April 20, 2017

〈なぜトヨタがトランプ氏の槍玉に? 防衛、米国に抱きつくだけでよいのか 新進気鋭3評論家「日米同盟」で激論〉

2017.4.8【正論4月号】なぜトヨタがトランプ氏の槍玉に? 防衛、米国に抱きつくだけでよいのか 新進気鋭3評論家「日米同盟」で激論

http://www.sankei.com/premium/news/170408/prm1704080012-n1.html

経済評論家・上念司 × 文藝評論家・小川榮太郎 × 評論家・江崎道朗

 

保護主義だと決めつけないほうがいい

 

 上念司氏 はじめにトランプ政権をどう見るか、特に経済政策からお話ししましょう。トランプ氏が大統領に就任し、彼は大統領令によって環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)からの永久離脱を表明し、メキシコ国境の「壁」国境税関税など選挙戦で口にしていた公約を次々に実現に移そうとして物議を醸しています。米国が保護主義を進める、という懸念が強まっていますが、気をつけなければならないのは、米国は三権分立の国だということです。つまり大統領令でできることとできないことがあるわけです。  

 中東など七カ国から訪れる外国人の入国を一時的に禁止するとした大統領令には連邦裁判所から即時停止を命じる仮処分が出されました。司法から横やりが入っていきなり大統領令は執行停止になりました。国境税」も大統領令では掛けられません徴税の権限は基本的に法律をつくらなければいけないはずで、米議会の協力が欠かせない。ですから、どこまでやれるか、それはまだ見えないわけです。通商政策にしてもとりあえずTPPは脱退しましたが、その先、どうするのか、という点はわかりません。あとからTPPに入りたいと言いだすとハードルは高くなる、米国だって譲歩は迫られたくないでしょうから、恐らく日米で自由貿易協定(FTA)を結び、日米中心でいろんなルールを決めようとするのでしょう。実際に日米首脳会談の結果は麻生太郎副総理とペンス副大統領による「経済対話」の枠組みの設定でしたので予想通りでした。  

 純粋に経済学的には、自由貿易のほうが米国にとって得です関税を掛けるのは結構ですが、負担するのは米国の消費者です。輸出国が関税を負担するわけではありません。関税を掛けられれば、確かに輸出国は商品が売れなくなりますからダメージを受けます。しかし結局のところ、一番損をするのは、本来ならばもっと安く買えるはずの輸入品が買えなくなる米国の消費者です。そういう状況でいいのか、という議論も出てくるでしょう。不法移民の制限にも同じようなことがいえます。メキシコからの不法移民を制限すれば、短期的には米国の高卒以下の労働者にメリットはあるでしょうが、長期的には労働力不足などの弊害が出てきます。  

 ですから私はトランプ大統領がやることを単純に保護貿易と捉えないほうがいいと思います。今行われていることは「アメリカファースト」という政策です。ああいうパフォーマンスをしている理由もすべてそこにつながっています。−その先を見据えると短期的な成果ばかり追うのだけではやはり厳しいと言わざるを得ないわけです。 

 小川榮太郎氏 全く同感です。

 

アメリカファーストでなく米国の雇用ファースト

 

 江崎道朗氏 トランプ政権は、中間選挙を目指してどういう手を打つかを考えているようです。例えばTPP離脱を表明した直後、トランプ氏は労働組合の幹部と会談しています。労働組合も米国の保守派もマクロ経済がよく分かっていない人が多く、TPPから離脱した方が米国の利益が守られると思い込んでいる。そこでTPPから離脱して労働者の利益を守ろうとしているのが我々だと、米国の労働組合にアピールしたわけです。しかし、こうした動きを見ていると、トランプ大統領はマクロ経済が分かっていないのではないかという不安を抱いてしまう−。  

 上念氏 その点で一番参考になるのは丸三証券調査部長、安達誠司氏による「ザ・トランポノミクス−日本はアメリカ復活の波に乗れるか」(朝日新聞出版)です。安達氏の見方では、トランプ氏の行動の底を流れるのは「アメリカファースト」ではなく米国の「雇用ファースト」だというわけです。雇用をつくり出すには何が必要か。まず短期的に高卒以下の労働者にプラスになる不法移民の制限に乗り出したというわけです。  

 安達氏はまた、米国経済を労働参加率で見ると、米国が絶好調だった時に比べ、3%ぐらい低いと指摘しています。労働参加率が低いとはどういうことか。要するに就職を諦めた米国人がいっぱいいてこの手の人は失業率の統計に入らない。3%とはいっても実数では900万人にのぼります。まだまだ雇用はつくれる、この人たちが労働市場に戻らない限り駄目だというのがトランプ氏の考えではないか、というわけです。

 江崎氏 米国の方々からも、同じ話を聞かされます。オバマ政権では潜在失業率を高く見て「労働参加率」が軽視されてきました。よくトランプ氏がオバマ政権の統計をいかさまだと批判していたでしょう。福祉に依存する人間をたくさん増やしてオバマ政権は米国をつぶそうとしている、それでいいのかと。生活保護や福祉に依存する人間たちを増やしてきた民主党のやり方で果たしていいのか?というのがトランプ氏の主張でした。今トランプ氏がやっていることは中間選挙をにらんで雇用を増やすべく動いていることを強調し−特に自動車産業が盛んな五大湖周辺は共和党と民主党が拮抗し選挙のたびに勝敗が入れ替わる「スイング・ステート」です−支持拡大を図っているのでしょう。  

 上念氏 メキシコとの壁にせよ、自動車を米国で作ってくれという話にしても、米国の「雇用ファースト」という文脈から見るとトランプ氏は、それほどぶれてないんですよ、実は。  

 江崎氏 −問題は、それをやっていった延長で果たして本当に雇用が増えるのか、ということではないですか。  

 小川氏 現実には、特に西海岸などで不法移民の労働力を事実上見込んだうえで経済が回っているわけでしょう。−そうした経済全体の仕組みが現実に存在するのに、とりあえず労働市場から不法移民を締め出し、米国に雇用を戻すといったやり方をドラスチックに持ち込んで、本当に雇用を掘り起こせるのかはやはり疑問ですよね。例えば、日本にもたくさんのニートと呼ばれる人達がいます。これを雇用として掘り起こせるかといえば、統計上、潜在雇用人口として扱うことは可能でも、現実にはそう簡単な話ではありませんからね。

 

米国の覇権の終わりのはじまり?

 

 江崎氏 トランプ政権が今、何をやろうとしているのか。一貫してキーワードとして挙げられているのは、アンチ・エスタブリッシュメント(反エリート支配階級)ですビル・クリントン民主党政権時から、ヘッジファンドを始めとする株主優遇の経済政策が進められ、企業が利益を出した場合、その利益をできるだけ株主に返還するようになったその結果、従業員の給料は上がらず、設備投資も削られた。会社の業績が上がっても雇用される側は全く恩恵を受けないこれが格差社会の原因の一つで、米国経済は徐々に疲弊していったわけです。こうした格差社会を是正しようというのが、トランプ政権の狙いです。 

 上念氏 サブプライムローン問題などが典型で、メキシコから来た不法移民のベビーシッターが家を3軒持っているみたいないびつな世界ができてしまったわけです。それが崩壊し、あのリーマンショックにつながったわけで、結局、こんなことでは駄目でちゃんと働いて、ちゃんともうけろということ、それがトランプ氏の考えだと思います。 

 江崎氏 そうですね。ニューヨークマネーの金融、株の連中たち、そこから政治資金をもらっている民主党と共和党の政治家、あと労働組合の幹部らが結託して中産階級にお金が回らない国、米国をつくってしまった。ここを改革しようというのがトランプ氏の主張のエッセンスですよ。  


 小川氏 そこで気になるのが、当選後の彼のやり方です。選挙戦でトランプ氏のメッセージ発信は成功したわけです。−日本の総理と違って、大統領は国家元首である上、世界の代表者だという国民的な自負もある。それでも彼が当選したということは、裏を返せば、いかにクリントンが嫌われていたのかということであり、トランプ氏がよほど的確な感情マーケティングに成功したと言う事でもあるでしょう。でも、そのマーケティングをそのまま大統領になって続けるやり方が妥当だとは思えない。

 −現実に大統領になってからのトランプ氏は、グランドデザインや方向性を支持する人達の間でも、統治能力や政治手法の点で大丈夫かという懸念は拭えないのではないでしょうか。  

 江崎氏 少なくとも大統領は国家元首ですからね。国をまとめなければいけない人が引き続き、行政を敵に回して、本当にそれで政府が機能するのか。米軍関係者達からも「江崎さん、これは米国の覇権の終わりの始まりになる」という話を聞かされます。方向性は決して間違っていないが、大混乱に陥っていくのが目に見えるというわけです。

 

貿易の不均衡は果たして存在するのか

 

 上念氏 ところで日米同盟を見つめ直すという観点で言えば、トヨタ自動車が、トランプ氏から槍玉に挙げられました。−私が今回のトヨタの問題で指摘したいのは、トヨタのトップがあまりにナイーブな対応だったということです。 

 トヨタが悪いとか、違法性があるといった話では決してありませんが、なぜ槍玉に挙げられたのか。ライバル社である日産は、メキシコでトヨタの8倍の自動車を作っているにもかかわらず何も言われなかった。それは日産自動車のCEO、カルロス・ゴーン氏の対応がうまかったからです。トヨタはトランプが当選して一週間もたたないうちにメキシコの巨大工場で起工式をやるなど目立ちまくっていました。−すでに米国に相当額投資しているんだからこれぐらいいいよね、という対応をしてしまいました。いくらそれが事実であっても受け入れられませんよ。基本的には営業マン同士の切った、張ったレベルの話ですから。 

 江崎氏 そう、重要なのは宣伝、プロパガンダですからね。 

 上念氏 メキシコを拠点にする外国の自動車メーカーのうち4割は日産で、トヨタは5%に過ぎない。さらに言えば、米国の自動車メーカーの部品だってメキシコから入っているわけです。米自動車部品最大手のデルファイ社も巨大工場を抱えていて、ここの部品供給が止まれば、五大湖周辺のビッグスリーの工場も5日で操業停止するのです。批判も結構だし関税を掛けるのもいいけれど、−。−これも「トランプ大丈夫か」と言われる一つのエピソードですが、トヨタだってそうした相手の足元を見ながらうまいことやれば良かったんですよ。 

 江崎氏 別にトヨタは不公正なことをやっているわけでも不均衡を推し進めているわけでもありません。ですが宣伝が下手で、正論でトランプに反論するのではなく米国の世論を味方につけなければいけなかった、と思います。 

 先日、日本の労働界の幹部と話す機会がありました。トヨタの問題も話題になりましたが、「日本の自動車メーカーを中心に米国内で80万人近い雇用を生み出している事実を日本の労働界は米国でアピールしているのか」と尋ねると「そんなの、米国側は分かっているはずだから」というのが答えでした。 

 上念氏 正しいことをやっていれば勝手にみんなが慮って理解してくれると思ったら、それは大間違いですよ。内閣府の調査では日本が米国に直接生んでいる雇用は90万人、もうほぼ1ミリオンです。で、プラス、間接雇用を入れると170万人の雇用を生んでいるという結果も出ています。 

 江崎氏 日系企業の多くが現在、米国の労働組合に入っていないんですね。だから、米労働総同盟AFLにも加盟する、といったことも含めて米国でしっかりとした圧力団体をつくらなくては駄目です。日系企業を敵に回したら中間選挙、勝てるのかってデータを示す。日本及び日系企業を敵に回していいのかと、米国側に理解させることが大事で、そのためにはプロパガンダが欠かせないと思うのです。

 

軍事における米国の不信感

 

 江崎氏 マティス国防長官が日本にやって来ました−。−安倍政権に対する不信感を示され、驚きました。沖縄の海兵隊基地移設問題も膠着状態が続いているし、あれだけ尖閣諸島周辺海域に中国の軍艦や戦闘機がやってきているのに、防衛費を増やそうとしていない南シナ海のスプラトリー諸島に中国が次々と基地を作っている問題についても、どこか他人事で、日本からこうしようという積極的な提案がない。果たして安倍政権はアジア太平洋の平和について責任を果たそうというつもりがあるのか、というんですね。 

 だからマティス国防長官は日本に来て自分の目で安倍政権がどのようなつもりなのか、確認しに来た、というわけです。結果的には、安倍総理が訪米し、−恐らく日米同盟でいかに米国が得をしているのかを示しつつ中国や北朝鮮についてトランプ政権と連携して対処していくつもりがあることを正確に伝え、日米連携の構図を作り出した見事なものです、−日本がいまの危機に対応する防衛努力をしているのかと言われれば、決してそうではない現実は依然として残っています

 

トランプ政権とは連携可能だ

 

 上念氏 日米同盟を合理的に考えると今回トランプ政権はイスラエルとの友好関係を再確認し、かつ中東でイスラエルの生存権が認められるべきだというスタンスでいくわけですよね。すると、中東地域にいわゆる戦力投射が絶対必要です中東地域に戦力投射をやるためには日本に基地が絶対に必要です。イスラエルにはそう言っているのに日本には敵対的な発言をするのは矛盾していて合理的に考えればイスラエルも「ふざけるな」となるはずです。案の定、日米首脳会談では米軍撤退の「て」の字も出ませんでした。当たり前です。 

 小川氏 どうやら安全保障についてはトランプ氏の日本への敵対的発言は出なくなりそうですね。逆にイスラエルも含めた中東に力を配分するためにも日本には軍事的な努力が必要で、日本独自である程度、中国の問題に対応し、台湾、南シナ海の問題にも取り組んでもらわなければ、第七艦隊が張り付かなければならず、中東に配分できないというペンタゴンに説得されたようだ。 


 上念氏 そこまで緊密な連携を求めてくるなら、率直に言って米国は1941年に日本にハル・ノートなど突き付けず「こうしようと思っているから仲良くしようよ」とでも言えば良かったのに…と思いますよ。日本には原爆を二発落としし、あのときあれだけ酷いことして、何の反省もないまま今になって手伝え、とは何を勝手な、と日本人が考えるのもやむをえない面はありますね。

 江崎氏 トランプ政権の幕僚たちの中には、ある程度そういうことが分かる人間はいると思います。もっと言うと、トランプ政権を支える軍事・安全保障の専門家たちはドラゴンスレイヤー(竜を殺す人)といって、チャイナにものすごく厳しい。そして例えば沖縄の反米基地闘争も、バックで日本人でなくチャイナが糸を引いていると分析している。いわゆる「南京大虐殺」や「従軍慰安婦」の問題にしても、反日宣伝のバックには北京や北朝鮮がいと理解している人もいる。彼らとならば歴史戦も含めて話ができるし、手も打てると思うんです。

 

ざっくりとしか見ない米国にどう備える

 

 上念氏 ついでに、日本へ不信感を抱くのなら、いっそ日本国憲法も、「すいません、実はあれは押しつけでした、どうか変えてください」と公式に言ってくれればいいんですけど(笑)。「これがそのときの経緯を書いた機密文書です、はい」みたいな(笑)。これをやってくれれば戦後レジームが全部ひっくり返ります。憲法改正だってすぐできますよ、反対の根拠はなくなるし、護憲派だって面目丸つぶれだし。ところがそういう米国側の譲歩なしに、日本側だけ変えろ、というのはご都合主義ですね。 

 江崎氏 ですから、今、上念先生がおっしゃったことは日本側が米国に教えないといけないんですよ。米国は全世界を相手にしているわけでしょう。ざっくりとしかものを見ない。 

 小川氏 そうです。中国は一生懸命、学者、民間人を投入して自国の正当性と、米国と渡り合える知識人の存在をアピールしているわけです。米国の政治・軍事専門誌にも中国系寄稿者はわんさかいて中国系の大学研究者も沢山いる。けれども日本人や日本の立場に立った研究者やジャーナリストはほとんど英語圏にいません。いくら外務省に予算付けても、外郭の反日シンクタンクに消えてしまう

 江崎氏 トランプ政権の肝いりで国家通商会議が始まりましたよね。トップが「米中もし戦わば」の著者で経済学者のピーター・ナヴァロ氏ですが、彼の関係者がこぼしていたのは「なんでわれわれに対して日本からロビー活動がないんだよ」というんですね

 上念氏 民間でやるしかないんでしょうね。 

 小川氏 いや、とにかく金が集まらない。疲れました。自民党がドカンと大きな仕事をしてくれと言いたい。言うまでもなく政党はシンクタンクの役割も持っている世界的大国である日本の政権与党に強力なシンクタンク機能がないというのはもうそれだけで十分異常な話です霞が関と首相官邸と党が拮抗して、はじめてバランスのいい政治判断や政策立案が可能になるんです

 

防衛費の議論の前提となる精神の軸

 

 上念氏 防衛費に関する議論を聞いていると結局、日本が平和であることでみんなが安心して商売できて商売が盛んになれば将来的には経済成長でその費用をまかなえるということを多くの人が忘れている気がしてなりませんね。まるで払ったお金は払ったやつから直に返してもらわなければ駄目みたいな前提に立った愚かな議論が多すぎます。銀行からお金を借りてビルを建てた人の返済原資は将来の賃料です。同じように、防衛力整備のために投じた資金の返済は将来のGDPが返済原資になるのです。 

 小川氏 防衛費はあらかじめ平和を購入する予算で、平和の中でこそ経済が回るんだという当然の発想がないのですよね。 

 江崎氏 防衛費を費やしても、米国の言い値で不必要な武器を買わされるのは困るわけです大切なのは精神的な自立です。日本はトランプに抱きつくが、それはあくまで日本のために抱きつくのであって日本を強くするためでしょう。そこの精神の軸が大事なのであって防衛費だって同じです。日本の国を強くするために防衛費を増やすのであって、米国のご機嫌を取るためではない。−米国の武器も買っていいんですよ、日本にとって必要な武器なら。ただそれは日本独自の軍事戦略がまずあって必要だと導きだされたものなのか。これまでは米国の補完兵力として日本は位置付けられてきたけれども、これからはそれではダメでしょう。中東に米軍のリソースを振り分ける意味でも台湾問題、南シナ海の問題に関して日本がある程度、対応できる能力を持たないと。 

 小川氏 戦後ずっと、米軍の補完部分を日本側が防衛費で負担してきたわけですよね。つまり防衛予算規模こそ世界7位かもしれないが、現状の自衛隊だけではオーソドックスな軍隊構成には、武器ひとつとってもなっていない。 

 江崎氏 輸送機のオスプレイもそうです。数機だったら買ってもいいですが、オスプレイはそもそも海兵隊を運ぶ輸送機です海兵隊を持たない日本がなぜ、十数機もオスプレイを買わないといけないのか

 上念氏 なるほど、それなら陸自の強化ですね。 

 江崎氏 そう、陸自の強化も含めてどうやって台湾海峡、対馬海峡と南シナ海をパトロールしながらシーレーンを守っていくか日本の軍事的な自立が米国にとっても、米国の世界戦略にとってもプラスになる、と認めさせなければいけない

 

トランプ氏に抱きつくだけで良いか

 

 江崎氏 トランプ氏が大統領になってテレビのワイドショーが盛り上がっています。ハチャメチャぶりが際だっていて、日本人も「もうあんなめちゃくちゃなところに頼ってはいけない」「もう米国に頼っている場合じゃない」と分かりはじめたのではないですか。 

 小川氏 それは確かですね。マスコミの意図はどうであれ、トランプ政権の不安定さは日本には吉と出ると思います。今後もトランプ氏への不安は絶えず出てくるでしょう。きのう安倍総理と握手しておきながら突然、習近平と驚くような接近をする可能性も将来ゼロではないでしょう。でも仮にそうしたことが何度か繰り返されれば、日本は安倍総理のもとで、きちんとまとまって自立を考えないとまずいという国民感情になっていく。他力本願は情けない限りですが

 江崎氏 明治維新以降、日本は和魂洋才で欧米の技術を身につけなければ独立を保てず、半面、欧米の技術導入を進めるにつれて日本らしい本来の価値観を失っていきましね。だから今回も、トランプよ、日本は味方だぞとやったわけですが、だけどもそれをやりつつ日本は米国のマネばかりしていいのか? 日本っていう国は本当にそれだけでいいのかという問いかけが必要だと思うんです。 

 それは日本とは何か、という問いだと思います。日本は米国ではありません。だから、日本が米国の味方であることをアピールする一方で日本が日本であり続けるために、日本そのものをどう取り戻していくか。そのことを同時にしたたかに考えていかないといけない。


「日本を取り戻す」ことに慎重な安倍首相

 

 小川氏 まったくその通りです。安倍政権発足の時には、幾らなんでもこれほどの乱世になるとは想像つかなかった。その中で安倍政権は、外交安全保障をどうやって担保するか、それからもう1つはマクロ経済をどうやって保持するか。この2つに勝負球を限りましたその結果民主党時代、先進国で最も落ち目だった日本は、今や相対安定度世界一の国になっています。これはリアリスト安倍晋三の大勝利です。一方、第一次安倍政権が標榜した「戦後レジームからの脱却」、これを日本が主体的に取り戻してゆくという作業には今の安倍総理は大変慎重です安倍総理は外堀の守りでいわば精一杯。今江崎さんが指摘された事は内堀を固めながら本丸を再建する事ですが、これは安倍総理が外堀を強化している間に、自民党、保守論壇が明確な分業の自覚を持ち全力で取り組むべきです。  

 一番本質的な問題、例えば靖国神社への参拝ひとつとっても、私は原理的な立場で強く参拝の恒常化を主張するけれど、安倍総理としては外交安全保障とのバランスの中で、トンネルをどう抜けるかと考えていると思います。この辺りの安倍総理の嗅覚は多少誇張して言えば戦国武将並みです。  

 内政ではリベラルをすくい取っておかなければ、政権は、がたがたになってしまう。霞が関の主流派は結局人権左翼的な思考や日本贖罪史観がまだ主流です。安倍総理は、強力に残存する国内外中枢の反日勢力と、この瞬間も、激しい権力闘争をしている。  

 ただ、それが悪い意味での現実との妥協にならぬよう、原理的な批判をし続ける必要がある。日本の中核価値を取り戻すという問題は次世代の論客、次世代のポスト安倍の政治家たちが、今から切磋琢磨し、必要あらば政権にも物申し、自分達の世代で解決するプログラムを作らねばならない安倍総理が若い頃、中川昭一、衛藤晟一、古屋圭司さんらと研究を重ねてきた成果を、今の政権で実行しているように。地方衰退や、人口減少の阻止、それから日本型の中間共同体をどう復活させていくか、といった安倍総理が政権構想を立てていた頃には見えなかった課題−これらはどれも日本の国体に直結しているテーマだと私は考えていますが−なども見据えねばなりません。 

 上念氏 ただ、ポスト安倍、経済政策で見るとろくな人材がいないんですよね。  

 江崎氏 マクロ経済などは特に安倍総理がやろうとしていることが全然理解されていない。議論すらついて行けない人がものすごく多い。そのことは私も永田町で仕事していて痛感しました。ですから、ポスト安倍の準備はやっぱりしておかなければいけないと思います。

 

プロパガンダも不可欠だ


 小川氏 最後に日米同盟の今後についてもう一言。これからは軍事同盟と、経済的な側面とを安倍外交の中で切り分けていくこと、それが重要だと思います。 

 上念氏 ですね。だから通商交渉に関しては向こうにもすごくメリットのある話で、厳しいことも言える。そして安倍さんの価値観外交で、自由貿易とか自由主義経済が人々を豊かにしながら世界が発展するということを発信していけばいいと思います。  

 江崎氏 そうした対策を取るためにも、とにかくトランプ政権の言っていることを正確に理解することです。敵といってはなんですが、相手の状況と意図を正確に理解し、分析することがどうしても必要です。そのうえで日本側は受け身ではなく、日本側から日本なりのシナリオに基づいてボールを投げていくことが大事ですそしてボールを投げる際には米国に対する宣伝工作も必要です。我々が正しいことをやっているからといって国際社会は、それを分かってくれるとは限らないし、むしろそれは期待しない方がいいのですから。国際社会は誤解と悪意の塊ですからね



togyo2009 at 06:12|PermalinkComments(0)TrackBack(0)世界の中の日本の今 

April 18, 2017

藤原広嗣の乱を紐解く

天皇を中心とした国造り、そして日本の最初の年号「大化」を生んだ大化の改新。

その一方の雄が中大兄皇子(後の第三八代天皇・天智天皇)であり、もう一方は中臣鎌足です。

氏族・中臣氏は古代の日本において、忌部氏とともに神事・祭祀をつかさどった中央豪族です。

中臣鎌足は後の藤原鎌足、日本の最大氏族「藤原氏」の始祖でもあります

藤原鎌足の子息が大宝律令制定を中心となって成した藤原不比等です


〜〜〜〜〜

701(大宝元)年、大宝律令は作られました

律は刑罰を定めた法律、令は政治の仕組みと手続きを定めた法律です。

律令に基づき政治を行う国家を律令国家と呼び、大宝律令により日本の古代国家は律令国家として完成します。

大宝律令では、律は唐にほぼならったものでしたが、令は日本の実情にあわせて作られました。

たとえば、国政全般を司る太政官の他に、神々の祭りを司る神祇官が特別に置かれました。

唐に朝貢していた新羅が独自の律令を持たなかったのに対し、日本は中国に学びながらも独自の律令を作る姿勢を貫きました。

律令国家の新しい都として、701(和銅3)年、奈良に平城京が作られ、天皇の宮となる平城宮が置かれました。

平城京に都が置かれていた約70年間を奈良時代といいます。


奈良時代の日本の人口は約600万人で、平城京の人口は約10万人でした。

平城京の繁栄ぶりは「青丹よし奈良の都は咲く花の匂うがごとく今盛りなり」と歌われました。

市では各地の産物が売り買いされ、唐の制度にならって和同開珎という独自の貨幣も発行されました。

朝廷の役人は1万人で、そのうちの約200人ほどの人々は、天皇から高い地位をあたえられた中央の有力な豪族でした。

彼らは貴族とよばれ、政治に携わり。国政は主な役人の合議によって進められました。

〜〜〜〜〜

新しい歴史教科書/第三節 律令国家の成立

http://turnjpn.tripod.com/text/rituryo1.html


〜〜〜〜〜

この時代で注目すべきところは、藤原不比等→<長屋王>→藤原四子→<橘諸兄>→藤原仲麻呂→<道鏡>→藤原百川というように、藤原と<反藤原>が権力者として代わり番こに登場してくるところです。ちなみに、道鏡は僧侶で、長屋王と諸兄は皇族の出身です。

 

また、藤原四子が登場すると長屋王の変が起こり、橘諸兄のときは広嗣の乱が起き、藤原仲麻呂が出てくると橘奈良麻呂の変、道鏡が登場すると恵美押勝(藤原仲麻呂)の乱、百川が出てくると道鏡が追放される、といったように新たな権力者が登場すると、以前の権力者が必ずつぶされるという図式の時代でした。こうして整理してみていくと、誰がどの時期に何をしたかがよく分かってくると思います。

〜〜〜〜〜

日本の歴史についてよく分かるサイト!> 藤原不比等の生涯について

http://www.worldwide-transition.info/nara/syoumutennnou/fuhitonosyogai.html


〜〜〜〜〜

藤原不比等には4人の子息がおり、藤原四子と呼ばれます

藤原四子は天平元(729)年、当時の朝廷の第一人者・長屋王を自殺に追い込み、妹を第45代天皇・聖武天皇の皇后に擁立しました。彼女が「光明皇后」です。

しかし天平九(737)年に流行した天然痘によって藤原四子は全滅、かわって光明皇后の異父兄にあたる橘諸兄が朝廷の中枢を仕切ることとなります。


橘諸兄は第30代天皇・敏達天皇の子孫です。

橘諸兄政権において重用されたのは学者・吉備真備と僧・玄靴任

彼らは遣唐使として大陸に学び、帰国の際に多くの経典や文物を運び、学識をもって聖武天皇の信任を得ました。


藤原広嗣は藤原四子のひとり・宇合の子、つまり藤原不比等の孫です

吉備真備と玄靴量進の裏で、藤原一族の権力はなくなり、広嗣は天平10(739)には大宰少弐として九州に追いやられます。

大宰(おほみこともち)は筑前国(今の福岡県)に置かれた西海道(筑前、筑後、豊前、豊後、肥前、肥後、日向、薩摩、大隅、以上9国。今の九州)の統治機関であり、主に朝鮮半島との外交・防衛を任務とし、長官・大宰帥(だざいのそち)の下の四等官(いわゆる職員)のひとつが少弐(しょうに)です。

ここから藤原広嗣の乱が勃発します。


天平12年(7408月、広嗣は吉備真備と玄靴僚菠を求める上表を聖武天皇に送り、挙兵します。

9月には、聖武天皇は朝廷の正規軍となる東海道、東山道、山陰道、山陽道、南海道の五道の軍17,000人を動員し、大将・大野東人(おおののあずまびと)が率いる先発隊が長門国(今の山口県)に向かいます。

[『続日本紀』天平1293日条、「広嗣が兵を動かし、反乱した」とある]

その後、正規軍の兵4,000人が関門海峡を渡って板櫃鎭(豊前国企救郡)を攻略し、広嗣は企救郡の隣にある遠賀郡で烽火を発し、大隅国・薩摩国・筑前国・豊後国からの兵10,000人を進軍させます。

10月には、板櫃川(北九州市)を挟んで広嗣軍1万と正規軍6千が対峙し、丁丁発止の戦さが繰り広げられています。

[『続日本紀』同年109日条。「広嗣に従えば、己の身が滅ぶだけでなく、その罪は妻子や親族にまで及ぶぞ」と脅したことが記されている。]

板櫃川の会戦に敗れた広嗣は船で肥前国松浦郡値嘉嶋(五島列島)に渡り、新羅へ逃れるため玄界灘へ帆を進めますが、強風に妨げられ捉えられ、11月1日に弟・綱手と共に肥前国唐津(現・佐賀県唐津市)で斬られました。

[『続日本紀』より]


唐津市の鏡山の麓の鏡神社(現在の松浦総鎮守鏡神社)には本殿が2棟あり、一ノ宮に息長足姫命(神功皇后)、二ノ宮に藤原広嗣を祀ります

天平十七年(745)聖武天皇の叡慮によって建立したとされます。

Wiki. より、藤原広嗣の乱により藤原広嗣が当地で処刑された10年後の天平勝宝二年(750)、肥前国司に左遷された吉備真備が広嗣を祀る二ノ宮を創建したとされます。

広嗣処刑の後、玄靴筑紫に左遷されそこで歿したことから、広嗣の怨霊を慰めるのものとされ、藤原広嗣は日本最初の怨霊とも言われます。

奈良にも鏡神社があり、佐賀の鏡神社を広嗣の邸宅址と伝えられる当地に勧請したものだそうです。



togyo2009 at 20:05|PermalinkComments(0)TrackBack(0)歴史に挑む 

April 16, 2017

〈<緊急集会>学習指導要領改悪阻止と教科書改善に残された課題〉 発言2 高森明勅 つくる会理事「聖徳太子虚構説」の虚構 2017/4/13



togyo2009 at 12:07|PermalinkComments(0)TrackBack(0)歴史に挑む