くにはあまりにも優しく、人間として誇りの高い人たちが、大人らしさを忘れるほどに駆けずり回ってこの世界の中から宝物を探している。それも、この世にとって宝物でない女の子など一人だっているはずないという夢物語を地で行きながら。きれいごとを言いたいわけでも、媚を売りたいわけでもないけれど、「そんなに丁寧に生きたら死んでしまうよ。」と注意したくなるような人の仕事を見ることは、いつも勇気になるから。力になりたいと思う、力になれるような人になりたいと思う。そのための方法を探して、結局応募した自分がいる。誰視点なんだよと思われるかもしれないけれど、私視点だし、私はこの世界の力になりたいと思う。バカだから。

感動するところも戸惑うところも山ほどあるけれど、多様性を認めること、それを理屈だけでなくひとりひとりの違う人生を、表情を、言葉を、思想を、美学を、まぬけさを、意地悪さを、純粋さを、弱さを、怒りを、優しさを、諦めを、祈りを、見て、そして愛すべきところに出会うこと。それ自体が、人が自分で鞣していける確かな希望だと思う。
昨日は雨のお台場を歩きながら、今、どんな悩みを持つ人の手も引いていこう、とできっこないことを本気で思う。遠くのレインボーブリッジ、観覧車。90年代J-POPのスモーキイな電子ドラム。悲しかったら笑っちゃいけないとか誰も言っていないから。

昨日更新された、いつもの映画とお悩み相談のコラムは、「容姿」そしてもっと広い意味での、手垢のつかない「美」を探していくお話でした。


ミスiDの候補者の女の子の中にも、同じように悩んでいる女の子がたくさんいるのも知っていたし、もっとつよくそれについて悩んでいる人たちは応募すらしていなかったと思う。私だってずっと悩んでいて、きっと伝わらないけど悩んでいて。いつも、この連載は、一緒に悩んでいる。だから、お悩みを選ぶときも今すぐに答えの出せない問いを選ぶ。だから毎回苦労するんだけど(先月の文章なんかはずっとぼろぼろと泣きながら組んだ。最後のおとぎ話を書くように。大げさじゃなくて。)一緒に悩めてよかったな、と思う。画面の向こうに誰かいると思うと、投げ出さないでいい。腐らなくていい。足を止められないことを恐れなくていい。君と行ける地図上に答えがなくても、ちょっと待ってて、持ってくるよ。と言える。だからどこにでも行くんだよ。

なんだかんだで、毎回理詰めなところがあるのは私がそういう人間だからで、いつも自分の中に方程式があって、その繰り返しで何かを探しているからで。
だけど今回は、はじめて答えが出なかった。なんの公式も使い物にならない。どうしても、「まあいいじゃん。そんなこと。楽しいことをしようよ、たとえば綺麗な景色を見よう。」って、投げやりみたいに聞こえそうなそんな心の中の言葉が、ほんとうの光だと思ったから。

愛し尽くすことのコツは、無責任であることだと今、思う。違うかもしれないけど。愛は契約じゃなくて、約束でもなくて、もっと水みたいなものでいい。世界をもっと遠くまで、ぐるぐると飛んで行って形を変えてまたいつかここまで帰ってきた時にもちゃんとすぐに見送ってやれるような、軽やかなものがいい。

だから、今私は最高に無責任な気分です。ブスだから死にたいとか思うなら、私が君のこときれいだってぜったい本気で言うよ。そんな気持ちです。なんじゃそりゃ。私もね、本当にね、いやになるけど、いやになりきらない。なりきらないから、君もね。こんなところを読んでくれているだけでも、君の優しさと心と瞳の美しさを証明するよ、なんの足しにもならなくても。

ほんとうは、このお悩みを選んだ背景には、ミスiDの現ファイナリストの橋本ルルちゃんのデザイナーをした女の子のTwitterを偶然見たから、というのもありました。たぶんもう消してしまったツイートだけど。泣いてしまって、彼女にそんなふうに思わせた世界に途方もない、悲しい憎しみが湧きました。胸が張り裂けるように。
それでも、ルルちゃんはまぎれもない希望としてこの世に存在し、オリジナルの最強の美を、可憐さを、あたらしい愛嬌を、ふりまいています。ほかにも、ひとつとして同じ星がないように、ひとりひとりがこの世界のファム・ファタールであるように、そんな夢物語を地で信じたくなるように。だからあらためて、ここに点在しているのは、漂白することのできない希望だなと思います。ここに書いていいのかわからないけれど、そんな光と、リスペクトも込めて。

今回も、お写真を飯田エリカさん、編集をKAIYOU長谷川さんに担当していただいています。お二人とも本当に素晴らしい仕事をされる方で、純粋にものすごく尊敬しているのですが、そういう気持ちとは別に、なんだか素直に「仲良しになれて嬉しいな。」という気持ちでお二人を愛しく思います。これからも、泣いたり笑ったりしながら、いつも、答えを探して共に歩く道が本当の財産であるように、匂いも色も光も全部覚えていよう。

好きな女の子へのお誕生日プレゼントがちゃんと届いていたこととか、ビートルズのIn My Lifeが好きだったのを思い出してノートに歌詞を書いてみたこと、応援してくれている人たちが素敵な映画のブルーレイディスクをたくさんくれるのでいい加減ブルーレイのプレイヤーを買わなきゃいけないなと思ったこと、雨だからずっと眠かったこと。そんな今日のことも大好きでした。明日もがんばろうね。