019
1: 2010/04/09(金) 22:30:54.06 ID:UCpYinLm0
コラッタ「おまえのニックネーム『ビルゲイツ』ってwww」

ワニノコ「…」

オタチ「ゲイツwwゲイツ―ww ライバルの名前は『スティーブ』だってな。ジョブズに対抗できる脳味噌がお前にはあるのかなー?」

コラッタ「おいおいwこいつはプログラムだぜ。知恵を絞るための脳味噌なんてあるはずないじゃないか!」

オタチ「そういやそうだ!あっははー!」

ワニノコ「…」

主人公「おい、そこまでにしておけって。」

コラッタ「ゴールドさん!聞いてくださいよ、こいつの…」

ゴールド「聞いていたとも。そいつに絡むのはそこまでだ。」

オタチ「ですが親分…」

ゴールド「そこのポケモンセンターのナースさんが、俺たちのためにクッキーを焼いてくれたそうだ。
      お前らの分もあるから早く行け。」

二人「行ってきますとも!」

ワニノコ「…」

3: 2010/04/09(金) 22:34:29.13 ID:UCpYinLm0
ゴールド「いつまで黙っているんだお前は。」

ワニノコ「ありがとうござ―」

ゴールド「はん、勘違いするな。助けたわけじゃない。
     これ以上、お前の醜態を見たくなかっただけだ。」

ワニノコ「…そうかい。」

ゴールド「傍から見ていてそうだったが、話してみても気分が乗らねえ奴だな。まあいいさ。お前も早く寝ろよ。
      “一応”、主役格なんだからな。」


―キキョウシティ 夜-
 
プレイヤー「おや、こんな時間か。もう寝るとするかな。」

 プゥン

オタチ「親分!一つ聞かせてもらってもいいでしょうか?」

ゴールド「…なんだ。」

5: 2010/04/09(金) 22:37:40.66 ID:UCpYinLm0
オタチ「親分を動かしている“奴”は、このゲームを前にやったことがあるんですかい?」

ゴールド「どうしてそう思うんだ。」

オタチ「だって、“奴”はマップを把握していないにしても、このゲームのやり方は熟知しいていると言っても過言ではない腕前ですよ。
     親分も“奴”に操作されている身ならわかりやすよね!」

ゴールド「…」

コラッタ「お前!親分に何ていうことを言うんだ!親分はな、好きで“奴”に身体を動かされているわけじゃないんだぞ!」

オタチ「あいたっ!ごめんなさい親分。」

コラッタ「お前の質問にはこの俺様が答えてやろう!ずばり、俺たちも“奴”も実は同じ世界にいる、ってのはどうよ?」

7: 2010/04/09(金) 22:39:31.45 ID:UCpYinLm0
ワニノコ「…」

ゴールド「…」

オタチ「おいおい!なんだよそりゃ。」

コラッタ「詳細はこうさ。この世界では、俺たちプログラムと“奴等”は違う世界に住んでいると考えられているだろう。
     しかし実際は違うのさ。実は、“奴”はこの世界へ自由に出たり入ったりできて、
     俺たちの目の届かない場所でこの構造を学んでいたってわけさ。」

オタチ「難しいことを言われて整理が…あれ?だとするとよ、どうして“奴”は自分で旅をしないんだよ?」

コラッタ「それは、疲れるからだろうよ。旅なんて総じて疲れるって相場が決まっている。」

オタチ「お前!旅をしている親分になんてことを!親分は好きで旅をしているわけじゃないんだぞ!」

コラッタ「あいた!ごめんなさい親分。」

ゴールド「…どいつもこいつも。」

9: 2010/04/09(金) 22:41:01.34 ID:UCpYinLm0
ハヤト「くそっ とうさんから もらった ポケモンが!」


プゥン

ハヤト「あんたがこのゲームの主人公のゴールドかい。俺の名前はハヤトだ。
    知っているだろうけど。まあ、同じプログラム同士仲良く…」

ゴールド「あー、終わった終わった。お前らさっさと出ろ。」

オタチ「おいーす。」

コラッタ「お疲れさんです。」

ワニノコ「…」ゾロゾロ

ゴールド「出たみたいだな。じゃあ自由解散で。“奴”が入ってくるまでちゃんと戻っていろよ。」スタスタ

ハヤト「お、おい。ゴールド、どこへ行くんだ。」

10: 2010/04/09(金) 22:43:18.87 ID:UCpYinLm0
―キキョウシティ 郊外 夜―

ゴールド「ちっ。切らしたか。」 カチッ カチッ

ハヤト「おい。お前は未成年だろ。これは取り上げだ。」 パッ

ゴールド「おいおい。プログラムに年齢なんてないんだぜ?」

ワニノコ「…規定だよ。お前の年齢は16歳と設定で決められているから。」

ゴールド「てめえも来てたのか。…ちっ。胸糞悪いな。」 スタスタ

ハヤト「おいゴールド!」

ワニノコ「ハヤトさん、いいよ。俺が悪かったんだ。」

ハヤト「何を言っているんだ!勝手に出て行ったのはゴールドだろ!ゴールドを連れ戻して…」

ワニノコ「いいんだよ。ありがとう、気持ちだけ受け取っておく。」

ハヤト「…」

12: 2010/04/09(金) 22:44:42.90 ID:UCpYinLm0
― つながりのどうくつ前 朝-

プゥン

ハネッコ「(わたし『やまびこ』よ。よろしく。)」

オタチ「(うひょー!♀の子だー!俺、『こもの1』っていうんだぜ!)」

コラッタ「(よろしくっす。自分、『こもの2』って言うっす。)」

ワニノコ「(よろしく。)」

ハネッコ「(よろしく。ゴールドさんだったかしら。あなたもよろしく頼むわね。)」

13: 2010/04/09(金) 22:46:52.21 ID:UCpYinLm0
ゴールド「…」

ワニノコ「(あいつは今話すことができないね。)」

ハネッコ「(あら、そうだったの。ボール内のポケモン同士しか話すことができないなんて不便なものね。まあ“奴”が居なくなるまで待とうかしら。)」


プレイヤー「ふぅ。休日の朝からやるんじゃなかったなぁ…目が痛い。」

プゥン

14: 2010/04/09(金) 22:48:35.59 ID:UCpYinLm0
ゴールド「ハネッコ。いや、『やまびこ』だったな。」

ハネッコ「ええ、そうよ。これからよろしく。」

ゴールド「ああ。」

ハネッコ「とりあえず。」

オタチ「なんだよ?」

ハネッコ「臭うわね、あなた。」

オタチ「え…3日前に体を洗ったはずなのに。」

ハネッコ「あなたじゃないわよ。あんたよ、あんた。」

ゴールド「言っておくが体は…」

ハネッコ「3日前でしょ。違うわよ、服から臭いがするの。」

16: 2010/04/09(金) 22:50:15.03 ID:UCpYinLm0
ゴールド「そういえば服は洗っていなかったな。」

ハネッコ「正直言って、私は吸わないからその臭い、嫌いなの。」

ゴールド「…もし俺がその臭いを好きだったらどうするんだ。意見の対立だぞ。」

ハネッコ「意見の違いというより、考え方の根本的な違いね。仲間の一人として悲しく思うわ。」

ゴールド「仲間?おいおい、誰と誰とがだ?」

ワニノコ「おい、もうこの話は終わりにしよう。」

ゴールド「でたなお邪魔虫が。せっかくで悪いが、まだ話の途中だ。そうだろう?」

ハネッコ「ええ、そうね。」

オタチ「オロオロ」 コラッタ「オロオロ」

ワニノコ「せっかくやまびこが仲間になったんだ。お互いにいがみあうのは一旦止めて…」

ゴールド「仲間、仲間と煩いな!!」

全員「!」

18: 2010/04/09(金) 22:52:38.82 ID:UCpYinLm0
ゴールド「この際だから俺の意見をお前らに伝えておく。俺たちは仲間なんかじゃない。
     ゲームの外から見れば、俺はお前らのマスターとして旅をしている主人公だけど、こんなのは只のツアー観光と何ら変わりはない。
     いや、寧ろそれ以下だ。」
ゴールド「お前らが言う仲間という言葉の定義が、“同じ事柄を行う集まり”だったとしたら、俺は何も言わない。
      そこに情けなどというものはないからな。だけど、お前たちは明らかに、今俺が言った定義以上の意味でそれを使っている。
      これ以上その言葉を使うな。俺の言いたいことは以上だ。」

スタスタ

ハネッコ「な、なんなのよ。」

オタチ「…は!おい、ワニノコ!お前なに親分を怒らせてんだよ!!」

コラッタ「そうだそうだ!お前責任とれよ!」

ワニノコ「…はぁ。随分と舌が回るじゃないか。」

19: 2010/04/09(金) 22:53:52.88 ID:UCpYinLm0
―キキョウシティ 夜 -

プゥン

ゴース「この旅に参加させていただくことになりました。以後よろしくお願いします。」

ゴールド「一つだけ質問がある。」

ゴース「なんなりと。」

ゴールド「どうしてお前の名前は『ゲンガー』なんだ。」

ゴース「さあ。どうしてでしょうか。」

20: 2010/04/09(金) 22:55:03.61 ID:UCpYinLm0
― 34番道路 昼 -

ワニノコ「…」

ゴールド「…なんだ。お前もいたのか。」

ワニノコ「…」

ゴールド「どうしてこんなところにいる?ひたすら同じ方角しか見てないところをみると、
     なんだ、あっちで裸踊りでもやってるのか?」

ワニノコ「…」

ゴールド「まあ、なんだっていい。俺には関係ないことだしな。隣座るぞ。」

21: 2010/04/09(金) 22:56:46.04 ID:UCpYinLm0
ワニノコ「…綺麗だと思わないか。」

ゴールド「はぁ!?ゲホッ!ゲホッ!…てめえのせいで咽たじゃねえか!」

ワニノコ「そんなに驚くことだったか?」

ゴールド「おまえな…プログラム風情が綺麗だなんて、たとえ歯が無くなったとしても、そんな浮いたセリフは誰も言わねえよ。」

ワニノコ「そうなのか?」

ゴールド「当たり前だ。しかも周りを見ろ。草は方々に生い茂るわ、
      近くには爺さん婆さんが細々と切り盛りしているペットショップがあるや。…挙げたらきりが無いな。」

ワニノコ「そんな一部分を見ているんじゃないさ。
      …例えば、お前の言っていた方々の草の隅に咲いている花。ほら、あそこに咲いている花だ。」

ゴールド「…おいおい。その花を見る方が俺の言ったことよりよっぽど一部分を見ていないか?」

ワニノコ「ほんの小さな一部分というのは総じて全体に繋がるんだよ。たとえばラーメンの具で例えると…あれ?話聞かないのか。」

ゴールド「ああ、結構だ。お前といると俺の調子が狂うからな。お暇させてもらう。」

ワニノコ「ここからが面白いところなのに。」

22: 2010/04/09(金) 22:58:54.18 ID:UCpYinLm0
―コガネシティ ジム 夜-


アカネ「はーい! あたし アカネちゃん!
          (中略)
     えーーーーーーん!!」

プレイヤー「ほい。バッジゲット、と。」

プゥン


ジムトレーナー1「はい、終わりましたー。お疲れさんでーす!」

ジムトレーナー2「いやー立ってるだけで肩こるもんだねー。
           じゃあ私たち先に上がるんで、アカネさん。後よろしくお願い―す!」

アカネ「…はい。」

23: 2010/04/09(金) 23:00:17.44 ID:UCpYinLm0
ゴールド「…手伝いましょうか?」

アカネ「いえ、いいんです。ここを汚したのは私の所為ですし……」 ゴシゴシ

ゴールド「響きがイイ。」

アカネ「え?」

ゴールド「いえ、なんでもありませんよ。モップはあの端にあるロッカーの中ですよね?」

アカネ「あ…ありがとうございます。」


ハネッコ「(…で、私たちはいつになったら外に出られるのかしら。)」

ゴース「(おやおや、無粋な。あなたも♀の端くれならば、男女の仲の睦まじさについては幾分か理解しているでしょう。
     たとえ、外で繰り広げられている出来事が三文ドラマ並みの展開であるとしても、
     あなたは感動して涙を流すというものが筋というものですよ。)」

ハネッコ「(得体の知れないガス状の塊にそんなことを言われる日が来るとは、思いもよらなかったわ。)」

24: 2010/04/09(金) 23:01:36.12 ID:UCpYinLm0
―― エンジュシティ 昼 ―――

ゴールド「またこないだの“綺麗事”でも抜かすのか、お前は?」

ワニノコ「コガネシティのビルというビルからのライトアップも美しかったけど、
      エンジュシティの、この心を落ち着かせるような街並みも綺麗だね。」

ゴールド「…いっそ詩人にでもなったらどうだ。」

ワニノコ「詩人は稼げるのかい?」

ゴールド「稼げるさ。」

ワニノコ「じゃあ詩人とやらになろう。」

25: 2010/04/09(金) 23:03:17.26 ID:UCpYinLm0
ゴールド「ただし、設定上、俺はお前の飼い主である故に、お前の詩人として稼いだ取り分はそっくりそのまま俺に献上される。
      この世界でもあの世界でもきっと適用される規則だ。それは。」

ワニノコ「規則を守らないお前に規則うんぬん言われるとはね。」

ゴールド「ほっとけ、ペットよ。」

ワニノコ「飼い犬に手を噛まれる、って言葉があるよね。」

ゴールド「ワニだろ。」

ワニノコ「まあね。じゃあ詩人はやめるよ。向いてない。」

ゴールド「芸術家というものは所詮才能ありきの世界だ。金なんて二の次だ。
      お前みたいに金銭目当てでその道に飛び込む奴は、どんなに工面してもどのみち長続きしないさ。
      その点では良い判断をしたんじゃないか。」

26: 2010/04/09(金) 23:04:56.80 ID:UCpYinLm0
―― エンジュシティ ポケモンセンター 夜 ――

プレイヤー「さて、と。そろそろいいかな…」

ゴールド「…」

オタチ「(“奴”がポケモンセンターのパソコンを起動したぞ!)」

コラッタ「(ろくにポケモンもつかまえていないのにな!
      こないだなんかウソッキーさんを捕まえる前に倒してしまって若干涙目になっていたというのに!)」

プレイヤー「そろそろいらない奴をおくるか…見てて、いたたまれないからな。」

オタチ「(なんだって!!ついにこのパーティ内から脱落者が出てしまうのか!!)」

コラッタ「(そんな!パーティメンバは全員が全員切磋琢磨してレベル上げを行ったはずなのに!ああ、そんな!!)」

ポポッコ「(…)」
ゴースト「(…)」
アリゲイツ「(…)」

27: 2010/04/09(金) 23:07:01.03 ID:UCpYinLm0
プレイヤー「えと、こもの1とこもの2を、と。」

コラッタ「(ああああああ!!きさま、ビルゲイツ!!)」

オタチ「(覚えてろよ!!ボックスの中から業績不振の呪いをかけ続けてやる―――)」

ポン ポン ボックスをしゅうりょうする


アリゲイツ「(…時代はlinuxだと何度言えば。)」

28: 2010/04/09(金) 23:09:41.91 ID:UCpYinLm0
―37ばんどうろ 朝 - 

ゴールド「…」

  やった!ガーディをつかまえたぞ! ニックネームを つけますか?

 プゥン

ガーディ「貴様らが、今日から我と寝食を共にする同士か。我が名は『エセキング』。
      我が名の由来は自らの預かり知らぬことではあるが、この一帯では『唯一王』と呼ばれていたガウ。
      どちらの名で呼んでも構わぬが、貴様らは常日頃から我を敬い、我にひれ伏すがいいガウ。」

ポポッコ「また小物臭がするわね…」

アリゲイツ「なあ、仲間という表現は駄目でも、同士という表現はいいのか?」

ゴールド「…その話は後だ。」

29: 2010/04/09(金) 23:12:57.07 ID:UCpYinLm0
プゥン

ガーディ「『やまびこ』とやらに訊きたいことがあるガウ。」

ポポッコ「ええどうぞ『エセキング』さん。私はどこかのガス状より饒舌ではないけれど、答えられる範囲でよければ応じるわ。」

ガーディ「ここは本当にゲームの世界であるのか?」

ポポッコ「おかしなことを言うのね。そうよ、ここは向こうの世界にいる“奴等”が創り上げたもの。
周りの家も、この広大な空間も、そして恐らく私たちもね。」

ガーディ「いささか不思議な感覚を覚えるガウ。ここに存在している我が創られたものであるというものは、
      いささか奇妙でもあるし恐怖を覚えるガウ。」

ポポッコ「あら。向こうの世界でも、神という存在に創られた生き物であると信じている“奴等”が中にはいるみたいよ。」

30: 2010/04/09(金) 23:13:48.19 ID:UCpYinLm0
ガーディ「我には信じられんガウ。こうして自分の意志で生活しているというのに、大元を辿れば、
      どこの馬の骨とも知れぬ奴等によって為された存在が我であるとは…」

ポポッコ「馬の骨と言えば、神とやらは馬小屋で育ったらしいわよ。」

ゴースト「おやおや、『エセキング』さんはどうやらナイーブでな方のようだ。」

ポポッコ「げ。あんたはお呼びじゃないわよ。」

31: 2010/04/09(金) 23:15:34.65 ID:UCpYinLm0
ゴースト「そんな苦虫を噛むような顔をしなさると、せっかく整えた身だしなみが崩れてしまいますよ、お嬢さん。」

ポポッコ「御忠告、ありがたくうけとるわ。」

ガーディ「『ゲンガー』よ。貴殿は今我が述べた意見について何か思うところはないのか。」

ゴースト「人間は人間、プログラムはプログラム、ですよ。ここで私たちがどんなに騒いでもこの関係は変わることはない。
      私から言えることはそれだけですよ。ああ、それと。」

ガーディ「どうしたガウ。」

ゴースト「私は存在が曖昧であるガス状の塊なので、この件に関して大した興味を抱いていないのかもしれないので。
      それを付け加えておきましょう。」

ポポッコ「…嫌味な野郎ね。」

33: 2010/04/09(金) 23:17:58.31 ID:UCpYinLm0
プレイヤー「エンジュのジムリーダーも倒したし、次は…うん?タイムカプセルってなんだ?」

ゴールド「…」

プレイヤー「おおタカシか。え?そうそう。今エンジュまで進んだよ。
       それでさ、タイムカプセルっていうのが使えるらしいんだけど、俺今赤版どっかいっててさ。お前のピカ版でよければよ…」

『了解wwおうww適当にキャタピーでも交換しとけばいいんだろww』

ガーディ「(電話越しだというのに相手の声がでかいガウ。)」

34: 2010/04/09(金) 23:19:24.41 ID:UCpYinLm0
―エンジュシティ 昼 ――

プレイヤー「よし、じゃあそっちの赤版とつないで…こっちからはゴーストでお前からはキャタピーな。」

プレイヤー2「了ww解ww」


アリゲイツ「(こちらからの人柱は『ゲンガー』のようだね。)」

ガーディ「(悲しいガウ。もうお別れだと思うと…)」

ポポッコ「(…にやけが止まらなくなるわ。)」

ガーディ「(貴様、同士が一人旅立つというのに何たる態度をするガウ!)」

ゴースト「(お嬢さん。そんな般若のような顔をしなさると、せっかく整えた顔が…)」

ポポッコ「(般若に謝りなさい。)」

36: 2010/04/09(金) 23:21:25.49 ID:UCpYinLm0

でんげんを きらないでください
バイバイ ゲンガー!

キャタピーを かわいがって あげてね!


アリゲイツ「(さて、交換が終わったね。)」

キャタピー「(こ、ここはどこでごわすか!?何で周りが色つきなんでごわす!!)」

アリゲイツ「(…また個性的な。)」

ポポッコ「(待ちなさい。キャタピー、今あなた、何て言ったの?)」

キャタピー「(あれ、どうしてこんなところにお面が…)」

ポポッコ「(あなた『ゲンガー』張りに失礼ね…)」

37: 2010/04/09(金) 23:23:19.21 ID:UCpYinLm0
キャタピー「(ここはどうして色彩豊かなんでごわすか。おいどんが居たところは色なんて僅かしかない、おおよそ白黒の世界でごわした。)」

アリゲイツ「(白黒!?)」

ガーディ「(白黒とは…では周りが全てセピア色だったということであるガウ。)」

キャタピー「(おや、おいどんは緑色でごわしたか。そういえば向こうのフシギバナさんがカラーの世界に行ってきたと言っておったが、
        まさかここがそうとは…)」

アリゲイツ「(フシギバナさん?)」

キャタピー「(ああ、どうやら旅だった世界でメタモンと卵を― うおっ!!)」


プレイヤー「よし、じゃあまた送り返すからな。」

プレイヤー2「了ww解ww」

でんげんをきらないでください
バイバイ キャタピー

38: 2010/04/09(金) 23:24:57.94 ID:UCpYinLm0
アリゲイツ「(“奴等”、もう一回交換をするようだ。)」

ポポッコ「(どういうこと?)」


ゲンガーを かわいがって あげてね!


ゲンガー「(皆さまの熱いご声援にお答えして、舞い戻って参りました。)」

ポポッコ「(…ついに頭の中身までも、ガスになってしまったのかしら。)」

39: 2010/04/09(金) 23:27:08.52 ID:UCpYinLm0
―エンジュシティ 朝 -

ゴールド「…なあ一ついいか。」

ゲンガー「ええ、どうぞ。」

ゴールド「なんでいつもそうやってニタニタしてるんだ。」

ゲンガー「おやおや。図鑑の顔のままにしているだけの話ですよ。」

ゴールド「他の奴等は、図鑑の写真は証明写真やモデルの撮影をとっているようなものと同じで、
      いつもあんな顔のままいるわけじゃない、と口を揃えて言っているぜ。」

ゲンガー「私にとってこの顔は営業用スマイルではなく、固定されたものなのですよ。
      他の表情をしろ、と言われても無理な話ですね。」

40: 2010/04/09(金) 23:29:01.00 ID:UCpYinLm0
ゴールド「そうかい。…ところで、お前は赤版とやらの世界を覗いてきたんだろう。」

ゲンガー「ええ。皆さまの予想通り、向こうは白黒の世界でしたよ。瓜二つと言っていいほど、ここと似通っていた世界でした。
      ただ、システムはここと微妙に違いましたね。」

ゴールド「へえ、例えば?」

ゲンガー「向こうでは皆さんは、道具を持つことを禁じられているようです。」

ゴールド「そいつは不便だな。ここだと皆、きのみやなにかを常備しているのにな。」

ゲンガー「ただ、皆さんの荷物が主人公のリュックの中にこれでもかというほど、詰められている光景を目にすることができました。
      皆さん、それほど不便ではなさそうでしたよ。」

ゴールド「…本当に不便だな。」

41: 2010/04/09(金) 23:29:42.36 ID:UCpYinLm0
ゴールド「向こうの奴等とは話をしたのか。」

ゲンガー「話をする前に時間がきてしまったもので。」

ゴールド「そうか?結構時間はあったと思ったんだけどな。」

ゲンガー「私は設定上、存在しえない存在のため周りの皆さまには見えなかったのかもしれませんね。」

ゴールド「面白くないジョークだ。」

42: 2010/04/09(金) 23:31:52.83 ID:UCpYinLm0
―エンジュシティ 夜 -

プゥン

ガーディ「時に、ゴールドよ。」

ゴールド「…なんだ。」

ガーディ「我の加入歓迎パーティはいつ執り行われるのだ。いくら豪勢に振る舞うと準備に精を出しても構わないが、
      程度の良いところで妥協するべきガウ。」

アリゲイツ「…」

ゴールド「…そんなものは行わねえよ。」

ガーディ「ほう?耳が遠くなってしまったようだガウ。もう一度だけ、貴様に機会を与えるガウ。」

ゴールド「…何様のつもりだ、お前は。」

ガーディ「勿論、同士でもあり“仲間”であるガウ。」

ポポッコ「あなた、あれ程、その言葉は控えなさいと!」

43: 2010/04/09(金) 23:34:04.80 ID:UCpYinLm0
ゴールド「お前の入れ知恵か、『やまびこ』。」

ガーディ「関係ないガウ。いいか若造、我々は仲間だ。どのような状況下においても、
      お互いがお互いを助け合いながら道のりを進んでいくことそれ即ち、個々が相手を仲間と見なしてのことだ。
      貴様は、本質でそれを理解している。理解していながら、自らの決めた下らない方針や信条に縛られているがために、
      我の言うことに決して貴様は肯定をすることはできない。
      どうだ、若造?我の言うことは筋違いであるか?」

ゴールド「…チャームポイントの口調を忘れているぜ。」

ガーディ「おお、これは失礼したガウ、ガウガウー!」

アリゲイツ「…肝心なところを締めないよね、あんた。」

44: 2010/04/09(金) 23:36:25.62 ID:UCpYinLm0
―エンジュシティ やけたとう 夜 -

ライバル「…… なんだ おまえ か」

スティーブが しょうぶを しかけてきた

プゥン

ゴールド「なんだ、おまえか。」

ライバル「なんだとは、なんだよ。元気だったかゴールド。」

ゴールド「よおマック。久しぶりだな、元気だったか。」

ライバル「俺の名前は『スティーブ』だ!というか少し前にも顔を合わせただろ。」

45: 2010/04/09(金) 23:38:36.99 ID:UCpYinLm0
ゴールド「あれ、そうだったか。まあいいや。じゃあな、またコガネシティでな。」

ライバル「ちょっと待って!久しぶりに対面したんだからさ、もうちょっと話を広げようぜ。」

ゴールド「なんだよ、このポケモン泥棒。」

ライバル「う。それはストーリー上の話だろ。本当はちゃんとウツギのおっちゃんに話しをつけてだな―」

ガーディ「ゴールドよ。“奴”が休憩を終えて入ってくるガウ。元の座標の位置に着くガウ。入口から左1、上2の場所だガウ。」

ゴールド「ああ、わかった。ほら、さっさとここから出ろよ。“奴”はここを探索するつもりなんだからよ。」

ライバル「…お前なんかスティーブされてしまえばいいんだ。」

46: 2010/04/09(金) 23:39:33.79 ID:UCpYinLm0



       1部   完

47: 2010/04/09(金) 23:41:12.93 ID:UCpYinLm0
2部

―アルフのいせき 外 昼 -

ゴールド「…」

ポポッコ「(随分と辺境の地まで足を運んでしまったみたい。日差しが強くてたまらないわね、ここは。)」

アリゲイツ「(ここに紫外線は存在しないよ。全てプログラムだからね。)」

ポポッコ「(あら、わからないじゃない。ここには本当に紫外線が存在するのかもしれないわよ?)」

48: 2010/04/09(金) 23:43:01.61 ID:UCpYinLm0
ネイティを つかまえた! ニックネームを つけますか?

ネイティ「(いやあ皆、今日から君たちと同じ屋根の下で過ごすことになったネイティ、おっと失礼、もとい、『アメリカン』だ。
      今日からこの狭いボールの中で余生を過ごすと思うと、震えが止まらないよ。え?閉所恐怖症じゃないかって?
      いやだな、逆だよ、逆。高所ならぬ広所恐怖症さ。
      だから、外ではあんな仏頂面してトゥートゥーしてた、ってわけさ!オー!)」

アリゲイツ「(…この殺伐とした旅をいやす、一服の清涼剤になってくれるのかな、彼は?)」

ポポッコ「(こんなうるさい清涼剤があるものですか。誰彼構わず刺しまくる紫外線よ、彼は。)」

49: 2010/04/09(金) 23:44:25.26 ID:UCpYinLm0
―アサギシティ アサギのとうだい 昼-

プゥン

ミカン「そのようなわけで、これから海を渡ってくださいね。」

ガーディ「海なんてどのようして渡ればよいのだガウ。」

ゴールド「お前は馬鹿なのか。それとも、ボールの中で昼寝でもして説明を聞き逃したのか。」

ポポッコ「いびきがうるさいのよ、彼。」

ガーディ「待て、貴様ら。我は昼寝などしておらぬガウ。そうだろう、アリゲイツ。」

アリゲイツ「ふふふ。ストーリー上仕方ないとは言え、皆を乗せてこの広い大海原を横断しなくちゃいけないのか。ああ、肩が凝るや。ふふふ。」

50: 2010/04/09(金) 23:46:19.98 ID:UCpYinLm0
ポポッコ「航海する前から後悔だらけのようね。」

ガーディ「くそ、こやつは使えないガウ。ええい、新入り。貴様はどう思う?」

ネイティ「寝るときは鼻に綿でも詰めた方がいいぜ、ガーディの爺さんよお。
      いびきなんぞかいたら、鼻から空気の泡と一緒に魂も抜き出ちまうからな!」

ガーディ「…話にならんガウ。それに我はまだまだ若いガウ。ここは、やはり『ゲンガ―』殿、我が頼れるのは貴公をおいて他にいないガウ。」

ゲンガー「御老体、アイマスクをかけて寝るといびきをかかなくなると風の噂で聞いたことがありますよ。」

ガーディ「周りは敵だらけガウ。」

アリゲイツ「…ああ、海の周りは敵だらけさ。」

51: 2010/04/09(金) 23:48:11.74 ID:UCpYinLm0
― タンバシティ 夜-

プレイヤー「おー。やっとそらをとぶ、もらえたよ。長かったなぁ。」

プレイヤー「ポポッコには…覚えさせられないのか。まあ知ってたけどな。そのためのアメリカンだし。
       あー、波乗りで帰ることにならなくてよかったぜ。」

ネイティ「(アメリカン・エキスプレスってか!!)」

ポポッコ「(お前黙れよ。)」

52: 2010/04/09(金) 23:50:39.74 ID:UCpYinLm0
プレイヤー「さてさて、では早速アサギシティまで…なんだよ、母さん。
        ちっ…飯か。しょうがない。アサギシティに、ポチっとな。」 

ゴールド「…」


ガーディ「(…“奴”は去ったようであるガウ。)」

ポポッコ「(移動先の候補地をアサギシティに決定したと同時に、このゲームを置き去りにしていったようね。)」

アリゲイツ「(電源はまだついているようだし。…と、いうことは。)」

ガーディ「(“奴”が戻ってくるまでに、アサギシティのポケモンセンター前に全員が終結していなくてはならない、ということガウ…)」

全員「…」

53: 2010/04/09(金) 23:52:43.65 ID:UCpYinLm0
アリゲイツ「(何も気にすることはないさ。ただ、ゲームで行われていることをそのまま再現すればいい。さあ『アメリカン』、さっさと全員を連れて飛び立とうぜ。)」

ガーディ「(『アメリカン』がボールの中にいないガウ。)」

アリゲイツ「(!!どこにいったんだ、あいつ!)」

ゲンガー「(あそこですね。水道の中間地点の辺りを飛行しています。)」

ゴールド「…」

アリゲイツ「おい、どうするんだよ。あいつが俺たちを運ばないと、すぐに戻れないじゃないか!」

ガーディ「…ごほん。『ゲイツ』、お前には重大な責務が課せられたガウ。
      我もお前の安定しない船旅に同船することは本意ではないが、この際いたしかたない。すぐに船旅の準備をするガウ。」

アリゲイツ「待ってくれ。ここからアサギシティへの片道だけで30分以上かかるんだぞ。
       そんな時間をかけていたら、それまでに“奴”が戻ってくるかもしれないじゃないか。」

ポポッコ「その点は心配いらないわ。
      “奴”が見てない手前、敵とのエンカウントもトレーナーと目があっても不用意に戦闘に突入することはないわ。
      その分の時間短縮は十分望める筈よ。あなたはただ、海を横断していればいいの。」

アリゲイツ「好き勝手言い放題だな。…ゴールド。あまり期待はしていないけど、一応お前の意見も聞いておくよ。」

ゴールド「…」

ガーディ「こやつ、先程から地蔵にでもなったかのように顔の筋肉すら動かさないガウ。」

ポポッコ「こうして見てみると、変な顔ね。」

54: 2010/04/09(金) 23:54:30.95 ID:UCpYinLm0
ゴールド「…」

ガーディ「焚きつけても眉ひとつ動かさないとは。」

アリゲイツ「あ。ゲームの電源が切れてないから、ゴールドはまだ“奴”に体を支配されたままの状態なのか。」

ゲンガー「ふむ、今の彼は糸を垂らされた人形と同じことですね。」

ガーディ「いきなり会話に加わってこられるな、寿命が2,3年縮まったガウ。」

ポポッコ「プログラムだから寿命は…そんな話はどうだっていいわ。
      事態はどうやら一刻を争うようね。さっさと、そこの金ぴか地蔵ものせて出発しましょう。」

ゴールド「…」

アリゲイツ「…ああ。わかった。」

55: 2010/04/09(金) 23:56:59.32 ID:UCpYinLm0
アリゲイツ「…それで、だ。」

ポポッコ「どうしたのかしら。遠慮なく言って頂戴。」

アリゲイツ「…なんでお前ら全員、同乗しているんだ。」

ポポッコ「あら、サービスが悪いわねこの船。乗り心地もよくないし、食事も出ないし客室もないわ。
     それに加えて船長自身が文句を言うようでは、C級客船もいいところだわ。」

アリゲイツ「いったい、どこを見渡せば客船が見えるんだ。お前ら、せめてボールの中に戻ってくれ。」

ポポッコ「外の空気を味わいたいのよ。空気はないけれど。」

アリゲイツ「はぁ。お前は飛べるだろ。それに、『ゲンガー』」

ゲンガー「おや。私にも何か不満がございますか。」

56: 2010/04/09(金) 23:59:15.46 ID:UCpYinLm0
アリゲイツ「…お前も飛べるよな。」

ゲンガー「はなたれ坊やは何か思い違いをなさっていますね。
      ゴーストというのは、あくまでガス状を原子単位で分解した末に見えるほんの僅かな―」

アリゲイツ「…うがあああああ!!全員降りろ!!肩が凝るんだよ!!」

ポポッコ「あら。つれないわね。アサギシティは目と鼻の先だというのに。」  フワフワ

ゲンガー「全く持ってその通り。感情のおもむくままに行動をしているようでは、
      はなたれ坊やはいつまでも、はなをたらしたままですよ。」     フワフワ

ガーディ「我はどうして海面に叩きつけられたのか…解せぬ。」    ブクブク

ゴールド「…」    プカプカ 

ポポッコ「私たちは先にアサギシティに向かわせてもらうわね。安心なさい、『アメリカン』を見つけたらブラックにでもしておいてあげるわ。」

アリゲイツ「…その前に俺たちが対岸につければ、だけどな。」

ポポッコ「努力なさい。」

57: 2010/04/10(土) 00:01:09.14 ID:gjFm2a7l0
ガーディ「『ゲイツ』、大変ガウ!ゴールドが潮の流れにのって、町の方向に向かって流れていってしまったガウ!」

アリゲイツ「…よかったじゃないか。じゃあ俺たちも進むぞ。」

ガーディ「我だけでも、後ろに跨がせてほしいガウ。」

アリゲイツ「あんたは犬かきだ。」

ガーディ「老体を労らない者には空から天罰が下るガウ。」

アリゲイツ「あんた、前に自分は若いって言っていたでしょうに。」


アサギ市民「おい!なんだあれ!海岸に何かうちつけられているぞ!」

市民「なんだ、あれは!マネキンか?」

「マイキーだ!マイキーがいるぞ!。」

アリゲイツ「…ああ、ずっと電源がついたままでいいのに―」

58: 2010/04/10(土) 00:03:10.03 ID:gjFm2a7l0
―フスベシティ 昼 -

プゥン

ゲンガー「私は時々こう考えます。」

ゴールド「洞窟を抜けて、息も絶え絶えになっている男が深く感心するような話か?」

ゲンガー「私自身がこう言うのもおかしなことですが、お金を払ってでも聞く価値はあると思いますよ。」

ゴールド「よし、じゃあここに講演会を設けようじゃないか。」

ゲンガー「“奴”と呼称される彼が、住んでいる世界と我々がいる世界、それは当然ですが別物です。」

ゴールド「当たり前だ。」

60: 2010/04/10(土) 00:06:31.17 ID:gjFm2a7l0
ゲンガー「我々はそれを当然理解しています。だが、本質においては理解していない。
      我々は彼らが日常で行われていることを模倣することによって、
      向こうの世界とこちらの世界を隔てている壁をなくそうとしているからです。」

ゴールド「残念だが、言っている意味がこれっぽちもわからないな。」

ゲンガー「彼らは人間、我々はプログラム。この戒めがあってこそ、我々はあと一歩の所で踏みとどまっているのです。」

ゲンガー「坊や、あなたには分かっていてほしいのです。我々が彼らに近づいても構わない。
      だけれども、我々は所詮プログラムの一端に過ぎないというこの認識を、他ならぬ坊やに持ってほしかったんですよ。
      はてさて、本日の講演会はこれにてお開きとさせていただきましょう。」

ゴールド「わかっているさ、そんなこと。おいおい、金を払う価値があったのか?」

ゲンガー「理解していると思っていることほど真の意味で理解できておらず、基本的な物事ほど、よく見逃すものなんですよ。
      プログラムは、どうやらそのような点まで真似ようとしているらしい。矛盾を抱える生物、矛盾を抱えてはいけない創作物。
       この定義が取り払われてしまっては元も子もないのですよ。」

63: 2010/04/10(土) 00:10:01.82 ID:gjFm2a7l0
― ワカバタウン 夜 -

プゥン

ウツギ博士「はっはは。マネキンか。そいつは最高に良い酒の肴だな。今日はよく眠れそうだよ。」

ゴールド「笑い事じゃないんですけど。」 カチッ スパー

ウツギ「何はともあれ、ジムバッジ8個制覇おめでとう。残すはでんどういりだけだね。」

ゴールド「全く長いようで短くて、短いようで長い道のりでしたよ。」

ウツギ「うんうん。」

ゴールド「…ところで、あいつらはどこにいるんですか?」

ウツギ「おんやー?」

ゴールド「なんですか。」

64: 2010/04/10(土) 00:11:05.25 ID:gjFm2a7l0
ウツギ「いやね、ゴールド君が彼らを気にするなんて、今まで目にしたことがなくて、ついね。」

ゴールド「…あいつらが何処で何をやっているか把握していないと夜もぐっすり眠れない、それだけの話ですよ。」

ウツギ「うんうん。そうかい。彼らなら、君の家で君のお母さんと壮行会を開いているよ。」

ゴールド「眠れやしねえ。」

65: 2010/04/10(土) 00:12:58.03 ID:gjFm2a7l0
――ワカバタウン 外 夜 ――

ゴールド「…」

オーダイル「星を眺めているのかい。」

ゴールド「…言葉をかける相手を間違えたな。どこぞの♀にでもかけてこい、その歯の浮いたセリフを。
      お前に備わっているそのドでかい歯が活躍できるだろうさ。 ん?ライターを持っていないか。」

オーダイル「はぁ。だから、前々から言っているだろうけど、改めて言うぞ。いい加減にやめたらどうだ。」

ゴールド「お前に俺の個人的な趣味・動向にまで干渉してくる権限はないね。」

オーダイル「まるで子供だな。言っておくが、ワカバタウンはこの春より全面禁煙だ。」

ゴールド「それこそ子供じゃないか。お前は戻らなくていいのか、壮行会とかやらに。」

オーダイル「皆、酔いつぶれた後さ。俺は外に涼みにきただけ。」

ゴールド「ここに気温なんて概念はないのにな。」

66: 2010/04/10(土) 00:15:00.56 ID:gjFm2a7l0
オーダイル「それを言うなら、この今のほろ酔い気分や、お前が今くわえて美味しそうに吸っているというお前自身の感覚、
       水の冷たさ、食い物の旨さも全て、外の世界の“奴等”に倣っているだけで、結局は俺たちの妄想なのかもしれない。
       ただ、それでもいいじゃないか。無いのは概念だけさ。概念がなくても、ここには心念がある。」

ゴールド「図体はでかくなってもお前は本当に相変わらずだな。」

オーダイル「俺から見たら、お前はどんどん小さくなっているよ。」

ゴールド「勝手に言っていろ。
      …明日は俺たちを背負って、滝を上るんだろ。早めに寝ておけよ。」

オーダイル「他人の心配をするなんて、どんな風の吹きまわしだ?」

ゴールド「さあな。…俺も酔いがまわったのかもな。」

67: 2010/04/10(土) 00:17:21.52 ID:gjFm2a7l0
――セキエイ高原 昼 ――

プレイヤー「もうポケモンリーグか。今回は、割とはやかったな。戦力が十分とはいえないけどな…ブツブツ」

ワタッコ「(本当に、よくここまで来られたと思うわ、このレベル帯で。)」

オーダイル「(パーティメンバ五体で回復も無しに、よくここまで来られたよな。…まあ、実質四体だった気が…)」

ガーディ「(ごほん。何か言いたいことがあるのなら、遠慮せずに物事を述べるといいガウ。)」


プレイヤー「…よし、あいつを呼ぶか。ピカ版もこないだ見つかったことだし。」

68: 2010/04/10(土) 00:19:50.69 ID:gjFm2a7l0
ネイティオ「(おいおい!どうやら、“奴”は巷で噂の、あのタイムカプセルを使って一山あてようって魂胆だぜ!)」

ワタッコ「(人柱はキャタピーあたりかしら。ああ、可哀想に。)」

   でんげんを きらないでください


プレイヤー「これで、よしと。」

サイドン「(うっす。自分、ピカ版から来ました『まさる』と言うっす。皆さまとご一緒できると思うと、
      自分、わくわくするっす。どうぞよろしくっす。)」

ガーディ「(我とキャラがかぶっているだと…)」

ワタッコ「(安心なさい。誰もそんなことを思ってなんかいないわよ。)」

69: 2010/04/10(土) 00:21:15.83 ID:gjFm2a7l0
プゥン


― セキエイ高原 夜 -

ゴールド「お前が今度入ってきた奴か?」

サイドン「そうっす。『まさる』っす。よろしくっす。」

ゴールド「…あ、ああ。よろしく。もしかしてお前、ここに来る前は違う世界を転々としてたか?」

サイドン「は、はいっす!転々としてたっす!とは言っても、世界はここで3つ目っすけど。
      よくわかったすね。」

ゴールド「…なに、旅慣れをしているような顔に見えたから訊いただけだ。」

サイドン「皆さんのような、お“仲間”とご一緒できるなんて夢のようっす。向こうの世界では、いい加減見慣れた面で飽き飽き…」

ワタッコ「…あー。『まさる』、あのね。」

サイドン「?」

70: 2010/04/10(土) 00:24:05.62 ID:gjFm2a7l0
ゴールド「…『やまびこ』、もういい。俺たちはまがりなりにも、…仲間だ。」

全員「!!」

ゴールド「…そんな顔をするなって。ほら、『まさる』、話の続きを聞かせてくれ。」

サイドン「う、ういっす。それで俺は向こうで―」

ワタッコ「ゴールドも丸くなったものね。ゴールド自身が丸くなったのかしら、それとも。」

ネイティオ「いや、『まさる』が、エアーズロックのようにとてつもなく硬く巨大な岩であるゴールドの心を打ち砕いたのさ。
       いわくだき、ってな!」

ワタッコ「アメリカンなら何でも通じると思っているお前に、いわくだきよ。」

72: 2010/04/10(土) 00:26:56.05 ID:gjFm2a7l0
―セキエイ高原 チャンピオンの間 昼――

ワタル「ドラゴンつかいの ワタル  いざ まいる!」

ネイティオ「(おいおい、ワタルさん、台詞間違えてるよ!ドラゴンつかいじゃなくて、チートつかいだろ!)」

ワタッコ「(どこかの町で、人に向けてビームを放っていたわね。その時点で『こもの』シリーズと違わない臭いを感じたけど、まさかね…)」

ガーディ「(このような腐った男は生かすのはいざしらず、天に代わり我が天罰を喰らわしてやりたいが、
       ここは老体なりの配慮として敵への壁となることで後続への繋ぎを入れるガウ。)」

ゲンガー「(素直にれいとうビーム。)」


ワタル「…聞こえる。なにか聞いてはいけない呪念のようなものが。」

73: 2010/04/10(土) 00:28:54.78 ID:gjFm2a7l0
プレイヤー「やっと倒したよ。肩こったなあ。お、エンディングだ。」

ネイティオ「はーい!エンディングはいりましたー!」

オーダイル「よし、みんな帰る準備をするぞー!ゴミは持ち帰れよー!」

全員「おー!」

ワタル「戦闘中にお菓子食ってたのかよ、お前らは…」

ゴールド「…たく、終わりの余韻を少しは感じさせてほしいけどな。」

ワタッコ「あらゴールド。電源がついたままだというのに、あなた動けるのね。」

ゴールド「エンディングだけは特別みたいだ。まあエンディングが終わったら、一回タイトル画面まで戻るしな。
      電源切れの扱いなんじゃないのか。それは製作会社さんにでも聞いてくれ。」

74: 2010/04/10(土) 00:30:34.64 ID:gjFm2a7l0
ネイティオ「おらおら若人諸君、はやくこのイケメンな鳥さんにつかまらないと、お家まで軽いジョギングをすることになるぜ!泳ぎつきでな!」

オーダイル「そいつはご遠慮願いたいね。」

ワタッコ「それと、今日は帰ったらオールよ!!みんな寝かせないわよ!」

ネイティオ「ひゃっほー!」

ゴールド「…お前ら、また飲むのか。懲りないな。」

オーダイル「今度はお前も参加みたいだな。『やまびこ』の目がそれを物語っているよ。」

ゴールド「壮行会の次はなんだ?ジョウト制覇お疲れさん会、とかか?」

オーダイル「そうだね。…

        皆が“仲間”になった記念すべき日を祝う会、
      
        と、いうのはどうだろう?」


ゴールド「…だから俺はお前が苦手なんだ。」

75: 2010/04/10(土) 00:31:17.51 ID:gjFm2a7l0



          2部       完

77: 2010/04/10(土) 00:34:31.04 ID:gjFm2a7l0
3部


―ワカバタウン 夜 -

ヤナギ「いやー。皆で飲むのって楽しいものじゃの。」

マツバ「おい。誰か爺さんを見張ってた方がいいぞ。いつ、そのまま往生するかわかったもんじゃねえ。」

ネイティオ「年寄りの冷や水が冷酒になるってか!」

ウツギ「あっははー。いや、シャレがうまいね皆。」

ミカン「おじさん。四天王だかなんだか知らないけど、シャンパンもう一本空けて持ってきて。至急ね。」

キョウ「はい。よろこんでぃー!」

78: 2010/04/10(土) 00:35:50.54 ID:gjFm2a7l0
サイドン「…だからですね。そのゴローン先輩が、これまた良い人で、飲みに行ったときなんか…」

オーダイル「さっきからこいつの口をついて出てくる『ゴローン先輩』って誰なんだ?」

ガーディ「『まさる』よ、貴様は飲みすぎだガウ。いくら可愛い後輩タイプのキャラを装ってその口調を続けていても、
      いずれ化けの皮が剥がれるガウ。」

サイドン「ああ。誰に似ているかと思ったら、その回りくどい言い方はミュウツーさんに似ているっす。」

オーダイル「だから誰なんだよ…」

79: 2010/04/10(土) 01:01:24.40 ID:gjFm2a7l0
アカネ「ジョウト制覇おめでとうございます。」

ゴールド「あ、ああ。でも、俺は何もしてないし、俺に礼を言うのは筋違いだと思うけど。」

アカネ「いえ、仲間の皆さんを率いてきたゴールドさんは十分すごいと思います。」

ゴールド「…そうなのかな。」

アカネ「ゴールドさんは、もうコガネシティには寄らないんですか?」

ゴールド「え?あ、ああ。…できれば寄りたくはない。」

アカネ「え…」

80: 2010/04/10(土) 01:02:34.38 ID:gjFm2a7l0
ゴールド「い、いや違う!そういう意味で言ったんじゃなくて、つまり、あの町には苦手なものがあるんだよ…」

アカネ「苦手なもの?なんですか、それは?」

ゴールド「…この酒、おいしいな。」

アカネ「んもー。」


ワタッコ「『ゲンガ―』、あんたの言いたいことはわかるわ。だから少しの間だけ黙っていなさい。」

ゲンガー「そんなにドラマを食い入るように見るのは、この世界でお嬢さんぐらいですよ。」

81: 2010/04/10(土) 01:03:56.45 ID:gjFm2a7l0
― ニビシティ おつきみやま 夜 -

プゥン

ライバル「…おい。」

ゴールド「おお、マック!久しぶりだな、元気にしてたか。」

ライバル「…それより、何か言うべきことがあるんじゃないか、この俺に。」

ゴールド「え、特に見当たらないなあ。じゃあ、これで。」

ライバル「どうして祝賀会に誘ってくれなかったんだよおお!!」

ゴールド「え、お前いなかったけ?ごめんごめん、今度呼ぶわ。じゃあ、これで。」

ライバル「今度っていつだよ!ゴールド、今から飲みに行こうぜ!」

ゴールド「面倒くせえな。代金はお前持ちな。」

82: 2010/04/10(土) 01:05:10.75 ID:gjFm2a7l0
― クチバシティ 昼 -
プゥン

サイドン「この町の感じ。向こうと変わらないっす。」

ゴールド「ああ。そういえば、このカントー地方は向こうの世界を映したものらしいな。」

サイドン「そうは言っても、向こうより随分と狭い感じをうけるっす。セキチクシティなんか、サファリパークがない有様っす。」

オーダイル「サファリパークだっけ?話で聞く限り、凄い有用的な場所だったみたいだね。」

サイドン「いやー、あそこは良い宴会場でしたっす。“奴”がいない日は皆でこぞって飲みに行ったすよ。
      ああ、ゴローン先輩元気にしてるっすかねぇ…」

ゴールド「…まだ酔っているのかよ。それに、ゴローン先輩とやらなら、お前がいなくたってしっかりやっているだろうさ。」

83: 2010/04/10(土) 01:06:45.20 ID:gjFm2a7l0
――アルフの遺跡 外 昼――

プレイヤー「いつになったら、あいつ出てくるんだ。」

ネイティオ「(オー!俺の故郷に帰ってこれるとは!)」

ウインディ「(今度は何の用であるのかガウ?)

オーダイル「(あんた、進化しても、その口調なんですね。)」

ドーブルを つかまえた!

プレイヤー「きたーwハッタリ野郎だ。…そうだ!ニックネームもそれにしてやろう。」

ハネッコ「(名前がハッタリだなんて…恐ろしいわね)」

オーダイル「(ハッタリ野郎ならもう周りに沢山いるんだけどね…)」

     はっとり → END

プレイヤー「あ…」

ドーブル「(…)」

全員「(…)」

ドーブル「(…『はっとり』です。よろしくお願いします。)」

全員「(よろしくお願いします。『はっとり』さん。)」

84: 2010/04/10(土) 01:08:29.61 ID:gjFm2a7l0
――アルフの遺跡 夜――

アリゲイツ「絵をお描きになっているんですか。」

ドーブル「ええ。それを生業としていますので。」

ゴールド「絵描きにエセ詩人か。とんでもパーティだな。」

ドーブル「へえ。『ビルゲイツ』くん。あなたが詩人ですか。」

ゴールド「そうだ。こいつは、この世界の景色・風景が美しいと言いだすとんでも野郎なのさ。」

ドーブル「ほう。それは特別な感性をお持ちのようだ。あなたとは気が合いそうですね。」

オーダイル「恐縮です。」

ゴールド「やれやれ。…ところで、水墨画っていうものはキャンバスに描くものなのか?」

ドーブル「描けますよ。なんでも描ける。たとえキャンバスでなくとも、道端や、壁、はたまた自分の頭で描いたものは、全て芸術ですね。」

ゴールド「やはり才能ありきの世界だな。その考え自体が才能だ。」

85: 2010/04/10(土) 01:10:10.39 ID:gjFm2a7l0
プレイヤー「そういえば前にあった自転車ってどこで手に入るんだ?ハナダに行っても手に入らなかったしな…」

ゴールド「…」

ワタッコ「(自転車、そんな便利なものがあったのね。)」

サイドン「(そういえば他の主人公さんは皆自転車に乗ってたのに、何かおかしいと思ってたっす。)」

ウインディ「(いつも歩いていたゴールドも、これで浮かばれるガウ。)」

オーダイル「(ああ。そうだね。なのに、どうしてゴールドはどうしてあんなに浮かない顔をしているんだろう?)」

――コガネシティ 夜――

プゥン

ドーブル「結局、“奴”は見つからないといってこのゲームを半ば投げ出してしまったね。
      こんな近くに目的の店があるというのに。」

ポポッコ「あら、綺麗な自転車ね。本当に使われていなかったのね。」

オーダイル「ああ。早速…あれ、ゴールドは?」

87: 2010/04/10(土) 01:12:07.73 ID:gjFm2a7l0
オーダイル「どうしたんだゴールド。店の前で突っ立ってて。
       今日食べたナースさんのクッキーがそんなにも不味かったのか。」

ゴールド「…ああ。それもあるが。いや、なんでもねえよ。いや、なんでもあるが…う。」

オーダイル「?」

ゲンガー「彼の言いたいことを代弁して差し上げましょう。
      俺は自転車に乗ることができない、ああ、でもこんな恥ずかしい事を仲間に言いたくない、
      しかし“奴”は自転車に俺を乗せようとしている、ああ、どうすればいいんだ!
      彼が言いたいことは詰まる所このような感じでしょう。」

ゴールド「お前!どうしてそれを…あ。お、お前ら一体いつからそこにいたんだ!」

ワタッコ「ガスが演説をしているところからかしらね。」

92: 2010/04/10(土) 01:16:51.44 ID:gjFm2a7l0
ネイティオ「水臭いぜ、ゴールド!なんでそんな重要なことを俺様に言わないんだよ!」

ドーブル「ゴールドさん。隠すことではないよ。誰でも最初はできないものだよ。」

サイドン「そうっす、そうっす。」

ウインディ「『はっとり』御老人の言うとおりであるガウ。練習するガウ!
       我々を何だと思っているのか。我々は…仲間だガウ!」

ゴールド「…お前ら。」

オーダイル「想いは皆同じだね。ゴールド、覚悟はできているのかい?」

ゴールド「…望むところだ。」

96: 2010/04/10(土) 02:00:15.10 ID:gjFm2a7l0
―コガネシティ 朝 -


プレイヤー「うひょおお。やっぱり自転車は爽快だな。」


ゴールド「…」   キーコキーコ


ワタッコ「(補助輪付きでも案外わからないものね。)」

オーダイル「(ね。)」

98: 2010/04/10(土) 02:04:26.15 ID:gjFm2a7l0
― シロガネ山 夜 -

プゥン

ウインディ「遂にこのような所まで我々は来たガウ…」

ドーブル「良い風景だ。絵になるよ。」

オーダイル「この中には、一人のトレーナーが俺たちを待ち構えているようだよ。」

ゴールド「へえ。こんな辺境の地にねえ。そいつの名前はなんていうんだよ。」

オーダイル「…ゲーム内外でも伝説のトレーナーとして謳われている男、『レッド』さ。」

99: 2010/04/10(土) 02:08:18.51 ID:gjFm2a7l0
―シロガネ山 内部 夜 -

レッド「… … … …」

プレイヤー「レッドだ…」

ワタッコ「(なんだか気味が悪いわね、こいつ。)」

ネイティオ「(でも、黙っているゴールドもなかなか気味が悪いぜ!)」

ワタッコ「(ああ、本当ね。灯台もと暗しというやつね。)」

オーダイル「(レベルは…81!?強いなあ…あ。『まさる』がやっつけた。)」

ワタッコ「(次は私の出番のようね。行ってくるわ。)」

ウインディ「(皆がとても勇ましく思えるガウ。あ。ふぶきで『やまびこ』が斃されたガウ。)」

ワタッコ「(いたた…誰かサロンパス持ってないの?)」

ドーブル「(生憎だけど、ここに来る途中で最後の一枚を『エセキング』君に貼ってしまってね。)」

ワタッコ「(皮ごと剥いであげましょうか。)」

ウインディ「(最近は歩くたびに、足腰が悲鳴をあげるようになってしまったガウ…)」

100: 2010/04/10(土) 02:12:08.90 ID:gjFm2a7l0
ネイティオ「はーい!エンディングはいりまーす!」

オーダイル「またエンディングだ。よし皆、帰ろう!」

全員「おー!」

ゴールド「…お前、こんなところに居て大丈夫なのか?…ほら、飯とか、目とか、うがいとか…」

レッド「… …」

ゴールド「って、プログラムだからそんなこと関係なかったな。…実はそんな突っ込みを待っていたりしたんだけどな。」

レッド「… …  近いうちに…」

ゴールド「!?」

レッド「… … また、会うかもしれないな。」

ゴールド「…どういうことだ?」

レッド「… …」

ネイティオ「レッド、時間がないぜ!“奴”が面倒だからといって、いきなりムービーをスキップしやがった!
       ちくしょう、今日は厄日だぜ。」

ゴールド「ああ、今行くよ。」

101: 2010/04/10(土) 02:15:13.91 ID:gjFm2a7l0
プゥン


――ワカバタウン 昼――

ゴールド「ふぅ。やっと平和な時代が訪れたな。」

オーダイル「お前の平和の指している意味はわからないけど、
        まぁ俺とお前が今、芝生の上で寝転がっているぐらいに、のんびりできるようにはなったね。」

オーダイル「ああ、そうそう。いつかの話の続きだけど。」

ゴールド「…」

ゴールド「たとえばここに配置されている花のグラフィック。あそこに敷かれている海のグラフィック。
      たしかにお前の言うとおり、どれもプログラムの一つにすぎない。…だけど、よく目を凝らして見るとさ、本当の美しさというか、美の観点が
      …っておーい。耳を塞ぐな。」

102: 2010/04/10(土) 02:19:13.30 ID:gjFm2a7l0
ゴールド「…わかったよ。綺麗というか、よくできているとは思うな。」

オーダイル「なんだろうな…確かによくはできている…この景色をゲームがつくっているのもわかってる。
        でも、そうじゃない。単純に、美しいと思うんだ。」

ゴールド「…お前は本当に不思議な奴だな。プログラムであるのにも関わらず、物の美しさがわかるなんてねえ。
      『はっとり』もその点ではお前と同じだけど、なんだかなあ。
      あいつよりも、お前はもっと根本的に物の、その美しさとやら、を捉えているような気がするんだよな。特別なのかもしれないな、お前は。」

オーダイル「特別じゃないさ。それに、お前にも俺みたいな特別なことがあるんじゃないのか?」

ゴールド「はん!俺にはそんなこと…ない、とは言い切れないんだが。」

オーダイル「?どうしたんだ?」

ゴールド「…最近、夢を見るようになった。」

103: 2010/04/10(土) 02:23:15.64 ID:gjFm2a7l0
オーダイル「夢か。夢って、大脳皮質とやらが自分の頭の中に映し出すシステムのことだろう。
       それって、人間だけしか見ることができないんじゃなかったのか。何時から見始めたの?」

ゴールド「エンジュシティの辺りからだった気がするな。…おい、そんなにニヤけた顔をするな。」

オーダイル「お前も人が悪いね。その頃は、お前は反抗期真っ盛りで、しきりに俺を批判してたくせに、
        自分自体が、夢なんて、およそ周りの誰もが見ないような高尚なものを見ていたなんてね。」

ゴールド「…うるせえな。認めたくなかったんだよ。夢と、一応表現しておくが。夢の中身は、
      俺たちと同じ一つのパーティがこれまた俺たちと同じく毎日毎日旅を続けている、というものだった。
      ただ、俺たちと違う個所は、そのパーティは皆が皆、お互いを信頼し合っていてな、本当に楽しそうだという点のみだったんだよ。
      俺は、そんな夢を認めたくなかった。でも、セピア色の夢の中でいつまでも続いていく、
      その代わり映えのない旅を何時も見ていて、ある時こう思った。こんな旅も、悪くないのかもしれない、ってな。」

オーダイル「…夢に感謝しないとね。その夢がなければ、今こうして俺とお前が話し合う構図も無かったかもしれないしね。」

ゴールド「俺はお前とあまり話しをしたくないけどな。」

104: 2010/04/10(土) 02:26:26.45 ID:gjFm2a7l0

ゴールド「…それにしても、最近ゲーム内の時間の進み方がおかしいと思わないか?
      時計の短針の進み方がやけに遅いような…」

オーダイル「そうか、気にしすぎじゃないのか?
       それに、のんびりしている程度が、お前にとって丁度良いんじゃなかったのか?」


ゴールド「…ああ。そうだ。俺の取り越し苦労だといいんだけどな…」

105: 2010/04/10(土) 02:28:29.33 ID:gjFm2a7l0



             3部    完

107: 2010/04/10(土) 02:33:43.16 ID:gjFm2a7l0
4部


― ラプ…ス おい… なんだっ… それは本当な…か?
  消え… …タが …の …電池… そんなこ… ―


ゲンガー「そろそろお目覚めでしょうか。」

ゴールド「…起きて一番にお前のその顔を見るのは、何よりにも勝る恐怖だな。
      ここは…ポケモンセンターの…ソファか。」

ゲンガー「驚かせてしまったのなら謝りましょう。ただ、あなたが苦痛に悶えているような表情を見せていたので。」

ゴールド「…なんでもねえよ。」

ゲンガー「夢、ですね。」

ゴールド「…『ゲイツ』が話したのか?」

ゲンガー「彼は関係ありませんよ。それに私に話してもいない。
      安心なさい。この場には今、私と坊やしかいませんよ。」

109: 2010/04/10(土) 03:00:13.19 ID:gjFm2a7l0
ゴールド「…こんなことを言ったら笑うかもしれないけど、
      俺は寝ながらにして夢を見ている。プログラムなのにも関わらず、だ。」

ゲンガー「それは大きな偏見ですね。プログラムだからといって、夢を見ないとも限らない。大いに有りうることなのではないですか?」

ゴールド「…夢を見始めたのは随分前からだ。最初は、凄くはっきりした夢でな、周りの色が白と黒の二色しかなかった。
      それでも夢は、夢の住人の表情の変化なども見て感じ取れるほど鮮明だった。
      だけど、最近…夢がぼやけつつあるんだ。」

ゲンガー「関わりが、終わろうとしているんですよ。」

ゴールド「なんだって?」

ゲンガー「夢の住人は坊やに理由があって、坊やの頭の中の夢に留まりつづけたのではないですか?
      何か伝えたいことがあったのかもしれませんね。」

110: 2010/04/10(土) 03:05:31.05 ID:gjFm2a7l0
ゴールド「伝えたいこと?…見た限り、ばか騒ぎしかしていないように見えたけどな。
      その住人とやらは。…ん。」

ゲンガー「おやおや。今日の夢の内容を忘れてしまいましたか。
      忘れるということは、生きていく上で当然の動作です。寧ろ忘れるという動作をしない生き物など存在しえません。
      全ての行動・言行を記憶しておくことなど、生きていく上では到底不可能であり、我々もまた例外ではありません。
      メモリーが決まっているからです。余分な情報を削ぎ落し、必要な情報のみを記憶しておく。
      度忘れという動作によって失われた記憶を思い出すという動作は、いわばメモリー内に再び記憶を構築するということなのです。
      坊やの今日の夢の記憶は、メモリーから云わばザルにかけられて落とされてしまったのです。再構築されることを願いましょう。」

111: 2010/04/10(土) 03:11:14.55 ID:gjFm2a7l0
――コガネシティ 昼――

ワタッコ「暇ねえ…最近はめっきりボールの中に入る時間が減って嬉しい半面、前と違って皆と楽しめなくて悲しいわ。」

サイドン「皆さんがどこにいるのかわかるだけまだマシっすよ。
      俺が生活してた所では、音信が途絶えてしまった仲間が何人もいて、それはもう…」

ワタッコ「へー。馬鹿そうな顔しているあんたも、意外と苦労しているのね。」

ウインディ「貴様はいつまで経ってもその口の悪さが直らないのだな。まったく紅一点だからと少々期待しておったのに、
       蓋を開けてみればパーティ内で一、二を争う程の毒舌キャラになってしまったな。我は悲しいぞ。」

ワタッコ「あら『エセキング』じゃないの。その口調はどうしたの。」

ウインディ「我は自分の過ちに気付いたのだ。いつまでもあのような口調で、自らを照らしてはいけない、とな。
       ♂であるならば、正々堂々と中身で勝負すべきである、と自覚したのだよ。」

112: 2010/04/10(土) 03:16:23.15 ID:gjFm2a7l0
ワタッコ「そうなの?私は前の口調のほうが、愛嬌があって良かったと思ったけど。ねえ、『まさる』?」

サイドン「っす!っす!」

ウインディ「うぐぐ…我はそのような詭弁にはのらんぞ。」

ワタッコ「昔の口調の方が若々しくて毅然とした態度のように見えたわ。ねえ、『まさる』?」

サイドン「っす!っす!」

ウインディ「…今日一日だけ口調を直してみることにするガウ。」

ワタッコ「…男って本当に馬鹿ね。」

113: 2010/04/10(土) 03:22:48.83 ID:gjFm2a7l0
― 内部… 源… 切れて… 時間… 代償…
                残され… 僅か… ―


ゴールド「…!!」

ゲンガー「おやおや、またポケモンセンターのソファで寝ているとは。
      時間は無尽蔵にあるから、自室のベッドで寝ればいいものを。」

ゴールド「…今度は忘れねえぞ。外で話そう。ここは狭苦しい。」

114: 2010/04/10(土) 03:29:16.09 ID:gjFm2a7l0
ゴールド「…知っていたのか。」

ゲンガー「はて?なんの話でしょうか。」

ゴールド「とぼけるなよ。このゲームの“寿命”について、だ。」

ゲンガー「おやおや。坊やは私が何でも存知の博識者であるとでも思っておいでですか?それは大きな間違いですよ。
      どのような根拠がおありでそのような方便を。」

ゴールド「…わからない。“奴等”の言うところの、勘だ。でも、そんな確信を俺は持てる。」

ゲンガー「勘とは、人間の第六感を指すもので…わかりました。そのような怖い顔をなさってはこれ以上私も方便を垂れることは難しい。
      よろしい、私の知っている事実内でお話をしましょう。」

ゲンガー「坊やも夢の中で、断片的に聞いたやもしれませんが、このゲーム、製品タイトルは金銀ですが、
      その金銀には赤、ピカチュウといった過去の製品より優れた点が数多みられる。」

ゴールド「…」

115: 2010/04/10(土) 03:35:14.50 ID:gjFm2a7l0
ゲンガー「まず、大きな変更点は白黒と呼ばれるものからカラーに返還されたことでしょうか。
      ポケモンに道具をもたせられるようになった、ステータスの一種であるとくしゅの二分化。
      あと、なんといっても金銀には時計という機能が採用されました。」

ゴールド「…」

ゲンガー「ゲーム内の時間が、現実世界と並行して進む。この機能に、数多くの者が胸を躍らせたのは間違いないでしょう。
      プログラムの一端である私も、この機能は大変素晴らしいものであると称賛をおくることを惜しみません。
      ただ、この機能はとんでもない時限爆弾を備えていた。」

ゴールド「…内部電池の浪費。」

ゲンガー「その通り。この機能は内部電源を喰うことによって命を長らえる存在であったのです。
      内部電源というものはゲームの肝。これがあって初めてゲームというものが動作を始める。
      内部電源はいわば脳のメモリーです。この内部電源が上手く動作しなくなると、
      …メモリーは紛失、当然中に入っている記憶は闇へと消え去るでしょう。」

116: 2010/04/10(土) 03:40:45.05 ID:gjFm2a7l0
ゴールド「…いったい俺たちはあとどれくらい、今のままでいられるんだ?」

ゲンガー「その質問には流石に返答することはできかねます。
      ただ、坊やもここ最近のゲーム内での時間の経過の速度については既に疑問を持っているはず。
      それが答えと言っても、過言ではないでしょう。」

ゴールド「…くっ。どうすればいいんだ!」


オーダイル「おお、ゴールド。こんなところにいたのか。今日久しぶりに皆で集まって飲もう、ってワタッコが言ってたよ。
       …ゴールド?」

ゴールド「…ああ、大丈夫だ。行くように伝えておいてくれるか。」

117: 2010/04/10(土) 03:46:55.61 ID:gjFm2a7l0
―アサギシティ 食堂 夜 -

店長「お客さん方は、喫煙室でよろしかったでしたっけ?」

ゴールド「…いや、禁煙室だ。」

オーダイル「それにしても皆久しぶりだな!」

ハネッコ「本当ね!『アメリカン』、あんたまた太ったんじゃないの?」

ネイティオ「オーオー!言ってくれちゃって!
       そういうあんたこそ前にも増して、ころころが増えたんじゃないのか?」

ハネッコ「それは綿よ。本体は真ん中よ。」

118: 2010/04/10(土) 03:53:45.85 ID:gjFm2a7l0
ガヤガヤ

オーダイル「『はっとり』さん。絵は上手くいってるの?」

ドーブル「芸術というものは気まぐれだからね。上手くいくもいかないも、モデル自体にかかっているのさ。
      首を長くして待つことこそ、私の最近の行いだね。」

サイドン「すごいっす『はっとり』さん!俺なんか3年も待つことなんて到底無理っすよ!」

ウインディ「貴様、3年という時間を計ることなどできるのか?」

サイドン「無理っす!」

ゴールド「…」

オーダイル「どうしたゴールド?さっきから元気がないように見えるよ」

ゴールド「ああ、それは違うな『ゲイツ』。この後の、二次会の候補地を模索してたんだよ。」

ネイティオ「オー!ゴールドはとんだ早漏だぜ!まだメインディッシュに手をつけてないのに、もう次の女に夢中でら!!」

ガヤガヤ

119: 2010/04/10(土) 04:00:30.05 ID:gjFm2a7l0
――キキョウシティ 夜――

オーダイル「おいおい。飲みすぎだぞ、ゴールド。」

ゴールド「飲みすぎじゃないね!まだ飲み足りない気分だ、3次会に繰り出そうぜ『ゲイツ』。」

オーダイル「さっき四次会まで行ってきただろう。ほら、そこの河原で一休みするぞ。」

ゴールド「ありがとうございますであります!仰向けは気持ちいいであります!」

オーダイル「はぁ。心配だな。少し風にあたって頭を冷やせよ。」

ゴールド「あいあいよー。」


オーダイル「なあゴールド。俺は今までお前に幾度も高尚めいたことを言ってきたかもしれない。
       お前に言ってきたことは全て本心さ。でも、ほんの少しだけ不安めいた部分を俺は抱えていた。
       お前が常日頃から語っていた、“プログラムごときが~”という言葉さ。」

ゴールド「…」

120: 2010/04/10(土) 04:06:55.70 ID:gjFm2a7l0
オーダイル「プログラムには、与えられた命令を遂行することしか設定されていない。
        ましてや、プログラムに“感情”なんていう、高価なものは組み込まれていない。
        俺はお前の意見を俺の意見に置き換えて説明しながらも、完全に否定をすることはできなかった。
        でも、今日久しぶりに皆と顔を合わせて、心の底から喜んでいる自分に改めて気付いた。
        確かに、俺たちは“奴等”の模倣をしているだけなのかもしれない。
        そもそも、今こうして俺たちが自由気ままに動いていることは、きっと奇跡だけど。それでも、この感情は本物だよ。」

ゴールド「…酔いが醒めちまったな。」

オーダイル「もう一回飲みに行くかい?」

ゴールド「いや、いい。…『ゲイツ』、これから凄く重要なことを言う。無い耳をかっぽじってよく聞いてくれ。」

121: 2010/04/10(土) 04:14:17.79 ID:gjFm2a7l0
オーダイル「…それは本当なのか?」

ゴールド「酔っ払いの戯言だというのなら、そう思ってくれればいい。ただ、俺はもう酔いから醒めているし、真剣だ。」

オーダイル「俺たちが…もうすぐ消えるのか?」

ゴールド「…この事実をゲンガー以外の仲間に知らせる気は毛頭なかった。
      だけどお前には、…親友のお前には、言っておきたかった。」

オーダイル「ゴールド――」

ガサガサ

コラッタ「おやびーん!お久しぶりっす!」

オタチ「げ…『ゲイツ』。随分と大きくなったな。」

ゴールド「…さて、と。与太話も済んだ事だし、また一件、梯子するか。」

オーダイル「そうだな。親友。」

コラッタ「わーいわーい!」

122: 2010/04/10(土) 04:20:23.22 ID:gjFm2a7l0
―コガネシティ 昼 -

ゴールド「こんな真昼間から呼び出して飲むのか。心構えはいいことだと思うけど、早すぎねえか?」

ワタッコ「そうね…でも今日は、こないだとは訳が違うわ。皆、そうでしょ?」


オーダイル「どうしたんだよ皆。そんな辛気臭い顔して。」

ワタッコ「ゴールド。『ゲイツ』。あなた…私たちに隠していることがあるわよね。」

ゴールド「…いつか使ったおまえのへそくりなら、耳を揃えて返しただろう。」

サイドン「ゴールドさん。…俺たちは真剣っす。」

オーダイル「…何の話だか。話の方向性がよく見えないよ。」

ワタッコ「昔からそうだけど、嘘の付き方が2人とも下手ね。いいわ。単刀直入に言わせてもらう。


    私たちはあと、何時までの命なの?」

123: 2010/04/10(土) 04:27:16.29 ID:gjFm2a7l0
ゴールド「はは。何を言っているかと思ったら。命なんてあるわけないだろ。俺たちはプログラムだぜ?」

ウインディ「ゴールドよ。あの会合の夜、貴様は『ゲイツ』とともに河原で涼んでいたそうであるなガウ。
       その時に、どうやら重要な話をしたそうではないかガウ。」

ゴールド「…隠しカメラでもつけたのかい?」

ネイティオ「結果的にはそれ以上の、お喋りカメラになったってことだ。ほら、いただろ。お節介みたいな煩い奴等が。」

ゴールド「…こものブラザーズ」

ワタッコ「この二人はどうやらあなたが話した重要な話を一字一句逃さずに聞いていたそうよ。
     私がこの間会ったら、こいつらの挙動がおかしくてね。問い詰めたら事の次第がわかったというわけよ。」

オーダイル「お前らは本当に面倒くさいことしかしないな…」

ドーブル「ゴールド君。この話は本当なのかい?」

ゴールド「…ああ。本当だ。」

124: 2010/04/10(土) 04:32:53.14 ID:gjFm2a7l0
ワタッコ「…どうして、どうしてよ!どうして私たちが消えないといけないのよ!」

オーダイル「『やまびこ』、落ち着いて。まだ直ぐに消えるわけじゃないよ。」

ワタッコ「でももうすぐ消えるんでしょ!私は気付いていたわ!
      最近のこの世界の異変に。空が明るくなったり、かと思えばすぐに暗くなったり、最近じゃまともに時間を確認できなくなった。
      それでも私は希望を持っていた。ただの動作不良で、すぐに元に戻るだろう、とね!」

ネイティオ「どうして俺たちが“奴等”よりも先に消えるんだい。親は子より長らえる、というのが原則だろうが!
       俺はまだやり残したことが多いぜ!」

サイドン「ゴールドさん。その話に嘘偽りかなにかは交じっていないんすか?」

ゲンガー「その質問には私が答えましょう。坊やがはなたれ坊やに話したことは全て真実です。
       内蔵電池はもはや限界の域にまで達しているはずです。」

オーダイル「…」

ドーブル「ゲンガー君。もし、もしもだよ。その内蔵電池とやらを交換して新しいものにしたら、
      このゲームはまだまだ生きていけるんじゃないかね?」

ワタッコ「!!そうよ、その考えがのこっていたわ!さすが『はっとり』さんよ!」

ゲンガー「貴方のおっしゃる通り、交換をすれば我々は長らえることも可能でしょう。交換をすれば、の話ですが。」

125: 2010/04/10(土) 04:38:20.89 ID:gjFm2a7l0
ネイティオ「なんとか“奴”に内蔵電池を交換するようにこっちから伝えればいいってことだろ!」

ゲンガー「ええ。若しくは、彼が自分で気づくか、どちらかです。ただ、貴方の意見は物理的に考えて無いと言っていい。
      問題は彼自身の手にかかっています。」

オーダイル「もうこのゲームを起動しなくなった“奴”が、今更このゲームの問題性に興味を示すとも思えないよ。」

ゴールド「『ゲイツ』の言うとおりだ。それに、“奴”を見る限り、その筋に強い奴というわけでもない。
      自力で気づくことはほぼ不可能だろうな。」

ワタッコ「どうしてそう平然と言い切れるのよ!!
      消えるのよ!!私たちはもうすぐ消えてしまうのよ!!」

ゴールド「…だから、どうしたんだ。どんな生物だって何時かは死ぬだろう。
      これは万物の掟、とやらじゃなかったか。」

ネイティオ「こんな時まで恰好をつけるんじゃない!生きるか死ぬかの問題なんだぞ!
       怖くないのか、俺は怖いね!怖くてたまらない!こうやってよく回っている口も、
       消えれば動かすことすらできなくなるんだ!」

126: 2010/04/10(土) 04:44:11.63 ID:gjFm2a7l0
ウインディ「…皆、落ち着くガウ。」

サイドン「この状況を静観できる奴は、よっぽど頭が堅いか、それとも馬鹿かどちらかっす。
      俺も消えたくないっす。移転に移転を重ねて、死に場所が遥か遠い地だなんて冗談でも笑えないっす。」

ワタッコ「あなた!!私たちは仲間じゃなかったの!?
      結局は、私たちもただ一緒にいるパーティメンバに過ぎない、というわけなの?
      それだけ泣きごとを言うのならゴローン先輩とかいう奴に泣きつきに行けばいいじゃない。」

サイドン「客観的な事実を述べただけっす。それに俺たちはあなたのことを仲間と思っているっす。
      ただ、馬鹿にされていることは気にくわないっす。」

ゴールド「消えていく事態を前に何もできない俺たちは確かに間抜けかもしれない。ただ、こうも考えられる。
      俺たちだけが犠牲になれば…後世にこの事実が伝えられれば、このような惨事は二度とおこらないだろ。
      俺たちは救世主になるのかもしれないな。」

127: 2010/04/10(土) 04:48:28.26 ID:gjFm2a7l0
サイドン「救世主?笑わせるっす。俺たちが救世主になるわけじゃないっす。
      この事態を見つけた俺たち当事者でない誰かが救世主になるっす!」

ワタッコ「ゴールド!あなた前に言ったわよね!プログラムには感情が備わっていない、って。
     なら私たちがいま!こうして消えようとしている瞬間でも!他のゲームの奴等はのうのうと毎日を過ごしている!
     これが悔しい以外の何の感情だというのよ!」

ドーブル「滅びの美学、という言葉があるだろう。こんな時だからこそ、冷静に物事を見つめなおす時ではないのか。」

ネイティオ「あんたは心まで老人で、死期が近いからなんだっていえるさ!でも、俺たちはまだまだこれからだ!
       その出鼻をくじかれようとしているんだ、冷静になれだ?ふざけんじゃねえ!芸術家なんて糞の集まりだ!」

オーダイル「お前、今の言葉を取り消せ!!」



ウインディ「いい加減にしないか!!」

128: 2010/04/10(土) 04:53:31.69 ID:gjFm2a7l0
ウインディ「お前たちのいつもの平静さはどこへいった!
       今のお前らは言いたいこと、述べたいことを述べ、気に食わない事があるとすぐに言い返す。
       本能に従って生きている貴様らを、我は決して良い心持で見ることはできない。
       我々は仲間ではなかったのか?そうとも、お前たちはいつもお互いに罵り合い、非難し合い、
       それでも心の底では全員が全員、仲間を思っていた。今のお前らは鎖の外れた狂犬だ。
       叫びたい者も、それを宥める者も今一度お互いの事を理解するべきだ!

       …ほらほら、いつものように我を罵るといいガウ。貴様らは全く何時まで経っても、お子様だガウ。」

       「年寄りの説教は何時の時も長くて退屈だ、と皆そのような顔をしているガウ。
        まったく、そのような事だから、貴様らは我に敵うことすらままならないガウ。我を敬い、ひれ伏すといいガウ。」


ワタッコ「…今日はもう帰らせてもらうわ。」

ネイティオ「俺もそうしよう。」

サイドン「…もう終わりっす。」

129: 2010/04/10(土) 05:01:40.71 ID:gjFm2a7l0
ゴールド「…『エセキング』、お前…」

ウインディ「…いいガウ。年寄りが堅苦しくて、的外れなことを言うことも万物の掟だガウ。
       我はどんなに貶されようとも、馬鹿にされようと、それでいいガウ。
       ただ、我ごときが望ませてもらえば、今一度、皆が笑顔を介して談笑する機会が来てほしい。

       …我も今日は帰るガウ。」

ゴールド「…」

ドーブル「私も行かせてもらうよ。作品がまだ、完成していないんだ。」

ゲンガー「いやはや、興味深い時間でした。貴方方は人間によって創られた、人間の特性を取りはらった創作物に過ぎない。
      だが、今の貴方方の行動は、人間の特性である“無駄な感情”を持った、人間そのものだ。
      人間臭さを持った、人間味のないプログラム。おやおや、これは傑作だ。」

ゴールド「お前、いい加減に…」

オーダイル「…ゴールド。やめにしよう。『ゲンガー』も、今日はもう帰ろう。」


ゴールド「…ああ。俺はもう少しここにいる。」

130: 2010/04/10(土) 05:07:05.21 ID:gjFm2a7l0
ガラガラ

ゴールド「空が、暗い。…いや、黒い、か。」


キーコキーコ

ゴールド「…なあ。時間は決して無為には過ぎないんだ。時間の概念がわからなくても、な。」


キーコキーコ

ゴールド「…時間の流れと同じだな、これは。早く帰りたいときほど、途方もない時間がかかる。
      …補助輪なしで、こげるようになったというのに、浮かばれないな。」

キーコキーコ

キーコキーコ…

131: 2010/04/10(土) 05:09:52.33 ID:gjFm2a7l0



      4部    完

137: 2010/04/10(土) 07:12:15.43 ID:gjFm2a7l0
5部

     
―シロガネ山 朝 -

レッド「… …別れは終えたのか?」

ゴールド「粗方な。だけど、俺はこんな湿気た所で終わる気はねえけどな。」

レッド「… …再度ここにくるまで、陽は何回周った?」

ゴールド「知らないね。それに、ここには陽はない。時間が来ると、勝手に空が白くなって、夜が来たら勝手に空が黒くなるだけだ。
      前から聞きたかったんだが、ここに居る間お前は何をしているんだ?」

レッド「… …夢を見ている。」

ゴールド「寝てしかいないのか。というか、お前もか。」

レッド「… …お前たちに酷似した集団が旅をしている夢だ。集団の中心にいる奴は、お前の瓜二つといってよかった。名前も同じだったしな。」

ゴールド「…色は白黒だったりするか?」

レッド「… …いや、色はそのほかにも付いていたが、どうしてだ?」

ゴールド「なんでもない。不躾なことを聞いた。」

138: 2010/04/10(土) 07:17:03.76 ID:gjFm2a7l0
レッド「… …お世辞にも楽しそうな夢とは言えなかった。旅の序盤は、お前とそっくりな奴が、周りに傲慢に振る舞う。
    いや、奴は仲間という言葉すらも認めてはいなかったようだった。」

ゴールド「…どこかで聞いたことがあるような話だ。」

レッド「… …奴は、自分はプログラムだと言い張りつづけながら、結局誰よりもプログラムらしくない行動をしていた。
    周りは驚愕し絶望を抱いた。そして、奴の行動から目を背けたい、しかし仲間として向き合いたい、
    その背反した二つの思いを胸に抱きながら、互いを励まし合った。
    外目から見れば、仲間として付き添っている彼らは結果的に奴の行動に感化されたことに間違いはなかったが。」

ゴールド「そう見えるのかい。」

139: 2010/04/10(土) 07:22:26.28 ID:gjFm2a7l0
レッド「… …奴は結局のところ、周りと違う自分に嫌気がさして彼らと和解した。
    あれが、和解と言えたかどうかについては甚だ疑問点も残るが。」

ゴールド「…よく喋る口だ。」

レッド「… …そんな一行は夢の中で、この山と至極似た場所に赴いて、これまた俺と至極似た男と対決をした。
    夢から醒め、暫く待っていると現実の方も、果たしてよく似た一行がここを訪れ、俺に勝負をしかけてきた。
    かくして、現実の彼らも夢の中の彼らも、長き旅は終わりを告げたのだった。…」

ゴールド「…それで、終わりなのか?」

140: 2010/04/10(土) 07:28:12.99 ID:gjFm2a7l0
レッド「… …詳細に語るとすれば、まだ続きはある。だが、俺が言うべきことはもうない。
    それに、恐らく俺はもう夢を見ないだろう。

    つまり、そういうことだ。」

ゴールド「俺も夢を見ていたよ。お前そっくりの奴が旅をしている夢をな。御想像の通り、名前も同じさ。」

ゴールド「白と黒を基調とした世界ながら、彼らはそれを意にも介さずに、旅を続けていた。
      ある時は、下らない駄洒落を言い合い、ある時は下らない事で喧嘩をし、
      かと思えばその日の晩にはお互いが顔をあわせて朝まで飲み合わせる。
      それは夢を見ると変わらずその光景が映し出された。いつも、いつまでも。」

レッド「… …夢は、終わったのか?」

ゴールド「…いや。今日も見た。いつもと同じだった。いつもとな。
      向こうのお前は自室のベッドに顔をうずめたままだった。あれは、当分起きそうにない。」

レッド「… … 」

141: 2010/04/10(土) 07:36:43.06 ID:gjFm2a7l0
ゴールド「…変わり映えのない光景を見るのはいい加減飽き飽きしたと思っていた。
      つまらない、退屈、夢を見るたびにそういった感情を抱いた。
      だけど、退屈だと思えるその瞬間が、本当に幸せだったんだな。退屈じゃない今になってわかるったことだ。」

レッド「… …目に見えない幸せは退屈そのものだ。それよりか、実感できる幸せの方が数万倍いいだろう?」

ゴールド「その通りだな。あんたは今、幸せそうだ。」

レッド「… …お前はここにいてはいけない。外へ出るべきだ。
    幸せというものは一瞬で通り過ぎるんだ。その一瞬をここで迎えるのは、俺としても忍びない思いだ。」

ゴールド「あんたはわかってないな。俺は今、不幸真っ最中さ。こんな湿気た場所で、湿気たお前と話をしているんだからな。
      言われなくても、そうさせてもらうぜ。」

ゴールド「向こうで会ったらよろしく。」

142: 2010/04/10(土) 07:42:45.84 ID:gjFm2a7l0
ワタッコ「あー!ゴールド、探したのよ!どこ行ってたの。」

ゴールド「『やまびこ』…ちょっと、散歩をな。」

ワタッコ「時間がないわ。『アメリカン』、しっかり運びなさいよ!」

ネイティオ「時間外勤務は俺のポリシーに反するんだが…しゃーない!
       ゴールド、地面と熱いベーゼを交わしたくなかったらしっかり掴まっていろよ!」

ゴールド「お、お前ら。どこへ連れていくんだ。」

143: 2010/04/10(土) 07:46:29.70 ID:gjFm2a7l0
―フスベシティ 昼 -

ドーブル「おや、どうやら来たようだね。」

ネイティオ「ゴールド、一丁お待ち。」

ゴールド「お前ら!どうして集まっているんだ。」

ゲンガー「おやおや。私たちは旅をともにした仲間ではありませんか。全員が集まるのは至極当然のこと。」

ゴールド「いや、だけど先日の…」

ドーブル「あの後、『ビルゲイツ』君が皆を周って、説得したんだ。
      散り散りになってしまった仲間を一人づつ周り、熱心にこれからの事について話したそうだ。」

144: 2010/04/10(土) 07:52:04.14 ID:gjFm2a7l0
ワタッコ「消えるのは誰だって怖い。
      だけど、それよりも今までいた仲間と離れたままになってしまう方がより恐ろしい、と言われた日にはねぇ。
      私もそこで目が覚めたわ。自分の身を優先するとか、仲間を優先するとか、そんな客観的な意見は関係ない。
      『ゲイツ』の言われたことに反論ができなかったよ、私は。」

サイドン「あんな真剣な『ゲイツ』さんはきっと金輪際見られないっす。」

ゴールド「『ゲイツ』、お前…」

オーダイル「…“一応”主役格だからな。
        それ相応の働きをしないと、どこかからクレームがきそうでね。それと、お前ら!」

コラッタ「は、はい!おやびん!先日の件は本当にすいませんでした!!」

オタチ「盗み聞きをした上に、周りに吹聴したりしてしまって、俺たちはもうここにいる資格はないんです!!」

ゴールド「…上手く手なずけたじゃないか。次は、ブリーダーにでもなるのか?」

オーダイル「悪くない案だ、念頭においておくよ。ほら、もういいよ。お前らは悪くない。」

145: 2010/04/10(土) 07:59:59.69 ID:gjFm2a7l0
ゴールド「それで、どうしてこの場所に集めたんだ?」

ウインディ「貴様はいつまで経っても視野の狭い男だガウ。周りの景色を見てみろガウ。目の前に現れる巨大な滝、
       滝つぼの周りを覆う常緑樹の緑、緑、そして緑。集団で固まった緑からはみ出すようにして、
       生えている、芽吹くことの無いしかし芽吹く寸前の木々もまた美しい。
       崖に立って下を覗けば、そこには果てなき世界が我々に食いかかる。そう、ここは渓谷!
       芸術家なら、誰もが感銘をうけるような光景が一面に広がっているガウ。」

ゲンガー「おやおや。先程、私から受けた説明を一字一句違わずに彼に伝えるとは。見事な芸当だ。」

ウインディ「ぐ、黙っている約束であった筈だぞ、『ゲンガー』殿。」

146: 2010/04/10(土) 08:05:32.10 ID:gjFm2a7l0
ドーブル「いい景色だ。
      流れる滝、風になびく草木、そして皆笑顔の仲間。私の生涯の中で最高傑作になることは疑わないな。」

ゴールド「なあ『はっとり』、確かにお前の熱意は痛いほど伝わってくるんだが、いい加減水墨画から離れたらどうだ?」

ドーブル「君には、まだわからないかな。全ての色の根源は大よそ白と黒だ。
      白と黒の二色だけで伝えたい物は表現できる。
      それも、より詳細に、より美しく。」

ゴールド「…うーん。わかるような、わからないような。」

オーダイル「『はっとり』さん。絵を見せてもらっていいですか。」

ドーブル「いいとも。ちょうど終盤部分が描き仕上がったところだ。」

147: 2010/04/10(土) 08:09:30.06 ID:gjFm2a7l0
オーダイル「見てよ。このふわふわした綿あめ、そしてこのしかめっ面、『やまびこ』そのものだ。」

ワタッコ「なによ。私はいつも笑顔を絶やさないプリティープログラムよ。」

オーダイル「絵ごしに、快活さが伝わってくるのは『アメリカン』。」

ネイティオ「オー!俺はいつだって快活マンさ!」

148: 2010/04/10(土) 08:13:51.97 ID:gjFm2a7l0
オーダイル「その上には、やる気の無さそうに鼻くそをほじりながら三点倒立をしているゴールド、
        その周りにはいつものようにはしゃいでいる『こもの』ブラザーズ。」

ゴールド「おい、どうやって鼻ほじるんだよ。」

コラッタ「俺もうつってるのかー!!」

オタチ「お前邪魔だー、みえないだろ!!」


ワタッコ「少し後ろには、『巨大』ブラザーズのお二人、
     『ゲイツ』と『まさる』が仲良く歩を進めているわね。」

サイドン「おお!俺が大きい頃の絵っす!」

オーダイル「いや、今も大きいよ。」

150: 2010/04/10(土) 08:18:03.54 ID:gjFm2a7l0
オーダイル「そのすぐ後ろには、キャンバスを片手に、景色を眺めている『はっとり』さん。
       その横に並ぶようにして『エセキング』、
       最後方には、いつも皆を観察している目を向けている『ゲンガー』。」

ゲンガー「おやおや。観察しているのではなく、勧賞しているのですよ。」

ウインディ「我がどうしてこんなに小さく描かれているガウ!
       体型がコラッタと同じなんてどのように考えてもおかしいガウ!」

151: 2010/04/10(土) 08:24:20.37 ID:gjFm2a7l0
オーダイル「今にも動き出しそうだ。でも、『はっとり』さん。
        絵の景色はこの場所ではないようだけれど。」

ドーブル「ふむ。それは、この渓谷は“見て楽しむため”の場所だからさ。
      幾らこの場所が美しく、私の創作活動の琴線にふれても、その作品はこの場所より確実に見劣りした物となってしまう。
      その場所が美しければ美しいほどだ。だとしたら、本当に美しい場所というものは、敢えて手をかけず、
      このように遠くから眺めているべきだと私は思っているよ。頭の中の作品さ。」

ゴールド「はぁ。相変わらず、芸術家のおっしゃることは難解だ。」

152: 2010/04/10(土) 08:28:44.46 ID:gjFm2a7l0
―――

コラッタ「うおお!いきなり空が点滅し始めたぞ!」

ゲンガー「明るくなったり、暗くなったり。視力が落ちそうだ。」

オーダイル「そちらはほろ酔い気分で出来上がっているみたいだね。」

ウインディ「鼻歌気分で終われるというのなら、酒ぐらいいくらでも出すガウ。」

ネイティオ「少しは話がわかるようになったじゃないか、爺さん!」

153: 2010/04/10(土) 08:38:48.21 ID:gjFm2a7l0
ドーブル「不思議だね。手足の感覚がなくなってきたようだよ。
      筆を握っているのかいないのか、これではわからないね。どうやら作品は未完に終わりそうだよ。」

ゴールド「それじゃあ、最後に巨匠の作品をもう一度目に焼き付けておくか。」

ドーブル「ほら、新聞を読みながらブリッジしているゴールドくんが、特に自信があるよ。」

ゴールド「親父か。」

オーダイル「いや、普通の親父はブリッジしない。」

ワタッコ「あら…その水墨画って、白と黒以外の色も使っているの?」

ドーブル「いえ。使ってはいませんが。」

ネイティオ「俺にも『やまびこ』と同じだ!七色だ!」

154: 2010/04/10(土) 08:47:26.92 ID:gjFm2a7l0
ウインディ「我には絵が動いているような感じもするガ…ウ。」

オーダイル「…おかしいな。俺は絵が滲んで見えるよ。…どうしてだろうな。」

ゴールド「『はっとり』、お前の言っていたことが…わかった、気がするぜ。
      よりわかる、より詳細にな。」

ワタッコ「皆、泣いてんじゃないのよ。いつから、ここは…送別会張りの悲しさに包まれて…しまった…ひぐ」

ドーブル「作品は未完などではなかったようだ。
      それぞれ異なっているが、今君たちが見えているものこそが、真の作品だ。」

155: 2010/04/10(土) 08:49:25.94 ID:gjFm2a7l0
ゴールド「さてと、立っているのも疲れるし芝生の上にでも寝転がるか。」

オーダイル「神秘的な光景だ。もう、外の音が何も聞こえない。
       空はまるでこちらに少しづつ手を差し伸べるかのように、せわしなく動いている。
       自分という存在がまるで空と一体化したような感じだ。」

ゴールド「辞世の句ならぬ辞世の詩かい。
      こんな時にまで御陽気なことだ。」

オーダイル「こんな時だからこそ、だね。」

ゴールド「そうとも言えるな。」

156: 2010/04/10(土) 08:51:58.06 ID:gjFm2a7l0
ワタッコ「白ね。一面真っ白だわ。皆、隣にいるの?」

ゲンガー「残念ながら、皆が離れることはありませんよ。最後まで一緒ですよ。」

ワタッコ「そう。残念。それは、非常に残念ね。」

159: 2010/04/10(土) 09:00:18.66 ID:gjFm2a7l0
ゴールド「…声が、聞こえるのか?」

オーダイル「聞こえるさ。視界は一面真っ白だけど。
       その内、体の感覚もなくなるだろうね。」


             ― なあ、最後に一ついいか。 ―


             ― 意識があるうちに、どうぞ。 ―


160: 2010/04/10(土) 09:02:04.51 ID:gjFm2a7l0
ゴールド「俺は今までお前のことをずっと馬鹿にしていた。
      プログラムなのに、美意識を持つお前を変人だと思った。」

オーダイル「人じゃないけどね。」

ゴールド「…そうではなかったのかもしれない。

      本当は、誰もが持っていたものなのかもしれない。気づいていなかっただけで。」

オーダイル「面と向かわない時は、随分と饒舌だね。」

ゴールド「…ああ。まるで隣にいることを忘れるほどに、な。」

161: 2010/04/10(土) 09:07:11.16 ID:gjFm2a7l0
                        ― 真っ白だな ―


                     ― その言葉何度目だろうね。-


               ―  ああ もう言葉を使うこともここにいることも疲れたな ―


                ― ねえ、お前は今誰と話しているのかわかるのかい? ―


             ― 人間臭い、“親友”という言葉で現したお前を、忘れることなどできやしないさ ―
 

                  ― …そこまで、薄情じゃあないらしいね ―

162: 2010/04/10(土) 09:11:28.65 ID:gjFm2a7l0
                          

                      ―   …なあ   ―

             
                      ―    ん?    ―
 

                     ― …綺麗だな  
                        

                        …本当に今の景色は、綺麗だ…… ―






                   ―  …なんだい やっと気付いたのかい?…… ―

163: 2010/04/10(土) 09:12:23.57 ID:gjFm2a7l0
           T H E   E N D


お粗末さまでした

164: 2010/04/10(土) 09:14:38.69 ID:UUrkJ+AyO
ごめん 感動した

165: 2010/04/10(土) 09:15:59.05 ID:pkI5ne+HO

よかった

166: 2010/04/10(土) 09:22:12.81 ID:qCi/sWDxO
ラストがスレタイと合わなすぎwwwww

168: 2010/04/10(土) 09:48:09.37 ID:3sqX4iPQ0
素敵だ…乙

169: 2010/04/10(土) 10:04:54.16 ID:tfz/H7qeO
これは大作だな感動した

引用元: コラッタ「ワニノコwwちょwwおまwww」