June 23, 2007
May 31, 2007
手続き型知識
既存の心理学的概念には「手続き型知識」という考え方があるらしい。
例えば、自転車に乗ることはできても、乗り方は言葉で説明できない、
というようなこと。をを、これって漆の話に通じるじゃないか。
漆のなんだか独特の風合いは感じられても、それを言葉では説明できない、
ということはよくある。なので作品で表現してるんです。なるほど、もっとも
らしいご意見。よく聞く話だ。
しかしこのもっともらしい部分にかくれた怪しい部分がある気がするのだ。
「漆のなんだか独特の風合いは感じられても、それを言葉では説明できない」
の、説明したいのは漆の独特さ加減であるはずなのに、話はいつのまにか
作家の私小説的で恣意的な表現世界に入っていくのだ。
作家の宇宙観や宗教観、もろもろの世界観など、でももしそれこそが興味の
中心にあるのなら、そう、表現したい事柄こそがタイトルに象徴的、抽象的に
表されてるとするならなにも漆を使うことはないんじゃないのか。
「漆の独特な風合いにインスパイアされて、私の世界観が作品として結実する
んです、なので漆じゃなくてはならないんです」なるほど、そうですか。しかし
それにしても結局はその「世界観」なるものが最終的に提示されることになる
のだから、漆は所詮、触媒のようなものでしかなく、漆の作家としてはそれでは
あまりに関わり方が搾取的ではないか。
言葉で説明できないことは自明のこととして、だから許諾した上で、いかに感じ
させるか、の部分にこそ工夫の余地があるんではないのだろうか。平面にしろ
立体にしろ作品を作って展示空間で美術作品「然」として鑑賞されるだけが
表現なのか?
思えば、ずっとこんなことを言ってるな
March 22, 2007
よかろうもん福岡
初福岡。第一印象はとにかく皆さん明るくて開放的で元気。言葉にするなら『溌剌』『笑顔』『親切』あたりか。地方都市にありがちな貧乏臭さ(どこか横目で
東京のことを気にしている感じ)は全くなく、自主自立した雰囲気がある。一つの国みたい。かといって押し付けがましいほどの厚かましさはなく、あっけらか
んとした雰囲気が心地良い。私達は私達、それでいいじゃない、よかばいよかばい、いいなあ、この感じ。
仕事も大成功。前田知己さんのコピーが走るポスターのイメージに作品を使っていただいた。初めての種類の仕事だったけど、ADさん、カメラマンさ
ん、皆さんの気持ちいいチームワークのおかげでいいものに仕上がった。大きなバナーが設置されていく様子を皆さんで眺めながら少しジーンとなりつつ天神の
夜は更けていくのでした。
http://www.ims.co.jp/ims/
役得なことも。倖田來未のトークライブに入れてもらった。『生』倖田來未は上沼恵美子みたい、関西弁でメッチャ喋る。本人も目差してるらしい。京
都の出身とは知らんかった。泣かせる苦労話とかも面白おかしくしゃべくりまくる。関西ではなんぼでもいそうなおもろいおねーちゃんだけど、この『素』丸出
しの感じとエロカッコいいパフォーマンスとのギャップがいいんだろうな。ベストCDを買ってしまった。
しかし福岡で最も素晴らしかったのは…とにかくべっぴんさんが多い!で、スマート!いや、マジで、ホンマどうなってんの?というくらい。福岡の男は幸せだ!初めて福岡に来た人には比較的共通の意見らしい。わかるでしょ男性の皆さん?
February 24, 2007
現場
前乗りで京都入りして朝7時京都駅前集合、アトリエで作品をピックして千里のスタジオで9時から作品撮影。
僕、アシスタントのK合ちゃん、AD、カメラマン、スタジオマンの五人。作品の積み込み、搬入、セッティングなどなど、やっぱり現場はいい〜。久々の心地よい緊張感だ。
特に今回は広告に使われる撮影なので基本的にボクは見てるだけ、カメラマンもスゴく作品を気に入ってくれているようだから、この撮影に燃えてる感
じが伝わってくるのでさらに心地よかった。ブレイクで「写り込みが多くて大変でしょう」というと、しばし考えて「いえ、キレイに撮りたい、ただそれだけで
す」と。ジ〜ンときた。このプロの現場の緊張感。作品の搬入や展示のときもそうだけど、この緊張感がたまらなくてやっていると言っても過言ではない、ぼく
の場合。現場の空気、におい、ひとつの目的にみんなが向かってる一体感、どれも最高に好きだ。延々と続くカメラマンとADの試行錯誤が「現場感」をぐいぐ
いドライブしていく。今日は最高に幸せだ。
どうしても仙台に戻らなくてはならなくて途中で抜けてきたのがめちゃくちゃ残念。今で13時間経過、まだやってるみたい‥よろしくお願いします。
実際の広告は3/21から福岡で。最大12メートルの壁面にデカデカと掲示の予定。詳しくは以下を。
http://www.ims.co.jp/ims/
November 26, 2006
不注意で‥
玄関先に飾っていた磁器を割ってしまった。あちゃ〜と思った次の瞬間、割れた破片の形がキレイだなと思ってそのままにしてある。器の形をしていた時の整然
とした佇まいもよかったけど、この感じもグッとくるな〜。こういう自然現象のなせるワザの前には立ちつくしてしまう。最近、心境の変化か、こういう偶然に
まかせた造形が心の琴線に触れるようになってきた。以前もそういう部分を持ち合わせてはいたが、それをまともに受け止めていては積極的に「形を作る」とい
う仕事の意義を見失ってしまうようで、どこか敬遠していた。わかってはいるけど、それを言っちゃあ‥という態度で。でも最近、こうした「偶然と積極的に関
わる」ことでもかたちが作れるんではないか、と思う。すべてをコントロールできないところにも関わりどころがある、というか。いまさらながら。
November 12, 2006
Hapticとはこういうこと
September 27, 2006
これでじゅうぶん
ヘルシンキの町で見かけるモノには「過剰」なところがないと思う。どれもいい意味で「これでじゅうぶん」という、程よい収まり具合に落ち着いている。それ
でいて、もちろん不足ということはないレベルの機能を提供していることに感心する。たとえば、今回乗ったエレベータはいずれも写真のように一階のボタンだ
け色と大きさ(もしくは出っ張り方)が違えてある。そりゃそうだ、何階建ての建物でも一階には絶対行くから(一階に出入り口があるとして)。そのボタンが
一目でわかるようにもっとも目立つようにしてある、けど、過剰じゃない、これで十分機能を果たしている。それから街角で見かけたGS。全てがこのサイズ
じゃないけど、これは風景にうまくとけ込んでいる。社会的インフラは環境や景観に大きなインパクトを与えがちだが、こんなかわいいスタンドならもっとあっ
てもいいなと思う。でかでかとウルトラマンとかいらないでしょ。
September 26, 2006
‥が化けた、‥に化けた
September 22, 2006
往復生活
ここ数年で何度往復したことだろう。漆の作品なのにもっぱら活動