ギャラリー  ときの忘れもの

『磯崎新建築論集』刊行!

浜田宏司


磯崎新ファン待望の著作論集の刊行が始りました。実際にまだ本書を手にしていないのですが、公表されている情報を元に、その魅力に迫ります。

【『磯崎新建築論集(全8巻/岩波書店)』第1巻 
散種されたモダニズム ― 「日本」という問題構制 ― 横手 義洋 編】


出版社のサイトには、建築家磯崎新が長年にわたって発表してきた活字の仕事を体系ごとに整理し、十数編の意欲的書下ろし論考と著者自身による各巻解題を収録した”集大成的著作論集”と本著作集の方向性が示されています。これは、今までに刊行された著作の編集スタイルを踏襲した構成でもあるのですが、大きく異なるのは、過去に発表された文章を各刊に設定されたテーマにシャッフルされ「建築論」の名の基に、あらたに紐付けされた点。加えて、各書には次世代を担う建築家・建築史家を編集協力者に起用し、”今の時代の視点”を新しいエッセンスとして含ませています。若い世代の客観的な評価が、古くは半世紀以上前のテキストに対して新鮮な空気を送り込み、”古い読者”の印象を大きく変えるでしょう。

本建築論集の「特色」を読む限り、〈全8巻を通して体系的に建築論を構築する〉といった展開ではなく、過去に発表された文章をベースにして、ハードな「建築論」とソフト的な「応用編」2本立ての構成のようです。前半(1〜6巻)が、著者の建築に対する問題意識の展開を大きなテーマにまとめた、ある意味今回の著作集の骨格となる「建築論」。そして残りの2巻(7、8巻)で、前半の刊行分で展開した「建築論」を解題として、さまざまなプロジェクトの生成プロセスや思考の変遷がひも解かれていく展開のようです。

刊行にあたっての著者メッセージとして『・・・私が記した文章は,調査研究というよりはプロジェクトであり,「日付けのついたエッセイ」としての論考である.・・・(岩波書店HPより抜粋)』と本人が語っているように、自身の文章の立ち位置を常に「エッセイ」と表現していた磯崎新が発表する初の「建築論集」。個人的には、80年代に一大ムーブメントを巻き起こした「ポストモダン」に関する現時点での評価や論考に期待しているのですが、目次を読む限り、第1巻「散種されたモダニズム」にそのあたりの考察が仕込まれているのではないかと推測されます。初回刊行分から期待大です!
浜田宏司/Gallery CAUTION
磯崎新建築論集 表紙磯崎新建築論集 中

磯崎新建築論集 裏1磯崎新建築論集 裏2

『磯崎新建築論集』 全巻構成

第1巻 散種されたモダニズム ――「日本」という問題構制
[解説]横手義洋(東京電機大学)
 ■体裁=四六判・上製・カバー・292頁
 ■定価 3,780円(本体 3,600円 + 税5%)
 ■2013年2月26日
 ■ISBN978-4-00-028601-5 C0352

(第2回/3月26日発売)
第2巻 記号の海に浮かぶ〈しま〉――見えない都市
[解説]松田達(松田達建築設計事務所)

第3巻 手法論の射程――形式の自動生成
[解説]日埜直彦(日埜建築設計事務所)

第4巻 〈建築〉という基体――デミウルゴモルフィスム
[解説]五十嵐太郎(東北大学)

第5巻 「わ」の所在――列島に交錯する他者の視線
[解説]中谷礼仁(早稲田大学)

第6巻 ユートピアはどこへ――社会的制度としての建築家
[解説]藤村龍至(藤村龍至建築設計事務所)

第7巻 建築のキュレーションへ――網目状権力と決定
[解説]南後由和(明治大学)

第8巻 制作の現場――プロジェクトの位相
[解説]豊川斎赫(国立小山工業高等専門学校)
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著者からのメッセージ
 半世紀ほどむかし、海外の建築家、批評家、芸術家たちと知り合いになった。彼等と対等にやり合うには、フリーランスでプロジェクトを制作することしかないと知った。
 私は公職や教職につかずに、アーティスト=アーキテクト=アーバニストとして、国際的な建築・都市の設計や芸術展に参入することにした。その際の提案手段は、スケッチや、ドローイングや、それに若干の言葉であった。いくつかは実現したが、大部分は未完(アンビルト)のままである。
 その間に私が記した文章は、調査研究というよりはプロジェクトであり、「日付けのついたエッセイ」としての論考である。時と場に応じて、特定の相手へむけている。ときに、〈芸術〉〈建築〉〈都市〉などメタレベルを論じ、脱領域しているのは、変化生成する都市的文化にかかわっているからである。しかしいずれの場合にもそこに通底するのは、私が思考の拠りどころにしている「建築」である。
 このたび〈建築論集〉として整理編集するにあたり、主題ごとに、ひと世代以上若い方々にご協力していただいた。私は〈いま〉を補完する新稿を加えた。さらに半世紀後の世代に読みつがれてほしいと考えたためである。
磯崎新
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*画廊亭主敬白
磯崎ファンの浜田さんに今回の建築論集紹介をお願いしたのですが、原稿をいただいたときにはまだ配本されていませんでした。
先日岩波書店から献本が届き、早速読みふけっています。
『磯崎新建築論集 1』 表紙

各巻の表紙には、磯崎新連刊画文集『百二十の見えない都市』(ときの忘れものエディション)のために制作されている銅版画が使われます。この銅版画が挿入される第二期エディションは途中で制作がストップしていて未完のため、まだ頒布されていません。一足先に本の表紙でお目見えという次第です。
また各巻の月報にも、磯崎新先生の銅版画が使われます。
こちらの方はやはりときの忘れものエディションから磯崎新銅版画集『栖 十二』の銅版画(手彩色)が各号数点づつ使われる予定です。
第一巻月報の執筆は、石山修武先生と岡崎乾二郎先生です。
『磯崎新建築論集 1』 冊子1『磯崎新建築論集 1』 冊子2

第7信より挿画23_A磯崎新〈栖 十二〉第七信より《挿画23
コンスタンティン・メルニコフ[メルニコフ自邸] 1927年 モスクワ

*磯崎新〈栖 十二〉第七信についての詳細はコチラをお読みください。
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから

◆ときの忘れものは2013年3月15日[金]―3月30日[土]「具体 Gコレクションより」展を開催します(※会期中無休)。
233_GUTAI
企画・監修=石山修武
出品:白髪一雄、吉原治良、松谷武判、上前智祐、堀尾貞治、高崎元尚、鷲見康夫

※3月16日(土)17時より、石山修武さんと河晃一さんによるギャラリートークを開催します。
河晃一
造型作家、美術館学芸員。
1952年兵庫県芦屋市生まれ。甲南大学経済学部卒業。卒業後、染色家中野光雄氏に師事、80年から毎年植物染料で染めた布によるオブジェを発表。87年第4回吉原治良賞美術コンクール展優秀賞、第18回現代日本美術展大原美術館賞受賞。
『画・論長谷川三郎』の編集、甲南学園長谷川三郎ギャラリーや芦屋市立美術博物館の開設に携わり「小出楢重と芦屋展」「吉原治良展」「具体展」「阪神間モダニズム展」「震災と表現展」などを企画した。93年にはベネチアビエンナーレ「東洋への道」の具体の野外展再現、99年パリジュドポムの「具体展」など海外での具体の紹介に協力。06年よりは兵庫県立美術館に勤務されました。
(要予約/参加費1,000円)
メールにてお申し込みください。
E-mail: info@tokinowasuremono.com

『松本竣介展』図録
価格:800円(税込、送料無料)

執筆:植田実、16頁、図版30点、略歴
※お申し込みはコチラから。

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