ギャラリー  ときの忘れもの

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明日12月7日は私たちが敬愛する彫刻家・舟越保武先生(1912年12月7日 - 2002年2月5日)の生誕110年の記念日であり、今年はちょうど没後20年です。
20211211121800_00003左から綿貫不二夫、舟越保武、大沢昌助(後ろ姿)、難波田澄江(龍起夫人)、浪川正男
1981年11月9日ギャラリー方寸「難波田龍起展」オープニングにて

舟越保武松欅堂レリーフ
舟越保武 Yasutake FUNAKOSHI
少女の顔
1979年
ブロンズレリーフ
12.0cm(径)
美術館松欅堂(愛知県豊田市に原広司設計により、1979年竣工)友の会記念作品

funakoshi-y_01_wakaionna-a舟越保武 Yasutake FUNAKOSHI
若い女 A
1984年
リトグラフ(雁皮刷り)
51.0×39.0cm
Ed.170
サインあり
*現代版画センターとMORIOKA第一画廊の共同エディション

亭主が舟越先生の知遇を得て、たくさんの版画をエディションできたのは、MORIOKA第一画廊の上田浩司さんのおかげです。盛岡中学の同級生だった松本竣介と舟越先生を上田さんは深く尊敬しており画廊で幾度も展覧会を開き、舟越先生の彫刻作品を建築空間に設置する仕事もされていました。その一つ、虎ノ門にあった「虎ノ門パストラル(東京農林年金会館新館)の新築工事」に際し、舟越先生はじめ、関根伸夫、田中信太郎、流政之、新妻実、木村賢太郎、柳原義達、照井栄らの石彫、ブロンズ、金属レリーフ作品と、靉嘔、百瀬寿、元永定正、大沢昌助、深沢紅子、大橋成行らの絵画、タペストリー、版画を設置することに成功しました。
何年にもわたる大仕事でしたが、版画作品は現代版画センターがお手伝いさせていただき、客室用に舟越先生の版画作品をエディションしました。
舟越保武銅版画集 若い女』1982年
リトグラフ「St. Crara」1982年
舟越保武 石版画集』1984年

上田さんに教えていただいたもう一人の彫刻家に戸張孤雁(1882年2月19日〜1927年12月9日)がいます。
12月9日は近代彫刻のパイオニアの一人であり、創作版画の忘れ難い名作を遺した孤雁の命日で、今年は生誕140年、没後95年にあたります。
そうか、舟越先生と孤雁はたった30歳しか違わなかったのか・・・
孤雁ははるか昔の人、舟越先生は何点もの版画をつくっていただいたので身近に感じていましたが、100年のスパンで考えれば同時代の作家ですね。

G方寸81年4月戸張孤雁と〜画面G方寸81年4月戸張孤雁と〜「戸張孤雁と創作版画の人々展」
会期:1981年4月25日〜5月6日
会場:ギャラリー方寸

半世紀前、亭主はあるイギリス人のために、創作版画、中でも戸張孤雁の木版画に夢中になっていました。左に掲げたのは亭主が主宰していたギャラリー方寸での展覧会案内状です。
当時は孤雁の妹さんもご健在で、兄孤雁のことをいろいろ聞くことができました。また上田さんの縁で一時、孤雁の全版木を保管し、後摺りを企てていました(現在は版木は愛知県美術館の収蔵)。
孤雁は、生涯独身(美しい恋人はいましたが)、東京出身がたたって、いまだにこの優れた作家を顕彰する機関も美術館もありません。回顧展も愛知県美術館と碌山美術館が随分前に開いたのみ。
もし孤雁が他の地方の出身だったら、美術館が放っとかないでしょう。

毎年12月9日の戸張孤雁の命日を迎えると、短命(昭和2年46歳で没)で逝った孤雁を偲び、まだやり残した仕事があるなあと感慨にふける。

下の2点の木版は、亭主の現代版画センター時代に孤雁の原版木から後摺りしたものです。
孤雁年賀状
戸張孤雁「木版小品(1921年年賀状)
1921年年賀状として制作、
1976年原版木より後摺り(摺り:五所菊雄)
9×13cm 限定275部
『画譜』第3号特装版に挿入

孤雁
戸張孤雁「木版小品
制作年不詳、
1976年原版木より後摺り(摺り:五所菊雄)
10×15cm 限定275部
現代版画センター機関誌『画譜』第3号特装版に挿入

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1882(明治15年)東京日本橋に生まれた孤雁の本名は志村亀吉。後に母方の戸張家を継いだ。亭主が孤雁を追いかけ始めた頃には、まだ志村家の妹さんがご存命で、兄孤雁のことをいろいろ教えていただいた。
1901(明治34年)渡米し、苦学しつつアート・スチューデンツ・リーグなどで絵画を学ぶ。荻原守衛(碌山)と知り合うが、1906年病のため帰国。碌山の影響で彫刻への関心を深め、1910年太平洋画会研究所彫塑部に入る。1916年からは日本美術院彫刻部に出品し、翌年同人となる。1913年石井柏亭らと水彩画会を創立、1919年には創作版画協会に参加し版画制作を行い、「タンスの前」「玉乗り」「千住大橋の雨」などの傑作を遺す。
1927(昭和2)年12月9日死去。下谷区谷中大泉寺に埋葬された。
近代美術史上のもっともひそやかな存在、孤雁の回顧展をどこか東京の美術館が開いてくれないかしら。
アトリエの戸張弧雁
アトリエの戸張孤雁(1916年頃)
(愛知県美術館「戸張孤雁と大正期の彫刻」展図録4ページより
同展は1994年1月25日〜3月6日まで開催された)

戸張孤雁 《煌く嫉妬》 1924年 ブロンズ
戸張孤雁「煌く嫉妬」
1924年 ブロンズ
35.0×19.0×20.6cm
愛知県美術館蔵
*これはブロンズですが、石膏による原型も一時亭主が預かり、ギャラリー方寸で展示しました。

「Tricolore 2022 ハ・ミョンウン、戸村茂樹、仁添まりな」
会期:12月9日(金)〜12月23日(金)※日・月・祝日休廊
出品21点のデータと価格は12月4日ブログをご参照ください。
49_tricolore_案内状_表1280

49_tricolore_案内状_宛名面1280
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