「美術館に瑛九を観に行く」第11回

東京都現代美術館「MOT Collection ONGOING」より、瑛九とオノサト・トシノブ


画廊亭主敬白
ぬかったというか、うっかりしていたというか。今回亭主がご紹介する東京都現代美術館でのコレクション展はとうに会期が終了しているばかりではなく、美術館そのものが大規模改修工事による休館に入ってしまいました(最低2年の長期にわたるらしい)。レポートが遅くなってしまい申しわけありません。この記事を読んで慌てて木場に向かわないようお願いする次第です。

昨年2月に始まった「美術館に瑛九を観に行く」連載は、日本各地の美術館を訪ね、企画展や常設展に展示されている瑛九を観て紹介するのを目的に、研究者やライターによる複数の執筆者のリレー連載を予定しているのですが、なかなか立候補者がおらず、第一回から中村茉貴さんがほとんどを執筆されています。

このところ、スタッフはアートフェアへの参戦で忙しく、亭主は事故による怪我のリハビリに神経が行ってしまい各地の美術館からいただくご案内は目を通すだけで、ろくに読みもしなかった。都現美が長期休館に入ること、休館前のコレクション展に瑛九が展示されていることなど、すっかり忘れていました。
社長が別件で都現美に伺い、ついでにコレクション展を拝見し、オノサト・トシノブの素晴らしい水彩と瑛九のフォトコラージュに感動し、「あら、知らなかったの」と亭主に皮肉を飛ばしたものだから、気が動転した亭主は中村茉貴さんに連絡する余裕もないまま、ぎりぎり最終日(5月29日)に駆けつけ、取材させていただきました。
写真はピンボケ、中村さんのレポートに数段落ちることをお許しください。
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都現美の玄関

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企画展は「スタジオ設立30周年記念 ピクサー展」と「MOTアニュアル2016 キセイノセイキ」の二つ。今まで見たことのない長蛇の列。こりゃあ入れるかなあと心配になりました。

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入館待ちの行列はあのでかい美術館の外まで延々と続いていました。

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現代美術の常設展はご覧の通りの閑散状態。すぐに入れました。

<東京都現代美術館の常設展示「MOTコレクション」では、約4,800点の収蔵品のなかから、毎回およそ100点を選び、多角的な視点により戦後・現代美術を紹介しています。
今期の「コレクション・オンゴーイング」は、特にポップアートと紙作品に焦点をあて、新収蔵品とともに展示します。ポップアートは、開館当初から現代美術の源泉として積極的な収集活動が行なわれてきました。とくにアンディ・ウォーホルやデイヴィッド・ホックニーの作品は、当館のコレクションを代表するものと言えるでしょう。今回はこれらを「アンコール」として構成します。また、収蔵品の大部分を占める紙を素材とした作品群は、保存上の理由からも、展示の機会が限られていました。今期は「紙の仕事」と題して、そうした作品の多彩な表情をお楽しみいただきます。あわせて、「新収蔵品」として、辰野登恵子(1950-2014)と豊嶋康子(1967-)の特別展示をいたします。
本展が、同時代の美術と向き合い形成される当館のコレクションの魅力に触れる契機となることを願っております。なお、会期終了後は、大規模改修工事による休館になります。>
(同館HPより)>
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展覧会ポスター

CIMG7842ポップアートの部屋
<現代美術の源泉であるポップアートは、開館当初より当館のコレクションの核を成してきました。そこで今回は、休館を前に、アンディ・ウォーホル財団から寄贈された貴重な新収蔵品とともに、ウォーホル、リキテンスタイン、ウェッセルマン、ホックニーといった60年代ポップの作品をまとめてご覧いただく部屋を設けます。(同館HPより)>

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「紙の仕事」

紙を素材とした作品の展示は、保存上の理由から照度や期間など多くの制約が課されています。そのような理由から、「MOTコレクション」でもなかなか多くをご紹介できませんでした。そこで今回は、これまで展示の機会の少なかった作品を含め、多彩な紙作品をご紹介します。当館ならではのラインナップで「紙の上の作品、紙による作品」の数々をお楽しみください。(同館HPより)>
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展示のコンセプト

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瑛九が1935年に制作したフォトコラージュ2点が出品されていました。
この頃、瑛九が好んで使用した黒い厚紙の作品は東京国立近代美術館にも収蔵されていますが、都現美にもあったなんて不勉強で知りませんでした。

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瑛九 EI Kyu
[フォト・コラージュB]
Photo-Collage B
1937
グラビア写真/厚紙 (コラージュ)
Photo gravure on cardboard(collage)
28x21.3cm

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瑛九 EI Kyu
[フォト・コラージュA]
Photo-Collage A
1935
グラビア写真/厚紙 (コラージュ)
Photo gravure on cardboard(collage)
41.5x29.5cm

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草間彌生の紙の作品

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会場の中央にはL字型壁面が特設され、オノサト・トシノブの紙の作品が展示されていました。

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オノサト トシノブ ONOSATO Toshinobu
いずれも福原義春氏寄贈作品(Gift of Mr.FUKUHARA Yoshiharu)

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オノサト・トシノブ
「四つの丸 白・黒・グレー Four Circles」
1958 水彩/カンヴァスボード Watercolor on r
28.4 x 19cm

CIMG7861左から、
「赤の丸 Red Circle」
1960 水彩/紙 Watercolor on paper
24 x 34cm

「四つの丸 白・黒・グレー Four Circles」

「一つの丸朱 One Red Circle」
1955 水彩/紙 Watercolor on paper
18.6 x 28cm

CIMG7857左から、
「二つの同心円 Two Concentric Circles」
1969 水彩/紙 Watercolor on Paper
16 x 23cm

「作品 Work」
1963 水彩/紙 Watercolor on Paper
13.8 x 20cm

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展示された作品群の中では小品ですが、熱心にご覧になる方も多い。

うっかり見逃すところでしたが、瑛九の1935年の初期作品2点に加え、オノサト・トシノブの1950〜60年代の秀作まで見ることができ充実したひと時でした。

もともと都現美の日本の戦後・現代美術のコレクションには定評があり、企画展よりコレクション展(常設展示)の方がいい、などとささやかれることもしばしばです。これは嫌味などではなく、NYのメトロポリタンでも、パリのルーブルでもあの凄い集客力の源はコレクション展示です。都現美はそれらの大美術館とは一けた二ケタ落ちるとはいえ、日本の前衛美術を俯瞰する上では最も良質なコレクションも持っているのだから、休館明けには、さらにコレクション展示に力を入れてほしいと切に切に願います。

取材にあたっては休館前日の超多忙な中にもかかわらず、牟田行秀先生、岡本純子先生には丁寧に対応していただきました。厚く御礼を申し上げます。

***

ちょっと寄り道....

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往路の東西線で偶然乗り合わせた小林美香さんとお嬢さん

CIMG7870帰りはバスに乗ったら、終点は東京駅北口でした。

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久しぶりのリアル大書店「丸善」に入りました。

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さすが充実の美術書コーナー

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平積みされた大谷省吾先生の新著『激動期のアヴァンギャルド: シュルレアリスムと日本の絵画一九二八-一九五三 』(国書刊行会)、思わず手に取ったのですが重いです、厚いです、少々高いです。他にも日頃の欲求不満を解消すべくまとめ買いして、宅急便で送ってもらいました。


●展覧会の記録
MOT Collection ONGOING コレクション・オンゴーイング
20160305現代美術館コレクション
「コレクション・オンゴーイング」
会期:2016年3月5日[土]〜5月29日[日]
会場:東京都現代美術館常設展示室
主催:東京都/東京都現代美術館
出品作家:ウィレム・デ・クーニング、トーマス・デマンド、デイヴィッド・ホックニー、ロイ・リキテンスタイン、アンディ・ウォーホル、トム・ウェッセルマン、オノサト・トシノブ、瑛九、草間彌生、太田三郎、辰野登恵子、照屋勇賢、豊嶋康子、福島秀子、吉岡徳仁、他
アトリウム・プロジェクト:大友良英+青山泰知+伊藤隆之
20160305現代美術館コレクション 冊子
同展冊子

●出品リスト
20160305現代美術館コレクション リスト20160305現代美術館コレクション リスト2


20160305現代美術館コレクション リスト320160305現代美術館コレクション リスト4

●今日のお勧め作品は、瑛九です。
qei_165瑛九
《花々》
1950年 油彩
45.5×38.2cm
*「瑛九油彩画カタログレゾネ 1925〜1959」No.202
(2011年、埼玉県立近代美術館・他『生誕100年記念 瑛九展』図録所収)

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