天井から吊るされたシャンデリアが、綺羅綺羅とテレビの光を反射して、真っ暗な室内の彼方此方に光の宝石を散りばめている。

テレビには、"イッキュー" "やしのき"のライブ映像が流れているが、心なしかイッキューに寄り気味のカメラワークである。

真っ暗な部屋で流れ続ける映像はしかし、そこにいる誰として目にとめてはいなかった。

「ようやく見つけた......っん、ようですね」

息を切らしながら、頬を紅潮させて、彼女は憑かれたように腰を打ち付けていた。

彼女が背後から両腕を掴んで支えている少女の臀部へと。テレビから聴こえてくるアイドルの歌をかき消さんばかりに、乱暴に音をたてて。

「あのッ......出来損ないがッ...... どこまでッ......役に立つかはッ.......わかりません、がッッッッ!!!!!」

「ーーーーーーァッ!!!」

「大丈夫ですよ......弟の前だからと言って我慢しなくても」

「ち、がう......んっ...... あいつ、はぁっ、兄だッ」

「そうなんですか。どっちでも構わないと思いますが。双子なんですし」

「うるせぇこのヤぁっ!?」

少女の意思に反して、情けない嬌声が部屋に響く。普段は吊り目で強気な彼女の表情が一瞬だけ堪えきれないとばかりに綻びを見せた。いつまで経っても慣れない感覚に歯噛みする彼女を嘲笑うように、再び蕩けるような波が下腹部に打ち寄せる。

部屋の隅にいる彼女の"" は、妹の醜態から目を逸らすように、俯いてただ彼女たちの密事の終わりを待っていた。

「床なんかと睨めっこして楽しいですか、アルト」

「はっ、い、いや」

「いや? イヤなら顔を上げてくださいな。愉しいものが見れますよ」

「バ、バカかッ!!! 余計なことをおッッ...... !!!」

「余計なことじゃありませんよポロン。だって、次はアルトの番なんですからぁ!!! フフッ、フフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフアハハハハハッ!!! アハッ!!! アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!!!!」

スイッチが入ったのか、ポロンが気を失っているのにも気付かず、縦ロールを乱しながら本能のままに猛り狂うブロンドの少女。両の瞳は焦点を失い、吊り上がった口元から涎を撒き散らして、獣よりも獣じみた快楽の陶酔境に身を委ねながら。


金森ビオラは、『歌う』。


「ーーーーーーーは、はは」

その笑い声はビオラに追従したものであったのか、己のものであったのかはわからない。

しかし、アルトにはどうでもいいことだった。

この後、己に降りかかるであろう背徳を想像して、彼の胸中は身震いするほど真黒い期待に支配されていたのだから。


金森ビオラは、『歌う』。

艷めく唇が紡ぐは、甘い甘い揺籃歌。


......ニノマエ、ヤスミ」


ふと一言呟いたと思うと、ビオラは再び哄笑(うた)を紡ぎ始める。


テレビから聴こえてくる穢れない歌声とビオラの歌声が絡み合い螺旋を描きながら、ホログラメーションの夜空に吸い込まれていった。


interval end.