ギャラリー  ときの忘れもの

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平嶋彰彦展〜写真を支える多様なレイヤー

森山大道

 写真家・平嶋彰彦さんが、今秋作られる、平嶋さんの写真作品15点によるポートフォリオ『東京ラビリンス』の、送って頂いたコピーのイメージを幾度もくりかえし凝っと見つめていると、ぼくはいつのまにか、どう仕様もなく、あの「昭和」の時代に連れ戻されてしまう。それは決して単なる懐かしさということでは全くなくて、現在いまから30数年前に、街はこのように確固として街角が街並が風景として記憶として存在していた実証となって、今見る者の眼前にありありと生き返ってくるのである。平嶋さんと同じく日頃路上スナップを写しているぼくは、路上に居て時折ふと、いまぼくがカメラを手に踏んでいる足もとの下に、例えば30年まえ、50年まえ、一体どの様な街や人々や風景が広がり見えたのだろうかと、一瞬茫乎たる思いに閉ざされることがある。
 この度びの平嶋さんの15点のイメージは、見るぼくにそれと同じ感覚をもたらせてくれるのだ。確かに、言うまでもなく、写真という装置が持つポテンシャルは、記念 ・記憶 ・記録 ・であることは当然のことであるが、写真には決してそれら複写機能だけのことではなく、他の表現ジャンルが持ち得ないサムシングとフレキシビリティと、さらに特有のエロティシズムが内包されて在ることを、ぼくは平嶋さんのモノクローム・イメージを目に映したその時に改めて知覚したのである。
 日頃ぼくが好んで口走るフレーズに“過去はいつも新しく、未来はつねに懐かしい”というのがあるが、平嶋さんの15点の写真はまさにこのフレーズにぴたっとくるのである。つまり、古今東西、世界中の写真家たちが写し撮った夥しい写真も、世界史の、人類史の貴重な記録ではあるが、一人の人間が押したシャッターの内実には、更に抜きさしならない何かに支えられているからである。
 何度も言うが、ぼくはこの度びの平嶋彰彦さんの15点のイメージを見ることで、改めて写真を支える多様なレイヤーを識る思いだった。

もりやま だいどう

森山大道|MORIYAMA Daido
1938年、大阪府に生まれる。デザイナーから出発し、1960年岩宮武二のアシスタントとなり、岩宮の紹介により1961年「VIVO」を目指して上京するが、「VIVO」解散のため細江英公の助手となり、『薔薇刑』(集英社、63年)の制作に携わる。1967年、『カメラ毎日』で連載したシリーズ〈にっぽん劇場〉などが評価され、日本写真批評家協会新人賞を受賞。1968-70写真同人誌『プロヴォーク』第2号より参加し、「アレ・ブレ・ボケ」と呼ばれる従来の写真表現を否定するラディカルな表現の写真を発表、衝撃を与える。一貫して路上から日常の断片をスナップショットで撮影、精力的に作品制作をおこなう傍ら、1974-80年にはワークショップ写真学校やイメージショップCAMPなどで多くの若手写真家を輩出した。1974年ニューヨーク近代美術館、セントルイス美術館、サンフランシスコ近代美術館などアメリカ国内を巡回した「ニュー・ジャパニーズ・フォトグラフィー」展に出品。1999年サンフランシスコ近代美術館において回顧展を開催、ニューヨーク近代美術館などを巡回。そのほか、2003年および2016年カルティエ財団現代美術館での個展、をはじめ海外での大規模な個展をはじめ、13年にはテート・モダンでウィリアム・クラインとの2人展が開催されるなど、国内外での展覧会多数。
【主な受賞】 2003年第44回毎日芸術賞受賞、2004年ドイツ写真家協会賞受賞、2012年国際写真センター(ニューヨーク)Infinity Award生涯功績賞、2019年ハッセルブラッド国際写真賞ほか多数受賞。
【主な写真集】 『にっぽん劇場写真帖』(1968年、室町書房)、『写真よさようなら』(1972年、写真評論社)、『遠野物語』(1976年、朝日ソノラマ)、『光と影』(1982年、冬樹社)、『犬の記憶』(1982年、冬樹社)、『ハワイ』(2007年、月曜社)、『犬と網タイツ』(2015年、月曜社)、『K』(2017年、月曜社)、『Pretty Woman』(2017年、Akio Nagasawa Publishing)ほか多数。
東京都写真美術館のサイトより引用)

平嶋彰彦ポートフォオ_東京ラビリンス_1
平嶋彰彦ポートフォオ_東京ラビリンス_2
平嶋彰彦ポートフォオ_東京ラビリンス_5

●本日のお勧め作品は平嶋彰彦です。
hirashima-03平嶋彰彦 HIRASHIMA Akihiko
《東陽一丁目(洲崎弁天町二丁目) 洲崎遊郭のあった辺り》
1985.9-1986.2(Printed in 2020)
ゼラチンシルバープリント
シートサイズ:25.4x30.92cm
Ed.10 Signed  
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください

本日から「平嶋彰彦写真展 — 東京ラビリンス」を開催します(予約制/WEB展)。
会期=2020年11月6日[金]—11月28日[土]*日・月・祝日休廊
無観客ギャラリートーク 平嶋彰彦さん・大竹昭子さん

324_aときの忘れものは平嶋彰彦さんのポートフォリオ『東京ラビリンス』を刊行します。
『昭和二十年東京地図』(写真・平嶋彰彦、文・西井一夫、1986、筑摩書房)の中から、監修の大竹昭子さんが選出したモノクローム写真15点を収録しました。
平嶋彰彦さんがエッセイ「 ”東京ラビリンス”のあとさき 」をブログで連載しています。
森山大道さんの「平嶋彰彦展〜写真を支える多様なレイヤー」大竹昭子さんの「東京上空に浮遊する幻の街 平嶋彰彦写真展に寄せて」もあわせてお読みください。

●ときの忘れものは青山から〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました。
阿部勤設計の新しい空間はWEBマガジン<コラージ2017年12月号18〜24頁>に特集されています。JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531 
E-mail:info@tokinowasuremono.com 
営業時間=火曜〜土曜の平日11時〜19時。*日・月・祝日は休廊。
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