ギャラリー  ときの忘れもの

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宮森敬子展が10月17日に終了いたしました。
ときの忘れもの始まって以来のインスタレーションの展示ということで、工事も含め展示準備に10日間かかり、終了してから一週間たちやっと撤収の目途がついたところです。
スタッフにとってはとても勉強になる展覧会でした。
コロナウイルス禍になってから物故作家(駒井哲郎、瑛九)の展示を続けてきて、今回初めて現役作家の個展開催でしたが、詩人の大崎清夏さんに「受託の痕跡として」と題して素晴らしいレビューを執筆していただきました。

来廊された皆さんから寄せられた感想は、facebook等から引用させていただきます。

何かしみじみと美しいものを見たくなって行った「ときの忘れもの」で開催中の宮森敬子<Surfaces of Time>(邦題は<集められた時間と空間の表面たち>)展。宮森は樹木の幹に透けるほど薄い雁皮紙を当てて、焦がした木片で「樹拓」を採る。幾ら重ねても厚みがなく、幾ら集めても重みもなく感じられる半透明の白い紗。そこに薄墨を散らしたように見える「樹拓」で、宮森は壁面を覆い、吊り下げられた子供用ベッドを覆う。ベッドの上には淡紅色の薔薇の花びらが敷かれている。「樹拓」は壁や額縁に一部が糊付けされているときには、わずかな空気の流れに揺れて記憶のなかのカーテンのようだ。また鳥籠や地球儀や木の枝をしっかりと包み込んでいるときには、その品を保護する皮膜のように感じられる。年輪が文字通りそうであるように、「樹拓」もまた樹木が生きてきただけの時間を暗示し、またそれが作家の住むNYやギャラリー近くの六義園で採られたという話を聞けば、コロナ禍で否応なしに隔たってしまった地球上の空間の果てしのない距離が心に染みる。
あえかな白と灰色と薔薇色の繊細さに何かを思い出すような気持ちにとらわれ、しばらく考えて、それが最晩年の大野一雄の白い衣装をまとった痩せた身体の、舞踏とも呼べないような微かな動きだったことに気がついた。
もう1つの符合。私の手元に古い淡紅色の透ける絹のスカーフがある。桜の樹皮で染めたものだと聞いた。茶色の樹皮に花の色が潜在していることに驚いた記憶がある。一方宮森の「樹拓」は桜の木とは限らないから、淡紅色がそこに潜んでいるはずはない。だが今回の展示でほとんど唯一の色彩は薔薇の花びらの薄紅色であり、出品作の一つ、「樹拓」で覆った古いタイプライターは、roseという単語を打ち出して、この単語をタイトルとしている。

(10月15日 鈴木 杜幾子さんのfacebookより)
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寒い雨の土曜日だった昨日、大学の博物館実習の授業で、アーティゾン美術館を見学させる。団体としてではなく、10:30〜11:00の間の好きな時間に各自来館させて、自由見学。次回の授業でレポートを発表させるというもの。でもほとんどの学生が10:30に到着して入り口で待っていました。椅子があるので助かります。私は9月末にもすでに一度来館しているので、もう一度ざっと1時間くらいかけて観る。それでも時間が足りない感じでした。4つか5つの展覧会を同時開催という充実ぶり。
その後は、最終日になってしまった「宮森敬子展— Surfaces of Time 集められた時間と空間の表面たち」。駒込に移ってから初めて行きました。予約制でしたが、ちょうど前の時間に南平妙子さん、後の時間に松下誠子さんが予約していて、3人で観ることができました。宮森さんの作品は、私はギャルリー・パリの個展からでしたが、今回は個人の邸宅だったというモダン建築の吹き抜けのロビーを十全に生かして、場所と時間にまつわる人の記憶を現前させる(フロッタージュする)宮森さんのスタイルが、とてもうまく活かされていました。薔薇の花びらも3週間たったとは思えない、ピンクの色の痕跡を留め、今はもう残ってはいない匂いをも想像させるなごりの色香が漂っていました。伺えてよかったです。

(10月18日 小勝 禮子さんのfacebookより)
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「宮森敬子ー集められた時の表面たち 」展@ギャラリーときの忘れもの
最終日でしたが、個展を拝見し、宮森さんのアート遍歴を伺ってつくづく思ったのは、「ヒエラルキーの水平化」や「交換」などのアイデアを次々と作品を通じて実行する長い道程を経て、それが円環(アートが現実に、現実がアートになる)をなすこと、そして、アートで人間の複雑に縺れた糸を解きほぐすことと比べれば、同じくアートで社会、政治問題を解決することなど朝飯前ということでした。

(10月17日 市原 研太郎さんのfacebookより)
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「宮森敬子展 - Surfaces of Time 集められた時間と空間の表面たち」ときの忘れもので開催中の展覧会でトークを録画してきました。そこでは言及できなかった部分を記録しておきます。
 階段の下に落ちている数枚のバラの花びら → 頭上に浮かぶ二つのベッド(上下反転) → そこに敷き詰められた花びら → 天体望遠鏡でベッドをのぞく → タイプでROSEと打ち込む → 前を歩くと揺れる表面をもつドローイング → 宙づりの鳥小屋 → 天窓の下の屋根のない鳥カゴ
 建築の空間とうまく溶け合って、全体が強い上昇のイメージで満たされています。
 ここにはない過去とこれからの未来をつらぬく魂の実在を強く感じさせる優れたインスタレーションです。作者の体験だけでなく、見るものの過去を思いっきり引きずり出してくれます。

(9月26日 小泉晋弥さんのfacebookより)
宮森敬子展 — 無観客ギャラリートーク 宮森敬子さん・小泉晋弥さん 前編

宮森敬子展 — 無観客ギャラリートーク 宮森敬子さん・小泉晋弥さん 後編

宮森敬子さんと小泉晋弥先生(美術評論家、茨城大学名誉教授)による無観客ギャラリートークの様子をYouTube前編後編として公開しました。

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宮森敬子 展「Surfaces of Time 集められた時間と空間の表面たち」(アポイントメント制)
2020年9月25日[金]—10月17日[土]11:00〜19:00
拓本により記憶を継承するアーティスト宮森敬子さんの個展。
六義園近くの閑静な住宅街にある「ときの忘れもの」は、阿部勤さん設計の個人住宅「LAS CASAS」をギャラリー利用しています。
元々個人住宅なので、ギャラリー用のスペースはなく、1階から3階までの階段や廊下などに作品が展示されています。
阿部勤さんの名作住宅と、アート作品の両方が楽しめるスペースです。

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(10月14日 萩尾 昌則さんのfacebookより、写真も萩尾昌則さん撮影)
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サイト・スペシフィックでもあり、タイム・スペシフィックでもある木の記憶を宮森敬子さんは採取し、重ね、ドキュメントからストーリーを引き出しながら、ギャラリーに「より大きな世界への出入口」みたいなポイントをいくつも出現させていました。ギャラリーの高低差がストーリーの展開をうながしているようで、階上の鳥籠まで来るとそこには植物の種があり、階下の花びらやベッド、木や人の成長への循環に気づかされます。最初に御代田で作品を観たときの、大地の上で人類はまったく特別でないという感覚がよみがえりつつも、今回はさらに「個の存在」を考える機会になりました。
まだ会期始めで、花びらはこんな感じ。亡くなられた加藤典洋氏についてもお聞きしました。最期の著作、ぜひ読みたい。

(9月27日 中尾美穂さんのfacebookより)

予約制という皆さんには申し訳ない不自由な展観方法でしたが、おかげさまでたくさんの方にご来場いただき、感謝いたします。
今後も宮森さんのご活躍を期待しています。

●ときの忘れものは青山から〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました。
阿部勤設計の新しい空間はWEBマガジン<コラージ2017年12月号18〜24頁>に特集されています。JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531 
E-mail:info@tokinowasuremono.com 
営業時間=火曜〜土曜の平日11時〜19時。*日・月・祝日は休廊。
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