系統番号31番 【三ノ輪橋】~【都庁前】
最終運転日 昭和44年10月25日

都電全盛期の写真集などを見ていると、必ずといっていいほど出てくるのが、東京駅舎を背景に走る電車の姿ですが、そこに写り込む系統が、城東地区からの28番、そして【三ノ輪橋】からの31番です。どちらも【都庁前】と下町エリアを結んだ系統ですが、31番のルートを地図でなぞる度に、この路線は東京の表玄関と裏口を結んだ系統だと思わずにはいられません。東京駅丸の内口が東京の表玄関であることは、まず異論がないでしょう。では裏口ですが、これは31番の車窓風景でも特に個性的といえる、【竜泉寺町】【千束町】【入谷町】付近、すなわち吉原を控えた浅草の裏通りを走るあたりです。吉原通いの男たちで賑わった車内を想像しながら線路跡を歩くのも、面白いでしょう。【千束町】から【入谷町】にかけてのクランク状のカーブも、見どころのひとつでした。

起点の【三ノ輪橋】は、既に21番や27番でもご紹介の通り、現在の都電荒川線のターミナルから狭い通路を抜けた先の日光街道上にありました。【千住4丁目】と【水天宮前】を結んだ21番の電車が行き交う中、その合間を縫って31番の電車は折り返していました。

管轄は三ノ輪車庫で、こちらも「系統番号21番 その6」でご紹介済みですので、ご参照下さい。31番が車庫を起点とせず、そのひとつ先の【三ノ輪橋】を起点としたのは、旧王子電軌の27番との接続を意識してのことでしょうか。

それでは早速、都会の裏口から華やかな表玄関への旅に出発することにしましょう。21番と分岐した【三ノ輪車庫前】をスタート地点としますが、途中の【蔵前1丁目】から【室町3丁目】までは22番で、【丸ノ内1丁目】から終点の【都庁前】までは28番でそれぞれご紹介済みですので、ここでは【三ノ輪車庫前】から【蔵前1丁目】までと、【室町3丁目】から【丸ノ内1丁目】までの区間を辿ります。

*本文中の【 】は、電停名です。

31minowa
昭和25年5月の路線図から(「東京人」1997年1月号付録)

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