ギャラリー  ときの忘れもの

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磯崎新の版画 第3回「内部風景 シリーズ」
1979年8月
現代版画センターエディション 3点
技法:アルフォト
シートサイズ:80.0×60.0cm
限定8部  サインあり

磯崎新内部風景内部風景 ストンボロウ邸ールートウィッヒ・ウィトゲンシュタイン
1979年 アルフォト 80×60cm  Ed.8 Signed
現代版画センターエディションNo.287

磯崎新内部風景内部風景 カトルマル精神病院ーアントナン・アルトー
1979年 アルフォト 80×60cm   Ed.8 Signed
現代版画センターエディションNo.288

磯崎新内部風景内部風景 増幅性の空間ーアラタ・イソザキ
1979年 アルフォト 80×60cm  Ed.8 Signed
現代版画センターエディションNo.289

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第3回としてご紹介する「内部風景 シリーズ」 (1979年)については、磯崎先生のエッセイをお読みください。


”内部風景シリーズ”について

磯崎新


 さまざまな条件のもとで、建築の内部空間をデザインすることがある。そんなとき、ふっと、実は一種類の型の見かけを変えているだけではないか、と考えこんでしまうことがある。その空間の型とは、すぐれて今日的な条件だが、カルテジアン座標に似て、直交する面だけで構成されるものだ。
 そんな空間に私たちは個別性を超えて押し込められている。そして、ちがった場所、ちがった個性がながめていた風景と思っていたものも、実はもうひとつ背後に、動かし難い、同質の空間が透けてみえる。
 ウィトゲンシュタインは、彼の姉ストンボロウ夫人のために、厳密な比例関係だけで成立する内部空間を構成した。(I
 アルトーは、極く普通の構法によってつくられた精神病院の廊下を幾度も歩いた。(II
 私は、直交する面の表相をすべて等しい正方形だけで割りつけた。(
 その内部風景は、彼らが異った条件のもとで凝視したはずのものだが、結局は完璧な同一性をもつといってもいいのではないか。
 つまり、内部風景シリーズは、同一性の証明としてつくられたものである。建築家として、自らに問いたかったことは、このような同一性の罠にかけられたなかから、いったいどんな出口があるのか、ということである。この空間の所属するひとつの時代が変化する予兆があるとすれば、いったい何か。この同一性の証明を破る事態が起るとすれば、どこで、いつだろう。こんなとめどもない自問の連鎮にとらわれていることの証明でもある。
いそざき あらた
*『版画センターニュース PRINT COMMUNICATION No.50』1979年9月号所収
1979年9月版画センターニュース9月号磯崎
『版画センターニュース PRINT COMMUNICATION No.50』1979年9月号2頁
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このブログで「磯崎新の版画」という連載を始めた理由はいくつかありますが、
・まず亭主が現代版画センター及びときの忘れもを版元として手掛けた版画エディションで最も多いのが磯崎新先生の作品です。
・にもかかわらず、そのことを大番頭の尾立以外、若いスタッフたちは理解していません(涙)。教育をかねて(老人のボケ防止も兼ねて)磯崎版画の全貌を今のうちに記録しておこうと考えました。
第1回及び第2回では最初期のヴィッラシリーズをご紹介しましたが、技法はシルクスクリーン(刷り:石田了一)です。磯崎先生ご自身は、どこでそんな知識をと思うほど、各種技法に通じており、今まで取り組んだのはシルクのほかに、リトグラフ、銅版、木版、それらの併用版、はては金属版を使ったアルフォトなど、表現しようとするテーマによって意識的に技法をわけています。そんなことをできるアーティストはそうはいません。そのことをもっと知っていただきたいと思っています。
・紹介する順番はなるべく制作順(時系列)にしたいのですが、こちらの資料探索の手間もあり、順番通りには行きませんがどうぞご了解ください。

「内部風景」シリーズは、第11回東京国際版画ビエンナーレに出品するために制作され、佳作賞を受賞しました。

池田満寿夫はじめ多くの版画家がデビューした「東京国際版画ビエンナーレ」は1957年に久保貞次郎先生たちの尽力で第1回展が開催され、以後、60〜70年代の版画の時代を象徴する国際展でした。
現代版画センターが創立されたのは1974年ですので、「東京国際版画ビエンナーレ」の時代とリンクします。
同展が最終回を迎えたのが1979年でした。
最後の第11回東京国際版画ビエンナーレは、おそらく事務局側が「これが最後だから」と思ったのでしょうか、かなり尖がった人選をし、内外から先鋭的な作家を多数招きました。
国内から選ばれたのは榎倉康二萩原朔美磯崎新加納光於、河口龍夫、岡崎和郎、李禹煥島州一辰野登恵子、山中信夫、山本圭吾、倉俣史朗たちでした。
1979年という時代を考えると、凄い人選です。

このとき、出品依頼を受けた磯崎先生は亭主を呼んで、
「東京国際版画ビエンナーレが出品しろと言ってきたが、オレは紙の版画(つまり普通の版画)なんか出すつもりはない。地下鉄の看板に使われているアルミの板にプリントする<アルフォト>という技法でやりたい」とおっしゃったのでした。
磯崎先生に教えられた淡島通りから少し入ったところにあった町工場で、内部風景3連作がプリントされました。
亭主の版元人生でも最も印象深いシリーズです。
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版画の景色 現代版画センターの軌跡」展
会場:埼玉県立近代美術館
会期:2018年1月16日(火)〜3月25日(日)

●この秋はじまる新連載はじめ執筆者の皆さんを9月4日のブログでご紹介しました

●ときの忘れものは2017年に青山から〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました。もともと住宅だった阿部勤設計の建物LAS CASASを使って、毎月展覧会Web展)を開催し、美術書の編集事務所としても活動しています。
WEBマガジン<コラージ2017年12月号18〜24頁>の特集も是非ご覧ください。
ときの忘れものはJR及び南北線の駒込駅南口から徒歩約8分です。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531 
E-mail:info@tokinowasuremono.com 
営業時間=火曜〜土曜の平日11時〜19時。*日・月・祝日は休廊。
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