棟方志功と瀧口修造

今日(23日)から25日までの三日間は画廊はお休みです。

今週の特集展示:駒井哲郎」は昨日終了しました。たくさんのご来場ありがとうございました。
昨日のブログでも書いた通り、埼玉近美での駒井展は10月9日までですので、まだの方はぜひ北浦和へ!

最近入手した作品をご紹介します。
20世紀を代表し国際的にも高い評価を得ている日本の画家は誰か、という問いに藤田嗣治と並び必ず挙げられるのが木版画の棟方志功でしょう。
40数年前、門外漢からいきなり美術の世界に入り、ドシロウトですね揶揄された亭主でさえ、棟方志功の名は知っていました。

方や詩人、美術評論家として大きな影響力を及ぼした瀧口修造。私たちは造型作家としての瀧口修造の再評価、顕彰に力を入れています。

この二人が、同い年だということに今回初めて気がつきました。
棟方志功は、1903年(明治36年)9月5日青森県生まれ。1975年(昭和50年)9月13日に没します。享年72。
瀧口修造は、1903年(明治36年)12月7日富山県生まれ。亡くなったのは1979年(昭和54年)7月1日でした。享年75。
数年ですが瀧口修造が長生きした。

●先ずは典型的な棟方志功の木版
munakata (2) _600棟方志功
柳緑花紅頌 松鷹の柵
1955年  木版
イメージサイズ:46.0×46.5cm
シートサイズ:59.0×56.0cm
サインあり

12点シリーズの中の一点。大原美術館にも収蔵されています。
■棟方志功(むなかた しこう)
1903年(明治36年)9月5日 - 1975年(昭和50年)9月13日)。青森生まれ。ゴッホを目指して上京、川上澄生の版画「初夏の風」を見た感激で、版画家になることを決意。第5回国画会入選を期に民芸運動に参加、仏典や日本神話などから着想を得た、土着性の強い木版画を制作し、国際的にも高く評価された。1942年以降、彼は版画を「板画」と称し、木版の特徴を生かした作品を一貫して作り続けた。
1956年ヴェネツィア・ビエンナーレに「湧然する女者達々」他を出品し、日本人として版画部門で初の国際版画大賞を受賞。1970年文化勲章を受章。

●デカルコマニーが良く知られる瀧口修造ですが、今回入手したのはかなり珍しいタイプの水彩です。
takiguchi_600瀧口修造
《-2》
1961年
紙に水彩
イメージサイズ:9.7x9.0cm
シートサイズ:12.3x9.0cm
額裏に献辞、署名・年記あり

瀧口作品でサインがあり、制作年代まで特定できるものはそう多くはありません。
ときの忘れものが刊行した図録『瀧口修造展 』(44点収録)『瀧口修造展 』(47点収録)に掲載した作品も多くは年代不詳です。
献辞(ここでは公開できませんが)の相手先も、瀧口の交友関係、1960年代のアートの動向をうかがえる貴重な情報であり、瀧口ファンにぜひお勧めの逸品です。

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※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください


◆ときの忘れものは「安藤忠雄展 ドローイングと版画」を開催します。
会期:2017年9月26日[火]〜10月21日[土] 11:00〜18:00 ※日・月・祝日休廊
201709_ando

●六本木の国立新美術館で「安藤忠雄展―挑戦―」が開催されます。
会期:2017年9月27日[水]〜12月18日[月]

ときの忘れもの・拾遺 ギャラリーコンサートのご案内第6回 秋<カラス>
日時:2017年10月3日(火)18:00〜
出演:朗読/坂本長利 やしまたろう『からす たろう』
   メゾ・ソプラノ/淡野弓子  日本の童謡と歌曲
*要予約=料金:1,000円
予約:必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記の上、メールにてお申し込みください。定員(10名)に達し次第、締切ります。
info@tokinowasuremono.com

●埼玉県立近代美術館で15年ぶりとなる「駒井哲郎 夢の散策者」展が開催されています。
会期:2017年9月12日[火]〜10月9日[月・祝]
ときの忘れものも出品協力しています。企画を担当された吉岡知子さん(同館学芸員)に<企画展「駒井哲郎 夢の散策者」に寄せて―武田光司氏のコレクション>をご寄稿いただきました。
20170911_駒井哲郎_裏


●ときの忘れものは、〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました(詳しくは6月5日及び6月16日のブログ参照)。
電話番号と営業時間が変わりました。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531 
営業時間=火曜〜土曜の平日11時〜18時。日・月・祝日は休廊。

JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
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必見! 埼玉近美の「駒井哲郎 夢の散策者」展は10月9日まで

「今週の特集展示:駒井哲郎展」本日が最終日です。
夕方6時まで開廊していますので、ぜひお運びください。
201709komai会期=2017年9月12日[火]〜9月22日[金]
※日・月・祝日休廊
駒井哲郎の版画作品、詩画集など約10点を特集展示する他、恩地孝四郎南桂子国吉康雄フォーゲラー等の版画作品をご覧いただきます。

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左から、駒井哲郎《室内》《ある風景》《花》《賀状》

komai_shitunai駒井哲郎
《室内》
1970年
銅版
18.0×13.2cm
Ed.30  サインあり
※レゾネNo.277(美術出版社)


komai_01_gansyou駒井哲郎
《岩礁》
1972年
銅版
23.5×21.0cm
Ed.35  サインあり
※レゾネNo.289(美術出版社)


komai_04_hana駒井哲郎
《花》
1965年
銅版(アクアチント)+手彩色
12.5×9.3cm
Ed.100  サインあり

こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください
ときの忘れものの通常業務は平日の火曜〜土曜日です。日曜、月曜、祝日はお問い合わせには返信できませんので、予めご了承ください。

ときの忘れものの展示は今日でおしまいですが、
埼玉県立近代美術館で「駒井哲郎 夢の散策者」展が10月9日まで開催されており、駒井ファンならずとも必見の展覧会です。
20170911_駒井哲郎
「駒井哲郎 夢の散策者」展
会期:2017年9月12日[火]〜10月9日[月・祝日]
会場:埼玉県立近代美術館
時間:10:00〜17:30 (入場は17:00まで)
休館:月曜日(10月9日は開館)

世田谷美術館(福原コレクション)、東京都現代美術館につぐ、101点からなる駒井コレクション(武田光司氏旧蔵)を所蔵する埼玉県立近代美術館ですが、今回の展示には私どももお手伝いさせていただき「芽生え」「消えかかる夢」など5点を出品しています。
町田市立国際版画美術館、うらわ美術館などからも借用し、加えて駒井が影響を受けた恩地孝四郎長谷川潔、ルドン、クレー、ミロなどの作品、駒井の遺品、プレス機も展示され、総数134点の堂々たる構成です。
密度の高い銅版画を見るなら、このくらいの点数(百三十点)がちょうどいいように思います。
埼玉でしかお目にかかれない希少な作品や、刷りの非常に良い作品が多く、点数では世田谷美術館や東京都現代美術館に及ばないもののクオリティの高さでは勝るとも劣らぬ「実力」を備えたコレクションです。おそらく良い画商さんが手伝ったのでしょう。
惜しむらくは全101点を収録したカタログが無い!
1994年(寄贈者の武田氏存命時)に『果実の受胎 駒井哲郎と現代版画家群像』という展覧会が開催され、184ページからなる資料的に重要なカタログを出したのですが、なぜか全点は収録されておらず、肝心のカラー作品がモノクロ印刷だったり、印刷自体があまり褒められたレベルではなかった。もったいないというか、宝の持ち腐れですね。
今回も会期が短い上に、カタログがないのが残念ですが、せめて全容を記録するために、出品リストを掲載します。

●埼玉県立近代美術館「駒井哲郎 夢の散策者」展出品リスト
(画面を二度クリックすると拡大されます)
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埼玉県立近代美術館の駒井コレクションについては、企画を担当された吉岡知子さん(同館学芸員)に<企画展「駒井哲郎 夢の散策者」に寄せて―武田光司氏のコレクション>をご寄稿いただきましたので、お読みください。

吉岡さんのエッセイに以下のくだりがあります。

武田氏はある放送局に勤めた後、独立を決意し、1971年に埼玉県越谷市で自転車を取り扱う会社を創業した。以後、「ホダカ株式会社」「株式会社マルキンジャパン」の代表取締役として会社を経営し、その情熱的な人生は、高杉良の小説『勇気凛々』(1998年、角川書店刊)に主人公として描かれている。武田氏が駒井哲郎の作品に初めて出会ったのは、おそらく昭和50年代のことで、岩手県盛岡市に友人を訪ねた折、たまたま開催されていた駒井の版画展を見たときであった。

05高杉良『勇気凛々』
1998年
角川書店 発行
318ページ
19.4x13.8cm


駒井オタクを自称し、駒井についてなら何でも来いと威張っていた亭主ですが、不勉強もいいとこで高杉良の小説は読んでいませんでした。猛省しております。
巻末に近い308〜312ページにかけて、駒井作品収集の経緯、埼玉県立近代美術館への寄贈についてが描かれています。
亭主が足しげく通った岩手県盛岡が出てくるので驚きました。小説とはいえ、綿密な調査をもとに書かれたと思いますが、腑に落ちない点もありました。
ほんとうは、そのあたりのことを詳しく調べ、このブログでご報告したかったのですが、歳のせいでめっきり作業のスピードが落ち、間に会いませんでした。
すいませんが今後の宿題とします。

明日23日(土曜、祝日)から25日(月曜)までの三日間は休廊です

ときの忘れもの・拾遺 ギャラリーコンサートのご案内第6回 秋<カラス>
日時:2017年10月3日(火)18:00〜
出演:朗読/坂本長利 やしまたろう『からす たろう』
   メゾ・ソプラノ/淡野弓子  日本の童謡と歌曲
*要予約=料金:1,000円
予約:必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記の上、メールにてお申し込みください。定員(10名)に達し次第、締切ります。
info@tokinowasuremono.com

●ときの忘れものは、〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました(詳しくは6月5日及び6月16日のブログ参照)。
電話番号と営業時間が変わりました。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531 
営業時間=火曜〜土曜の平日11時〜18時。日・月・祝日は休廊。

JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
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石原輝雄のエッセイ「マルセル、きみは寂しそうだ。」第3回

石原輝雄のエッセイ「マルセル、きみは寂しそうだ。」─3

『ベアトリスの手紙』

展覧会 キュレトリアル・スタディズ(12)
    泉/Fountain 1917─2017
    京都国立近代美術館4階コレクション・ギャラリー
    2017年4月19日(水)〜2018年3月11日(日)

Case-3 誰が『泉』を捨てたのか
    キュレーション 河本信治
    2017年8月9日(水)〜10月22日(日)
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MR3-01京近美4階展示室


MR3-02


MR3-03吊り下げられた『折れた腕の前に』『帽子掛け』『男性用小便器』、固定された『男性用小便器』『罠』

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先日、美術館で再現された「リチャード・マット事件」の現場に行った。そこは、デュシャンのアトリエを連想させるような空間で、壁に映ったレディメイドの不気味な影と、例の小便器が吊り下がった奇妙な不安定状態がもたらす、犯行時の闇につつまれ、天井を見上げて無防備になったわたしは、雪かきシャベルと帽子掛けのシルエットを光源との関係から確認しつつ、ずんぐりした小便器の影は「認識出来ないな」と感じながら、幾枚かの写真を撮った。二本のロープで吊り下げられた小便器には「R.Mutt 1917」のサインがある。カメラを回すと入り口側の上部に、もう一つの小便器が固定して取り付けられており、これにもサインが認められる。でも、この2点、どこかおかしい。視線を戻して暗い部屋を進むと、最奥正面に雑誌『ザ・ブラインド・マン』第2号の該当頁が複写して掛けられているではないか、美術館で時折見かける他館貸出中の表示パネルみたい。シュヴァルツ版の『泉』はどこにあるのだろう。眼が慣れてA4サイズの解説シート5枚に気がついた。どうやら、ここに再現されているのは、主役が顔を出した雑誌、会場、デュシャンのアトリエ、再制作展示と云った場面であるらしい。

MR3-04影など


MR3-05雪かきシャベル『折れた腕の前に』


 監視員を避けて部屋を左側から出ようとすると、扉が開いていて長細い物置のような空間の奥に、台座に載せた『泉』が置かれている。側面のガラスに反射しているようでもあり、容易には近づけない。先の解説シートによると「独立美術家協会展の仮設壁裏の状況を試みた」とあるが、わたしのようなデュシャンに関する生半可な知識で事件現場を回るのは、危険極まりないと改めて思った。

MR3-06『泉』シュヴァルツ版6/8と男性用小便器の影


MR3-07大西洋を越えるとピカビアとマン・レイが待っている

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 さて、今回の『泉』誕生100周年を祝う連続企画第3回のキュレーションは京近美のシュヴァルツ版購入に尽力された元・学芸課長の河本信治氏。「リチャード・マット事件」で『泉』の現物が消えた真相を聴きたいと9月2日(金)夕方からのレクチャーに参加した。
 デュシャンの知人である作曲家エドガー・ヴァレーズが交通事故にあった1916年8月30日を事件考査の開始日とし、独立美術協会展の発足、翌年4月7日の『泉』会場到着、9日の展示拒否決定、『ザ・ブラインド・マン』第2号の発行を経て、スティーグリッツが291画廊を閉鎖した7月1日までのタイムテーブルに、登場人物の役割を当てはめながら「誰が『泉』を捨てたのか」の核心に迫って行った。──と書きたいところだが、最新研究を踏まえた調書も、主犯がマルセル・デュシャンとなると、もともと事件があったのか否かといったところまで、論を戻す必要もあって、困惑すると云うか、興奮してしまった。現代美術のイコンとして崇められる(?) スティーグリッツが撮影し雑誌に掲載された『泉』が、実際に会場へ持ち込まれ、一瞬「観ることが出来る状態で彫刻台の上に置かれていた」現物だったのか? 現物だったとしても、照明やカメラアングルの他に映像を加工しているといった指摘もあるらしい。その為に、「写真を最重要資料」として再現した「三次元的レプリカ」のシュヴァルツ版は、現物から乖離しているのではないか? スティーグリッツが用いたカメラの機構やレンズの性質をわたしは知らないので、判断を保留するけど、最新の画像解析技術が真実に近づくとは、とても思えない。いや、思いたくない。もちろん、購入されたとするパナマモデルの画像よりもシャープな形状になっているとは認めるけど。これにも、「背面が平らなベッドフォードシャー型」と云う研究があったりして、ややこしい。河本氏の解説とこちらの思考が入り乱れてしまった。氏は小便器複数説によって「グランド・セントラル・パレスでのアンデパンダン展会場仮設壁裏より消失」「デュシャンが回収後、アレンズバーグが紛失」「スティーグリッツが撮影後、ギャラリー291閉廊時に紛失」と云う3場面を解き明かしてくれた。これは、推理小説、2時間ドラマの世界。前2回同様に、レクチャーの内容が文字化されることを期待したい。でも、手にしたら「デュシャンピアン病」が発症するかしら、こちらは「マン・レイ狂い病」だから、合併症はいやなんだけど(笑)。
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MR3-08

 
MR3-09モダン・ギャラリー開設案内(左)とアルフレッド・スティーグリッツの肖像


MR3-10


 4階の常設展示室に戻った。犯行現場の闇はずいぶん明るくなっている。改めて雑誌『ザ・ブラインド・マン』第2号とイモジェン・カニンガムが撮ったスティーグリッツの肖像写真、モダン・ギャラリーの開設案内の前に立った。100年前の真相に迫る困難と「時限解除鍵」を手に出来る世代の楽しみを感じた。マン・レイは独立美術家協会展に油彩『魂の劇場』(後に『女綱渡り芸人はその影を伴う』と改題)を出品(会期中に「リチャード・マット事件」に抗議して取り下げたとも言われる)したが『自伝』(1963年)によると、スティーグリッツが作品の前で「まるで何か振動しているみたいだ、本当にほとんど眼もくらむばかりだ」(千葉成夫訳)と言ってくれたと誇らしげに書いている。事件の共謀者ではあったが、ルイーズ・ノートンと共に後から参加した扱いで、彼の役割が何だったかは判らない。マン・レイが撮った『泉』の写真が現れたら、世紀のニュースになるのだけど、それまで、生きているかしら(ハハ)
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MR3-11『帽子掛け』、『帽子掛け』の影、『罠』


MR3-12上部にシドニー・ジャニス版『泉』を模した男性用小便器

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 今回のCase-3では、京近美が2016年度に購入したマン・レイの2作品が初公開された。『糊の時代』は、日本で大規模な回顧展が最初に催された1984年に招来したコラージュで、机上を掃除する家政婦を助ける抜群の一品。1935年作のオリジナルはイギリスにあるはずだが、本作は1970年のレプリカ3点の内の3/3。もう1点は『自画像』で、こちらは「リチャード・マット事件」の時代に近い。原作は失われたと云うが1916年12月のダニエル画廊での第2回個展に出品されたもので、「もの笑いの種になった」「純粋な発明品」。これも『自伝』によると「黒とアルミ色の地のうえに電気のベルふたつと本物の押しボタンを取付けたものだった。中央部分には、手を絵の具のパレットに付けてその手形を署名みたいに記してあるだけだった。ボタンを押してみた人は、ベルが鳴らないのでがっかりした。」マン・レイは「創造において観客も積極的な役割をになうことを望んでいただけである。」(千葉成夫訳)としている。デュシャンの考えにつながる部分もあるが、マン・レイは気楽で楽しい。尚、本作は1970年にジョルジュ・ビザが版元となってアクリル版にシルクスクリーンで刷った再制作品で限定40部の内の21/40。ボタンもベルもイメージになってしまって、現在では美しいばかり、その為に長い引用となった、お許しいただきたい。加えて2点とも近年のデンマークやスウェーデンでの回顧展に登場していた事を報告しておきたい。

MR3-13マン・レイ作品3点、左から『糊の時代』『アングルのヴァイオリン』『自画像』


 事件現場から、フランシス・ピカビアの「機械的構図」「アストロラーブ」、マン・レイの「アングルのヴァイオリン」を加えた3点が掛けられた壁面との間は、大西洋が横たわるように輝いて広い。ニューヨークの短いスキャンダルの時代は、第1次世界大戦の終結と共に終わったように思う。「誰が『泉』を捨てたのか」の問は、犯人探しであるよりも、権威に対する反抗が、後年、小便器に謎を纏わせイコン化させる戦術で補強されたと、考えたい。それにしても、「現場」は美術館の展示室。京近美が1987年に「政府の貿易摩擦解消緊急経済対策の一環」として、『泉』を含むシュヴァルツ版のレディメイド13点を約1億円で購入した後、展示室のガラスケースに『折れた腕の前に』と並んで、台座の上に『泉』が置かれていた情景をわたしは思い出す(当時は「常設展示室7」と呼ばれていた。美術館ニュース『視る』259号参照)。その後、展示室は改装され、ガラスケースは展示壁に覆われた。あの時の『泉』が、90度向きを変えて仮設壁裏からわたしたちを見ていると思えてならない。今回の展示が終わって扉が閉ざされた後、『泉』の亡霊に怯えて展示室に入る姿を今から想像してしまった。---除霊しなければ。
 それで思ったのだが、デュシャンのアトリエ写真(1917年頃)から再現した小便器とシドニー・ジャニス画廊の出入り口上部に掲げた(1953年)小便器を模した2点は「誰が捨てるのだろう」、機会があったら「R.Mutt 1917」のサイン・シートを貼った方に尋ねてみたい。河本氏の話では、再現に用いた壁掛小便器は常滑市のジャニス工業の製品(U120BW1)で「シドニー・ジャニス版とシュヴァルツ版の折衷的な」形状だと云う。同品をネット検索したら1点1万円だった。デュシャンピアンの方なら注文されるでしょうね。──愛する小便器との生活、愛欲に溺れないようご注意下さい。

MR3-14ニューヨークのスタジオで吊るされた状態の『泉』を模した男性用小便器

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MR3-15『ザ・ブラインド・マン』第2号他


 京近美の『ザ・ブラインド・マン』第2号と1988年に対面した時は、ガラスケース越しだったが、今回の連続企画第1回の折に冊子仕様のコピーが配布されたので、今、それを手にしている。紙モノ好きには、こちらの魅力も捨てがたい。率直な感想を述べればアンリ=ピエール・ロシェ(37歳)、マルセル・デュシャン(29歳)、ベアトリス・ウッド(24歳)による男女の三角関係から生まれた雑誌と言ってもよいように思う。『泉』のスキャンダルを全面に押し出し、進歩的な女性による女性賛歌と、そこに取り込まれコケにされた「理想主義的急進主義者」のスティーグリッツ。悪ふざけは、それとして、別のところに書いているベアトリスのエッセイ「マルセル」(雑誌『アールヴィヴァン』第31号特集=ニューヨーク・ダダに収録)を読んで、わたしは青春の悲しみに涙した。彼女は愛するデュシャンの印象について「顔の上半分は生きていて、下半分は死んでいる状態を多くのひとが目撃している。若い頃にことばにはできない程のトラウマを被ったひとのようだった。」(矢内みどり訳)と書いている。わたしたちは、それぞれにトラウマを抱えて大人になって行くけれど、「意味のないことだよ」とマルセルのようには言えないのである。
 外に出ると月明かり。コレクターとしての人生は、ほとんど終わってしまって、意味を付け加えようとする余生ばかりが、暗く立ち込めている。やはり、今宵も一杯やりたいな。わたしのベアトリスは手紙を書いてくれるのだろうか?

MR3-16岡崎公園


続く

いしはら てるお

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「キュレトリアル・スタディズ12:泉/Fountain 1917−2017」
会期:2017年4月19日[水]〜2018年3月11日[日]
会場:京都国立近代美術館 4F コレクション・ギャラリー内
時間:9:30〜17:00(入館は16:30まで)
   ※毎週金曜・土曜9:30〜20:00(入館は19:30まで)
休館:月曜(月曜日が休日に当たる場合は、翌日が休館)、及び年末・年始
   ※展示替期間:2017年6月13日(火)、8月8日(火)、10月24日(火)
企画:平芳幸浩(京都工芸繊維大学美術工芸資料館准教授)、牧口千夏(当館主任研究員)

1917年にマルセル・デュシャンによって「制作」されたレディメイド作品《泉》は、20世紀美術にもっとも影響を与えた作品として知られています。また1960年代のコンセプチュアル・アート以降、デュシャンの《泉》を解釈・解読すること自体が創作行為にもなっています。2017年4月に《泉》が100周年を迎えるにあたって企画されたこのプログラムでは、当館の所蔵作品だけでなく現代の美術家によるデュシャン解読の作例を加え、各回展示替えをしながら本作品の再制作版(1964)を1年間展示するとともに、さまざまなゲストを迎えて《泉》およびデュシャンをめぐるレクチャーシリーズを開催します。

●Case 3: 誰が《泉》を捨てたのか
2017年8月9日(水)〜10月22日(日)
キュレーション・講師: 河本信治(元・当館学芸課長)
レクチャー:9月2日(土)午後6時〜7時30分
会場:京都国立近代美術館 1階講堂
※先着100名、聴講無料、要観覧券、当日午後5時より1階インフォメーションにて整理券を配布します。

下記は、詳細が決まり次第当ページにてお知らせします。
●Case 4 
2017年10月25日(水)〜12月24日(日)

●Case 5
2018年1月5日(金)〜3月11日(日)
(京都国立近代美術館HPより転載)

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●今日のお勧め作品は、マン・レイです。
20170921_ray_06_portrait_kaoマン・レイ 
"顔"(『ファースト・ステップス』より)
1920年撮影(1971年制作)
ゼラチン・シルバー・プリント
イメージサイズ:25.2×14.2cm
シートサイズ:25.2×14.2cm
限定8部
裏面にスタンプあり


こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
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ときの忘れものの通常業務は平日の火曜〜土曜日です。日曜、月曜、祝日はお問い合わせには返信できませんので、予めご了承ください。

◆ときの忘れものは「今週の特集展示:駒井哲郎展」を開催しています。
明日が最終日ですので、どうぞお見逃しなく。夕方6時まで開廊しています。
201709komai会期=2017年9月12日[火]〜9月22日[金]
※日・月・祝日休廊
駒井哲郎の版画作品、詩画集など約10点を特集展示する他、恩地孝四郎南桂子国吉康雄フォーゲラー等の版画作品をご覧いただきます。

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左から、駒井哲郎《室内》《ある風景》《花》《賀状》

埼玉県立近代美術館では15年ぶりとなる「駒井哲郎 夢の散策者」展が開催されています。
会期:2017年9月12日[火]〜10月9日[月・祝]
企画を担当された吉岡知子さん(同館学芸員)のエッセイ<企画展「駒井哲郎 夢の散策者」に寄せて―武田光司氏のコレクション>をお読みください。
20170911_駒井哲郎_裏

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ときの忘れもの・拾遺 ギャラリーコンサートのご案内第6回 秋<カラス>
日時:2017年10月3日(火)18:00〜
出演:朗読/坂本長利 やしまたろう『からす たろう』
   メゾ・ソプラノ/淡野弓子  日本の童謡と歌曲
*要予約=料金:1,000円
予約:必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記の上、メールにてお申し込みください。定員(10名)に達し次第、締切ります。
info@tokinowasuremono.com

●ときの忘れものは、〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました(詳しくは6月5日及び6月16日のブログ参照)。
電話番号と営業時間が変わりました。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531 
営業時間=火曜〜土曜の平日11時〜18時。日・月・祝日は休廊。

JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
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清家克久のエッセイ「瀧口修造を求めて」第7回

清家克久のエッセイ「瀧口修造を求めて」第7回

 宇和島市在住の画家で戦前にシュルレアリスムの影響を受け、瀧口とも交流のあった三輪田俊助先生に当時のお話を伺いたいと思い、初めてご自宅を訪ねたのは1980年代中頃のことだったと記憶する。道路に面した生垣、奥の玄関へ続く煉瓦を敷いた通路脇の植込みや中庭の佇まいに植物を愛する画家のまなざしを感じた。

01三輪田先生の家


01-2中庭


01-3三輪田俊助先生(1997年回顧展カタログより)


 アトリエに入ると正面の大きな掛時計が目に付くが、昔測候所で使われていたものだそうである。描きかけの絵やモティーフとなる静物の類が所狭しと置かれ、ここで画家は日々思索を重ねながら制作されているのだろう。

02アトリエ


03同上


04同上


 この訪問がきっかけとなり度々お宅にお邪魔するようになったが、先生はいつも旺盛な好奇心と探求心に溢れ、お話し好きで瀧口修造のイメージと重なるようなところがあった。控えめで寄り添うようにしておられる奥様も瀧口夫人に似通った印象のある方だった。愛媛の洋画家を代表する一人であり、度々宇和島に取材に訪れた小説家の司馬遼太郎とも交流があった。司馬遼太郎は「街道をゆく」のなかで、三輪田先生が史跡である城山に市が武道館建設を計画していることを知り、「城山の緑を守る会」を立ち上げて反対運動をした経緯について書いている。また、庶民の視点で戦争の悲惨さを後世に伝える「宇和島の空襲を記録する会」の冊子に毎回表紙絵と挿絵の提供をされていることも先生の人間性の一面を伝えるものである。

05司馬遼太郎「街道をゆく」(朝日文芸文庫版)


06城山と「緑を守る会」マイクの前に立つ三輪田先生(季刊えひめ)


07「宇和島の空襲」表紙絵


 三輪田先生は1913年に宇和島和霊神社の宮司の二男として生まれ、國學院大学に進学するが、洋画家で水彩画家として知られた中西利雄と偶然の出会いから親しくなり、絵に興味を持つようになった。いきなり日本水彩画展に出品して入選し、猪熊弦一郎の研究会に参加したり川端画塾でデッサンを学ぶようになり、遂には親に無断で1935年に帝国美術学校(現武蔵野美術大学)に転入学するが、徴兵のこともあり「画家になりたい、というよりもそこへ行くよりほか、もう行き場がないといった追いつめられた気持ちだった。」と当時を述懐している。
自由な校風のなかで新しい芸術思潮であるシュルレアリスムに魅かれ、1937年に学友の浜田浜雄ら6人でグループを結成する。翌年の5月頃からほぼ月に一回瀧口修造を招いて批評会を行い、12月に「繪畫」第一回展を銀座の紀伊国屋画廊で開催した。瀧口が第一回展評を「アトリエ」に発表するが、その中で「二、三を除いてダリのエピデミックな影響はよいにつけ悪いにつけ考えさせられた。」と評される。

08グループ「繪畫」のメンバー(左より浜田浜雄・石井新三郎・武内秀太郎・三輪田俊助・田中素生・田中坦三)


09「繪畫」第1回展ポスター(左)


10「繪畫」第1回展評と浜田浜雄作品(日本のシュールレアリスム展カタログより)


 しかし、意外にも瀧口から「君の絵はルネ・マグリットのようだ。」と言われたそうである。たしかに大地に屹立する大きな蝶を描いた「風景」と題する作品は、「だまし絵」のように見える。蝶の翅は朽ちた葉であり、胴体は蓑のようで、左前方に落ちている翅の破片はまるで飛行機の残骸を想わせる。本人は、「アトリエから見た吉祥寺の景色に、ここに偶然蝶を置いたらどうなるだろうという発想。背景は常に身辺的風景ですが、非合理的な世界をきちっと見せたいという気持ちでした。」と語っている。この作品は「急速に戦時体制へと傾斜していく時代のなかで抑圧され、傷ついていく前衛美術そのものを象徴しているかにみえる。」(大熊敏之「日本超現実主義絵画にみる蝶と貝のモティーフ」蝶の夢・貝の幻1927〜1951展・三岸好太郎北海道立美術館1989年)と評されるなど、日本のシュルレアリスムの代表的な作品としてしばしば取り上げられることになる。

11三輪田俊助「風景」(蝶の夢・貝の幻展カタログより)


12同上カタログ


13「東京モンパルナスとシュールレアリスム展」カタログ


14同上カタログより


 「繪畫」としての活動は1940年6月の第四回展をもって終わり、やがてグループも解散するが、1941年6月には杉並署に拘留されていた瀧口のもとへ仲間の浜田、立川と一緒にお金を出し合って果物の差入れをしたこともあったという。卒業後は「旬刊美術新報」の編集の仕事に就くが、1942年に応召され徳島連隊で三年間を過ごし終戦を迎える。

15「繪畫」第4回展リーフレット


16旬刊美術新報


 帰郷したものの空襲で家は焼け跡となり、そこにバラック小屋を建て父母と一緒に自給自足に近い生活を送っていた頃、知人から貰った油絵具で拾ったタイルに描いたのが「少女像」だった。わずか15センチ四方の小品だが、市井の人々の復興に向けた暮らしをバックに純真な眼差しの少女の凛とした姿が胸を打つ。また、宇和島の「城山」を描いた作品はまさに「国破れて山河在り」を象徴しており、画家としての新たな出発を告げる重要な作品となった。

17「少女像」1946年作(三輪田俊助展カタログより)


18「城山」1946年作(同上)


 戦後は中学校教員として勤務する傍ら、中央画壇や公募展とは一線を画し「愛媛現代美術家集団」や「シコロ」など革新的なグループを結成し、地方での活動が中心となるが、1964年に銀座のサエグサ画廊で行った個展では、現代画廊を経営し「気まぐれ美術館」の著者で友人でもある洲之内徹が「美しい白と青」と題して展評(愛媛新聞)を寄せ、「仕事のほうはすこしも中央との距離やずれを感じさせない。」と書かれたことが励みになったという。「戯れ」「白い部屋」などの作品には抽象表現主義の影響も見られ、常に新しい表現を追求していたことが伺える。

19「戯れ」1964年作(三輪田俊助展カタログより


20「白い部屋」1964年作(同上)


 その二十年後の1984年には美術評論家の坂崎乙郎の紹介で東京新宿の紀伊国屋画廊で新旧の作品による個展を行っている。

21三輪田俊助展リーフレット(1984年)


22同上


23「高窓の家」1963年作(三輪田俊助展カタログより)


24「廃園にてA」1982年頃作(同上)


 1997年にはそれまでの画業の集大成として、町立久万美術館で回顧展が開催されることになった。そのカタログに先生の盟友である浜田浜雄さんやシュルレアリスム研究家で板橋区立美術館主任学芸員(当時)の尾崎眞人さんらと共に私が寄稿させていただくことになったのは、先生と松岡義太館長(当時)の強いお勧めがあったからである。

25三輪田俊助回顧展パンフレット


26同展カタログ表紙「植物のかげE」1989年作


 そして、展覧会の感想のつもりで書いた文章を先生が愛媛新聞社に紹介し、それが展評として掲載されることになったのである。そのなかで私が言いたかったのは、先生が一貫してシュルレアリスムの精神を持った画家であり、単に「土着の画家」と呼ばれることに異を唱え、優れた画家は住む場所がどこであれ、自然や人間の営みのなかに潜む宝(本質)を見出し、普遍性に達する表現ができるということだった。先生自身も画業を振り返って「風景と自分との関係性というか、無意識の世界を引き出して行く感じです。それはつまり、シュールレアリスムの発想。要するに六十年たって、手法は違うけど、らせん階段を上がるように元のシュールに戻って来たんだね。」と語っている。

27三輪田俊助回顧展評(愛媛新聞)


 2012年には松山市のミウラート・ヴィレッジで「ふるさとを愛した画家三輪田俊助展」が開催され、先生はそれから三年後の2015年5月30日に百一歳の天寿を全うされたが、百歳を超えてもなお、絵筆をとっておられたそうである。

28三輪田俊助展パンフレットより「船影」2012年制作


※三輪田先生の経歴と言葉は主に1997年2月に愛媛新聞紙上に4回に分けて連載された「三輪田俊助が語る〜時代の風景・心の光景」を参考にさせていただいた。

せいけ かつひさ

■清家克久 Katsuhisa SEIKE
1950年 愛媛県に生まれる。

●今日のお勧め作品は、瀧口修造です。
20170920_takiguchi2014_I_16瀧口修造
《I-16》
インク、紙(郵便はがき)
イメージサイズ:14.1×10.2cm
シートサイズ :14.1×10.2cm

こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください

◆ときの忘れものは「今週の特集展示:駒井哲郎展」を開催しています。
201709komai
会期=2017年9月12日[火]〜9月22日[金]
※日・月・祝日休廊
駒井哲郎の版画作品、詩画集など約10点を特集展示する他、恩地孝四郎南桂子国吉康雄フォーゲラー等の版画作品をご覧いただきます。

07

埼玉県立近代美術館では15年ぶりとなる「駒井哲郎 夢の散策者」展が開催されています。
会期:2017年9月12日[火]〜10月9日[月・祝]
企画を担当された吉岡知子さん(同館学芸員)のエッセイ<企画展「駒井哲郎 夢の散策者」に寄せて―武田光司氏のコレクション>をお読みください。
20170911_駒井哲郎_裏


●ときの忘れものは、〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました(詳しくは6月5日及び6月16日のブログ参照)。
電話番号と営業時間が変わりました。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531 
営業時間=火曜〜土曜の平日11時〜18時。日・月・祝日は休廊。

JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
12

◆ときの忘れもののブログは下記の皆さんのエッセイを連載しています。
 ・大竹昭子のエッセイ「迷走写真館 一枚の写真に目を凝らす」は毎月1日の更新です。
 ・frgmメンバーによるエッセイ「ルリユール 書物への偏愛」は毎月3日の更新です。
 ・小国貴司のエッセイ「かけだし本屋・駒込日記」は毎月5日の更新です。
 ・佐藤研吾のエッセイ「大地について―インドから建築を考える―」は毎月7日の更新です。
 ・杉山幸一郎のエッセイ「幸せにみちたくうかんを求めて」は毎月10日の更新です。
 ・関根伸夫のエッセイ「〈発想〉について[再録]」は毎月12日の更新です。
 ・野口琢郎のエッセイ「京都西陣から」は毎月15日の更新です。
 ・倉方俊輔のエッセイ「『悪』のコルビュジエ」は毎月17日の更新です。
 ・小林紀晴のエッセイ「山の記憶」は毎月19日の更新です。
 ・清家克久のエッセイ「瀧口修造を求めて」は毎月20日の更新です。
 ・小林美香のエッセイ「写真集と絵本のブックレビュー」は毎月25日の更新です。
 ・スタッフSの「海外ネットサーフィン」は毎月26日の更新です。
 ・森本悟郎のエッセイ「その後」は毎月28日の更新です。
 ・笹沼俊樹のエッセイ「現代美術コレクターの独り言」はしばらく休載します。
 ・大野幸のエッセイ<ときの忘れもの・拾遺 ギャラリーコンサート>は随時更新します。
 ・植田実のエッセイ「美術展のおこぼれ」は、更新は随時行います。
  同じく植田実のエッセイ「生きているTATEMONO 松本竣介を読む」と合わせお読みください。
  「本との関係」などのエッセイのバックナンバーはコチラです。
 ・中村茉貴のエッセイ「美術館に瑛九を観に行く」は随時更新します。
 ・飯沢耕太郎のエッセイ「日本の写真家たち」英文版とともに随時更新します。
 ・深野一朗のエッセイは随時更新します。
 ・「久保エディション」(現代版画のパトロン久保貞次郎)は随時更新します。
 ・藤本貴子のエッセイ「建築圏外通信」は終了しました。
 ・森下隆のエッセイ「鎌鼬美術館——秋田県羽後町田代に開館」は終了しました。
 ・芳賀言太郎のエッセイ「El Camino(エル・カミーノ) 僕が歩いた1600km」は終了しました。
 ・夜野悠のエッセイ「書斎の漂流物」は終了しました。
 ・普後均のエッセイ「写真という海」は終了しました。
 ・八束はじめ・彦坂裕のエッセイ「建築家のドローイング」(再録)は終了しました。
 ・光嶋裕介のエッセイ「和紙に挑む」は終了しました。
 ・石原輝雄のエッセイ「マン・レイへの写真日記」は終了しました(時々番外編あり)。
 ・荒井由泰のエッセイ「いとしの国ブータン紀行」は終了しました。
 ・森下泰輔のエッセイ「戦後・現代美術事件簿」は終了しました。
 ・「殿敷侃の遺したもの」はゆかりの方々のエッセイや資料を随時紹介します。
 ・「オノサト・トシノブの世界」は円を描き続けた作家の生涯と作品を関係資料や評論によって紹介します。
 ・「瀧口修造の世界」は造形作家としての瀧口の軌跡と作品をテキストや資料によって紹介します。
土渕信彦のエッセイ「瀧口修造とマルセル・デュシャン」、「瀧口修造の箱舟」と合わせてお読みください。
 ・「関根伸夫ともの派」はロスアンゼルスで制作を続ける関根伸夫と「もの派」について作品や資料によって紹介します。
 ・「現代版画センターの記録」は随時更新します。
今までのバックナンバーの一部はホームページに転載しています。

小林紀晴のエッセイ「山の記憶」 第18回(最終回)

小林紀晴のエッセイ「山の記憶」 第18回(最終回)

最終回

 改めて、なぜ自分は冬枯れした山や植物に惹かれるのかを考えてみる。連載の第一回で「私は冬の山が好きで嫌いだ」と書いたがその思いに嘘はなく、今もその感覚を抱き続けている。きっとこの先、年齢を重ねても同じだろう。
 一方で、頭の片隅では真逆の季節のことをちらほらと考えているのも事実だ。何故なら、冬枯れした植物のあの絡みつきや、薮といったものは夏の間に形成されるからだ。
 実はまだ一度も発表したことはないのだが、一時、同じ場所で夏の山も撮っていた。まさに盛夏という季節に発情するがごとく木々に絡みつく夏草の葉やツルといったものを。
 それらは巨大な木々を縛り上げるかのようで、どこかエロティックでもある。夏が過ぎれば、絡みつく夏草は次第にその力を失い、死へ向かう。そして抜け殻のように力尽きた残骸。
 ここには明らかに対極がある。コントラストがある。だからこそ、お互いが輝くのか。存在に意味を見つけることができるのか・・・・そんなことを改めて考えていた。
 エロティシズムとタナトス。
 このふたつの言葉にやはり行き着くのか。
 使い古されたほどに、これらの言葉は同時に用いられることが多いが、やはり真理があるからだろう。私は冬枯れした森を歩きながら、この二つのことを無意識のうちに感じていたのだろうか。だから「好きで嫌い」なのだろうか。
 同じく連載の第一回で「端的にいえば、死の匂いということになる」と記したことを思い出す。

01小林紀晴
「Winter 15」
2015年撮影
ゼラチンシルバープリント
16x20inch
Ed.20


 この連載も18回目となります。一度だけ休載させていただいたので、1年と7ヶ月ほどの間、お付き合いいただきました。今回でこの「山の記憶」の連載は終了とさせていただきます。長い間、ありがとうございます。読んでいただいた方々にはこの場をお借りして、お礼申し上げます。
 来月から、新たに写真をメインとした東京の植物の連載をやらせていただきます。果たして山の植物ではなく、都会の植物とは・・・・・。
こばやし きせい

小林紀晴 Kisei KOBAYASHI(1968-)
1968年長野県生まれ。
東京工芸大学短期大学部写真科卒業。
新聞社カメラマンを経て、1991年よりフリーランスフォトグラファーとして独立。1997年に「ASIAN JAPANES」でデビュー。1997年「DAYS ASIA》で日本写真協会新人賞受賞。2000年12月 2002年1月、ニューヨーク滞在。
雑誌、広告、TVCF、小説執筆などボーダレスに活動中。写真集に、「homeland」、「Days New york」、「SUWA」、「はなはねに」などがある。他に、「ASIA ROAD」、「写真学生」、「父の感触」、「十七歳」など著書多数。

●本日のお勧め作品は、ロベール・ドアノーです。
20170910_doisneau_06_Un-regard-obliqueロベール・ドアノー
"Un regard oblique"
斜めの視線
1948年撮影(1978年プリント)
ゼラチンシルバープリント
イメージサイズ:33.5x37.7cm
シートサイズ:50.7x60.8cm


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◆ときの忘れものは「今週の特集展示:駒井哲郎展」を開催しています。
201709komai
会期=2017年9月12日[火]〜9月22日[金]
※日・月・祝日休廊
駒井哲郎の版画作品、詩画集など約10点を特集展示する他、恩地孝四郎南桂子国吉康雄フォーゲラー等の版画作品をご覧いただきます。

06
2階:手前から
駒井哲郎《藝大カレンダーより 》
駒井哲郎《蛇》(試刷り)

埼玉県立近代美術館では15年ぶりとなる「駒井哲郎 夢の散策者」展が開催されています。
会期:2017年9月12日[火]〜10月9日[月・祝]
企画を担当された吉岡知子さん(同館学芸員)のエッセイ<企画展「駒井哲郎 夢の散策者」に寄せて―武田光司氏のコレクション>をお読みください。
20170911_駒井哲郎_裏

〜〜〜〜〜

ときの忘れもの・拾遺 ギャラリーコンサートのご案内第6回 秋<カラス>
日時:2017年10月3日(火)18:00〜
出演:朗読/坂本長利 やしまたろう『からす たろう』
   メゾ・ソプラノ/淡野弓子  日本の童謡と歌曲
*要予約=料金:1,000円
予約:必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記の上、メールにてお申し込みください。定員(10名)に達し次第、締切ります。
info@tokinowasuremono.com

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JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
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松岡剛「殿敷侃展とその後(2)」

殿敷侃展とその後(2)

松岡剛
(広島市現代美術館学芸員)

 殿敷侃の多様な創作に見出せる一貫性を要約するならば、原爆によって無残に踏みにじられた人間の生や、社会の流れのなかで忘れ去られ蔑ろにされた存在を人々の意識に上らせることで、それらの存在に報いようとするものだった、と言えるのではないでしょうか。広島市現代美術館での殿敷侃展では、彼の創作全般を指し示すキーワードとして彼自身による「逆流」という言葉を用い、サブタイトルを「逆流の生まれるところ」としたのでした。
 前回の末尾で触れましたように、殿敷侃の活動をあらためて見返したとき、彼の周りには、様々な面で彼をサポートした人々が常に存在していたことを認識させられます。とりわけ、長門の地で地元の人々と過ごした日常は彼の問題意識や、制作のテーマにも影響を及ぼしたに違いありません。晩年近くに行った野外プロジェクトには、多数の地元住民の協力を得て実現したものがあります。とりわけ《山口―日本海―二位ノ浜、お好み焼き》(1987)では、多数の人々による参加そのものが主要なテーマとなっています。

1《山口―日本海―二位ノ浜、お好み焼き》1987年
二位ノ浜(長門市)での制作風景
(撮影:読売新聞社)


 また、86年以降、東京の画廊や美術館で廃棄物を用いたインスタレーションを発表するようになりました。たとえば、《森と漂流物が愛し合った時》(板橋区立美術館、1991)で、展示空間に介入させたのは、廃棄物としてだけでなく、東京という中央に対する地方という存在としての異物でもあります。実際彼は、これらの漂流物を長門の海岸で地元住民とともに拾い集め、東京へ送り込んだのでした。それは、主要都市との非対称な関係において、地方の自然や共同体が蔑ろにされる状況の告発であり、いわば地方から都会へと差し向けられた逆流であった訳です。
 今回の展覧会を開催するということは、殿敷侃の生涯はもちろんのこと、彼が作品のテーマとして主題化し報いようとした多くの人々、そして彼の制作を支えた周囲の人々の生に応じることであるように感じられたのでした。

2《BARRICADE IWAKI》1988年
いわき市立美術館での展示風景

3《椰子の実のためのバリケード》1987年
かねこアートG1(東京)での展示風景
(撮影:常葉雅人)

4《対峙する墓標》1991年
水戸芸術館現代美術ギャラリーでの展示風景
(撮影:佐藤毅

 一方で彼の挑発行為は、既存の制度に支えられつつ再生産する場としての美術館へ向けられたものでもありました。荒々しい素材や、展示空間に収まりきらないスケールばかりでなく、再展示・再構成の極めて困難なその特性によって、作家不在の状況では作品そのものを再び提示することが不可能にさえ思えます。そのため、晩年の殿敷の活動は、展覧会を構成する上で、大きな課題を突きつけるものでした。彼の作品がキャリア全体を通じた展開のなかで、よりダイナミックなものへとなっていき、一連のインスタレーションはその最終局面を示しています。そのため、当時の展示を彷彿とさせる臨場感を提示したい、という欲求にかられます。とはいえ、本展においては、オリジナルに忠実であることを担保できない再構成や、臨場感を過度に演出した展示を控えることとしました。それは、現物としての作品が残されていない状況にあって、次第に曖昧なものとなってしまう「殿敷が残したもの」の輪郭をまずは一度整理することを最優先事項に据えたからです。そして、おそらくは当人も想定していたであろう、主要な作品の不在という状況をまずは受け入れることが、殿敷の挑戦に報いることであると考えました。
 その結果、展覧会前半と後半とを比較すると、「作品」と「資料」との関係が逆転したようになっています。つまり、絵画や版画を中心とした時代においては、残された作品群が主要な展示物として存在し、記録写真や手記といった資料は作品を鑑賞する際の補足として機能しています。一方、現物としての作品があまり残されていない晩年の表現活動に関しては記録や関連資料しかありません。「作品」として展示されているのは、比較的小さな(それ故に今日まで残されてきた)例外的なものに限られます。それらは、より大規模で主要な作品が記録として提示される(ほかない)状況を補完しているかのようです。
 こうした過程を経て初めて、殿敷のプロジェクトを同時代に体験できなかった人々を含む多くの者に、その活動について語り、検証する地平を開くことができるのではないでしょうか。こうしたことは、前半から中期にかけての絵画や版画作品に関して言えば、作品が安定的に残り、保存されていく状況の確保ということに置き換えられます。今回の展覧会開催をひとつのきっかけとして、複数の美術館が殿敷作品の収蔵を検討されています。これらの作品が各地の美術館のコレクションに加えられ、持続的に作品が残り、時代を超えて鑑賞され続ける可能性を得たことはたいへん喜ばしいことです。

5「殿敷侃:逆流の生まれるところ」会場風景
広島市現代美術館


6


7


 今回の展覧会を準備するにあたって、作家がアトリエに残した作品・資料は言うに及ばず、制作協力者、美術関係者、ジャーナリストなど、多くの人々の手許にもインスタレーションの記録写真、映像、それに掲載記事から手記など、膨大な資料の存在を確認し、活用することができました。それらを重ね合わせ、補い合わせることで浮かび上がる全体像が展覧会の基礎を形作っています。これらは現在まで、主に個人によって保管されてきたものでした。私たちの調査が一定の成果を伴うものであったとすれば、それは第一にこれらの情報を集約させたことにあるのだと思います。殿敷という作家について、今後も作品の展示や調査研究の機会が持たれ、さらに踏み込んだ議論が繰り広げられることとなれば、本展に携わった者として、これに勝る喜びはありません。展覧会の終了とともに別の業務に追われ、未だその最中ではありますが、今後の研究者に対して、私たちが作家について得たすべての情報を提供する準備を整えておかなくてはならないと考えています。

8タイトル不明、1986年頃、ミクストメディア


まつおか たけし

■松岡剛 Takeshi MATSUOKA
1975年大阪府生まれ。大阪大学文学部卒。1998年より広島市現代美術館学芸員。「HEAVEN:都築響一と巡る社会の窓から見たニッポン」(2010年)「路上と観察をめぐる表現史」(2013年)「赤瀬川原平の芸術原論展」(共同企画、2014-15年)「ライフ=ワーク」(2015年)「殿敷侃:逆流の生まれるところ」(2017年)などを企画。

*画廊亭主敬白
今春、広島市現代美術館で開催された「殿敷侃:逆流の生まれるところ」(会期:2017年3月18日〜5月21日)について、担当された松岡剛先生に二回にわたり「殿敷侃展とその後」を書いていただきました(9月13日ブログ参照)。
亭主も商売柄、美術館の企画展の裏側を少しはのぞいてきました。何年もかけて組み立てた展覧会ももちろんありますが、日本の行政の単年度予算の性質上、多くは短期決戦にならざるを得ない。そうでなくても日々の雑用に追われる学芸員たちの涙ぐましい努力によって一年足らずの間に組み立てられ、作品集め、展示構成、カタログ編集が同時進行する。入場者を増やすためにしなくてもいい苦労を重ねる。開幕にこぎつけたときは精根尽き果てて・・・・
欧米だと、それからが勝負。会期中にあった様々な反響を整理し、展覧会では実現できなかったこと、積み残した課題を次のステップにする。担当したキューレーターはその業績によって評価され、さらに上を目指す。
日本の「やりっぱなし」はいかにももったいないし、学芸員たちの蓄積にもならない。鑑賞者にとっても「見て終わり」ではなく、受けた感動をさらに深める努力が必要ではないか。亭主の商売でいえば、美術館での展示成果を、市場での評価につなげる努力が求められる。そんな思いを託して原稿執筆を依頼した次第です。
お忙しい中、ご執筆いただいた松岡先生に心より感謝いたします。ありがとうございました。

●本日のお勧め作品は、殿敷侃です。
21_kani殿敷侃
《カブトガニ》(仮称)
油彩
49.5×24.5cm
サインあり

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●本日18日(月・祝日)は休廊です。

◆ときの忘れものは「今週の特集展示:駒井哲郎展」を開催しています。
201709komai
会期=2017年9月12日[火]〜9月22日[金]
※日・月・祝日休廊
駒井哲郎の版画作品、詩画集など約10点を特集展示する他、恩地孝四郎南桂子国吉康雄フォーゲラー等の版画作品をご覧いただきます。

05

埼玉県立近代美術館では15年ぶりとなる「駒井哲郎 夢の散策者」展が開催されています。
会期:2017年9月12日[火]〜10月9日[月・祝]
企画を担当された吉岡知子さん(同館学芸員)のエッセイ<企画展「駒井哲郎 夢の散策者」に寄せて―武田光司氏のコレクション>をお読みください。
20170911_駒井哲郎_裏

〜〜〜〜〜

ときの忘れもの・拾遺 ギャラリーコンサートのご案内第6回 秋<カラス>
日時:2017年10月3日(火)18:00〜
出演:朗読/坂本長利 やしまたろう『からす たろう』
   メゾ・ソプラノ/淡野弓子  日本の童謡と歌曲
*要予約=料金:1,000円
予約:必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記の上、メールにてお申し込みください。定員(10名)に達し次第、締切ります。
info@tokinowasuremono.com

●ときの忘れもの(有限会社ワタヌキ)では、経理スタッフを募集しています。
詳しくはコチラをお読みください。

●ときの忘れものは、〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました(詳しくは6月5日及び6月16日のブログ参照)。
電話番号と営業時間が変わりました。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531 
営業時間=火曜〜土曜の平日11時〜18時。日・月・祝日は休廊。

JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
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倉方俊輔のエッセイ「『悪』のコルビュジエ」 第8回

倉方俊輔のエッセイ「『悪』のコルビュジエ」

第8回 時代からの出航 マルセイユのユニテ・ダビタシオン


倉方俊輔(建築史家/大阪市立大学准教授)


画:光嶋裕介(建築家)
原画

 優れた設計者が時代に乗って本領を発揮するとすれば、「建築家」は時代からズレたときに本領を発揮する。建築におけるモダニズムの中に、そんな作家の領分をはっきりと確保したのは、ル・コルビュジエだった。大文字の建築は延命した。モダニズムは建築の歴史の中の1ページとなった。作家の死が訪れることもなかった。建築の改革者ではなく、建築という聖域の擁護者としてのコルビュジエの像が明瞭になったのは、第二次世界大戦の後。戦後をちょうど20年生きた彼は、1965年に没した頃から一層、戦後から遡行して分析され、研究され、世俗の荒波の中にあってよく建築を守り抜いた聖人として、そのように建築家が存在できることのイコンとなった。
 マルセイユのユニテ・ダビタシオンは、その始まりである。1945年に復興・都市計画大臣のラウル・ドートリーから設計の話を持ちかけられ、官僚らとの多くの交渉の中での敷地や計画の変転を経て、1947年に着工した立体都市が、1952年に完成した。
 眺められるのは、打放しコンクリート仕上げで自らが何でできているかを露わにした、長さ約165m、幅が約24m、高さが約56mの直方体である。17層に337戸が収まっている。想定されている入居者は約1,600人。単身者向けから大家族向けまで、23種類の住戸タイプがある。
 巨大な直方体は34本のピロティに支持され、大地から浮き上がっている。ピロティは人間のスケールよりもはるかに大きい。構造体でありながら、描くカーブの中に配管類を通している。構造と設備は、直上のメガストラクチャーに続いている。コルビュジエが言うところの「人工土地」だ。中には機械設備が入る。構築された人工空間を、ピロティと人工土地はダイナミックな造形で持ち上げ、地上を歩行者に開放したことを誇っているのだ。
 直方体の中の共用廊下は、長手方向に5本しかない。各住戸は2層の構成となっていて、住戸内の階段で結ばれている。3階を1セットにして、断面方向に噛み合った形の真ん中に共用廊下が位置している。これは「室内道路」と命名された。廊下の総数を減らして空間を有効活用した分、幅は広い。上からも下からも中間に当たる7、8層の共用廊下は、そのまま公的なスペースへの動線になっている。確かに道路と呼べるかもしれない。ショッピングセンターがあり、薬局、郵便局、クリーニング店などが設けられ、ホテルの入り口もここに面している。
 この中間層にある公共施設を理由に、直方体の外観も変化する。2層吹き抜けの縦桟のブリーズ・ソレイユと、直接アクセスするための外階段がそれだ。ちまちました1層ごとの間取りにしなかったことと合わせて、遠望に応える存在感を増している。都市としての建築であることと、都市の中の建築であることは、こうして呼応し合っている。
 持ち上げられた直方体は、大きな声で大地と対話していた。都市と挨拶を交わした。最後に向き合うのは天空だ。この建物の最も造形的な要素は、屋上にある。幼稚園の入る部分は、まるで別に設計された一戸の独立住宅である。脚元のピロティとは異なって、こちらのピロティは戦前のサヴォア邸のごとく、重力と無縁であるかのような細い丸柱。ただし、外壁は打放しコンクリートと別物で、タイルが埋め込まれ、素材を扱う手の痕跡を強めている。
 脚元のピロティを反復するかのようでありながら、何も支えていないことで陽光の中でシュールレアリスティックな排気口。練ったコンクリートが放置され、凝固したような不整形な遊び場。タイルが輝くプールの水面。いずれも地中海沿いの都市であるマルセイユの空と海とに呼応する。同じ形状であるわけではなく、違う単語の同一言語であるようにコミュニケーションを交わしている。建築と既存の大地・都市との関係と同じように。
 建築は重力に規定されている。素材に規定されている。環境に規定されている。1920年代のコルビュジエは、それをいったん括弧にくくることで、人間の自由の幅を広げた。そんな条件に頼らない「無重力」の表現として、建築は十分に有効な、独自のアートであることを示した。
 マルセイユのユニテ・ダビタシオンでコルビュジエは、別の可能性を明快に提示した。重力、素材、環境は、もう表現において、あえて無視されてはいない。それらとかかわることができる。むろん、かかわらないことだってできる。どちらかを選択し、呼応の仕方を決めるのは人間だ。場合場合の選択によって、建築の可能性は拡張されている。
 建物は1952年の竣工以前から、すでに世界に影響を与え始めていた。第二次世界大戦後の復興において、模範の一つとなる作品として受け取られた。各地の集合住宅や都市再開発の中に、その残響を聞くことができる。

*****

 もちろん、現地を訪れて印象づけられるのは、後の多くの模倣者とは異なる存在感だろう。造形としての一体感がある。彫塑的な印象を強めているのが、打放しコンクリート仕上げだ。白あるいは淡い色彩に仕上げることが多かった戦前の彼の作品とは違った特徴は、すぐに世界中で流行した。打放しコンクリート仕上げという戦後の風潮に大きな影響を与えたことは、本作に関して特筆される事柄だろう。
 それでも戦前からのコルビュジエとの強い連続性は、組み立てられた感覚にある。1930年代以降、コルビュジエはジャン・プルーヴェと共同で、いくつものプロジェクトを進めた。これもその一つだった。当初、鉄骨造が検討されたが、遮音の関係などで断念された。代わりに採用されたのは、プルーヴェが提唱したワインラック状の構成である。鉄筋コンクリートのフレームの中に、工場生産した規格化されたユニットを挟むというものだ。結局はほとんど現場での生産となったが、コルビュジエは作品集において、ユ
ニット同士が独立してフレームの中に組まれていることを強調している。
 全体から分割するのではなく、独立した部分の組み立てとして建築を考える特徴が、戦前からコルビュジエには見いだせる。それが彼の後期作品と似て見えるかもしれない彫塑的なべたっとした造形作品との隔たり、配置計画から落とし込んでいく、ありきたりの集合住宅との違いでもある。
 単に住戸ユニットの特徴にとどまらない。ピロティ、人工土地といった構成も、個々の機能が組み立てられた一種の爽やかさを備えている。屋上のさまざまな要素にも、意味に取り囲まれた暑苦しさはない。工業主義的な威圧感からも、それと反対のテーマパーク感とも離れている。組み立てられた感覚があるからだ。
 個々の要素が分離して考えられることが、マルセイユのユニテ・ダビタシオンを孤立した傑作にはしなかった。各要素はそれぞれに発展可能だ。例えばピロティの脚の形態にしても、人工土地の考え方にしても、ビルディングタイプを超えて、それぞれに世界中で真似され、展開された。いや、都市的な複合体というビルディングタイプも、それ自体、独立して参照できる要素となる。全体を分解し、組み立てとして再構成し、しかも異なる機能が壁を隔てて同居する。組み立てられた感覚という持ち味は、クールにプログラムを再編するような、ずっと後年の建築にも影響を与えたことだろう。
 だから、言葉にすると奇妙かもしれないが、現在におけるマルセイユのユニテ・ダビタシオンの初体験には「初めて目にした」と「見たことがある」が同時にある。計画から70年近くの間に、この建築は散種され、私たちはすでに出会っている。

*****

 マルセイユのユニテ・ダビタシオンは、一方で重力・素材・環境と和解したことによる現地に適合した良作であり、他方で部分に分解されて世界各地の多くの設計者に消費されたのだろうか。その2つに解消できない要素がある。組み立てられた全体が目指した先だ。
 第二次世界大戦後の都市は、車によって変わった。ル・コルビュジエ自身も車による移動を念頭に置いた都市計画を下敷きに、マルセイユのユニテ・ダビタシオンの計画を練っている。しかし、なぜこの作品は、ここまで船舶のメタファーに満ちているのだろうか。
 車は第二次世界大戦後の都市をますます席巻する。個人が独立して所有し、自己顕示のできる存在である。機能が直接に反映した形態であることを超えて、流行し、買い換えるものだ。それは戦後の建築のメタファーで あるかもしれない。
 しかし、コルビュジエは、共同体である時代遅れの船舶にこだわっている。組み立ての向かう先は、そんな個人的な情念ではないだろうか。ここにいるのは、戦前のように時代に同伴する建築家ではない。
 ブリーズ・ソレイユや打ち放しコンクリートという本作における要素は、戦後に独立を果たした非ヨーロッパ諸国に用いられるだろう。個々にバラバラになるだけではなく、かといって世界一律でない、共同体としての船舶は、コルビュジエの思いを超えて、戦後という方向性のない世界に船出をした。そんな深みを持つ作品も、時代とズレたことによって可能になったのだった。
くらかた しゅんすけ

■倉方俊輔 Shunsuke KURAKATA
建築史家。大阪市立大学大学院工学研究科准教授。1971年東京都生まれ。著書に『東京レトロ建築さんぽ』『ドコノモン』『吉阪隆正とル・コルビュジエ』、編著に『吉祥寺ハモニカ横丁のつくり方』ほか。
生きた建築ミュージアム大阪実行委員会委員

表紙
『建築ジャーナル』
今年の『建築ジャーナル』誌の1月〜12月号の表紙を光嶋裕介さんが担当することになりました。
テーマはル・コルビュジエ。
一年間にわたり、倉方俊輔さんのエッセイ「『悪』のコルビュジエ」と光嶋裕介さんのドローイング「コルビュジエのある幻想都市風景」が同誌に掲載されます。ときの忘れものが企画のお手伝いをしています。
月遅れになりますが、気鋭のお二人のエッセイとドローイングをこのブログにも再録掲載します。毎月17日が掲載日です。どうぞご愛読ください。

●今日のお勧め作品は、光嶋裕介です。
20170917_04
光嶋裕介 "幻想都市風景2016-04"
2016年 和紙にインク
45.0×90.0cm   Signed
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください
ときの忘れものの通常業務は平日の火曜〜土曜日です。日曜、月曜、祝日はお問い合わせには返信できませんので、予めご了承ください。

●本日17日(日)と明日18日(月・祝日)は休廊です。

◆ときの忘れものは「今週の特集展示:駒井哲郎展」を開催しています。
201709komai
会期=2017年9月12日[火]〜9月22日[金]
※日・月・祝日休廊
駒井哲郎の版画作品、詩画集など約10点を特集展示する他、恩地孝四郎南桂子国吉康雄フォーゲラー等の版画作品をご覧いただきます。

04

埼玉県立近代美術館では15年ぶりとなる「駒井哲郎 夢の散策者」展が開催されています。
会期:2017年9月12日[火]〜10月9日[月・祝]
企画を担当された吉岡知子さん(同館学芸員)のエッセイ<企画展「駒井哲郎 夢の散策者」に寄せて―武田光司氏のコレクション>をお読みください。
20170911_駒井哲郎_裏

〜〜〜〜〜

ときの忘れもの・拾遺 ギャラリーコンサートのご案内第6回 秋<カラス>
日時:2017年10月3日(火)18:00〜
出演:朗読/坂本長利 やしまたろう『からす たろう』
   メゾ・ソプラノ/淡野弓子  日本の童謡と歌曲
*要予約=料金:1,000円
予約:必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記の上、メールにてお申し込みください。定員(10名)に達し次第、締切ります。
info@tokinowasuremono.com

●ときの忘れもの(有限会社ワタヌキ)では、経理スタッフを募集しています。
詳しくはコチラをお読みください。

●ときの忘れものは、〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました(詳しくは6月5日及び6月16日のブログ参照)。
電話番号と営業時間が変わりました。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531 
営業時間=火曜〜土曜の平日11時〜18時。日・月・祝日は休廊。

JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
12


◆ときの忘れもののブログは下記の皆さんのエッセイを連載しています。
 ・大竹昭子のエッセイ「迷走写真館 一枚の写真に目を凝らす」は毎月1日の更新です。
 ・frgmメンバーによるエッセイ「ルリユール 書物への偏愛」は毎月3日の更新です。
 ・小国貴司のエッセイ「かけだし本屋・駒込日記」は毎月5日の更新です。
 ・佐藤研吾のエッセイ「大地について―インドから建築を考える―」は毎月7日の更新です。
 ・杉山幸一郎のエッセイ「幸せにみちたくうかんを求めて」は毎月10日の更新です。
 ・関根伸夫のエッセイ「〈発想〉について[再録]」は毎月12日の更新です。
 ・野口琢郎のエッセイ「京都西陣から」は毎月15日の更新です。
 ・倉方俊輔のエッセイ「『悪』のコルビュジエ」は毎月17日の更新です。
 ・小林紀晴のエッセイ「山の記憶」は毎月19日の更新です。
 ・清家克久のエッセイ「瀧口修造を求めて」は毎月20日の更新です。
 ・小林美香のエッセイ「写真集と絵本のブックレビュー」は毎月25日の更新です。
 ・スタッフSの「海外ネットサーフィン」は毎月26日の更新です。
 ・森本悟郎のエッセイ「その後」は毎月28日の更新です。
 ・笹沼俊樹のエッセイ「現代美術コレクターの独り言」はしばらく休載します。
 ・大野幸のエッセイ<ときの忘れもの・拾遺 ギャラリーコンサート>は随時更新します。
 ・植田実のエッセイ「美術展のおこぼれ」は、更新は随時行います。
  同じく植田実のエッセイ「生きているTATEMONO 松本竣介を読む」と合わせお読みください。
  「本との関係」などのエッセイのバックナンバーはコチラです。
 ・中村茉貴のエッセイ「美術館に瑛九を観に行く」は随時更新します。
 ・飯沢耕太郎のエッセイ「日本の写真家たち」英文版とともに随時更新します。
 ・深野一朗のエッセイは随時更新します。
 ・「久保エディション」(現代版画のパトロン久保貞次郎)は随時更新します。
 ・藤本貴子のエッセイ「建築圏外通信」は終了しました。
 ・森下隆のエッセイ「鎌鼬美術館——秋田県羽後町田代に開館」は終了しました。
 ・芳賀言太郎のエッセイ「El Camino(エル・カミーノ) 僕が歩いた1600km」は終了しました。
 ・夜野悠のエッセイ「書斎の漂流物」は終了しました。
 ・普後均のエッセイ「写真という海」は終了しました。
 ・八束はじめ・彦坂裕のエッセイ「建築家のドローイング」(再録)は終了しました。
 ・光嶋裕介のエッセイ「和紙に挑む」は終了しました。
 ・石原輝雄のエッセイ「マン・レイへの写真日記」は終了しました(時々番外編あり)。
 ・荒井由泰のエッセイ「いとしの国ブータン紀行」は終了しました。
 ・森下泰輔のエッセイ「戦後・現代美術事件簿」は終了しました。
 ・「殿敷侃の遺したもの」はゆかりの方々のエッセイや資料を随時紹介します。
 ・「オノサト・トシノブの世界」は円を描き続けた作家の生涯と作品を関係資料や評論によって紹介します。
 ・「瀧口修造の世界」は造形作家としての瀧口の軌跡と作品をテキストや資料によって紹介します。
土渕信彦のエッセイ「瀧口修造とマルセル・デュシャン」、「瀧口修造の箱舟」と合わせてお読みください。
 ・「関根伸夫ともの派」はロスアンゼルスで制作を続ける関根伸夫と「もの派」について作品や資料によって紹介します。
 ・「現代版画センターの記録」は随時更新します。
今までのバックナンバーの一部はホームページに転載しています。

駒井哲郎の詩画集、挿画本

ときの忘れものでは短い会期ですが(22日まで)「今週の特集展示:駒井哲郎」を開催中です。

また北浦和の埼玉県立近代美術館では15年ぶりとなる「駒井哲郎 夢の散策者」展が開催されています。こちらの会期は9月12日[火]〜10月9日[月・祝]です。
埼玉近美の展覧会はときの忘れものも少しお手伝いしました。若干ですが招待券がありますので、画廊にお運びいただければ差し上げます。

●展示風景
01
2階へ上がる階段には、エド・ベイナード《花》(右)と南桂子《日本の茂み》(左)

02
2階応接スペースには、駒井哲郎《九つの夢から》オフセット12点組の屏風

03
2階:左から
駒井哲郎《恩地孝四郎頌》
駒井哲郎《岩礁》
小山正孝詩集『山の奥』※駒井哲郎の版画2点収録

04


05


06
2階:手前から
駒井哲郎《藝大カレンダーより 》
駒井哲郎《蛇》(試刷り)

07


09
図書室

10
左から
駒井哲郎《室内》
駒井哲郎《ある風景》
駒井哲郎《花》
駒井哲郎《賀状》

11
ロオトレアモン『マルドロオルの歌』※駒井哲郎の版画5点収録

08
図書室入り口横には、恩地孝四郎《白い花》

12
3階へ上がる階段には、恩地孝四郎《水浴》

13
階段踊り場
左)橋本一明詩集『モーツァルトの葬儀 』※駒井哲郎の版画1点収録
右)ロベール・ガンゾ訳詩集『レスピューグ』※駒井哲郎の版画3点収録

14


15


16
3階
南桂子《時計台》

17
3階
左)ハインリッヒ・フォーゲラー《春》
右)ハインリッヒ・フォーゲラー《春のメルヘン》

18
3階
国吉康雄《サーカスの球乗り》

〜〜

本展では駒井哲郎の版画が入った詩画集、挿画本も出品しています。

●オリジナル詩画集
01-2ロオトレアモン『マルドロオルの歌』
1952年
木馬社 発行
140ページ
27.0x19.5cm
限定350部
訳:青柳瑞穂
画:駒井哲郎
駒井哲郎の銅版画5点入り


01_マルドロオルの歌1収録作品1)
駒井哲郎
《老いたる海》
1951年
エッチング、アクアチント
16.8x12.0cm
※レゾネNo.49(美術出版社)


01_マルドロオルの歌2収録作品2)
駒井哲郎
《墓掘り人》
1951年
アクアチント、ソフトグランド・エッチング
16.8x11.7cm
※レゾネNo.50(美術出版社)


01_マルドロオルの歌3収録作品3)
駒井哲郎
《鱶とマルドロオル》
1951年
アクアチント、エッチング
17.0x11.7cm
※レゾネNo.51(美術出版社)


01_マルドロオルの歌4収録作品4)
駒井哲郎
《私は汚らしい》
1951年
エッチング、ソフトグランド・エッチング、エングレーヴィング
17.0x12.0cm
※レゾネNo.52(美術出版社)


01_マルドロオルの歌5収録作品5)
駒井哲郎
《溲瓶の王冠》
1951年
アクアチント、エッチング
16.9x11.7cm
※レゾネNo.53(美術出版社)


01_マルドロオルの歌_限定限定108/350部


01_マルドロオルの歌_奥付奥付


〜〜

04ロベール・ガンゾ訳詩集『レスピューグ』
1955年
日本未来派発行所 発行
23.2x16.1cm
限定100部
訳:平田文也
画:駒井哲郎
駒井哲郎の銅版画3点入り


02_レスピューグ1収録作品1)
駒井哲郎
《レスピューグ》
1955年
エングレーヴィング
5.0x3.0cm
※レゾネNo.80(美術出版社)


02_レスピューグ2収録作品2)
駒井哲郎
《レスピューグ》
1955年
エングレーヴィング
8.0x12.0cm
※レゾネNo.81(美術出版社)


02_レスピューグ3収録作品3)
駒井哲郎
《オリノコ》
1955年
エングレーヴィング
12.0x8.0cm
※レゾネNo.82(美術出版社)


02_レスピューグ_限定限定23/100部


02_レスピューグ_奥付奥付


〜〜

02小山正孝詩集『山の奥』
1971年
思潮社 発行
92ページ
27.2x20.2cm
限定150部
駒井哲郎の銅版画2点入り(奥付にサインあり)


04_山の奥1収録作品1)
駒井哲郎
《風景》
1971年
エッチング
10.2x11.7cm
※レゾネNo.285(美術出版社)


04_山の奥2収録作品2)
駒井哲郎
《森の中の空地(小)》
1970年
エッチング
10.4x12.0cm
※レゾネNo.284(美術出版社)


04_山の奥_限定と奥付奥付にサインあり
限定53/150部


〜〜

03橋本一明詩集『モーツァルトの葬儀 』
1971年
母岩社 発行
88ページ
22.0x13.8cm
限定60部
装幀:駒井哲郎
駒井哲郎の銅版画1点入り(サインあり)


03_モーツァルトの葬儀1収録作品1)
駒井哲郎
《樹》
1971年
エッチング
13.8x8.4cm
サインあり
※レゾネNo.287(美術出版社)


03_モーツァルトの葬儀_限定と奥付限定28/60部


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◆ときの忘れものは「今週の特集展示:駒井哲郎展」を開催しています。
201709komai
会期=2017年9月12日[火]〜9月22日[金]
※日・月・祝日休廊
駒井哲郎の版画作品、詩画集など約10点を特集展示する他、恩地孝四郎南桂子国吉康雄フォーゲラー等の版画作品をご覧いただきます。


埼玉県立近代美術館では15年ぶりとなる「駒井哲郎 夢の散策者」展が開催されています。
会期:2017年9月12日[火]〜10月9日[月・祝]
企画を担当された吉岡知子さん(同館学芸員)のエッセイ<企画展「駒井哲郎 夢の散策者」に寄せて―武田光司氏のコレクション>をお読みください。
20170911_駒井哲郎_裏

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ときの忘れもの・拾遺 ギャラリーコンサートのご案内第6回 秋<カラス>
日時:2017年10月3日(火)18:00〜
出演:朗読/坂本長利 やしまたろう『からす たろう』
   メゾ・ソプラノ/淡野弓子  日本の童謡と歌曲
*要予約=料金:1,000円
予約:必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記の上、メールにてお申し込みください。定員(10名)に達し次第、締切ります。
info@tokinowasuremono.com

●ときの忘れもの(有限会社ワタヌキ)では、経理スタッフを募集しています。
詳しくはコチラをお読みください。

●ときの忘れものは、〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました(詳しくは6月5日及び6月16日のブログ参照)。
電話番号と営業時間が変わりました。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531 
営業時間=火曜〜土曜の平日11時〜18時。日・月・祝日は休廊。

JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
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野口琢郎のエッセイ「京都西陣から」 第38回

野口琢郎のエッセイ「京都西陣から」 第38回

夏の新作制作

9月に入って京都もだいぶ涼しくなり、今年の夏は結局夏らしいお出かけを一度もできなかったので、やはり少し寂しい感じはありますが、制作の方は色々と進んだのでご紹介致します。

まず、以前いったん完成していた凸凹の作品(6号M/41×24.2cm)に手を入れました。
この作品はちょっと心がささくれ立っていた時に作ったので、見てるだけでしんどくなり、下の金箔はもったいないですが一部残しながら上にまた盛り足してプラチナ箔を押しました。
ただこれでもまだちょっとドギツいですが、面白い作品にはなったかと思います。

凸凹作品凸凹作品


次に久しぶりにLandscapeシリーズ、#41(8号M/45.5×27.3cm)はあまり細かくなり過ぎないように意識しました。
小さくても静かな存在感のある作品になったかと思います。

Landscape#41野口琢郎
「Landscape#41」
2017年
45.5×27.3cm(8号M)


HANABI#10(15号F/65.2×53cm)の箔押しは50%程終了。
今回の#10は前作までに増えた要素をあえて減らして、シンプルな初期作品に近い雰囲気に戻そうと思って進めています。

HANABI#10「HANABI#10」制作中


Landscapeシリーズも空や海の作品にも言えますが、一度要素が増えたり、変化した後に、初期作品に近い雰囲気に戻る事はよくあって、それは初心に帰りたいわけではなくて、時間をかけて進化して増やした球種をあえて減らして、直球で勝負したくなる感じでしょうか、でも費やした時間や経験の分だけ同じ直球でも昔よりキレが出る、ま、野球経験者ではないのでそんな事はありえないのかもですが、作品制作にはそんな感覚があります。

HANABI#1野口琢郎
「HANABI#1」
2005年
22×16cm


ちなみに画像がHANABIシリーズの一作目、2005年作の「HANABI#1」(22×16cm)です。
荒削りなりの強さがあって、この頃はまだ自分で銀を硫化させていたので味があります。
得るものがある反面失うものもある、でもそれが人間が作っているものの面白さなのかなと思います。

そして、12月頭にときの忘れものさんのブースから出展させて頂くマイアミでのアートフェア用の大作2点も完成「azure」F100号(162.1×130.3cm)と、「I remember」(145.5×120cm)です。
「azure」は青の美しい見応えある作品になりました。実は今まで大作は横長が多く、意外にも100号を作るのは初めてで、これ位のサイズで縦位置で海と空を作ったのも初めてでした。縦位置だと海の水の重みがでるように感じました。

DSC_6275大作2点


azure野口琢郎
「azure」
2017年
162.1×130.3cm(F100号)


I remember野口琢郎
「I remember」
2017年
145.5×120cm


「I remember」はなんかちょっと切なくなるような夕暮れの海の作品が作りたくなって、構想時は空にも金の雲を混ぜるつもりだったのですが、最近はあまりドラマティックな空を作る気がしないのと、空の色は一色で統一するのがどうも好みなので、結局赤一色の空になりましたが、良い作品になったかと思います。

では、過ごしやすい季節になるので、引き続き作品制作をがんばります。
のぐち たくろう

野口琢郎 Takuro NOGUCHI(1975-)
1975年京都府生まれ。1997年京都造形芸術大学洋画科卒業。2000年長崎市にて写真家・東松照明の助手に就く。2001年京都西陣の生家に戻り、家業である箔屋野口の五代目を継ぐため修行に入る。その後も精力的に創作活動を続け、2004年の初個展以来毎年個展を開催している。

●今日のお勧め作品は野口琢郎です。
20170915_ls38野口琢郎
《Landscape #38》
2016年
箔画(木パネル、漆、金・銀・プラチナ箔、石炭、樹脂、アクリル絵具)
60.6×41.0cm
Signed


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201709komai
会期=2017年9月12日[火]〜9月22日[金]
※日・月・祝日休廊
駒井哲郎の版画作品、詩画集など約10点を特集展示する他、恩地孝四郎南桂子国吉康雄フォーゲラー等の版画作品をご覧いただきます。

03
2階:左から
駒井哲郎《恩地孝四郎頌》
駒井哲郎《岩礁》
小田正孝詩集『山の奥』※駒井哲郎の版画2点収録

埼玉県立近代美術館では15年ぶりとなる「駒井哲郎 夢の散策者」展が開催されています。
会期:2017年9月12日[火]〜10月9日[月・祝]
企画を担当された吉岡知子さん(同館学芸員)のエッセイ<企画展「駒井哲郎 夢の散策者」に寄せて―武田光司氏のコレクション>をお読みください。
20170911_駒井哲郎_裏

〜〜〜〜〜

ときの忘れもの・拾遺 ギャラリーコンサートのご案内第6回 秋<カラス>
日時:2017年10月3日(火)18:00〜
出演:朗読/坂本長利 やしまたろう『からす たろう』
   メゾ・ソプラノ/淡野弓子  日本の童謡と歌曲
*要予約=料金:1,000円
予約:必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記の上、メールにてお申し込みください。定員(10名)に達し次第、締切ります。
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●ときの忘れもの(有限会社ワタヌキ)では、経理スタッフを募集しています。
詳しくはコチラをお読みください。

●ときの忘れものは、〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました(詳しくは6月5日及び6月16日のブログ参照)。
電話番号と営業時間が変わりました。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531 
営業時間=火曜〜土曜の平日11時〜18時。日・月・祝日は休廊。

JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
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◆ときの忘れもののブログは下記の皆さんのエッセイを連載しています。
 ・大竹昭子のエッセイ「迷走写真館 一枚の写真に目を凝らす」は毎月1日の更新です。
 ・frgmメンバーによるエッセイ「ルリユール 書物への偏愛」は毎月3日の更新です。
 ・小国貴司のエッセイ「かけだし本屋・駒込日記」は毎月5日の更新です。
 ・佐藤研吾のエッセイ「大地について―インドから建築を考える―」は毎月7日の更新です。
 ・杉山幸一郎のエッセイ「幸せにみちたくうかんを求めて」は毎月10日の更新です。
 ・関根伸夫のエッセイ「〈発想〉について[再録]」は毎月12日の更新です。
 ・野口琢郎のエッセイ「京都西陣から」は毎月15日の更新です。
 ・倉方俊輔のエッセイ「『悪』のコルビュジエ」は毎月17日の更新です。
 ・小林紀晴のエッセイ「山の記憶」は毎月19日の更新です。
 ・清家克久のエッセイ「瀧口修造を求めて」は毎月20日の更新です。
 ・小林美香のエッセイ「写真集と絵本のブックレビュー」は毎月25日の更新です。
 ・スタッフSの「海外ネットサーフィン」は毎月26日の更新です。
 ・森本悟郎のエッセイ「その後」は毎月28日の更新です。
 ・笹沼俊樹のエッセイ「現代美術コレクターの独り言」はしばらく休載します。
 ・大野幸のエッセイ<ときの忘れもの・拾遺 ギャラリーコンサート>は随時更新します。
 ・植田実のエッセイ「美術展のおこぼれ」は、更新は随時行います。
  同じく植田実のエッセイ「生きているTATEMONO 松本竣介を読む」と合わせお読みください。
  「本との関係」などのエッセイのバックナンバーはコチラです。
 ・中村茉貴のエッセイ「美術館に瑛九を観に行く」は随時更新します。
 ・飯沢耕太郎のエッセイ「日本の写真家たち」英文版とともに随時更新します。
 ・深野一朗のエッセイは随時更新します。
 ・「久保エディション」(現代版画のパトロン久保貞次郎)は随時更新します。
 ・藤本貴子のエッセイ「建築圏外通信」は終了しました。
 ・森下隆のエッセイ「鎌鼬美術館——秋田県羽後町田代に開館」は終了しました。
 ・芳賀言太郎のエッセイ「El Camino(エル・カミーノ) 僕が歩いた1600km」は終了しました。
 ・夜野悠のエッセイ「書斎の漂流物」は終了しました。
 ・普後均のエッセイ「写真という海」は終了しました。
 ・八束はじめ・彦坂裕のエッセイ「建築家のドローイング」(再録)は終了しました。
 ・光嶋裕介のエッセイ「和紙に挑む」は終了しました。
 ・石原輝雄のエッセイ「マン・レイへの写真日記」は終了しました(時々番外編あり)。
 ・荒井由泰のエッセイ「いとしの国ブータン紀行」は終了しました。
 ・森下泰輔のエッセイ「戦後・現代美術事件簿」は終了しました。
 ・「殿敷侃の遺したもの」はゆかりの方々のエッセイや資料を随時紹介します。
 ・「オノサト・トシノブの世界」は円を描き続けた作家の生涯と作品を関係資料や評論によって紹介します。
 ・「瀧口修造の世界」は造形作家としての瀧口の軌跡と作品をテキストや資料によって紹介します。
土渕信彦のエッセイ「瀧口修造とマルセル・デュシャン」、「瀧口修造の箱舟」と合わせてお読みください。
 ・「関根伸夫ともの派」はロスアンゼルスで制作を続ける関根伸夫と「もの派」について作品や資料によって紹介します。
 ・「現代版画センターの記録」は随時更新します。
今までのバックナンバーの一部はホームページに転載しています。

一番人気は秋葉シスイ〜アートフェアアジア福岡2017

今年で3回目となるART FAIR ASIA FUKUOKA 2017に参加してまいりました。

櫛田神社_みくじ_600
初日8日の早朝、先ずは櫛田神社に参拝。
お正月に生涯初の「大吉」を引いたばかりなのに、今回再び大吉」!
こんな連続しての幸運を信じてよいのでしょうか・・・・・・

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第一回(2015年9月)は「絵はいいけれど値段が気に入らない」と言われ、
昨年第二回(2016年9月)は櫛田神社におすがりしたものの「利益あれど少なし」、しかし何となく手ごたえを感じ、今年こそはと博多に老夫婦で乗り込みました。

ART FAIR ASIA FUKUOKA 2017
AFAF_logo_TypeB_RED_RGB
会期:2017年9月8日[金] - 9月10日[日]

会場:ホテルオークラ福岡9階 
出品作品:コチラをご覧ください。

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昨年の御礼に加えて、留守を守るスタッフたちの健康祈願と、商売繁盛をお願いしました。
御神籤は50円なのですが、奮発して100円を入れて引きました。

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会場のホテルオークラ、ときの忘れもののブースは925号室

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部屋に入って、右から菅井汲草間彌生。ともに私たちのエディション作品です。

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今回は松本竣介を7点持っていきました。
アートフェアにはその画廊の一番良い作品を出すべきだというのが亭主の持論ですが、さすがに注目度は高く、昨年に続き、今年も売ることができました。

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九州が生んだ瑛九もベストコレクション3点を展示。

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ベッドの上方に秋葉シスイを2点展示。
今回も一番人気で、おかげさまで広島と柳川にめでたくお嫁入りいたしました。

2016のノクターンにご縁がなく新作を楽しみにしています。
今年もご縁なく・・・・

(芳名簿より)
芳名簿に書かれたメッセージは女性の方からですが、昨年に続き秋葉シスイの作品お目当てに来場されたのですが、一足違いで別のお客様に買われてしまい、残念がっておられました。
04_秋葉シスイ
秋葉シスイ《nocturne》
2017
油彩、カンヴァス
33.3x45.5cm(P8号)
サインあり

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全体としてはモノトーンの地味な展示になりましたが、年配のお客様からは「ここにくるとほっとするね」と褒め言葉だか、慰め言葉だかわからん感想をいただきました。

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ホテルオークラから直ぐの博多座ではちょうど玉三郎さんの公演があるらしく、ホテルですれ違いました(サインもらいたかったけれど・・・)

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初日の夜、博多座のロビーで恒例の歓迎パーティが開催されました。

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事務局の心遣いが溢れた和やかなパーティ。出展ギャラリー、作家はもちろん、地元の関係者も多数参加されました。

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主催者を代表して、Gallery MORYTAの森田俊一郎さんが挨拶。

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社長も亭主も華やかなパーティは苦手であまり出たことがないのですが、ここはフレンドリーな雰囲気で今年も二次会まで付き合いました。
撮影して下さったのは三年連続で応援にかけつけてくれた田村さんです。

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今年開廊20周年を迎えた大分のみさき画廊さんの親子と。
池田満寿夫山中現などの正統派の版画家を丁寧に扱っておられる姿勢には敬服しています。

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大阪からは今年もNii Fine Artsの新居さんが若い作家を引き連れて参加。
地元大分の国本泰英さん、富山から電車を乗り継いではるばる遠征してきた笠井遥さんとはゆっくりお話することもできました。
普段、若い作家にとんと縁のない亭主にはたいへん勉強になりました。

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新居さん(左)と、ギャラリー尾形さん(右)に囲まれて。
業界にほとんど付き合いのない私たちをアートフェアアジア福岡に誘ってくれたのが地元福岡のギャラリー尾形さんでした。

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福岡と東京に店をだしているContemporary HEISの平山さんと。
平山さんイチオシのユニークな木彫作品を制作する手嶋大輔さんに制作話を聞くことができたのも収穫でした。

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愛知県尾張旭市から出展のGALLERY龍屋さん(中央・金髪の人)と作家の皆さん。

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会場を変えて開催された二次会の司会は、東京から出展のKOKI ARTSさん。
もともとアメリカ育ちなので、海外に強く、今春のNYのアートフェアでもお世話になりました。

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現代版画センターのスタッフとして活躍、その後久留米で筑後画廊を経営している貝田隆博さんが今年も駆けつけてくれました。
アートフェアアジア福岡は、亭主と社長にとっては昔お世話になった方々とお会いできる貴重な機会となっています。

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鏡の上に展示した宮脇愛子の銅版と、左上の松本竣介「自画像」。
二点ともめでたくお客様のもとへ。「大吉」のご利益でしょうか。

会期中、メキシコでマグニチュード(M)8.1の大地震があり、多くの方々が亡くなりました。秋田県でもM5.3の地震があり、亭主が幾度となく通った大仙市では震度5強の大きな揺れだったとか。
12月に出展を予定しているアメリカ・マイアミではハリケーン「イルマ」が直撃しました。ひとごとではありません。
ホテルのテレビでそれら自然災害の惨状を見ながら、平和と安全な社会がなければ私たちの商売は成り立たないのだと痛いほど感じました。
被災地の皆さんには心よりお見舞いを申し上げるとともに、私たちはできる限りの支援をするつもりです。
〜〜〜
世界各地のアートフェアに参加してきましたが、成績(売上げ)の如何を問わず「来年も出たい」と思わせる条件とはなんでしょうか。
第一にフェアの質(ハイレベルな画廊、作家が出展しているか)
第二にフェアの発信力
第三にフェア事務局のフレンドリーな対応、が決め手になります。

福岡のフェアは規模も大きくはなく、集客力もまだまだの感じですが、フェア事務局の真摯でフレンドリーな対応は間違いなく第一級です。
業界付き合いのほとんどない私たちにとっては、東京はじめ各地の画廊さんと親しく話を交わせ、尊敬する画廊さんの見識を伺えるまたとない貴重な機会です。
今年も恙なく5日間(フェア前後の搬入・搬出を含め)を過ごせことに、あらためて感謝します。
来年も必ず出たいですね(ただし審査に通ればの話ですが)。

皆さん、ありがとうございました。

●本日のお勧め作品は駒井哲郎です。
komai_04_hana駒井哲郎
《花》
1965年
銅版(アクアチント)+手彩色
12.5×9.3cm
Ed.100  サインあり

こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください


◆ときの忘れものは「今週の特集展示:駒井哲郎展」を開催しています。
201709komai
会期=2017年9月12日[火]〜9月22日[金]
※日・月・祝日休廊
駒井哲郎の版画作品、詩画集など約10点を特集展示する他、恩地孝四郎南桂子国吉康雄フォーゲラー等の版画作品をご覧いただきます。

02
2階応接スペースには、駒井哲郎《九つの夢から》オフセット12点組の屏風

埼玉県立近代美術館では15年ぶりとなる「駒井哲郎 夢の散策者」展が開催されています。
会期:2017年9月12日[火]〜10月9日[月・祝]
企画を担当された吉岡知子さん(同館学芸員)のエッセイ<企画展「駒井哲郎 夢の散策者」に寄せて―武田光司氏のコレクション>をお読みください。
20170911_駒井哲郎_裏

〜〜〜〜〜

ときの忘れもの・拾遺 ギャラリーコンサートのご案内第6回 秋<カラス>
日時:2017年10月3日(火)18:00〜
出演:朗読/坂本長利 やしまたろう『からす たろう』
   メゾ・ソプラノ/淡野弓子  日本の童謡と歌曲
*要予約=料金:1,000円
予約:必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記の上、メールにてお申し込みください。定員(10名)に達し次第、締切ります。
info@tokinowasuremono.com

●ときの忘れもの(有限会社ワタヌキ)では、経理スタッフを募集しています。
詳しくはコチラをお読みください。

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電話番号と営業時間が変わりました。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531 
営業時間=火曜〜土曜の平日11時〜18時。日・月・祝日は休廊。

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