ギャラリー  ときの忘れもの

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本日から「Uコレクション展」を開催します。
会期=2021年11月26日[金]―12月11日[土] 11:00-19:00 ※日・月・祝休

コレクターの方が長年愛着をこめて集めてきた作品を展示し、頒布する「コレクション展」を今まで幾度か開催してきました。
ときの忘れものは、原則として非売の展覧会はしません(例外もあり、S氏の駒井哲郎コレクション展は非売でした)。
集めた方の愛着が強ければ強いほど、そのコレクション展は熱を帯びます。2019年7月に開催した「H氏写真コレクション展」の折に、「グループ展だってバカにできない―貸しギャラリーで写真を買う―」など、H氏がブログに9回にわたり寄稿された購入時の回想は鬼気迫るものがありました。
147点の出品作品はH氏の期待以上に売れたのですが、全部は売れませんでした。
主催した私たちは忸怩たる思いでした。
こういう場合、高くてもいいもの(人気があるもの)からどんどん売れて、必ず売れ残るものが出ます。せっかく珠玉のコレクションを提供してくれた所蔵家に対して申し訳ない。

それじゃあ、困る! 何としても全点を売り切りたい。

ということで、今回の「Uコレクション展」は全点完売を目指し、破格の最低入札価格を設定しました。

所蔵者のU氏について。
建築界で長年活躍されているU氏は、編集者としての仕事や建築批評のほかに、美術についてのエッセイや展覧会レビューも手がけ、またその共感を示すコレクターでもありました。
このたびそのコレクションから21作家の24点を選び、ときの忘れもので展示するとともに、全点を入札方式で頒布します。
52頁に及ぶカタログでは、U氏と草間彌生さんとの対談(1983年)や今までの評論の再録と併せて、新たにそれぞれの作家について綴った覚え書きを収録しています。

出品21作家・全24点について順次、ご紹介しましょう。
11月24日/前川千帆、谷中安規、吉田政次
11月26日/ダリ、リキテンスタイン、ウォーホル
11月27日/一原有徳、木原康行、森ヒロコ
11月28日/草間彌生
11月29日/横尾忠則、倉俣史朗、ティニ・ミウラ
12月2日/磯崎新、宮脇愛子、関根伸夫
12月4日/海老原喜之助、アルビン・ブルノフスキ、
12月6日/若林奮、井上直久、山本容子

U氏の覚書「あ 思い出した」から、本日はリキテンスタイン、ウォーホル、ダリについて。

No.9 ロイ・リキテンスタイン ”art of the sixties” ポスター
9_ロイ・リキテンスタインNo.9
ロイ・リキテンスタイン
”art of the sixties” ポスター
1979
シルクスクリーン
140.0×98.0cm

ロイ・リキテンスタイン(1923-1997)
アメリカ・ニューヨーク生まれ。10代半ばからデッサンや油絵を独習。1940年オハイオ州立大学美術学部に入学、召集により海軍入隊。終戦後復学、修士課程に進み講師の職を得る。1951年ニューヨーク・カールバック画廊で初個展。講師を解雇され、グラフィックや板金デザイナー等の仕事に就き、1957年教職に就く。1961年最初のポップアートを描き始める。1962年ニューヨーク・レオ・カステリ画廊で個展。1964年絵画に専念。回顧展が世界を巡回し多数の個展が開かれる。1966年第33回ヴェニス・ビエンナーレ展アメリカ館に出品。国内外で数多く回顧展が巡回し、壁画、彫刻、映画等も手掛ける。

No.10 アンディ・ウォーホル ”Campbell's Soup 供
10_アンディ・ウォーホルNo.10
アンディ・ウォーホル
”Campbell's Soup 供
1969
シルクスクリーン
81.1×48.2cm/89.0×58.7cm
Ed.250
サインあり

 ポップアートの両雄、みたいに同じ時代の体現者の印象が強い。だがわが家にその作品をおいているあいだ、むしろ対照的な働きをするほどに、ふたりの作品構造がそれぞれ完成されていることを痛感した。ウォーホルは作品の四辺まで整然と調えることを遂には要求し、リキテンスタインは周りを引き合いに出すことが好きで、満員電車のなかにいても平気だ。(2021)
U「あ 思い出した」『Uコレクション展関連ファイル』(2021年、ときの忘れもの発行)より
アンディ・ウォーホル (1928-1987)
アメリカ・ピッツバーグ生まれ。1949年カーネギー工科大学卒業。1950年代に商業イラストレーターとして活躍。1963年にファクトリーを設立。1960年代に事故や死を描いた象徴的な〈死と惨事〉シリーズ、アンダーグラウンド映画やテレビ番組などの映像作品、社交界から依頼を受けた肖像画を制作。アメリカにおけるポップアートの旗手と言われる。


No.3 サルバドール・ダリ「不死の十種の処方より」
3_サルバドール・ダリNo.3
サルヴァドール・ダリ
不死の十種の処方より
1973
銅版
56.5×39.0cm/57.0×39.0cm
Ed.210
サインあり

 戦後が来たのと一緒に私にはダリが来た。東京空襲でわが家が無くなり、ひとのうちに家族ぐるみ仮住まいという、何ひとつなかった空間に小さなダリの画集が前触れもなく、来たのである。誰かが誰かから借りてきたんだと思う。その絵にたちまち魅せられてしまったが、画集はまもなく持ち主に返され、自分たちの住まいもすぐ次の親切を探さなければならないほど切迫していたから、ダリの一瞬の記憶はひとりぼっちみたいにくっきりしている。父母の故郷の親兄弟頼みでいざ東京と別れる直前の、小学4年が終わる頃だ。
 この画集は、美術史関係資料によればアトリヱ社から1939年に刊行された西洋美術文庫第24巻、瀧口修造による本であったようだ。表紙のデザインも記憶に近い。あとは本文に収録されている作品を確認すればいい。きっと覚えている。
 それからずっと後、1964年9-10月に東京プリンスホテル・ギャラリー、そのあとは愛知と京都に巡回したダリ回顧展は「重要な」と、『ダリ全集』(全3巻 講談社 1985-86年)の年譜に記されている。私にとっては、個展だし実物をまとめて見る機会はこれが初めてだったのではないか。忘れもしない雨と風の悪天候のなかを勇んで出かけて行った。《ナルシスの変貌》( 1 9 3 6 - 3 7 年頃)が意外に小ぶりで(約50×79センチ)、それがかえってとても良かった。静かな展示室にむしろ内省的な作品が多い印象を受けたが、その後日本で企画実現したいくつものダリ展は、規模の大きい、劇的なものになっていった。1979年末から翌年4月にかけてはパリのポンピドゥセンターでの、展示デザインも押し寄せた観客(とくにチビたち)の興奮度も最高潮の大回顧展があった。偶々このときパリ郊外の新都市取材で来ていた。運が良かった。
 言うわりにはダリに対して厳しいという自覚がある。今回その理由を述べるには時間切れで申しわけないけれど、公共美術館、たとえば横浜美術館のシュルレアリストたちの部屋はけっこう好きなのだが、自分の部屋にダリを置くとなるとシュルレアリスムという範疇を煙の如く消してしまいたくなる気がする。いま部屋にあるのはテートギャラリーの《ナルシス》の、原画より拡大印刷されたポスター。ダリはむしろエッチング《不死の十種の処方より》が、絵柄より筆触を晒している。軟らかい時計よりいい。触ると痛い。ダリは慇懃な人だったと思う。まちで知り合いなどに出会ったとき「こんにちは」なんて言わない。
 そういう行為要素を持っていない。自分に誠実な彼は知人の前で、誰にも分からない奇妙なポーズをとってしまう。すぐ去っていく。(2021)
U「あ 思い出した」『Uコレクション展関連ファイル』(2021年、ときの忘れもの発行)より
■サルバドール・ダリ(1904-1989)
スペイン生まれ。1921年サンフェルナンド美術学校に入学、1925年マドリードのダルマウ画廊で初個展を開く。1927年パリに赴き、ピカソやアンドレ・ブルトンなどの面識を得る。1932年にガラと結婚。ガラは永遠の
ミューズであり支配者でありマネージーという存在になる。独自の価値観を作品の中で展開し、時間・宗教・量子力学・遺伝子学などをモチーフにした作品を次々に制作。各地で個展や回顧展が開催される。

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左から、井上直久、リキテンスタイン、草間彌生


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左から、ウォーホル、磯崎新(14番)、磯崎新(13番)


Ucollection_ DM

カタログ表紙展覧会カタログ『Uコレクション関連ファイル』
2021年11月26日発行
ときの忘れもの発行
B5変形サイズ、52頁、価格880円(税込み)

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●ときの忘れものは2017年に青山から〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました。もともと住宅だった阿部勤設計の建物LAS CASASを使って、毎月展覧会Web展)を開催し、美術書の編集事務所としても活動しています。
WEBマガジン<コラージ2017年12月号18〜24頁>の特集も是非ご覧ください。
ときの忘れものはJR及び南北線の駒込駅南口から徒歩約8分です。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531 
E-mail:info@tokinowasuremono.com 
営業時間=火曜〜土曜の平日11時〜19時。*日・月・祝日は休廊。
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