佐倉ケンタのSMゲイ小説ブログ

amazon kindleストアにて、電子書籍を販売しております。おもに18禁のゲイアダルト小説です。読んだ本の感想など、気軽にメッセージボードからお送りいただけると嬉しいです。必ずお返事いたします。また、このページの右にある「佐倉ケンタの既刊本」からご購入頂けると助かります。もしよろしければ、ご協力のほどよろしくお願い致します。

kindle端末をお持ちでないお客さまでも、PC、スマホを持っているかたならご購読が可能です。PCならば「kindle for pc」を、スマホなら「kindle for android」をダウンロードしていただければ、ご購入していただくことが可能です。もしご興味がございましたら、ぜひお試しくださいませ。

 俺の憧れつづけた先輩は、ひそかに姉とつきあっていた。以前は遠くから見つめるだけで満足だったが、彼が身近な存在になってから、抑えつづけた感情が爆発して……。

やがて俺はある計画を思い立ち、彼と肉体関係を結ぼうとする。果たしてその計画は、うまくいくのか?

ノンケの男の匂い立つ色気に翻弄される、体育会系男子大学生の愛と性を描いた18禁ゲイ小説。

ありえない人が目の前にいることに、俺は思わずスポーツバッグを取り落とした。

どうして健二先輩が俺の家にいるのか。

向こうも俺の存在に驚いたらしく、目をしばたたかせている。

しばらく向かい合ったまま言葉もなく、ただ混乱しているだけのふたりだったが、やがて健二先輩が口を開いた。

「どうして、お前がここに?」

「いや、それは俺のセリフですよ。なんで先輩が俺の家にいるんですか?」

健二先輩はさらに驚いたらしく、「え」と目を見開いてソファから立ちあがった。

「ここって、お前んちなの?」

「そうですよ。知らなかったんですか?」

「……だって、俺は、その……」

そのとき姉がリビングに入ってきた。

「お待たせ……あれ、タカシ、帰ってたの? おかえり」

「ただいま……って、それより健二先輩と知り合いだったの?」

「そうだよ。わたしたち、つきあってるの」

「えーっ!」

まさか健二先輩が姉とつきあっているとは思わなかった。大学の水泳部の先輩だが、そもそも俺が水泳部に入ったのも、健二先輩が目当てだったのだ。

身長一八〇センチ、褐色に焼けた肌に筋肉質の体。きりりとした眉に一重の目、男らしくひきしまった唇。どれをとっても俺のタイプだった。

ノンケの彼とつきあえるはずもなかったが、せめてちかくにいられたらと、毎日部活に顔を出していたのだが、その先輩がもっとも身近な存在に奪われるなんて……。だがノンケオーラを放つ憧れの先輩が自宅にいることに、思わずドキドキしてしまう。

健二先輩はようやく合点がいったらしく、ハハハと笑うと

「世間ってせまいもんだよな。まさかユイカさんの弟がタカシだったなんてな。一瞬二股かけられたのかと思って焦ったよ」

「そんなわけないでしょ。あたしをなんだと思ってんのよ」

「ごめん、ごめん」

「もう、ゆるさないんだからっ」

姉は健二先輩に覆いかぶさるように腋をくすぐり、笑いあいながらフローリングの上を転げまわった。

「悪かった、悪かったって……はははっ……ゆるして……ゆるしてっ」

「こいつめっ、こいつめっ」

いきなり仲のよいところを見せつけられて、思わずたじろいでしまう。

部活では見せない先輩の素の表情に、胸がしめつけられた。俺の前では一度も見せたことのない表情。女の前では、こんな顔をするんだな。

先輩の知らぬ一面に傷つきながらも、今までは遠い存在だった彼が、身近な存在になったことに、喜びを感じてもいた。どうせ手に入らないなら、姉のものになってくれたほうがいい。今まではただの先輩後輩の関係だったが、これからは彼女の弟になるのだ。以前は憧れのあまり話すこともできなかったが、これからは会話だって増えるはずだ。もしかすると、泊まりに来ることもあるかもしれない。部活だけでなく、自宅でも先輩を見ることができるなんて、それだけでも幸せだ。

でも、どうしてだろう? どうしてこんなに、寂しいんだろう?

彼が俺のものにならないのは、はじめからわかっていた。そばにいられるだけで、じゅうぶんだった。それなのに、姉という身近な存在と先輩とがつきあっていることに、嫉妬してしまう。姉でなく、俺が先輩とつきあうことができたなら……。そんな妄想をつい、抱いてしまう。だがそんなことなど百に一つもない夢だ。この恋は、あきらめなければならない。だが実際に彼の姿を目にしてしまうと、あきらめたくないという気持ちが強く湧く。

妄想ではなく実際に先輩が自宅にいるのだ。どうにかして関係を持つことはできないだろうか……?

いや、俺はなにを考えているんだろう。姉の彼氏だというのに、手を出せるはずがない。そもそも俺なんか、相手にしてくれるはずもない。あきらめるもあきらめないもなく、はじめから手に入るものではないのだ。

はしゃぎあう二人を見下ろしながら、俺はスポーツバッグを摑み直すと、そっとリビングを出て自分の部屋へ向かった。

 

     ○

 

褐色に焼けたゴツい指がTシャツの裾を摑み、めくりあげる。六つに割れた腹筋が見え、盛りあがった大胸筋がのぞく。

Tシャツを首から抜き取ると、その反動でわずかに胸がふるえた。

いつ見ても完璧な体だと思う。どうやったらこんな体をつくることができるのか。

俺は自分の体を見下ろした。だいぶ筋肉がついてきたとはいえ、健二先輩のものとは比べものにならない。

トレーニング方法を教えてもらい、プロテインも同じものを飲んでいるが、どうしても同じ体にはならなかった。

先輩は生まれつき、筋肉がつきやすい体質なのかもしれない。男性ホルモンのテストステロンが多いほど、筋肉がつきやすいらしいので、男らしい先輩はきっと、ホルモン量が多いのだろう。

健二先輩は銀色のロッカーに脱いだTシャツを放り込むと、さっと下を脱いで着替えをすませた。

先輩は着替えるとき、タオルで下を隠さない。黒々とした陰毛が見え、ズル剥けのちんぽがゆれていた。すぐに競パンに隠れてしまったが、目にはしっかり焼きついている。

「ほら一年っ。さっさと着替えろっ!」

他の先輩の檄が飛ぶ。が、俺は固まったまま動けなかった。健二先輩のちんぽを見て勃起していたからだ。今着替えるわけにはいかなかった。

「おいお前。俺の声が聞こえなかったのか? それとも無視か?」

みんな慌てて着替えるなか、ロッカーの前でひとり固まっている俺は、悪目立ちするのだろう。内心冷や汗ものだったが、相変わらず勃起はおさまらない。

「いい度胸してんじゃねえか。え? 俺の言うことが聞けねえって言うんだな」

「そんなこと、ありません」

「だったら早く着替えろよ。それとも着替えられねえわけでもあんのか? え?」

「いえ、ありませんっ!」

本当はおおありだ。今下を脱ぐわけにはいかなかった。ズボンに手をかけたまま止まっていると

「お前まさかっ、勃起してんじゃねえだろうな?」

半分冗談といった感じで先輩が言った。その声にロッカーにいた全員が振り向く。

「そういえばちょっと前、膨らんでないか?」

「いえ、これはズボンのしわでして……」

「だったら今すぐ見せてみろよ」

「いや、みんなに見られてると思うと、恥ずかしくて……」

「恥ずかしいだぁ? 野郎しかいねえじゃねえか。なにを恥ずかしがる必要があんだよ。いいからさっさと脱げよっ」

「でも……」

困り果てて下を向くと、こっちへ近づいてくる足がある。ゆっくり視線をあげると、健二先輩である。

「まあまあ、そのくらいにしとけって」

「でもこいつが、あんまり舐めた態度取るもんだからよぉ……」

健二先輩は俺のほうに目を向けながら

「こんなに注目されてたんじゃ、着替えられないよな?」

「は、はい」

「よしっ!」

先輩はパンッとひとつ手を打ち鳴らすと

「みんな練習。ほらいくぞ。早く出ろ」

「でもよぉ」

「いいからっ」


 この続きはこちらから↓


 

 サウナで、背中に疵のある男と出会った。癒しがたい心の闇を抱えた彼は、孤独な狼の目をしていた。

「あんたに、俺の痛みがわかるか?」「俺は××を、殺したんだ」

謎めいた彼の言動に、やがて俺は翻弄されはじめて……。

愛を伝えられない男と、愛することに臆病な男の、哀切なラブソング。二人の距離は、縮まるのだろうか? やわらかい月の光が俺たちを照らすとき、運命の輪がまわりはじめる。ハードボイルド×ボーイズラブ。

このページのトップヘ