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2016年07月26日

こんにちは!
博士課程1年生のヤナギモトです.このブログを書くのはすごい久しぶりです.
今回は,私の研究について書こうと思います.

私は今,博士課程1年生です.博士課程というのは,学部を卒業して,大学院の修士課程を終えて,そのあとに進むコースです.周りの同期たちは殆ど就職している中で,まだ学生をやっているのは時々焦りを感じますが,研究を思う存分できる環境はありがたいものです.

私の研究分野は破壊力学と呼ばれるもので,どのようにモノが破壊するか,そのメカニズムを探求する分野で,安全・安心な社会の構築には欠かせない分野です.その中でも,私は特に鋼材の脆性亀裂伝播・停止挙動の定式化に向けた研究を実施しています.

鋼材の破壊の様式は大きく分けて二つあります.一つは力を徐々にかけていくと大きく変形しながら引きちぎれる延性破壊,もう一つは荷重が低くても低温だったり変形速度が速かったりすると起きる脆性破壊です.このうち,脆性破壊は材料の内部に存在する微視的な欠陥(ひびわれみたいなものです)を起点として発生するのですが,材料内部の欠陥などを完全に除去することは困難です.特に,大型鋼構造物(船舶やLNGタンクなど)では溶接が用いられますが,溶接部の完全な制御はほぼ不可能です.
勿論,脆性破壊に対する抵抗値である靭性(英語でいうところのtoughness)の基準が設けられているのですが,脆性破壊は材料中の微小なひびわれからでさえ生じてしまうので,完全に防止することは難しく,一度脆性破壊が発生しても,構造物全体に致命的な損傷が生じる前に破壊を停止させる(亀裂が伸びるのを途中で止める)ことが重要です.このような,鋼材が有する脆性亀裂停止性能をアレスト靭性と呼びます.私は脆性亀裂の伝播現象を記述する支配方程式の解明を目指して研究をしています.

脆性亀裂は時として1,000m/sを超える速度で伝播するような,非常に高速な現象です.また,当然ですが鋼材は透明ではありませんので内部で何が起こっているのか直接観察することは不可能です.そのため,鋼材の脆性亀裂伝播現象は複雑な破壊現象の中でも特に難しい問題として知られています.そのため,未だに亀裂が伝播あるいは停止する条件は定量的には示されておらず,様々な議論がなされています.私の研究は亀裂伝播条件を実験と計算両面から明らかにしようというものであり,数十年続く議論に終止符を打ちうるものだと自負しています.

こうした脆性亀裂の伝播現象解明は何に役に立つかというと,構造物の安全性確保につながります.私の研究で特に対象としているのは大型船舶ですが,船舶に使用される鋼材のアレスト靭性に関する規定は数年前に初めてできたばかりで,まだまだ発展途上にあります.私も参加していますが,どのくらいのアレスト靭性があれば安全を確保できると判断するかに関する委員会も現在進行形で活動しており,私の研究はそうした活動に理論的な基盤を提供するものです.
実のところ,アレスト靭性に関する研究は国内外を問わず鉄鋼メーカー各社で盛んにおこなわれています.こうするとなんで大学で行う必要があるのか?と思われるかもしれません.実際,製品開発のための研究開発では大学よりも企業のほうが設備・人員・ノウハウなどの面で有利ですし,大学の強みは必ずしもあるわけではありません.しかし,多かれ少なかれ経験的な知見に頼っている企業の研究開発を支える理論の構築こそ大学の仕事ですし,様々な知見を活用しやすい大学の強みを生かせる研究です.
とはいえ,実際には企業の方と協力して研究を進めることも多く,産学連携の一形態として理想的な動きをできているのではないかと思います.

鉄鋼は非常にありふれた材料であり,一見研究しつくされたかのように見えます.ですが,実のところまだまだやることはたくさん残っていて,最先端の研究が大学でも行われています.最近では鋼材に代わる構造用材料としてCFRPなども現れていますが,使いやすさやコスト,安全性等の面で鋼材の強みは今後当分は失われないでしょう.鋼材は必ずしも見栄えのいい研究ではないかもしれませんが,社会の繁栄を支える重要な材料です.もし興味があるなら,一度ぜひ調べてみてください.



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todai_guidance at 18:00|PermalinkComments(0)TrackBack(0)clip!大学院 | 工学部

2016年07月19日

2016年05月24日


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