小林美香のエッセイ「写真集と絵本のブックレビュー」第21回

小林美香のエッセイ「写真集と絵本のブックレビュー」第21回

伊丹豪『photocopy』(Rondade, 2017)

01(図1)
『photocopy』(Rondade, 2017)表紙


今回紹介するのは、伊丹豪(1976-)の写真集『photocopy』(Rondade, 2017)(図1)です。伊丹は、エディトリアルや展覧会を通して近年国内外で高い評価を得ています。彼の写真を特徴づけるのは、展示な縦位置の構図で、画面の隅々までピントが合っているような鮮鋭な描写と、ものの形状を際立たせるようなフレーミングの仕方にあります。画面の中に細かく写っているものを注視させ、写真の平面性を強く意識させる撮影の仕方は、これまでに刊行されてきた写真集『study』(Rondade ,2013)や『this year's model』(Rondade, 2014)に収録されている写真やブックデザイン、見開きを平面として見ることができるような綴じ方の造本にも見て取ることができます。また、写真集の中にはテキストやストーリーを読み取らせる要素が一切含まれておらず、写真集を手に取って見る人は「一点一点の写真に対峙する」という行為そのものを強く意識することになります。

02(図2)
『photocopy』綴じられた写真を


03(図3)
『photocopy』綴じの部分


『photocopy』は、これまでの写真集に見られる姿勢を引き継ぎつつ、68 点の写真を左上角でビス留めすように束ねるという造本の技法を取り入れています。この束ね方は、写真集のタイトルが示すように、ホチキスやクリップで束ねられる書類のように、印刷された紙としての写真のあり方を強く印象づけます。また、ビス留めの部分を軸として、束ねられた写真を扇のように広げると、上に置かれた写真の全体と、その下の写真の断片が同時に視界に入り、写真同士の関係がランダムに発生するような効果が生み出されます。また、写真が束ねられている順番は、制作された1000 部それぞれに異なっているため、写真同士の関係は、作り手の意図を超えたところに発生し、写真集を見る人がページを捲るという動作を通して写真にはたらきかけることで、写真のイメージを増幅させることが意図されているとも言えるでしょう。

04(図4)
『photocopy』より


05(図5)
『photocopy』より


収録されている写真は、被写体や撮影された場所、距離感もさまざまで、写真を繰り返し眺めるうちに、それぞれに写し込まれたディテール、対象のスケール感が相互に関わり合いつつも、個々の写真の強度が際立ったものとして立ち現れてきます。先にも述べたように、伊丹の写真は画面の隅々までピントがあっているような鮮鋭な描写が特徴的ですが、『photocopy』では、光の反射や透過、影の作り出す視覚的な効果が遠近さまざまな距離から捉えられており、その効果を意識しながら写真を見ていると、画面の中の奥行きが強く感じられ、写真同士が組み立てるトロンプルイユ(騙し絵)の中に眼が迷い込むような感覚が引き起こされます。(図4)(図5)
膨大な画像の中から選び出された写真を、選び出し、見返し、重ねるという過程を経て作り出されたこの写真集は、シークエンスや具体的なストーリーを通して見る者に語りかけるという類いのものではなく、見る者が写し込まれたディテールや光の効果に意識を向けることで、光景の断片が寄せ集まって、頭の中に回路が開くように作用してくるものです。この写真集は、知覚することと撮影すること、写真の表面にとらえられることとの関係を真摯に追求してきた伊丹の新機軸を切り拓いた作品と言えるでしょう。
こばやし みか

■小林美香 Mika KOBAYASHI
写真研究者・東京国立近代美術館客員研究員。国内外の各種学校/機関で写真に関するレクチャー、ワークショップ、展覧会を企画、雑誌に寄稿。2007-08年にAsian Cultural Councilの招聘、及び Patterson Fellow としてアメリカに滞在し、国際写真センター(ICP)及びサンフランシスコ近代美術館で日本の写真を紹介する展覧会/研究活動に従事。
2010年より東京国立近代美術館客員研究員、2014年から東京工芸大学非常勤講師を務める。

●今日のお勧め作品は、奈良原一高です。
20171125_narahara_17_wthv3奈良原一高
写真集〈消滅した時間〉より
《インディアンの村の二つのごみ缶、ニューメキシコ》

1972年 (Printed 1975)
ゼラチンシルバープリント
イメージサイズ:26.9×39.9cm
シートサイズ:40.6×50.8cm
サインあり


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※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください

◆「細江英公写真展」は本日が最終日です。
会期=2017年10月31日[火]―11月25日[土]
293

細江先生は秋の叙勲で旭日重光章を受章されました。
●会期中、細江英公サイン入り写真集を特別頒布しています。

◆ときの忘れものは「メキシコ地震被災地支援・チャリティー頒布会」を開催します。
201711mexico
会期:2017年11月28日(火)〜12月2日(土)
出品100点のリストは11月11日ブログに掲載しました。
全作品、一律8,000円で頒布し、売上金全額を被災地メキシコに送金します。
※お申込みの返信は、翌営業日となります。(日・月・祝日は休廊です。)


◆銀座のギャラリーせいほうで宮脇愛子展が開催されています。
201711MIYAWAKI「宮脇愛子展 last works(2013〜14)」
会期=2017年11月20日[月]〜12月2日[土] ※日・祝日休廊
会場=ギャラリーせいほう 
〒104-0061 東京都中央区銀座8丁目10-7 東成ビル1F
電話:03-3573-2468
最後の新作である油彩を中心に立体(ガラス、真鍮)、ドローイング、版画など。


●書籍のご案内
TAKIGUCHI_3-4『瀧口修造展 III・IV 瀧口修造とマルセル・デュシャン』図録
2017年10月
ときの忘れもの 発行
92ページ
21.5x15.2cm
テキスト:瀧口修造(再録)、土渕信彦、工藤香澄
デザイン:北澤敏彦
掲載図版:65点
価格:2,500円(税別)*送料別途250円
*『瀧口修造展 I』及び『瀧口修造展 II』図録も好評発売中です。


安藤忠雄の奇跡安藤忠雄の奇跡 50の建築×50の証言
2017年11月
日経アーキテクチュア(編)
B5判、352ページ
(NA建築家シリーズ 特別編 日経アーキテクチュア)
価格:2,700円+税 *送料:250円
亭主もインタビューを受け、1984年の版画制作始末を語りました。
安藤先生のサイン本をときの忘れもので扱っています。

六本木の国立新美術館では「安藤忠雄展―挑戦―」が開催されています。
会期:2017年9月27日[水]〜12月18日[月]
番頭おだちのオープニング・レポートはコチラを、光嶋裕介さんのエッセイ「安藤忠雄展を見て」と合わせてお読みください。
ときの忘れものでは1984年以来の安藤忠雄の版画、ドローイング作品をいつでもご覧になれます。

●ときの忘れものは、〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました(詳しくは6月5日及び6月16日のブログ参照)。
電話番号と営業時間が変わりました。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531 
営業時間=火曜〜土曜の平日11時〜18時。日・月・祝日は休廊。

JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
12


◆ときの忘れもののブログは下記の皆さんのエッセイを連載しています。
 ・大竹昭子のエッセイ「迷走写真館 一枚の写真に目を凝らす」は毎月1日の更新です。
 ・frgmメンバーによるエッセイ「ルリユール 書物への偏愛」は毎月3日の更新です。
 ・小国貴司のエッセイ「かけだし本屋・駒込日記」は毎月5日の更新です。
 ・佐藤研吾のエッセイ「大地について―インドから建築を考える―」は毎月7日の更新です。
 ・杉山幸一郎のエッセイ「幸せにみちたくうかんを求めて」は毎月10日の更新です。
 ・関根伸夫のエッセイ「〈発想〉について[再録]」は毎月12日の更新です。
 ・野口琢郎のエッセイ「京都西陣から」は毎月15日の更新です。
 ・倉方俊輔のエッセイ「『悪』のコルビュジエ」は毎月17日の更新です。
 ・小林紀晴のエッセイ「山の記憶」は毎月19日の更新です。
 ・清家克久のエッセイ「瀧口修造を求めて」は毎月20日の更新です。
 ・小林美香のエッセイ「写真集と絵本のブックレビュー」は毎月25日の更新です。
 ・スタッフSの「海外ネットサーフィン」は毎月26日の更新です。
 ・森本悟郎のエッセイ「その後」は毎月28日の更新です。
 ・笹沼俊樹のエッセイ「現代美術コレクターの独り言」はしばらく休載します。
 ・大野幸のエッセイ<ときの忘れもの・拾遺 ギャラリーコンサート>は随時更新します。
 ・植田実のエッセイ「美術展のおこぼれ」は、更新は随時行います。
  同じく植田実のエッセイ「生きているTATEMONO 松本竣介を読む」と合わせお読みください。
  「本との関係」などのエッセイのバックナンバーはコチラです。
 ・中村茉貴のエッセイ「美術館に瑛九を観に行く」は随時更新します。
 ・飯沢耕太郎のエッセイ「日本の写真家たち」英文版とともに随時更新します。
 ・深野一朗のエッセイは随時更新します。
 ・「久保エディション」(現代版画のパトロン久保貞次郎)は随時更新します。
 ・藤本貴子のエッセイ「建築圏外通信」は終了しました。
 ・森下隆のエッセイ「鎌鼬美術館——秋田県羽後町田代に開館」は終了しました。
 ・芳賀言太郎のエッセイ「El Camino(エル・カミーノ) 僕が歩いた1600km」は終了しました。
 ・夜野悠のエッセイ「書斎の漂流物」は終了しました。
 ・普後均のエッセイ「写真という海」は終了しました。
 ・八束はじめ・彦坂裕のエッセイ「建築家のドローイング」(再録)は終了しました。
 ・光嶋裕介のエッセイ「和紙に挑む」は終了しました。
 ・石原輝雄のエッセイ「マン・レイへの写真日記」は終了しました(時々番外編あり)。
 ・荒井由泰のエッセイ「いとしの国ブータン紀行」は終了しました。
 ・森下泰輔のエッセイ「戦後・現代美術事件簿」は終了しました。
 ・「殿敷侃の遺したもの」はゆかりの方々のエッセイや資料を随時紹介します。
 ・「オノサト・トシノブの世界」は円を描き続けた作家の生涯と作品を関係資料や評論によって紹介します。
 ・「瀧口修造の世界」は造形作家としての瀧口の軌跡と作品をテキストや資料によって紹介します。
土渕信彦のエッセイ「瀧口修造とマルセル・デュシャン」、「瀧口修造の箱舟」と合わせてお読みください。
 ・「関根伸夫ともの派」はロスアンゼルスで制作を続ける関根伸夫と「もの派」について作品や資料によって紹介します。
 ・「現代版画センターの記録」は随時更新します。
今までのバックナンバーの一部はホームページに転載しています。

島根紹さんの屋外展示と、六義園の夜間ライトアップ

連日たくさんのお客様においでいただいている「細江英公写真展」ですが、会期はいよいよ明日25日までです。
01

初めてのお客様が多いのですが、秋の叙勲で旭日重光章をいただき新聞やテレビ、雑誌など多くのメディアに細江先生のニュースが載ったおかげでしょう。

電話主「細江先生のお写真を展示しているって聞いたのですが、場所を教えてください」
亭主「駒込をご存知でしょうか」
電話主「生まれてずっと、駒込に住んでいます」

てなやりとりがいくつもあり、いまさらながら駒込(正確にいうと豊島区駒込と文京区本駒込)が都内有数の住宅地であるということを痛感しています。
青山とは全く違った景観ですが、あるときは東洋文庫のカフェでドナルド・キーンさんがランチを召上がっていたり、ガラス張りのレストランで緒方貞子さんがお仲間と食事をされているところに遭遇したり、建築家の栗生明先生のように事務所が湯島で、お住まいもお近くで「今度の方が来易くなりました」という方もいます。
毎日、ご近所の方が家族連れで来てくださるのも嬉しいですね。
〜〜〜〜

青山時代の風情を懐かしんで下さる方も、駒込のお庭には感心してくれます。
お披露目(7月7日)のときには小林泰彦さんのステンレス彫刻「No.148」を展示しました。
大家さんが年に一度、植木屋さんを入れて剪定してくださるのですが、それも一段落したので、このたび、島根紹さんの彫刻作品を展示しました。
島根

島根紹_彫刻蕾・諍い女島根紹
シリーズ〈息をせずに生きる方法について〉より《蕾・諍い女》
ブロンズ、ステンレス
175.0x35.0x52.0cm
2016
Signed

島根紹_彫刻蕾・諍い女_部分島根紹
シリーズ〈息をせずに生きる方法について〉より《蕾・諍い女》
部分


島根紹_彫刻_ケシ島根紹
シリーズ〈息をせずに生きる方法について〉より《ケシ》
ブロンズ、ステンレス、真鍮
178.0x35.0x35.0cm
2017
Signed

島根紹_彫刻ケシ_部分島根紹
シリーズ〈息をせずに生きる方法について〉より《ケシ》
部分
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※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください

島根 紹 Sho SHIMANE
1949年東京都江戸川区に生まれる。1973年東京藝術大学彫刻科卒業。1975年同大学院修了。1991年武藏野美術大字彫刻字科非常勤講師(〜2003年)。
ブロンズ、鉄、真鍮などを使った彫刻を制作。1975年銀座・みゆき画廊にて初個展開催。銀座・ギャラリーせいほう(1998年、2003年、2016年)、銀座・資生堂ギャラリー(1994年)、日本橋高島屋(2000年)で個展開催。一貫して「息をせずに生きる方法について」シリーズを発表している。
1980年第1回高村光太郎大賞展(箱根彫刻の森美術館)にて佳作賞、1983年天展・奈良(〜86年)大賞受賞、1985年第11回現代日本彫刻展(山口県宇部市常盤公園)兵庫県立近代美術館賞を受賞。1986年第10回神戸須磨離宮現代彫刻展(兵庫県)などグループ展に多数出品。
美ヶ原高原美術館、兵庫県立近代美術館、ダイキンオードシェル蓼科、第一生命湯河原研修所、市原市水と緑の丘、筑波サーキット、(財)東京オペラシティー文化財団、ディレメンデレ美術館(トルコ)他にコレクションされている。
〜〜〜〜
ときの忘れもののある駒込(JR、地下鉄南北線「駒込駅」下車)の名所は広大な日本庭園「六義園」です。
一年で一番美しい紅葉の季節、いまライトアップがされています。
ハゼは見頃で赤く色づき、モミジは池周辺が色づき始めています!
モミジの見頃は今月下旬から12月上旬を予想しています。
ドウダンツツジやトウカエデも色づいています。
園内約560本の木々が紅葉します。
紅葉している場所も少しずつ移動していきますので
来園の度に違った光景をお楽しみいただけます。
「紅葉と大名庭園のライトアップ」は来月6日まで毎日行います
開園時間は午前9時〜午後9時まで、最終入園は午後8時30分までです。

※画像(撮影:スタッフS)をクリックすると大きいサイズでご覧いただけます。
20171121_六義園_0820171121_六義園_0920171121_六義園_1320171121_六義園_1520171121_六義園_1620171121_六義園_2420171121_六義園_2320171121_六義園_1220171121_六義園_11

園内では紅葉の他、茶屋での抹茶を楽しんだり、
軽飲食やお土産の販売を楽しんだりもできます。
正門と、駒込駅から徒歩2分の染井門もご利用いただけます
みなさまのお越しをお待ちしております!
(六義園のHPより)

◆ときの忘れものは「細江英公写真展」を開催しています。
会期=2017年10月31日[火]―11月25日[土]
293

細江先生は秋の叙勲で旭日重光章を受章されました。
●会期中、細江英公サイン入り写真集を特別頒布しています。

◆銀座のギャラリーせいほうで宮脇愛子展が開催されています。
201711MIYAWAKI「宮脇愛子展 last works(2013〜14)」
会期=2017年11月20日[月]〜12月2日[土] ※日・祝日休廊
会場=ギャラリーせいほう 
〒104-0061 東京都中央区銀座8丁目10-7 東成ビル1F
電話:03-3573-2468
最後の新作である油彩を中心に立体(ガラス、真鍮)、ドローイング、版画など。


◆ときの忘れものは「メキシコ地震被災地支援・チャリティー頒布会」を開催します。
201711mexico
会期:2017年11月28日(火)〜12月2日(土)
出品100点のリストは11月11日ブログに掲載し、予約受付を開始しました。
全作品、一律8,000円で頒布し、売上金全額を被災地メキシコに送金します。
※お申込みの返信は、翌営業日となります。(日・月・祝日は休廊です。)


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TAKIGUCHI_3-4『瀧口修造展 III・IV 瀧口修造とマルセル・デュシャン』図録
2017年10月
ときの忘れもの 発行
92ページ
21.5x15.2cm
テキスト:瀧口修造(再録)、土渕信彦、工藤香澄
デザイン:北澤敏彦
掲載図版:65点
価格:2,500円(税別)*送料別途250円
*『瀧口修造展 I』及び『瀧口修造展 II』図録も好評発売中です。


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価格:2,700円+税 *送料:250円
亭主もインタビューを受け、1984年の版画制作始末を語りました。
安藤先生のサイン本をときの忘れもので扱っています。

六本木の国立新美術館では「安藤忠雄展―挑戦―」が開催されています。
会期:2017年9月27日[水]〜12月18日[月]
番頭おだちのオープニング・レポートはコチラを、光嶋裕介さんのエッセイ「安藤忠雄展を見て」と合わせてお読みください。
ときの忘れものでは1984年以来の安藤忠雄の版画、ドローイング作品をいつでもご覧になれます。

●ときの忘れものは、〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました(詳しくは6月5日及び6月16日のブログ参照)。
電話番号と営業時間が変わりました。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531 
営業時間=火曜〜土曜の平日11時〜18時。日・月・祝日は休廊。

JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
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細江英公写真展より〈鎌鼬〉と〈春本・浮世絵うつし〉

ときの忘れものは本日(祝日)は休廊です。
開催中の「細江英公写真展」も会期は残すところ、明日と明後日の二日となりました。
連日、若い人たちがどこで知ったのかたくさん来廊されています。カメラを片手にじっと作品を見つめる人、熱心にメモをとる人、図書室の本棚から興味のある本を引っ張り出して読みふける人、亭主はもう歳なので(耳も遠い)あまり話かけたりはしませんが、嬉しいですね。
本日は展示作品の中から〈鎌鼬(かまいたち)〉と〈春本・浮世絵うつし〉のシリーズをご紹介します。

鎌鼬
〈鎌鼬〉は、1965年土方巽(当時37歳)と細江英公(当時32歳)の二人が土方の故郷である秋田の農村に出かけて、何の打合せもなく、ハプニング的に撮影されました。二人の天才の才能がぶつかり合って生まれたこの〈鎌鼬〉は、「記憶の記録」または「主観的ドキュメンタリー」として、1968年まで断続的に撮影が続けられ、1969年現代思潮社から写真集『鎌鼬』として出版されました。翌年には芸術選奨文部大臣賞を受賞するなど、細江英公の代表作として高い評価を得ています。

細江英公展20171101金平茂紀さん
金平茂紀さん(TBS報道特集のキャスター)の好きな写真の前で。
2017年11月1日

02_鎌鼬#8,1965_
細江英公《鎌鼬#8, 1965》
1965(printed later) ゼラチンシルバープリント 60.9x50.8cm Signed

鎌鼬#17,1965
細江英公《鎌鼬#17, 1965》
1965(printed later) ピグメント・アーカイバル・プリント 50.8×60.9cm Signed

細江英公鎌鼬#37,1965
細江英公《鎌鼬#37, 1968》
1968(printed later) ピグメント・アーカイバル・プリント 50.8×60.9cm Signed

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春本・浮世絵うつし
〈おとこと女〉、土方巽の〈鎌鼬〉、三島由紀夫の〈薔薇刑〉など、半世紀にわたり問題作を撮りつづけてきた細江英公が、2003年に新たに挑んだシリーズです。
土方の舞踏発祥の地であるアスベスト館が経済不況のあおりを受け落城したのは 2003年3月でした。閉館を余儀なくされる前年の2002年末から2003年1月にかけてアスベスト館挽歌として細江英公が撮り下ろしたのが 〈春本・浮世絵うつし〉です。
土方夫人の元藤火華子さん、大野慶人さん、玉野黄市さんらが出演し、江戸期の浮世絵画家や奇想の画家の絵をモチーフに、江戸の爛熟した文化と現代の舞踏家の肉体との融合をはかる作品が色鮮やかに展開されました。

細江浮世絵7-3

細江英公《春本・浮世絵うつし #7-3》
2003年 Type-C print 40.6×50.8cm Ed.30 Signed

U_P_#3-30, 2003

細江英公《春本・浮世絵うつし #7-3》
2003年 Type-C print 40.6×50.8cm Ed.30 Signed

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●「メキシコ地震被災地支援・チャリティー頒布会」には予想外に多くの方から予約のお申し込みをいただき、ありがとうございます。
スタッフたちはその対応にてんてこ舞いです。ミロ、シャガール、向井良吉、吉仲太造などには10〜20倍の申し込みが集中し、抽選になります。このままだと一点もお買いになれない方が続出し、せっかくのメキシコ地震被災地支援のお気持ちが無になりかねません。
どうぞメキシコ地震被災地支援の趣旨をお汲み取りいただき複数の作品を申し込んでください。
201711mexico
会期:2017年11月28日(火)〜12月2日(土)
出品100点のリストは11月11日ブログに掲載し、予約受付を開始しました。
全作品、一律8,000円で頒布し、売上金全額を被災地メキシコに送金します。
※お申込みの返信は、翌営業日となります。(日・月・祝日は休廊です。)


◆ときの忘れものは「細江英公写真展」を開催しています。
会期=2017年10月31日[火]―11月25日[土]
293

細江先生は秋の叙勲で旭日重光章を受章されました。
●会期中、細江英公サイン入り写真集を特別頒布しています。

◆銀座のギャラリーせいほうで宮脇愛子展が開催されています。
201711MIYAWAKI「宮脇愛子展 last works(2013〜14)」
会期=2017年11月20日[月]〜12月2日[土] ※日・祝日休廊
会場=ギャラリーせいほう 
〒104-0061 東京都中央区銀座8丁目10-7 東成ビル1F
電話:03-3573-2468
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2017年10月
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テキスト:瀧口修造(再録)、土渕信彦、工藤香澄
デザイン:北澤敏彦
掲載図版:65点
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ときの忘れものでは1984年以来の安藤忠雄の版画、ドローイング作品をいつでもご覧になれます。

●ときの忘れものは、〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました(詳しくは6月5日及び6月16日のブログ参照)。
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営業時間=火曜〜土曜の平日11時〜18時。日・月・祝日は休廊。

JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
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石原輝雄のエッセイ「マルセル、きみは寂しそうだ。」第4回

石原輝雄のエッセイ「マルセル、きみは寂しそうだ。」─4

『読むと赤い。』

展覧会 キュレトリアル・スタディズ(12)
    泉/Fountain 1917─2017
    京都国立近代美術館4階コレクション・ギャラリー
    2017年4月19日(水)〜2018年3月11日(日)

Case-4 デュシャンを読む: リサーチ・ノート
    キュレーション: ベサン・ヒューズ(アーティスト)
    2017年10月25日(水)〜12月24日(日)

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MR4-01平安神宮大鳥居 10月26日(木) 13:34


京都は紅葉の季節。4月から始まった『泉』の誕生100周年祝賀企画も6ヶ月目に入り、ウェールズ出身の美術家ベサン・ヒューズによる展示が10月25日から始まっている。この報告がアップされる頃には岡崎公園も錦秋に染まり、足元には木々の落葉が幾枚も重なって、気持ちよく歩いているだろう。地表の弾力と眼の喜び、そして、踏みしめる音。身体の感覚の元となっている色とりどりの葉が、ベサンの仕事に繋がるのではと思う。

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MR4-02Case-4の展示


MR4-03


 彼女が2007年から始めた『デュシャンを読む: リサーチ・ノート』のプロジェクトは、作者だけでなく、観る者によっても作品が作られると云うデュシャンの言説に触発されたようで、興味深い。美術館の壁面を埋め尽くしたベサンのA4シートはおよそ700枚。様々な写真や資料、書籍のページをコピーして余白に書き込んだ思考の痕跡が、仏語と英語の間を行き来し、メモ的なデッサンや所々に貼られた各色の付箋、新しいA4シートへと続く解釈が、さらに核心へ迫るのか? デュシャンの回りで溺れるのか? これに立ち入ろうとしたけど、日本語世界のわたしには難しい。美術史家や評論家、哲学者や収集家といった分類に属さず、デュシャンと同じ意味での美術家によるアプローチは、ファイルに入って、無造作に留められたA4シートのように美しい── で、どうして、彼女はデュシャンの虜になってしまったのかと26日のアーティスト・トークに参加しながら考えた。

 もちろん、デュシャンへの関心は『泉』(1917年)が最初。そして、ターニングポイントとなった作品が幾つかあり、修正されたレディメイドの『薬局』(1914年)もそのひとつと聞いた。彼女は「水辺に枯木の立っている風景」を手に翳し(シートだから可能)、透かし見ながら、「赤と青」の点が盤上に立つキングとクイーンに見えると、楽しげな様子。これはデュシャンに心を奪われたひとの眼差しだ。彼女はチェスを知らなければデュシャンは判らないと、駒の動きを勉強された。でも「ルールは学んだけれど、プレイはできない」と打ち明けられ、世界の半分を支配する男性と、お喋りな女性に言及され、チェスの勝敗を決する真ん中のライン、ニュートラルな部分こそデュシャン的だと。「頭脳によるスポーツの代表格」と云われるチェスの世界を使ってデュシャンと共に思考の動きを解読しようとする行為は、純粋な楽しみなんだろうな。トークの観客をまず『薬局』の前に誘い、初手の白い駒を進めた彼女の戦術は、上手くいったと思う。収集家の世界では、チェスのアイテムには特別の愛好家が存在し、しばしば、高騰する。それで、わたしの場合、入手出来ない目に何度かあった(これは関係ないか)。

 次いで、現物が展示されているレディメイドの『罠』(1917年)から音符を読む試み。音楽もデュシャンを理解する重要な要素として勉強されたとベサン。チェスの1プレイヤーが32音符と呼ばれるのも偶然ではないとも。そして、マス目の64に繋がるとの視覚的な連想。さらに、『泉』のシルエットで切り抜かれた写真からカトリックの三位一体説に触れ、デュシャンの家族観へと展開。カトリックの勉強もされたベサン。これ以上、ゲームを楽しむ彼女の熱いレクチャーに深入りすることは避けるが、宗教やフェミニズムへの配慮、『貞淑さの楔』での男性器への指摘などには、文化の違いから戸惑いを覚えた。

 試合の展開を俯瞰できるチェスと異なり、脳内で繰り広げられ、絞り出されてA4シートに落ちたイメージの往復運動は、対戦相手がフランスの代表選手であるが故に、凡人では、理解できない。「他者を自作へとしばる」デュシャン流の戦略は、ゲームのルールを『泉』を使って開示した初手のインパクトゆえの勝利であるのだろうな。時代や人間に共通する問題提起、解決の方法であるとしても。

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MR4-04『薬局』などのシート


MR4-05Bethan Huws(1961 - )


MR4-06『罠』などのシート


MR4-07常設展示室 10月26日(水) 15:49


 男も女も、そうでない人も、デュシャンの仕掛けた「罠」に捕まり、もがき苦しんでいるように思う。身近にもいる、そうした人たちは「わたしは違う」と言い訳した後に、作品やメモと云った思考の断片に取り組み、私的な解釈を、逆説的だけど「楽しげに」発表されている。読んでみると悦楽さえ感じさせる不思議な例が多い。哲学的であり、破綻しないように論を進める身振りが、網膜の喜びの側にいるわたしには苦しい。マン・レイはチェスの試合よりも駒のデザインに関心を持ち「問題などなにもない、だから解決などということもないのだ」とする友人に対して「解決があるだけである」と明るく、この前段に「感ずると同時に思考している頭脳がみせる異常は、どれもつねに興味深いものである」と『セルフ・ポートレイト』(千葉成夫訳、美術公論社、1981年刊、384-385頁)に書いている。いけない、いけない、デュシャンの「罠」に捕まりそうだ。

 それにしても、今回のベサン・ヒューズが、示したインスタレーションは、観客も彼女と共に、「迷宮で」デュシャンを楽しむ仕掛けに満ち、前3回の展示と比べて『泉』を身近に感じた。展示台に置かれたレディメイドも接近可能な状態であり、カメラ片手に盗撮に近い気分(したことはありません)で、『旅行用折りたたみ品』(1916年)や『三つの停止原基』(1913-14年)を覗いた。美的な意味を解釈してはいけないそうだけど、美しいのだから仕方がない。加えて、今回の展示でわたしの心が一番騒いだのは、レディメイドが入っていた木箱の意匠。初めて覗いた『秘められた音で』(1916年)の、内貼りのオレンジ色がエロティック。この色、平安神宮の大鳥居に続いてないかしら

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MR4-08『泉』(部分) (1917/1964)


MR4-09『旅行用折りたたみ品』(1916/1964)


MR4-10『三つの停止原基』(部分) (1913-14/1964)


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MR4-11『お尋ね者』などのシート


MR4-12

 
MR4-13Bethan Huws著『Research Notes』(2014年刊)の『貞淑さの楔』掲載頁(343)、


 アーティスト・トークの会場で、直接、「デュシャンと色」との関係を尋ねてみれば良かったのだけど、機会を逸してしまった。後日、再訪した折『お尋ね者』(1934年)からの付箋紙で「RED / READ」から「ROSE / ROUGE」へと繋がる単語を読んだ。デュシャンと言えばグリーンだと単純に思っていたけれど、『お尋ね者』での色使いの為か、「赤」から「読んだ」が連想され、さらに、寓意に満ちた「薔薇」「口紅」へとデュシャンをリサーチするベサン。「READ」は、彼女にとって特別の、意味ある動詞のようで、過去の作品でも重要なモチーフになっている。「READ」は、過去形も「READ」と綴り、発音が「RED」になるのは、よく知られている。デュシャンを読むと、木々の葉は赤く色づき、やがて風に舞って、足の周りに落ちてくる。寒暖の差が激しい不安な世界、美術館の壁面を埋め尽くしたベサンのA4シートが、どのように落下するのか? 襟を立てながら待っていたい。

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MR4-14


MR4-15岡崎公園 11月9日(木) 16:24


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MR4-16参考資料 左上 ホッチキス留め


MR4-17チラシ 表・裏


MR4-18盤上(?)の『秘められた音で』など


 さて、京近美では、アーティスト・トークで配付された平芳幸浩氏の参考資料8枚(両面刷り)の他に、折り畳んだ紙を拡げ、2枚並べてチェス板の64マスを演出するチラシなど、紙モノ好きの琴線に触れるアイテムが、続々と登場している。尚、来年1月5日(金)からの最終回(Case-5)は、アーティスト・毛利悠子さんの『散種』。批評家・浅田彰氏とのトークや、富山県美からの特別ゲスト上洛も予告され、今から期待が膨らんでいる。

続く

いしはら てるお

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「キュレトリアル・スタディズ12:泉/Fountain 1917−2017」
会期:2017年4月19日[水]〜2018年3月11日[日]
会場:京都国立近代美術館 4F コレクション・ギャラリー内
時間:9:30〜17:00(入館は16:30まで)
   ※毎週金曜・土曜9:30〜20:00(入館は19:30まで)
休館:月曜(月曜日が休日に当たる場合は、翌日が休館)、及び年末・年始
   ※展示替期間:2017年6月13日(火)、8月8日(火)、10月24日(火)
企画:平芳幸浩(京都工芸繊維大学美術工芸資料館准教授)、牧口千夏(当館主任研究員)

1917年にマルセル・デュシャンによって「制作」されたレディメイド作品《泉》は、20世紀美術にもっとも影響を与えた作品として知られています。また1960年代のコンセプチュアル・アート以降、デュシャンの《泉》を解釈・解読すること自体が創作行為にもなっています。2017年4月に《泉》が100周年を迎えるにあたって企画されたこのプログラムでは、当館の所蔵作品だけでなく現代の美術家によるデュシャン解読の作例を加え、各回展示替えをしながら本作品の再制作版(1964)を1年間展示するとともに、さまざまなゲストを迎えて《泉》およびデュシャンをめぐるレクチャーシリーズを開催します。

●Case 4: デュシャンを読む:リサーチ・ノート
2017年10月25日(水)〜12月24日(日)
キュレーション:べサン・ヒューズ(アーティスト)
アーティストトーク:10月26日(木)午後3時〜
会場:4階コレクション・ギャラリー
※先着40名、聴講無料、要観覧券、当日午後2時より1階インフォメーションにて整理券を配布します。

●Case 5: 散種
2018年1月5日(金)〜3月11日(日)
キュレーション:毛利悠子(アーティスト)
クロストーク:2018年1月26日(金)午後6時〜 毛利悠子×浅田彰(批評家)
会場:京都国立近代美術館 1階講堂
※先着100名、聴講無料、要観覧券、当日午後5時より1階インフォメーションにて整理券を配布します。
(京都国立近代美術館HPより転載)

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●今日のお勧め作品は、マン・レイです。
20171122_ray_08_newyork-duchampマン・レイ
《ニューヨークのマルセル・デュシャン》
1921年
ゼラチンシルバープリント
イメージサイズ:28.0×21.0cm
裏面にスタンプあり


こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください
ときの忘れものの通常業務は平日の火曜〜土曜日です。日曜、月曜、祝日はお問い合わせには返信できませんので、予めご了承ください。

◆ときの忘れものは「細江英公写真展」を開催しています。
会期=2017年10月31日[火]―11月25日[土]
293

細江先生は秋の叙勲で旭日重光章を受章されました。
●会期中、細江英公サイン入り写真集を特別頒布しています。

◆ときの忘れものは「メキシコ地震被災地支援・チャリティー頒布会」を開催します。
201711mexico
会期:2017年11月28日(火)〜12月2日(土)
出品100点のリストは11月11日ブログに掲載し、予約受付を開始しました。
全作品、一律8,000円で頒布し、売上金全額を被災地メキシコに送金します。
※お申込みの返信は、翌営業日となります。(日・月・祝日は休廊です。)


◆銀座のギャラリーせいほうで宮脇愛子展が開催されています。
201711MIYAWAKI「宮脇愛子展 last works(2013〜14)」
会期=2017年11月20日[月]〜12月2日[土] ※日・祝日休廊
会場=ギャラリーせいほう 
〒104-0061 東京都中央区銀座8丁目10-7 東成ビル1F
電話:03-3573-2468
最後の新作である油彩を中心に立体(ガラス、真鍮)、ドローイング、版画など。


●書籍のご案内
TAKIGUCHI_3-4『瀧口修造展 III・IV 瀧口修造とマルセル・デュシャン』図録
2017年10月
ときの忘れもの 発行
92ページ
21.5x15.2cm
テキスト:瀧口修造(再録)、土渕信彦、工藤香澄
デザイン:北澤敏彦
掲載図版:65点
価格:2,500円(税別)*送料別途250円

*『瀧口修造展 I』及び『瀧口修造展 II』図録も好評発売中です。


安藤忠雄の奇跡安藤忠雄の奇跡 50の建築×50の証言
2017年11月
日経アーキテクチュア(編)
B5判、352ページ
(NA建築家シリーズ 特別編 日経アーキテクチュア)
価格:2,700円+税 *送料:250円
亭主もインタビューを受け、1984年の版画制作始末を語りました。
安藤先生のサイン本をときの忘れもので扱っています。

六本木の国立新美術館では「安藤忠雄展―挑戦―」が開催されています。
会期:2017年9月27日[水]〜12月18日[月]
番頭おだちのオープニング・レポートはコチラを、光嶋裕介さんのエッセイ「安藤忠雄展を見て」と合わせてお読みください。
ときの忘れものでは1984年以来の安藤忠雄の版画、ドローイング作品をいつでもご覧になれます。

●ときの忘れものは、〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました(詳しくは6月5日及び6月16日のブログ参照)。
電話番号と営業時間が変わりました。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531 
営業時間=火曜〜土曜の平日11時〜18時。日・月・祝日は休廊。

JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
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◆ときの忘れもののブログは下記の皆さんのエッセイを連載しています。
 ・大竹昭子のエッセイ「迷走写真館 一枚の写真に目を凝らす」は毎月1日の更新です。
 ・frgmメンバーによるエッセイ「ルリユール 書物への偏愛」は毎月3日の更新です。
 ・小国貴司のエッセイ「かけだし本屋・駒込日記」は毎月5日の更新です。
 ・佐藤研吾のエッセイ「大地について―インドから建築を考える―」は毎月7日の更新です。
 ・杉山幸一郎のエッセイ「幸せにみちたくうかんを求めて」は毎月10日の更新です。
 ・関根伸夫のエッセイ「〈発想〉について[再録]」は毎月12日の更新です。
 ・野口琢郎のエッセイ「京都西陣から」は毎月15日の更新です。
 ・倉方俊輔のエッセイ「『悪』のコルビュジエ」は毎月17日の更新です。
 ・小林紀晴のエッセイ「山の記憶」は毎月19日の更新です。
 ・清家克久のエッセイ「瀧口修造を求めて」は毎月20日の更新です。
 ・小林美香のエッセイ「写真集と絵本のブックレビュー」は毎月25日の更新です。
 ・スタッフSの「海外ネットサーフィン」は毎月26日の更新です。
 ・森本悟郎のエッセイ「その後」は毎月28日の更新です。
 ・笹沼俊樹のエッセイ「現代美術コレクターの独り言」はしばらく休載します。
 ・大野幸のエッセイ<ときの忘れもの・拾遺 ギャラリーコンサート>は随時更新します。
 ・植田実のエッセイ「美術展のおこぼれ」は、更新は随時行います。
  同じく植田実のエッセイ「生きているTATEMONO 松本竣介を読む」と合わせお読みください。
  「本との関係」などのエッセイのバックナンバーはコチラです。
 ・中村茉貴のエッセイ「美術館に瑛九を観に行く」は随時更新します。
 ・飯沢耕太郎のエッセイ「日本の写真家たち」英文版とともに随時更新します。
 ・深野一朗のエッセイは随時更新します。
 ・「久保エディション」(現代版画のパトロン久保貞次郎)は随時更新します。
 ・藤本貴子のエッセイ「建築圏外通信」は終了しました。
 ・森下隆のエッセイ「鎌鼬美術館——秋田県羽後町田代に開館」は終了しました。
 ・芳賀言太郎のエッセイ「El Camino(エル・カミーノ) 僕が歩いた1600km」は終了しました。
 ・夜野悠のエッセイ「書斎の漂流物」は終了しました。
 ・普後均のエッセイ「写真という海」は終了しました。
 ・八束はじめ・彦坂裕のエッセイ「建築家のドローイング」(再録)は終了しました。
 ・光嶋裕介のエッセイ「和紙に挑む」は終了しました。
 ・石原輝雄のエッセイ「マン・レイへの写真日記」は終了しました(時々番外編あり)。
 ・荒井由泰のエッセイ「いとしの国ブータン紀行」は終了しました。
 ・森下泰輔のエッセイ「戦後・現代美術事件簿」は終了しました。
 ・「殿敷侃の遺したもの」はゆかりの方々のエッセイや資料を随時紹介します。
 ・「オノサト・トシノブの世界」は円を描き続けた作家の生涯と作品を関係資料や評論によって紹介します。
 ・「瀧口修造の世界」は造形作家としての瀧口の軌跡と作品をテキストや資料によって紹介します。
土渕信彦のエッセイ「瀧口修造とマルセル・デュシャン」、「瀧口修造の箱舟」と合わせてお読みください。
 ・「関根伸夫ともの派」はロスアンゼルスで制作を続ける関根伸夫と「もの派」について作品や資料によって紹介します。
 ・「現代版画センターの記録」は随時更新します。
今までのバックナンバーの一部はホームページに転載しています。

実験工房の人たち〜駒井哲郎を追いかけて第64回

昨日11月20日は駒井哲郎先生の命日でした。
*1920年(大正9年)6月14日生まれ〜1976年(昭和51年)11月20日没

埼玉県立近代美術館で実に15年ぶりとなった「「駒井哲郎 夢の散策者」展」が10月9日に終了しました。
9月9日のブログには担当学芸員の吉岡知子先生に<企画展「駒井哲郎 夢の散策者」に寄せて―武田光司氏のコレクション>を寄稿していただきましたのでお読みください。
最終日、社長と二人でメモを取りながらじっくりと拝見したのですが、思いがけず新たな発見もあり、宿題をたくさん抱えこむ結果となりました。「新たな発見」については次回以降、すこしづつ発表してまいります。
駒井哲郎先生の業績について、従来は「銅版画の詩人」「白と黒の造形」という面ばかりが強調されてきましたが、モノタイプ作品に象徴される色彩画家としての側面、さらにはインターメディアの運動への参加(実験工房)についての考究はまだまだ不十分と言わざるを得ません。

瀧口修造が主導した実験工房は領域横断的な活動において先駆的でしたが、この秋、実験工房に参加した二人の作家〜湯浅譲二(1929年生まれ)と山口勝弘(1928年生まれ)〜の注目すべきイベントがありました。

作曲家の個展供^賁慧 × 湯浅譲二
20171030一柳・湯浅サントリー表紙
日時:2017年10月30日19時開演
会場:サントリーホール 大ホール
サントリー芸術財団の主催。毎年日本人作曲家からふたりを選び新作を委嘱して、公演するというもの。今年は一柳慧 と実験工房のメンバーだった湯浅譲二のお二人でした。

一柳・湯浅サントリープログラム縮小
<湯浅譲二氏に委嘱しておりました新作は、作曲者の体調不良により、旧作の「クロノプラスティク供廚剖別槓儿垢気擦討い燭世ました。その後順調に回復を続け、一部ですが完成した新作「オーケストラのための軌跡」を今回の演奏会で披露できる運びとなりました。約2分前後ではございますが、氏の現在のご境地の一端をお聴き頂ければ幸甚です。湯浅氏は新作の全曲完成に向け、現在も作曲を続けられています。近い将来にこの続きを聴く日が来ることを願ってやみません。(サントリーホールのHPより)>

一柳、湯浅 サントリーホール20171030開演に先立ちお二人のトークがありました。右から一柳先生、湯浅先生、聞き手の沼野雄司さん。
湯浅先生は足がご不自由な様子でゆっくりと歩かれて登場、お洒落な服装といい、ぴんと延ばした背筋に社長は「素敵だわね」とため息をついていました。
最後に演奏された一柳慧作曲『ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲』(指揮:杉山洋一、ヴァイオリン:成田達輝、チェロ:堤剛、東京都交響楽団)は世界初演でした。
白馬の騎士のごとき成田さんと、豪快な堤さんとの掛け合い、圧巻でした。客席から送られる熱い拍手に、一柳先生は何度も笑顔でもって応えておりました。
お二人とも美術に造詣が深く、戦後美術の重要な証言者でもあります。お二人の健康とますますのご活躍を祈らずにはおられません。

岡本太郎とメディアアート展 山口勝弘ー受け継がれるもの
会期:2017年11月3日[金・祝]〜2018年1月28日[日]
会場:川崎市岡本太郎美術館
20171118岡本太郎


20171118岡本太郎_裏

出品作家:岡本太郎山口勝弘、幸村真佐男、高橋士郎、中嶋興、田中敬一、原田大三郎、P.I.C.S. TECH、岩井俊雄、クリストフ・シャルル、森脇裕之、明和電機
CIMG8905山口勝弘展内覧会9出品作家
内覧会にて、出品作家の皆さん。
右端が山口勝弘先生(1928年生まれ)
2017年11月2日

CIMG8913山口勝弘展内覧会10勝井、池田
左から池田龍雄先生、勝井三雄先生、山口勝弘先生

CIMG8915山口勝弘展内覧会11池田、綿貫
池田、山口先生は三ヶ月違いの同い年。
亭主を加えると計250歳であります。

CIMG8916山口勝弘展内覧会12松本哲夫
いまや建築界の生き字引、剣持デザイン研究所代表の松本哲夫さんは一つ下の1929年(昭和4年)生まれ、とてもお元気です。

CIMG8894山口勝弘展内覧会4自作の前で
展示会場で山口先生

CIMG8897山口勝弘展内覧会5石山修武
左は建築家の石山修武先生

CIMG8899山口勝弘展内覧会6版画と令子
思いもかけず私たちが1981年にエディションした「万華鏡」が出品されていました。


CIMG8900山口勝弘展内覧会7版画と
同じく現代版画センターのエディション「Kinetic Fountain

CIMG8891山口勝弘展内覧会2映像
新発掘の映像作品「銀輪」も上映されています。

CIMG8892山口勝弘展内覧会3自作の前で
代表作「ヴィトリーヌ」シリーズの前で、山口先生。

CIMG8917山口勝弘展内覧会13太郎美術館
広大な生田緑地の一角にある美術館、緑も多いし環境抜群なのですが、向ヶ丘遊園駅から歩くのは老人には少々きついですね。行き(登り坂)はタクシー、帰りは歩きました。


二つのイベントでお目にかかった(再会した)作家たち〜一柳慧、湯浅譲二、山口勝弘、池田龍雄、勝井三雄、松本哲夫〜は皆昭和一桁生まれ、ご病気になられた方も驚異的な生命力で今もなお創作に情熱を燃やしておられます。

湯浅譲二先生は実験工房で駒井哲郎先生とコラボレーションしたことがあり、1991年の駒井哲郎展(資生堂ギャラリー)の折に、お話をうかがったことがあります。
下に紹介するのは、亭主が編集した駒井哲郎展(資生堂ギャラリー)のカタログです。
倒産後、美術の世界に戻ることなど考えもできなかったのですが、この展覧会がきっかけで再び駒井作品を追いかけることの出来る日が再来しました。
四半世紀経った今でも忘れることのできない色彩の溢れた展覧会でした。

02『没後15年 銅版画の詩人 駒井哲郎回顧展』図録
1991年  資生堂 発行
63ページ 26.0x18.0cm
収録図版:85点(油彩、水彩、銅版、木版、モノタイプ)
執筆:中林忠良、野見山暁治、駒井美子、福原義春、中村稔、河合晴生、
解題:綿貫不二夫
企画・編集:資生堂企業文化部、アルスマーレ企画室
デザイン:ディスハウス(北澤敏彦)
*シリーズ企画<資生堂ギャラリーとそのアーティスト達>の第1回展図録

この展覧会では湯浅譲二先生とのコラボレーションに使われたスライドの原画作品も出品することができました。
資生堂91年駒井展図録


資生堂91年駒井展図録レスピューグ原画2

以下は亭主の書いた図録の解題から再録です。
〜〜〜
◆実験工房第5回発表会でのスライドの原画(10〜24)
――春陽会や、サンパウロ・ビエンナーレで受賞、新進気鋭の銅版画家として脚光を浴びた駒井哲郎は、1952年(昭和27)瀧口修造を顧問格とするインターメディア集団「実験工房」に参加する。メンバーは、造形から北代省三、山口勝弘、福島秀子、写真の大辻清司、音楽からは武満徹、鈴木博義、湯浅譲二の三人の作曲家とピアニストの園田高弘、それに音楽評論の秋山邦晴、照明の今井直次、技術の山崎英夫たちであった。その第5回発表会が1953年(昭和28)9月に第一生命ホールで開かれ、駒井哲郎は湯浅譲二と組んでオートスライドの作品「レスピューグ」の共同制作を行なった。

湯浅譲二の回想(「プリントアート」17号、1974年)によれば、
……私達は当時始めて(原文ママ)出来たオート・スライドを手にして、造形、音楽が協力してインターメディア的作品を発表することになった。私は駒井さんと組んで、ロベール・ガンゾの詩による「レスピューグ」を制作した。
ガンゾの詩は、部分的に引用すると、
 朝の光だ 見よ 私達のもとへ丘が拡がる 鳥達や 花咲く樹々 そして 揺れそよぐ緑の叢にたたえる水と共に お前は やっと女らしく 肌ほてらせて あたかも私に引きしぼった恍惚の弓よ
といったものだった。駒井さんは赤や青、オレンジや黒などの色紙の上に絵具でイメージを画き、それをスライドにし、私は、フルートとピアノをもとにして、テープの逆回転などを利用しながら、日本では殆ど最初といっていい、ミュージック・コンクレートを作った。何日間もの連続徹夜での制作の末に開かれたコンサートの日に、会場の第一生命ホールで私はヘルツ・ノイローゼで倒れ、友人が薬局に走ってくれたりするあわただしさの中に、駒井さんはアルコールを大部入れて現われた。
興奮と不安、冒険への気負いが奇妙に入り混った夜だったが、いわば青春と友情のここちよい夢といった世界がそこにはあった。

………
今回出品される15点の原画はこの時のスライドのためのもので、全部で29点がパステルやグワッシュで制作されたという(作品の天地は不明)。
(以下略)
第1回 資生堂ギャラリーとそのアーティスト達 没後15年 銅版画の詩人 駒井哲郎 回顧展』カタログより

●今日のお勧め作品は、山口勝弘です。
20171130_yamaguchi_05_yoru-shinkou山口勝弘
「夜の進行」
1981年 シルクスクリーン
イメージサイズ:47.0×40.0cm
シートサイズ:63.0×49.0cm
Ed.50 鉛筆サインあり
*現代版画センターエディション

こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください

◆ときの忘れものは「細江英公写真展」を開催しています。
会期=2017年10月31日[火]―11月25日[土]
293

細江先生は秋の叙勲で旭日重光章を受章されました。
●会期中、細江英公サイン入り写真集を特別頒布しています。

◆ときの忘れものは「メキシコ地震被災地支援・チャリティー頒布会」を開催します。
201711mexico
会期:2017年11月28日(火)〜12月2日(土)
出品100点のリストは11月11日ブログに掲載し、予約受付を開始しました。
全作品、一律8,000円で頒布し、売上金全額を被災地メキシコに送金します。
※お申込みの返信は、翌営業日となります。(日・月・祝日は休廊です。)


◆銀座のギャラリーせいほうで宮脇愛子展が開催されています。
201711MIYAWAKI「宮脇愛子展 last works(2013〜14)」
会期=2017年11月20日[月]〜12月2日[土] ※日・祝日休廊
会場=ギャラリーせいほう 
〒104-0061 東京都中央区銀座8丁目10-7 東成ビル1F
電話:03-3573-2468
最後の新作である油彩を中心に立体(ガラス、真鍮)、ドローイング、版画など。


●書籍のご案内
TAKIGUCHI_3-4『瀧口修造展 III・IV 瀧口修造とマルセル・デュシャン』図録
2017年10月
ときの忘れもの 発行
92ページ
21.5x15.2cm
テキスト:瀧口修造(再録)、土渕信彦、工藤香澄
デザイン:北澤敏彦
掲載図版:65点
価格:2,500円(税別)*送料別途250円
*『瀧口修造展 I』及び『瀧口修造展 II』図録も好評発売中です。


安藤忠雄の奇跡安藤忠雄の奇跡 50の建築×50の証言
日経アーキテクチュア(編)
B5判、約320ページ
(NA建築家シリーズ 特別編 日経アーキテクチュア)
価格:2,700円+税 *送料:250円
亭主もインタビューを受け、1984年の版画制作始末を語りました。
安藤先生のサイン本をときの忘れもので扱っています。

六本木の国立新美術館では「安藤忠雄展―挑戦―」が開催されています。
会期:2017年9月27日[水]〜12月18日[月]
番頭おだちのオープニング・レポートはコチラを、光嶋裕介さんのエッセイ「安藤忠雄展を見て」と合わせてお読みください。
ときの忘れものでは1984年以来の安藤忠雄の版画、ドローイング作品をいつでもご覧になれます。

●ときの忘れものは、〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました(詳しくは6月5日及び6月16日のブログ参照)。
電話番号と営業時間が変わりました。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531 
営業時間=火曜〜土曜の平日11時〜18時。日・月・祝日は休廊。

JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
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清家克久のエッセイ「瀧口修造を求めて」第9回

清家克久のエッセイ「瀧口修造を求めて」第9回

 瀧口修造が亡くなって三年後の1982年7月から9月にかけて郷里の富山で「第1回現代芸術祭 ― 瀧口修造と戦後美術」展(富山県立近代美術館)が開催された。瀧口と交流のあった作家の作品を通して戦後のアバンギャルド芸術において指導的立場にあった瀧口の存在が改めてクローズアップされる展示だった。

1 「瀧口修造と戦後美術」展チラシ「瀧口修造と戦後美術」展チラシ


2 同上出品リスト同上出品リスト


3 同上カタログ同上カタログ


 このとき瀧口の書斎にあった作家たちから贈られた作品やオブジェなどが初めて公開された。だが、かつて「私の部屋にあるものは蒐集品ではない。その連想が私独自のもので結ばれている記念品」(「白紙の周辺」より)であったはずの「物」たちは主を失い、どこか所在なげに私の目には映った。一方で、デカルコマニーの連作「私の心臓は時を刻む」(1962年南画廊個展発表)には、まさにその「発生の現場」に私自身も立ち会っているような感動を覚えた。

4 瀧口修造の書斎(美術手帖1981年8月号より)瀧口修造の書斎(美術手帖1981年8月号より)


5 瀧口修造個展カタログ(1962年南画廊)瀧口修造個展カタログ(1962年南画廊)


 その後十六年間、美術館で瀧口修造をテーマとした展覧会は開催されることがなかったが、1991年から刊行が始まった著作集「コレクション瀧口修造」(みすず書房)が1998年7月に全13巻・別巻1をもって完結するのに合わせるかのように大阪の国立国際美術館で「瀧口修造とその周辺」展が開催されることになった。

6 コレクション瀧口修造全13巻・別巻1(みすず書房)コレクション瀧口修造全13巻・別巻1(みすず書房)


 同展の企画に協力していた土渕信彦さんから、このカタログの瀧口修造展覧会歴に私が松山で行った「滝口修造と画家たち展」(1989年)を載せるので、担当学芸員の島敦彦さんへその時の資料を送ってほしいとの連絡を受けた。ささやかな小展示が公の展覧会カタログに紹介されることになろうとは思いも寄らなかった。やがて招待状と素晴らしいポスターが届きオープンの日に合わせて見に行くことになったが、その会場で新たな出会いが待っていたのである。

7 「瀧口修造とその周辺」展ポスター(国立国際美術館)「瀧口修造とその周辺」展ポスター(国立国際美術館)


 本展は先の富山における展覧会の趣旨を受け継ぎながらも、海外の作家を含めてグローバルな瀧口の活動を紹介するものとなり、カタログもコンパクトに纏められ島さんの解説と資料が大変参考になった。

8 同上パンフレット(表)同上パンフレット(表)


9 同上(裏)同上(裏)


10 展示風景展示風景


11 同上カタログ同上カタログ


 この会場で土渕さんからマン・レイ・コレクターの石原輝雄さん、多摩美術大学図書館の恩蔵昇さん、富山県立近代美術館学芸員の八木宏昌さん、瀧口ファンの竹内一人さんたちを紹介された。そして、同館のシンボルとなっているミロの巨大な陶板画「無垢の笑い」の前で記念写真を撮った。後日、撮影者の石原さんから写真と共に手紙をいただいたが、親しみと共感を抱く内容で、これが機縁となって瀧口に関連した展覧会などでお会いするようになり交友が深まっていった。

12 ミロ陶板画前にて記念写真(撮影・石原輝雄)ミロ陶板画前にて記念写真(撮影・石原輝雄)


13 石原さんからの手紙石原さんからの手紙


 石原さんについては「カメラ毎日別冊・マン・レイ」(1984年刊)や「第9回オマージュ瀧口修造―マン・レイ展」(佐谷画廊1989年)の執筆者の一人として名前は知っていたが、土渕さんから送っていただいた「石原輝雄コレクション 我が愛しのマン・レイ展」(名古屋市美術館1996年)のカタログを拝見して、筋金入りのコレクターにして研究者であることを了解した。
14 カメラ毎日別冊カメラ毎日別冊


15 「第9回オマージュ瀧口修造―マン・レイ展」カタログ「第9回オマージュ瀧口修造―マン・レイ展」カタログ


16石原輝雄コレクション展カタログ(名古屋市美術館)


 マンレイスト(Man Ray Ist)を名乗り、銀紙書房と名付けた全てが石原さんの手に成る個人出版によってその収集と研究の成果を次々と発表され、いずれも少部数だが手作り本としての魅力にあふれている。2005年に刊行された「マン・レイの謎、その時間と場所」は、日本での大規模な巡回展の様子を伝えるとともに石原さんによるマン・レイ作品の謎を巡る旅のドキュメントである。一見市販本と見紛う体裁だが中身は石原さんならではの仕掛けが施され、限定50部というのがいかにも惜しまれる。石原コレクションで特筆すべきは数千点に及ぶというエフェメラ(カタログ、ポスター、案内状など)であろう。過去から現在に至る世界各地で開催された展覧会資料等の追跡の様子が石原さんのブログ「マン・レイと余白に」で逐次報告されている。

17 石原輝雄著「マン・レイの謎、その時間と場所」(銀紙書房)石原輝雄著「マン・レイの謎、その時間と場所」(銀紙書房)


18 同書より同書より


 恩蔵昇さんは「第13回オマージュ瀧口修造―アンドレ・ブルトンと瀧口修造展」(佐谷画廊1993年)カタログの執筆者として初めてその名前を知ったが、「瀧口修造の書斎」と題されたその文章に魅かれるものを感じた。写真で見る瀧口の書斎にある作品やオブジェ、本などに目を凝らしていたかつての自分を重ね合わせて読んでいた。

19「第13回オマージュ瀧口修造展アンドレ・ブルトンと瀧口修造」カタログ


 瀧口の蔵書のほとんどが綾子夫人から多摩美術大学図書館に寄贈され「瀧口文庫」として書庫に収められることになり、その整理を担当していたのが恩蔵さんだった。1996年に「瀧口文庫」コレクションの中からポスターだけを選んだ展示が行われるとの情報が土渕さんからあり、そのカタログを注文するために恩蔵さん宛に手紙を出したが、その返事には是非「文庫」を見に来ていただきたいと書かれてあった。恩蔵さんによれば「資料の内容は、和書約3,500冊、洋書2,500冊、雑誌3,000冊さらにポスター約200点およびグルッポTの作品資料など約一万点におよぶ。」という膨大な量である。1999年の6月に多摩美術大学上野毛図書館に資料展示室が開設されたとの手紙と資料を送っていただいたので、その夏に恩蔵さんを訪ねて「瀧口文庫」を見せてもらったが、その数の多さからほとんど眺めるだけで終わってしまった。

20 「瀧口修造文庫ポスターコレクション」展チラシ「瀧口修造文庫ポスターコレクション」展チラシ


21 同上カタログ同上カタログ


22 同上カタログより同上カタログより


 八木宏昌さんは私たちよりも若い世代で学芸員の仕事を通して瀧口をどのように捉えているか興味を感じていた。大阪で初めてお会いした後に富山県立近代美術館から刊行されたばかりの「私の心臓は時を刻む」の作品図録を送っていただいた。瀧口のデカルコマニー連作百点が全てカラーで、しかも一点一点の作品データまで収録されている。瀧口修造初の造形作品集として私にとっても待ち望んでいたものだった。

23 瀧口修造「私の心臓は時を刻む」(富山県立近代美術館)瀧口修造「私の心臓は時を刻む」(富山県立近代美術館)


24 同書より同書より


 八木さんからの手紙には「今という時は、瀧口さんを語るうえで客観的な見方のできる時代だと思います。(中略)現代的な仕事をしながら瀧口さんを追い求めることに疑問を覚えられるかもしれません。しかし、私にとっては、今なお開かれた瀧口さんの目というものが、私の現代美術を見る目に大きく影響しているのです。」と書かれてあった。
せいけ かつひさ

■清家克久 Katsuhisa SEIKE
1950年 愛媛県に生まれる。

●今日のお勧め作品は、瀧口修造です。
20171120_瀧口修造瀧口修造
《-06》
水彩、墨、紙
Image size: 31.7x16.8cm
Sheet size: 31.7x16.8cm
Signed


こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください

本日11月20日(月)17時から銀座のギャラリーせいほうで宮脇愛子展のオープニングが開催されます。皆さまお誘いあわせの上、是非お越しください。私達もスタッフ全員参加します。
201711MIYAWAKI「宮脇愛子展 last works(2013〜14)」
会期=2017年11月20日[月]〜12月2日[土]
※日・祝日休廊

会場=ギャラリーせいほう 
〒104-0061 東京都中央区銀座8丁目10-7 東成ビル1F
電話:03-3573-2468
最後の新作である油彩を中心に立体(ガラス、真鍮)、ドローイング、版画など。


◆「メキシコ地震被災地支援・チャリティー頒布会」の予約申し込みを連日、多くの方からいただき、スタッフはその対応にてんてこ舞いです。ミロ、シャガール、向井良吉、吉仲太造などに申し込みが集中しており、抽選になります。このままだと一点もお買いになれない方が続出し、せっかくのメキシコ地震被災地支援のお気持ちが無になりかねません
どうぞ皆さん、複数の作品を申し込んでください。
201711mexico
会期:2017年11月28日(火)〜12月2日(土)
出品100点のリストは11月11日ブログに掲載し、予約受付を開始しました。
全作品、一律8,000円で頒布し、売上金全額を被災地メキシコに送金します。
※お申込みの返信は、翌営業日となります。(日・月・祝日は休廊です。)


◆ときの忘れものは「細江英公写真展」を開催しています。
会期=2017年10月31日[火]―11月25日[土]
293

細江先生は秋の叙勲で旭日重光章を受章されました。
●会期中、細江英公サイン入り写真集を特別頒布しています。

●書籍のご案内
TAKIGUCHI_3-4『瀧口修造展 III・IV 瀧口修造とマルセル・デュシャン』図録
2017年10月
ときの忘れもの 発行
92ページ
21.5x15.2cm
テキスト:瀧口修造(再録)、土渕信彦、工藤香澄
デザイン:北澤敏彦
掲載図版:65点
価格:2,500円(税別)*送料別途250円

*『瀧口修造展 I』及び『瀧口修造展 II』図録も好評発売中です。


安藤忠雄の奇跡安藤忠雄の奇跡 50の建築×50の証言
2017年11月
日経アーキテクチュア(編)
B5判、352ページ
(NA建築家シリーズ 特別編 日経アーキテクチュア)
価格:2,700円+税 *送料:250円
亭主もインタビューを受け、1984年の版画制作始末を語りました。
安藤先生のサイン本をときの忘れもので扱っています。

六本木の国立新美術館では「安藤忠雄展―挑戦―」が開催されています。
会期:2017年9月27日[水]〜12月18日[月]
番頭おだちのオープニング・レポートはコチラを、光嶋裕介さんのエッセイ「安藤忠雄展を見て」と合わせてお読みください。
ときの忘れものでは1984年以来の安藤忠雄の版画、ドローイング作品をいつでもご覧になれます。

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電話番号と営業時間が変わりました。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531 
営業時間=火曜〜土曜の平日11時〜18時。日・月・祝日は休廊。

JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
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◆ときの忘れもののブログは下記の皆さんのエッセイを連載しています。
 ・大竹昭子のエッセイ「迷走写真館 一枚の写真に目を凝らす」は毎月1日の更新です。
 ・frgmメンバーによるエッセイ「ルリユール 書物への偏愛」は毎月3日の更新です。
 ・小国貴司のエッセイ「かけだし本屋・駒込日記」は毎月5日の更新です。
 ・佐藤研吾のエッセイ「大地について―インドから建築を考える―」は毎月7日の更新です。
 ・杉山幸一郎のエッセイ「幸せにみちたくうかんを求めて」は毎月10日の更新です。
 ・関根伸夫のエッセイ「〈発想〉について[再録]」は毎月12日の更新です。
 ・野口琢郎のエッセイ「京都西陣から」は毎月15日の更新です。
 ・倉方俊輔のエッセイ「『悪』のコルビュジエ」は毎月17日の更新です。
 ・小林紀晴のエッセイ「山の記憶」は毎月19日の更新です。
 ・清家克久のエッセイ「瀧口修造を求めて」は毎月20日の更新です。
 ・小林美香のエッセイ「写真集と絵本のブックレビュー」は毎月25日の更新です。
 ・スタッフSの「海外ネットサーフィン」は毎月26日の更新です。
 ・森本悟郎のエッセイ「その後」は毎月28日の更新です。
 ・笹沼俊樹のエッセイ「現代美術コレクターの独り言」はしばらく休載します。
 ・大野幸のエッセイ<ときの忘れもの・拾遺 ギャラリーコンサート>は随時更新します。
 ・植田実のエッセイ「美術展のおこぼれ」は、更新は随時行います。
  同じく植田実のエッセイ「生きているTATEMONO 松本竣介を読む」と合わせお読みください。
  「本との関係」などのエッセイのバックナンバーはコチラです。
 ・中村茉貴のエッセイ「美術館に瑛九を観に行く」は随時更新します。
 ・飯沢耕太郎のエッセイ「日本の写真家たち」英文版とともに随時更新します。
 ・深野一朗のエッセイは随時更新します。
 ・「久保エディション」(現代版画のパトロン久保貞次郎)は随時更新します。
 ・藤本貴子のエッセイ「建築圏外通信」は終了しました。
 ・森下隆のエッセイ「鎌鼬美術館——秋田県羽後町田代に開館」は終了しました。
 ・芳賀言太郎のエッセイ「El Camino(エル・カミーノ) 僕が歩いた1600km」は終了しました。
 ・夜野悠のエッセイ「書斎の漂流物」は終了しました。
 ・普後均のエッセイ「写真という海」は終了しました。
 ・八束はじめ・彦坂裕のエッセイ「建築家のドローイング」(再録)は終了しました。
 ・光嶋裕介のエッセイ「和紙に挑む」は終了しました。
 ・石原輝雄のエッセイ「マン・レイへの写真日記」は終了しました(時々番外編あり)。
 ・荒井由泰のエッセイ「いとしの国ブータン紀行」は終了しました。
 ・森下泰輔のエッセイ「戦後・現代美術事件簿」は終了しました。
 ・「殿敷侃の遺したもの」はゆかりの方々のエッセイや資料を随時紹介します。
 ・「オノサト・トシノブの世界」は円を描き続けた作家の生涯と作品を関係資料や評論によって紹介します。
 ・「瀧口修造の世界」は造形作家としての瀧口の軌跡と作品をテキストや資料によって紹介します。
土渕信彦のエッセイ「瀧口修造とマルセル・デュシャン」、「瀧口修造の箱舟」と合わせてお読みください。
 ・「関根伸夫ともの派」はロスアンゼルスで制作を続ける関根伸夫と「もの派」について作品や資料によって紹介します。
 ・「現代版画センターの記録」は随時更新します。
今までのバックナンバーの一部はホームページに転載しています。

小林紀晴のエッセイ「TOKYO NETURE PHOTOGRAPHY」 第2回

新連載・小林紀晴のエッセイ「TOKYO NETURE PHOTOGRAPHY」

第2回 NUMABUKURO

new  numabukuro 001


numabukuro 02


晴れた日の午後。
目指すは、妙正寺川。

住宅街を歩いていると、
矯正という言葉が、ふと浮かぶ。
次に共存という言葉。
人間が矯正・・・・人間と共存・・・・。

道脇に枝を折られ、捨てられた庭木。
それでも生き生きしている。
矯正と共存の一端、あるいは犠牲がここにもある。

太陽はどの葉にも平等に正しく降り注ぐ。
感度100でシャッタ速度は250分の1、絞りf8半。
富士山の頂も、路地裏の足元も世界共通。

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小林紀晴
《numabukuro 01》
《numabukuro 02》
共に2017年撮
ゼラチンシルバープリント
11x14inch
Ed.20

こばやし きせい

●今日のお勧め作品は、駒井哲郎です。
20171119_komai_01_gansyou駒井哲郎
《岩礁》
1972年
銅版
23.5×21.0cm
Ed.35
サインあり
※レゾネNo.289(美術出版社)


こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください
ときの忘れものの通常業務は平日の火曜〜土曜日です。日曜、月曜、祝日はお問い合わせには返信できませんので、予めご了承ください。

◆ときの忘れものは「細江英公写真展」を開催しています。
会期=2017年10月31日[火]―11月25日[土]
293

細江先生は秋の叙勲で旭日重光章を受章されました。
●会期中、細江英公サイン入り写真集を特別頒布しています。

◆ときの忘れものは「メキシコ地震被災地支援・チャリティー頒布会」を開催します。
201711mexico
会期:2017年11月28日(火)〜12月2日(土)
出品100点のリストは11月11日ブログに掲載し、予約受付を開始しました。
全作品、一律8,000円で頒布し、売上金全額を被災地メキシコに送金します。
※お申込みの返信は、翌営業日となります。(日・月・祝日は休廊です。)


◆銀座のギャラリーせいほうで「宮脇愛子展 last works(2013〜14)」が開催されます。
201711MIYAWAKI「宮脇愛子展 last works(2013〜14)」
会期=2017年11月20日[月]〜12月2日[土] ※日・祝日休廊
会場=ギャラリーせいほう 
〒104-0061 東京都中央区銀座8丁目10-7 東成ビル1F
電話:03-3573-2468
最後の新作である油彩を中心に立体(ガラス、真鍮)、ドローイング、版画など約40点が展示されます。

●オープングのご案内
初日11月20日(月)17時からオープニングが開催されます。皆さまお誘いあわせの上、是非お越しください。

●書籍のご案内
TAKIGUCHI_3-4『瀧口修造展 III・IV 瀧口修造とマルセル・デュシャン』図録
2017年10月
ときの忘れもの 発行
92ページ
21.5x15.2cm
テキスト:瀧口修造(再録)、土渕信彦、工藤香澄
デザイン:北澤敏彦
掲載図版:65点
価格:2,500円(税別)*送料別途250円
*『瀧口修造展 I』及び『瀧口修造展 II』図録も好評発売中です。


安藤忠雄の奇跡安藤忠雄の奇跡 50の建築×50の証言
2017年11月
日経アーキテクチュア(編)
B5判、352ページ
(NA建築家シリーズ 特別編 日経アーキテクチュア)
価格:2,700円+税 *送料:250円
亭主もインタビューを受け、1984年の版画制作始末を語りました。
安藤先生のサイン本をときの忘れもので扱っています。

六本木の国立新美術館では「安藤忠雄展―挑戦―」が開催されています。
会期:2017年9月27日[水]〜12月18日[月]
番頭おだちのオープニング・レポートはコチラを、光嶋裕介さんのエッセイ「安藤忠雄展を見て」と合わせてお読みください。
ときの忘れものでは1984年以来の安藤忠雄の版画、ドローイング作品をいつでもご覧になれます。

●ときの忘れものは、〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました(詳しくは6月5日及び6月16日のブログ参照)。
電話番号と営業時間が変わりました。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531 
営業時間=火曜〜土曜の平日11時〜18時。日・月・祝日は休廊。

JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
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◆ときの忘れもののブログは下記の皆さんのエッセイを連載しています。
 ・大竹昭子のエッセイ「迷走写真館 一枚の写真に目を凝らす」は毎月1日の更新です。
 ・frgmメンバーによるエッセイ「ルリユール 書物への偏愛」は毎月3日の更新です。
 ・小国貴司のエッセイ「かけだし本屋・駒込日記」は毎月5日の更新です。
 ・佐藤研吾のエッセイ「大地について―インドから建築を考える―」は毎月7日の更新です。
 ・杉山幸一郎のエッセイ「幸せにみちたくうかんを求めて」は毎月10日の更新です。
 ・関根伸夫のエッセイ「〈発想〉について[再録]」は毎月12日の更新です。
 ・野口琢郎のエッセイ「京都西陣から」は毎月15日の更新です。
 ・倉方俊輔のエッセイ「『悪』のコルビュジエ」は毎月17日の更新です。
 ・小林紀晴のエッセイ「山の記憶」は毎月19日の更新です。
 ・清家克久のエッセイ「瀧口修造を求めて」は毎月20日の更新です。
 ・小林美香のエッセイ「写真集と絵本のブックレビュー」は毎月25日の更新です。
 ・スタッフSの「海外ネットサーフィン」は毎月26日の更新です。
 ・森本悟郎のエッセイ「その後」は毎月28日の更新です。
 ・笹沼俊樹のエッセイ「現代美術コレクターの独り言」はしばらく休載します。
 ・大野幸のエッセイ<ときの忘れもの・拾遺 ギャラリーコンサート>は随時更新します。
 ・植田実のエッセイ「美術展のおこぼれ」は、更新は随時行います。
  同じく植田実のエッセイ「生きているTATEMONO 松本竣介を読む」と合わせお読みください。
  「本との関係」などのエッセイのバックナンバーはコチラです。
 ・中村茉貴のエッセイ「美術館に瑛九を観に行く」は随時更新します。
 ・飯沢耕太郎のエッセイ「日本の写真家たち」英文版とともに随時更新します。
 ・深野一朗のエッセイは随時更新します。
 ・「久保エディション」(現代版画のパトロン久保貞次郎)は随時更新します。
 ・藤本貴子のエッセイ「建築圏外通信」は終了しました。
 ・森下隆のエッセイ「鎌鼬美術館——秋田県羽後町田代に開館」は終了しました。
 ・芳賀言太郎のエッセイ「El Camino(エル・カミーノ) 僕が歩いた1600km」は終了しました。
 ・夜野悠のエッセイ「書斎の漂流物」は終了しました。
 ・普後均のエッセイ「写真という海」は終了しました。
 ・八束はじめ・彦坂裕のエッセイ「建築家のドローイング」(再録)は終了しました。
 ・光嶋裕介のエッセイ「和紙に挑む」は終了しました。
 ・石原輝雄のエッセイ「マン・レイへの写真日記」は終了しました(時々番外編あり)。
 ・荒井由泰のエッセイ「いとしの国ブータン紀行」は終了しました。
 ・森下泰輔のエッセイ「戦後・現代美術事件簿」は終了しました。
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 ・「オノサト・トシノブの世界」は円を描き続けた作家の生涯と作品を関係資料や評論によって紹介します。
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土渕信彦のエッセイ「瀧口修造とマルセル・デュシャン」、「瀧口修造の箱舟」と合わせてお読みください。
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銀座・ギャラリーせいほうで「宮脇愛子展 last works(2013〜14)」〜2017年11月20日(月)〜12月2日(土)

宮脇愛子先生が亡くなられてから早くも3年が経ちました。
私たちが初めてエディションした『宮脇愛子銅版画集 1980』(6点組、限定50部、序文:辻邦生、現代版画センター刊)の刊行が1980年6月。ときの忘れものでの生前最後の個展となった「宮脇愛子新作展2013」は2013年12月でしたから、30数年に渡り、たくさんのエディション制作(立体、銅版画、シルクスクリーン、挿画本)と展覧会を開催していただきました。
1980年9月1日Gせいほう宮脇愛子展堤清二600
堤清二さんと宮脇愛子先生
1980年9月1日
現代版画センター企画「宮脇愛子展」
於:銀座・ギャラリーせいほう

宮脇制作風景2
ドローイングを制作する宮脇愛子先生
2013年秋

亡くなる直前まで次の新作個展のために不自由なからだをおして制作に励んでおられました。
その最後の新作である油彩を中心にした展覧会が、銀座のギャラリーせいほうで開催されます。
油彩、立体(ガラス、真鍮)、ドローイング、版画を含め約40点が展示されます。

201711MIYAWAKI

「宮脇愛子展 last works(2013〜14)」
会期=2017年11月20日[月]〜12月2日[土] ※日・祝日休廊
会場=ギャラリーせいほう 〒104-0061 東京都中央区銀座8丁目10-7 東成ビル1F
時間=11:00-18:30(最終日は17:00まで)

●オープングのご案内
初日11月20日(月)17時からオープニングが開催されます。皆さまお誘いあわせの上、是非お越しください。

宮脇愛子 Aiko MIYAWAKI
1929年東京生まれ。1952年日本女子大学文学部史学科卒業。阿部展也、斎藤義重に師事。1957-66年欧米各地に滞在し、制作活動を行なう。真鍮、石、ガラスを用いた立体作品のほか油彩や墨絵を制作。代表的な彫刻作品《うつろひ》は、モンジュイック・オリンピック広場(バルセロナ)、ラ・デファンス(パリ)、奈義町現代美術館など世界各地にコレクションされている。晩年は車椅子での不自由な闘病生活にもかかわらず創作意欲は衰えず、油彩や ドローイングを制作し続けた。2014年8月20日84歳で永逝。

miyawaki_29宮脇愛子
「無題」
1980年
エッチング
イメージサイズ: 35.5×19.7cm
シートサイズ: 56.5×38.0cm
Ed.25
サインあり
*現代版画センターエディション

こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください
ときの忘れものの通常業務は平日の火曜〜土曜日です。日曜、月曜、祝日はお問い合わせには返信できませんので、予めご了承ください。

◆ときの忘れものは「細江英公写真展」を開催しています。
会期=2017年10月31日[火]―11月25日[土]
293

細江先生は秋の叙勲で旭日重光章を受章されました。
●会期中、細江英公サイン入り写真集を特別頒布しています。

◆ときの忘れものは「メキシコ地震被災地支援・チャリティー頒布会」を開催します。
201711mexico
会期:2017年11月28日(火)〜12月2日(土)
出品100点のリストは11月11日ブログに掲載し、予約受付を開始しました。
全作品、一律8,000円で頒布し、売上金全額を被災地メキシコに送金します。
※お申込みの返信は、翌営業日となります。(日・月・祝日は休廊です。)


●書籍のご案内
TAKIGUCHI_3-4『瀧口修造展 III・IV 瀧口修造とマルセル・デュシャン』図録
2017年10月
ときの忘れもの 発行
92ページ
21.5x15.2cm
テキスト:瀧口修造(再録)、土渕信彦、工藤香澄
デザイン:北澤敏彦
掲載図版:65点
価格:2,500円(税別)*送料別途250円
*『瀧口修造展 I』及び『瀧口修造展 II』図録も好評発売中です。


安藤忠雄の奇跡安藤忠雄の奇跡 50の建築×50の証言
2017年11月
日経アーキテクチュア(編)
B5判、352ページ
(NA建築家シリーズ 特別編 日経アーキテクチュア)
価格:2,700円+税 *送料:250円
亭主もインタビューを受け、1984年の版画制作始末を語りました。
安藤先生のサイン本をときの忘れもので扱っています。

六本木の国立新美術館では「安藤忠雄展―挑戦―」が開催されています。
会期:2017年9月27日[水]〜12月18日[月]
番頭おだちのオープニング・レポートはコチラを、光嶋裕介さんのエッセイ「安藤忠雄展を見て」と合わせてお読みください。
ときの忘れものでは1984年以来の安藤忠雄の版画、ドローイング作品をいつでもご覧になれます。

●ときの忘れものは、〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました(詳しくは6月5日及び6月16日のブログ参照)。
電話番号と営業時間が変わりました。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531 
営業時間=火曜〜土曜の平日11時〜18時。日・月・祝日は休廊。

JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
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倉方俊輔のエッセイ「『悪』のコルビュジエ」 第10回

倉方俊輔のエッセイ「『悪』のコルビュジエ」

第10回 歳月の手触り ラ・トゥーレットの修道院


倉方俊輔(建築史家/大阪市立大学准教授)


画:光嶋裕介(建築家)
原画

 裏方であったはずのコンクリートが、いつしか表に現れるようになった。ラ・トゥーレットの修道院は、そんなル・コルビュジエの作品の傾向を代表している。カトリックのドミニコ会の修道院として、フランスの南東部のローヌ県に1956年に着工し、1960年に完成した。
 コンクリートが主役であることは、第一印象から鮮明である。近づいて初めに視界に入るのは、一面の打ち放しコンクリートの壁だ。窓はまわりこむと下部に少し見えるだけでディテールも何もないから、建築の一部というよりも土木構築物のようだ。西に下る斜面をものともせずに続く眺めもダムを思わせる。地面まで充填されたコンクリートは荒々しく、型枠の跡を露呈している。構築物をつくって、工事は完了。
 同じことは手前に突き出た形についても言える。こちらは曲面だが、完全にフリーハンドの形状ではなく、直線を空中で移動させてつくられた形であって、上部に突出した3本の筒と同じく幾何学な操作だ。まっすぐな壁とは独立した原理が感じ取れる。これら最初に目にする光景だけでも、これから体験する造形が容易には統一して把握できないことを予告しており、共通するのはコンクリートそのものが表現になっている点である。
 入り口に進むと、造形と仕上げの変奏の幅がさらに広がる。まず出迎えるのは、打ち放しコンクリートでできたシンプルな正方形の門。同じ素材がその先で水平面となって、傾斜地にかけたブリッジの役割を果たしている。渡った先に曲面の壁が立つ。門番控室と応接室の機能をもつこれら小室の平面は、自由な房状であり、ロンシャン礼拝堂の壁と同様の吹き付け塗装で仕上げられている。ザラザラとした表面は、どんな形にも造形できるコンクリートの本性を示し、隣に置かれた凝固したコンクリートのオブジェが粘土のような性質を強調している。まわりを取り囲む型枠で構築された直線とは対照的だが、どちらもコンクリートという素材が可能にする手触りである。
 前方にコの字型の全貌がうかがえる。右手には先ほど反対側を目にした打ち放しコンクリートの箱。前方と左手の吹き付け塗装の翼と一緒になって、中庭を閉じている。中庭を囲む回廊を重視する伝統的な
修道院の構成に範をとっているのは明らかだが、それだけに逆転劇は一層、鮮やかである。
 中庭は人間によって使われていない。伝統的な修道院とは異なる。そこは傾斜地のままに残され、板状の壁で持ち上げられたピロティが、囲われているようであり、周辺と連続してもいる外部空間を形成している。西洋の中庭や庭園が多くの場合そうであるような人工の外部とは違って、ほったらかしにされた地面だ。板柱はというと、人工大地を持ち上げるマルセイユのユニテのような力強い身振りではなく、ただ地面とは無縁のレベルに床を設定しているだけで、下部が重厚で上部が軽快という古くからの建築の規範とは、これも逆である。
 これらの原理に収まらないのが、近づいたときに見た箱だ。ただ一つ、中庭の空間を堰き止めている。上下や軽快・重厚の区別もない。この部分が教会堂である。コルビュジエは飾りたてに抗し、建築であるのかどうかを疑わせる寡黙なデザインを、精神的な支柱である教会堂の証としている。

*****

 コンクリートは建築の全体だけでなく、細部のキャラクターも決定しているから、主役と呼ばざるを得ないのだ。入り口は建物の3階にあたる。目の前の2階レベルに左手の翼と右手の教会堂を結ぶ通路が走っている。通常の建物のようなディテールがないので、スケールは判断しづらい。建築と人間との関係性が鮮明になるのは、人の動きが入ったときだ。間隔が変動している方立越しの人影は、ガラスで筒抜けの状態から、いくぶん隠されたようになり、また明快にとリズミカルに変化する。方立には厚みがある。
だから、今度はこちらがガラスに斜めに向き合うように移動すると、抑揚の波を保ちながら壁へと近づいてゆく。
 このオンデュラトワールと呼ばれる窓割は、コルビュジエが考案した寸法体系であるモデュロールをもとに、当時コルビュジエの事務所に勤務していたヤニス・クセナキスによってアレンジされた。現代音楽家としても知られる人物による時間の中の芸術。ここでコンクリートはガラスに直接に接合され、互角に渡り合っている。ほっそりとした線材に姿を変えながらも、動かしがたい存在感はそのままに、人の動きで奏でられる強靭な弦であり続けている。弱い木材や金属では果たせない役割だ。
 ラ・トゥーレットの修道院において、コンクリートは内外の関係を繊細に規定し、個々の場所を性格づける役目を担っている。
 中庭から見た3階レベルは矩形を組み合わせた造形。先ほどのオンデュラトワールと同様に、縦長の形に準備された回転窓で換気が可能だ。壁面の印象は最上部が最も重たい。この4・5階の細い横長窓の向こう側に廊下が通り、修道士の個室群にアクセスできる。同じデザインが3階の外周にも見られる。こちらの内側も廊下だ。館内見学の際、入り口から最初に通過する特徴的な空間である。どちらの廊下の幅も建物の規模の割には狭い。上下に短い窓は視界を限定し、光の帯をつくる。外光のみが入る窓が角に設けられ、前方に伸びる空間の性格を強めている。外部からの光景が種明かしだ。窓の造形を見ると、前方を隠しながら上部から光を取り入れる仕組みがよくわかる。
 コンクリートの造形は場所ごとに内部と外部との関係を特徴づける名脇役であり、人懐っこいキャラクターとなっている。紹介を続けると、4・5階の外周に突き出た庇はブリーズ・ソレイユ(日除け)として内外の環境を調整すると同時に、重々しい造形と小石を混ぜた仕上げを通じて、個々が独立して内面に向き合う場所としての個室という性格を物語っている。最初に見た円筒形の筒は、教会堂から続いた空間である礼拝堂に光を届けるのだが、向きがまちまちなので太陽の動きに伴う日差しの変化は一層強調されて、それぞれの内側でコンクリートの荒い地肌に塗られた色彩を変容させる。反対の中庭側では鋭角的な筒型が一列に空に向けられている。キャノン・リュミエール(光の大砲)という物騒な命名。それもおかしくない形の強さで、下部の聖具室などに光を導入している。そして、メインの教会堂では単純な長方体のヴォイドに対して、コンクリートの造形が最小で最大の効果を挙げている。穿たられた亀裂から割り込む外光は変わりゆくことで、コンクリートの素材感を変化させ、寸法では規定できない空間の体験を生む。ここで証明された線の多さや素材の多様性に頼らなくても内部空間の変化と劇性と精神性が獲得できるという事実は、やがて東洋の安藤忠雄という建築家によって展開されることになる。

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ラ・トゥーレットの修道院
竣工年│1960年
所在地│Route de la Tourette_69210 Eveux_,France
(撮影:倉方俊輔)
日曜の午後にガイドツアーが実施されている。
宿泊は8月とクリスマス休暇以外の時期に可能であるが、門限に注意

*****

 以前のコルビュジエは、このようにはコンクリートを使っていなかった。1920年代の作品は時に壁面に色彩を施し、抽象的な面の構成として扱っていた。本作でも設計当初は鉄骨による建設も検討されていたから、コンクリートの可能性だけに邁進していたわけではない。予算が限られていたのは事実で、仕上げを削減したきっかけはそこにあるだろう。また、竣工当初のコンクリートはもっと白く、シャープだったから、現在訪問して抱く感慨はオリジナルではなく、歳月による付加物に過ぎないと判断することもできる。
 しかし、すでに見てきたように、本作のコンクリートは決して仕上げの欠落ではなく、素材のもつ味わいの十分な発露となっている。コルビュジエは素材を抽象化し、幾何学化するのではないやり方を1930年代以降、試みていった。それらを総合し、豊かさを獲得する手法として説得力をもって提出したのがラ・トゥーレットの修道院と言える。
 即物性による豊かさは、コンクリート以外の素材にも通底している。植物の扱いもその一つだ。本作の屋根は薄い土の層で覆われ、勝手に草が生えている。コンクリートの湿度と温度を一定に保ち、熱による膨張と収縮から守るために屋上を庭園にするという主張は1920年代と同じだが、かつてのようなつくり込まれた屋上庭園からは変化している。各部に見られる電球をむき出しにした照明や鉄を曲げただけの手すりにも、乏しさゆえの味わいがある。少ない決定を研ぎ澄ませ、偶然に委ねるほどに、コンクリートの肌理や植物の表情のように対象の手触りが浮上する事実にコルビュジエは一層、覚醒したようだ。光という素材に対しても同じだ。概念では一つとして処理されてしまうものに含まれる手触りを愛で、単純さの中
にある豊かさを引き出し、過ぎゆく時間を慈しむように、刹那を知覚しようとしている。
 コルビュジエは老いたのだろうか?
 老いたのだろう。工業化・資本化が進行する第二次世界大戦後の世界で、清貧な修道院という過去のロマンに想いを託した建築。時代と隔たり、個人的な変化を反映させているのだから、彼に規範を求めていた人々は戸惑うばかりだ。
くらかた しゅんすけ

■倉方俊輔 Shunsuke KURAKATA
建築史家。大阪市立大学大学院工学研究科准教授。1971年東京都生まれ。著書に『東京レトロ建築さんぽ』『ドコノモン』『吉阪隆正とル・コルビュジエ』、編著に『吉祥寺ハモニカ横丁のつくり方』ほか。
生きた建築ミュージアム大阪実行委員会委員

表紙
『建築ジャーナル』
今年の『建築ジャーナル』誌の1月〜12月号の表紙を光嶋裕介さんが担当することになりました。
テーマはル・コルビュジエ。
一年間にわたり、倉方俊輔さんのエッセイ「『悪』のコルビュジエ」と光嶋裕介さんのドローイング「コルビュジエのある幻想都市風景」が同誌に掲載されます。ときの忘れものが企画のお手伝いをしています。
月遅れになりますが、気鋭のお二人のエッセイとドローイングをこのブログにも再録掲載します。毎月17日が掲載日です。どうぞご愛読ください。

●今日のお勧め作品は、光嶋裕介です。
20171017_05
光嶋裕介 《ベルリン》
2016年 和紙にインク
45.0×90.0cm   Signed
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください
ときの忘れものの通常業務は平日の火曜〜土曜日です。日曜、月曜、祝日はお問い合わせには返信できませんので、予めご了承ください。

◆ときの忘れものは「細江英公写真展」を開催しています。
会期=2017年10月31日[火]―11月25日[土]
293

細江先生は秋の叙勲で旭日重光章を受章されました。
●会期中、細江英公サイン入り写真集を特別頒布しています。

◆ときの忘れものは「メキシコ地震被災地支援・チャリティー頒布会」を開催します。
201711mexico
会期:2017年11月28日(火)〜12月2日(土)
出品100点のリストは11月11日ブログに掲載し、予約受付を開始しました。
全作品、一律8,000円で頒布し、売上金全額を被災地メキシコに送金します。


●書籍のご案内
TAKIGUCHI_3-4『瀧口修造展 III・IV 瀧口修造とマルセル・デュシャン』図録
2017年10月
ときの忘れもの 発行
92ページ
21.5x15.2cm
テキスト:瀧口修造(再録)、土渕信彦、工藤香澄
デザイン:北澤敏彦
掲載図版:65点
価格:2,500円(税別)*送料別途250円
*『瀧口修造展 I』及び『瀧口修造展 II』図録も好評発売中です。


安藤忠雄の奇跡安藤忠雄の奇跡 50の建築×50の証言
2017年11月
日経アーキテクチュア(編)
B5判、352ページ
(NA建築家シリーズ 特別編 日経アーキテクチュア)
価格:2,700円+税 *送料:250円
亭主もインタビューを受け、1984年の版画制作始末を語りました。
安藤先生のサイン本をときの忘れもので扱っています。

六本木の国立新美術館では「安藤忠雄展―挑戦―」が開催されています。
会期:2017年9月27日[水]〜12月18日[月]
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●ときの忘れものは、〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました(詳しくは6月5日及び6月16日のブログ参照)。
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TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531 
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◆ときの忘れもののブログは下記の皆さんのエッセイを連載しています。
 ・大竹昭子のエッセイ「迷走写真館 一枚の写真に目を凝らす」は毎月1日の更新です。
 ・frgmメンバーによるエッセイ「ルリユール 書物への偏愛」は毎月3日の更新です。
 ・小国貴司のエッセイ「かけだし本屋・駒込日記」は毎月5日の更新です。
 ・佐藤研吾のエッセイ「大地について―インドから建築を考える―」は毎月7日の更新です。
 ・杉山幸一郎のエッセイ「幸せにみちたくうかんを求めて」は毎月10日の更新です。
 ・関根伸夫のエッセイ「〈発想〉について[再録]」は毎月12日の更新です。
 ・野口琢郎のエッセイ「京都西陣から」は毎月15日の更新です。
 ・倉方俊輔のエッセイ「『悪』のコルビュジエ」は毎月17日の更新です。
 ・小林紀晴のエッセイ「山の記憶」は毎月19日の更新です。
 ・清家克久のエッセイ「瀧口修造を求めて」は毎月20日の更新です。
 ・小林美香のエッセイ「写真集と絵本のブックレビュー」は毎月25日の更新です。
 ・スタッフSの「海外ネットサーフィン」は毎月26日の更新です。
 ・森本悟郎のエッセイ「その後」は毎月28日の更新です。
 ・笹沼俊樹のエッセイ「現代美術コレクターの独り言」はしばらく休載します。
 ・大野幸のエッセイ<ときの忘れもの・拾遺 ギャラリーコンサート>は随時更新します。
 ・植田実のエッセイ「美術展のおこぼれ」は、更新は随時行います。
  同じく植田実のエッセイ「生きているTATEMONO 松本竣介を読む」と合わせお読みください。
  「本との関係」などのエッセイのバックナンバーはコチラです。
 ・中村茉貴のエッセイ「美術館に瑛九を観に行く」は随時更新します。
 ・飯沢耕太郎のエッセイ「日本の写真家たち」英文版とともに随時更新します。
 ・深野一朗のエッセイは随時更新します。
 ・「久保エディション」(現代版画のパトロン久保貞次郎)は随時更新します。
 ・藤本貴子のエッセイ「建築圏外通信」は終了しました。
 ・森下隆のエッセイ「鎌鼬美術館——秋田県羽後町田代に開館」は終了しました。
 ・芳賀言太郎のエッセイ「El Camino(エル・カミーノ) 僕が歩いた1600km」は終了しました。
 ・夜野悠のエッセイ「書斎の漂流物」は終了しました。
 ・普後均のエッセイ「写真という海」は終了しました。
 ・八束はじめ・彦坂裕のエッセイ「建築家のドローイング」(再録)は終了しました。
 ・光嶋裕介のエッセイ「和紙に挑む」は終了しました。
 ・石原輝雄のエッセイ「マン・レイへの写真日記」は終了しました(時々番外編あり)。
 ・荒井由泰のエッセイ「いとしの国ブータン紀行」は終了しました。
 ・森下泰輔のエッセイ「戦後・現代美術事件簿」は終了しました。
 ・「殿敷侃の遺したもの」はゆかりの方々のエッセイや資料を随時紹介します。
 ・「オノサト・トシノブの世界」は円を描き続けた作家の生涯と作品を関係資料や評論によって紹介します。
 ・「瀧口修造の世界」は造形作家としての瀧口の軌跡と作品をテキストや資料によって紹介します。
土渕信彦のエッセイ「瀧口修造とマルセル・デュシャン」、「瀧口修造の箱舟」と合わせてお読みください。
 ・「関根伸夫ともの派」はロスアンゼルスで制作を続ける関根伸夫と「もの派」について作品や資料によって紹介します。
 ・「現代版画センターの記録」は随時更新します。
今までのバックナンバーの一部はホームページに転載しています。

細江英公写真展より〈ガウディ〉

とても落ち着きのある作品で、生命力の強さある作品に動きのある表現を学びました。ありがとうございます。
(芳名帳より、Nさん)>

空間によくあっていてすてきでした。
(芳名帳より、Mさん)>

駒込「ときの忘れもの」で細江英公写真展。一軒家オフィスの廊下や階段の壁に掛けてある。抱擁シリーズのパワーがすごいね。150万円する写真。それもすごい。時節柄、澁澤さんたちを撮った作品もありました。もちろん薔薇刑の三島も。
(HVさんのtwitterより) >

ときの忘れものでは「細江英公写真展」を開催中です。奈良原恵子さんと細江先生20171031

奈良原一高夫人の恵子さんと細江先生(2017年10月31日)

20171108細江飯沢GT_1311月8日に開催した飯沢耕太郎先生と細江先生のギャラリートークでの集合写真。
細江先生には先日受賞された旭日重光章を付けていただきました。

代表的な作品群を展示していますが、本日はその中から〈ガウディ〉シリーズをご紹介します。

細江英公は、1964年にバルセロナでガウディ建築との衝撃的な出会いをします。しかしそのときはあまりの衝撃に写真を撮ることはできず、その13年後の1977年から四回に亘りグエル公園、サグラダ・ファミリアなどの撮影を行ない、1984年に『ガウディの宇宙』、続く1986年には『ガウディへの讃歌』として発表しました。

今回展示している写真は、上記の発表時にプリントされた貴重なビンテージ作品(オンリーワン)です。

〜〜
初めてバルセロナの「ガウディ」に遭遇したのは1964年のことだから22年前に遡る。あまりにも突然の出会いとその巨大な肉魂のような建造物に圧倒された私は、自分が写真家であることも忘れ、一枚の写真も撮らずに、ただ肉眼のレンズを通し脳裡のフィルムにしっかりと露光して帰ってきた、撮らなかったというより、撮ることができなかったその理由は、本能的な恐怖感と同時に惹かれていく自分を発見し、ここはいったん退去して再び出直した方がよいと判断したからである。何よりも私にはガウディへの知識もなく、またそれほどの巨大な怪物に挑む精神的準備がなかった。
 本格的な撮影を始めたのはそれから13年後の1977年の2月からである。「ガウディ」に関する多少の学習とカメラの重装備をしてまず訪れたのはサクラダ・ファミリアだった。用心深く近づいてカメラを向けたものの、巨人「ガウディ」の皮膚は分厚くて内部に立入る隙を見つけることができなった。少しばかり勉強したかといって、そんな知識は何の役にも立たないことが分かったし、それよりも中途半端な知識は、逆に「ガウディ」について自由なモノの見方や直感の妨げになるばかりだと気づいた。

(細江英公「仮説の証明」『細江英公写真 ガウディへの讃歌』1986年より抜粋)

〜〜

20171104_DSCF2810
細江英公《La Sagrada Familia 1》
1977年撮影(ヴィンテージ・ゼラチンシルバープリント)

細江英公 サグラダファミリア186
細江英公「Sagrada Familia 186
1978年撮影(ヴィンテージ・チバクロームプリント)

20171104_DSCF2671
細江英公《Casa Battlo》(『ガウディの宇宙』123)
1979年撮影(ヴィンテージ・ゼラチンシルバープリント)

細江「サグラダファミリ#224」
細江英公「Sagrada Familia 224
1980年撮影(ヴィンテージ・ゼラチンシルバープリント)

こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください

◆11日のブログで「メキシコ地震被災地支援・チャリティー頒布会」に出品する全100点を発表したところ、たくさんの皆さんからお申し込みをいただき、感謝にたえません。メキシコの被災者の皆さんに少しでもお役にたてる送金をしたいと考えています。
お申し込みをたくさんいただいたのは嬉しいのですが、実はミロ、シャガール、ウォーホル、吉仲太造、向井良吉などに集中し、これらは抽選になります。抽選の結果ではせっかくお申し込みいただいたのに、一点もご購入していただけない場合も出てきます。
被災者支援の趣旨をお汲み取りいただき、なるべく複数のお申し込みをいただければ幸いです
201711mexico
会期:2017年11月28日(火)〜12月2日(土)
出品100点のリストは11月11日ブログに掲載し、予約受付を開始しました。
全作品、一律8,000円で頒布し、売上金全額を被災地メキシコに送金します。


◆ときの忘れものは「細江英公写真展」を開催しています。
会期=2017年10月31日[火]―11月25日[土]
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細江先生は秋の叙勲で旭日重光章を受章されました。
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TAKIGUCHI_3-4『瀧口修造展 III・IV 瀧口修造とマルセル・デュシャン』図録
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