2014年12月19日

「東大生が大切にしている言葉」@オオキタカフミ

こんにちは!

経済学部3年のオオキタカフミです

先週に引き続き「東大生が大切にしている言葉」というテーマですが、

僕が大事にしている言葉は


「与えられた環境の中で最大限努力する」



「頭とハートで勝負する」


この2つです。

2つとも中学校のバスケ部の顧問の先生がいつもおっしゃっていた言葉で、
いわゆる強豪校ではない普通のバスケ部である自分たちが試合に勝つためにどうすればいいか、という意味でおっしゃっていました。

個々人の能力が限られ、練習環境も決していいとは言えない状況の中で、そのような状況に文句を言わず、自分たちができることを最大限やる。

ただ、そのなかでもただがむしゃらに努力するだけではなく、どうすれば勝てるか、どうすればうまくなれるか、常に考え、試行錯誤しつづける。

この精神というのはバスケに限らず、勉強でも仕事でも何に対しても応用できるものだと思い、大学生になった今でも忘れずに大事にしています。



と、ここまでまじめに書いてきたのですが、

まじめに書いてばかりでもなんなので、
今度は少し方向を変えて、逆に「自分が大事にしていない言葉」を紹介しようと思います。


それは

「運も実力のうち」

です。

僕はことわざ、格言の類いは比較的信じる方で、あまり実感がわかなかったり説得力を感じないものに出くわしたとしても、

「それは自分の経験や考えが足りないだけであって、昔から使われてきて現代にも残っている言葉なのだからどこかしら普遍性を持った言葉なのだろう」

という風に考えるようにしています。

しかしこの「運も実力のうち」に関しては、どうしても違和感を覚えるのです。

そのように感じる背景として、自分が経済学、特にその中でもミクロ経済学、行動経済学という分野を学んでいることが関係していると思うので、経済学について説明しつつ、「運も実力のうち」に違和感を覚える理由について書いていきたいと思います。

なんかとてもだらだらと長い内容になってしまう気がしますが、
経済学だけでなく心理学とか他の分野にも少し関係してくる内容なので興味ある人はぜひ読んでみてください!


経済学、特にミクロ経済学という分野では、一人ひとりの消費者(一つひとつの企業)の行動を個別にみていきます。

もし消費者がこういう状況におかれたら、きっとこういう風に行動するんじゃないか??
ということを考えていきます。

(経済学というとGDPとか金利とかを連想する人も多いと思いますが、ミクロ経済学にはそれらはあまりでてきません。)

そしてその消費者の行動を考えるにあたって、合理性と言うものを仮定しています。

「合理性」とは、簡単に言うと「消費者は自分の満足度が一番大きくなるようになるように行動するはずだ!」ということです。

例えば、Aさんという人がいて、Aさんはミカンよりリンゴが好きで、リンゴよりイチゴが好きだとします。
ここで、もしAさんがミカンかイチゴのどちらかを食べられるという状況になったらAさんはどちらを選ぶでしょう?

きっとミカンではなくイチゴを選ぶはずです。
なぜなら、Aさんはミカンよりも好きなリンゴよりも、イチゴのことが好きだからです。

これが合理性(のひとつ)です。

こう聞くと、合理性はとても当たり前のように感じます。

これを前提にミクロ経済学という分野が発展してきたわけなのですが、
近年、この当たり前に見える合理性を疑うような流れが大きくなっています。

つまり、現実では人々は合理的な行動をとっていないんじゃないか??ということです。

これについて研究している学問を、行動経済学と言います。

行動経済学では、心理学を用いて、人々の習性や思考のクセを発見し、人々がどのような場面で非合理的な行動をとるかということを考えています。

例えば、「フレーミング効果」と呼ばれるものがあります。

ある一つのグループに、以下のような質問をします。
「あなたはある難病にかかっているとします。その難病を治すには手術を受ける必要がありますが、その手術の成功率は90%です。あなたは手術を受けますか?」

また、違うグループの人に以下のような質問をします。
「あなたはある難病にかかっているとします。その難病を治すには手術を受ける必要がありますが、その手術の失敗率は10%です。あなたは手術を受けますか?」

成功率90%と失敗率10%の手術はどちらも同じもので、表現を変えたにすぎないので、人々が合理的に(この場合「冷静に」と言った方がいいかもしれません)判断した場合、どちらのグループも手術を受ける人の割合は同じはずです。

ところが実際には後者の方が手術を受けると答える人の割合が低くなります。
これは、成功率を示された場合よりも失敗率を示された場合の方が失敗した場合のことを考えやすくなり、リスクを過大評価してしまうという「人間の思考のクセ」があるからだと考えることができます。

このような、同じ事実でも表現方法の違いによって異なる反応が起きるという「フレーミング効果」のほかにも、物事を判断するときに全く関係のないものに影響されてしまうという「アンカリング効果」や、自分の行動にたいして自信を持ちすぎてしまうという「自信過剰」など様々な「人間の思考のクセ」が行動経済学ではあげられています。

そしてその中に、後知恵バイアスというものがあります

この「後知恵バイアス」を紹介したくてそもそも経済学とは何なのかというところまでさかのぼってしまいました。

「後知恵バイアス」とはその名の通り、なにか結果が出たあとに、その結果が起こることを自分は予想していたと勘違いしてしまうということです。

これに関して、ある実験が行われています。

たくさんの被験者に、アガサクリスティーの書いた本の数を推定してもらったところ、その回答の平均は51冊でした。
ところが後日、正解が67冊だったことを被験者全員に伝え、自分が回答した数を思い出して答えてもらうと、その平均が63冊にあがったと言います。

つまり、正解を知る前の自分の予想を忘れ、あたかも自分が67冊という正解の数を知っていてそれに近い数字を予想したと勘違いしてしまったのです。

これが「後知恵バイアス」です。


ここでようやく「運も実力のうち」という言葉に戻るのですが、

(前置きがほんと長くてすみません)

「運も実力のうち」もしょせん後知恵バイアスに引っかかっているだけなのではないかと感じるのです。

例えば後知恵バイアスを受験に置き換えると、こうなります。


Aさんがある試験において、合格率20%の実力しかなく、Aさんもそれを知っているとします。

ところがいざ試験を受けると、Aさんは見事20%を引き当て、合格しました。

するとAさんは例えばこう考えるのではないでしょうか。
「合格したってことは、自分はきっと合格率50%の実力があったんだ!」

そしてそれを正当化してしまうのが「運も実力のうち」です。
運が良かったにすぎない場合も実力があったと考えてしまう、ということなのです。

でもそれは行動経済学的に言うと後知恵バイアスにすぎません。

うろ覚えの話で、どこで聞いたかすら覚えてないのですが、
東大の入試をやり直したら合格者の40%が入れ替わってしまうのではないか、
という話もあります。
(間違っているかもしれないのであまり信じないでください笑)

自分の経験を考えてみても、自分は浪人をしているのですが、
入試に落ちた時は実力不足に加え正直アンラッキーの要素もあったと思いますし、
受かったときも当然ラッキーの要素も大きかったと思います。

したがって僕個人としては、運は運、実力は実力で別ものだと思います。

ただ、ここで何点か強調しておきたいことがあります。


1点目は、「運は運、実力は実力」という話と、努力するかどうか、という話は別物だということです。

受験に関して言うと、「受かるかどうかがそんなに運の要素が強いなら勉強してもしなくてもあまり変わんないじゃん」と考えるのではなく、

「受かる確率があるんだったら、少しでもその確率があがるよう努力しよう」と考えてほしいということです。

また、もし努力が結果に結びつかなかったことがあったとしても、その努力したこと、というのはどこかできっと役に立って、無駄にはならないだろうと思います。
(なんか偉そうで説教ぽいことを言ってすみません)


2点目は「運も実力のうち」という言葉が悪い、と言っている訳ではないということです。


確かに行動経済学的にみれば「運も実力のうち」の多くは「後知恵バイアス」という錯覚にすぎないかもしれませんが、、見方は行動経済学だけでなくほかにもたくさんはあります。

それに、正しい、正しくない以前の問題として、「運も実力のうち」と考えたほうが楽しい場合もたくさんあります。

入試で言えば、「自分が受かったのは運がよかったからだ」と考えるよりも、「自分が受かったのはあれだけがんばったからだ!」と考えた方が何となく明るい気分になれそうですし、「次もがんばろう」ってなる気がします。

宝くじに当たったときも、「何分の1の確率が偶然あたっただけだ」と考えるよりも、「長年買い続けた努力がようやく報われた!」って考えた方がロマンがあります。



以上、専門的なことと個人的な考えをだらだら書いてしまいましたが、
読んでくれた人はありがとうございました(^^)/

長くなったついでに、経済学の名言を最後に紹介して終わりたいと思います。
興味のある人は調べてみてください!

“Cool heads but warm hearts”
                ーー Alfred Marshall




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