ギャラリー  ときの忘れもの

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明日6月9日は、日本のシルクスクリーン技法の開拓者、名人刷り師と謳われ、版画のプロデューサー、教育者としても活躍した岡部徳三さんの命日です。
亡くなられたのは2006年6月9日のことでした。

刷り師は版画制作を陰で支える職人ですが、岡部さんがいかに大きな存在だったかは、その死に際して朝日新聞が異例の追悼記事を掲載したことでもわかります。

現代版画センター機関誌『画譜』創刊準備号より、表紙(1974年3月15日、全国版画コレクターの会(仮称)準備会 発行)
20170809_岡部神奈川県秦野にあった岡部版画工房と、刷り師・岡部徳三さん

岡部さんの功績は数え切れないほどありますが、
1)版画技法としてのシルクスクリーンを世間に認知させ、オノサト・トシノブ、靉嘔、草間彌生横尾忠則らの版画を世に送り出した。
オノサト版画が世に出たとき「あれはエスタンプだ」という批判も巻き起こりました。しかし油彩画家としては扱う画商も少なく孤立無援だった作家の生活を支えたのは間違いなく岡部さんたち四人組(尾崎正教、大野元明、高森俊、岡部徳三)による版画エディションとその頒布でした。

2)職人として作家に寄り添うばかりではなく、あるときは名プロデューサー・版元としてナム・ジュン・パイクジョン・ケージジョナス・メカスらそれまであまり版画に縁のなかった作家を刺激し、版画のアイデアを提供し協働者として多くの名作版画を生み出した。

3)教育者としては美学校の講師を長く勤め、石田了一など優れた後進を育てた。

オノサト・トシノブ「銀河」
galaxy_1280
オノサト・トシノブ Toshinobu ONOSATO
銀河 Galaxy」 1981年
シルクスクリーン(刷り:岡部徳三)
イメージサイズ:43.7×100.0cm
シートサイズ:54.8×111.0cm
Ed.150  サインあり
*現代版画センターと同桐生支部(奈良書店)との共同エディション
※レゾネNo.174

第一回東京国際版画ビエンナーレ展が開催されたのは1957年。美術界の片隅で息をひそめていた版画に、ようやく陽が差し込むようになった頃だ。その頃よりオノサト・トシノブ氏や靉嘔(アイオウ)氏をシルクスクリーンで刷ってみないか、と周囲から勧められた事もあり、工房の設立を考えていた。両氏とも、まだ無名にちかい作家であり、私自身もシルクスクリーンについて殆ど知識を持たず、同じ創造美育協会のメンバーであった友人より、シルクスクリーン一式を譲り受け、全て手探り状態でスタートした。
 両氏の版画を熱心に勧めてくれる人の中に美術評論家の久保貞次郎氏もいて、「版画は刷るよりも売る方が難しい」と力説されていた。採算がとれない事を心配して、刷り上がった作品の一部を買い取ってくれる事になった。
 こうして両氏の版画を1966年から刷る事になる。
 当時は写真製版がまだ開発途上にあって、今のように柔軟に対応できる代物ではなかった。版ズレがあって当たり前というニス原紙のカッティング版で悪戦苦闘したおかげで、印刷にはどう対応したらよいかが、少しずつ見え始めてきた。

(1996年 神戸アートビレッジセンター「版画工房の仕事展」より 岡部徳三 記)>

靉嘔「スリランカ」
透明な波_スリランカ
靉嘔 Ay-O 《透明な波 スリランカ》
1981年 シルクスクリーン (刷り:岡部徳三)
90.0x150.0cm
Ed.85  サインあり
*現代版画センター・エディション
※レゾネNo.439
〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「一日限定! 破格の掘り出し物」
No.17)靉嘔「I love you」

靉嘔_I-love-you靉嘔 Ay-O 「I love you
1974年  シルクスクリーン(刷り:岡部徳三)
53.0×34.0cm(シートサイズ:61.5×44.0cm)
Ed.11,111  サインあり
*現代版画センター・エディション
※レゾネNo.267
本日の「一日限定! 破格の掘り出し物」は岡部徳三さんに敬意を表して、私たちが46年前に初めてエディションした作品を当時の販売価格で皆さまにお届けします。
靉嘔先生の回想によれば、
‘74年の或る日、岡部君と一緒に綿貫不二夫さんと若い人々5,6人が清瀬にやって来た。若者の層を対象として若い作家の版画を出版販売したいと(現代版画センター)。大賛成の私は更に若者向にたくさんのエディションナンバーを安く売るこころみをすすめた。そのためには作家の名前で作品を売るのでなく、作品の内容で買う人々を引きつけねばならぬと説いた。そして話はどんどん拡がりついに2,3週間後には一万一千百拾一のエディションナンバーにしようということになった。値段は千円か2千円を目ざした。私はノーバスコーシアで作ったリトグラフのNo.247「Love letter」を示し話を進めた。皆賛成してくれて岡部君の刷りでNo.267「Love letter(s)」(I love you)のシルクスクリーンが生まれた。
11111の数を誰が云いだしたか今ではミステリーになってしまった。私は世界中まだ誰も1万以上の版画を作っていないと思うので、1万をちょっとこえた数にしたいと提案したのをおぼえている。そしてそれを伝え聞いた久保さんが、このゴロのいい数を云い出したと誰かが云ったような気もするがたしかではない。しかしこの数は瞬間に私をキャッチした。ロマンティックなウィットかもしれないが人々に生きる力をあたえてくれるファンタジーでもある。私は考えた。出来ればぶっつづけにサインをしてこのナンバーを1日で完成できないものだろうかと。ニューヨークへ行く2,3日前、女性1人と男性2人の協力をえて指にバンソーコーをはり、この行動は開始された。約16時間後、私たち4人はその完成を喜び合って握手をし、だきあっていた。

『虹 靉嘔版画全作品集 増補版 1954-1982』146ページ(1982年 叢文社)より>
このとき靉嘔先生は43歳、岡部徳三さんは42歳、亭主は28歳でした。
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