新連載・土渕信彦のエッセイ「瀧口修造の本」第0回

新連載・土渕信彦のエッセイ「瀧口修造の本」

第0回 瀧口修造の本/瀧口修造とマルセル・デュシャン補遺3


口上
 「瀧口修造の本」という表題のもと、著書・訳書などについて連載するよう、綿貫不二夫氏から依頼され、毎月23日に登場することになりました。簡潔を旨としてまとめますので、お付き合いのほど、よろしくお願い申し上げます。
今回は以前連載していた「瀧口修造とマルセル・デュシャン」の「補遺3」も兼ねて、昨年開催された「瀧口修造・岡崎和郎二人展」のカタログ《to and from Kazuo Okazaki / to and from Shuzo Takiguchi》についてご紹介します。

1.《to and from Kazuo Okazaki / to and from Shuzo Takiguchi》
 この「瀧口修造・岡崎和郎二人展」は、マルセル・デュシャン生誕130年を記念して、2017年1月7日(土)〜2月12日(日)に、京都の画廊ozasa kyotoの企画展として開催された展覧会でしたが、私のコレクション展「瀧口修造の光跡」の第5回でもありました(以前の連載「瀧口修造とマルセル・デュシャン」の「補遺」参照)。

図1図1
瀧口修造・岡崎和郎二人展 会場写真1(撮影:土渕信彦。以下同じ)


図2図2
同2


 展示点数40点と小規模ながら、デュシャン生誕130年(あるいは「泉」100年)に因むさまざまな企画の、露払いの役割は果たせたのではないかと自負しております。開催地が瀧口にとってアウェイ(?)である京都だった上、天候にもあまり恵まれませんでしたが、熱心な来廊者が後を絶たず、3回開催したイベントも大盛況でした。たいへんありがたく思っております。

図3図3
瀧口修造・岡崎和郎二人展 会場写真3


図4図4
同4


 そしてこのたび、同展のカタログ《to and from Kazuo Okazaki / to and from Shuzo Takiguchi》が刊行されました。ozasa kyotoを運営しているARTOFFICE OZASA Inc.が1年がかりで編集に当たり、刊行に漕ぎ着けたものです。同画廊の企画展ですので、カタログ制作に関してもお任せすることとし、私は展覧会開催前にいくつかの提言・助言をした以外、まったく関与しませんでした。これが奏功したのでしょう、たいへん美しいカタログが出来上りました。用紙の色違いにより白版とクリーム版の2種があり、甲乙つけがたい仕上がりと思います。

図5図5
岡崎和郎側表紙(左:白版、右:クリーム版)


図6図6
瀧口修造側表紙(同)


 全体は岡崎作品の部と瀧口作品の部の2部で構成され、頁番号(ノンブル)こそ岡崎側から打たれていますが、瀧口側・岡崎側のどちらも表表紙といえる、すなわちどちら側から開けてもそのまま見ていくことができる造本となっています。すなわち、岡崎側は縦組右開けで、表紙を開けると見返しに瀧口が岡崎に捧げた序詩「彼の微笑、それから」が現れ、瀧口側は横組み左開けで、表紙を開けると同じく序詩”His smile, and”が現れます。どちら側も作品図版頁、作家略歴、作品リストが続き、開催趣旨の頁および奥付頁が真中に配ざれています。なお、二人の共作「檢眼圖」の図版は開催趣旨の頁に掲載されています(図12参照)。

図7図7
「彼の微笑、それから」


図8図8
“His smile, and”


 瀧口・岡崎とも実作の要所要所に赤色が用いられていることに応じたものと思われますが、各頁とも刷りを墨と赤の2色に絞り(瀧口作品頁の地色であるクリーム色を含めると3色)、墨の濃淡を基調に、所々で赤色が配されています。どの頁も研ぎ澄まされた感覚により見事に洗練されています。

 表紙を貼り込みにし、しかし綴じの部分はあえて貼らず、表紙を開けると背の内側に隙間ができるようにするという、手の込んだ綴じ方が採用されています。その隙間から表紙裏に配された赤色が顔を覗かせ、まるで着物の裾からちらりと襦袢が見えるような、エロティシズムを感じさせます。頁を繰るたびに斬新さに目を瞠らされ、全体を通じて衝撃的な存在感があります。

図9図9
岡崎和郎図版頁1


図10図10
瀧口修造図版頁1


 以上のような全体の構成・設計およびデザインは、国立国際美術館や京都国立近代美術館のカタログも担当されている大御所の西岡勉氏によるもので、「素晴らしい!」という以外に言葉が見当たりません。

図11図11
開催趣旨頁(和文)


図12図12
同(英文)


 このデザインに大きく貢献しているのが山本糾氏撮影の写真と思われます。2010年9月〜11月に神奈川県立美術館で開催された「岡崎和郎展 補遺の庭」の際にも撮影を担当されており、岡崎作品の撮影者としてこれほど適任の方は考えられません。本展のためにozasa kyotoでの撮影に立ち会わせていただきましたが、カタログ写真の圧倒的な説得力を目の当たりにし、改めてお仕事の緻密さを認識させられた次第です。

図13図13
岡崎和郎図版の頁2


図14図14
同3


 瀧口の平面作品の図版は、土渕が提供したカラー・ポジフィルムに基づいています。オブジェではなく平面なので、岡崎側から頁を繰って行くと、さすがに2色では物足りない印象もありますが、クリーム色の地色が、実作のさまざまな色彩やニュアンスを想像させ、見事に補っています。なお、瀧口作品の図版頁は、白版でもクリーム版同様、地がクリーム色に彩色されています。

図15図15
瀧口修造図版頁2


図16図16
同3


 瀧口、岡崎ともに、近年ますます海外から熱い視線が注がれていますが、このカタログでは、開催趣旨や瀧口による序詩はもちろん、作品名、作家略歴、展示リスト、開催趣旨、奥付に至るまで、英文・和文の2ヶ国語で表記されており、海外からの注目にも応えられるでしょう。自らの所蔵品によって企画展が開催されただけでなく、このような美しいカタログまで制作していただけて、まさにコレクター冥利につきます。展覧会を開催し、カタログの制作者であるARTOFFICE OZASA Inc.の小笹義朋氏、並びに小笹氏を紹介してくださった畏友のマン・レイ・イスト石原輝雄氏に、心より感謝申し上げます。

2.奥付データなど
 白版・クリーム版とも菊判65頁(縦220×横150×厚さ10弌砲如奥付データは以下のとおりです。なお刊行部数並びに価格の表記はありませんが、白版・クリーム版各500部、1冊各3000円(税込み)と聞いています。

編集:ARTOFFICE OZASA Inc.
写真:山本 糾 No.1〜No.3, No.5, No.6, No.10, No.12〜No.18, No.20, No.21
写真提供:土渕信彦 No.22〜No.36, No.39, No.40’ ときの忘れもの No.38
翻訳:渡辺真也
デザイン:西岡 勉
印刷:株式会社スイッチ・ティフ+クラフティー・デザイン

発行日:2018年1月
発行:ARTOFFICE OZASA Inc.
〒602-8216 京都市上京区竪門前町414 西陣産業会館207(西陣織会館西館)
TEL:075-417-4041 E-mail:mail@artozasa.com URL:www.artozasa.com

つちぶち のぶひこ

土渕信彦 Nobuhiko TSUCHIBUCHI
1954年生まれ。高校時代に瀧口修造を知り、著作を読み始める。サラリーマン生活の傍ら、初出文献やデカルコマニーなどを収集。その後、早期退職し慶應義塾大学大学院文学研究科修士課程修了(美学・美術史学)。瀧口修造研究会会報「橄欖」共同編集人。ときの忘れものの「瀧口修造展機銑検廚魎峠ぁまた自らのコレクションにより「瀧口修造の光跡」展を5回開催中。富山県立近代美術館、渋谷区立松濤美術館、世田谷美術館、市立小樽文学館・美術館などの瀧口展に協力、図録にも寄稿。主な論考に「彼岸のオブジェ―瀧口修造の絵画思考と対物質の精神の余白に」(「太陽」、1993年4月)、「『瀧口修造の詩的実験』の構造と解釈」(「洪水」、2010年7月〜2011年7月)、「瀧口修造―人と作品」(フランスのシュルレアリスム研究誌「メリュジーヌ」、2016年)など。

●今日のお勧め作品は、瀧口修造です。
20180423_takiguchi2014_II_29瀧口修造
《II-29》
デカルコマニー
イメージサイズ:11.2×7.3cm
シートサイズ :19.4×13.2cm
※II-30と対


20180423_takiguchi2014_II_30瀧口修造
《II-30》
デカルコマニー
イメージサイズ:11.2×7.5cm
シートサイズ :19.3×13.2cm
※II-29と対


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●書籍のご案内
TAKIGUCHI_3-4『瀧口修造展 III・IV 瀧口修造とマルセル・デュシャン』図録
2017年 ときの忘れもの 発行
21.5x15.2cm 92ページ
テキスト:瀧口修造(再録)、土渕信彦、工藤香澄
ハードカバー 英文併記
デザイン:北澤敏彦
掲載図版:65点
価格:2,500円(税別)*送料別途250円


表紙『瀧口修造展 I』
2014年 ときの忘れもの 発行
21.5x15.2cm 76ページ
テキスト:土渕信彦、瀧口修造(再録)
ハードカバー 英文併記
翻訳:ポリー・バートン
デザイン:北澤敏彦
図版:水彩、ドローイング、ロトデッサンなど44点
価格:2,000円(税別) ※送料別途250円

表紙『瀧口修造展 II』
2014年 ときの忘れもの 発行
21.5x15.2cm 67ページ
ハードカバー 英文併記
テキスト:大谷省吾、瀧口修造(再録)
翻訳:ポリー・バートン
デザイン:北澤敏彦
図版:デカルコマニー47点
価格:2,000円(税別) ※送料別途250円

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◆ときの忘れものは「ボブ・ウィロビー写真展〜オードリー&マリリン 」を開催しています。
会期:2018年4月10日[火]―4月28日[土]
11:00-19:00  ※日・月・祝日休廊

数々のスターが主演するハリウッド映画のメイキング・シーンを撮影してきた「スペシャル」フォトグラファー、ボブ・ウィロビーが1950-60年代に撮影したオードリー・ヘップバーンとマリリン・モンローのポートレートをご覧いただきます。詳しい出品リスト(25点)はホームページに掲載しました。
また10万冊を所蔵する雑誌図書館六月社の協力を得て、映画専門誌以外のオードリー・ヘプバーンとマリリン・モンローのゴシップ記事などを掲載した30年ほど前の雑誌60種類を図書室で公開しています。ぜひ手にとってご覧になってください。
201804_willoughby

●出品作品を順次ご紹介いたします
22_BWP143-Marilyn-and-Cukorボブ・ウィロビー
《Monroe, Marilyn, 1960
Marilyn Monroe and director George Cukor take a break on the set of "Let’s Make Love," 1960》(BWP143)

※「恋をしましょう」
1960(Printed in 2018)
Archival Digital Pigment Print
Image size: 31.4×45.7cm
Sheet size: 40.6×50.8cm
Ed.25
クリストファー・ウィロビーによるスタンプとサインあり

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ときの忘れものの通常業務は平日の火曜〜土曜日です。日曜、月曜、祝日はお問い合わせには返信できませんので、予めご了承ください。

◆ときの忘れもののブログは下記の皆さんのエッセイを連載しています。
 ・大竹昭子のエッセイ「迷走写真館 一枚の写真に目を凝らす」は毎月1日の更新です。
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 ・野口琢郎のエッセイ「京都西陣から」は毎月15日の更新です。
 ・小林紀晴のエッセイ「TOKYO NETURE PHOTOGRAPHY」は毎月19日の更新です。
 ・柳正彦のエッセイ「アートと本、アートの本、アートな本、の話し」は毎月20日の更新です。
 ・土渕信彦のエッセイ「瀧口修造の本」は毎月23日の更新です。
 ・小林美香のエッセイ「写真集と絵本のブックレビュー」は毎月25日の更新です。
 ・スタッフSの「海外ネットサーフィン」は毎月26日の更新です。
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 ・「現代版画センターの記録」は随時更新します。
 ・「瀧口修造の世界」は造形作家としての瀧口の軌跡と作品をテキストや資料によって紹介します。
土渕信彦のエッセイ「瀧口修造とマルセル・デュシャン」、「瀧口修造の箱舟」と合わせてお読みください。
 ・飯沢耕太郎のエッセイ「日本の写真家たち」英文版とともに随時更新します。
 ・石原輝雄のエッセイ「マン・レイへの写真日記」は終了しました(時々番外編あり)。
 ・植田実のエッセイ「美術展のおこぼれ」は随時更新します。
  同じく植田実のエッセイ「生きているTATEMONO 松本竣介を読む」と合わせお読みください。
  「本との関係」などのエッセイのバックナンバーはコチラです。
 ・大野幸のエッセイ<ときの忘れもの・拾遺 ギャラリーコンサート>は随時更新します。
 ・「久保エディション」(現代版画のパトロン久保貞次郎)は随時更新します。
 ・中村茉貴のエッセイ「美術館に瑛九を観に行く」は随時更新します。
 ・西岡文彦のエッセイ「現代版画センターの景色」は全三回、1月24日、2月14日、3月14日に掲載しました。
 ・笹沼俊樹のエッセイ「現代美術コレクターの独り言」はしばらく休載します。
 ・清家克久のエッセイ「瀧口修造を求めて」は終了しました。
 ・関根伸夫のエッセイ「〈発想〉について[再録]」は終了しました。
 ・倉方俊輔のエッセイ「『悪』のコルビュジエ」は終了しました。
 ・森本悟郎のエッセイ「その後」は終了しました。
 ・藤本貴子のエッセイ「建築圏外通信」は終了しました。
 ・森下隆のエッセイ「鎌鼬美術館——秋田県羽後町田代に開館」は終了しました。
 ・芳賀言太郎のエッセイ「El Camino(エル・カミーノ) 僕が歩いた1600km」は終了しました。
 ・夜野悠のエッセイ「書斎の漂流物」は終了しました。
 ・普後均のエッセイ「写真という海」は終了しました。
 ・八束はじめ・彦坂裕のエッセイ「建築家のドローイング」(再録)は終了しました。
 ・荒井由泰のエッセイ「いとしの国ブータン紀行」は終了しました。
 ・森下泰輔のエッセイ「戦後・現代美術事件簿」は終了しました。
 ・「殿敷侃の遺したもの」はゆかりの方々のエッセイや資料を随時紹介します。
 ・「オノサト・トシノブの世界」は円を描き続けた作家の生涯と作品を関係資料や評論によって紹介します。
 ・「関根伸夫ともの派」はロスアンゼルスで制作を続ける関根伸夫と「もの派」について作品や資料によって紹介します。
今までのバックナンバーの一部はホームページに転載しています。

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新しい空間についてはWEBマガジン<コラージ12月号18〜24頁>に特集されています。
2018年から営業時間を19時まで延長します。
営業時間=火曜〜土曜の平日11時〜19時。日・月・祝日は休廊。
JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
12

山口勝弘先生 90歳おめでとうございます!

先日、池田龍雄先生から電話をいただきました。
池田練馬の展覧会のレセプションの案内状をあなたに送りたいのだけれど」
亭主「先生、そんなことよりお体大丈夫ですか。うちには美術館から来ていますから」
てなやりとりがありました。
お怪我をされてリハビリ中、今年90歳をお迎えになるのに、若輩の私ごときにまでお気遣いいただき恐縮です。
アートの世界を見渡すと、
野見山暁治先生(1920年12月17日生まれ )は別格で97歳、
池田龍雄先生(1928年8月15日 生まれ)は今年の8月には90歳
草間彌生先生(1929年3月22日生まれ)が89歳
そして山口勝弘先生(1928年4月22日 生まれ)が本日90歳を迎えられました。

山口勝弘先生、お誕生日おめでとうございます!

戦後まもなく造形作家として活動を開始し、その後ビデオメディアを用いた表現へと移行。日本におけるメディアアートのパイオニアとして大きな足跡を残されています。
現代版画センターが山口勝弘先生の版画集「ANTHOLOGICAL PRINTS」(シルクスクリーン10点組、限定50部)をエディションしたのは37年前の1981年6月でした(山口先生63歳、版元の亭主は35歳)。
刷りを担当されたのは名人・岡部徳三さん。
ナム・ジュン・パイクジョン・ケージなどの版画作品をプロデュースされていた岡部さんのセンスが生かされたすばらしいポートフォリオです。
yamaguchi_01_kinetic-fountain
「Kinetic Fountain」
1981年
シルクスクリーン(刷り:岡部徳三)
49.0×63.0cm
Ed.50
鉛筆サインあり

yamaguchi_02_c-kankei
「Cの関係」
1981年
シルクスクリーン(刷り:岡部徳三)
イメージサイズ:40.0×50.0cm
シートサイズ:49.0×63.0cm
Ed.50
鉛筆サインあり

yamaguchi_03_minato
「港」
1981年
シルクスクリーン(刷り:岡部徳三)
イメージサイズ:51.5×39.5cm
シートサイズ:63.0×49.0cm
Ed.50
鉛筆サインあり

yamaguchi_04_hikari
「光の立方体」
1981年
シルクスクリーン(刷り:岡部徳三)
イメージサイズ:59.0×46.0cm
シートサイズ:63.0×49.0cm
Ed.50
鉛筆サインあり

yamaguchi_05_yoru-shinkou
「夜の進行」
1981年
シルクスクリーン(刷り:岡部徳三)
イメージサイズ:47.0×40.0cm
シートサイズ:63.0×49.0cm
Ed.50
鉛筆サインあり

yamaguchi_06_sizukanasyouten
「静かな昇天」
1981年
シルクスクリーン(刷り:岡部徳三)
イメージサイズ:54.5×36.0cm
シートサイズ:63.0×49.0cm
Ed.50
鉛筆サインあり

yamaguchi_07_akaimati
「赤い街」
1981年
シルクスクリーン(刷り:岡部徳三)
イメージサイズ:36.0×54.0cm
シートサイズ:49.0×63.0cm
Ed.50
鉛筆サインあり

yamaguchi_08_pen
「ペン」
1981年
シルクスクリーン(刷り:岡部徳三)
イメージサイズ:59.0×46.0cm
シートサイズ:63.0×49.0cm
Ed.50
鉛筆サインあり

yamaguchi_09_suiryoku-2
「推力No.2」
1981年
シルクスクリーン(刷り:岡部徳三)
イメージサイズ:45.0×59.5cm
シートサイズ:49.0×63.0cm
Ed.50
鉛筆サインあり

yamaguchi_10_mangekyou
「万華鏡」
1981年
シルクスクリーン(刷り:岡部徳三)
イメージサイズ:59.0×46.0cm
シートサイズ:63.0×49.0cm
Ed.50
鉛筆サインあり

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047
2018年1月埼玉県立近代美術館「版画の景色 現代版画センターの軌跡」会場スナップ
山口勝弘コーナー


DSCF2979
2012年6月25日銀座・ギャラリーせいほう「宮脇愛子展」オープニングにて
山口勝弘先生と亭主

CIMG8915山口勝弘展内覧会11池田、綿貫
2017年11月2日川崎市岡本太郎美術館
「岡本太郎とメディアアート展 山口勝弘ー受け継がれるもの」オープニングにて
池田龍雄先生(左)、山口勝弘先生(右)と亭主

●書籍のご案内
TAKIGUCHI_3-4『瀧口修造展 III・IV 瀧口修造とマルセル・デュシャン』図録
2017年10月
ときの忘れもの 発行
92ページ
21.5x15.2cm
テキスト:瀧口修造(再録)、土渕信彦、工藤香澄
デザイン:北澤敏彦
掲載図版:65点
価格:2,500円(税別)*送料別途250円
*『瀧口修造展 I』及び『瀧口修造展 II』図録も好評発売中です。


●本日22日(日曜)と明日23日(火曜)は休廊です。

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201804_willoughby

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11_BWP048-Audrey-reading-leボブ・ウィロビー
《Hepburn, Audrey, 1953
Audrey reading letters in her hotel room, 1953》(BWP048)

1953(Printed in 2018)
Archival Digital Pigment Print
Image size: 45.8×35.1cm
Sheet size: 50.8×40.6cm
Ed.25
クリストファー・ウィロビーによるスタンプとサインあり


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JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
12

京都と東京で『肌蹴る光線―あたらしい映画―』がスタート

綿貫様
夜分遅くに失礼いたします。
メカスさんの作品上映などでお世話になった井戸沼です。
突然ですが、5月から渋谷の映画館・アップリンクと
合同の上映シリーズを始めることになりました。
第1回目は
中国の新鋭ビー・ガンの『凱里ブルース』という作品を
東京・京都で1日ずつ上映します。
今日(12日)の20:00に、正式に情報解禁するのですが
一足先にURLなどお伝えさせてください。

公式サイト/https://hadakeru-kosen.tumblr.com/
Twitter/https://twitter.com/hadakeru_kosen
UPLINK/http://www.uplink.co.jp/event/2018/50931
誠光社/http://www.seikosha-books.com/event/3275

シリーズのどこかで、メカスさんの作品も上映したい!
と勝手に意気込んでいますので、見守っていただけたら嬉しいです。

埼玉近代美術館の展示も、楽しく拝見させていただきました。
キャプションをみると数多の芸術グループが盛んに活動していることがわかり
あの時代に美術大学に通っていた人達の決意を感じられた気がしました。
メカスさんの映像がご本人所蔵のものだったのにも、興奮いたしました!

またなにかとお世話になる折があるかと思いますが
どうぞ今後ともよろしくお願い致します。

井戸沼紀美


■上映シリーズについて
『肌蹴る光線 ― あたらしい映画』は、上映機会の少ない傑作映画を発掘し、広めることを目的とした上映会です。洋邦や、制作年を問わない柔軟な選定を目指し、季節に1回のペースを基準に、アップリンク渋谷で開催していく予定です。アップリンク渋谷と企画者・井戸沼紀美の共同運営で開催されます。

■第1回上映作品について
第1回目の上映作品として、中国の1989年生まれの映画監督、ビー・ガン(畢贛)の処女長編『凱里(かいり)ブルース』(2015年・113分)を上映します。


出演者がほとんど監督の家族や親戚、友人で構成されている『凱里ブルース』。監督のビー・ガンは同作で台湾の映画賞「金馬奨」の最優秀新人監督賞を最年少26歳で受賞したほか、フランス『ナント三大陸映画祭』では、ホウ・シャオシェン監督以来の中国人としてのグランプリを獲得、『ロカルノ国際映画祭』では現代映画人部門で最優秀新人監督賞を受賞しています。音楽はホウ・シャオシェンやジャ・ジャンク―の作品も手掛ける林強。
海外サイトではギレルモ・デル・トロやジョナサン・デミらが同作に賛辞を送っていることや、アピチャッポン、タルコフスキー、ソクーロフ、ブニュエルらを引き合いに出されながら称賛されていることが確認できます。
また、ビー・ガン監督は現在新作を制作中で、同作はカイエ・デュ・シネマの「2018年に最も期待される映画」リストにも名を連ねています。

≪凱里ブルースあらすじ≫
霧に包まれた小さな診療所に勤める医者の陳は、何者かに連れ去られてしまった甥や、同じ診療所で働く老婦人の過去の恋人を探しに旅に出た。その途中に立ち寄った村で、過去/現在/未来、現実/非現実がゆらめきはじめる。ミラーボール、電車、カセット、バイク、時計…様々なエレメントと絡みあいながら展開してゆく、白昼夢のような113分。

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Kaili Blues_stills (2)


Kaili Blues_stills (6)


Kaili Blues_stills (8)


■第1回上映概要について
第1回『肌蹴る光線―あたらしい映画―』は5月に開催。アップリンク渋谷のほか、京都・誠光社でも特別開催します。また、アップリンクでの作品上映後には、富田克也さん、相澤虎之助さんをお招きしたトークも実施予定です。

『肌蹴る光線―あたらしい映画―vol.1』
・京都会場
2018年5月12日(土)
会場:京都府 誠光社
時間:19:00〜
料金:1,500円(ドリンク別)
http://www.seikosha-books.com/event/3275

・東京会場
2018年5月26日(土)
会場:東京都 渋谷アップリンク
時間:17:30〜(20:00頃終了予定)
ゲスト:富田克也さん、相澤虎之助さん
料金:1,800円
http://www.uplink.co.jp/event/2018/50931

■上映会関連リンク
公式サイト: https://hadakeru-kosen.tumblr.com/
Twitter: https://twitter.com/hadakeru_kosen
宣伝用画像素材: https://www.dropbox.com/sh/6rj5yw015uqocs5/AAAFNXRhsBploex1UIrQLrT6a?dl=0

■協力:中国インディペンデント映画祭、CHINA FILM INTERNATIONAL、GRASSHOPPER FILM

〜〜〜〜
企画者より

この度、アップリンク渋谷で新しい上映シリーズを始めることになりました。下記に、私の敬愛するジョナス・メカスの言葉を引用します。

わたしたちは人間が何かを知らない。わたしたちは映画が何かも知らない。
だから、何でも受け入れようではないか。
どんな方向でも試してみよう。何でも受け入れ、何にでも耳を傾け、ほんのわずかの合図でどの方向にでも進む準備をととのえておこう。
たとえば疲労困憊して、神経が楽器の弦のようにはりつめた人のように、自分自身の力をほとんどなくしたかのように、新しく到来しようとする時代の神秘の風に吹かれ、玩ばれながら、ほんのわずかの動きや呼びかけ、そして合図を待って、わたしたちを引きずりおろそうとする綱から逃れ、どんな方角にでも進んでみようではないか。
母の叡智だって!
既存の体制には決してからめとられることのないように。
太陽こそが、わたしたちの向かう方角だ。美こそがわたしたちのめざすものだ。金ではなく、成功でもなく、安逸でもなければ身の安全でもなく、自分たちの幸せでさえない。めざすものはわたしたち皆が一緒に幸せになることだ


版画掌誌「ときの忘れもの」第5号掲載
ジョナス・メカス『わたしたちはどこにいるのか?』(1966年)より抜粋

小規模なわたしたちの上映会は、誰の役にも立たないかもしれません。しかし我々はいつでも、あたらしい出会いを待ち望んで良いのだと信じています。
少しでも良い場所になるよう努めてまいりますので、どうぞよろしくお願い致します。

井戸沼紀美(いどぬま・きみ)
1992年生まれ、都内在住。明治学院大学卒。これまでに手掛けたイベントに『ジョナス・メカスとその日々をみつめて』(2014年)、『ジョナス・メカス写真展+上映会』(2015年)がある。

〜〜〜〜〜〜〜
*画廊亭主敬白
1922年12月生まれのジョナス・メカスさんは96歳!
映画監督、詩人というけれど、一般的には無名といってもいい存在です。
しかし展覧会や上映会をすればどこで聞きつけたか若い人たちが見にやってくる。
作品だけでは満足せず、NYまで勝手に押しかけ、運よくメカスさんに会えるとビールまでご馳走になってくる。
そのうち、自分で勝手に映画の上映会まで企画してしまう。

そういう人の一人が井戸沼さんです。
(2014年に井戸沼さんがNYで敢行したメカスさんのインタビューをぜひご覧ください)
その志や壮、ぜひ成功させてもらいたいですね。
早速カレンダーの5月26日(土)に赤丸つけました。

版画掌誌5号表紙600同時代の優れた作家の紹介と、歴史の彼方に忘れ去られた作品の発掘をめざしてオリジナル版画入り大判美術誌『版画掌誌』を創刊したのは1999年です。
今まで5巻を出してきましたが、完売したのは第3号(草間彌生+パーヴェル・V・リュバルスキ)のみで、他の4巻はまだあります。
人生は短く、芸術は永し、といって亭主は強がっておりますが、ぜひご覧になってご注文ください。
ジョナス・メカスさんの特集を組んだのは第5号です。

◆特集1/ジョナス・メカス
フローズン・フィルム・フレームズ(静止した映画)と呼ぶ写真作品を紹介。
テキスト執筆
:ジョナス・メカス「わたしたちはどこにいるのか」
:ヴィートウタス・ランズベルギス「メカス マチューナス フルクサス」

◆特集2/日和崎尊夫
1992年50歳の若さで死去した日和崎尊夫の遺した木口木版画の秀作を紹介。
テキスト執筆
:谷川渥「星と薔薇」
:日和崎尊夫「ヨーロッパでの日々」(再録)

●仕様と価格
B4判変形(32.0×26.0cm) シルクスクリーン刷り
詳しくはホームページの版画掌誌第5号をクリックしてください。
ここでは、挿入されたメカスさんの写真と版画をご紹介します。

A版ーA : 限定15部 価格:126,000円 
ジョナス・メカスの写真「ジプシーの予言」とシルクスクリーン1点・日和崎尊夫の木口木版2点 計4点挿入
ジプシーの予言『the gypsy told me
the gypsy read it from the cards 
the gypsy told me
I'll have a big journey 
and I'll find myself 
beyond the sea』
制作:2005年
技法:写真
制作部数:限定15部(1/15〜15/15)
他に作家保存版(A.P.)を3部、版元保存版(H.C.)を2部制作した。
制作総部数は20部である。
イメージサイズ:24.5×12.5cm
シートサイズ :30.5×24.5cm
プリント:堀内カラー
作家自筆サイン、及び限定番号を記入、本誌・A版-Aにのみ挿入



A版ーB : 限定20部 価格:126,000円
ジョナス・メカスの写真「リキテンスタインのモデル」とシルクスクリーン1点・日和崎尊夫の木口木版2点 計4点挿入
リキテンスタインのモデル『Roy Lichtenstein’s model….
Filmed at Andy Warhol’s studio,
December 15,1976.From the film,
He Stands in a Desert Counting the
Seconds of His Life』
制作:2005年
技法:写真
制作部数:限定20部(1/20〜20/20)
他に作家保存版(A.P.)を3部、版元保存版(H.C.)を2部制作した。
制作総部数は25部である。
イメージサイズ:24.4×18.9cm
シートサイズ :30.5×24.5cm
プリント:堀内カラー
作家自筆サイン、及び限定番号を記入、本誌・A版-Bにのみ挿入 



B版 : 限定35部 価格:73,500円
ジョナス・メカスのシルクスクリーン1点・日和崎尊夫の木口木版2点 計3点挿入
わが街ニューヨークに捧げるラブ・レター『わが街ニューヨークに捧げるラブ・レター』
制作:2005年
技法:シルクスクリーン
制作部数:限定70部(1/70〜70/70)
他に作家保存版(A.P.)を5部、版元保存版(H.C.)を4部、
刷り師保存版(P.P.)を1部制作した。
制作総部数は80部である。
イメージサイズ:26.0×20.0cm
シートサイズ :32.0×51.5cm
用紙:BFKリーブ紙
刷り:石田了一工房・石田了一
作家自筆サイン、及び限定番号を記入、本誌・A版とB版に挿入


いずれも画廊においてありますので、いつでもご覧になれます。
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから

2005年10月サインするメカス
版画掌誌挿入の写真作品にサインするジョナス・メカスさん。
2005年10月ときの忘れものにて。


◆ときの忘れものは「ボブ・ウィロビー写真展〜オードリー&マリリン 」を開催しています。
会期:2018年4月10日[火]―4月28日[土]
11:00-19:00  ※日・月・祝日休廊

数々のスターが主演するハリウッド映画のメイキング・シーンを撮影してきた「スペシャル」フォトグラファー、ボブ・ウィロビーが1950-60年代に撮影したオードリー・ヘップバーンとマリリン・モンローのポートレートをご覧いただきます。詳しい出品リスト(25点)はホームページに掲載しました。
また10万冊を所蔵する雑誌図書館六月社の協力を得て、映画専門誌以外のオードリー・ヘプバーンとマリリン・モンローのゴシップ記事などを掲載した30年ほど前の雑誌60種類を図書室で公開しています。ぜひ手にとってご覧になってください。
201804_willoughby

●出品作品を順次ご紹介いたします
21_BWP142-Marilyn-Helicopteボブ・ウィロビー
《Monroe, Marilyn, 1952
Marilyn Monroe getting out of helicopter 20th Century Fox Party, 1960》(BWP142)

1952(Printed in 2018)
Archival Digital Pigment Print
Image size: 35.6×35.4cm
Sheet size: 50.8×40.6cm
Ed.25
クリストファー・ウィロビーによるスタンプとサインあり


こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください
ときの忘れものの通常業務は平日の火曜〜土曜日です。日曜、月曜、祝日はお問い合わせには返信できませんので、予めご了承ください。

●ときの忘れものは昨年〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました。TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531
新しい空間についてはWEBマガジン<コラージ12月号18〜24頁>に特集されています。
2018年から営業時間を19時まで延長します。
営業時間=火曜〜土曜の平日11時〜19時。日・月・祝日は休廊。
JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
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新連載・柳正彦のエッセイ「アートと本、アートの本、アートな本、の話し」

新連載・柳正彦のエッセイ「アートと本、アートの本、アートな本、の話し」

第1回 本とアート、個人的体験


 アートブックについてのブログを書かせていただくことになりました。美術関係の物書きと名乗り、雑誌や新聞等に積極的に書いていた時期に、美術手帖のアートブック特集などに何回か文章を書かせてもらいました。でも、今回は最低でも12回の連載、傾向やジャンル、出版された時代を限定することなく、様々な意味で「傑出」した「本」を紹介させてもらえるのは、本好き、アート好きとしては嬉しい限りです。

 画集、カタログ、挿絵本、アーティストブック、研究書など、一口にアートと関係する本といっても、内容も、目的も様々です。が、美術愛好家や美術学生にとって、画集や美術雑誌は、時美術館や展覧会の代わりを果たします。一方作り手側、美術作家も、本の中に展覧会を構成したり、直接的な表現手段として本を創っきています。

 毎回、何らかのテーマに沿って、2、3冊のアートブックを紹介する形で進めていく予定ですが、今回は、イントロとして、本とアートに絡む私の個人的な体験をお伝えしたいと思います・・・私自身がアート好きになり、アートに関連した仕事に携わるようになったのには、「本」が大きく係わっていた・・・ということをです。

 アートの存在を知り、アートが好きになる最初のきっかけは、展覧会ではなく、本だったようです。実は印刷会社に勤務する親類がいたことから、家には座右宝刊行会などの美術書がかなりあったそうです。私が小学校に入学刷る前後ですので昭和30年代末のことですので、恵まれた環境だったのかもしれません。始めは親が見せてくれていたようですが、そのうちに一人でも開くようになったそうです。母の話しによると、「ピカソの名前は直ぐに覚えた」が、多分一冊にマネ、モネ、スーラの3人が収録されていたのでしょう、「マネモネスーラ」を一人だと思っていたようです。その後も、小中学校の図書館で、画集や美術雑誌を眺めていたことは、うっすらですが記憶しています。
 家族に連れられてではなく、また学校の課外授業でもなく、一人で出向いた最初の展覧会は、上野で開かれたメトロポリタン美術館展でした。中学生の時でしたが、その頃までに、自らの気持ちで展覧会へ行くようになっていたわけです。今思い返すと、美術への関心を育ててくれたのは自宅や図書館にあった画集や、「みずゑ」などの美術雑誌だった思っています。

 単なる関心、興味を超えて、美術の収集という「病」のきっかけをつくったのも、一冊の本でした。中学生時代は鉄道写真にもはまっていたのですが、それを通して、昭和を代表する限定本出版社、プレスビブリオマーヌの佐々木桔梗さんと出会うことになりました。北海道の蒸気機関車を撮影するツァーで、佐々木さんをお見かけし、その後、氏が文芸書に加えて「カメラと機関車」という限定版の個人雑誌をだしていることを知りました。当時の私にとっては、高価でしたが、無理をして全巻、といっても3冊ですが、を注文しました。届いた包みの中には、銅版画が添付された特装版の案内が同封されていました。それが運の尽きだったのかもしれません・・・数日の内に、私にとって初めての美術作品を注文してしまったのです、小林ドンゲさんのカラー銅販画でした。

yanagi-03昭和40年前後に出版された座右宝刊行会編集の美術書の1冊


yanagi-02佐々木桔梗著、プレスビブリオマーヌ刊、「カメラと機関車」


yanagi-09コレクション第一号、小林ドンゲの銅販画(カメラと機関車、第二号、特装版に添付)


yanagi-01コレクション第二号、寺島勝治の銅販画(カメラと機関車、別冊、ロコアート、街の中の蒸気機関車、特装版に添付)


 私にとっての美術と本について、もう一つ書いておきたいエピソードがあります。80年代初頭から40年近くにわたって、その仕事に協力させてもらって来ている、クリストとジャンヌ=クロードとの係わりがもてたのも、一冊の本がきっかけでした。クリストというアーティストの存在を知ったのは、テレビ番組を通してでした。峯村敏明氏が企画に係わっていたアートリポートという番組で、クリストの「ヴァレーカーテン」の記録映画が流されました。大声で作業員に指示をするクリストの姿と滑るように開いていく巨大なオレンジ色の布の印象は強烈でした。
 数日後、西武美術館のショップ、アールヴィヴァンを訪れ、クリストの作品集を手に入れました。そこまでは、それほど特別なことではないでしょう。

yanagi-12Christo and Jeanne-Claude
Valley Curtain, Rifle, Colorado, 1970-72
(c)Christo, 1972, Photo: Wolfgang Volz


yanagi-11ヴァレーカーテンでのクリスト
(c)Christo, 1972, Photo: Hurry Shank


 クリストとの関係のきっかけをつくってくれた、私の人生にとって最も重要な一冊となった本を入手したのも、当時、頻繁に足を運んでいたこのショップでした。といっても、画集でも、評論集でもなく、それは、イタリアの美術雑誌、Flash Art による、”Art Diary” という年鑑のようなものでした。個人情報の管理がうるさくなった昨今では考えられませんが、そのダイアリーには、世界各国のアーティストの住所、電話番号が掲載されていたのでした。その中に、ニューヨーク・ソーホーのクリストの住所を見つけた時、そうだ、手紙をだしてみようと思い立ったのでした。
数週間後、ニューヨークからの封筒が届きました。中には、「何冊かのカタログとサイン入りのポスターを別便で送った。ニューヨークに来ることがあったら、ぜひ訪ねてくれ。」とタイプされた絵はがきが入っていました。それが、40年以上にわたっている、クリストとジャンヌ=クロードとの交友の出発点でした。

yanagi-05最初に買った、クリストの作品集、Abrams, Modern Artist Series の一冊


yanagi-06当時の書き込み、1976年5月に購入


yanagi-07当時の価格


yanagi-08購入から10年後、クリストと共に東京に戻った時に入れて貰った直筆サイン


yanagi-04クリストの大型本、Abrams刊、1万円を超える価格だったので、悩んだ末に購入


 個人的な思い出を、とりとめもなく書いてしまいました。お伝えしたかったのは、私とアートとの関係が生まれ、育ったのは、様々な形で「本」のおかげだったということです。
私の体験は、かなり特殊かもしれませんが、一般論としても、色々な形とレベルで「本」が人とアートを結びつけているのは事実でしょう。もう一歩踏み込んで、本がなければ現在のアートワールドは存在し得えないでしょう。同時に、創作活動を行っているアーティストにとっては、本は別の意味、機能ももっているでしょう・・・連載ではその辺のことも探れればとも考えています。

yanagi-10クリストと僕、2016年イタリア


やなぎ まさひこ

柳正彦 Masahiko YANAGI
東京都出身。大学卒業後、1981年よりニューヨーク在住。ニュー・スクール・フォー・ソシアル・リサーチ大学院修士課程終了。在学中より、美術・デザイン関係誌への執筆、展覧会企画、コーディネートを行う。1980年代中頃から、クリストとジャンヌ=クロードのスタッフとして「アンブレラ」「包まれたライヒスターク」「ゲート」「オーバー・ザ・リバー」「マスタバ」の準備、実現に深くかかわっている。また二人の日本での展覧会、講演会のコーディネート、メディア対応の窓口も勤めている。
昨年秋、水戸芸術館で開催された「クリストとジャンヌ=クロード アンブレラ 日本=アメリカ合衆国 1984-91」も柳さんがスタッフとして尽力されました。

●今日のお勧め作品は、クリストです。
20180420_Christo_01クリスト
《包まれた椅子》
1961-2001
ドローイング、コラージュ
Image size: 20.3x20.3cm
Frame size: 35.5x35.5cm
Signed


 (2)クリスト
《The Museum of Modern Art Wrapped (Project for New York)(Schellmann 37),》
1971年
オフセットリトグラフ
シートサイズ:71.2×55.5cm
Ed.100  Signed

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◆ときの忘れものは「ボブ・ウィロビー写真展〜オードリー&マリリン 」を開催しています。
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数々のスターが主演するハリウッド映画のメイキング・シーンを撮影してきた「スペシャル」フォトグラファー、ボブ・ウィロビーが1950-60年代に撮影したオードリー・ヘップバーンとマリリン・モンローのポートレートをご覧いただきます。詳しい出品リスト(25点)はホームページに掲載しました。
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201804_willoughby

●出品作品を順次ご紹介いたします
10_BWP041-Audrey-portrait-Cボブ・ウィロビー
《Hepburn, Audrey, 1953
Portrait of Audrey at Paramoun Studio, 1953》(BWP041)

1953(Printed in 2018)
Archival Digital Pigment Print
Image size: 45.8×34.0cm
Sheet size: 50.8×40.6cm
Ed.25
クリストファー・ウィロビーによるスタンプとサインあり


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◆ときの忘れもののブログは下記の皆さんのエッセイを連載しています。
 ・大竹昭子のエッセイ「迷走写真館 一枚の写真に目を凝らす」は毎月1日の更新です。
 ・frgmメンバーによるエッセイ「ルリユール 書物への偏愛」は毎月3日の更新です。
 ・小国貴司のエッセイ「かけだし本屋・駒込日記」は毎月5日の更新です。
 ・佐藤研吾のエッセイ「大地について―インドから建築を考える―」は毎月7日の更新です。
 ・杉山幸一郎のエッセイ「幸せにみちたくうかんを求めて」は毎月10日の更新です。
 ・野口琢郎のエッセイ「京都西陣から」は毎月15日の更新です。
 ・小林紀晴のエッセイ「TOKYO NETURE PHOTOGRAPHY」は毎月19日の更新です。
 ・新連載・柳正彦のエッセイ「アートと本、アートの本、アートな本、の話し」は毎月20日の更新です。
 ・小林美香のエッセイ「写真集と絵本のブックレビュー」は毎月25日の更新です。
 ・スタッフSの「海外ネットサーフィン」は毎月26日の更新です。
----------
 ・「現代版画センターの記録」は随時更新します。
 ・「瀧口修造の世界」は造形作家としての瀧口の軌跡と作品をテキストや資料によって紹介します。
土渕信彦のエッセイ「瀧口修造とマルセル・デュシャン」、「瀧口修造の箱舟」と合わせてお読みください。
 ・土渕信彦さんの新連載「瀧口修造の本」(仮題)を5月から開始予定です。
 ・飯沢耕太郎のエッセイ「日本の写真家たち」英文版とともに随時更新します。
 ・石原輝雄のエッセイ「マン・レイへの写真日記」は終了しました(時々番外編あり)。
 ・植田実のエッセイ「美術展のおこぼれ」は随時更新します。
  同じく植田実のエッセイ「生きているTATEMONO 松本竣介を読む」と合わせお読みください。
  「本との関係」などのエッセイのバックナンバーはコチラです。
 ・大野幸のエッセイ<ときの忘れもの・拾遺 ギャラリーコンサート>は随時更新します。
 ・「久保エディション」(現代版画のパトロン久保貞次郎)は随時更新します。
 ・中村茉貴のエッセイ「美術館に瑛九を観に行く」は随時更新します。
 ・西岡文彦のエッセイ「現代版画センターの景色」は全三回、1月24日、2月14日、3月14日に掲載しました。
 ・笹沼俊樹のエッセイ「現代美術コレクターの独り言」はしばらく休載します。
 ・清家克久のエッセイ「瀧口修造を求めて」は終了しました。
 ・関根伸夫のエッセイ「〈発想〉について[再録]」は終了しました。
 ・倉方俊輔のエッセイ「『悪』のコルビュジエ」は終了しました。
 ・森本悟郎のエッセイ「その後」は終了しました。
 ・藤本貴子のエッセイ「建築圏外通信」は終了しました。
 ・森下隆のエッセイ「鎌鼬美術館——秋田県羽後町田代に開館」は終了しました。
 ・芳賀言太郎のエッセイ「El Camino(エル・カミーノ) 僕が歩いた1600km」は終了しました。
 ・夜野悠のエッセイ「書斎の漂流物」は終了しました。
 ・普後均のエッセイ「写真という海」は終了しました。
 ・八束はじめ・彦坂裕のエッセイ「建築家のドローイング」(再録)は終了しました。
 ・荒井由泰のエッセイ「いとしの国ブータン紀行」は終了しました。
 ・森下泰輔のエッセイ「戦後・現代美術事件簿」は終了しました。
 ・「殿敷侃の遺したもの」はゆかりの方々のエッセイや資料を随時紹介します。
 ・「オノサト・トシノブの世界」は円を描き続けた作家の生涯と作品を関係資料や評論によって紹介します。
 ・「関根伸夫ともの派」はロスアンゼルスで制作を続ける関根伸夫と「もの派」について作品や資料によって紹介します。
今までのバックナンバーの一部はホームページに転載しています。

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新しい空間についてはWEBマガジン<コラージ12月号18〜24頁>に特集されています。
2018年から営業時間を19時まで延長します。
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JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
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小林紀晴のエッセイ「TOKYO NETURE PHOTOGRAPHY」第7回

小林紀晴のエッセイ「TOKYO NETURE PHOTOGRAPHY」

第7回 Nishi shinjuku


01


02


明治時代の地図を見れば、この辺りは沼地だったようだ。
三方をコンクリートに囲まれ、当時の面影はほぼ残っていないはずだ。
それでも水は忘れない。
高いところから、低い方へ流れ続けることを。

--------

小林紀晴
《Nishi shinjuku 01》
《Nishi shinjuku 02》
共に2017年撮
ゼラチンシルバープリント
11x14inch
Ed.20

こばやし きせい

小林紀晴 Kisei KOBAYASHI(1968-)
1968年長野県生まれ。
東京工芸大学短期大学部写真科卒業。
新聞社カメラマンを経て、1991年よりフリーランスフォトグラファーとして独立。1997年に「ASIAN JAPANES」でデビュー。1997年「DAYS ASIA》で日本写真協会新人賞受賞。2000年12月 2002年1月、ニューヨーク滞在。現在、雑誌、広告、TVCF、小説執筆などボーダレスに活動中。写真集に、「homeland」、「Days New york」、「SUWA」、「はなはねに」などがある。他に、「ASIA ROAD」、「写真学生」、「父の感触」、「十七歳」など著書多数。

◆小林さんが平凡社より新著「見知らぬ記憶」を刊行されました。
小林紀晴_00001小林 紀晴
出版年月: 2018/01
出版社: 平凡社
判型・ページ数: 4-6 224ページ
記憶の襞に隠れた過去が、ふとした瞬間に蘇り、時空を超えて往還し、別の様相をおびて未来を予言する。そこにはいつも写真が……。
『ASIAN JAPANESE』から二十余年、著者の新境地。
本体: 1,800円+税


*画廊亭主敬白
初夏のような日差しがと思ったのも束の間、昨日は倉庫に運んでしまったストーブが恋しくなる寒さでした。寒暖の差が激しいですね。
本日4月19日は敬愛する松本竣介の誕生日、ご存命であれば106歳です。5月に開催する「没後70年 松本竣介展」のご案内を昨日のブログで書きましたのでお読みください。
このブログでも「日本木造遺産」千年の建築を旅する写真展を紹介したこともある写真家の藤塚光政さんが2017毎日デザイン賞を受賞されました。少し遅くなってしまいましたが心よりお祝い申し上げます。これからもますますご活躍されますことを祈っています。
開催中の「ボブ・ウィロビー写真展〜オードリー&マリリン 」はおかげさまで好評です。二人のスター、今のところ人気は互角です。希少なオリジナルプリント(生前に作家自らプリントしたもの)とエステート版をともにお買いになる方もおり、扱う私たちも感激しています。どうぞご高覧ください。

◆ときの忘れものは「ボブ・ウィロビー写真展〜オードリー&マリリン 」を開催しています。
会期:2018年4月10日[火]―4月28日[土]
11:00-19:00  ※日・月・祝日休廊

数々のスターが主演するハリウッド映画のメイキング・シーンを撮影してきた「スペシャル」フォトグラファー、ボブ・ウィロビーが1950-60年代に撮影したオードリー・ヘップバーンとマリリン・モンローのポートレートをご覧いただきます。詳しい出品リスト(25点)はホームページに掲載しました。
また10万冊を所蔵する雑誌図書館六月社の協力を得て、映画専門誌以外のオードリー・ヘプバーンとマリリン・モンローのゴシップ記事などを掲載した30年ほど前の雑誌60種類を図書室で公開しています。ぜひ手にとってご覧になってください。
201804_willoughby

●出品作品を順次ご紹介いたします
20_BWP141-Marilyn-Sitting-Uボブ・ウィロビー
《Monroe, Marilyn, 1952
Marilyn Monroe sits by the pool 20th Century Fox Party, 1960》(BWP141)

1952(Printed in 2018)
Archival Digital Pigment Print
Image size: 36.9×35.5cm
Sheet size: 50.8×40.6cm
Ed.25
クリストファー・ウィロビーによるスタンプとサインあり


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ときの忘れものの通常業務は平日の火曜〜土曜日です。日曜、月曜、祝日はお問い合わせには返信できませんので、予めご了承ください。

◆ときの忘れもののブログは下記の皆さんのエッセイを連載しています。
 ・大竹昭子のエッセイ「迷走写真館 一枚の写真に目を凝らす」は毎月1日の更新です。
 ・frgmメンバーによるエッセイ「ルリユール 書物への偏愛」は毎月3日の更新です。
 ・小国貴司のエッセイ「かけだし本屋・駒込日記」は毎月5日の更新です。
 ・佐藤研吾のエッセイ「大地について―インドから建築を考える―」は毎月7日の更新です。
 ・杉山幸一郎のエッセイ「幸せにみちたくうかんを求めて」は毎月10日の更新です。
 ・野口琢郎のエッセイ「京都西陣から」は毎月15日の更新です。
 ・小林紀晴のエッセイ「TOKYO NETURE PHOTOGRAPHY」は毎月19日の更新です。
 ・小林美香のエッセイ「写真集と絵本のブックレビュー」は毎月25日の更新です。
 ・スタッフSの「海外ネットサーフィン」は毎月26日の更新です。
----------
 ・「現代版画センターの記録」は随時更新します。
 ・「瀧口修造の世界」は造形作家としての瀧口の軌跡と作品をテキストや資料によって紹介します。
土渕信彦のエッセイ「瀧口修造とマルセル・デュシャン」、「瀧口修造の箱舟」と合わせてお読みください。
 ・土渕信彦さんの新連載「瀧口修造の本」(仮題)を5月から開始予定です。
 ・飯沢耕太郎のエッセイ「日本の写真家たち」英文版とともに随時更新します。
 ・石原輝雄のエッセイ「マン・レイへの写真日記」は終了しました(時々番外編あり)。
 ・植田実のエッセイ「美術展のおこぼれ」は随時更新します。
  同じく植田実のエッセイ「生きているTATEMONO 松本竣介を読む」と合わせお読みください。
  「本との関係」などのエッセイのバックナンバーはコチラです。
 ・大野幸のエッセイ<ときの忘れもの・拾遺 ギャラリーコンサート>は随時更新します。
 ・「久保エディション」(現代版画のパトロン久保貞次郎)は随時更新します。
 ・中村茉貴のエッセイ「美術館に瑛九を観に行く」は随時更新します。
 ・西岡文彦のエッセイ「現代版画センターの景色」は全三回、1月24日、2月14日、3月14日に掲載しました。
 ・笹沼俊樹のエッセイ「現代美術コレクターの独り言」はしばらく休載します。
 ・清家克久のエッセイ「瀧口修造を求めて」は終了しました。
 ・関根伸夫のエッセイ「〈発想〉について[再録]」は終了しました。
 ・倉方俊輔のエッセイ「『悪』のコルビュジエ」は終了しました。
 ・森本悟郎のエッセイ「その後」は終了しました。
 ・藤本貴子のエッセイ「建築圏外通信」は終了しました。
 ・森下隆のエッセイ「鎌鼬美術館——秋田県羽後町田代に開館」は終了しました。
 ・芳賀言太郎のエッセイ「El Camino(エル・カミーノ) 僕が歩いた1600km」は終了しました。
 ・夜野悠のエッセイ「書斎の漂流物」は終了しました。
 ・普後均のエッセイ「写真という海」は終了しました。
 ・八束はじめ・彦坂裕のエッセイ「建築家のドローイング」(再録)は終了しました。
 ・荒井由泰のエッセイ「いとしの国ブータン紀行」は終了しました。
 ・森下泰輔のエッセイ「戦後・現代美術事件簿」は終了しました。
 ・「殿敷侃の遺したもの」はゆかりの方々のエッセイや資料を随時紹介します。
 ・「オノサト・トシノブの世界」は円を描き続けた作家の生涯と作品を関係資料や評論によって紹介します。
 ・「関根伸夫ともの派」はロスアンゼルスで制作を続ける関根伸夫と「もの派」について作品や資料によって紹介します。
今までのバックナンバーの一部はホームページに転載しています。

●ときの忘れものは昨年〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました。TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531
新しい空間についてはWEBマガジン<コラージ12月号18〜24頁>に特集されています。
2018年から営業時間を19時まで延長します。
営業時間=火曜〜土曜の平日11時〜19時。日・月・祝日は休廊。
JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
12

4月19日は松本竣介の誕生日

降る雪や 明治は遠く なりにけり」と中村草田男が詠んだのが1931年(昭和6)のことでした。
いまや平成、遠いどころではありませんが、
明治の末年1912年(明治45、大正元)生まれの作家をアトランダムに挙げると、
剣持勇、寺田 政明、 丸木 俊、奥田 元宋 、盪鈎ね此∈監 忠良、舟越 保武 、オノサト・トシノブ、ロベール=ドアノージョン=ケージ松本竣介たちです。

いまちょうど世田谷美術館で「人間・盪鈎ね催検廚開催されています(4月14日〜6月17日)。これはぜひご覧になってください。

亭主にとって見れば竣介以外はほとんど生前の姿を知っていますし、盪鈎ね此∈監C蚓鼻舟越保武オノサト・トシノブ先生たちには実際にお目にかかり仕事もしています。
(*参考画像:(埼玉県立近代美術館「版画の景色 現代版画センターの軌跡」
いわば同時代を生きた作家たちです。
ご存命ならば106歳前後でしょうか。

106年前の明日、1912年4月19日、松本竣介は東京府豊多摩郡渋谷町大字青山北町七丁目27番地(現 渋谷区渋谷一丁目6番1号)に佐藤勝身とハナ夫妻の次男(佐藤俊介)として生まれました。
旧町名からおわかりの通り、私たちの「ときの忘れもの」が昨年まであった南青山3丁目から歩いていける場所でした。グーグルで検索すると、渋谷駅から宮益坂を登り、青山通りをちょっと左に入ったあたりが竣介生誕の地です。
生まれたのは東京ですが、2歳の時に岩手県花巻へ、10歳の時に盛岡へ移り、少年時代を盛岡で過ごします。盛岡中学の同級生に舟越保武先生がいらっしゃいました。舟越先生は生涯、竣介と友人だったことを大切な思い出とし、ご自身の略歴には必ず「1941年(昭和16)盛岡・川徳画廊にて松本竣介と二人展開催」と記すことを指示されました。因みにこの年(1941年)はまだ松本俊介の時代で、「竣介」としたのは1944年からです。
竣介は中学時代に聴力を失います。やがて絵画に志し、17歳になる年に再び上京し絵を描き続けました。 1936年(昭和11年)に松本禎子さんと結婚し、「佐藤」から松本姓に変わりました。
亡くなったのは1948年6月8日。
幼い子たちと残された禎子夫人はその後もアトリエを守り続け、ご長命で2011年11月に亡くなりました。敬愛する竣介には会っていませんが、禎子さんには幸いお目にかかっています。

短命だった竣介の作品は桐生の大川美術館、盛岡の岩手県立美術館東京国立近代美術館神奈川県立近代美術館などに収蔵されています。
今年が没後70年にあたりますので、桐生の大川美術館で記念展が計画されていると伺っています。

ときの忘れものは生誕100年だった2012年に初めて「松本竣介展」を前期・後期にわけて開催しました。
前期:2012年12月14日[金]―12月29日[土] 
後期:2013年1月9日[水]―1月19日[土]
16『松本竣介展』図録
2012年
ときの忘れもの 発行
15ページ 25.6x18.1cm
執筆:植田実
デザイン:北澤敏彦(DIX-HOUSE)
図版:30点、略歴
価格:800円(税込)

このときは、生誕100年記念展が盛大に各地で開催され、植田実先生に岩手をはじめ、神奈川、宮城、島根、東京の全5会場の追っかけをお願いするという快挙(暴挙)を成し遂げました。
20120414松本竣介展 表
岩手県立美術館:2012年4月14日〜5月27日
神奈川県立近代美術館 葉山:2012年6月9日〜7月22日
宮城県美術館:2012年8月4日〜9月17日
島根県立美術館:2012年9月29日〜11月11日
世田谷美術館:2012年11月23日〜2013年1月14日

植田実先生には「生きているTATEMONO 松本竣介を読む」と題するエッセイを長期に渡り連載していただきました。

あれから6年、このたびは小規模ですが、5月8日〜6月2日の会期で「没後70年 松本竣介展」を開催します。
下記は出品予定作品の一部です。

1松本竣介
《人物(M)》
1947年8月
紙にペン、筆、インク
Image size: 22.0x15.0cm
Sheet size: 27.4x19.2cm
サインあり
※『松本竣介素描』(1977年 株式会社綜合工房)P121所収


12松本竣介
《作品》
紙に墨(裏にも作品あり)
Image size: 23.0x17.0cm
Sheet size: 27.2x19.5cm


12_裏(裏)


15松本竣介
《作品》
紙にペン
Image size: 20.5x30.5cm
Sheet size: 23.0x30.5cm

カタログも鋭意制作中で、テキストは大谷省吾先生(東京国立近代美術館)にお願いしています。
カタログですが、先日の『植田正治写真展―光と陰の世界―Part II』図録からデザインは岡本一宣さんにお願いしています。
ときの忘れものは開廊以来、ほとんどのカタログ、書籍のデザインを北澤敏彦さんにお願いしてきましたが、その死によって亭主は長年の盟友を失い、今後のカタログなどのデザインをどなたにお願いするか悩みました。
幸い、長年の友人の倉垣光孝(浪漫堂)さんの推薦により岡本一宣さんにお願いすることになりました。
どうぞご期待ください。

表紙植田正治写真展―光と陰の世界―Part II』図録
2018年3月8日刊行
ときの忘れもの 発行
24ページ
B5判変形
図版18点
執筆:金子隆一(写真史家)
デザイン:岡本一宣デザイン事務所
価格:800円(税込)※送料別途250円

ueda_cover
植田正治写真展―光と陰の世界―Part I』図録
2017年
ときの忘れもの 発行
36ページ
B5判
図版33点
執筆:金子隆一(写真史家)
デザイン:北澤敏彦(DIX-HOUSE)
価格:800円(税込)※送料別途250円


◆ときの忘れものは「ボブ・ウィロビー写真展〜オードリー&マリリン 」を開催しています。
会期:2018年4月10日[火]―4月28日[土]
11:00-19:00  ※日・月・祝日休廊

数々のスターが主演するハリウッド映画のメイキング・シーンを撮影してきた「スペシャル」フォトグラファー、ボブ・ウィロビーが1950-60年代に撮影したオードリー・ヘップバーンとマリリン・モンローのポートレートをご覧いただきます。詳しい出品リスト(25点)はホームページに掲載しました。
また10万冊を所蔵する雑誌図書館六月社の協力を得て、映画専門誌以外のオードリー・ヘプバーンとマリリン・モンローのゴシップ記事などを掲載した30年ほど前の雑誌60種類を図書室で公開しています。ぜひ手にとってご覧になってください。
201804_willoughby

●出品作品を順次ご紹介いたします
09_BWP040-Audrey-on-phoneボブ・ウィロビー
《Hepburn, Audrey, 1953
Audrey on phone at Paramount Studio, 1953》(BWP040)

1953(Printed in 2018)
Archival Digital Pigment Print
Image size: 45.7×30.4cm
Sheet size: 50.8×40.6cm
Ed.25
クリストファー・ウィロビーによるスタンプとサインあり


こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください
ときの忘れものの通常業務は平日の火曜〜土曜日です。日曜、月曜、祝日はお問い合わせには返信できませんので、予めご了承ください。

●ときの忘れものは昨年〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました。TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531
新しい空間についてはWEBマガジン<コラージ12月号18〜24頁>に特集されています。
2018年から営業時間を19時まで延長します。
営業時間=火曜〜土曜の平日11時〜19時。日・月・祝日は休廊。
JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
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金子隆一「もうひとつの遊び 植田正治のポラロイド写真」

もう一つの遊び――植田正治のポラロイド写真

金子隆一(写真史家)


「写真で遊ぶ」という言葉は植田正治自身に拠っているが、それは植田の「写真」とのかかわり方の本質を言い当てていよう。そして植田のもう一つの言葉に「写真する」というのがある。こちらは「写真」そのものがシャッターを切る最大の目的であることを現している。この二つの謂いは、写真を通して何事かを伝えたり表現したりするのではなく、つまり「写真」をメディアとしてとらえるのではなく、人間の本源的な行為そのものであることを意味している。

植田正治は、カメラが大好きであった。
カメラというものは、まぎれもなく写真表現のあり方を規制する。大型のビュー・カメラを選択すれば精密な描写が可能になるが、機動性は損なわれる。一方、小型カメラを選択すれば、肉眼の延長として自由自在な視点は可能(機動性)になるが、ネガ・サイズが小さいので描写のシャープネスはあきらめなくてはならない。それゆえに写真家は、自分が何を表現しようとするか、ということによってカメラを選択するのである。それは、カメラという器材を内在化するというベクトルを持ったかかわり方であるといってよいだろう。
だが植田にとってのカメラは、どのようなものとしてあるのだろうか。例えば目の前に新製品のカメラがあるとする。それを使ってどんなことが出来るかということを試みるが、そこで自分の目指す表現を実現するのに適格であるかによって評価するのではない。そのカメラそのものによって切り開かれる世界に、自分自身の表現を合わせてゆくというべきであろう。それは1970年代の代表的シリーズである〈小さい伝記〉は、「ハッセルブラッド」という6×6判の一眼レフカメラで撮影されている。そのカメラを持つことによって、植田は真四角な画面を発見し、それがその表現を成立させる重要な要素となっている。つまり植田はカメラを変えることによって表現の様式のみならず、表現の世界そのものを変容させた顕著な例と言ってよいだろう。この意味において、植田にとってカメラは何かを実現するためのメディアとしてあるのではなく、カメラそのものとの純粋なかかわり方こそが植田の表現の根源にあるのだ。「写真で遊ぶ」「写真する」という謂いは、このようなカメラとのかかわりを指している。植田正治にとってカメラという器材は、外在化された装置として存在しているというべきなのではないか。
植田正治にとって「写真」は、カメラでありレンズであり、プリントを作るときにイメージの周囲に大きく白枠を付けることであり、仲間たちと一緒に写真を撮りに行くことであり、海外の最新の写真集を見ながら喧々諤々と話しをすることである。「写真」に関わるすべてのことが「写真で遊ぶ」ことであり、だからこそ写真は「撮る」ものではなく、一般的な動詞である「する」という言葉として現れてくるのではないだろうか。
P1植田正治
《P1》
制作年:1974〜1985
拡散転写法(SX−70)
Image size: 8.0x8.0cm
Sheet size: 10.8x8.9cm

今回新たに発見されたSX−70というポラロイド・カメラで撮影された植田正治の作品は、「写真で遊ぶ」作家にとってどのようなものであったのだろうか。
このことを考える前に、ポラロイド・カメラというものはどのようなものであるのか、ということをまず振り返っておきたい。
ポラロイド・カメラはまぎれもなく銀塩写真のシステムではあるのだが、通常のフィルムや印画紙を使うカメラとの汎用性はなく、それ独自で完結したものである。それゆえにポラロイドは「カメラ」という系の中で考えるのではなく、一つの完結したシステム、つまり「ポラロイド・システム」とでも呼ぶべきなのである。
このポラロイド・システムは、アメリカのエドウィン・H・ランドによって1947年に発表された「拡散転写法」という技法によるもので、当時は「インスタント写真」と呼ばれていた。1948年に最初のポラロイド・カメラが発売された。それは専用のフォールディング・カメラ(蛇腹引き出し式カメラ)で、感光材料は専用のパッケージ化されたものを使う。その専用カメラで撮影したあと、シートを引き出すと現像剤が押しつぶされ画像が数分で形成され、そのシートを剥離するとポジが得られる「ピール・アパート(剥離)方式」と呼ばれるものであった。はじめはモノクロのみであったが、1963年にはカラーのポラロイド・システムが発売される。この「ピール・アパート方式」のポラロイド・システムは、はじめは専用カメラでしか使えなかった。それは言い換えれば、アマチュア写真家が家庭用に使うものであり、プロの写真家が使うシステムではなかったということである。それゆえ、後にビュー・カメラなどに装着できるような装置が発売され、また通常のフィルムのようなネガを、ポジと同時に得られるものも発売される。その発売当初からアドバイザーをつとめていたアメリカを代表する風景写真家アンセル・アダムスは、このポラロイド・システムによって得られるネガの調子が柔らかく豊かな階調が得られるということで一時積極的に使用していたという話もある。この第一段階の技術的進展は、ポラロイド・システムを閉じた系から普通の写真システムと同様の開かれた系への変換を目指すものであったと言えよう。
それを決定的に変えたのが1972年にアメリカ・フロリダ州で発売され、73年には全米で、そして日本では1974年に発売されたSX−70というポラロイド・カメラであった。これはこれまでの「ピール・アパート方式」ではなく、非剥離方式であった。通常のポラロイド写真と異なり乳剤面が露出しておらず、透明なフィルムの下に画像が形成されるのである。専用カメラは、116f8のレンズを装着した専用の折り畳み可能な一眼レフで、最短撮影距離は26僉¬誼奮電子式シャッターを組み込んだAEカメラである。出来上がった写真は、カラーのみで、そのサイズは8×8僂凌浸由僂焚萍未任△辰拭「現代のダゲレオタイプ」とも称されたこのSX−70というポラロイド・システムは、シャッターを切った直後にカメラの底部から吐き出された写真には画像がまだ現れてはおらず、明るいところで見る間に画像が現れてくるという、普通の銀塩写真はもとよりそれまでのポラロイド・システムとも全く異なる写真経験をもたらすものであった。そしてその画像は、これまでのポラロイド・システムによる写真と比べてそのシャープネスという点では明らかに劣っていた。またその色調においてもSX∸70独特のものがあった。さらに、そのプリント自体も、普通の印画紙の写真とは明らかに異なり、独自の物質性が顕著であった。通常のポラロイド・システムが、ネガ/ポジ法をベースとする普通の銀塩写真システムへと開かれたのに対して、SX−70は閉じられた系を開くことが不可能であるのだ。このために一点制作と紙とは異なる物質性も持つことになり、当時「現代のダゲレオタイプ」と称された所以であろう。
そしてこのSX∸70は非剥離方式であるがゆえに、画像が完全に固定される前に、透明フィルムの上から棒状のもので圧力を加え、画像を手でゆがめることが盛んにおこなわれ、「ポラロイド・アート」ともいわれた独自の表現世界を生み出した。アメリカのルーカス・サマラスやレス・クリムスといった写真家が、70年代後半盛んに行い話題となった。
その後、「ピール・アパート方式」のポラロイド・システムは、70年代後半から80年代にかけて8×10インチ、さらには20×24インチと大型化してゆく、一方では83年に発売された「ポラクローム」のようなカラー透明陽画を得られるシステムも開発されてゆく。そしてポラロイド社は、さまざまなポラロイド・システムを写真家のみならずアンディ・ウォーホルのようなアーティストを含めて、提供し、普通の写真システムとは異なった「ポラロイド・アート」の可能性を追求して、厖大なコレクションを作り上げてゆく。

これまで植田正治がポラロイド・システムを使った作品としては、私家版写真集『軌道回帰』(1986年刊)が知られている。この写真集に収められた作品は、すべて1983年に発売された「ポラクローム」で撮影されている。これは現像所での処理が不要のカラーフィルムで、一本で36コマを撮影した後に、通常のポラロイド・システムのように明るいところで処理をすると35佝修離ラーの透明陽画(カラースライド)が得られるものであった。植田は、このシステムで得られるカラー写真の色調が鮮やかでないところに魅かれて使ったようである。また植田は、山岸亨子の企画による20×24インチという専用の大型ポラロイド・カメラを使うプロジェクトに参加し、その成果は森山大道、深瀬昌久、横尾忠則、石内都、山崎博ら18人の写真家とともに『スーパー・イメージの世界 ポラロイド20×24作品集』(青弓社、1986年)に収められている。
しかしこれまで植田がSX−70のポラロイドを使った作品がまとまって問題にされたことはなかった。「新しもの好き」の植田のことを考えれば、SX−70が発売された当初に飛びついたことは疑いようがない。海外の写真集などでこれを使った様々な表現があることも知っていたに違いない。にも拘わらず、植田はSX−70を使った成果を発表することはなかったのだ。
植田が写真集にまでした「ポラクローム」というシステムが、それまでのポラロイド・システムと比較して決定的に違うことは、普通のフィルムと同様に一本連続して撮影できる、撮影しなければならないという点にある。SX−70も含めて、ほかのポラロイド・システムは、ダゲレオタイプやコロジオン湿板法、ゼラチン乾板と同じように一コマ撮影である。つまり、通常のポラロイド・システムでは、連続撮影ができない。つまり植田にとっての「写真」は、あくまでも通常の使い慣れたカメラを使うことが重要であったのではないだろうか。
P5植田正治
《P5》
制作年:1974〜1985
拡散転写法(SX−70)
Image size: 8.0x8.0cm
Sheet size: 10.8x8.9cm

今回発見された植田正治のSX−70による作品は、前述のように画像に手を加えたものはない。その表現は、〈小さい伝記〉を撮影した頃の表現と極めて似通っているので、1970年代中頃に撮影されたのではないかと推測できる。ここに見られる植田正治の表現は、ストレートであるがゆえに、普通のカメラで撮影したときのような自由闊達さはないと言わざるを得ない。連続撮影をしようとしても、それは動いてゆく現実と渉りあってゆくものではない。一枚一枚のカメラから吐き出される写真を否応なく見てしまい、そこで流れが切断されてしまっているかのようである。植田にとって、大型のビュー・カメラとは異なった不自由さを強いるSX−70のポラロイドで撮影することは、撮影した直後に現像・定着をしなくてはならなかったダゲレオタイプやコロジオン湿板法が示す、本当の意味での写真の歴史的原点を経験することになってしまったのではないだろうか。
このSX−70のポラロイドによる作品は、植田正治の多彩な作品群の中にあって特別なものである。それは、表現として決して成功していないがゆえに、植田が言う「写真で遊ぶ」という意味を逆説的に照射している。それは19世紀的な、写真の発明に遡ってゆく原点ではなく、近代写真というパースペクティブの中で追求された「写真」という枠組みを明らかにしてしまっているように思えてならない。この意味において、SX−70のポラロイドによる植田の作品群は、「もう一つの遊び」として、植田の表現の在り処を示す興味深いものであるのだ。
かねこ りゅういち

『植田正治写真展―光と陰の世界―Part I』図録所収

金子隆一(かねこ・りゅういち)
写真史家。1948年東京生まれ。立正大学文学部卒業。おもな著書に『日本写真集史 1956-1986』、『日本近代写真の成立』(共著)、『インディペンデント・フォトグラファーズ・イン・ジャパン 1976〜83』(共著)など。展覧会キュレーション多数。

●書籍・カタログのご案内
表紙『植田正治写真展―光と陰の世界―Part II』図録
2018年3月8日刊行
ときの忘れもの 発行
24ページ
B5判変形
図版18点
執筆:金子隆一(写真史家)
デザイン:岡本一宣デザイン事務所
価格:800円(税込)※送料別途250円

ueda_cover
『植田正治写真展―光と陰の世界―Part I』図録
2017年
ときの忘れもの 発行
36ページ
B5判
図版33点
執筆:金子隆一(写真史家)
デザイン:北澤敏彦(DIX-HOUSE)
価格:800円(税込)※送料別途250円


●今日のお勧め作品は、植田正治です。
新発掘のこのポラロイド写真はSX-70というポラロイド・カメラを使用したもので、撮影年はSX-70が日本で発売された1974年から〈小さい伝記〉が終わる1985年までと推測されます。
ポラロイド写真ですからネガもポジもありません。オンリーワンのビンテージプリントで、コンディションも発色も良好です。
こちらは6点組での販売となります。
P8植田正治
《P8》
1974年〜1985年
拡散転写法(SX−70)
Image size: 8.0x8.0cm
Sheet size: 10.8x8.9cm


P9植田正治
《P9》
1974年〜1985年
拡散転写法(SX−70)
Image size: 8.0x8.0cm
Sheet size: 10.8x8.9cm


P10植田正治
《P10》
1974年〜1985年
拡散転写法(SX−70)
Image size: 8.0x8.0cm
Sheet size: 10.8x8.9cm


P13植田正治
《P13》
1974年〜1985年
拡散転写法(SX−70)
Image size: 8.0x8.0cm
Sheet size: 10.8x8.9cm


P15植田正治
《P15》
1974年〜1985年
拡散転写法(SX−70)
Image size: 8.0x8.0cm
Sheet size: 10.8x8.9cm


P18植田正治
《P18》
1974年〜1985年
拡散転写法(SX−70)
Image size: 8.0x8.0cm
Sheet size: 10.8x8.9cm


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◆ときの忘れものは「ボブ・ウィロビー写真展〜オードリー&マリリン 」を開催しています。
会期:2018年4月10日[火]―4月28日[土]
11:00-19:00  ※日・月・祝日休廊

数々のスターが主演するハリウッド映画のメイキング・シーンを撮影してきた「スペシャル」フォトグラファー、ボブ・ウィロビーが1950-60年代に撮影したオードリー・ヘップバーンとマリリン・モンローのポートレートをご覧いただきます。詳しい出品リスト(25点)はホームページに掲載しました。
また10万冊を所蔵する雑誌図書館六月社の協力を得て、映画専門誌以外のオードリー・ヘプバーンとマリリン・モンローのゴシップ記事などを掲載した30年ほど前の雑誌60種類を図書室で公開しています。ぜひ手にとってご覧になってください。
201804_willoughby

●出品作品を順次ご紹介いたします
03_A086-Audrey-Ladderボブ・ウィロビー
《Hepburn, Audrey, 1962 Audrey Hepburn on set of "Paris When It Sizzles" at Boulogne Studios in Paris, 1962.》(A086)
※「パリで一緒に」
1962(Printed in 2018)
Archival Digital Pigment Print
Image size: 45.7×24.8cm
Sheet size: 50.8×40.6cm
Ed.25
クリストファー・ウィロビーによるスタンプとサインあり


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ときの忘れものの通常業務は平日の火曜〜土曜日です。日曜、月曜、祝日はお問い合わせには返信できませんので、予めご了承ください。

●ときの忘れものは昨年〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました。TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531
新しい空間についてはWEBマガジン<コラージ12月号18〜24頁>に特集されています。
2018年から営業時間を19時まで延長します。
営業時間=火曜〜土曜の平日11時〜19時。日・月・祝日は休廊。
JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
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松本市美術館「草間彌生 ALL ABOUT MY LOVE 私の愛のすべて」

草間フィーバーは衰えるどころかますます燃え盛っています。

草間彌生 ALL ABOUT MY LOVE 私の愛のすべて
会期:2018年3月3日(土) 〜 7月22日(日)
休館日:月曜日 ※ただし、4月30日、5月7日、7月16日は開館
開館時間 9:00〜17:00
開館延長 毎週土曜日は19:00まで ※入場はいずれも閉館の30分前まで
会場:松本市美術館

いまさら紹介するのもなんですが、3月3日に始まった松本市美術館の草間彌生展が僅か二週間たらずで入場者が1万人を超え、3月16日には記念セレモニーが行われたとのこと。
故郷に錦を飾るといいますが、往時を知る亭主には感慨深いものがあります。

松本には昔(30〜40年前)、よく行きました。
飯沼瑛さんという、家業のクリーニング屋さんは奥さんに任せ、市会議員をなさっていた方が現代版画センターの松本支部をつくってくれ、喫茶店やレストランを会場によく頒布会を開いてくれました。
1981年11月森工房オープニング_原広司_飯沼瑛1981年10月24日
右から飯沼瑛さん、綿貫不二夫、原広司先生(建築家)
長野県坂城・森工房オープニングにて

都現美・草間展99年4月28日1999年4月28日東京都現代美術館
「草間彌生 ニューヨーク/東京」オープニングにて
左から盛岡・直利庵の松井裕子さん、草間彌生先生、MORIOKA第一画廊の宇田り土さん

このときはまだ100号「かぼちゃ」が300万円でも売れなかった。
同時期に開催されたのが「荒木経惟 センチメンタルな写真、人生。」展でした。

当時、浅田彰さんは新潮社のPR誌『波』で鋭くこの二つの展覧会について論じています。
なんというエネルギーだろう。東京都現代美術館で開かれた草間彌生の回顧展を見て、私はあらためて圧倒される思いだった。鮮烈な色彩に輝く水玉状の形態や男根状のオブジェが、とめどもなく増殖し、いたるところに氾濫する。そう、それは、生涯にわたって精神の病いと戦い続け、その苦しい戦いを華麗な芸術に転化しおおせたひとりの女性の、輝かしい勝利の記念碑なのだ。(中略)
ちなみに、東京都現代美術館では、草間彌生の回顧展と並んで、荒木経惟の写真展が開かれている。コラボレーションや対談も行なっているとはいえ、実のところこの2人ほど対極的な存在はない。ひとことで言えば「本もの」と「偽もの」、あるいはニーチェの言葉で言えば「強者」と「弱者」というところだろうか。実際、「センチメンタルな写真、人生」と題する荒木経惟展に見られるのは、まさしくセンチメンタルな私小説の写真版でしかない。(以下略)>

誰も荒木批判などしなかったときに、スパッと荒木さんを切り捨てた浅田さんの批評眼に畏敬の念を抱かずにはいられません。
082
1982年に亭主がエディションした草間彌生先生のエディション。現代版画センター史上ワーストワン、泣きたいほど売れませんでした。松本出身の草間先生のことは地元で話題にはなっていたのですが、売ったことも、売れたこともほとんどありませんでした(涙)。
埼玉県立近代美術館「版画の景色 現代版画センターの軌跡」展より

飯沼さんは市会議員として美術館の建設運動にも尽力されていました。
運動がみのりようやく松本市美術館が開館したのは2002年でした。

久しぶりに草間先生の初期版画などが入ってきたのでご紹介しましょう。
20180421_01_kusama_shinano_23草間彌生
《信濃路》
1983年
シルクスクリーン
イメージサイズ:48.7x60.0cm
シートサイズ:55.0x69.0cm
Ed.75
サインあり
※レゾネNo.23


20180421_02_kusama_grape_28草間彌生
《ぶどう》
1983年
シルクスクリーン
イメージサイズ:60.0x49.0cm
シートサイズ:69.0x55.2cm
Ed.75
サインあり
※レゾネNo.28


20180421_03_kusama_snail_127草間彌生
《かたつむり》
1989年
シルクスクリーン
イメージサイズ:45.4x52.8cm
シートサイズ:53.5x61.0cm
Ed.100
サインあり
※レゾネNo.127


《南瓜》
2000年
シルクスクリーン+布コラージュ
27.0×21.0cm
Ed.135  
サインあり
※レゾネNo.294(阿部出版 2005年新版)

こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください
ときの忘れものの通常業務は平日の火曜〜土曜日です。日曜、月曜、祝日はお問い合わせには返信できませんので、予めご了承ください。

本日16日(月曜)は休廊です。

◆ときの忘れものは「ボブ・ウィロビー写真展〜オードリー&マリリン 」を開催しています。
会期:2018年4月10日[火]―4月28日[土]
11:00-19:00  ※日・月・祝日休廊

数々のスターが主演するハリウッド映画のメイキング・シーンを撮影してきた「スペシャル」フォトグラファー、ボブ・ウィロビーが1950-60年代に撮影したオードリー・ヘップバーンとマリリン・モンローのポートレートをご覧いただきます。詳しい出品リスト(25点)はホームページに掲載しました。
また10万冊を所蔵する雑誌図書館六月社の協力を得て、映画専門誌以外のオードリー・ヘプバーンとマリリン・モンローのゴシップ記事などを掲載した30年ほど前の雑誌60種類を図書室で公開しています。ぜひ手にとってご覧になってください。
201804_willoughby

●出品作品を順次ご紹介いたします
12_BWP121-Audrey-reads-to-Iボブ・ウィロビー
《Hepburn, Audrey, 1958
Audrey Hepburn in her backyard, reads to Ip. Pre-production for "Green Mansions," 1958》(BWP121)

※「緑の館」
1958(Printed in 2018)
Archival Digital Pigment Print
Image size: 45.8×30.8cm
Sheet size: 50.8×40.6cm
Ed.25
クリストファー・ウィロビーによるスタンプとサインあり


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●ときの忘れものは昨年〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました。TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531
新しい空間についてはWEBマガジン<コラージ12月号18〜24頁>に特集されています。
2018年から営業時間を19時まで延長します。
営業時間=火曜〜土曜の平日11時〜19時。日・月・祝日は休廊。
JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
12

野口琢郎のエッセイ「京都西陣から」 第45回

野口琢郎のエッセイ「京都西陣から」 第45回

ニューヨークのアートフェア、松下幸之助歴史館

3月上旬、ときの忘れものさんからニューヨークのArt on Paperに出展させて頂く為に出発、昨年のこのフェアは手応えがすごくあったので、珍しく少し自信を持ってフェアを迎えたのですが、始まってみるとなかなか苦戦、昨年とは何かが違いました。
結果は尾立さんが書いておられたので省略致しますが、先月のエッセイで「良い結果を残して元気に帰ってこられるように頑張りたいと思います。」と書いていたのに、運悪くニューヨークで熱が出て2日間寝込み、肝心の土日のほとんどを会場にいられず、良い結果も出せず元気に帰ってくる事もできませんでした。
色々な事が常に変化していて、同じアートフェアでも二年連続で運に恵まれるとは限らない、改めて難しいものだと感じました。
とはいえ、やはりアメリカのアートフェアはアジアよりもチャンスは多いと感じるので、また機会を頂ければチャレンジしたいと思います。

DSC_8231


DSC_8039ニューヨーク


IMG_6672Art on Paper会場


DSC_8091ときの忘れものブース


DSC_8052建築家の光嶋裕介さんと、合作の前で


そして、3月1日の松下幸之助歴史館への作品贈呈式の時の集合写真や父と僕のスピーチの写真などをパナソニックさんから頂けました。
集合写真なんて久しぶりでした、なんだか若造一人浮いています 笑 中央に座っておられるのがパナソニック代表取締役会長の長榮 周作氏、写真右側が寄贈者の電気屋の皆さんとご家族、左側に野口家3人と両親の親友のオフジさんです。
当日は式典用の赤いカーペットの赤色が作品に反射してしまって、海のプラチナ部分がちょっと赤いです。

ecn18032012000012-p1松下幸之助歴史館


EPSON003 のコピー


EPSON004


以下、当日緊張しながら話した下手くそなスピーチの原稿です。
聞いていた家族には、原稿見ないで話してた技法の説明のとことだけ声が大きくなったと言われました、技法の説明はもう人前で何千回もしてきたので、そりゃそうですよね。
―――――――――――――――――――――――――
この度は松下幸之助歴史館のオープンと、100周年おめでとうございます。
そして、寄贈者の皆様にこのような大切な作品の制作を任せて頂けた事を光栄に思っております。
父からも説明がありましたが、私は箔屋野口の5代目となるはずが、苦しい西陣の状況などもあり、17年程前から箔画作家として活動をしております。
箔画という名前は、制作を初めた頃に自分が作ったものを何と呼べばいいのだろうかと考え、私が名付けたものなので、その定義がはっきりあるものではないのですが、簡単に私の箔画について説明致しますと、

(箔画技法の説明)

次に今回の作品についての説明ですが、先程中松さんよりお話頂きましたが、寄贈者の皆さんの表現されたいコンセプトが、パナソニックさん、町の電気屋さん、そしてお客様との絆、また、今までの100年、これからの100年という事でしたので、新しい夜明けの光に向かって飛ぶ3羽の鳥の絵を描きました。
そのコンセプトが皆さんにどれだけ伝わる作品になったのかは自分ではわからないものですが、これからこの松下幸之助歴史館に来場される皆様にその想いを少しでも感じて頂けるならば、作家としてとても嬉しく思います。

そして、普段父とは作品にお互いほとんど口出ししないのですが、作品について親子でたくさん話す機会をくださった事、
二人の名前をこの場所に残す機会を与えて頂いた事にも、感謝しております。

また、今まで私に一生懸命に働く背中を見せ、色々な事を伝えてくれて、私の地盤を作ってくれた父に作品の地盤となる下地の制作などを手伝ってもらい合作する事ができたので、その制作工程を通しても、今回のコンセプトである絆、これまでとこれからという表現に深みをもたす事ができたのではないかと思っております。本当にありがとうございました。

EPSON005


EPSON005 のコピー


EPSON003


EPSON006 のコピー


EPSON006


―――――――――――――――――――――――――

●パナソニックミュージアム 松下幸之助歴史館
【所在地】〒571-8501 大阪府門真市大字門真1006番地
【アクセス】京阪電車 西三荘駅下車 徒歩2分
【入館料】無料
【開館時間】午前9時〜午後5時
【休館日】日曜、年末年始
【駐車場】普通乗用車 10台、大型バス4台
※駐車スペースは台数に限りがございます。ご来館の際はできるだけ公共の交通機関をご利用下さい。
【駐輪場】数台程度
【連絡先】電話番号:06-6906-0106 /FAX番号:06-6906-1894
パナソニックミュージアムwebサイト
https://www.panasonic.com/jp/corporate/history/panasonic-museum.html

のぐち たくろう

野口琢郎 Takuro NOGUCHI(1975-)
1975年京都府生まれ。1997年京都造形芸術大学洋画科卒業。2000年長崎市にて写真家・東松照明の助手に就く。2001年京都西陣の生家に戻り、家業である箔屋野口の五代目を継ぐため修行に入る。その後も精力的に創作活動を続け、2004年の初個展以来毎年個展を開催している。

●今日のお勧め作品は野口琢郎です。
20180215_noguchi_38_sound
野口琢郎 "Wish -Sound of the sky-"
2016年  箔画(木パネル、漆、金・銀・プラチナ箔、石炭、樹脂、アクリル絵具)
102.0×185.0cm  Signed
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本日15日(日曜)と、明日16日(月曜)は休廊です。

◆ときの忘れものは「ボブ・ウィロビー写真展〜オードリー&マリリン 」を開催しています。
会期:2018年4月10日[火]―4月28日[土]
11:00-19:00  ※日・月・祝日休廊

数々のスターが主演するハリウッド映画のメイキング・シーンを撮影してきた「スペシャル」フォトグラファー、ボブ・ウィロビーが1950-60年代に撮影したオードリー・ヘップバーンとマリリン・モンローのポートレートをご覧いただきます。詳しい出品リスト(25点)はホームページに掲載しました。
また10万冊を所蔵する雑誌図書館六月社の協力を得て、映画専門誌以外のオードリー・ヘプバーンとマリリン・モンローのゴシップ記事などを掲載した30年ほど前の雑誌60種類を図書室で公開しています。ぜひ手にとってご覧になってください。
201804_willoughby

●出品作品を順次ご紹介いたします
18_BWP005-Marilyn-Standingボブ・ウィロビー
《Monroe, Marilyn, 1960
Marilyn Monroe on the set of "Let’s Make Love," 1960》(BWP005)

※「恋をしましょう」
1960(Printed in 2018)
Archival Digital Pigment Print
Image size: 45.7×29.4cm
Sheet size: 50.8×40.6cm
Ed.25
クリストファー・ウィロビーによるスタンプとサインあり


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◆ときの忘れもののブログは下記の皆さんのエッセイを連載しています。
 ・大竹昭子のエッセイ「迷走写真館 一枚の写真に目を凝らす」は毎月1日の更新です。
 ・frgmメンバーによるエッセイ「ルリユール 書物への偏愛」は毎月3日の更新です。
 ・小国貴司のエッセイ「かけだし本屋・駒込日記」は毎月5日の更新です。
 ・佐藤研吾のエッセイ「大地について―インドから建築を考える―」は毎月7日の更新です。
 ・杉山幸一郎のエッセイ「幸せにみちたくうかんを求めて」は毎月10日の更新です。
 ・野口琢郎のエッセイ「京都西陣から」は毎月15日の更新です。
 ・小林紀晴のエッセイ「TOKYO NETURE PHOTOGRAPHY」は毎月19日の更新です。
 ・小林美香のエッセイ「写真集と絵本のブックレビュー」は毎月25日の更新です。
 ・スタッフSの「海外ネットサーフィン」は毎月26日の更新です。
----------
 ・「現代版画センターの記録」は随時更新します。
 ・「瀧口修造の世界」は造形作家としての瀧口の軌跡と作品をテキストや資料によって紹介します。
土渕信彦のエッセイ「瀧口修造とマルセル・デュシャン」、「瀧口修造の箱舟」と合わせてお読みください。
 ・土渕信彦さんの新連載「瀧口修造の本」(仮題)を5月から開始予定です。
 ・飯沢耕太郎のエッセイ「日本の写真家たち」英文版とともに随時更新します。
 ・石原輝雄のエッセイ「マン・レイへの写真日記」は終了しました(時々番外編あり)。
 ・植田実のエッセイ「美術展のおこぼれ」は随時更新します。
  同じく植田実のエッセイ「生きているTATEMONO 松本竣介を読む」と合わせお読みください。
  「本との関係」などのエッセイのバックナンバーはコチラです。
 ・大野幸のエッセイ<ときの忘れもの・拾遺 ギャラリーコンサート>は随時更新します。
 ・「久保エディション」(現代版画のパトロン久保貞次郎)は随時更新します。
 ・中村茉貴のエッセイ「美術館に瑛九を観に行く」は随時更新します。
 ・西岡文彦のエッセイ「現代版画センターの景色」は全三回、1月24日、2月14日、3月14日に掲載しました。
 ・笹沼俊樹のエッセイ「現代美術コレクターの独り言」はしばらく休載します。
 ・清家克久のエッセイ「瀧口修造を求めて」は終了しました。
 ・関根伸夫のエッセイ「〈発想〉について[再録]」は終了しました。
 ・倉方俊輔のエッセイ「『悪』のコルビュジエ」は終了しました。
 ・森本悟郎のエッセイ「その後」は終了しました。
 ・藤本貴子のエッセイ「建築圏外通信」は終了しました。
 ・森下隆のエッセイ「鎌鼬美術館——秋田県羽後町田代に開館」は終了しました。
 ・芳賀言太郎のエッセイ「El Camino(エル・カミーノ) 僕が歩いた1600km」は終了しました。
 ・夜野悠のエッセイ「書斎の漂流物」は終了しました。
 ・普後均のエッセイ「写真という海」は終了しました。
 ・八束はじめ・彦坂裕のエッセイ「建築家のドローイング」(再録)は終了しました。
 ・荒井由泰のエッセイ「いとしの国ブータン紀行」は終了しました。
 ・森下泰輔のエッセイ「戦後・現代美術事件簿」は終了しました。
 ・「殿敷侃の遺したもの」はゆかりの方々のエッセイや資料を随時紹介します。
 ・「オノサト・トシノブの世界」は円を描き続けた作家の生涯と作品を関係資料や評論によって紹介します。
 ・「関根伸夫ともの派」はロスアンゼルスで制作を続ける関根伸夫と「もの派」について作品や資料によって紹介します。
今までのバックナンバーの一部はホームページに転載しています。

●ときの忘れものは昨年〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました。TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531
新しい空間についてはWEBマガジン<コラージ12月号18〜24頁>に特集されています。
2018年から営業時間を19時まで延長します。
営業時間=火曜〜土曜の平日11時〜19時。日・月・祝日は休廊。
JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
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アンディ・ウォーホルとロイ・リキテンスタイン

東京は桜の季節も終わり、はや初夏の日差しですが、風も強い。
何だか季節の移り変わりが激しくて、途中がないですね。
駒込に移転し、10ヶ月ほどが経ち、ようやく四季それぞれの駒込の様子がわかってきました。
青山と同じく住宅街ですが、青山のような華やかさはありません。しかし私どものような地味でクラシックな画廊にとってはなかなか居心地の良い場所です。
昨年6月突如入居することになった阿部勤先生設計の建物の使い勝手は申し分ありません。
阿部先生がいかに素晴らしい建築家であるかは、ご自身の告白「私の失敗」をぜひお読みになってください。
自戒をこめての感想ですが、自分の失敗を認めることはなかなか難しい。ましてやそれを公開するなんて「営業」から考えたら禁句のはず、それを敢えて公開し、次のステップに生かす、さすが坂倉準三のお弟子さんですね。
所沢のご自宅はもちろん阿部先生が設計された自慢の傑作。ところがこのお正月に中山美穂さん(そうですあの女優の)に占拠され、一時ホームレス状態になったらしい。いったいそれは何故なんだと、ときの忘れもの建築探偵団が26日に偵察に参ります。

ようやく今年後半のラインナップが固まりましたのでご報告します。

5月「没後70年 松本竣介展」
6月「移転一周年謝恩企画:70-80年代を彩ったポスター繚乱」
  「関根伸夫展」(会場は銀座・ギャラリーせいほう)
7月「秋葉シスイ新作展」(会場は銀座・ギャラリーせいほう)
  「内間安瑆・俊子遺作展」
9月「野口琢郎新作展」
10月「倉俣史朗展」
11月「光嶋裕介新作展」

のちほど詳しくご案内しますが来月5月には二回目となる松本竣介展を開催します。
6月の移転一周年記念は引越しを機に発掘できた40年ほど前のレアなポスター群を謝恩価格にて展示頒布します。
大作が中心の関根伸夫秋葉シスイの新作個展は銀座のギャラリーせいほうさんにお願いして開催します。
7月の内間安瑆・俊子ご夫妻の遺作展のために、スタッフたちが先日NYのご遺族のもとに赴き貴重な作品をお預かりしてきました。戦後の現代美術史に確かな足跡を残し、帰米後(俊子夫人にとっては渡米後)は多くの日本人作家を暖かく支援した功績も忘れてはなりません。内間安瑆先生の作品は今まで幾度も展示してきましたが、デモクラートに参加した内間俊子(青野俊子)先生に関しては今回が初めてのまとまった紹介となります。
10月には倉俣史朗展を予定しています。没後30年近く経ってもオーラは消えず、海外での評価はますます高くなっています。
9月の野口琢郎さん、11月の光嶋裕介さんのそれぞれ新作個展が、駒込の空間を使っての初めての作家の新作による挑戦になります。
まだ時期は確定していませんが、秋には佐藤研吾さんの展覧会も予定しています。
どうぞご期待ください。

昨日は埼玉県立近代美術館での「版画の景色 現代版画センターの軌跡」展の反響をご紹介しましたが、昔お世話になった現代版画センターの会員の方々との再会も嬉しい出来事でした。
30数年ぶりにご連絡をいただき、その当時私が売った作品が戻ってくるなど思わぬご褒美もありました。

●本日のお勧め作品はポップアートの二大スター、ロイ・リキテンスタインアンディ・ウォーホルです。
warhol_06_kiku-3アンディ・ウォーホル"KIKU 3"
1983年
シルクスクリーン(刷り:石田了一)
50.0×66.0cm
Ed.300  Signed


lichtenstein_03_landscapeロイ・リキテンスタイン《Haystack》
1969年
シルクスクリーン
48.5x66.0cm
Ed. 250  Signed

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ウォーホルの「KIKU」シリーズは現代版画センターのエディションで、日本で石田了一さんの手で刷られました。
菊を刷る石田了一
「KIKU3」を刷る石田了一さん(1983年)

ウォーホルとリキテンスタインらポップアートの作家たちが大成功したのは、いち早く彼らの才能を見出した大画商レオ・カステリの功績といえるでしょう。
1989年4月2日NYレオカステリと上岡麻衣子
レオ・カステリ(右)と上岡麻衣子さん
1989年4月2日NYにて
このとき亭主は息子たちと友人のお嬢さんを連れてNYを再訪、ウォーホルは亡くなっていましたがレオ・カステリは健在でした。

リキテンスタインを最初に発見したのがレオ・カステリです。
1961年夏、彼はリキテンスタインに漫画の一コマを拡大して印刷インクの網点(ドット)まで描いた作品を見せられるやいなや、即座に才能を見抜き彼を売り出すことに決めます。
ちょうど同じころ、ウォーホルも漫画を主題に制作を試みていたのですが、カステリに作品を見せるのが2週間ほど遅かった。カステリのスタッフがウォーホルに見せたリキテンスタインの漫画絵画はドットの描写によって、漫画の記号性を完璧にとらえていました。それを一目見たウォーホルは「ああ、なぜこれが思いつけなかったのだろう」と嘆きます。
「ロイがこんなに上手に漫画をやっているのだから、自分はきれいさっぱり漫画をやめて、自分が一番乗りになれる他の方向 <量と反復の方向> に進もうと決めたのです」と後に述懐しています。
それほどドット(網点)を丹念に画面に描き込んだリキテンスタインの手わざは完璧だった。

◆ときの忘れものは「ボブ・ウィロビー写真展〜オードリー&マリリン 」を開催しています。
会期:2018年4月10日[火]―4月28日[土]
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08_BWP009-Audrey-asleep-wit
ボブ・ウィロビー
《Hepburn, Audrey, 1958
Audrey asleep with Ip Pre-Production on "Green Mansions," 1958》(BWP009)

※「緑の館」
1958(Printed in 2018)
Archival Digital Pigment Print
Image size: 31.2×45.8cm
Sheet size: 40.6×50.8cm
Ed.25
クリストファー・ウィロビーによるスタンプとサインあり

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