ギャラリー  ときの忘れもの

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鬼海弘雄先生が10月19日お亡くなりになりました。享年75。
謹んでご冥福をお祈りいたします。

2015年1月鬼海弘雄、植田実
2015年1月「植田実写真展―都市のインク 端島複合体 同潤会アパートメント」、ときの忘れもの(青山時代)にて、左が鬼海弘雄先生、右は植田実先生

1945年山形県寒河江市生まれ。亭主と同い年です。
植田実先生とは『集合住宅物語』(写真・鬼海弘雄、みすず書房2004)で一緒に仕事をされています。
東京都写真美術館で2011年8月13日 〜 10月2日に開催された「鬼海弘雄写真展 東京ポートレイト」については、植田実先生が「美術展のおこぼれ 第14回」(2011年09月26日ブログ掲載)でレビューを執筆されています。

昨年の段階で癌で余命僅かとうかがっていたのですが・・・・
追悼の心をこめて、大竹昭子さんの「迷走写真館 一枚の写真に目を凝らす」を再録掲載いたします。

大竹昭子<迷走写真館>一枚の写真に目を凝らす 第4回
2013年5月1日掲載)
鬼海弘雄「22羽のアヒルと冬の気球」
(画像をクリックすると拡大します)

まず目に入るのはアヒルの群れである。
だれに先導されることなく、一群となって、どこかにむかっている。
道はゆるやかな上り坂だ。

アヒルの視線になり、その先を追っていくと、一台の車が道の右手に停まっている。
くすんだ色の小型車で、走りはさほどよくない、かもしれない。

さらに視線をのばすと、男がいる。
柄模様のセーターを着て、毛髪を風になびかせ歩いている。

男のいる場所から道は下っている。
建物の屋根の低さでわかる。
つまり男は坂道の頂点にいるわけだが、
その横に尖塔のあることが、ここがてっぺんだ!
という感じをより強めているように思う。

ここで、もうひとつの事実に気がつく。
アヒルも、車も、歩いている男も、こちらにお尻をむけている、ということに。
なにかにむかえば、背後にものにお尻をむけずにいられない、ということに
この写真を凝視している「わたし」とて例外ではなく、だれかにお尻をむけているはずだ。

だが尖塔はちがう。円柱なのでそもそもお尻がない。
そしてその円柱の先には、おなじようにお尻のない気球が浮いている。
まさに「ぽっ」という感じで浮かんでいる。

お尻を見せている連中は、そのお尻のないものを追って坂をのぼっていく。
むかうべきところがなく、ただ大空に浮かんでいるだけの球形の物体は、
お尻のある我々を、魅了してやまない。

大竹昭子(おおたけあきこ)
〜〜〜〜
●紹介作品データ:
鬼海弘雄
〈アナトリア〉シリーズ「22羽のアヒルと冬の気球(トルコ)」
2009年撮影(2010年プリント)
ゼラチンシルバープリント
イメージサイズ:29.1x43.6cm 
シートサイズ:40.5x50.5cm
Ed.1/20
裏面にサインあり
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鬼海弘雄 Hiroh KIKAI(1945-)
1945年山形県生まれ。法政大学文学部哲学科卒業。山形県職員を辞して、トラック運転手、造船所工員、遠洋マグロ漁船乗組員など様々な職業を経て写真家になる。主な写真集やフォトエッセーに『王たちの肖像』(1989年 矢立出版)、『INDIA』(1992年 みすず書房)、『や・ちまた』(1996年みすず書房)、『東京迷路』(1999年 小学館)、『印度や月山』(1999年 白水社)、『しあわせ』(2001年 福音館書店)、『PERSONA』(2003年 草思社)、『東京夢譚』(2007年 草思社)、『ASAKUSA portaites』(2008年 STIDL.ICP)、『目と風の記憶』(2012年 岩波書店)などがある。
2004年に写真集『PERSONA』で第23回土門拳賞を受賞。
2020年10月19日死去。

「平嶋彰彦写真展 — 東京ラビリンス」を開催します(予約制/WEB展)。
会期=2020年11月6日[金]—11月28日[土]*日・月・祝日休廊
324_aときの忘れものから、写真家・平嶋彰彦さんのポートフォリオ『東京ラビリンス』を刊行いたします。
ポートフォリオ『東京ラビリンス』は、『昭和二十年東京地図』(写真・平嶋彰彦、文・西井一夫、1986、筑摩書房)の写真の中から、監修の大竹昭子さんが写真を選出し、ニュープリントしたモノクローム写真15点が収録されています。
『昭和二十年東京地図』は、平嶋さんが当時手にした復刻版『コンサイス東京都35区区分地図帖』(東京空襲を記録する会、日地出版、1985)を西井一夫さんに見せたところ興味を示し、『毎日グラフ』での連載企画がスタートしました。平嶋さんと西井さんは、1985年9月〜11月にかけて(1986年1月〜2月に撮り直しあり)、東京の街を取材して歩き、それが書籍化されました。
今回、平嶋彰彦ポートフォリオ刊行に伴い、写真展を開催します。
予約制にてご来廊いただける日時は、火曜〜土曜の平日11:00〜19:00となります。
※観覧をご希望の方は事前にメール、電話にてご予約ください。

●ときの忘れものは青山から〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました。
阿部勤設計の新しい空間はWEBマガジン<コラージ2017年12月号18〜24頁>に特集されています。JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531 
E-mail:info@tokinowasuremono.com 
営業時間=火曜〜土曜の平日11時〜19時。*日・月・祝日は休廊。
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