実のならない椰子の木

当ブログはアイカツマイキャラストーリーと日々の由無し言を呟くところです。

その日もやっぱり夢を見た。

幼い頃の私の夢。

お気に入りの人形を抱きながら見る、私と人形の夢。


最初は私だけが独り、白い靄のただ中に座り込んでいる。

やがてその靄を払っていくように、徐々に夢の視界が広がっていく。

夢の舞台はいつも、記憶にある私の家だ。

狭いけれど温かい、アパートの一室。


ベランダへと繋がる、ヒビの入った窓ガラス。

向こう側に映った自分をじっと見つめる私。

キッチンから聞こえてくる、カチャカチャとお母さんが食器洗いをする音。

つけっぱなしのテレビ。

薄く黒ずんだカーペット。

壊れた空調機と、じめっとした空気。


それから、誰かの泣き声。


泣いているのは誰だろう。

泣かせたのは誰だろう。

泣き止まないのは誰だろう。


泣き止ませたのは誰だろう。


ーーーノゾミ。

ーーーノゾミ。

ーーノゾミちゃん。


ーーーノゾミ。

ーーーお願いだから、■■■■■■■■■



目覚めると全身がびっしょりと汗で濡れていた。僅かに乱れた息を整えて、パジャマの裾で額の汗を拭う。

............はぁ」

知らずとこぼれた溜息は安堵によるものだろうか。あるいは憂いによるものだろうか。

どちらにせよ、私が今も不安定な状態から抜け出せていないことは明らかだった。


スターライトクイーンカップ。

先週おこなわれた、スターライトの頂点となるアイドルを決める一大イベント。スターライト学園に通う者であれば誰もが夢を見て、いつかは自分がと願うクイーンの座。

それはもちろん私も。"私たち"も同じだった。

同じだったはずだ。


結果から言うと、私は10位にすら入らなかった。クイーンなんて夢のまた夢。私がトップアイドルになれるわけがなかった。

でもあの日、ライブができるわけがなかった。そうだよできるわけないのになんでかいなもあきもあんな顔してライブができるのおかしい意味がわかんないだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだって


ライブが始まる直前、あの子は消えた。


叶美は、ライブをすることなく、忽然と姿を消したのだから。


(続く)

o.o.p

暮れ塞がる空の下、何の変哲もない公園は喧騒に包まれていた。
周囲は立ち入り禁止のテープが張られ、張り詰めたオーラをまとった警官たちが悪鬼か般若かといった具合に恐ろしい形相で押し寄せる人群を睨みつけている。
「ナベさん、こっちもざっと確認したんすけど。変なヤツはいないっすね」
「そうか。しかし変なヤツってぇのは見かけだけじゃあわからんもんだ」
「手掛かりもないときたら、こりゃもうお手上げですよ」
若輩の刑事が語る通り、インフェルノの一連の事件には、その殺害の猟奇性を除いて一切共通項、手掛かりがない。既に彼らは5件目だが、雲を掴むような捜査が続いている。事態は難航を極めていた。
「にしても、今回もひっでぇもんでしたね」
「腹ァ引き裂いた上に汚ねぇモンぶっかけやがって。イカれたもんみるのはもう御免だ」
ナベと呼ばれた壮年刑事が懐から煙草を取り出す。
「最島、火」
「職務中っすよ」
ごん! と鈍い音が鳴る。最島の頭頂にナベ、間鍋の拳骨が振り下ろされた音だった。
「間鍋さん、連れてきました」
最島と間鍋がじゃれあっていると、スーツ姿の女性が冷めた目と少女を伴ってやってくる。
「おう、お疲れさん」
「随分楽しそうじゃないですか。あんまりおかしなものを見たから、気でも触れたのですか」
「はっはっは! 辛辣だねぇ、ヤグさん」
「お身体の心配をしただけですよ、ナベさん」
ヤグさん、八草は、終始鉄面皮のまま会話を終えると、そそくさと自分の持ち場へと去っていった。残されたのは少女。
「それで、キミだね。第一発見者ってのは」
最島の質問に、こくりと頷く少女。見たところ中学生くらいで、それなりに整った顔立ちをしている。夜闇に紛れそうなほど深く暗い黒のワンピースに紅色のワンピースといった装いで、真白く、そして折れてしまいそうなくらい細い四肢と相俟って人形のような印象を受ける。
そうして見ると、右手の日傘やベージュのショルダーバッグが小道具じみてきて、何だかミニチュアの世界に迷い込んだような錯覚に陥りそうになる。
「名前は?」
「ナナセワタリ」
八草と似たような起伏のない声。第一発見者と言う割には動揺しているようでも、あるいは凄惨な事件を前に気分を悪くしたり憔悴したりといったようでもなさそうだった。単に表に出さないだけかもしれないが。
「へぇ、それはどうやって書くの?」
「七つの星に、航路の航、李下に冠を正さずの李」
「七星航李ちゃん、ね。いくつ?」
「歳は、忘れた」
「え?」
予想だにしなかった返答に思わず変な声が出てしまう最島。するとそんな間鍋に追い討ちをかけるかのように七星航李は立ち上がって、
「ワタシは『黒き流れと拡がり』から追放されし星槎の漕ぎ手.........七つの星を航る者! 幾星霜の時、幾光年の航海を経て、正しき齢はアンドロメダー、星の彼方! それでも解を求めるのであれば、ワタシがこの"終焉りの輿地"-the last-に辿り着いた時より数えて十六と十月余り、とだけ」
「ちょ、ちょっと待って航李ちゃん! もっと僕に分かるように説明してくれないかな!?」
「何、確かにワタシはこの星の言語にチューニングした筈だが」
「あ、え、えっと」
「嬢ちゃん、こっちは真面目に訊いてんだ。頭ン中の話は後にしてくれ」
埒が明かないと思った間鍋が、戸惑う最島を押し退けて七星に対峙する。
「真面目? ワタシは大真面目だ! お前こそ、人と話をする時に煙草なんぞ咥えおって」
「ん、あぁ。すまんね」
ポータブルの灰皿を取り出して煙草を消している間も、七星は鼻を摘みながら不快そうな目で間鍋を睨んでいた。どうやら嫌煙家らしい。
「それでだ。細かい事情は署でじっくり訊きたいところだけどよ......お前さん、"犯人を見た"そうじゃねぇか」
「......いかにも。ワタシは確かにこの目で『あの女』が長崎理美を殺害する瞬間を目撃した」
「『あの女』? 女ひとりだけだったってのか」
「そうだ」
またもや予想外の言葉に、間鍋と最島が顔を見合わせる。
じゃあ、あの大量の精液は?
「女にちんこが生えたのじゃ」
「ーーーは?」
まるでふたりの考えを見透かしたような七星の台詞に、耳を疑う。
そして、その荒唐無稽な内容にも。
呆気にとられる間鍋たちの表情を満足げに眺めると、七星はニヤリと笑い、
「ひとつだけ言っておこう」

「女のちんこはーーーーー美味い」

ーーー少し先の未来。変わっていく私たちと、変わらないもの。

ーーー忘れませんように。



ある夏の日の昼下がり。

スクールでの午前中のレッスンを終えた木実たちは、レッスンルームにお弁当を広げてわいわいと喋りながら、今日のレッスンやライブの予定、他愛のない話に花を咲かせていた。


イッキュー「疲れたぁ......もぅヘトヘト~。午後のレッスンやりたくなーい!」

木実「こんなんで音上げててどうするの」

みずぽ「そうですですよ。まだまだワタクシたちは駆け出しユニット。むしろこれからです!」

プラスチックの串でミートボールを突き刺して口に運び、満足そうに頬張るみずぽ。女の子座りの木実と、対称的にお腹を出して大の字で寝そべるイッキュー。

イッキュー「違うの~、あたしはレッスンよりライブがしたいの~!」

木実「とか言って、レッスンを甘く見てるからこないだのライブでワンテンポ遅れるんだよ。イッキューちゃんはもっと基礎を大事にしないとーーー」

???「.........Um。確かにイッキューの歌は勢いはあるがまだまだ荒削り。ルォーーーーッック............... とは言い難い」

突然、話に割り込んでくる男性の声。入口付近の壁にもたれ掛かる、謎のダンディ(?)が。

木実・イッキュー・みずぽ「この声......あ、あなたはまさか!?」


ロッQ「ヘイェアボイズェンガァーッル......今日もルォッック、してるか?」


イッキュー「.................誰?」

木実「さぁ?」

みずぽ「本編未登場ですからね。知ってるわけないのですです」

ロッQ「番外編だからナイスガイをBANというわけか.............. 腕を上げたな少女たち」

イッキュー「は?」

みずぽ「こんなサブいギャグは生まれてこの方きいたことがありませんです。やっぱりこの人知らない人です。ここはスタッフオンリーなのです。部外者はとっとと立ち去れなのです。ですです。DEATHDEATH

形容しがたい何かを取り出しながらロッQ、いや、不審者に近づくみずぽ。

不審者「お、おいおい待てよレィディその得体の知れないウェポンをまず下ろそうじゃないか違う振り下ろすんじゃない待て待て待て待て待て、ちょっ、木実、何とか言ってやって」

木実「ちょっとやめて触らないでください! すいませんこの人チカンです!」

イッキュー「何ですってこの女の子の敵ー! 現行犯逮捕!」

不審者「オーーーゥウェイウェイウェイ!! オルェは肩に手を置いただけで」


みずぽ「強 還(by 宇宙パワー)」


不審者「NOOOOOOOOOOOOOOOOH!」


どこからともなく現れた警察官に拘束されて連れていかれるロッQ、もとい不審者。

こうして再び、彼女たちは平和を取り戻したのだった。

この世に栄える、悪はなし。



数時間後、ようやく釈放されたロッQを連れて帰る木実たち。


ロッQ「デンヂャラァス......あと一歩間違えていたら有志を集った投石刑が始まるところだったぜ」

イッキュー「ダメだよ今度からは自己紹介しなきゃ。うっかり不審者扱いしてなんやかんやで極刑にかけちゃうんだから」

みずぽ「ですです。それに肩なんてほとんど性器みたいなもんなのです。気安く触るんじゃないのです。痴漢は犯罪なのです」

ロッQ「オルェはどこから切り込むべきなんだ......

みずぽ「あ、でもそう考えるとオフショルダーの木実さんは性器丸出しの痴女ということになりますね。なるほど」

木実「なるほど、じゃないんだけど......

ロッQ「いやだがしかしレィディたちの申し分も一理ある。なのでここはひとつーーー」

椅子をどこからか取り出してきて片足をかけてポーズをとりながら、


ロッQ「オルェはここ、『PRIZM SCHOOL OF MUSIC ART』のオーナーにしてルォックとフリィードゥムを愛するミストェリアスドゥァンディ、ロッQ...... シャケナベイベ」


みずぽ「イマイチ何を言ってるのかわからないのです」

イッキュー「喋り方が気持ち悪い」

木実「あ、聞きそびれた」

ロッQ「もう少しオルェのハァトを繊細に扱うべきだぜ.........というかみずぽ、オルェはYOU の保護者だろうYOU.......

みずぽ「当たり前だと思っていることを一度立ち止まって疑ってみることも大切なのです」

ロッQ「そこは信じてみようぜ......

木実「あっ、もう3時過ぎだよ。午後のレッスンの時間が減っちゃう!」

イッキュー「えぇー! もうお開きにしようよー! 疲れたー!」

木実「そんなこと言って! ロッQさんが捕まったくらいじゃレッスンは中止にならないよ!」

ロッQ「!?」

イッキュー「めんどくさーい! ライブしたーい! ライブライブライブライブライブラーイーブー!」

タダをこねて騒ぐイッキュー。呆れた顔の木実とみずぽ。

木実「もう困ったなぁ......

みずぽ「ライブすると言っても、今日はプリパラがメンテナンスで入園禁止ですからね」

イッキュー「みずぽ! みずぽの力でどうにかならないの!?」

イッキューに鬼気迫る表情でガシッと肩を掴まれて顔が引きつるみずぽ。

みずぽ「う、うーん......ならないことはないのです、が」

うーんうーんと唸りながら、両耳をすっぽりと覆う"ヘッドフォンのようなダイヤル" を回すみずぽ。すると、そこから照射された虹色の光が集まって形を成し、奇妙なドアが現れる。

木実「......何これ?」

イッキュー「ただのドアじゃん」

みずぽ「いいえ、これはいつでもどこでもライブが出来るドア......略して『どこでもライブドア』なのです」

木実・ロッQ「.........

イッキュー「マジで!? やばーいテンアゲ~↑↑↑ どうやって使うの~???」

ぺちぺちドアを叩いて色々試し始めるイッキュー。

みずぽ「使い方は極めて単純です。付属のタッチ画面でステージ、曲、衣装を選択、あるいはプリチケをスキャンして、ドアを開けるだけなのです。ですがーーー」

イッキュー「よーっしプリチケスキャン完了~~そんじゃまーーー」

みずぽ「ままま待つのですこれはまだ最終調整がーーー!!!!」

イッキュー「ドンストップ! コーキシンおさえきれない~♪」

みずぽの忠告を無視して、ドアを開け放つイッキュー。


次の瞬間、開け放たれたドアの向こうから、凄まじい量のなんらかのエネルギーが溢れ出してくる。そのエネルギーの奔流に耐えきれず、空間に歪みが生じ始めてしまう。


イッキュー「あはは! みんな歪んでるー!」

木実「歪んでるのは私たちじゃなくてイッキューちゃんの方だよ!」

みずぽ「何かそのセリフかっこいいです」

木実「みずぽもバカ言ってないでーーー」

などというやり取りをしていると、ドアから嫌な光が漏れ始める。

それはお約束の如く......

ロッQ「ま、まずいぜこりゃ爆は」


ドォオオオオオオオオオオン!!!!!


と。ドアがよくわからない原理で爆発し、黒煙を噴き上げる。近くにいたイッキューちゃんはもちろん、木実たちも爆発の衝撃で近くの茂みに吹き飛ばされてしまう。


木実「いてててて......み、みんな大丈夫?」

イッキュー「こいつはたまげたぜ! わはは! 痛ぇ!」

お互いの服に着いた土や草を払いながら、無事を確認する。

爆心地である例のドアからは未だに煙が上がっているようで、視界が悪い。

その上.......

みずぽ「うぐぐ.......な、なんかアツくないですか?」

木実「ん、言われてみれば。も、もしかしてドアが燃えてるんじゃ!?」

みずぽ「何かが燃えてる気配は、ないのです」

イッキュー「夏だからっしょ~......?」

みずぽ「いや、夏だからと済ますには少々アツすぎるような.........



???「ハハハハハハハハハハハハハハ!」



どこからか聞こえてくる、誰かの高らかな笑い声。木実たちの頭の中は「!?」の大渋滞に見舞われていることだろう。

???「呼ばれて飛び出て.......じゃんじゃかじゃん、ってな」

やがて、煙が晴れた向こう側に、"彼女"が姿を現す。


そう、それは激しく燃え盛る烈火のごとく。

あるいは、光の尾を引く彗星のごとく。

あるいは、巨大な恒星の超新星爆発のごとく。


???「恥じらう花まで焼き尽くす、天下無類のバーニングアイドルーーー」

木実「こ、この声......!」

イッキュー「あなたは!」

みずぽ「まさか!!」


こころ「豪炎寺こころとは、あたしのことよ!!!!!!!」


ゴオッ!!! と、まるで辺り一面に炎の花が咲き乱れるような迫力に、木実たちが呆気にとられる。

突如どこからともなく現れた"バーニングアイドル"、豪炎寺こころちゃん。

果たして、彼女と木実たちの間に、いかなる関係がーーーー。


木実・イッキュー・みずぽ(だ、誰だこの人ーーーーーーーー!?!?!?!?)




part.2へ続く...

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