「スカイドリーム...... アイドル新世紀......?」

金森ビオラの宣言に、ざわめきが一層大きくなる。初めて耳にするワードに、一同の頭上には特大級のクエスチョンマークが浮かんでいた。

「皆さん、あれなるはスカイドリーム.......ドリームシアターにあらず。私達の、次なる舞台」

はっ、として目線を下げるとーーー確かにドリームシアターは依然としてそこにあった。言われてみれば、非常に似ている外装ではあるものの、目を凝らして見てみると仔細異なる部分が多々あり、殊に天頂部周辺から伸びた幾つもの柱のようなデザインはドリームシアターには無かったものだ。

「私も詳しいことは知らされておりませんが......確かなことは、これが私たちの新たなる船出であるということ。運命の日は、明日」

ビオラは大仰な身振り手振りで、

芝居じみた口調で、

「それでは皆さま、またお会いできる時まで。アデュー」

妖艶で、奥底知れない笑みをひとつ残して。

瞬きの間に、ビオラは姿を消した。

「あっ、ちょっと待っ」

「消えた消えた! すごいねぇ!」

...........はぁ」

「どしたの?」

「いや.......何でもない」

何でもないことはなかった。それどころか、私の頭の中では未だに警報がけたたましく鳴り響いていた。

あの人は、金森ビオラは、以前の私を知っている。

それは、どうってことでもないはずなのに、何故かとてつもなく嫌なカンジがした。


『プリパラパンポーン♪ 明日からのスカイドリーム開設に伴い、臨時メンテナンスを開始しまーす! システムでーす!』


めが姉ぇのアナウンスが入ると、園内の照明が急に落ちて真っ暗になってしまう。辛うじて、出入口まで続く道までの街灯だけは点灯してるようだった。初めてのことだった私はドキッとして周囲を見回すけれど、どうやら他の子達にはいつものことらしく、スカイドリームや金森ビオラのことを口々に話しながら出入口に向かっていた。

「な、なんかちょっと怖いねイッキューちゃ」

「えええええええ!? 今日はもう終わりなのぉ!?!?!?」

声をかけようとしたらこの世の終わりみたいな顔をしてイッキューちゃんが泣き叫ぶ。

「ヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤーーーーーダーーーーーーーーー!!!!!!!!!」

『うるさいでーす! システムでーす!』

鼻水を垂らしながら泣き叫んだかと思うと、ついには仰向けになってじたばたと駄々をこね始めるイッキューちゃん。私はというと、ちょっと引いていた。

いや、ドン引きしていた。

『お友達のやしのきさーん! よろしくお願いしまーす!』

「あっ、はい.......ほら行くよ、イッキューちゃん」

私は暴れるイッキューちゃんの襟を掴むと、そのまま出入口までズルズルと引きずって行く。

「いーーーやーーーーー!!!! ずっとプリパラにいるのーーー!!!! あたしのおうちはプリパラなのーーーーー!!!! いーーーーーやーーーーーーだーーーーーー!!!!!」

「しょうがないでしょメンテナンスなんだから.........はぁ」

ラッキーで、そうでもなくて。

良いことばかりじゃないけど、悪いことばかりじゃない。

そんな一日、だったけれど。

今日はまだ一波乱どころじゃなく、何かがある。そんな予感が、悪寒が、していた。


scene.3に続く