小国貴司のエッセイ「かけだし本屋・駒込日記」第14回

遊園地はお好きですか?テーマパークではありません!遊・園・地!です!
都電で行くことが出来る遊園地「あらかわ遊園」がリニューアルのため、今年の12月1日から休園するそう。コーヒーカップがあって、観覧車があって、ジェット、とはいってもあまりジェット感がないコースターがあって・・・。リニューアルで遊園地の雰囲気がガラッと変わったりしないか、少し心配しております。
そんな遊園地の花形のひとつは、何と言ってもメリーゴーランドでしょう。

メリーゴーランド好きにはたまらない一冊が入荷しました。

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『FAIRGROUND ART』洋書ですが、メリーゴーランドの美術的側面を歴史とともに解説した本書、建物自体のデザインから、装飾看板、そしてもちろん乗物としての木馬のデザインまで、図版がこれでもかと詰め込まれた一冊です。

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木馬をフランス・ベルギーやフィラデルフィア、コニーアイランドなど分類して解説していたり、「FANTASTIC CREATURES」という分類では、木馬らしからぬ乗物の写真もたくさん。
あいにく書かれている英語の本文が読めず、ぼんやりとしか書かれている内容はわからないのですが、図版を見ているだけでも、「馬」という特権的な乗物を大衆が遊んでいる様子が、戦後はアメコミ風の絵柄やマリリン・モンローのような有名人をキャラクターにしてお客を集めるという形に変わっていき、その時代時代の「欲望」を象徴しているようで面白いです。

今月ご紹介したいもう一冊はデヴィッド・フォスター・ウォレス、阿部重夫訳『これは水です』。

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ウォレスは『システムの箒』(邦題は『ウィトゲンシュタインの箒』)『無限の道化』などを書いたポストモダン小説の旗手でした。しかし、2008年に縊死してしまいます。本書はその悲しい死から三年前、ケニオン・カレッジの卒業式で行われたスピーチを書籍化したもの。卒業式のスピーチは、スティーヴ・ジョブズが日本でも有名ですが、このウォレスのスピーチは、ジョブズを凌いで全米一位に選ばれたものです。
ここで話されているのは、リベラル・アーツ(人を自由にする学問)の大切さです。人間が如何に「初期設定」のままの思考に囚われているか、権力や美や知を追いかけ、退屈、決まりきった日常をそのまま生きているか、そのデフォルトからどう逃れるか、ということです。

「だれだってなにかを崇拝しています。
僕らに唯一できる選択は
なにを崇拝すべきか、だけです。」

ウォレスのその死を思う時、われわれは彼の遺したメッセージをどう受け止めるべきなのでしょうか。
おくに たかし

■小国貴司 Takashi OKUNI
「BOOKS青いカバ」店主。学生時代より古書に親しみ、大手書店チェーンに入社後、店長や本店での仕入れ・イベント企画に携わる。書店退職後、新刊・古書を扱う書店「BOOKS青いカバ」を、文京区本駒込にて開業。


●今日のお勧め作品は、吉田克朗です。
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吉田克朗 Katsuro YOSHIDA 『LONDON II』より「North End Way」
1975年 フォトエッチング アクリルケース入り12点組
シートサイズ:31.0x43.3cm
Ed.20部  各作品に限定番号と作者自筆サイン入り
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※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください


*画廊亭主敬白
昨夕は社員に早退させました。
ネットで報じられる台風の被害映像に驚いています。
亡くなられた方のご家族、被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。ここ数ヶ月、風の強さ、集中的な豪雨、かつてなかった激しい気候の変化。今までの常識は通じないと覚悟して立ち向かわなければならないのでしょう。恐ろしい時代です。

●ときの忘れものは昨年〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました。TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531
阿部勤設計の新しい空間についてはWEBマガジン<コラージ12月号18〜24頁>に特集されています。
2018年から営業時間を19時まで延長します。
営業時間=火曜〜土曜の平日11時〜19時。日・月・祝日は休廊。
JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
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