ギャラリー  ときの忘れもの

001_外観1
このブログ上の図版、写真、文章等のすべてについて無断転載・無断引用を禁止します。

過日は突然お邪魔しましたが、H氏のブログコピーをいただきありがとうございました。帰ってさっそく読ませてもらいH氏のコレクション魂とその披瀝のみごとさ、うまさを堪能しました。
写真に対する眼がじつに自由。それこそがコレクターであることの資格なんだとつくづく思いました。
そしてそのような写真にたいする愛の自由を若い人たちに継いでほしいという言葉はいまの自分自身の気持をも開いてくれるかのようでした。
すぐアッジェの名を出してしまうことにたいして照れてらっしゃるようですが、それは逆に写真で切り取ることのできる世界の最大の大きさにつねに触れておられるのだなと、H氏の姿勢が急にあざやかに見えてきたようです。
H氏というとすぐ思いうかべるのは現代詩における最高の賞、H氏賞です。その謎を解かれたような気分でもあり、直接H氏にハガキでも出したいくらいですがその余裕なくハガゆい次第ですがこの展覧会が大成功して破顔一笑されているH氏によろしく。とりあえず
(U様より)>
〜〜〜〜〜

H氏による作品紹介8

きみに決めた ー個人ギャラリーで写真を買うー 〜青嵜直樹、金子典子、福崎香子、盒彊ゝ─香田蔵人、吉田伊寿、林和美、三谷浩、末松千明、山中賀與子、吹雪大樹、オノナホヨ、木下憲治、花形愛音、日高千賀子、熊谷聖司、鈴木全太、村上将城 〜

 すでにお気づきのことと思うのだが、自主ギャラリーの項目で紹介したDays Photo Galleryやルーニイ247ファインアーツは厳密な意味での自主ギャラリーとは言えない。そこには写真家たちの共同体ではなく、浦井さんや篠原さんという魅力的な個人が確固として存在し、それがすべての活動や展示に反映されていた。もちろん運営をプリントの売買のみで成り立たせることは(まだ)できないので、次に触れる貸しギャラリー同様、展示する作家さんに会場のレンタル料を負担してもらっての運営である。
 けれども、貸しギャラリーと決定的に違うのは、お金を出せばOKではなく、事前の審査と繰り返される打ち合わせとによって、ギャラリーの色がはっきり出ること。その意味で作家は、ギャラリーの空間にではなく、ギャラリストのプロデュースに対して費用を払う形になっていることがいわゆる「貸し」にはない点だと思う。
 そして、私としてはこの「個人ギャラリー」での展示が一番面白かったように思うのである。

 「ときの忘れもの」が南青山にあった時代、そこから歩いていける範囲にいくつかの写真を扱うギャラリーがあった、その一つがギャラリーJyマンションの一階奥の一室であるが、毎回モノクロの印象深い展示を行っている。ここで購入したのは下記の2点。

001Lot.1 青嵜直樹
作品
2005
ゼラチンシルバープリント
I: 31.3x20.8cm
S: 35.4x27.9cm

 ネット上ではあるが、青嵜さんについては「写真家/デザインフェスタ勤務/NPO法人ハナラボ に参画。18歳のとき写真に触れたことで、見ている景色の再現に興味を持つ。現在は展示活動の他に、表現の場作りや価値の拡散に従事。写真から派生して、伝えること、繋げること、広げることをテーマに活動を行う」との情報がある。
 2009年にも、The Group Exihibition 「ポートレイト ― わたしの切れ目、あなたのはじまり」青嵜 直樹・田中 美沙妃・三田 航、として3月14日(木)〜3月24日(日)に吉祥寺の「一日」でグループ展が行われた。
 作品はメールヌード(セルフ?)であるが、当方としてはツァイトの鷹野さんの展示よりも好ましかった(安かったし)。

129Lot.129 宮崎崇光
作品
2003
ゼラチンシルバープリント
I: 23.3x23.3cm
S: 35.4x27.6cm

 静謐なモノクロームの風景写真をコンスタントにギャラリーJyで発表し続けておられる。別に特別な場所というわけではないのに、何か胸騒ぎがするような不穏な空気が漂っているのが不思議である。近作は水墨画を思わせるような雲の(中?)作品が印象深かった。

ホカリファインアート

041Lot.41 金子典子
作品
1997
ゼラチンシルバープリント
Ed.15(7/15)
I: 26.2x17.6cm
S: 35.2x27.8cm

042Lot.42 金子典子
作品
1998
ゼラチンシルバープリント
Ed.15(2/15)
I: 26.3x17.6cm
S: 35.2x27.8cm

043Lot.43 金子典子
作品
c.1998
ゼラチンシルバープリント
Ed.15(2/15)
I: 17.5x26.2cm
S: 27.9x35.3cm

44Lot.44 金子典子
作品
2000
ゼラチンシルバープリント
Ed.15(1/15)
I: 17.5x26.4cm
S: 27.6x35.4cm

45Lot.45 金子典子
作品
2003
フォトグラム
Ed.1
I: 22.7x22.7cm
S: 35.5x27.6cm

046Lot.46 金子典子
作品
c.2003
フォトグラム
Ed.1
I: 17.7x17.7cm
S: 25.4x20.3cm

 第4回「ときの忘れもの」フォトビューイングにも登場された超絶技巧プリンターにして写真作家さん。最初にその名前を知ったのは、今はなき南青山のギャラリー「ホカリ」の取り扱い作家さんとして。
 Lot.41の「ジャングルジム」は目黒の保育園で、Lot.43の「古代遺跡」は、広島の「原爆ドーム」。Lot.42の噴水やLot.44の水たまりにしても、普段見慣れている場所やモノをたちどころにここではない場所、ここにはないモノにしてしまうワザはまさに錬金(銀?)術師である。そのワザはLot.45、46のフォトグラムでもいかんなく発揮されている。フォトグラムは技法的に一点モノなので、気に入ったら迷い無く入札をお願いする次第である。

104Lot.104 福崎香子
「MALTA 2000」より「願」
2000
ゼラチンシルバープリント
I: 16.4x23.1cm
S:35.5x28.0cm

 この「ホカリ」のコレクション展で気になって購入したのが福崎さんの「願」。旅行の際のものだと思うのだが、観光客の物珍しげな視線ではなく、寂れた教会堂に向けられた普遍的で永遠の光が差しているような視線が、ときにざわつくこちらの心を静めてくれるような一枚だった。

078Lot.78 盒彊ゝ
水族館
2003
ゼラチンシルバープリント
I: 19.0x28.3cm
S: 25.3x30.3cm

 「ホカリ」は何と言っても、ギャラリストにして文筆家、『撮る人へ』(窓社)で写真家(志望者)を挑発した安友志乃さんの強烈なキャラクターがその柱だった。ご家庭の事情と伺ってはいるが、余りに突然のホカリの閉廊に、取り扱い作家のお一人だった村松さんが同じく南青山で2002年に立ち上げたのがDAZZLE。金子さんを始めホカリに関わりのある作家さんのみならず、幅広くその空間を提供している。

 高橋さんの作品はグループ展に展示されていたのだが、自分にはこの一点が、何が写っているのか分からないままに(よく見れば小さな魚の影が見えるので、水族館の展示水槽を写したものだと分かる)やたら気にかかったので在廊されていた村松さんに質問。水族館とわかってなおその磁力は弱まらず購入を決意。インクジェットプリントだというので印画紙へのプリントをお願いした(当時はインクジェットプリントの耐久性について疑問が持たれていた。もちろん今は確立している)。記憶に残る一枚である。

 こうした個人ギャラリーは、自主ギャラリー以上に運営が不安定である。企業ギャラリーを別にすれば(今は企業といっても決して油断はできないが)、資金繰りを始めとする経営の問題たけではなく、結婚、出産、転勤、介護といった個人的な事情から存続することができなくなってしまうギャラリーは決して少なくない。
 閉廊の経緯については何も知らないのだが、なくなったのが本当に残念なギャラリーの一つが、京橋にほど近いビルの2階で、印象に残る展示をしていたPUNCTUM(PUNCTUM Photo+Graphix Tokyo。プンクトゥム・フォトグラフィックス・トウキョウ)。ギャラリーとしては2004.6.13〜2009.6.1まで存続し、現在は「新聞用紙に新聞印刷用のインクを使って新聞用輪転機で印刷する「本物の新聞」作品集」PUNCTUM TIMES(プンクトゥム・タイムズ)として活動を続けている。
 ここでは香田蔵人さんと吉田伊寿さん、宮川かおりさんの作品を購入した。

61Lot.61 香田蔵人
(撮影地:鎌倉)
1995(Printed in 2005)
インクジェットプリント
29.2x41.9cm

62Lot.62 香田蔵人
(撮影地:多摩川・大郷土手)
1996(Printed in 2005)
インクジェットプリント
29.2x41.9cm

63Lot.63 香田蔵人
(撮影地:蒲田)
1996(Printed in 2005)
インクジェットプリント
29.2x41.9cm

 香田蔵人展「10th」(テンス)(2005・8/30〜9/9)にて購入。いただいた説明には、
「香田は家業のかたわら撮影活動をしている写真家です。香田は約10年前、祖父の形見のカメラを持って、祖父との思い出の場所を歩き撮影しました。記憶の場所と現実の風景のあいだで香田は、祖父との思い出の痕跡を探そうとしました。10年の時を経てセレクトされ、プリントされた写真からは、空虚感や寂寥感、さらには静かな生命感などが感じられます」とあり、
 本人からのメッセージとして。
「1995年の夏の終わりに旋盤工だった祖父が亡くなった。その年の暮れから96年にかけて、祖父が生前私にくれたカメラ(オリンパスOM2/50ミリレンズ付き)を手に、ソフトの思いでの土地(多摩川沿い、蒲田、恵比寿、世田谷、鎌倉)を歩いた。祖父が亡くなって10年。撮影後押し入れにしまったままだったポジ(コダクローム)を久しぶりに見返して見ると、今は忘れてしまった感情や感覚がザワザワとよみがえってきた。買ったばかりのインクジェットプリンタで出力してみると、展覧会をしたくなった。人の目に触れてもらうことによって、写真に新たな生命を与えたいと思った。この展覧会が終われば、壊れたままの形見のカメラを修理して、今度は行ったことのない場所を写そうと思っている」と記されている。
 略歴には「1965年東京都大田区出身。高校時代より撮影を始める。大学中退後家業を引き継ぐ。現在自営業のかたわら撮影活動をいそしむ。本展は初個展となる」とある。
 新しい才能を発掘しようとする姿勢は一貫していて、そのための企画も行われていた。

141Lot.141 吉田伊寿
Kishimi #09
ゼラチンシルバープリント
Ed.5 (2/5)
I: 37.2x40.3cm
S: 46.2x50.6cm

 吉田伊寿さんの作品は、プンクトゥムの「アット・ファースト・サイト」シリーズ #1 吉田伊寿 『Kishimi』に際して購入。このシリーズは「来春卒業する学生たちの個展を、プンクトゥムによるオーガナイズのもと順次紹介していく企画です。春から新たなスタートを切る若き才能たちをきちんとしたカタチで紹介していくことによって、世間の注目を集め、アーティストたちの活動意欲を向上させたいと考えております」との趣旨で行われていた。これも、世界が「軋む」瞬間を切り取った魅力的な作品だと思う。

127Lot.127 宮川かほり
『かみのおうち』より
2005
ゼラチンシルバープリント
I: 7.9x12.2cm
S: 8.9x13.7cm

128Lot.128 宮川かほり
『かみのおうち』より
2005
Type C プリント
I: 7.9x12.2cm
S: 8.9x13.7cm

 宮川かほり展「かみのおうち」(2005/11/29〜12/11)にて購入。プロフィールには「大阪市生まれ 京都芸術短期大学(現:京都造形芸術大学)映像科卒業、1995〜99年 ロンドンKingsway collegeにて写真を学ぶ その頃からいろんな国に旅行をし始める」とあった。ネットで検索してみると、下記のような展示歴発見。
2004年4月 「光の味」Gallery Kai(大阪) 6月「光の味」 exhibit LIVE(東京)
2005年9月 「かみのおうち」Gallery Kai 12月「かみのおうち」PUNCTUM(東京)
2006年9月 「眠りの糸」PUNCTUM
2008年4月 「光と水と眠りの隙間」PUNCTUM
2011年5月 「森と襞」Port Gallery T
2018年6月 「夏が来る前に 猫と犬と子供たち」かねこふぁ〜む 喫茶あとりえ

 あまり聞かない「個人ギャラリー」という名称を使おうと思ったきっかけがこの林和美さんのNADAR。林さんは第5回「ときの忘れもの」フォトビューイングにゲストとして来ていただいているので、改めてご紹介するのもためらわれるが、ご自身の個人HPのプロフィールを転記するなら、

林 和美 Hayashi Kazumi
 装幀写真家、ギャラリー NADAR 主宰 日本図書設計家協会会員 三重県生まれ。大阪芸術大学 芸術学部 写真学科卒業後、広告代理店、フォトエィジェンシー勤務を経て現在に至る。写真集「ゆびさき」(青幻舎)「装幀写真」(ナダール書林)。著書「写真生活手帖」「写真生活手帖〜実践編」(以上ピエ・ブックス) 「女性のためのカメラレッスン」(大泉書店)
 この林さんが大阪・南船場のレトロビル、大阪農林会館の地下1階に2000年に開いたのがNADAR。「写真に関するすべての事」を掲げて、展示のみならず、写真教室、額装サービス、ワークショップ、販売など、写真に関する様々な活動を展開。「大阪にナダールあり」との噂が東京在住の小コレクターにも聞こえるようになった頃、NADAR/TOKYOが中目黒に開廊。オープン間もなく駆けつけたのだが、こちらはマンションの一室。というか林さんのご自宅。作品の並べられたギャラリーで、夜はここに布団を敷いて寝てます、とこともなげに言われて口をあんぐり。このヒトはほんっとーに写真(写真にまつわる事柄みんな)が好きなんだとその熱意とパワーに圧倒されたことを思い出す。
 その後NADAR/TOKYOは2005年に渋谷、2012年に南青山に移転、NADAR/OSAKAは2014年にスタッフだった橋本大和(ひろかず)さんがオーナーとなって「Solaris(ソラリス)」として再始動した。

092Lot.92 林 和美
林和美写真集『ゆびさき』より
2004
ゼラチンシルバープリント
I: 12.5x18.5cm
S: 20.2x25.2cm

 林さんの作品をどのタイミングで購入したのかはもう思い出せない。そのくらい写真展以外の活動を積極的になさっていたのだと思う。じっさい、NADAR/TOKYOの写真展にうかがうと、作家さんご本人よりも林さんにお目にかかることが多かった(自宅兼なのだから当然ではある)。「留守番ですよ」とご本人はご謙遜であったが、作家さん以上に作品について熱っぽく語ってくださって、その勢いにおされて(おいおい)購入してしまった(スミマセン)作品も少なくない。しかし断言するが、購入した事を後悔したことは(軽くなった財布と数字の小さくなった銀行口座の数字を見るとき以外には)ただの一度もない。それだけ気に入って、入れ込んだ作品、作家さんの展示ばかりだったのだと思う。「写真を真ん中に 人に笑顔を」とHPのトップに掲げられた言葉に偽りなしである。
 ちなみに、写真集『ゆびさき』は今や「希少本」の扱いで、桔円を超えるような価格で流通している。写真家としての人気と実力も折り紙付きである。ちなみに「ゆびさき」は「ときの忘れもの」のプロデュースで7点組のポートフォリオがリリースされている。こちらもオススメである。

◆林和美 ポートフォリオ「ゆびさき」(7点組) 限定10部

090Lot.90 箸尾健一
作品
2004
ゼラチンシルバープリント
I: 41.7x52.7cm
S: 50.8x60.5cm

 箸尾さんの作品は、箸尾健一展「THE GARDEN」(NADAR/TOKYO、2004/3/2〜3/7)にて購入。プリントを受け取りに来廊した折に「写真を買ってくださったことは、私の励みになり、大変感謝しております」との丁寧な手紙を添えてくださり恐縮したことを覚えている。
 当時のHPからの略歴としては、「1979年 奈良県生まれ 2000年 日本大学芸術学部入学 2004年 同 卒業 2004年 写真展『THE GARDEN』」ということになる。その後もNADAR/TOKYOで展示をされており(箸尾健一展「写楽 vol.壱」)(2008/9/29〜10/11)現在はフリーランスのカメラマンとして活動されている。

115Lot.115 三谷 浩
作品
2004
インクジェットプリント
S: 12.9x19.0cm

116Lot.116 三谷 浩
作品
2004
インクジェットプリント
S: 12.9x19.0cm

117Lot.117 三谷 浩
作品
2004
インクジェットプリント
S: 12.9x19.0cm

118Lot.118 三谷 浩
作品
2004
インクジェットプリント
S: 12.9x19.0cm
 
119Lot.119 三谷 浩
作品
2004
インクジェットプリント
S: 12.9x19.0cm

120Lot.120 三谷 浩
作品
2004
インクジェットプリント
S: 12.9x19.0cm

121Lot.121 三谷 浩
作品
2004
インクジェットプリント
S: 12.9x19.0cm
 
122Lot.122 三谷 浩
作品
2004
インクジェットプリント
S: 12.9x19.0cm

123Lot.123 三谷 浩
作品
2004
インクジェットプリント
S: 12.9x19.0cm

124Lot.124 三谷 浩
作品
2004
インクジェットプリント
S: 12.9x19.0cm
 
125Lot.125 三谷 浩
作品
2004
インクジェットプリント
S: 12.9x19.0cm

126Lot.126 三谷 浩
16枚セット
2004
インクジェットプリント
S: 29.7x20.7cm

 三谷さんの作品は、2004年2月の「三谷浩、林和美二人展」(NADAR/TOKYO)で購入。三谷さんの略歴としては「1969年愛知県生まれ、大阪芸術大学卒。STUDIO BIG MOOSEを経て現在フリー」ということになるが、この、海岸に流れついた様々の「漂着物」を一点一点まるで商品見本のように丁寧に写したシリーズは、まとめた小冊子が国立国会図書館に収蔵されるような、色々な意味で貴重なシリーズ。海洋汚染が国際首脳会議の議題となるような現在の情況からすると、今から15年も前の「早すぎた」シリーズとも言えるかも知れないが、まだ誰も気がついていない時に自分でもなぜだかわからないままにしてしまったことが後になって「そうだったのか」とみんなに納得されることが「芸術家」の本望だとしたら、三谷さんは紛うことなき芸術家である。この「炭鉱のカナリア」の作品を今こそぜひ。

70Lot.70 末松千明
作品
Type C プリント
I: 40.6x50.5cm
S: 45.7x55.8cm

 末松さんは、「1948年大阪府生まれ、1971年日本大学農獣医学部卒業」という経歴をお持ちであるが、写真家としての活動は、個展が「福助の耳朶」(NADAR/OSAKA、2002)、「福助の耳朶」(横浜・ライトワークス、2002)、「赤船に白光」(横浜・ライトワークス、2003)、「地華園」(NADAR/TOKYO、2005)、「非有鏡」(東京・R.Locus、2006)とあり、作品は末松千明写真集「Through」(2008年、末松写真事務所)としてまとめられている。作品は2005年のNADAR/TOKYOでの展示にて購入したもの。

136Lot.136 山中賀與子
作品
1999/2000
ゼラチンシルバープリント
I: 33.4x33.4cm
S: 50.5x40.6cm

137Lot.137 山中賀與子
作品
1999/2000
ゼラチンシルバープリント
I: 33.8x33.6cm
S: 50.5x40.6cm

138Lot.138 山中賀與子
馬 No.4
2001/2003
Type C プリント
I: 24.1x24.2cm
S: 35.5x28.1cm

139Lot.139 山中賀與子
羊 NO.7
2001/2003
Type C プリント
I: 24.0x24.0cm
S: 35.5x28.0cm

140Lot.140 山中賀與子
アヒル No.2
2001/2003
Type C プリント
I: 24.1x24.1cm
S: 35.5x28.1cm

 山中賀與子さんの作品を初めて拝見したのは、銀座のガーディアン・ガーデンでの「2000写真[人間の街]プロジェクト Part.2/2003 NEO DOCUMENTARY」展(2000/6/5〜8/5)の中での第3会期(6/19〜24)「日の名残り」展
 モノクロの正方形の画面から「ペリカン」や「ハクチョウ」が、この世のモノではなくあの世のモノであるかのように見えていた。
 販売はしないということなので、取り扱い画廊を調べていただいたら大阪のGallery Kaiと判明。当時知っていた唯一のギャラリーだったイル・テンポを通して入手。その後大阪への出張に合わせて足を運ばせていただいた。当時は肥後橋のビルの一室で、ストレージボックスから出していただいたカラーのシリーズから3点を購入。
 Gallery Kaiはその後谷町に移転。HPを拝見すると「写真を中心とした現代作品を扱う大阪・谷町の画廊です」とあるだけの、その意味では寡黙なギャラリーであるが、取扱い書籍のページには、楢木逸郎、津田直、東山幸弘の写真集が並ぶと同時に、「写真の会会報」がNo.55からNo. 76までずらりと並んでいて、ギャラリストの確固とした志を思わせる。
 山中さんのプロフィールを過去の展示のページからから転記すれば下記の通り。
「山中氏は1967年神戸市に生まれ、芦屋女子短期大学を卒業後、裏千家学園に学び、茶道教授となる一方で大阪のビジュアルアーツ専門学校を卒業後、関西をベースに活動し、写真作品を発表している作家です。」

 この時の大阪遠征で足を運んだギャラリーの一つがギャラリー・アヴィ遠征のための下調べをしていて開廊したばかりのアヴィのHPを発見、今も残る「アヴィ日誌」の2005年1月22付には次のような「開業宣言」がある。

開業宣言
投稿日時: 2005年1月22日
4月からギャラリーを始めることにしました。今までは辛い会社員生活から逃避するための妄想でしたが、その妄想が現実味を帯びてきたのです。実際のオープンはまだまだ先になりそうですが、とりあえず4月から動き出します。
ギャラリーの名前は「アビィ」と言います。
アビィというのは「空を飛ぶモノ」、つまり「鳥」という意味を持つ言葉です。酉年にオープンするからこの名前にしたのではありません。ギャラリーを通じてこれから巡り会うはずのまだ見ぬいろんな人たちと広大なアートの空を自由に飛んでみたい、そんな気持ちをこめて付けました。
アビィでは、写真・イラストなどの平面展示、映画・ビデオなどの上映会を開催することができます。また、パソコンという便利な道具を使って手軽で身近にアートを作っていく方法を学べる時間もあります。世界にひとつしかない手作りの作品を知らない誰かに買ってもらうこともできます。
しかしまだ、アビィには巣作りをするための巣箱がありません。どこか安くていい物件をご存知の方、ぜひ教えてください。狭くてもいいから、小さな窓があって、1日何時間かは陽が当たって、そして古ければ古い建物であるほど、良い巣作りができるので嬉しいです。
不安な気持ちは一杯ですが、頑張ってみたいと思います。

 こんな記事を読んだら何としても行かねばならない。「巣作りの準備」として部屋を借りて内装をはじめ全部手作りでギャラリーを立ち上げるまでのエピソードも面白い「順慶ビル212号室」では「トイカメラ写真月間2006 」(2006/6/6〜 7/2)の展示中。このタイトルからも分かるように、「分かりやすいテーマからビックリ仰天なテーマまで、面白い企画展はギャラリー・アビィにお任せ!」というわけで、実にノリのいいギャラリーである。

108Lot.108 吹雪大樹
「しかくいなつ」展より イナビカリ
2006
Type C プリント
I: 32.8x33.5cm
S: 40.0x40.0cm

109Lot.109 吹雪大樹
「しかくいなつ」展より しかくいなつ
2006
Type C プリント
I: 32.7x32.7cm
S: 40.0x40.0cm

 ここでは、オーナーでありディレクターでもある写真家吹雪大樹さんの作品を過去の展示から2点購入。「伝説のホルガ使い」の名前に恥じない、「何が写っているのか分からないがそんなことどうでもいいぐらいに魅力的」な作品である。

 HPには「●アビィについて」
「アビィは写真映像作家・吹雪大樹が2005年に手作りで内装を手がけ完成させたギャラリースペースです。様式やパターンにとらわれず自由な発想で写真表現を出来る場所として、そして、はじめの一歩を踏み出す作家の方々へ充実したサポートを低価格で提供できるよう、日々精進し、運営を続けています。」とあり「●代表者のプロフィール」として
吹雪大樹(ふぶきたいじゅ)(個人サイト:fubuki taiju web portfolio)
1971年大阪生まれ・写真映像作家・ホルガ会主宰
大阪ビジュアルコミュニケーション専門学校映像学科(現:日本写真映像専門学校)卒業後、大阪市内のビデオ制作会社にテレビカメラマンとして勤務。デザイン専門学校講師を経て、ギャラリー・アビィ代表となる。
2001年、ギャラリー・ナダールとトイカメラ「ホルガ」専門写真サークル「ホルガ会」を設立。2002年から「ホルガエキスポ」を開催。トイカメラの周知普及に活躍する。
2009年、NHKテレビ時代劇「浪花の華」タイトルバック写真をホルガで撮影。イーストプレス社「はじめての廃墟の歩き方」表紙写真のほか、写真単行本、CDジャケットなどに写真を提供。
また同年、ホルガリミテッド社により「世界のホルガ写真家10名」に選出され、バンコク、テキサス、ニューヨークで作品を展示。今後も引き続き海外での展示を計画中。」
とある。また(作品取り扱いギャラリー)として
・Tammy Cromer Campbell PhotoGallery(アメリカ・テキサス州)
・ルーニィ247ファインアーツ(東京・小伝馬町)
・kokontonギャラリー(イタリア)
が挙げられ、そこに「ルーニイ」があるのも嬉しい、こうした志を共にするギャラリストたちの「巣」を、「貸しギャラリー」とくくってしまう事などできない。そこにはっきりとした個人の顔の見える「個人ギャラリー」を、もっと多くの方たちに知ってもらいたいし、さらに「個人ギャラリー」が「企画ギャラリー」「コマーシャルギャラリー」として巣立っていく姿を見てみたいと思うことしきりである。

 同じように大阪にあった実に魅力的な個人ギャラリーが西天満の「Early Gallery」。2004年6月28日にオープンして、「『写真、映像』と『建築』の2軸で展開する新しいタイプのギャラリーを目指し」つつ、2006年末に惜しまれながら閉廊。小さいながら本当に魅力的な展示をしておられて、1年半という短い期間ながら、何点かの作品を購入させていただいた。大阪のネット配信サービス「コネクタテレビ」で取り上げられた際の動画が残っているので、それを見ていただければ、その魅力の一端に触れていただけるかと思う。

28Lot.28 オノナホヨ
「ミツドリ」より
2006
ラムダプリント
Ed.5(1/5)
S: 34.5x23.0cm

056Lot.56 木下憲治
「Kenji from Slideviewer」より
2006
インクジェットプリント
I: 45.7x60.9cm
S: 61.0x76.0cm

091Lot.91 花形愛音
「やらかな常闇」より「ひよこ」
Type C プリント
Ed.10(1/10)
I: 47.4x39.8cm
S: 47.4x39.8cm

100Lot.100 日高千賀子
「MAYAKAN ロビンソンノサイゴノトリデ」より
2005
Type C プリント
Ed.10(1/10)
I: 25.6x33.3cm
S: 32.7x40.7cm

101Lot.101 日高千賀子
「GRID」より
2006
Type C プリント、アクリルフレーム
Ed.10(2/10)
I: 44.5x32.9cm
F: 64.6x53.2cm

 POETIC SCAPE主宰者の柿島貴志さんも、そうした「個人」を前面に出した活動をされてきた。現在は中目黒にギャラリーPOETIC SCAPEを持っておられるが、最初にお目にかかったときには、個人レーベルの「フォッタロット」の名前でプライベートディーラーのような実に怪しげな(褒め言葉です。念のため)活動をされていた。

現在のHPには載っていないようなのだが、以前のHPには柿島さんついて次のような記事が載せられていた(柿島さん、ゴメンナサイ)。

■代表者紹介
柿島貴志 Takashi Kakishima
1972年生、石川県七尾市出身
日本大学史学科卒業後、渡英。
Blake Collegeを経て、Kent Institute of Art and Design
(現University College for the Creative Arts)写真学科に入学。
写真を中心にアート、デザインなど幅広く学ぶ。
また在学中から写真、グラフィックデザイン、WEBデザインの仕事を手掛ける一方、
故郷石川県七尾市の活性化を目的としたアートイベントの企画運営にも携わる。
大学卒業後ロンドンでのグループ展に写真家兼オーガナイザーとして参加。
その後アムステルダム、ロンドンでのWEBデザイン業務などを経て帰国。
ITコンサルティング企業でWeb企画、ストックフォト企業で海外渉外、
写真家コーディネート等を担当後、インテリアアート企業に入社。
ショップ勤務からスタートし、人材教育、新規出店渉外、店舗運営スーパーバイザー、
アート商品企画、作家開拓などを一通り経験する。
2007年、アート写真販売の新規プロジェクトに責任者として携わった後独立。
2007年4月、ポエティック・スケープを設立
2007年11月、アートフォトレーベルphotta-lot活動開始
現在は写真を中心にした様々な活動を行っている。

 その目は実に確かで、ネットで検索していただければ分かると思うが、購入させていただいた村上将城、熊谷聖司、鈴木全太さんのその後の活動を見ればその目利きぶりがわかるというものである。もっと沢山買っておけば良かったと思うことしきりである。

057Lot.57 熊谷聖司
osarai #59
Type C プリント
Ed.9(2/9)
I: 8.7x5.9cm
S: 14.0x8.8cm

072Lot.72 鈴木全太
dog walking style #12(s)
ピグメントプリント
Ed.25(2/25)
I: 11.0x26.2cm
S: 18.9x29.7cm

131Lot.131 村上将城
Limite et coexistence #009
ピグメントプリント
Ed.30(1/30)
I: 23.0x23.0cm
S: 30.4x25.3cm
(H)


*画廊亭主敬白
冒頭に掲載したUさんからのメッセージにある通り、H氏の熱気のこもる「作品紹介」が延々と続き、今日で8回目、それでも終わらず・・・(H氏は精魂尽き果てて今頃寝込んでいるのに違いない)。
9回目はないと思って、皆さんご入札を急いでください
ときの忘れものは今まで入札やら、特別価格での頒布会をずいぶんと開催してきましたが、写真だけのものは今回が初めてで、今後も100点を越す売り立てはそうはないでしょう。
最初で最後のチャンスをどうぞ逃さず、新たなコレクションに加えてください。

◆ときの忘れものはH氏写真コレクション展を開催しています。
会期:2019年7月9日(火)〜7月13日(土)
H氏写真コレクションDMH氏が収集した写真作品147点を入札により頒布します。


●ときの忘れものは青山から〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました。
阿部勤設計の新しい空間はWEBマガジン<コラージ2017年12月号18〜24頁>に特集されています。JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531 
E-mail:info@tokinowasuremono.com 
営業時間=火曜〜土曜の平日11時〜19時。*日・月・祝日は休廊。

コメント

コメントフォーム
評価する
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • リセット
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • リセット