スタッフSの海外ネットサーフィン No.43「Uchima Ansei: Non-objective Abstraction in Modern Japanese Prints」

スタッフSの海外ネットサーフィン No.43
「Uchima Ansei: Non-objective Abstraction in Modern Japanese Prints」


 読者の皆様こんにちわ。今年の夏は北と南に連続して台風が上陸し続けて大変そうだなぁ等と他人事のように構えていたら、その埋め合わせをするかの如くな連日の都心部の降雨に洗濯物が乾かないと辟易としつつ、でも気温が下がってきてくれたお陰でエアコンなしで寝れるようにもなったしと、どうでもいいことに複雑な思いを感じております、スタッフSこと新澤です。

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 今回ご紹介する海外美術館はハワイ、ホノルルにある、その名もズバリなホノルル美術館です。
ハワイと言えば日本人はいささかステレオタイプな南国リゾートを想起するせいで、あまり美術館と言われてもピンと来ませんが、実際のところこの美術館は現在合衆国内で最も優れた美術館のひとつに挙げられています。
 美術館の基となったのは、創設者アナ・ライス・クックと、その縁者の個人コレクションであり、当時芸術的な意味では過疎地であったハワイの子供たちに世の優れた芸術を紹介したいという志から、1922年に美術館として認可を受け、1927年4月8日にニューヨークの建築家バートラム・グッドヒューが設計し、完成を待たずして亡くなった彼の後を継いだハーデイ・フィリップにより完成した美術館が開館しました。
 アナ・ライス・クックはハワイの多文化構造というユニークな特質を反映する美術館を望んでおり、伝統的な西洋美術館の観念に縛られず、島の美しい自然と気候を、広々とした屋外の環境で展示する施設を創りたいと願い、それは敷地内の様々なギャラリーを繋ぐ、他にはない魅力的な中庭に反映されています。
 美術館の収蔵作品は洋の東西を問わず多数かつ多彩ですが、創設者アナ・ライス・クックは日本画に多いに力を入れており、狩野元秀による桃山時代の「洛中洛外図」を描いた扇絵の数々や、室町時代の「菅原道真像」がコレクションの礎としての位置を不動の物にしています。他にも10,000点を超える日本の浮世絵版画コレクションでも知られており、これは米国内でも最も優れたコレクションのひとつに数えられています。

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 そんなホノルル美術館で来月の9日まで開催されている企画展が、「Uchima Ansei: Non-objective Abstraction in Modern Japanese Prints」です。ちなみに2014年には日本でも南国・沖縄県立美術館で「色彩のシンフォニー 内間安瑆の世界」が開催されましたが、何か南国を惹きつけるものが内間作品にはあるのでしょうかね? これでシンガポール辺りでも個展が開催されれば疑う余地もなくなりそうですが。
 ともあれ、1940〜50年代にかけて恩地孝四郎の下で創作版画に注力した内間安瑆ですが、日米二つの祖国を持つ彼は浮世絵の伝統技法を学ぶのみならず、独自に深化させ「色面織り」と呼ぶ技法を確立し、伝統的な手摺りで45度摺を重ねた代表連作《森の屏風 Forest Byobu》を生み出します。20世紀半ばに加速した日本美術の国際化に際し、内間はアメリカに帰国後も終生日本での作品発表を続けました。
 ホノルルを拠点に活動していた文筆家、ジェームズ・ミッチナー(James Michener 1907–1997)とオリバー・スタットラー(Oliver Statler 1915–2002)両氏が寄贈した内間作品の中から、日本で制作した初期の貴重な作品を中心に10点ほどが選ばれ、展示されています。
 両氏は日本芸術、中でも創作版画運動については特に称賛しており、今回の企画展の出品作品も、一般のNon-objective Abstract Art(非具象的な抽象芸術)への理解をより深めるためことを目的としています。
 普段とは少し違う南国バカンスを体験されたい場合は、足を運んでみてはいかがでしょうか。

(しんざわ ゆう)

ホノルル美術館公式サイト
Uchima Ansei: Non-objective Abstraction in Modern Japanese Prints紹介ページ

●今日のお勧め作品は内間安瑆です。
Spring_Snow_新雪_600内間安瑆
Spring Snow 新雪
1962  木版
77.5x33.5cm  Signed

内間安王星_WINDOW NUANCE(ROSE) _600内間安王星
《WINDOW NUANCE (ROSE)》
1978年   銅版+木版
30.0×22.0cm
A.P.  Signed

こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください

◆ときの忘れもののブログは下記の皆さんのエッセイを連載しています。
 ・大竹昭子のエッセイ「迷走写真館 一枚の写真に目を凝らす」は毎月1日の更新です。
 ・frgmメンバーによるエッセイ「ルリユール 書物への偏愛」は毎月3日の更新です。
 ・夜野悠のエッセイ「書斎の漂流物」は毎月5日の更新です。
 ・笹沼俊樹のエッセイ「現代美術コレクターの独り言」はしばらく休載します。
 ・杉山幸一郎のエッセイ「幸せにみちたくうかんを求めて」は毎月10日の更新です。
 ・芳賀言太郎のエッセイ「El Camino(エル・カミーノ) 僕が歩いた1600km」は毎月11日の更新です。
 ・土渕信彦のエッセイ「瀧口修造とマルセル・デュシャン」は毎月13日の更新です。
 ・普後均のエッセイ「写真という海」は毎月14日の更新です。
 ・野口琢郎のエッセイ「京都西陣から」は毎月15日の更新です。
 ・小林紀晴のエッセイ「山の記憶」は毎月19日の更新です。
 ・藤本貴子のエッセイ「建築圏外通信」は毎月22日の更新です。
 ・八束はじめ・彦坂裕のエッセイ「建築家のドローイング」(再録)は毎月24日の更新です。
 ・小林美香のエッセイ「写真集と絵本のブックレビュー」は毎月25日の更新です。
 ・スタッフSの「海外ネットサーフィン」は毎月26日の更新です。
 ・森本悟郎のエッセイ「その後」は毎月28日の更新です。
 ・光嶋裕介のエッセイ「和紙に挑む」は毎月30日の更新です。
 ・植田実のエッセイ「美術展のおこぼれ」は、更新は随時行います。
  同じく植田実のエッセイ「生きているTATEMONO 松本竣介を読む」と合わせお読みください。
  「本との関係」などのエッセイのバックナンバーはコチラです。
 ・中村茉貴のエッセイ「美術館に瑛九を観に行く」は随時更新します。
 ・飯沢耕太郎のエッセイ「日本の写真家たち」英文版とともに随時更新します。
 ・深野一朗のエッセイは随時更新します。
 ・「久保エディション」(現代版画のパトロン久保貞次郎)は随時更新します。
 ・石原輝雄のエッセイ「マン・レイへの写真日記」は終了しました。
 ・荒井由泰のエッセイ「いとしの国ブータン紀行」は終了しました。
 ・森下泰輔のエッセイ「戦後・現代美術事件簿」は終了しました。
 ・「殿敷侃の遺したもの」はゆかりの方々のエッセイや資料を随時紹介します。
 ・「オノサト・トシノブの世界」は円を描き続けた作家の生涯と作品を関係資料や評論によって紹介します。
 ・「瀧口修造の世界」は造形作家としての瀧口の軌跡と作品をテキストや資料によって紹介します。
土渕信彦のエッセイ「瀧口修造とマルセル・デュシャン」、「瀧口修造の箱舟」と合わせてお読みください。
 ・「関根伸夫ともの派」はロスアンゼルスで制作を続ける関根伸夫と「もの派」について作品や資料によって紹介します。
 ・「現代版画センターの記録」は随時更新します。
今までのバックナンバーの一部はホームページに転載しています。

本日26日(月)は休廊です

◆ときの忘れものは光嶋裕介新作展〜和紙に挑む〜幻想都市風景を開催しています。
会期:2016年9月20日[火]〜10月8日[土] *日曜、月曜、祝日休廊
koshima_DM
「描く建築家」光嶋裕介が自ら漉いた大判和紙に挑んだドローイング連作・幻想都市風景10点をご覧いただきます。
●イベントのご案内
9月30日(金)19時より松家仁之さん(小説家、編集者)をゲストに迎えてギャラリートークを開催しますが、既に満席となり予約受付は終了しました。

●個展期間中の光嶋さんの在廊予定
9月27日16時〜19時
9月28日14時〜19時
9月29日14時半〜16時
9月30日14時〜19時
10月1日12時〜16時
10月5日16時〜18時
10月6日12時〜19時(全日)
10月7日12時〜19時(全日)
10月8日12時〜19時(全日)

小林美香のエッセイ「写真集と絵本のブックレビュー」第8回

小林美香のエッセイ「写真集と絵本のブックレビュー」第8回

スージー・リー、『なみ』、『かげ』

01_cover(図1)
『なみ』表紙


02_6_titles(図2)
表紙6種類


今回紹介するのは、韓国の絵本作家スージー・リーの絵本、『なみ』(図1)(2009 講談社 原著は“Wave” 2008)です。スージー・リーの絵本は、この本のほかにも、『かげ』(2010 講談社 原著は”Shadow” (2010))、やイラストレーションを手がけた『この あかい えほんを ひらいたら』(2012 講談社 原著は” Open This Little Book”) が日本でも出版されていますが、いずれの作品も本を手に取ってページをめくる読者の行為に結びついて、強くうったえかけてくるような表現力を具えており、高く評価されています。『なみ』は、木炭の線描と水色のアクリル絵の具の色をデジタル技術で重ね合わせたイラストレーションで構成されており、文章がまったくなく、タイトルのみを翻訳して数カ国で出版されています(図2)。
絵本の内容はいたってシンプルで、お母さんに海に連れてきてもらった女の子が波打ち際で遊んで帰っていく、というものです。横長の判型の表紙からも明らかなように、見開きは幅の広いパノラマの画面で、本のノド(見開きのつなぎ目)が、左右で対面するページの軸となってストーリーが展開していきます。表紙(図1)では、女の子の後ろ姿越しに海が描かれていますが、扉のページをめくると、左側のページに女の子と海鳥、右側のページに海が描かれています。

03(図3)


04(図4)


女の子は、最初はおそるおそる寄せて返す波の動きをみつめては、波に近づいたり、後ずさりします(図3)。海鳥たちも女の子の後ろからかけてきたり羽ばたいたりして、女の子のわくわくしたり、ビクビクしたりする気持ちを強めて表わしています。しだいに女の子が波に慣れて、面白がりながらその動きと戯れたり、もっと大きな波になればいいのにと身振りをしたりするようになると、女の子や海鳥たちは、左側のページから右側のページへ入っていくようになります(図4)。このように女の子の動作を追って見ていくと、見開きのつなぎ目の線が、女の子が波に近寄ったり、後ずさりしたりするなかで、その動きの幅を表わし、波の動きや大きさを示す役割を果たしていることがわかります。また、左側のページの同じ位置に背景のなだらかな丘の稜線が描かれているために、読者は同じ視点から、次第に強さを増し大きくなっていく波の動きや、女の子の感情の高ぶりを感じ取ることができます。

05(図5)


06(図6)


07(図7)


08 (図8)


女の子が波と戯れて遊ぶうちに、波はどんどん大きくなっていきます(図5)。ふと気づいたときには、自分の背丈よりもはるかに大きな波が目の前に迫って女の子が呆然とした表情を浮かべた(図6)すぐその後に、必死になって海鳥と一緒に左手側に走ろうとした時(図7)に大波が襲いかかります(図8)。このシークエンスのなかで、(図3、4、5)の背景に描かれていた丘の稜線が、(図6)ではその線が薄くなり、(図7)ではすっかり消えてしまいます。このように徐々に背景を消していくことで、波の動きや大きさに集中し、(図8)で砕けて広がる波の圧倒的な力が体感として迫ってきます。左から右へとページをめくりながら、女の子の動作と波の動きのせめぎ合いを見開きのつぎ目を軸に感じた後に、画見開き全体に渦と飛沫として広がる波は、それまでに描かれていた光景のスケール感をリセットしてしまうような力を備え、読者もまた女の子と同様にしぶきを被ってしまったような気分を味わうのです。

09(図9)


10(図10)


11(図11)


波が引いた後に、呆然と座り尽くした女の子のまわりには波が運んできた貝殻が散らばり、海鳥たちと一緒に拾い集めます。(図9)日傘をさしたお母さんがサンダルを手に迎えに来て、一緒に遊んでいた海鳥は海の方へと羽ばたいていいきます。(図10)波を被った後(図9、10)には、(図3、4、5)で描かれていた丘の稜線が背景に再び描かれ、白かった空が海に染められたかのように水色に充ちています。(図10)では、濡れた砂浜に反射する女の子の姿も描かれていて、空と海にひたり満ち足りた表情の女の子の表情は、裏表紙(図11)の拾い集めた貝殻を差し出す女の子の笑顔へ続いていきます。海辺で過ごした時間は、実際にはほんのわずかな一時だったのかもしれませんが、そこで女の子が豊かな経験や、感情の動き、驚き、喜びが凝縮した形で表わされており、ページをめくるという動作の中でその生き生きとした動感が体験できることに、この本の魅力があります。Kindleやタブレットのような装置では再現できない、紙の本の魅力を味わえる一冊です。
こばやし みか


●今日のお勧め作品は、植田正治です。
ueda_13_hama_no_shonen植田正治
「浜の少年」
1931年(Printed later)
ゼラチンシルバープリント
20.2x30.1cm
サインあり

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10月1日12時〜16時
10月5日16時〜18時
10月6日12時〜19時(全日)
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10月8日12時〜19時(全日)

建築家のドローイング 第11回 フランク・ロイド・ライト

リレー連載
建築家のドローイング 第11回
フランク・ロイド・ライト(Frank Lloyd Wright)〔1867−1959〕

八束はじめ


 誰がいい出したのかは定かではないのだが、建築の世界では“form giver”ということばがある。近代建築の基本的なヴォキャブラリーをつくり出した、いうなれば言語創造者というような意味なのだが、通例これにあてられるのはフランク・ロイド・ライト、ル・コルビュジエ、ミース・ファン・デル・ローエの三人ということになっている。いうなれば御三家という所だが、実際にはこの並べ方はあまりすわりの良いものとはいえない。60年代生まれのライトは80年代生まれの他の二人に比べれば二つも上の世代に属し、後二者(及びバウハウスの創立者グロピウス)が修業時代に席を置いたベーレンス(68年生れ)やこのシリーズでもとりあげたペルツイッヒ(69年生れ)よりも更に一、二年の年長である。1911年にドイツのヴァスムート社が出版したライトの作品集(ドローイング集)がヨーロッパの建築家たち(とくにオランダとドイツ、オーストリア)に多大の影響を及ぼしたことは、近代建築史を扱ったどの本にも記述されているあまりに有名な事実だが、当時既にロビー邸やユニティ・チャーチ、ラーキン・ビルなどの傑作を建てて新時代の旗手あるいは若き巨匠であったライトに比べ、コルビュジエもミースもまだ駆け出し以前、つまりベーレンス事務所での修業時代の前後である。二人ともライトの図面をくいいるように見つめた多くの若い群像の中の一人にすぎなかった。この時点で、もちろん、ライトは既に form giver であった。相互貫入し合う流動的なヴォリュームと空間の詩学はウィーンのロースにも、ベルリンのミースにも、またロッテルダムのいわゆる「デ・スティル」派にも多大のヒントを提供している。しかしライトが他の年少の二人と後々まで肩を並べたのは、この建築家が、何度かの沈黙やスランプの時期をはさみながらその度毎に劇的な復活を遂げたからに他ならない。常に自からをリサイクルしていく、不死鳥のようなとよく形容されるが、考えようによってはむしろ怪物めいた生命力は他に全く比類を見ない。強いていうなら、やはり90を超えて生き、つくりつづけたミケランジェロといった所だろうか。

ナショナル生命保険会社計画フランク・ロイド・ライト Frank Lloyd Wright
「ナショナル生命保険会社計画」


 この70年近いキャリアの中でライトは全く夥しい作品をつくり、また計画案を残した。総計800を超すとあってはさすがのライトにしてもすべてが一級の作品とはいえず、建築家の名誉とはならぬものも少なからずあるが、それにしてもそれだけの数をこなしたということはライトに確かなメチエが備っていたことの証しであるとはいい得るだろう。それはこれらの膨大な作品群を紙上に定着したドローイングについてもあてはまる。あるいはむしろ、スタイルの上での何度かの変貌にも拘らず、ライトの底にはこのメチエの基盤が連続してあって、それが常に彼の巨匠としての質を保証していたのだといい得るということを、ドローイング群が証し立てているといってよいかもしれない。それらはいずれもライト流のドローイング・スタイルというものをはっきりと示している。もちろん後年に至るまで巨匠が自らそれらをおこしたわけではなく、専門のスタッフの手に委ねられていたようだが、誰が描いたにせよそれらはライトのドローイングなのである。つまり全く個性的でありながら、完全に個人の手のみに負っているわけではない。若年のライトが師のサリヴァンのフリーハンドで装飾の下絵をおこしていく手腕に舌を巻き、自分には到底真似できないので定規によって自らのスタイルを確立しようとしたというエピソードや後年ライトの作業場タリアセンを訪れたメンデルゾーンが例の達者なスケッチを巨匠に示してうならせたというようなエピソードはその辺の事情に関っている。ライトの仕事全体がそうした全くの手仕事とそれを排除して純粋な構成関係のみによっていたモダンなコンポジションとの中間に存在している。そしてライトはそこに全く独自な境地を発見したのだ。

ハーディー邸
フランク・ロイド・ライト Frank Lloyd Wright
「ハーディー邸」


 このスタイルに最も良く似ているのは以前にとりあげたウィーンのオットー・ワグナーとその一派のドローイングである。この平行性が何らかの直接的影響関係によっているかは定かではないが、とくに例えばラーキン・ビルのインテリア・パースの線描の質や空間のとらえ方などは極めてワグナーに似ている。間接的に、つまり共通のソースの一つとしては、日本の浮世絵の手法がある。(ユーゲント・シュティル全体へのオリエンタリズムの影響は有名だし、ライトは帝国ホテルの仕事で滞日するより大分以前から度々版画のコレクションのために来日していたことが知られているが、両者には共に建物を遙かに上に置いて見上げる構図のとり方、植生のつかい方など多くの共通点を見ることができる。ヴァスムート版のライトのドローイングに魅せられたワグナー門下の若い学生であったルドルフ・シンドラーのように渡米してライトの門を叩いた人物もいたから、ウィーンとライトの関係は直接・間接に浅からぬものであったといえよう。(ついでながら、ライトのもとから独立してからも結局アメリカで生涯を送ることになったシンドラーのドローイングのスタイルも、当然、その両者の特徴を合せもっている。)

ミッドウェイ・ガーデンフランク・ロイド・ライト Frank Lloyd Wright
「ミッドウェイ・ガーデン」


 一方、ライトのドローイングはやがて水彩などで着色されることが多くなる。それと同時に線の質もワグナーのような硬質なものから軟らかみを帯びた(しかしあくまで定規で引かれた)ものへと変っていく。ライト流ドローイングの線の質とその空間及びメチエとの関係について触れたが、おそらく、ライトのドローイングに関しても同じようなことがいえるはずである。そこでは線はもはやくっきりとしたハード・エッジな、つまりものの限界を明確にしるすものというよりは、ものの質感やヴォリューム感の中の過不足ない要素としておさまっている。ワグナーが鉄やスタッコ、硬質な大理石といった(ハード・エッジを可能とする材料を好み、空間もむしろ奥行きよりは浅く明快な構成をされているのに対して、木や帝国ホテルで用いた大谷石やロサンジェルスの住宅シリーズの化粧コンクリート・ブロックのように、むしろ柔らかい材料(角が丸みを帯びた)をライトが好んでいたことが、ドローイングの上にも確実に反映していると筆者は考えている。従って描かれたドローイングでも、つくり上げられた実際の建物でも、空間は、微妙な階調と、日本的なことばでいうなら、奥床しさ(ことばの本来の意味での)をもっている。日本人がライトを好む所以でもあろう。
 こうした、ドローイングにも通底している感覚は、例えば第二期の劈頭を飾る、いわゆる落水邸(カウフマン邸 1936)や、最高傑作といわれるジョンソン・ワックス・ビル(1936-9)更には戦後の代表作グッゲンハイム美術館(1959)などにも共通して受け継がれている。例えば落水邸は、一見豆腐の角を切ったいわゆるル・コルビュジエ風にキュービックな作品だが、仔細に見れば「住む機械」(ル・コルビュジエ)の鋭利さとは随分と違った作品である。これらの作品は初期の装飾的でまた同時に日本的/ユーゲント・シュティル的でなくもない作品群と、スタイルの上で比べれば遙かにモダンであり、ル・コルビュジェやミースとライトの名を並べしめたものだが、こうした感覚上の特質は変っていないのである。一人の芸術家の、究極的には変わりようのない体質というようなものは、むしろこのようなディテールの端々にあらわれるものであって、ある意味ではそのことをライトのドローイングほど如実に示しているものはない。

ナマコ・カントリー・ハウスフランク・ロイド・ライト Frank Lloyd Wright
「ナマコ・カントリー・ハウス」


やつか はじめ

*現代版画センター 発行『PRINT COMMUNICATION No.100』(1983年10月1日発行)より再録
*作品画像は下記より転載
「ナショナル生命保険会社計画」
「ハーディー邸」
「ミッドウェイ・ガーデン」
「ナマコ・カントリー・ハウス」
毎日新聞社 発行『フランク・ロイド・ライト回顧展』、1991年より

八束 はじめ Hajime Yatsuka
建築家・建築批評家
1948年山形県生れ。72年東京大学工学部都市工学科卒業、78年同博士課程中退。
磯崎新アトリエを経て、I983年(株)UPM設立。2003年から芝浦工業大学教授。2014年退職、同名誉教授。
代表作に白石市情報センターATHENS,
主要著書に『思想としての日本近代建築』。

●今日のお勧め作品は、フランク・ロイド・ライトです。
20160222_wright_01フランク・ロイド・ライト
「Gerts Walter Residence」
1905年
紙に水彩とインク
40.0x74.0cm

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9月27日16時〜19時
9月28日14時〜19時
9月29日14時半〜16時
9月30日14時〜19時
10月1日12時〜16時
10月5日16時〜18時
10月6日12時〜19時(全日)
10月7日12時〜19時(全日)
10月8日12時〜19時(全日)

真岡でオノサト・トシノブ展

見てきました
入場料1600円(一般)、1200円(大学生)、800円(高校生)
国立美術館がこの料金とったらアーティスト育ちません。

http://www.momat.go.jp/am/exhibition/thomasruff/
五味彬さんのfacebookより)>

竹橋の東京国立近代美術館で開催されているいま話題のトーマス・ルフ展(8月30日〜 11月13日)の料金について五味先生の見解、まことに同感です。
この料金とったらアーティスト育ちません」、ずばり核心をつくのは五味先生の凄いところです。
高校生からも800円とるなんて、来るな(見るな)といっているようなもの(中学生以下、障害者手帳をお持ちの方とその付添者(1名)は無料。とのこと)です。
常設に準じる「近代風景〜人と景色、そのまにまに〜奈良美智がえらぶMOMATコレクション」の料金はというと、一般430円、大学生130円。高校生以下および18歳未満、65歳以上、障害者手帳をお持ちの方とその付添者(1名)は無料。
これなら、学生さんは何度でも通えます。
高額なクラシックのコンサートにだって音大生への特別割引があったと思うけれど、若いときにいいものを繰り返し見る、聞くことはとても重要です。
日本の為政者たち(行政も)はなぜかくも「教育」に無関心なのでしょうか。
大学生たちの奨学金地獄(20代の若者に数百万円の借金を負わせるなんて、国の未来を放棄していると言わざるを得ません)と、トーマス・ルフ展の高額入場料は同根です。

アタマに来たところで無料の展覧会のご案内です。
栃木県真岡でオノサト・トシノブ展が開催されています。
会場は久保貞次郎先生のお屋敷だったところです。
20160920_onosato1_125020160920_onosato2_1250

久保記念観光文化交流館 美術品展示館 第9回企画展
オノサト・トシノブ展
会期=前期:2016年9月1日(木)〜10月3日(月)
会期=後期:2016年10月20日(木)〜11月28日(月)
午前9時〜午後6時(最終入館 午後5時30分)
休館日:毎週火曜日、展示替休館:8月31日(水)、10月5日(水)、10月19日(水)、11月30日(水)
※10月6日(木)〜17日(月)は第30回真岡市美術展を開催いたします。
会場:久保記念観光文化交流館 美術品展示館
〒321-4305 真岡市荒町1105番地1
筺0285-82-2012
観覧料:無料
オノサト・トシノブ(1912-1986)は、久保貞次郎(1909-1996)が支援し戦後日本の抽象絵画の先駆けとして高く評価されている画家です。真岡市所蔵の久保コレクションより、オノサトの代表的な作風である円や四角形などの幾何形体を鮮やかな色彩で配列した抽象作品約30点を前期と後期に分けて展示いたします。独自の絵画を追求し続けたオノサトの作品世界をお楽しみください。(主催の真岡市教育委員会のHPより)

母屋、洋館、いくつもの蔵、久保先生のお屋敷が久保記念観光文化交流館に生まれかわり、ご遺族から寄贈された瑛九はじめ久保コレクションが順次公開されています。
社長は久保先生の跡見での教え子でした。そのユニークな授業風景についてはコチラをお読みください。
お近くの方はもちろん、オノサトファンの皆さん、ぜひお見逃しなく。

●今日のお勧めはちょっとチャーミングなオノサト・トシノブの水彩です。
20160916_赤い十字のある円(水彩)_600
オノサト・トシノブ
「赤い十字のある円」
1966年 水彩
10.0×10.0cm Signed

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※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください
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画廊コレクションから版画作品も紹介しましょう。
オノサト65-B
オノサト・トシノブ Toshinobu ONOSATO
"65-B"
1965年  リトグラフ
30.0×40.0cm
Ed.120  Signed
サインあり
※レゾネNo.16


onosato "Silk-2"
1966年
シルクスクリーン
31.0×40.0cm
Ed.120 Signed
*レゾネNo.20


onosato "Silk-7"
1967年
シルクスクリーン
50.2×50.2cm
Ed.150 Signed
*レゾネNo.27


Onosato "Silk-32"
1970年
シルクスクリーン
40.0×40.0cm
Ed. 100 Signed
*レゾネNo.55


Onosato "Silk-40"
1971年
シルクスクリーン
32.0×41.0cm
Ed. 160 Signed
*レゾネNo.64


Onosato "Silk-48"
1971年
シルクスクリーン
50.0×50.0cm
Ed. 100 Signed
*レゾネNo.72


Onosato "Silk-52"
1972年
シルクスクリーン
27.2×40.5cm
Ed.150 Signed
*レゾネNo.76


Onosato "Silk-103"
1979年
シルクスクリーン
30.0×30.0cm
Ed. 150 Signed
*レゾネNo.165


Onosato "Silk-105"
1980年
シルクスクリーン
30.0×30.0cm
Ed. 150 Signed
*レゾネNo.173


Onosato "A.S.-2"
1981年
シルクスクリーン
20.0×20.0cm
Ed.88(レゾネにはEd.80と誤記)
Signed
*レゾネNo.177


Onosato "A.S.-3"
1981年
シルクスクリーン
20.0×20.0cm
Ed.88 Signed
*レゾネNo.178


Onosato "A.S.-4"
1981年
シルクスクリーン
20.0×20.0cm
Ed.88 Signed
*レゾネNo.179


Onosato "A.S.-5"
1981年
シルクスクリーン
20.0×20.0cm
Ed.88 Signed
*レゾネNo.180


オノサト"F-2"
1981年
シルクスクリーン
50.0×50.0cm
Ed.80 Signed
*レゾネNo.185


Onosato "A.S.-9"
1982年
シルクスクリーン
30.0×30.0cm
Ed.150 Signed
*レゾネNo.187


Onosato "A.S.-12"
1982年
シルクスクリーン
20.0×20.0cm
Ed.150 Signed
*レゾネNo.190


Onosato "A.S.-13"
1982年
シルクスクリーン
20.0×20.0cm
Ed.150 Signed
*レゾネNo.191


Onosato "A.S.-17"
1984年
シルクスクリーン
60.5×72.5cm
Ed.100 Signed
*レゾネNo.200


Onosato "F-8"
1984年
シルクスクリーン
60.5×72.5cm
Ed.100 Signed
*レゾネNo.201


Onosato "A.S.-21"
1986年
リトグラフ
35.0×42.0cm
Ed.70 Signed
*レゾネNo.208

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※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください
ときの忘れものの通常業務は平日の火曜〜土曜日です。日曜、月曜、祝日はお問い合わせには返信できませんので、予めご了承ください。

◆ときの忘れものは光嶋裕介新作展〜和紙に挑む〜幻想都市風景を開催しています。
会期:2016年9月20日[火]〜10月8日[土] *日曜、月曜、祝日休廊
koshima_DM
「描く建築家」光嶋裕介が自ら漉いた大判和紙に挑んだドローイング連作・幻想都市風景10点をご覧いただきます。

●イベントのご案内
9月30日(金)19時より松家仁之さん(小説家、編集者)をゲストに迎えてギャラリートークを開催しますが、既に満席となり予約受付は終了しました。

●個展期間中の光嶋さんの在廊予定
9月27日16時〜19時
9月28日14時〜19時
9月29日14時半〜16時
9月30日14時〜19時
10月1日12時〜16時
10月5日16時〜18時
10月6日12時〜19時(全日)
10月7日12時〜19時(全日)
10月8日12時〜19時(全日)

藤本貴子のエッセイ「建築圏外通信」第13回

藤本貴子のエッセイ「建築圏外通信」第13回

 「土木」、と聞いて何を思い浮かべるでしょうか。ダム、堤防、橋梁工事。身近なようなあまり馴染みのないような、そんな言葉かもしれません。そんな「土木」の仕事を楽しく紹介する展覧会が、21_21 DESIGN SIGHTで開かれています。その名も、《土木展》。
 開催期間がちょうど夏休みということもあって、子供も楽しめる展示になっており、実際子供連れの観客も多く見かけました。筆者も、幼い頃に重機好きの兄と一緒に近所の工事現場を見に出かけたことや、部屋の片隅にショベルカーの運転室を再現したことを思い出し、ワクワクました。

IMG_6743_s展示物のマンホールから顔を出す。


 「工場萌え」という言葉はすっかり市民権を獲得し(wikipediaにも登録されていました)、軍艦島こと端島の炭鉱跡も人気を誇っています。端島を含む明治日本の産業革命遺産が世界遺産に登録されたことも記憶に新しいです。スケールの大きな「土木的なもの」に惹かれる気持ちは、誰もが少なからず持っているといえるでしょう。展示にはそんな心をくすぐるように、壁面一杯のプロジェクションや写真、等倍の土管や左官仕事の作品などが並びます。メディアアートのような作品もありましたが、土木の仕事を分かりやすく表現する、という意図がよく伝わりました。ディレクターである西村浩氏の前文にあったように、土木の仕事を「ビジュアライズする」ことには成功しているといえます。しかしそれだけに、筆者が関わるアーカイブ資料の展示とは、大きく手法が異なるなとも感じました。
 その違いが一番顕著なのは、「土木と哲学」セクションにある永大橋設計図の複製展示です。この作品は「BLUE WALL」と題されており、永大橋設計図青図が壁一杯に並べられています。構造の図面は1枚で理解することは難しく、複数の図面を展示し解説することは必要です。しかし、ここでは個々の図面に対する説明はなく、図面というモノの量を「青の壁」という面でみせる作品となっていました。確かに、単純に物量をみせる展示が必要なこともあります。青い壁もなかなかの迫力です。そして、図面というのは単に柄としても、並べるとなかなかカッコよく見えるものでもあります。ただし、これをアーカイブ資料として展示するためには、こういうわけにはいきません。アーカイブそのものは、モノの堆積です。そしてその量を見せるだけでも、迫力を持ちます。しかし、それだけではモノ自体は何も意味をもちません。アーカイブの魅力は、その一見無価値なモノの羅列の中から、どのような発見ができるか、というところにあるのです。その発見はひとつの小さな事実であることもあれば、大きな歴史の物語であることもあります。アーカイブ資料を展覧会という場でみせるためには、モノとしてではなく、その解釈・発見と共に、発見の可能性があることを伝えることが大切でしょう。そもそも、アーカイブ資料自体が、あらゆる人にとって大切な価値を持つ可能性は極めて低いものです。国会図書館の本の殆どが誰の目にも触れられることなくひっそりと保管され続けているように、アーカイブ資料も必要な人にしか価値は発見できません。であるからこそ、その資料を広く一般に公開する際には、その魅力を伝える方法は丁寧に考えられなければならないはずです。
随分と話が逸れてしまいましたが、以上のようなことまで考えさせられ、よい体験となりました。
ショップにも足止めされること間違いなしですよ。

《土木展》9月25日まで、21_21 DESIGN SIGHTにて開催中↓
http://www.2121designsight.jp/program/civil_engineering/

ふじもと たかこ

藤本貴子 Takako FUJIMOTO
磯崎新アトリエ勤務のち、文化庁新進芸術家海外研修員として建築アーカイブの研修・調査を行う。2014年10月より国立近現代建築資料館研究補佐員。

●今日のお勧め作品は、渡辺貴子です。
20160905_watanabe_02_untitled_2010渡辺貴子
「untitled"(12)」
2010年
ひもづくり
H38.0×W12.0×D11.0cm


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◆ときの忘れもののブログは下記の皆さんのエッセイを連載しています。
 ・大竹昭子のエッセイ「迷走写真館 一枚の写真に目を凝らす」は毎月1日の更新です。
 ・frgmメンバーによるエッセイ「ルリユール 書物への偏愛」は毎月3日の更新です。
 ・夜野悠のエッセイ「書斎の漂流物」は毎月5日の更新です。
 ・笹沼俊樹のエッセイ「現代美術コレクターの独り言」はしばらく休載します。
 ・杉山幸一郎のエッセイ「幸せにみちたくうかんを求めて」は毎月10日の更新です。
 ・芳賀言太郎のエッセイ「El Camino(エル・カミーノ) 僕が歩いた1600km」は毎月11日の更新です。
 ・土渕信彦のエッセイ「瀧口修造とマルセル・デュシャン」は毎月13日の更新です。
 ・普後均のエッセイ「写真という海」は毎月14日の更新です。
 ・野口琢郎のエッセイ「京都西陣から」は毎月15日の更新です。
 ・小林紀晴のエッセイ「山の記憶」は毎月19日の更新です。
 ・藤本貴子のエッセイ「建築圏外通信」は毎月22日の更新です。
 ・八束はじめ・彦坂裕のエッセイ「建築家のドローイング」(再録)は毎月24日の更新です。
 ・小林美香のエッセイ「写真集と絵本のブックレビュー」は毎月25日の更新です。
 ・スタッフSの「海外ネットサーフィン」は毎月26日の更新です。
 ・森本悟郎のエッセイ「その後」は毎月28日の更新です。
 ・光嶋裕介のエッセイ「和紙に挑む」は毎月30日の更新です。
 ・植田実のエッセイ「美術展のおこぼれ」は、更新は随時行います。
  同じく植田実のエッセイ「生きているTATEMONO 松本竣介を読む」と合わせお読みください。
  「本との関係」などのエッセイのバックナンバーはコチラです。
 ・中村茉貴のエッセイ「美術館に瑛九を観に行く」は随時更新します。
 ・飯沢耕太郎のエッセイ「日本の写真家たち」英文版とともに随時更新します。
 ・深野一朗のエッセイは随時更新します。
 ・「久保エディション」(現代版画のパトロン久保貞次郎)は随時更新します。
 ・石原輝雄のエッセイ「マン・レイへの写真日記」は終了しました。
 ・荒井由泰のエッセイ「いとしの国ブータン紀行」は終了しました。
 ・森下泰輔のエッセイ「戦後・現代美術事件簿」は終了しました。
 ・「殿敷侃の遺したもの」はゆかりの方々のエッセイや資料を随時紹介します。
 ・「オノサト・トシノブの世界」は円を描き続けた作家の生涯と作品を関係資料や評論によって紹介します。
 ・「瀧口修造の世界」は造形作家としての瀧口の軌跡と作品をテキストや資料によって紹介します。
土渕信彦のエッセイ「瀧口修造とマルセル・デュシャン」、「瀧口修造の箱舟」と合わせてお読みください。
 ・「関根伸夫ともの派」はロスアンゼルスで制作を続ける関根伸夫と「もの派」について作品や資料によって紹介します。
 ・「現代版画センターの記録」は随時更新します。
今までのバックナンバーの一部はホームページに転載しています。

◆ときの忘れものは光嶋裕介新作展〜和紙に挑む〜幻想都市風景を開催しています。
会期:2016年9月20日[火]〜10月8日[土] *日曜、月曜、祝日休廊
koshima_DM
「描く建築家」光嶋裕介が自ら漉いた大判和紙に挑んだドローイング連作・幻想都市風景10点をご覧いただきます。
●イベントのご案内
9月30日(金)19時より松家仁之さん(小説家、編集者)をゲストに迎えてギャラリートークを開催します(要予約/参加費1,000円)。
※必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記の上、メールにてお申込ください。
E-mail: info@tokinowasuremono.com

●個展期間中の光嶋さんの在廊予定
9月27日16時〜19時
9月28日14時〜19時
9月29日14時半〜16時
9月30日14時〜19時
10月1日12時〜16時
10月5日16時〜18時
10月6日12時〜19時(全日)
10月7日12時〜19時(全日)
10月8日12時〜19時(全日)

利益あれど少なし 「ART FAIR ASIA / FUKUOKA 2016」

メールありがとうございます。こちらこそ良い作品を信じがたいプライスで入手できました。感謝しています。黒崎彰は今玄関を飾っています。上京の際にはお店に伺いたいと思います。どうぞよろしく。(Iさんからのメールより)>

先日はお忙しい中、楽しいお話しをしていただきありがとうございました。
ホテルの部屋の展示会は初めてだったので楽しく過ごすことが出来ました。
また、紹介していただいた大阪の画廊さんから1点購入しました。
大変珍しい技法の方のようでこれから精進されて大成されることを期待するところです。
次に、おいでの節は太牟田方面をご案内いたしますので是非ご連絡ください。
天候不順のおりご自愛くださるよう祈っております。
奥様にもおいでくださるようお伝えください。
ありがとうございました
。(Mさんからのメールより)>

昨年に続き二回目の開催となる「ART FAIR ASIA / FUKUOKA 2016」に出展、参加しました。
会期は9月9日〜9月11日。
ブース代が比較的安くすむホテルフェアの一つですが、今年の会場は福岡アジア美術館に隣接したホテルオークラ福岡でした。
201609_AFAF16_33
予告の通り、老兵二人の参加なので、展示は少数精鋭、いたってシンプルにしました。
メインは松本竣介、瑛九、瀧口修造、秋葉シスイの4作家
他にオノサト・トシノブ、元永定正、靉嘔、馬場檮男、粟津潔、北川民次、黒崎彰、菅井汲、殿敷侃、アンディ・ウォーホルなどの小品を展示しました。
(このスナップの撮影は野口琢郎さんです)

afafにて展示風景
左からウォーホルの小品、瀧口修造のデカルコマニー2点
亭主は事故に遭ってから初めての長期出張で体調が不安だったのですが、搬入・搬出・会場設営は昨年に続き、地元の徳永昭夫さんが完璧に仕上げてくださり、とても助かりました。

afafにて瑛九
瑛九の大判のフォトデッサン
亭主と社長は9月7日に盛岡で開催された「上田浩司さんを偲ぶ会」に出席したため、翌8日仙台空港から福岡入りしました。夕方遅くにホテルに到着したのですが、上述の通り徳永さんから「しばらくどこかで時間をつぶしててください」と言われ、何もせずに開幕を迎えることができました。

201609_AFAF16_32
珍しくネクタイ姿で接客する亭主
(このスナップの撮影は野口琢郎さんです)

afafにて木下晋
「まさかここで瀧口先生の作品に出会えるとは思ってもみなかった」
鉛筆で凄みのある肖像画を描き続ける木下晋先生が来場され、瀧口作品を食い入るようにご覧になっていました。

afafにてレセプション
初日の夕刻、近くの博多座のロビーを借り切って盛大なレセプションが開催されました。
会費無し、一画廊何名までなどというケチな制限も無し、来る者拒まず、さすが博多っ子の心意気。
あまりに豪勢なのでいらぬ心配をしてしまいました。事務局さん大丈夫かしら・・・

afafにて森田実行委員長
「アートフェアはギャラリーだけのものではなく、地域の環境や人々の中に文化や芸術をもっともっと感じてもらうきっかけとなればと思っています!」
実行委員長の森田俊一郎(Gallery MORITA)さんの威勢のいい挨拶。

DSC_1769
ゲストの挨拶は、開催を応援してくれた福岡市議会議員の橋田和義さん
(撮影:野口琢郎)

afafにて石鍋、野口
東京から駆けつけたワンピース倶楽部の石鍋博子さんと、京都から初めて福岡入りした野口琢郎さん。
後ろのヒゲ面は「お声がかかれば全国どこでも出展します」というレントゲンの池内努さん

afafにてレセプション
出展画廊、出品作家たちが、地元のお客さまを交えて熱い交流。
アートフェアの良いところは、こういう機会に今まで付き合いのなかった同業者や若い作家たちに出会えることですね。

afafにて新居・田村
ホテルオークラには四泊しましたが、毎夜近くの飲食街に突撃。当然初めての店ばかりでしたが(地元の画廊さんにアドバイスを受けて、繁華街ではなく少しさびれた感じの通りを探索)、安くて美味しいお店ばかりでした。
左は大阪Nii Fine Artsの新居圭太さん、右は瀬戸内周防大島から今年も駆けつけてくれたお客様の田村利生さん。
後述しますが田村さんのおかげで大変たいへん助かりました。

IMG_2041野口さんによる自撮り
左の女性は富山から遠路参加した画家の笠井遥さん。日本画の出身らしいのですが、黒い画面をニードルでひっかいて描き出す繊細で力強い作品を出品されていました。
Nii Fine Artsさんから出展した若い作家さんは野口さん、笠井さんはじめ全員売れた由、良かったですね。

afafにて市議の橋田さん
レセプションのときにはばりっとした背広姿だった市議会議員の橋田和義さん(左)、今日はカジュアルな服装で来場されたので、一瞬わかりませんでした。アートの守護神となって選挙も頑張ってください。
社長も亭主も孫を相手にしている感じ

afafにて居眠りする社長
昨年と同様、初日、二日目とめぼしい成果はなく・・・・、ソファで居眠りする社長。
亭主は事故後のリハビリに加え、ますます悪化する難聴で社長の通訳(介添え)なしでは人様と会話もできません。日ごろのお疲れが出たのでしょう。

afafにて社長と田村さん
苦戦を見かねた信心深い田村さんが、三日目の早朝、近くの櫛田神社にお参りしてお札までいただいてきてくれました。

afafにて竣介、秋葉作品
櫛田神社の霊験あらかた、左の竣介も、右の秋葉シスイもめでたくお買い上げいただきました!
他にオノサト・トシノブ黒崎彰ハ・ミョンウン北川民次も売約となり、社長にっこり。

afafにて櫛田神社
フェアも無事終了。搬出も済んだので、帰京前の時間を縫って小雨ふる中、櫛田神社にお礼に伺い参拝いたしました。
一桁、二桁、三桁とそれぞれ作品が売れ、何とか面目を施すことができました。
お買い上げいただいたお客様と、幸運を運んでくれた神様、そして縁を結んでくれた田村さんには心より御礼を申し上げます。

afafにて櫛田神社
ポケットの小銭をぜーんぶお賽銭箱に入れ、御神籤も買いました。

商売(あきない) 利益あれど少なし

う〜ん当たってる!

今年も地元の皆さんの温かいお心遣いで、気持ちよく過ごすことができました。
来場されたお客様、実行委員会の皆さん、出展画廊の皆さん、ありがとうございました。

●今日のお勧めは瑛九の油彩です。
qei_165瑛九
《花々》
1950  油彩
45.5x38.2cm
(F8号)

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今日(日曜)と明日(月曜、祝日)は休廊です。

ときの忘れものの通常業務は平日の火曜〜土曜日です。日曜、月曜、祝日はお問い合わせには返信できませんので、予めご了承ください。

◆ときの忘れものは光嶋裕介新作展〜和紙に挑む〜幻想都市風景を開催しています。
会期:2016年9月20日[火]〜10月8日[土] *日曜、月曜、祝日休廊
koshima_DM
「描く建築家」光嶋裕介が自ら漉いた大判和紙に挑んだドローイング連作・幻想都市風景10点をご覧いただきます。
●イベントのご案内
9月30日(金)19時より松家仁之さん(小説家、編集者)をゲストに迎えてギャラリートークを開催します(要予約/参加費1,000円)。
※必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記の上、メールにてお申込ください。
E-mail: info@tokinowasuremono.com

●個展期間中の光嶋さんの在廊予定
9月20日14時〜19時
9月27日16時〜19時
9月28日14時〜19時
9月29日14時半〜16時
9月30日14時〜19時
10月1日12時〜16時
10月5日16時〜18時
10月6日12時〜19時(全日)
10月7日12時〜19時(全日)
10月8日12時〜19時(全日)

上田浩司さんを偲んで、ウォーホルのあるラーメン屋さん

友達のゐぬ転校生われがふと迷ひ入りたる盛岡画廊
背伸びして爪先立ちて若きわれ画廊の会話を聴きてゐたりき
靉光を瑛九を見るうれしさに画廊の階段駆け上りし日
長身を折り曲げ語りかくるとき鼻濁音おほき盛岡ことば
上田さんのゐる心地せり中津川の風に吹かれて画廊に来れば
 (コスモス短歌会 吉田史子さんの短歌<記憶が回る>より)

<MORIOKA第一画廊の「一元会」に、1982-85年、私の祖父と母は油絵で出展した。その20年後に僕のパートナーが画廊を担ってきた上田浩司さんから、彼の「眼」の物語を語り継がれた。
2014年の暮れ、僕は彼女の助けを借りて、上田さんに曽祖父の詩集を渡した。「夢は虹に満たされ…」そして、一昨日、僕は彼女と共に第一画廊を訪れて、上田さんを懐かしむ人の中に居た。僕は想う、ものを創ろうとする人たちが求めている光源があることを。
 (高橋在也さんのtwitterより)>

<昨日の上田さんを偲ぶ会
MORIOKA第一画廊のこの奥まったスペースでも晩年何度か上田さんとコーヒーを頂きながらお話した。頂くコーヒーはいつも美味しく、上田さんとの会話は何気ないようでいつも示唆に富んでいてコーヒーとともに思い出だ。
上田さんはよく口癖のようにこう言われた「作家は最初の作品をなかなか越えられないと」MORIOKA第一画廊の奥まったスペースに私の最初の作品を含む小品三点があった。昨日はしみじみと言葉を思い出しながら自分の仕事を振り返った。
 (長谷川誠さんのtwitterより)>

<先日、50年以上にわたって画廊を続けてこられた上田浩司氏を偲ぶ会が行われるということで、MORIOKA第一画廊を訪れました。たくさんの人が集まっていて、「立錐の余地もない」というのは正にこういうことを言うのだと思いました。
男の人も女の人も、上田さんと同世代くらいの大先輩から、ボクよりずっと年下の人も参加していました。
「ここに集まった人達は皆、上田さんのカケラを持っているのだ」
ふとそんな言葉が頭の中に浮かびました。
各々に色んな形で、大きさで、重さで、“上田さん=第一画廊”と時間や体験を共有して、様々な想いを胸に集まった人々。
ボクは、作品をつくっていて、時折「上田さんはどう思うかな」と考えることがあります。
“上田さん=第一画廊”はボクにとってずっとあこがれだし、方向を示してくれる北極星みたいだと思うし、これからもきっとそういう存在に違いありません。
 (紙町銅版画工房さんのfacebookより)>

<50年以上続いている「MORIOKA第一画廊」の代表であった上田さんを偲ぶ会でした。
5年前Cygを立ち上げたときの話ですが、第一画廊に行ったときに上田さんと偶然お会いできて2時間くらいゆっくり話をすることができたのです。お茶まで出してもらってたくさんの話をしました。
Cygが第一画廊と同じで「作品を売って利益を得る企画ギャラリー」であるという共通点があったからこそ、話が盛り上がったのだと思います。
作家を応援しつつも厳しく評価するという話。
ぜんぜん作品が売れない時代の話。
売れないけど面白いことをしたいというエネルギーがあった話。
土壌がない盛岡でなんとかやってきたという話。
などなど、
今となっては何を話したか詳しくは覚えていませんが、
僕たちの夢、辛いこと、不安なこと、それでも楽しいこともあるんです、という話をすると
「わかるよ」「そうだよなぁ」「とにかくがんばれよ」
「こんなことがあったんだよ」「うんうんがんばれよ」
「階段がきつくてなぁ」「いいよいいよ」
といったことを繰り返し話してくださいました。
結果ぼくは3回ほどしかお会いできなかったで、
会場にいらっしゃった先輩のみなさんと上田さんの若い頃の思い出などは共有できなくて少し寂しかったのですが、、、
「34歳の僕の中にも上田さんが居ますよ〜」
ということだけ伝えたくてここに書きました。
 (清水真介さんのfacebookより)>

<今日、改めてMORIOKA第一画廊に伺いました。
9/16は上田さんのお誕生日、と娘のリトさんが教えてくれました。
お元気ならば84歳のお誕生日だったそうです。
舷でホットサンドとコーヒーを頂いて、懐かしい話をたくさんしました。
次の企画展は杉本みゆき展だそうです。
 (五日市美子さんのfacebookより)>

MORIOKA第一画廊「展」 9月5日〜9月17日
会場:MORIOKA第一画廊・舷
  〒020-0023 岩手県盛岡市内丸2-10-1 TV岩手1階
Tel&Fax. 019-622-7935
E-mail. daiichi-gen@gol.com
案内状の画面をクリックしてください(拡大されます)。
20160829_1280

去る6月25に亡くなられたMORIOKA第一画廊の上田浩司さんを偲ぶ会が、9月7日に同画廊で開催されました。
上田さんの歩んだ道は先日ご紹介した雑誌展評の上田浩司さんのインタビューをお読みください。
亭主が初めて上田さんを知った日のことは8月29日のブログに書きました。

上田浩司さん

在りし日の上田浩司さん。彫刻は照井榮さんの作品。
於:MORIOKA第一画廊 撮影:梅田裕一
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201609_盛岡_29
第一画廊の看板。
上田さん手書きの墨で黒々と展覧会名が書かれていたのですが、今回はパソコン文字。
城跡(岩手公園)のすぐそば、テレビ岩手の1階に画廊と喫茶店「舷」が一体となった空間が上田さんのお店でした。
冒頭に紹介した吉田史子さんの短歌「靉光を瑛九を見るうれしさに画廊の階段駆け上りし日」は、第一書店3階にあった時代の急で細い階段のことでしょうか。

201609_盛岡_22
上田さんの展示のセンスは抜群でした。
果たして今回のコレクション展の展示はおめがねにかなうでしょうか。
壁面には上田さんが愛した作家たちの小品の数々。50年間の開催展覧会の資料も展示されました。

201609_盛岡_32
「池田さん」時代から40年間通った社長、たくさんのことを教えていただきました。

201609_盛岡_05
上田さんの原点、松本竣介の素描

201609_盛岡_07
盛岡中学で竣介と同級だった舟越保武先生を上田さんは深く敬愛していました。

201609_盛岡_23
斜め左上の真四角の作品は盟友ともいうべき松田松雄さんの作品。
通夜の席で上田さんの遺体を覆っていたのは松田松雄展と舟越保武展のポスターでした。

201609_盛岡_19
偲ぶ会に間に合わせるべく急遽作成されたMORIOKA第一画廊の開催展覧会リスト。
生前、上田さんは画廊史をつくる話が出たとき激しく拒絶しました。しかし、その軌跡は上田さんだけのものではなく、盛岡の、ひいては日本の現代美術史の重要な資料です。
短期間のうちに半世紀の画廊の歴史をまとめた画廊スタッフや戸村茂樹さんたちのご尽力に深く敬意を表します。

201609_盛岡_17
初期の頃の展覧会リスト

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最初の展覧会は1964年(昭和39年)11月

20160907上田偲ぶ会18資料
出席者は何冊にも及ぶ開催記録のファイルを熱心にご覧になっていました。

20160907上田偲ぶ会26資料
このリスト、ファイルには、東京からかけつけた国立文化財研究所の田中淳先生や、和光大学の三上豊先生も驚愕しておられました。
いずれ整理した形で、各研究機関等に贈られるでしょう。

201609_盛岡_18
開催された展覧会の案内状の数々。

201609_盛岡_25
見た展覧会もあり、「えっ、こういうのやってたんだ」と驚く展覧会あり、50年の歳月はハンパではありません。

201609_盛岡_28
真ん中の「全国縦断 現代版画への招待展」は1974年の現代版画センター旗揚げに祭し、上田さんが全国に先駆けて開催に名乗りを上げてくださった亭主と社長にとっては涙なくしては見られない案内状です。

201609_盛岡_09
資料写真(松本竣介、舟越保武 etc.,)

201609_盛岡_12
資料写真(難波田龍起、百瀬寿、舟越桂 etc.,)

201609_盛岡_37
みなさ〜ん、お静かに願います。これから上田さんを偲ぶ会を開催しま〜す

20160907上田偲ぶ会01
左から彫刻家の照井榮さん(椅子)、友人代表で開会の辞を述べたパンシオンの清水さん、萬鉄五郎記念美術館館長の中村光紀さん、図らずも上田さんの遺志を継ぐことになった直利庵の女将松井裕子さん

20160907上田偲ぶ会02
盛岡はもとより、東京はじめ各地からたくさんの方が出席されました。

20160907上田偲ぶ会03
50年の歴史を知る年配の方が多いのは当然ですが、冒頭で紹介した清水真介さんのような若い方も。

201609_盛岡_43
中央黒い背広姿は花巻の宮沢賢治イーナトーブ館館長の栗原敦さん。

201609_盛岡_44
中央奥の長髪の女性は画家の杉本みゆきさん、ここで幾度も個展を開催しています。
次回のMORIOKA第一画廊の企画展は「杉本みゆき展」です(会期:2016年10月12日〜11月12日)

201609_盛岡_48
学生時代に画廊でアルバイトをしていた小野寺和代さんは亭主のブログで上田さんの死去を知り東京から駆けつけました。
「あの頃は、上田さんがこんなに凄い人だなんてわからなかった」
左は同じく東京から参加の石田あんこさん(日本キラキラ党総裁)、背後のウォーホルのKIKUは旦那さんの石田了一さんが刷りました。

20160907上田偲ぶ会24
老若男女、偲ぶ会の実行委員の皆さんも出席者の数を読みきれなかったようです。
「こんなにたくさん来てくださるなんて」

20160907上田偲ぶ会08石田・綿貫
画廊は中津川のたもとにあり、テレビ岩手の庭には舟越保武先生の彫刻が設置されています。
私たちの仲間で最後に病院に上田さんを見舞ったのは刷り師の石田了一さん(左)でした。

20160907上田偲ぶ会15田中、照井、戸村
左から銀座のギャラリーせいほうの田中譲さん、彫刻家の照井榮さん、銅版画家の戸村茂樹さん

20160907上田偲ぶ会22原田
岩手県立美術館の前館長原田光さん(右から二人目)も東京からかけつけました。上田さんとはカマキン時代からのつきあいで、ずいぶん喧嘩もしたようです。
建築家の松本莞さん(左から二人目)も上田さんとは長いつきあいで、亭主が初めて莞さんと呑んだのも上田さんに連れられての席でした。神奈川県立近代美術館鎌倉別館で開催される竣介展にあわせて10月8日に講演されます。

20160907上田偲ぶ会20梅田、高橋雪人
梅田裕一さん(中)は第一画廊の多くの展覧会をカメラにおさめており、今回の資料展示も手伝われました。山好き、音楽好きのコレクターです。
左から二人目の高橋雪人さん(碧祥寺博物館主任学芸員、盛岡美術店主)の本業は古美術・古民芸、雪の文様では国内随一のコレクターです。父君は雪の研究で有名な高橋 喜平。MORIOKA第一画廊の誕生に関わる一族です。
そもそもMORIOKA第一画廊の前身の盛岡画廊をつくったのは高橋一族で医師の高橋又郎。そのご子息が作家の高橋克彦さんです。
(なんで亭主は盛岡のことにこんなに詳しいんだ)

20160907上田偲ぶ会27上田夫人、綿貫
上田さんの奥様と亭主
「上田さんの追っかけをして秋田から盛岡に通いつめたのよ」
「今思うと、いい作品をあんなに安く手放して・・・でもいつも月末が迫ると」
「ワタヌキさん、こんなに大きくなられて(笑)」

20160907上田偲ぶ会29あんこ、末盛
石田あんこさんと、末盛千枝子さん(右)。
末盛さんは先日新潮社から『「私」を受け容れて生きるー父と母の娘ー』を刊行されました。父は舟越保武先生、母は舟越道子さん(ときの忘れものの最初のお客様でした)。名づけ親は高村光太郎です。
末盛さんが住む八幡平の舟越先生の別荘は松本莞さんの設計です。

201609_盛岡_27
ともに上田さんが愛した作家、大宮政郎さん(左)と、照井榮さん

20160907上田偲ぶ会37夜景
明るいうちから始まった偲ぶ会、夜が更けても思い出話はつきません。

20160907上田偲ぶ会38夜景
たくさん美味しいお料理は出たけれど、少し小腹が。
この夜はいつもの直利庵は休業日、もう一軒の名店「なかむら」は予約をするのを忘れて既に満席。
さてどうしたものか・・・・

201609_盛岡_61
画廊を出て中津川の橋を渡ると直ぐ辰野金吾設計の旧岩手銀行本店(重要文化財)があります。
今夜の世話役、中村孝幸さんに連れられてぶらりぶらり。
「たまにはラーメンもいいんじゃないですか」と中村さん。
昔、上田さんに案内されて竣介が少年時代をすごしたこのあたりをよく散策したものです。

201609_盛岡_59
夜の岩手銀行を通り過ぎて、少し行くと、
紺屋町の「ざくろ」という中華屋さんに。

201609_盛岡_62
ドアを開けて、驚いたの何のって。
壁面左から、山口長男アンディ・ウォーホル百瀬寿・・・
いったいここはどこなんだ。

201609_盛岡_63
左が店主の村田芳美さん。
んっどこかでお目にかかったような・・・・
上田さんが元気な頃、画廊を閉めると先ず直利庵に直行。さんざん呑んで食べて、さて二次会へ。
亭主が覚えているのは、「山小屋」「サイゼリア」「サーカス」などなど、いずれも南部美人のいっぱいいるお店に繰り出し、朝まで・・・・・・
亭主は一度も飲み代を払えなかった(払わせてもらえなかった)。
芳美さんはあの「サーカス」の店主でしたね。

201609_盛岡_64
中央が地元の建築家中村孝幸さんで、日本一の磯崎新コレクターです。
他の4人は上田さんにそれぞれお世話になった露天風呂愛好会の面々。

201609_盛岡_65
ゴーギャンのあるお蕎麦やさん」も凄いけれど、「ウォーホルのあるラーメン屋さん」まであるなんて日本広しといえども盛岡だけでしょう。上田さんの功績です。

今回の偲ぶ会の写真を提供してくれた梅田裕一さんや中村孝幸さんはときの忘れものの大事な顧客ですが、もとはといえばMORIOKA第一画廊のお客様です。
たくさんの人々が集った7日の偲ぶ会ですが、盛岡や上田さんを知らない方はきっと「人望厚い温厚篤実な画商さん」だったと思うでしょう。
上田さんは激しい人でした。
敬愛する作家の顕彰には私心を挟まず尽力されました。
東京から多くの作家を招き、多くの画商が盛岡を訪ねました。
訪れた人たちを毎晩のようにもてなし、その費用はただの一銭も払わせませんでした。
これは何より亭主が証人でして、現代版画センターのメンバーがぞろぞろ作家について盛岡に入る、そのホテル代も飲食代もいつもいつも黙って払ってしまうのが上田さんでした。
おそらく亭主たちがご馳走になった代金でマンションの一つや二つ買えたのじゃあないかしら。
しかし、甘えは許さなかった。
上田さんには上田さんの美学というか、ある一線があり、それを超えると激怒されました。
「出入り禁止」になった画家、学芸員、顧客、数知れず。
ん十年前「キミとボクだけは出入り禁止にはならないね」と安心していた(笑)Nさんまで晩年に仲違いしてしまい、上田さんの店の前すら通れないという最悪の関係になってしまった。
亭主も覚えのあることですが、歳をとると「我慢がならず」「頑固になる」。
上田さんもそうでした。
偲ぶ会にはかつて「出入り禁止」の憂き目にあった人たちもたくさんいらっしゃった。
主催者が「数が読めない」と言っていたのはそういう事情からでした。Nさんはじめ皆さんがこれだけ集まり、上田さんの果たした役割、愛した作家たちについて熱く語り合っている。優れた美術はそういう力を持っている。
いくらで売るかではなく、何を売るか。一画商が一地方都市の知的水準をどれほど高められるかを体現した生涯であり、無名の大画商でした。

もう時効ですから書きますが、ずいぶん昔、連日のアルコール摂取がたたったか上田さんが病に倒れ長期入院したことがありました。しばらくの間、画廊は開店休業状態になり、作家や取引画廊への支払いも滞った。
そのとき、さんざん盛岡でご馳走になった東京の某画商さんの反応は冷たいものでした。
亭主はあきれました。飲み食いと作品代の支払いは別というのはわかるけれど、あんなにただ酒飲んだのに手のひら返して上田さんを非難する、そりゃああんまりだ。
せめて上田さんが元気になるまで待てないものなのか。
そういう商売熱心な画商さんは、誰一人偲ぶ会には来ませんでした。亭主がこんなこと書いて、上田さん苦笑いしてるでしょうね。
上田さん、ありがとうございました。私たちはもう少しやることが残っているので、あちらで酒酌み交わすのはしばらく待ってください。

◆ときの忘れものは本日より光嶋裕介新作展〜和紙に挑む〜幻想都市風景を開催します。
会期:2016年9月20日[火]〜10月8日[土] *日曜、月曜、祝日休廊
koshima_DM
「描く建築家」光嶋裕介が自ら漉いた大判和紙に挑んだドローイング連作・幻想都市風景10点をご覧いただきます。
●イベントのご案内
9月30日(金)19時より松家仁之さん(小説家、編集者)をゲストに迎えてギャラリートークを開催します(要予約/参加費1,000円)。
※必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記の上、メールにてお申込ください。
E-mail: info@tokinowasuremono.com

●個展期間中の光嶋さんの在廊予定
9月20日14時〜19時
9月27日16時〜19時
9月28日14時〜19時
9月29日14時半〜16時
9月30日14時〜19時
10月1日12時〜16時
10月5日16時〜18時
10月6日12時〜19時(全日)
10月7日12時〜19時(全日)
10月8日12時〜19時(全日)

小林紀晴のエッセイ「山の記憶」 第7回

小林紀晴のエッセイ「山の記憶」 第7回

キノコ採り 02

 誰もどうすることもできなかった。ただ、西の山を見上げては、
「困ったよう・・・・」
「どうゆうずら」
 などと口にすることしかできない。誰もが無力だった。
 完全に日が落ちると、山の稜線と空の境目がわからなくなった。すると、急に祖父が闇に飲み込まれ、二度ともどって来られないような気がして不安に襲われた。
 父に早く帰ってきてほしかった。きっと父だったら、どうにかしてくれるような気がしたからだ。
 庭にみんなで棒立ちに待っていても仕方がないので、私たちは家に入ることにした。祖母と母と姉と兄とで遅い夕飯を食べた。誰もほとんど口をひらかなかった。想像できることより、できないことの方が圧倒的に多く、そのことに私は戸惑った。
 やがて父が帰宅した。少し安堵したけど、事情を知ってこわばっていく父の顔をみると、再び不安に襲われた。
「これから、探しに行ってくる」 
 そんな父の言葉を期待した。山をよく知っている父だったら、たとえ暗くても祖父を探しだしてくれるのではないか。そんな気がしたからだ。でも、父は黙ったままだった。
「いまから探しに行けないの?」
 私は遠慮がちに父に言ってみた。
「無理だ」
 即答だった。
 1時間ほどして、突然、玄関がガラガラと音をたてた。
「いま、帰ったぞ」
 驚いたことに祖父の声だった。全員が居間を飛び出した。
 確かに祖父が立っていた。どこかに怪我をしているわけでもなさそうだった。
「どうしただ」
 祖母が訊ねた。
「山で車の鍵を落とした」
「じゃあ、歩いてけえって来ただか」
「いや、あのトラックに助けてもらった」
 祖父は外にでていった。
 家の前の道路にはエンジンがかかったままの大きなトラックが停まっていた。ヘッドライトもついていた。よく見ると、荷台には丸太らしきものが山積みになっていた。
 祖父はトラックの方にではなく、家の裏に向かった。そのあたりには祖父が大事に育てている椎茸を育てるための原木が塀沿いに置かれている。長さ50センチほどのクヌギの原木に椎茸の菌を打ち込んで、以前から育てているものだ。祖父はそれを両脇に一本ずつ抱えて戻ってきた。そしてトラックへ向かった。
 トラックから降りてきたのは、父ほどの年齢の男だった。よく日に焼けて頭に鉢巻を巻いている。いかにも山で仕事をしているという感じだった。ニコニコと笑っていた。私は安心した。
 祖父は家の裏とトラックを往復して計4本の椎茸の原木を運び、トラックの男に渡した。さらに採ったばかりのキノコも渡した。ここまで無事に送ってくれたことへの感謝の印だということは、子供でもすぐに理解できた。トラックが走り去る時、祖父は何度も、深く頭を下げていた。
 落ち着いたところで、祖父から訳を聞いた。
 日が落ちる前にキノコ狩りを終えて、山から林道に出たという。車が停めてあるところまで戻り、ドアを開けようとポケットに手を入れると、あるはずのキーがないことに初めて気がついた。山中のどこかで落としてしまったのだ。しばらく車の周りを探したが見つかるはずがなかった。一日中、山を歩いたので、それをたどることなど不可能だ。やがてすぐに日が落ちたという。 
 歩いたら家までは5、6時間はかかる距離らしく、夜道を歩くのは危険すぎるので野宿するしかないと諦め始めたとき、遠くからエンジン音が聞こえたという。キツネに化かされているのかもしれないと思ったが、ヘッドライトが見えたので、祖父は道の真ん中に立った。そして両手を広げた。どうしても、停まってほしいと必死だったという。

shika-no-tatazumi小林紀晴
「shika no tatazumi」
C-Print
14x11inch
Ed.20

 その事件について、私はその後も時々考える。山は怖いものだと深く心に刻まれるきっかけにもなった。大人になってからも同じように思い出したように考える。
 あるとき、ふと、何故、椎茸の原木だったのだろうかと思うことがあった。採ったばかりのキノコはわかるとして、何故、祖父は椎茸の原木をお礼に渡したのだろうか。人によっては、ありがた迷惑になりそうなものだからだ。単純に椎茸そのものあげるのは理解できる。でも原木は相当に場所をとるし、なにより育てなければいけない。それも適した日陰となる場所が必要だ。
 そのあたりのことは車のなかでトラックの男とすでに話された後だったのだろうか。いや、送ってもらっているあいだに、お礼について話すとは考えにくい。
 私の勝手な解釈だが、祖父の性格なども考えるとトラックの男には何も打診も相談もなく、一方的に椎茸の原木を渡したような気がする。でも、もらってくれたのだから、迷惑というわけでもなかったのだろうか。
 故人となった祖父に聞くことはできない。
次回に続く。

こばやし きせい

小林紀晴 Kisei KOBAYASHI(1968-)
1968年長野県生まれ。
東京工芸大学短期大学部写真科卒業。
新聞社カメラマンを経て、1991年よりフリーランスフォトグラファーとして独立。1997年に「ASIAN JAPANES」でデビュー。1997年「DAYS ASIA》で日本写真協会新人賞受賞。2000年12月 2002年1月、ニューヨーク滞在。
雑誌、広告、TVCF、小説執筆などボーダレスに活動中。写真集に、「homeland」、「Days New york」、「SUWA」、「はなはねに」などがある。他に、「ASIA ROAD」、「写真学生」、「父の感触」、「十七歳」など著書多数。

●今日のお勧め作品は、小林紀晴です。
20160319_kobayashi_05_work小林紀晴
〈DAYS ASIA〉より2
1991年
ヴィンテージゼラチンシルバープリント
Image size: 24.3x16.3cm
Sheet size: 25.3x20.3cm
サインあり


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◆ときの忘れもののブログは下記の皆さんのエッセイを連載しています。
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 ・frgmメンバーによるエッセイ「ルリユール 書物への偏愛」は毎月3日の更新です。
 ・夜野悠のエッセイ「書斎の漂流物」は毎月5日の更新です。
 ・笹沼俊樹のエッセイ「現代美術コレクターの独り言」はしばらく休載します。
 ・杉山幸一郎のエッセイ「幸せにみちたくうかんを求めて」は毎月10日の更新です。
 ・芳賀言太郎のエッセイ「El Camino(エル・カミーノ) 僕が歩いた1600km」は毎月11日の更新です。
 ・土渕信彦のエッセイ「瀧口修造とマルセル・デュシャン」は毎月13日の更新です。
 ・普後均のエッセイ「写真という海」は毎月14日の更新です。
 ・野口琢郎のエッセイ「京都西陣から」は毎月15日の更新です。
 ・小林紀晴のエッセイ「山の記憶」は毎月19日の更新です。
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 ・八束はじめ・彦坂裕のエッセイ「建築家のドローイング」(再録)は毎月24日の更新です。
 ・小林美香のエッセイ「写真集と絵本のブックレビュー」は毎月25日の更新です。
 ・スタッフSの「海外ネットサーフィン」は毎月26日の更新です。
 ・森本悟郎のエッセイ「その後」は毎月28日の更新です。
 ・光嶋裕介のエッセイ「和紙に挑む」は毎月30日の更新です。
 ・植田実のエッセイ「美術展のおこぼれ」は、更新は随時行います。
  同じく植田実のエッセイ「生きているTATEMONO 松本竣介を読む」と合わせお読みください。
  「本との関係」などのエッセイのバックナンバーはコチラです。
 ・中村茉貴のエッセイ「美術館に瑛九を観に行く」は随時更新します。
 ・飯沢耕太郎のエッセイ「日本の写真家たち」英文版とともに随時更新します。
 ・深野一朗のエッセイは随時更新します。
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 ・石原輝雄のエッセイ「マン・レイへの写真日記」は終了しました。
 ・荒井由泰のエッセイ「いとしの国ブータン紀行」は終了しました。
 ・森下泰輔のエッセイ「戦後・現代美術事件簿」は終了しました。
 ・「殿敷侃の遺したもの」はゆかりの方々のエッセイや資料を随時紹介します。
 ・「オノサト・トシノブの世界」は円を描き続けた作家の生涯と作品を関係資料や評論によって紹介します。
 ・「瀧口修造の世界」は造形作家としての瀧口の軌跡と作品をテキストや資料によって紹介します。土渕信彦のエッセイ「瀧口修造とマルセル・デュシャン」、「瀧口修造の箱舟」と合わせてお読みください。
 ・「関根伸夫ともの派」はロスアンゼルスで制作を続ける関根伸夫と「もの派」について作品や資料によって紹介します。
 ・「現代版画センターの記録」は随時更新します。
今までのバックナンバーの一部はホームページに転載しています。

◆ときの忘れものは光嶋裕介新作展〜和紙に挑む〜幻想都市風景を開催します。
会期:2016年9月20日[火]〜10月8日[土] *日曜、月曜、祝日休廊
koshima_DM
「描く建築家」光嶋裕介が自ら漉いた大判和紙に挑んだドローイング連作・幻想都市風景10点をご覧いただきます。
●イベントのご案内
9月30日(金)19時より松家仁之さん(小説家、編集者)をゲストに迎えてギャラリートークを開催します(要予約/参加費1,000円)。
※必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記の上、メールにてお申込ください。
E-mail: info@tokinowasuremono.com

●個展期間中の光嶋さんの在廊予定
9月20日14時〜19時
9月27日16時〜19時
9月28日14時〜19時
9月29日14時半〜16時
9月30日14時〜19時
10月1日12時〜16時
10月5日16時〜18時
10月6日12時〜19時(全日)
10月7日12時〜19時(全日)
10月8日12時〜19時(全日)

「光嶋裕介新作展 〜和紙に挑む〜幻想都市風景」9月20日〜10月8日

明後日20日から「光嶋裕介新作展 〜和紙に挑む〜幻想都市風景」を開催します。
二年ぶりの新作個展です。

新作個展というのは、作家がアトリエで孤独な創作作業の末に生み出した作品を支持層(ファン、コレクター)に向けて初めて公開し、その成果を世に問ういわば公開試験です。
ある程度安定したスタイルが確立した作家であれば、見るほうも、売るほう(つまり私たち画商です)も安心して売り買いができる。反面、マンネリだとか、進歩がないと酷評される危険もはらんでいる。
新人作家の場合は、スタイルなんか確立するどころか暗中模索でしょうから、個展をするたびに変貌(成長)してゆくのを見守る楽しみがあります。
海外(特に欧米)では、日本のように頻繁に個展をすることはありません。プロの作家が毎年個展をするなんて、日本だけかも知れない。じっくりと自分の中に熟成するものを溜め込んで、納得するまで試行錯誤を繰り返し、何年もかけて制作した大量の作品群の中から、これぞというものを精選し、個展で発表するというのが理想的と亭主は思っておりますが・・・・・

さて光嶋さんです。
03_32014年9月
前回の個展で光嶋さんとアジカンの後藤正文さん(右)。

彼は学生時代からときの忘れものに来ていたというから、美術にはかなり興味があったらしい。ヨーロッパ武者修行の後に帰国し、建築家としてスタートを切った。
内田樹先生と初対面で麻雀を打ち、その負けっぷりがいいからといきなり自宅兼道場の設計を依頼されたというデビューの幸運をただの幸運とせず、その後の八面六臂の活躍ぶりは驚異的です。
本業の建築設計はもちろんですが、ロックバンドの舞台設計、新聞雑誌への執筆、テレビ番組のインタビュアー、対談、講演、レクチャー、大学での講師などなど、あれもこれも引き受けちゃって、才能が消費され、40過ぎたらただの人になっちゃわないかしらと危惧する気持ちも若干あったのですが、どうもその心配は杞憂に終わりそうです。
子供の頃から絵は好きで好きで描き続けてきたというから、いわゆる理工系の頭だけで建築学科に入った人じゃあないんですね。
生まれも育ちもアメリカだから流暢な英語を駆使し、物怖じせず、誰にも果敢にアタックする、何より良く勉強しています。
亭主と社長はアジカンの全国ツアーに招かれて、新しい世代が出てきたんだなあと痛感しました。

アジカンASIAN KUNG-FU GENERATION全国ツアーの舞台製作
https://www.youtube.com/watch?v=VqdOCUuEPDI

このほかユーチューブを見ると彼の映像がたくさん出てます。

MBS(毎日放送) 光嶋 裕介氏(建築家)「建築家は多くの人々を束ねる指揮者であり、 ひとり作品に向き合う作曲家でもある。」
https://www.youtube.com/watch?v=rM8J4HmW7lY

●岩崎夏海のヘヤカツオフィス探訪#02「光嶋裕介建築設計事務所」前編
https://www.youtube.com/watch?v=cidP3mhN420

●岩崎夏海のヘヤカツオフィス探訪#02「光嶋裕介建築設計事務所」後編
https://www.youtube.com/watch?v=OmqGJ_xrfOA

●junkuTV  光嶋裕介×木村草太 "ジセダイ"建築家と憲法学者の挑戦
https://www.youtube.com/watch?v=KESQYji_2TE

●ケンプラッツ-日経BP 光嶋裕介、光嶋裕介、入江正之にガウディを聞く その1
https://www.youtube.com/watch?v=bMk66LKNTsU

●ケンプラッツ-日経BP 光嶋裕介、入江正之にガウディを聞く その2
https://www.youtube.com/watch?v=ULNzPIFQTOs

●ケンプラッツ-日経BP 光嶋裕介、入江正之にガウディを聞く その3
https://www.youtube.com/watch?v=0-5bMhiaAqI

●ケンプラッツ-日経BP 光嶋裕介、入江正之にガウディを聞く その4
https://www.youtube.com/watch?v=1p9OXQyJo-g

●六本木未来会議 光嶋裕介氏による六本木建築散歩
http://6mirai.tokyo-midtown.com/tour/07/index.html
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神戸の本拠と東京の事務所を月に何度も往復しながら、さまざまな仕事に取り組む光嶋さんですが、今年全力を挙げて取り組んだのが1メートル近い大判の和紙に描くという「幻想都市風景」シリーズです。
前回の個展は色彩あふれる展示でしたが、今回は墨一色。
大きいです、そして細かいです。
目を皿のようにして画面を見てゆくと、実在の建築、幻想の建築が入り混じり、混沌とした幻想都市風景が立ち現れてきます。それらを見分けられたらあなたは相当の建築好きです。

●【光嶋裕介新作展 〜和紙に挑む〜幻想都市風景】の出品作品をご紹介します。
(画面を二度クリックすると拡大されます)
光嶋裕介_幻想都市風景2016-01
No.1 《幻想都市風景 2016-01 》 2016 45.0×90.0cm 和紙にインク signed

光嶋裕介_幻想都市風景2016-02
No.2 《幻想都市風景 2016-02 》 2016 45.0×90.0cm 和紙にインク signed

光嶋裕介_幻想都市風景2016-03
No.3 《幻想都市風景 2016-03 》 2016 45.0×90.0cm 和紙にインク signed

光嶋裕介_幻想都市風景2016-04
No.4 《幻想都市風景 2016-04 》 2016 45.0×90.0cm 和紙にインク signed

ベルリン
No.5 《ベルリン》 2016 45.0×90.0cm 和紙にインク signed

ニューヨーク
No.6 《ニューヨーク》 2016 90.0×45.0cm 和紙にインク signed

パリ
No.7 《パリ》 2016 45.0×90.0cm 和紙にインク signed

バルセロナ
No.8 《バルセロナ》 2016 45.0×90.0cm 和紙にインク signed

ローマ
No.9 《ローマ》 2016 45.0×90.0cm 和紙にインク signed

京都
No.10 《京都》 2016 45.0×90.0cm 和紙にインク signed

こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください

今日(日曜)と明日(月曜、祝日)は休廊です。

ときの忘れものの通常業務は平日の火曜〜土曜日です。日曜、月曜、祝日はお問い合わせには返信できませんので、予めご了承ください。

◆ときの忘れものは光嶋裕介新作展〜和紙に挑む〜幻想都市風景を開催します。
会期:2016年9月20日[火]〜10月8日[土] *日曜、月曜、祝日休廊
koshima_DM
「描く建築家」光嶋裕介が自ら漉いた大判和紙に挑んだドローイング連作・幻想都市風景10点をご覧いただきます。
●イベントのご案内
9月30日(金)19時より松家仁之さん(小説家、編集者)をゲストに迎えてギャラリートークを開催します(要予約/参加費1,000円)。
※必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記の上、メールにてお申込ください。
E-mail: info@tokinowasuremono.com

●個展期間中の光嶋さんの在廊予定
9月20日14時〜19時
9月27日16時〜19時
9月28日14時〜19時
9月29日14時半〜16時
9月30日14時〜19時
10月1日12時〜16時
10月5日16時〜18時
10月6日12時〜19時(全日)
10月7日12時〜19時(全日)
10月8日12時〜19時(全日)

具体の上前智祐「宿命の版画」

ただ今通信機能は不通です
岩泉乳業株式会社のHPより)>

先日の東北、北海道を襲った洪水で岩手県岩泉町は惨憺たる状況になっています。
何かできることはないかと、地元のNPOに送金したり、岩泉ヨーグルトの製品をいっぱい買って配ろうかと思ってHPをみたら、操業などできる状況ではない。
官民あわせての支援によって、一日も早く復旧することを願っています。
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8月29日の東京新聞(朝刊)こちら特報部面で<戦後日本の前衛美術 「具体」の魅力>と題した大きな記事が掲載されました。見出しは勇ましいですね。
「米国中心に再評価」
「人のやらないことをやる」
「大阪市に資料 数万点」
「5年後開館予定 新美術館で公開めざす」


大阪市の新美術館建設準備室が吉原治良の遺族らから寄贈を受けた具体の膨大な資料の一般公開を目指していると記事にはあります。
美術関係者なら誰でも知っていることですが、大阪市が美術館を建設するといってから早ん十年。準備室に入った当時将来を嘱望された有為な人材がもう定年を迎えちゃっている(笑)。佐伯祐三はじめもの凄いコレクションを所蔵しながらいつになっても建設がはじまらない。果たして亭主が生きているうちに開館してくれるんでしょうか。

昨年6月、久しぶり(40年ぶり)に元永定正の版画展を開催した折に、数多いる具体の作家たちの中で、版画に本格的に取り組み数百種類の版画作品をつくったのは元永定正先生ただひとりである、と申しました。
まあ、大筋では間違いないのですが、亭主もうっかりしていて松谷武判先生のことはすっかり忘れていました。松谷先生は早くからパリに渡り、シルクスクリーンによる版画を制作していて、1970年代の版画雑誌にはよく紹介されていました。ただし、私たち画商にとっては「売れない版画」の筆頭でした。いまはただただ不明を恥じるばかりです。

また不勉強で他の具体メンバーの中にも版画に一所懸命取り組んでいる作家がいることも最近知りました。
先日ある方のご遺族から託された作品を整理していたら、具体のメンバー上前智祐先生から贈られたらしい版画作品の包みの中に、『宿命の版画』と題された上前智祐先生のメッセージが入っており、その内容に驚きました。

20160907_uemae


上前智祐_作品1上前智祐
(作品)
2002年
シルクスクリーン
イメージサイズ:18.4×22.0cm
シートサイズ:25.7×27.4cm
Ed.24  サインあり

上前智祐_作品2上前智祐
(作品)
2002年
ディープエッチング
イメージサイズ:23.0×16.0cm
シートサイズ:35.0×25.7cm
Ed.50  サインあり

上前智祐_作品3上前智祐
(作品)
2002年
エッチング
イメージサイズ:23.1×16.4cm
シートサイズ:35.0×25.8cm
Ed.15   サインあり

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ときの忘れものの通常業務は平日の火曜〜土曜日です。日曜、月曜、祝日はお問い合わせには返信できませんので、予めご了承ください。

亭主は創作版画から、戦後の現代版画にいたるまで日本の作家たちに関して一通りは概観してきたとうぬぼれていたのですが、それが大いなる過ちだと気づいた次第です。
こうやってブログを日々綴るのは、恥をさらすようなものですが、まあ仕方ない。せいぜいこれからも精進したいと存じます。

◆ときの忘れものは光嶋裕介新作展〜和紙に挑む〜幻想都市風景を開催します。
会期:2016年9月20日[火]〜10月8日[土] *日曜、月曜、祝日休廊
koshima_DM
「描く建築家」光嶋裕介が自ら漉いた大判和紙に挑んだドローイング連作・幻想都市風景10点をご覧いただきます。
●イベントのご案内
9月30日(金)19時より松家仁之さん(小説家、編集者)をゲストに迎えてギャラリートークを開催します(要予約/参加費1,000円)。
※必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記の上、メールにてお申込ください。
E-mail: info@tokinowasuremono.com

◆本日16時より「ときの忘れもの・拾遺 ギャラリーコンサート第3回 独奏チェロによるJ.S.バッハと20世紀の音楽」を開催しますが、既に満席で、予約受付は終了しました。予約者以外は16時〜18時は入場できません。悪しからずご了承ください。
tokinowasuremono
緑豊かな青山のギャラリー&編集事務所「ときの忘れもの」は建築家をはじめ近現代の作家の写真、版画、油彩、ドローイング等を扱い、毎月企画展を開催しています。またオリジナル版画のエディション、美術書・画集・図録等の編集も行なっています。
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