実のならない椰子の木

当ブログはアイカツマイキャラストーリーと日々の由無し言を呟くところです。

この星も宇宙という大きな生き物の臓器なの。
人間たちは宇宙の体液。流れる血潮。そして精液。いつかこの星を飛び出して、宇宙を飛び出して、他の宇宙に着床する。宇宙と宇宙の避妊具なきセックス。アフターピルは焼き尽くせ。あんたがママになるんだよ!!!!

宇宙が宇宙に恋をして。
宇宙と宇宙がキスをして。
恋する、キスする、あたしたち。
地獄に落ちるその時までに、命短し春売れ乙女。いずれ宇宙に売っちゃる春ならば。
お前に捧げる操はないさ。
地獄のソコから♡してる。
地獄のアソコから♡してる。

あたしたちは他宇宙に着床する選ばれし人間。

人類、進化の懐胎。
懐胎のプレリュードが始まっていたのです。
即ち、"GO"と称される種の起源の逸脱者。
イク、絶頂、自慰であり、業。

あたしたちは純潔でなければならない。たとえ童貞を捨てても。たとえ処女を散らしても。
地獄に落ちても♡を叫べるように。
地獄のソコから♡を叫べるように。


ゲートを潜って外に出ると、急に抵抗がなくなったからか、イッキューちゃんを持つ手元が軽くなる。やけに大人しいなぁ、と疑問に思って足元を見ると、


そこには、干からびた汚らしい"何かしら" があった。


「ぎゃわぁあああああああああああ!?」

思わず乙女らしからぬ悲鳴を上げながら素早く飛び退く。ふと手元を見ると、何故か右手に黒ずんだボロ布を握りしめていた。

「ナ、ナニコレ......

「やしのきちゃぁん」

「この声は......イッキューちゃん!? あれ? ど、どこ?」

そういえばイッキューちゃんがいなくなったのだったと思い出し、慌ててプリズムストーン内を見回す。けど、声はすれども姿はない。ここにいるのは私と、干からびた汚らしい"何かしら "だけ。

......ということは、まさか。

.......もしかして、イッキューちゃん?」

よく見たらやや褐色の肌に、結わんではいないものの癖のある橙の頭髪は、プリパラでのイッキューちゃんの特徴にぴったり重なる。今にも事切れそうなほどの弱々しさを除いては。恐る恐る近づくと、腕と思しきものが持ち上がり、

......お腹、空いた」

再び糸が切れたようにパタリと下ろされた。

「わぁああああ!? 大丈夫!?」

「たべ、も、の、を......

「ちょ、ちょっと待って!確かパンを持ってきて......あれ、どこにやったっけ!?」

「パンならここにありますよー!」

あわあわと探し回っていると、めが姉ぇが今朝買ったばかりのパンを持ってきてくれた。どうやら預かってくれていたらしい。しかもいつの間にか温めてくれてある。親切だ。

「ありがとうめが姉ぇさん! ほら、イッキューちゃん!」

「あ、ありがとうやしのきちゃん.......むぐむぐむぐむぐむぐむ、ゴホゴホッ」

「パンは逃げないからゆっくり食べて! はい、お水」

気を利かせてめが姉ぇが持ってきてくれた水をイッキューちゃんに渡す。コップを持てるくらいの力はあるらしい。

「ぷはぁっ! 蘇ったよ~!」

「大丈夫なの?」

「大丈夫大丈夫! 3日間絶食だっただけだから」

「全然大丈夫じゃないよ.......とりあえず、どこかで休んだほうがいいよね。私のうち、くる?」

「ホント!? ありがとう~」

事情を説明するのは面倒くさそうだけど、そうも言ってられない。とりあえずさっきみたいに死にかけではなくなったけれど、立ち上がる力はまだあまりなさそうだし、またいつ倒れるかわからない。それに身なりもどうにかしたほうがよさそうだ。

「ていうかほとんど全裸じゃん......

「服は売っぱらっちゃったからね! ガハハ!」

「ガハハじゃないよ......とりあえず、行こっか」

「うん!」


「その必要はありません」


イッキューちゃんの手を引っ張って立ち上がろうとすると、出入口からどこかで聞き覚えのある声が聞こえてきた。

手を止めて振り返ると、そこにいたのは......

「あれ、あなた。今朝の......

「みずぽです」

「そう! みずぽちゃん...... あれ?」

「なんです?」

「いや、ううん。なんでも」

「そうですか」

おかしいなぁ。みず"" が正しかったのもそうだけど......こんなツンケンした感じの子だったろうか。もっとオドオドした感じだったような気がするんだけど。

「ワタクシのところの方が近いです。ついてきてください。今朝のお詫び、だそうです」

「え? う、うん。ありがとう......

話を聞いていたのか、どうやら自分の家に連れていってくれるらしい。にしても、「だそうです」ってなんだろうか。照れ屋なんだろうか。

「イッキューちゃん、立てる?」

「ワハハ! だっこ」

「はいはーい.......って臭ッ」

この服、最近買ったばっかりなのになぁ......トホホ、とか心中で泣き崩れながら、でも自分から言い出したことだから仕方ない、仕方ないんだけど ......

などと一人葛藤しているうちにみずぽちゃんはずんずん先に進んでしまっていたようで、立ち止まって私達がやってくるのをじっと待っているのが見えた。無表情で。

「ごめんごめん!」

「いえ」

追いつくと、何でもないように進行方向に向き直って再び歩き始めるみずぽちゃん。

(ホントに同一人物なのかな......瓜二つの双子、とか)

それにしたって同じ名前はつけまい。

お互い無言の中、私の頭の中ではぐるぐると疑問が駆け巡っていた。


「あ、やしのきちゃんのうなじイイにおい~」

「嗅がないで!!!」


scene.4に続く

「スカイドリーム...... アイドル新世紀......?」

金森ビオラの宣言に、ざわめきが一層大きくなる。初めて耳にするワードに、一同の頭上には特大級のクエスチョンマークが浮かんでいた。

「皆さん、あれなるはスカイドリーム.......ドリームシアターにあらず。私達の、次なる舞台」

はっ、として目線を下げるとーーー確かにドリームシアターは依然としてそこにあった。言われてみれば、非常に似ている外装ではあるものの、目を凝らして見てみると仔細異なる部分が多々あり、殊に天頂部周辺から伸びた幾つもの柱のようなデザインはドリームシアターには無かったものだ。

「私も詳しいことは知らされておりませんが......確かなことは、これが私たちの新たなる船出であるということ。運命の日は、明日」

ビオラは大仰な身振り手振りで、

芝居じみた口調で、

「それでは皆さま、またお会いできる時まで。アデュー」

妖艶で、奥底知れない笑みをひとつ残して。

瞬きの間に、ビオラは姿を消した。

「あっ、ちょっと待っ」

「消えた消えた! すごいねぇ!」

...........はぁ」

「どしたの?」

「いや.......何でもない」

何でもないことはなかった。それどころか、私の頭の中では未だに警報がけたたましく鳴り響いていた。

あの人は、金森ビオラは、以前の私を知っている。

それは、どうってことでもないはずなのに、何故かとてつもなく嫌なカンジがした。


『プリパラパンポーン♪ 明日からのスカイドリーム開設に伴い、臨時メンテナンスを開始しまーす! システムでーす!』


めが姉ぇのアナウンスが入ると、園内の照明が急に落ちて真っ暗になってしまう。辛うじて、出入口まで続く道までの街灯だけは点灯してるようだった。初めてのことだった私はドキッとして周囲を見回すけれど、どうやら他の子達にはいつものことらしく、スカイドリームや金森ビオラのことを口々に話しながら出入口に向かっていた。

「な、なんかちょっと怖いねイッキューちゃ」

「えええええええ!? 今日はもう終わりなのぉ!?!?!?」

声をかけようとしたらこの世の終わりみたいな顔をしてイッキューちゃんが泣き叫ぶ。

「ヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤーーーーーダーーーーーーーーー!!!!!!!!!」

『うるさいでーす! システムでーす!』

鼻水を垂らしながら泣き叫んだかと思うと、ついには仰向けになってじたばたと駄々をこね始めるイッキューちゃん。私はというと、ちょっと引いていた。

いや、ドン引きしていた。

『お友達のやしのきさーん! よろしくお願いしまーす!』

「あっ、はい.......ほら行くよ、イッキューちゃん」

私は暴れるイッキューちゃんの襟を掴むと、そのまま出入口までズルズルと引きずって行く。

「いーーーやーーーーー!!!! ずっとプリパラにいるのーーー!!!! あたしのおうちはプリパラなのーーーーー!!!! いーーーーーやーーーーーーだーーーーーー!!!!!」

「しょうがないでしょメンテナンスなんだから.........はぁ」

ラッキーで、そうでもなくて。

良いことばかりじゃないけど、悪いことばかりじゃない。

そんな一日、だったけれど。

今日はまだ一波乱どころじゃなく、何かがある。そんな予感が、悪寒が、していた。


scene.3に続く

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